崖地とは主に30°以上の傾斜がある土地のこと
崖地とは一定の高低差のある傾斜地を指し、法律上は「地表面が水平面に対し三十度を超える角度を成す土地で硬岩盤以外のもの」のことです。
参照元:e-Gov法令検索「宅地造成等規制法施行令第1条2項」
崖地には建物の安全性や防火性、防災上の理由によりさまざまな法的規制があり、さらに自治体ごとの条例による制限も加わります。
主な規制には、がけ崩れを防止する擁壁の設置義務や構造規定などがあり、擁壁が必要な崖の基準も自治体ごとに定められています。
崖地が売れない6つの理由
崖地は高台で日当たりや眺望、風通しが良い場合が多いにもかかわらず、売れないのは以下のデメリットがあるからです。
ただし、デメリットの多い崖地でも専門の買取業者ならスピーディーに買い取ってくれます。
訳あり物件専門の買取業者である弊社AlbaLink(アルバリンク)は、崖地でも問題なく買取可能ですので、お気軽にご相談ください。
利用法が限られる
崖地が売れない1つ目の理由は、その形状により土地の利用法が限られることです。
崖地は一般に不整形地であり、地盤も一定ではありません。
また、条例の規制により擁壁※や崖からギリギリには建物を建てられないため、使用できる面積が少なくなってしまいます。
※擁壁とは
高低差のある土地で、斜面が崩れないように、土圧に抵抗して斜面を支える壁状の構造物のこと。
崖や盛土の側面が崩れるのを防ぐために設置される。
参照元:国土交通省「宅地擁壁について」
そのため、マイホームを建てたい人の選択肢からは外されやすいのです。
以下の記事では、不整形地の売却法について解説しているので参考にしてください。

安全性に問題がある
2つ目は崖地の安全性の問題です。
傾斜が大きいほど地盤が傾く可能性が高く、土砂崩れや地すべりなどの自然災害のリスクが高まります。
特に災害で擁壁が崩壊した場合、責任の所在を巡って隣地住人とトラブルになる可能性もあります。
さらに崖地に家を建てると建物の傾斜や損傷を招きやすくなり、傾いた家に住み続ければ自律神経異常などの健康被害も誘発しかねません。
傾いた家に住む弊害は、以下の記事で解説しています。

宅地造成が難しい
宅地造成が困難なことも、崖地が売れにくい理由の1つです。
一般的な宅地と異なり、崖地を造成するには以下の工程が余分にかかります。
- 土地家屋調査士による「高低測量図」の作成
- 擁壁の設計(既存の擁壁の安全性確認)
- 構造計算
- 擁壁工事
後述する法の規制に従うために、崖地には特殊な造成が必要となることが一般的です。
工数が多いほど工期が長びきコストも上がるため、家を建てたい人からは避けられてしまいます。
造成工事費用の目安は以下の記事で紹介しているので、参考にしてください。

建築費用が高額になる
崖地は建築費用も高額になりやすいです。
崖地の複雑な地形の上に建物を建築するため、建物の設計が複雑になりがちです。
さらに傾斜地には重機が入りづらく、人力での建築や資材の搬入が増えるため、人件費が嵩む傾向があります。
造成費用と建築費が高い崖地は、買主にとってコストパフォーマンスが悪すぎると言わざるを得ません。
生活やアクセスが不便
生活やアクセスが不便なことも、崖地が売れにくい大きな要因です。
崖地の家は急な坂道や階段を使わないと出入りできず、特に高齢者や障害のある人にとっては、日々の生活に支障が出るケースも少なくありません。
また、崖の上の家には車でアクセスできないケースも多く、車を使う買主にとっては候補から外れてしまう可能性が高いです。
法律や条例による建築制限が多い
崖地には以下の法律や条例による建築制限が多いことも、購入のハードルを上げる要因です。
また、法改正がたびたび行われるため、当初は適法でも後から制限が加わるケースも少なくありません。
もし建築規制がネックで崖地が売れない場合は、専門の買取業者に相談することも1つの手です。
専門の買取業者である弊社AlbaLink(アルバリンク)は、法律の専門家と連携しているので、崖地の規制を適切にクリアしたうえで、買取が可能です。
一度お気軽にご相談ください。
盛土規制法
盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法・旧宅地造成等規制法)は、宅地造成によるがけ崩れや土砂災害を防止するために規制を設ける法律で、旧法の規制対象をエリア・行為ともに拡大した改正法です。
2023年施行の現法では、宅地造成だけでなく、切土や盛土で高低差が一定以上となる場合にも、事前に市長の許可が必要と定められています。
さらに安全基準や所有者の責任、違反時の罰則が厳格化され、対象エリアも「宅地造成工事規制区域※1」「特定盛土等規制区域※2」に拡大されました。
※1 宅地造成工事規制区域とは
盛土等が市街地や集落に被害を及ぼし得るエリア
※2 特定盛土等規制区域とは
市街地から離れていても盛土の崩壊・流出によって民家や集落へ被害を及ぼしかねないエリア
引用元:国土交通省「宅地造成及び特定盛土等規制法」
土砂災害防止法
土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)とは、土砂災害のおそれのある区域で、危険周知や警戒避難体制の整備、新規立地の抑制、既存住宅の移転促進などを推進する法律です。
土砂災害のおそれのある地域は「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」に指定され、イエローゾーンでは住民の安全確保を目的に、災害予測箇所や避難場所、避難経路が地図で表示されます(ハザードマップ)。
イエローゾーンの中でも特に建物や住民への危害が重大と予想される「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」では、以下の厳しい規制を受けます。
- 宅地分譲の許可制
- 建築物の構造規制
- 移転勧告
- 移転支援(融資制度)など
急傾斜地法
急傾斜地法(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律)とは、崖崩れ災害から人命を守り、崖崩れ防止に必要な措置を講じるための法律です。
以下の基準で「急傾斜地崩壊危険区域」に指定された崩壊危険箇所では、一定の行為を行う際に都道府県知事の許可が必要となります。
- 高さ5m以上、傾斜度が30度以上の崩壊するおそれのある急傾斜地
- 5戸以上の人家
- 5戸未満であっても公共施設などに危害が生じるおそれのある土地
参照元:e-Gov 法令検索「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」
許可が必要な行為は以下のとおりです。
- 水の放流
- 切土・盛土・法切
- 樹木の伐採
- 土砂の採取・集積など
参照元:e-Gov 法令検索「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第7条1項」
森林法
森林法とは、森林の保全と生産力の増進を目的に、森林の管理・利用に関するさまざまな規制を定めた法律です。
都道府県知事の「地域森林計画」の対象となる森林を取得する場合には、知事に届け出が必要です。
また「保安林」に指定された土地は、以下の行為に厳しい制限があるため、利活用が困難です。
- 立木の伐採制限
- 土地形質の変更制限
- 伐採後の植栽義務
※保安林とは
国土の保全や洪水の防止、水資源のかん養など特に重要な機能を持つ森林として、農林水産大臣または都道府県知事に指定された森林のこと。
参照元:関東森林管理局「保安林」
自治体のがけ条例
崖地に建物を建築する場合の規制は、自治体の条例にも定められています。
以下は茨城県水戸市のがけ条例です。
第5条 高さが2メートルを超える崖(中略)の上に建築物を建築する場合において,当該崖の下端から(崖の下に建築物を建築する場合にあっては,当該崖の上端から)の水平距離が当該崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し,又は建築物の敷地を造成するときは,当該崖の形状若しくは土質又は建築物の位置,規模若しくは構造に応じて,安全な擁壁を設けなければならない。(後略)
がけ条例により、崖地に建物を建てる際には、一定の高さの安全な擁壁を設置するか、崖から一定の距離を離さなければなりません。
建築制限の基準は自治体により異なるため、事前に確認が必要です。
【擁壁がある場合】建築基準法
崖地に擁壁がある場合は、擁壁に対し建築基準法の規制が適用されます。
擁壁に関する建築基準法の主な規定は以下のとおりです。
- 高さ2mを超える擁壁は、工事着工前に自治体で建築確認申請を行い、「確認済証」の交付を受ける必要がある
- 鉄筋コンクリート造、石造など、腐食しない材料を用いた構造である
- 石造の擁壁は、コンクリートで裏込めされ、石と石とが十分に結合されている
- 擁壁の裏面の排水を良くするために水抜き穴を空け、周辺に砂利などが詰められている
法改正のあった2011年以前に設置された擁壁は、現行法の規定を満たしていない可能性があるため、市区町村の建築指導課や開発指導課などで確認が必要です。
崖地の売却価格の相場
崖地の土地価格は一般的な宅地の価格相場よりも低く、がけ地の割合が大きい場合は、「整形地の50%以下」になるケースも珍しくありません。
崖地の土地価格は以下の計算式で算出します。
※崖地補正率とは
宅地のうち崖地等となっている部分の割合に応じて定められる補正率で、国税庁の財産評価基準書に記載されている。
まず、路線価や公示価格などから崖地と同じエリアの整形地としての基準価格を把握し、次に崖地のマイナス要因を1つ1つ考慮した補正率を乗じます。
ただし最終的な価格は、擁壁の設置費用や、建築制限による利用価値の低下なども考慮して減額されることが一般的です。
このように、崖地の値段を正確に出すことは困難なため、もし正確な金額が知りたい場合は、崖地に強い不動産業者に依頼するのが確実です。
当サイトを運営する弊社AlbaLink(アルバリンク)は、土地家屋調査士などの専門家と連携しているので、崖地を適切に査定できます。
崖地の査定は無料で実施しているので、お気軽にご相談ください。
売れない崖地を売却できる2つの解決策
ここまで解説してきたように、崖地は整形地と比べると大変売れにくい不動産ですが、以下の方法を使えば売却は可能なため、諦めるのは早計です。
詳しくは後述しますが、もっとも現実的で売主の負担が少ない方法は「買取業者に直接売却」することです。
売れない土地は「買取」での売却がおすすめな理由は、以下の記事でも解説しているので、参考にしてください。

崖と擁壁の状況を明確に告知する
不動産仲介業者を通じて一般個人の方に崖地を売却する場合は、崖と擁壁の状況を明確に告知することが不可欠です。
擁壁がある場合は、検査済証の有無と、劣化状況について的確に伝える必要があります。
売却後に不具合が発見された場合に「契約不適合責任※」を問われる可能性があるためです。
※契約不適合責任とは
売主が買主に引き渡した目的物が、種類、品質、数量に関して契約内容に適合しない場合に、売主が負う責任のこと。
参照元:国土交通省「住宅業界に関連する民法改正の主要ポイント」
崖の状況説明を怠ると、買主から修補、代替物の引渡し、損害賠償などを請求されたり、契約解除されたりしかねません。
そのため、不動産仲介業者を通じて事実をありのまま伝えることが大切です。
契約不適合責任の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。

擁壁のインスペクションを実施する
契約不適合責任を問われないために、擁壁のインスペクション※を実施するのも手です。
※インスペクションとは
中古住宅など既存の建築物について、劣化状況や不具合の有無などを専門家が調査・検査すること。
擁壁の劣化状況に対する専門家の診断書は、売却時の擁壁の品質証明になります。
中古住宅のインスペクションにオプションで擁壁の診断を追加できる場合もあるので、相談してみましょう。
ただし、簡易的な調査で数万~10万円程度、強度や耐久性などの詳細調査を依頼すると追加で数十万円の費用がかかるため注意が必要です。
もし買主から契約不適合責任を追及されたくないという理由でインスペクションの実施を検討しているのなら、まずはそのままの状態で専門の買取業者に相談することをおすすめします。
専門の買取業者は物件に潜む欠陥や不具合を見抜き、リフォームなどで改善したうえで再販し、収益を上げます。
そのため、売主の契約不適合責任を免除して買い取ることが可能なのです。
専門の買取業者である弊社AlbaLink(アルバリンク)も、あなたの契約不適合責任を免除したうえで崖地を買い取らせていただきます。
崖地を売却するにあたって余計なトラブルに巻き込まれたくない、無駄な費用を負担したくないとお考えの方は、お気軽にご相談ください。
崖地に強い買取業者に直接売却する
崖地は専門の買取業者に直接売却が可能です。
不動産買取とは、業者が不動産を直接買い取る不動産売買形態です。
専門の買取業者は、買い取った物件をマイホーム用の土地を探している人だけでなく、投資家や事業用などの幅広い販路で再販するため、一般的な買主には不人気な崖地でも問題なく買い取れるのです。
さらに専門の買取業者は物件の不具合も把握したうえで買い取るため、売主が契約不適合責任を問われる心配もありません。
専門の買取業者である弊社AlbaLink(アルバリンク)は、弁護士や土地家屋調査士など各方面の専門家と連携しているため、評価の難しい崖地でも法令に従って適正に評価でき、買取が可能です。
また、擁壁などの検査・調査は弊社が買い取った後に実施するので、あなたが費用を負担する必要はありません。
崖地の売却手続きにお困りの方は、ぜひ弊社へご相談ください。
まとめ
崖地はさまざまな法律や条例による建築規制が絡むことと、造成費・建築費が高額になること、不整形地で利用価値が低いことから、売却が大変困難です。
崖地の適正な評価は不動産業者でも難しい場合があり、売却を断られてしまうこともあるでしょう。
その際には、専門の買取業者へ現状のまま買い取ってもらうことがおすすめです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)では、買い手のつかない崖地を適正価格で多数買い取ってきた豊富な実績があります。
売却を前提とした物件の調査・検査も弊社で実施可能ですので、崖地を今すぐ手放したい方は、ぜひ弊社へご相談ください。