農地売却における農協の役割とメリット・デメリット
農家の組合員によって組織されている農協は全国の農家を支援する協同組合であり、農地の売却もサポートしています。
農協が農地の売却をサポートしているのは、農地が日本の農業を支える大切な資産だからです。
たとえば、農地の買主が農業ではなく、スーパーマーケットの建設など他の用途での活用を目的としていたら、地域における農業生産力が低下してしまいかねません。
そればかりか、周辺の農地に悪影響を及ぼす恐れもあります。
そこで農協は地域の農業を維持すべく、適正な買主に農地を引き渡せるようにサポートをしているのです。
ただし、農協への相談にはメリットだけでなく、デメリットも潜んでいる点に注意が必要です。
まずは、農地の売却を農協に相談するメリットとデメリットを見ていきましょう。
農協に相談する4つのメリット
農地の売却を農協に相談するメリットは、以下の4点です。
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
適正な売却価格を査定してくれる
農協に農地の売却を相談すると、適正な売却価格を査定してもらえる点がメリットです。
農地価格を左右する要素は土壌の質や地形、交通アクセスの良さなど多岐にわたりますが、農地の取り扱い実績のない一般的な不動産会社では、適正価格を査定することは難しいといわざるを得ません。
しかし農協には、多くの農地を取り扱ってきた実績と、地域における農業情報などの豊富なデータがあるため、適正な農地価格を査定することができるのです。
そのため、農地の売却にあたって農協に相談すると、適正価格で取引を行えるようになります。
買主を探してくれる
農地の買主を探してくれる点も、農協に相談するメリットです。
地域の農業事情に精通している農協に相談すると、農地を拡張したいと考えている農家、これから農業を始めたいと考えている新規就農者などを紹介してくれます。
購入希望者との交渉も代行してくれるため、安心して取引を行うことが可能です。
なお、農協を通じて農地を売却する具体的な流れは、「農協を通じて農地を売却する手続きの流れ」の章で解説しています。
トラブルが起こらないようにサポートしてくれる
農協ではたんに買主を紹介するだけでなく、買主との間にトラブルが起こらないよう、法律面からもサポートしてくれます。
農地の売却にあたって必要となる行政手続きも支援してくれるので、スムーズに取引を行えるようになる点もメリットです。
農地売却後の再就職先探しを支援してくれる
農協のサポートは、農地の売却手続きにとどまりません。
農地の売却後に売主が生活に困らないよう、再就職先探しも支援してくれます。
そのため、農地売却後の生活設計に不安を抱えている方にとっても、農協は最適な相談窓口といえます。
農協に相談するデメリットは有料であること
農地の売却を農協に相談するメリットは数多くありますが、サポートは有料である点に注意が必要です。
具体的には、農地の売却価格から一定の手数料を差し引かれる形となります。
一般的な仲介手数料の目安は、以下のとおりです。
売買価格 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格×5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 売買価格×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
参照元:国土交通省|<消費者の皆様向け」不動産取引に関するお知らせ
ただしこれはあくまでも「宅地取引」に適用される金額であり、農地の場合は手数料に関する規定がないため、自由に設定可能です。
したがって農協を通じて農地を売却するときには、手数料がいくらかかるのかを事前に確認しておきましょう。
なお、農地の売却に際して手数料を負担したくない方には、専門の買取業者への売却がおすすめです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の農地を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
これまで数多くの農地を買い取ってきた実績があるため、スムーズに、かつできる限り高く買い取らせていただくことが可能です。
買取に際して、手数料をいただくこともありません。
査定は無料で受けつけておりますので、農地がいくらで売れるのかが知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
なお、農地を専門の買取業者に売却するメリットは、以下の記事で詳しく解説しています。

農協を通じて農地を売却する手続きの流れ
農協を通じて農地を売却する流れは、以下のとおりです。
- 農協に相談して買主を探してもらう
- 買主と売買契約を締結
- 農業委員会に農地売却に関する申請書類を提出
- 農業委員会から農地売却の許可を取得
- 農地を買主に引き渡す
農協を通じて農地を売却するときにも、農業委員会の許可申請が必要になることには変わりありません(後述の「農地を売却するには農業委員会の許可を得る必要がある」の見出しで解説)。
ただし、農協が申請手続きもサポートしてくれるため、売主の手間や負担は軽減できます。
また初めて農地を売却する方でも、安心して手続きを進められます。
なお、以下の記事でも農地の売却手続きの流れを詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

農地の売却が難しいといわれる3つの理由
農地の売却は、一般的な住宅と比較すると難しいといわれています。
その主な理由は、以下の3つです。
農地の売却がなぜ難しいといわれているのか、理由を見ていきましょう。
買い手が農家に限定される
農地の売却が難しいといわれる理由のひとつとして、買い手が農家に限定されていることが挙げられます。
農地が簡単に売却されてしまうと、日本の農業生産力が低下し、食料を安定して供給できなくなってしまいます。
そのため、農地法によって農地の売買には制限が設けられているのです。
農地売買の自由化により売却しやすくなる可能性はある
令和5年(2023)に改正農地法が施行され、「耕作する農地の合計面積が50アール(5,000㎡・北海道は2ヘクタール)以上でなければ農地を取得できない」という取り決めが撤廃されています。
これにより、営んでいる農業の規模が小さい方でも、農地を購入しやすくなりました。
また、農地を効率的かつ適切に利用すれば、個人の方でも原則自由に農地を購入できるようになったところも大きな変更点のひとつです。
参照元:農林水産省|改正農地法の概要
そのため、売却が難しいといわれる農地でも、処分できる可能性は十分にあるといえます。
なお、農地売買の自由化については、以下の記事で詳しく解説しています。

農地を売却するには農業委員会の許可を得る必要がある
売却に際して農業委員会の許可が必要となる点も、農地の処分が難しい理由です。
農業委員会は農地に関する事務を司る行政委員会であり、基本的に各自治体にひとつ設定されています。
農地の売却に際しても、必ず農業委員会に申請しなければなりません。
しかし以下のようなケースに該当する場合は、申請しても許可が下りない可能性がある点に注意が必要です。
- 買主が継続して農業に従事する意思がない
- 農地が農用地区域・集団的農地内にある
- 過去に農地法違反に問われた
生産性が高く、農地以外の利用が制限されているエリア。

おおむね10ヘクタール以上の希望の集団的に存在する農地の区域内にある農地。
農地以外の用途に転用するのも難しい
農地を住宅の建設ができる宅地に転用すれば、一般の土地と同様に売却が可能です。
しかし農地を宅地に転用にするには、やはり農業委員会の許可を得なければなりません。
農地は食料を生産するための重要な土地と見なされているため、宅地への転用を申請しても、そう簡単に許可が下りないのが実情です。
農地の売却価格の相場
農地を売却したいと考えているのなら、相場を把握しておくことも大切です。
おおよその相場が分かれば、農地を適正価格で売却できるようになるからです。
全国農業会議所の「令和5年田畑売買価格等に関する調査結果」で全国の農地平均価格を見ると、中田(標準的な田んぼ)1反は106万3,000円、中畑(標準的な畑)1反は79万2,000円です。
中田・中畑ともに29年連続で価格が下落しており、今後も減少していくことが予想されます。
なお、農地の全国平均価格については以下の記事でも詳しく解説しています。

農地を売却するときにかかる税金と利用できる控除
農地を売却して譲渡所得(利益)が発生したときには、譲渡所得税と呼ばれる税金を納める必要があります。
譲渡所得税は所得税・住民税・復興特別所得税の総称であり、以下の計算式で算出可能です。
もし農地の購入にかかった費用が不明のときには、農地売却価格の5%を計上できます。
また、税率は以下のように農地の所有期間に応じて異なり、ケースによっては約40%もの税金がかかることがあるため、注意が必要です。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% | 39.63% |
5年超(長期譲渡所得) | 15.315% | 5% | 20.315% |
※令和19年(2037)年まで復興特別所得税(所得税×2.1%)が加算
参照元:国税庁|No.3211 短期譲渡所得の税額の計算・No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
ただし、一定の要件を満たすと、以下の特別控除を差し引くことが可能です。
特別控除の名称 | 控除額 |
---|---|
農地保有の合理化のため農地を売却した場合の特例 | 800万円 |
特定住宅地造成事業などのために農地を売った場合の特例 | 1,500万円 |
農地中間管理機構に譲渡した場合の特例 | 2,000万円 |
参照元:農林水産省|農地の譲渡に係る特例措置について知りたい
たとえば、農地中間管理事業の推進に関する法律に基づき、農業委員会などのあっせんによって農用地区域内の農地を売却したときには、譲渡所得から800万円を控除できます。
特別控除をうまく活用すれば譲渡所得税を軽減できるため、自分が利用できる特例がないかどうかを事前に確認しておきましょう。
まとめ
農地の売却を農協に相談すると、買主を探してくれるだけでなく、農業委員会への申請手続きもサポートしてくれるため、よりスムーズに取引できるようになります。
ただし、農協を通じて農地を売却すると、一定の手数料を支払わなければなりません。
そのため、「農地をできる限り早く売却したいけど、手数料を負担したくない」とお考えなら、農地専門の買取業者に相談するのも選択肢のひとつです。
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