親名義の土地の相続は兄弟で均等に分割するのが原則
親の遺産を兄弟で相続する際には、兄弟で均等に分配されることが原則です。
ただし、特定の相続人が「扶養の範囲を超えて親の介護に当たっていた」「親から多額の金品を受領していた」といった場合は、単純に遺産を分割したら不公平になるため、遺産の分配時に「寄与分※1」や「特別受益※2」を考慮しなければなりません。
被相続人の財産の維持や増加に貢献した相続人に対して、法定相続分に加えて遺産を相続させる制度。
※2 特別受益とは
遺産相続において特定の相続人が受けた特別な利益のこと(遺贈、結婚資金や養子縁組のための贈与、 生活費の贈与など)。
遺産相続時に上記を実際の遺産と差し引きしてから、各相続人の相続分を決める必要があります。
とはいえ、何が寄与分や特別受益に該当するのか基準がわかりにくく、トラブルも多いため、判断に迷ったら司法書士や弁護士へ相談することをおすすめします。
なお兄弟で不動産を相続する際のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

親名義の土地を兄弟で相続する5つの方法
親名義の土地を兄弟で相続する方法は以下の5つです。
遺産分割協議で分配方法を決める
1つ目の方法は遺産分割協議で話し合い、土地を含めた遺産を分割する方法です。
遺産分割協議とは、法定相続人全員で「誰が・何を・どれだけ」相続するかを話し合って決めることです。
遺言がない、または遺言の内容が不服の場合には、遺産分割協議を行い合意内容にもとづいて遺産を分割しなければなりません。
親の死後、親の土地は相続人すべての共有財産となっているので、遺産分割協議で土地を相続する人を決め、以下のいずれかの方法で土地の所有権の登記を行う(名義を変更する)必要があります。
- 法定相続分の割合に応じてそれぞれが登記し共有財産とする
- 土地を相続する者を1人決めてその者が登記する
なお遺産分割協議で土地の分割方法を決められず、共有名義のまま登記するケースも見られますが、次項の理由によりおすすめはできません。
共有名義は将来トラブルになりやすいので避けるべき
相続した土地を共有名義にすると、様々なトラブルの原因となるので避けるべきです。
例えば、処分やリフォームなどの際に制約を受けることが挙げられます。
共有する土地の売却や増改築には共有者全員の同意が必要となり、賃貸活用には共有持分の過半数にあたる同意が必要となるなど、単独の意思では行えない行為が多いのです。
さらに、将来共有者の誰かが亡くなると共有持分が相続され、権利関係がますます複雑になるなど、不動産の共有にはデメリットしかありません。
相続での不動産の共有を避けるべき理由については、以下の記事で詳しく解説しています。

相続放棄する
相続の2つ目の選択肢は、兄弟の誰かが「相続放棄」することです。
相続放棄とは、故人のプラス・マイナス両方の財産すべてを相続しない選択をすることを指し、親が負債などマイナスの財産を残している場合に多く用いられます。
また、親の財産がプラスの場合でも、特定の兄弟に資産を寄せる目的で、他の兄弟が相続放棄するケースがあります。
ただし相続放棄できる期限が「相続発生から3カ月以内」とタイトなため、親の死後、早めに話し合いを進めなければなりません。
代償分割できないか検討する
相続のもう1つの選択肢は、相続人の1人が土地を単独相続し、他の兄弟に現金などで代償する方法(代償分割)です。
代償分割は比較的公平な遺産分割方法であり、他の遺産が少なく、かつ不動産を手放したくない場合に多く使われます。
ただし土地を相続した側に代償できるだけの資産が必要です。
土地を売却して換価分割する
土地以外の遺産が少ない場合には、土地を売却して代金を兄弟で分割する「換価分割」を行うことも1つの方法です。
不動産を現金化することで、1円単位の公平な遺産分割が可能となるため、遺産分割トラブルを回避できます。
換価分割は誰も不動産を利活用する予定がない場合におすすめの方法です。
ただし、土地の立地や地目(用途)によっては物件価値が低く、売却が難しい場合もあります。
ちなみに当サイトを運営する弊社AlbaLink(アルバリンク)なら、立地の悪い土地でも適正な価格で買取が可能です。
無料査定のみでも歓迎していますので、相続した土地の価格を知りたい方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
土地を分筆して現物分割する
相続した土地を物理的に分割する「分筆」を行い、兄弟で分けることも1つの選択肢です。
相続で共有状態になっている土地を、兄弟で物理的に分けてそれぞれ登記を行えば、各土地が兄弟の単独名義となるので、共有名義よりも自由な利活用が可能です。
ただし、土地の面積や形状上、分筆が困難なケースもあるので、次項で解説する注意点をチェックしてください。
なお、土地を分割して売却する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

親名義の土地を兄弟で相続・分割する4つの注意点
相続した土地を売却して換価分割、または分筆すれば公平に相続できますが、その際以下の点に注意が必要です。
売却・分筆時に境界の確定が必要になる
土地の分筆や売却をする場合、事前に「境界確定」が必要です。
境界確定とは、土地と土地、または土地と公共用地の境界を明確にする手続きのことで、以下の流れで行います。
- 土地家屋調査士へ依頼する
- 法務局や役所で書類を収集・調査する
- 現地の測量を実施する
- 収集資料と測量結果を確認・照合する
- 仮の境界点を復元する
- 隣接地居住者などによる境界立会を行う
- 境界票の設置・境界確認書を取り交わす
- 登記情報と測量結果が異なる場合は登記を行う
境界確定の費用は40万円~50万円程度、所要時間は1カ月歯半~3カ月以上かかることが一般的です。
ただし、隣接する土地の所有者や境界線の数、立ち会う隣人との関係性によってもかかる費用や時間が異なります。
売却益が出ると譲渡所得税が生じる場合がある
土地の売却によって「譲渡所得税」が生じる場合があるため、納税負担について兄弟で話し合っておくことも大切です。
譲渡所得税とは、土地を売却(譲渡)した場合に、譲渡で出た利益に対しかかる税金のことです。
譲渡所得
=譲渡価額(土地の売却価格)-取得費※(土地の購入経費)-譲渡費用(売却時の費用)
※取得費不明の場合は譲渡価額の5%として計算
譲渡所得税
=譲渡所得×税率
【所有年数に応じた税率】
譲渡所得の区分 | 所有期間 | 税率(住民税・復興特別所得税込み) |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
土地を相続・登記した名義人に譲渡所得税の納税義務があるので、確定した譲渡所得税を兄弟間でどう清算するかを決めておくと、トラブルを避けられるでしょう。
相続にともなう土地売却時には、特例を使って節税できる場合があるので、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

分筆する場合は接道義務を満たす必要がある
土地を分筆する場合、すべての土地が「接道」するよう留意しなければなりません。
兄弟で土地を分けた結果、道路に接していない土地ができると、法律上そこには建物を建てられない(再建築不可)ためです。
建物を建てられない土地は利用価値があまりなく、価格も通常の宅地の5~7割程度にまで下がってしまうので、分筆して問題のない土地なのか、事前に土地家屋調査士に相談することをおすすめします。
以下の記事で土地が分筆できない場合の対処法を解説しているので、参考にしてください。

分筆後の価値を均等にするのは難しい
土地を問題なく分筆できる場合でも、価値が均等になるよう分割することは大変困難です。
土地の価値は先述した接道や土地形状、使い勝手、日照などさまざまな要素により決まるため、面積だけを均等に分筆しても、兄弟間で不公平が生じトラブルにつながります。
もし、相続した土地が狭い場合や公平な分筆が困難な場合は、売却して換価分割するほうが公平に遺産を分配できるでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、立地や形状にかかわらず、さまざまな条件の土地を買い取ってきた実績があります。
相続した土地を兄弟で公平に分けたい方は、ぜひ弊社の無料査定で土地の価格をご確認ください。
親名義の土地を兄弟で相続する流れ
親名義の土地を兄弟で相続する流れは以下のとおりです。
- 遺言書の有無と内容を確認する
- 相続人が誰か・何人かを確認する
- 相続財産(負債を含む)を把握する
- 不動産の評価を行う
- 遺産分割協議で土地を相続する人を決める
- 土地を相続する人が相続登記を行う
遺言書があった場合は、遺言書の内容どおりに遺産を分割します。
遺言書がなければ法定相続人を確認するために、故人の生まれてから他界するまでの戸籍謄本一式と、法定相続人全員の戸籍謄本を収集し、相続候補者を確定しなければなりません。
なお、戸籍収集や相続登記は手続きが大変難しいため、司法書士へ依頼することが一般的です(報酬額5万円~15万円程度)。
不動産を相続登記する手順については、以下の記事も参考にしてください。

親名義の土地の相続時に兄弟でもめる原因と対策
弊社で実施した「相続に関する不安ランキング」のアンケートにおいて、トップは「家族・親族と揉めないか」でした。
実に34%もの人が、相続で親族間のもめごとを心配していることがわかります。
最後に、親名義の土地の相続時に兄弟でもめる主な原因と対策を紹介します。
- 「遺言書がない」「遺言書の内容が不公平で協議がまとまらない」⇒弁護士に相談
- 「不動産が遺産の多くを占め公平に分割できない」⇒換価分割がもっとも公平
- 「寄与分・特別受益を持ち出されてもめる」⇒早めに司法書士へ、もめたら弁護士へ相談
- 「不動産の評価額や売却金額で意見が合わない」⇒評価基準と下限を決めておく
遺言に関するトラブルは感情論になりやすいので、弁護士の法的・第三者的立場からアドバイスをもらうのがベストです。
なお、土地を売却する際に、評価額や売却価格で相続人間の意見が割れることもあるでしょう。
不動産の評価方法は路線価評価、固定資産税評価など様々ですが、一般的に多く採用される「時価評価(実勢価格)」と決めておくと兄弟間でもめずに済みます。
売却価格についても最低額だけ決めておき、超えていたら売却OKと合意形成しておくとスムーズです。
兄弟で不動産を相続する際のトラブル回避策については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

まとめ
親名義の土地を相続し兄弟で分割する方法には、代償分割や換価分割、分筆、相続放棄がありますが、土地を公平に分筆することは難しいため、あまり現実的ではありません。
兄弟の事情によっては、相続放棄で誰かに財産を寄せることも有効でしょう。
もし土地を利活用する予定がなく、誰かに財産を寄せる必要もないのであれば、土地を売却して公平に分割できる「換価分割」がおすすめです。
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