不整形地の定義とは
不整形地とはどんな土地を指すのでしょうか。まずは整形地と不整形地の定義とそれぞれの特徴についてご紹介していきます。
整形地とは
整形地とは土地の形状が正方形や長方形など、建物を建築しやすい形状の土地を指します。住宅などの建物は四角を基本に設計・建築されることが多いことから利用がしやすく、価値が高い土地です。
不整形地とは
不整形地は正方形や長方形ではない形の土地や、後にご紹介する活用が難しい形状の土地を指します。不整形地はデメリットも多い反面、土地の価格が安く、税務上の評価が低いので税金が安く抑えることが可能です。
不整形地の種類
不整形地の主な種類は「旗竿地」「がけ地」「傾斜地」「三角地」の4種類です。
「旗竿地」は道路に接道している部分が細く、奥に土地が広がっていることから竿に掛けられた旗のような形状である土地であることから旗竿地と呼ばれています。
旗竿地の特徴は、接道部分を駐車スペースとして活用することが多い点と接道部分が少ないことから道路からの騒音が小さいことがある反面、見通しの良さや日当たり・風通しなどが確保しにくいという点も挙げられます。
「崖地」とは土地の中に傾斜30度以上の傾斜地がある土地のことで、傾斜地の上に位置する場合も、下に位置する場合も崖地と呼ばれます。
崖地は土砂崩れや地滑り等の自然災害のリスクがあることから建物建設の規制範囲に該当する場合が多く、建物の建築や土地の活用には注意が必要です。
「傾斜地」とは土地の中で高低差があり、何らかの対策を行わないと建物の建築が難しい土地を指しています。崖地よりも傾斜が緩いものの坂や山手にあるため、傾斜地に家を建てる場合は宅地造成を行なって高低差を埋める必要があります。しかし、相場よりも金額が安く、見晴らしや日当たり、風通しが良い場合などメリットもあることから宅地として選ばれることも多くあります。
「三角地」は文字通り三角形をした土地です。土地の面積が小さい場合、四角形の小さな家を建てるか、三角形の建物を建てて建ぺい率いっぱいの土地を建てるかのいずれかの方法で建物を建てる必要があります。
土地の購入費用は安いものの、自由設計の住宅を建築する場合は割高になることが多いので、立地や土地の面積によって活用の方法を検討する必要があります。
不整形地の評価方法とは
不整形地は整形地に比べて税金が安くなりますが、どのような評価が行われているのでしょうか。
この章では不整形地の評価方法についてご紹介していきます。
「不整形地の評価方法より、売却方法を早く知りたい!」という方は、後述の「不整形地を高く売却する3つの方法」をご覧ください。
土地の評価を決める4つの基準
土地の評価方法は大きく4つの基準に分かれています。
1つ目が「実勢価格」で、実際の不動産市場で売買されている価格のことで、市場価格や取引価格とも言われます。これは市場の影響を受けるものの課税の場面で使用されることはありません。
2つ目が「地価公示価格」です。これは地価公示法に基づいて国土交通省が選定した「標準地」の価格を毎年1月1日時点で公示することで周辺の土地の基準をつくる方法です。国が定める価格なので「標準価格」とも呼ばれています。
3つ目が「路線価」です。これは国税庁によって毎年7月に公表される指標で、ある地域の道路に面した標準的な宅地1㎡あたりの土地評価額です。贈与税や相続税の課税額を決定するための指標です。基本的には地価公示価格の約80%の金額で評価されるといわれています。
4つ目が「固定資産税評価額」です。市町村などの自治体が固定資産税を算定する際の基準とする価格で、基本的には公示価格の約70%の金額で評価されるといわれています。
補正率とは
補正率は相続税や固定資産税・都市計画税など土地に関する税金の評価をする上で、整形地と不整地の土地価格の差を算出する目的で使用されます。
「路線価」「標準宅地」の金額を「修正率表」や「補正率表」によって差し引き、固有の土地を評価するのに用いて補正率を算出します。不整形地の補正はいくつかある補正率の中で最も減額割合が高くなるため、不整形地を所有している場合には意識に留めておくと良いでしょう。
例えば、補正率を用いて宅地の評価額を算出する場合には、該当する宅地の「路線価の確認」と「修正率の確認」を行い、「画地補正率」と路線区分の「補正率」を求めます。その上で「修正率適用前単価」を求め、年度ごとに定められる「当該年度修正率」を乗じて計算した年の単価を算出。最後に単価に土地の面積を乗じて評価額を算出します。
不整形地補正率のポイント
不整地補正率を算出する場合には「地積区分表」を用います。地積区分表は地区区分によって「普通住宅」「普通商業・併用住宅」など5区分に分かれています。また面積によって「A・B・C」の3区分に分かれ、所有する物件がどこに該当するかを照合します。
その後「不整形地補正率表」を用いて「かげ地割合」と付き合わせて補正率を算出します。「かげ地」とは該当する土地を整形地(正方形や長方形)で囲った場合にはみ出る部分をいいます。
このかげ地の割合が整形地の中で何%あるかによって補正率が変動します。
補正率の算定方法はご紹介した通りですが、実際に計算する場合には税理士等の専門家に相談しましょう。
不整形地を活用する3つのデメリット
不整形地はご紹介した通り、様々な形状の土地があります。この章では活用にあたってどんなデメリットがあるかをご紹介していきます。
敷地を有効に設計する事が難しい
不整形地は整形地と比べて制約が多いため、有効な設計が難しいことが1点目のデメリットです。場合によっては建築作業に必要な重機が進入できない場合もなく、建築そのものに支障をきたす場合があります。相続で引き継ぐ場合はともかく、購入する場合には工務店等に建築の可能性を相談してから手に入れるようにしましょう。
法律上の制限が多い
不整形地は整形地に比べて法律上の制限が多いことも問題点として挙げられます。特に崖地や旗竿地は法律上の制限が多く、活用が難しくなる場合があります。
崖地は土砂災害が発生する危険があることから、開発には制限が設けられていますが法律上の根拠はありません。ただし、都市計画法によって開発行為を行う場合には都道府県知事等の許可を受ける必要あります。各都道府県では独自に崖地の利用を制限する条例を制定しているため、崖地の利用には多くの制約が発生します。
評価が低く融資を受けにくい
不整形地は相続時の補正によって整形地に比べて減額されますが、一方で融資や売却の場合には評価の低さがデメリットとなります。金融機関は、土地の評価額が低いことから抵当権を設定する場合も低い評価額に準じて融資額を決定します。このように融資が受けにくくなることもデメリットの一つです。
不整形地を高く売却する3つの方法
不整形地を高く売却するにはどんな方法があるでしょうか。
この章では、不整形地を高く売却する方法についてご紹介していきます。
なお、売りにくい土地の活用方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、よろしければそちらもご覧ください。

隣地へ売却
不整形地は隣地へ売却することで土地活用の可能性が広がる可能性があります。例えば崖地であれば、隣地へ売却することで都道府県や政令市の条例による規制の範囲を外れることができる場合があり、旗竿地であれば接道している隣地へ売却することで、旗竿地の状態を脱することができます。
分筆する
ある程度の面積がある不整形地であれば、分筆して整形地を作ってから売却することができます。この場合。分筆後に残る土地の処分についても併せて検討する必要がありますが、整形地を作ることができれば同じ面積でもより高い金額で売却することが可能です。分筆に手続きや費用がかかりますが、所有している土地の面積が大きい場合は分筆を検討しても良いでしょう。
専門の買取業者へ売却
これまで、隣地への売却と、分筆してから売却するという2つの方法を紹介しましたが、実際に行うのはハードルが高いのが難点です。
もし、余計な手間をかけることなく、現状のまま不整形地を売却したいということであれば、専門の買取業者に買い取り依頼することを強くオススメします。
専門の買取業者なら、数週間から1か月程度で、不整形地の決済および引き渡しが完了します。
「売却するかはまだ迷っているけど、不整形地の評価額だけでも知りたい!」という方も大歓迎です。ぜひお気軽に、査定・買取についてお問い合わせください。
>>【活用の難しい不整形地でも高額売却!】無料で買取査定を依頼
まとめ
不整形地は整形地に比べて活用しにくい土地である一方で、税制上のメリットや設計の工夫によって活用できる方法も存在しています。ただし、資産として考えた場合には整形地に比べて価値が低いのも事実です。
資産運用の観点で不整地を考える場合は造成によって整形地にしたり、隣地への売却や専門の買取業者への相談等によって、より高い価格で売却できるようにしましょう。不整地活用を考えている場合には、不動産活用のプロである専門の買取業者に相談してみると良いでしょう。