空き家を活用したまちづくりの事例5選
空き家を活用したまちづくりは全国の自治体で注目されており、中には目覚ましい成果を挙げた事例もあります。
今回はその中でも、以下の5つの事例をご紹介いたします。
空き家のリノベーション事例については以下の記事でも解説していますので、興味のある方はぜひこちらも読んでみてください。
それでは、各事例を詳しく見ていきましょう。
尾道「空き家再生プロジェクト」
広島県尾道市にて、空き家を活用して人口・雇用問題解決に取り組んだ事例です。
尾道市は広島県東部、瀬戸内海に面する小さな港町です。
古くから海運による物流の要地として栄えており、明治時代では広島県東部において最大の人口を抱える都市でしたが、車中心の社会への変化や核家族化、少子高齢化の影響により人口減少が加速。
それに伴い空き家も増加し、2022年度の調査では尾道市内の空き家総数が7,733件となりました。
空き家問題解決のため、2007年に「尾道空き家再生プロジェクト」を発足し、空き家の再生と移住支援を開始しました。
ボランティアを中心に活動し、チャリティイベントや町歩き、空き家再生のワークショップなどを開催。
移住者に尾道の魅力を伝えるため、体験宿泊施設など小規模な再生事例も生み出しました。
2009年には空き家バンクの運営をスタートし、100軒以上の空き家マッチングを行いました。
これらの活動により、若い移住者が空き家をリノベーションした店舗を開いたほか、プロジェクトチームでもゲストハウス展開などに取り組み、少しずつ尾道に活気を取り戻しています。
坂の上のゲストハウス「みはらし亭」
引用元:尾道の魅力を空き家からひとつひとつの空き家再生が町を変える::Back Number::地域再生を考える::分譲マンションと生活に関する情報 Wendy-Net
杉並区「お化け屋敷プロジェクト」
東京都杉並区の事例では、空き家を利用したユニークな地域活性プロジェクトに取り組んでいます。
東京メトロ丸ノ内線(分岐線)の終着駅でもある杉並区方南町は、高齢者が多く、商店街の店舗が後継ぎの問題で苦戦したり、そもそも客足が減っていたりと、さまざまな問題を抱えていました。
そんな方南町を活性化させるため、商店街と地元IT企業が連携し「まちの遊園地化」というコンセプトの町作りプロジェクトが発足。
プロジェクトの一環として、方南町出身のホラープランナー主導のもと、方南町駅徒歩5分の空き家を改修したお化け屋敷「畏怖 咽び家 – 方南町お化け屋敷オバケン」が作られました。
引用元:「国内最恐」のお化け屋敷がある杉並区方南町「まちを遊園地にして、商店街に活気を取り戻す」|kurashify(暮らしファイ)
参加者は駅出口に集合し、不動産屋に扮したスタッフに案内されスタートするというホラー映画のようなシナリオは、「国内最恐」とも評価され、国内外から年間約1万2000人が訪れる人気スポットとなりました。
参照元:Vol.5 住宅街全体を遊園地に!? 東京・方南町 お化け屋敷オバケンに行ってみた<ホラープランナー編>:ひとまち結び
方南町商店街では、お化け屋敷以外にも忍者屋敷や謎解きなど様々なアトラクションを展開し続けており、訪れる人々を楽しませています。
南あわじ「まちなか水族館プロジェクト」
南あわじ市では、学生も協力して商店街に観光スポットを作った事例があります。
兵庫県南あわじ市は、淡路島の最南端に位置する人口4万人ほどの市です。
全国的な人口減少、少子高齢化に起因する空き家問題は南あわじ市でも深刻化しており、令和5年度の調査では2,237件が空き家となっていました。
参照元:第2次南あわじ市空家等対策計画 | 兵庫県南あわじ市
なかでも南あわじ市福良地区は、週末には多くの観光客が訪れる一方、商店街が主要な観光施設から離れており、集客に課題を抱えていました。
そこで、福良町づくり推進協議会は地域活性化のために地元の空き家を再利用するプロジェクトに着手。
福良湾の魚を展示する「まちなか水族館ギョギョタウン」が新たな観光スポットとして誕生しました。
運営には「福良をもっと知ってほしい、もっと元気にしたい!」という思いのもと活動している、神戸大学建築学科の学生団体「プロジェクト福良」も参加し、備品制作や改修工事、ワークショップの開催などに協力しています。
参照元:プロジェクト福良 地域連携活動のご報告 | 神戸大学地域連携推進本部
今では地元の漁師も展示物に協力するなど地域一丸となって取り組んでおり、商店街の穴場スポットとして親しまれています。
直島「家プロジェクト」
直島では、離島でありながら空き家バンクの登録数がゼロになった上、地価が上昇したという事例があります。
香川県直島町は、瀬戸内海に浮かぶ直島を中心とした、直島諸島の島々で構成される町です。
大正時代から精錬業が盛んで、特に金の生産数では日本一を誇りまります。
しかし、昭和34年のピーク時には7,842人だった人口も、令和3年には3,041人まで減少。
平成2年から27年までの推移を見ると、15歳未満の年少人口は58.5%の減少、65歳以上の老年人口は40.7%の増加と、少子高齢化が急速に進行し、空き家も増加していきました。
そんな直島で、ベネッセホールディングスと直島福武美術館財団によるアートプロジェクト「ベネッセアートサイト直島」が2004年に始まりました。
「家プロジェクト」もその一環で、直島本村地区の空き家を改修し、空間そのものをアーティストが作品化していくという取り組みです。
漆喰や本瓦を使い、200年前の建築物を復元した作品や、建物に彫刻や絵画のスタイルを取り入れた作品など全7軒が作られ、それらが街の景観や住民の暮らしと一体化し、独特な魅力を生み出しています。
直島の美しい自然環境に加え、家プロジェクトをはじめとしたアートプロジェクトが海外の高級リゾートホテル紙で反響を呼び、近年では平日でも多くの外国人観光客で賑わうようになりました。
引用元:「今はもう物件がない」島の空き家バンクに空き家がない!瀬戸内海の離島の住宅地 “地価上昇”の理由は | TBS NEWS DIG (2ページ)
そしてインバウンド需要により観光・サービス業の雇用が生まれ、移住者の雇用問題が緩和。
直島のほとんどの物件が土地建物合わせて1,000万円以下ということもあり、今では空き家バンクの登録数がゼロになるほどの移住者獲得に成功しました。
下諏訪町「クラフトタウン構想 ホシスメバ」
下諏訪町では、空き家活用人材を募集する公共施設を作るという取り組み事例があります。
長野県諏訪郡下諏訪町は、人口1.8万人ほどの町で、かつては中山道、甲州街道が分岐する宿場として栄えていました。
日本最古の神社のひとつである諏訪大社や、映画「君の名は」の舞台にもなった諏訪湖などの名所もあり、観光地としても人気があります。
そんな下諏訪町が取り組む移住プロジェクトが「クラフトタウン構想 ホシスメバ」です。
ホシスメバは、閉鎖した労災リハビリテーション施設を町で購入し、ワークスペースやシェアキッチン、居住スペースを備えた「しごと創生拠点施設」にリノベーションした施設です。
下諏訪で起業したい人の仮住居として利用してもらう、テレワークによる二拠点生活のうち、下諏訪を拠点とする方へのワークスペースとして利用してもらうなど、移住・定住の不安を解消できるよう柔軟に活用されました。
下諏訪町はホシスメバだけでなく、空き家バンクを兼ねた移住ポータルサイト「くぐると下諏訪」や、移住交流スペース「mee mee center Sumeba」など、移住者向けのサポートに力を入れてきました。
これらの活動のおかげか、様々な移住人気ランキングで上位にランクイン。
空き家をリノベーションして移住する若者が急増するようになりました。
参照元:リノベーションで若者の移住が急増中!ワクワクする街 長野県下諏訪町 | mygratory – 全国ジモト化サービス
空き家を利用したまちづくりは難しい
ここまで空き家を活用したまちづくりの成功事例を紹介してきましたが、どれもが成功している訳ではありません。
むしろ、空き家を利用したまちづくりは難しく、失敗してしまうことの方が多いとも言えます。
例えば、空き家をシェアハウスやコワーキングスペースといった共用施設にリノベーションするというのはよくある活用方法ですが、共有部分の設備やメンテナンスなど管理運営面の負担がかかるほか、利用者同士でトラブルが発生したときには対応の必要も出てきます。
また、前述した成功事例の多くは外部専門家の協力によって成り立っている部分も多いほか、官民の連携体制やボランティアの協力など人員も確保していることがほとんどです。
空き家を活用したまちづくりは、立地やターゲット層に合わせて企画、改修を進め、収益性や集客方法、その後の運営体制まで考慮する必要があり、地方自治体や空き家オーナーの力だけでまちづくりに取り組むのは難しいと言えます。
日本の空き家はどんどん増えている
現在日本では、空き家が増加傾向にあることが問題視されています。
総務省の調査によると、2013年時点で全国の空き家は約820万戸あり、2033年頃には2150万戸まで増加し、全住宅の3分の1が空き家になると予測されています。
参照元:増え続ける空き家~2つの空き家問題~-NPO法人 空家・空地管理センター
さまざまなニュースでも空き家問題が取り上げられていますが、主な原因は人口減少と少子高齢化にあります。
そもそもの人口が減少傾向にあるため既存住宅の住み手がいなくなってしまったり、都心部への人口集中によって地方の住宅を中心に空き家が増加していきました。
空き家の増加は自治体の税収減や地域の空洞化につながるほか、倒壊、火災、不法投棄などの犯罪増、景観悪化などさまざまな問題が懸念されています。
空き家を活用できない場合は売却がおすすめ
ここまでお話してきたように、空き家を活用したまちづくりは成功事例もあるものの、その大半は専門家の協力や自治体の努力の結果できたことで、気軽に取り組むことはおすすめできません。
不要な空き家を持っており、活用することも難しい場合は、売却してしまうことをおすすめします。
利用する予定の無い空き家を所有し続けていても、固定資産税など余計な費用がかかったり、倒壊による管理責任などトラブルに発展する可能性もあります。
放置し続けていては建物の劣化も早まり、価値が下がり続けてしまうので、不要となったらできるだけ早く売却してしまうのがよいでしょう。
空き家を放置した場合のリスクについては、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひお読みください。
空き家バンクではなく不動産業者への相談がおすすめ
空き家を売却する場合、相談先として「空き家バンク」と「不動産業者」が考えられますが、いきなり空き家バンクに行かず、まずは不動産業者に相談してみましょう。
空き家バンクとは、自治体が運営している空き家の売り手と買い手をマッチングさせるシステムです。
無料で物件を掲載できることや、自治体によっては補助金を利用できる場合もあるのが魅力ですが、空き家バンクに掲載しても売れる保証はなく、むしろ購入希望者とトラブルになることすらあります。
空き家バンクを運営している自治体は不動産のプロではなく、知識不足なことが多いため、売買のサポートが十分にできないことが大きな原因です。
空き家を本気で売却したいと考えている方は、まずはプロである不動産業者に相談してみてください。
空き家は「仲介」より「買取」で売却しよう
不動産業者で売却する場合は「仲介」と「買取」の2通りの方法があり、それぞれ以下のような違いがあります。
- 「仲介」とは、仲介業者に買主を探してもらうこと
- 「買取」とは、買取業者に直接買い取ってもらうこと
仲介と買取どちらを利用するかについては、建物状態や立地条件によって相性があります。
立地が良い、築浅など需要の見込める物件であれば、仲介業者へ相談するのがよいでしょう。
築浅、好立地と条件の良い物件の場合、一個人が買い手となる仲介でも、問題なく空き家を売却することができます。
リフォームなど改修費用をかけず、その分価格を抑えて掲載しても、買取よりも高く販売できる可能性もあります。
一方で、築古、立地が悪い、損傷が激しい空き家であれば、買取業者へ相談してみましょう。
築年数が古かったり、長年放置して劣化が進んでいるような空き家は、買い手からの需要がないため仲介業者に依頼してもなかなか売れず、取り扱いを断られてしまうようなこともあります。
そんな買い手が見つかりづらい物件でも、空き家専門の買取業者なら売却のノウハウがあるので、積極的に買い取ってくれるでしょう。
空き家の売却はアルバリンクに相談するのがおすすめ
不要な空き家を売却したいと考えている方には、空き家専門の買取業者であるアルバリンクへ相談するのがおすすめです。
アルバリンクは仲介業者に取り扱いを断られてしまうような需要が無い空き家でも、スピーディーに買取・現金化することができます。
実際に2022年から2023年の間で全国513件の空き家を買い取った実績があり、下記のような「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」も買い取っています。
20年以上放置された空き家の買取事例】【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
不用品が溢れかえり、ゴミ屋敷状態になってしまった空き家は260万円で買い取らせていただきました。
人が住めない状態になっていましたが、弊社で買取させていただいた物件は不用品の撤去や清掃などの事後作業をすべて無料で行っています。
買取査定も無料となっていますので、空き家をできるだけ高く、早く、安心して売却したいという方は、ぜひ一度ご利用ください。
まとめ
今回は空き家を活用したまちづくり事例について解説しました。
空き家増加は日本全国で深刻化しており、このままでは住宅の3分の1が空き家になってしまうという調査結果も出ています。
そんな状況に歯止めをかけるべく、全国で空き家を活用したまちづくりへの取り組みがあり、離島でありながら空き家問題の解決と地価上昇という素晴らしい成功事例もあります。
しかし、空き家によるまちづくりは簡単なことではなく、その土地やターゲットに合わせた企画、運営体制などを整える必要があり、すべてが成功しているとは言えないのが現状です。
お持ちの空き家を活用することが難しいと感じた場合は、専門の買取業者へ相談するのがおすすめです。
多くの空き家は築古だったり、長年放置して劣化していたりと一般的な需要が低く、仲介業者へ依頼してもなかなか買い手が見つからなかったり、そもそも取り扱いを断られてしまうこともあります。
その点買取業者は長年の経験と売却ノウハウがあるので、どんな物件でも問題なく買い取ってくれるでしょう。
なお、この記事を書いている弊社Albalink(アルバリンク)も、空き家の取り扱いを専門としている買取業者です。
老朽化が激しい、立地が悪い、再建築不可など不動産業者に取り扱いを断られてしまったような「訳あり物件」も積極的に買い取っています。
取り組みが話題となり、フジテレビの「newsイット!」にも、訳あり物件を買い取る専門の買取業者として紹介されました。
無料相談・無料査定のみの問い合わせも歓迎しておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。