「いらない土地をあげます」の仕組みは?【対象となる土地の特徴も紹介】
「いらない土地をあげます」の仕組みは、文字どおり、無償で土地を譲渡することです。
通常土地の売買は不動産取引になりますが、土地の無償譲渡という取引に該当します。
相続などで所有することになった田舎の土地などの所有者が、持っているだけで固定資産税などの負担がかかるため、無償でもいいから処分したいのです。
一般的に、いらない土地の所有者と欲しい人をウェブ上でマッチングするやり方が多く、交渉や契約手続きなどは自分たちで行います。
ただし、トラブルも頻繁に起こっているため、いらない土地の所有者も譲渡される側も注意する必要があります。
いらない土地として具体的には、以下のような土地が該当します。
- 活用する予定がない土地
- 活用が難しい土地
- 管理できていない土地
それぞれ特徴が異なるため、詳しく解説します。
活用する予定がない土地
無償譲渡の対象になりやすい土地として、活用する予定がない土地が挙げられます。
土地を所有していると管理する必要があり、固定資産税などの負担もかかり続けるため、うまく活用できなければ、リスクを抱え続けることになるのです。
たとえば、相続で取得することになった土地が遠方にある場合は、管理自体することが大変なため、たとえ問題のない土地であっても無償譲渡したい人もいるでしょう。
あくまで所有者にとって必要のない土地のため、人によっては利用価値があるかもしれません。
活用が難しい土地
活用が難しい土地も無償譲渡の対象になりやすい土地といえます。
たとえば、立地が悪かったり、土地の形が悪かったりする場合は、使い道が限られるため、活用自体が難しくなるのです。
具体的には、以下のような土地が該当します。
- 地方にある山間部の土地
- 車でのアクセスが悪く、高速道路のICから何時間もかかるような場所にある土地
- 面積が極端に狭かったり、三角形などの変形地
基本的には、立地が悪く、アクセスが悪いため、管理のために現地に行くだけで費用と時間がかかります。
居住するにも活用するにも適していない土地といえるでしょう。
また、面積が極端に狭い土地や変形地も住宅が建てられず、一般的に活用しづらい土地になります。
管理できていない土地
無償譲渡の対象になりやすい土地には、所有者が管理できず、放置された土地や空き家も該当します。
たとえば、相続した土地や家が自宅から離れた場所にある場合などは、管理が面倒なため放置してしまう所有者は少なくありません。
放置された土地や空き家は、植栽が成長しすぎて隣家に迷惑をかけたり、雑草も伸び放題になり、害虫が発生しやすくなります。
また、空き家は放火されやすかったり、不審者が住みつき違法薬物を栽培したりと犯罪に利用されるリスクがあるのです。
さらに、空き家を放置し続けると、行政から「特定空き家」に指定され、固定資産税が増額される可能性もあります。
そのまま放置すると不適切な状態にある建物のこと
参照元:e-gov法令検索|空家等対策の推進に関する特別措置法
空き家を放置すると、さまざまなリスクがあるため、無償でもいいから誰かにもらってほしいと所有者は考えるのです。
なお、空き家を放置した場合のリスクについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
「いらない土地をあげます」のメリットとデメリット
いらない土地には、「あげる側」と「もらう側」にそれぞれメリット、デメリットが存在します。
「あげる側」のメリットデメリット
いらない土地を譲渡する側には、大きく分けて、2つのメリットと3つのデメリットがあります。
- 【メリット1】維持費がかからなくなる
- 【メリット2】管理の手間がなくなる
- 【デメリット1】売却金が手に入らない
- 【デメリット2】譲渡先を探す手間がかかる
- 【デメリット3】契約時にトラブルが起きやすい
それぞれ詳しく解説します。
【メリット1】維持費がかからなくなる
いらない土地をあげる側のメリットとして、維持費がかからなくなることが挙げられます。
先述のとおり、いらない土地でも所有しているだけで固定資産税が毎年かかり、管理する場合は、光熱費などの負担も必要となります。
固定資産税の年間平均額は10~15万円といわれていますが、建物がない場合は最大6倍になるため注意が必要です。(詳しくは後述します)
いらない土地を無償譲渡すれば、当然所有権が移転されるため、負担がなくなります。
【メリット2】管理の手間がなくなる
管理の手間がなくなることもいらない土地をあげる側のメリットです。
たとえば、いらない土地が遠方にある場合は、管理するために時間と交通費をかけて現地に行く必要があるでしょう。
新幹線を使用したり、車で高速道路を何時間も走ったりといらない土地が遠方にある場合は、現地に行くだけでも大変です。
いらない土地でも長期間所有することになれば、管理すること自体大変になります。
いらない土地を無償譲渡することによって管理の手間が無くなることは大きなメリットといえます。
【デメリット1】売却金が手に入らない
いらない土地をあげる側の最大のデメリットは、売却金が手に入らないことです。
むしろ金銭面だけでいえば、手続きなどで費用がかかるため、マイナスになるでしょう。
一般的に土地における有償での売買では、不動産会社が仲介に入るため、金額交渉から売買契約、引渡しまで、サポートを受けることが可能です。
しかし、土地の無償譲渡では、基本的に不動産会社が仲介に入らないため、すべて自分たちで行う必要があるのです。
たとえば、土地の境界の調査や契約書の作成など、土地の無償譲渡における手続きを自分たちで行うため、不明なところがあれば、役所や税務署などに相談する必要があり、費用が発生するでしょう。
契約や登記手続きなどは、専門家に依頼することも可能ですが、当然費用もかかります。
金銭面を重視するのであれば、いらない土地でも無償譲渡はおすすめしません。
【デメリット2】譲渡先を探す手間がかかる
譲渡先を自分で探さないといけないこともいらない土地をあげる側のデメリットといえます。
先述のとおり、土地の無償譲渡では、取引金額がゼロになるため、一般的に不動産会社は仲介に入りません。
通常の土地の売買であれば、不動産会社が買い手を探すために広告を打つなど販売活動を行いますが、土地の無償譲渡では、買い手も自分たちで探す必要があるのです。
隣地の所有者など無償でもらってくれる相手がいる場合は問題ありませんが、無償譲渡の見込み先がない場合は時間がかかる可能性があるため、手間もかかるでしょう。
また、土地の無償譲渡先が見つからないということは、いらない土地をまだ所有していることになるため、固定資産税などの費用もかかることになります。
【デメリット3】契約時にトラブルが起きやすい
契約時にトラブルになりやすいこともいらない土地をあげる側のデメリットの1つです。
自分たちで契約書を作成するため、細かい取り決めができておらず、あとからトラブルになることも少なくありません。
たとえば、無償譲渡された土地で過去に事件や事故が起こっていたことが後から発覚したり、土壌汚染が発覚したりといった問題が発生する可能性があります。
通常の土地の売買であれば、不動産会社が売買契約書を作成し、売却する側は契約不適合責任を負う必要があるため、上記のようなことが発覚しても買主は安心です。
売買契約書に記載されていないことが発覚した場合に、売主が買主に負う責任のこと
参照元:e-Gov法令検索|民法第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
しかし、土地を無償譲渡する場合は、自分たちで契約書を作成し、締結するため、内容が薄い契約書になっている可能性が高く、後からトラブルになってしまうのです。
無料の土地だからといって、簡単に贈与契約をするのではなく、予期せぬ場合のことも考慮したうえで、土地の無償譲渡に応じる必要があるでしょう。
「もらう側」のメリットデメリット
一方、いらない土地をもらう側には、以下のようなメリットデメリットがあります。
- 【メリット1】無料で土地が手に入る
- 【メリット2】自治体の補助を受けられる可能性がある
- 【デメリット1】手続きが煩雑
- 【デメリット2】税金の支払いが発生する
- 【デメリット3】再建築不可なら建物を建てられない
いらない土地をもらう側も気をつけるべき注意点が多いため、詳しく解説します。
【メリット1】無料で土地が手に入る
いらない土地をもらう側の最大のメリットは、なんといっても無料で土地を手に入れられることでしょう。
通常の不動産取引では、土地を取得するためには、数百万円〜数千万円かかります。
たとえば、都心から田舎暮らしを検討している人でも、土地や建物の取得に多額の費用がかかると、なかなか実現しない可能性があります。
しかし、無償で土地が手に入れば、夢の田舎暮らしへのハードルが大きく下がることになるでしょう。
土地や建物の取得費がかからない分、リノベーションなどの費用に充てられるため、自分たち好みの家にできる可能性が高くなります。
【メリット2】自治体の補助を受けられる可能性がある
いらない土地をもらう側のメリットとして、自治体の補助を受けられる可能性があることも挙げられます。
地域の人口減少の問題や空き家増加に対する問題を解消したい自治体は、土地の取得者に対して補助金を用意している場合があります。
たとえば、広島県安芸高田市では、空き家改修補助金として、補助率は空き家改修費用の1/2、80万円を限度額として支給しています。
参照元:安芸高田市|空き家改修補助金
補助金の金額や内容は自治体によって異なりますが、上記のようにリフォーム費用や引っ越し費用などを補助してくれる自治体もあるため、上手に活用すれば、お得に田舎暮らしができるでしょう。
補助金の活用を検討している場合は、あらかじめ自治体の制度について詳しく確認しておくことをおすすめします。
【デメリット1】手続きが煩雑
いらない土地をもらう場合は、手続きが面倒なことがデメリットといえます。
土地の無償譲渡は、大きく分けて以下の流れで行われます。
- 土地の調査
- 譲渡される側は、もらう土地を調査する必要があります。用途地域や土壌汚染の有無、地中埋設物の有無など、あとからトラブルにならないようにしっかり確認しましょう。
- 無償譲渡の合意
- あげる側ともらう側で、いらない土地に対しての無償譲渡に合意します。
- 贈与契約書を作成し、締結する
- 土地の所在地や面積、譲渡日など合意した内容で契約書を作成します。司法書士などの専門家に依頼することも可能ですが、20,000円ほどの費用がかかります。
- 所有権移転登記をする
- 所有権移転登記には、あげる側ともらう側の共同での申請が必要で、必要書類を準備して、管轄の法務局に提出します。
後からトラブルにならないように、契約書は司法書士に作成を依頼することをおすすめします。
【デメリット2】税金の支払いが発生する
いらない土地の無償譲渡には税金がかかることももらう側のデメリットといえます。
土地の無償譲渡では、あげる側ともらう側が個人か法人かによって、以下のように異なります。
無償譲渡の内容 | あげる側 | もらう側 |
---|---|---|
個人から個人 | 非課税 | 贈与税 |
個人から法人 | 所得税 | 法人税 |
法人から個人 | 法人税 | 所得税 |
法人から法人 | 法人税 | 法人税 |
いらない土地を無償譲渡される側が個人の場合は、「贈与」されたとみなされるため、原則として評価額が110万円を超えた場合は、以下のように贈与税がかかります。
課税額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円 | 10% | – |
300万円 | 15% | 10万円 |
400万円 | 20% | 25万円 |
600万円 | 30% | 65万円 |
1,000万円 | 40% | 125万円 |
参照元:国税庁|No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
土地の評価額が高い場合は、贈与税も高くなるため、注意が必要です。
いらない土地をもらう側が法人の場合は、同じ無償譲渡でも適用される税制が変わります。
土地の無償譲渡で金銭のやり取りがなかったとしても、相手先が法人の場合は時価で譲渡したとみなされるため、みなし譲渡所得税がかかることになるのです。
また、無償譲渡であっても土地などの不動産を取得する場合には、不動産取得税が発生し、所有権移転の際は登録免許税などの税金もかかります。
いくら無償で土地をもらっても、さまざまな税金がかかることは、大きなデメリットといえるでしょう。
なお、不動産売買における税金については以下の記事で詳しく解説していますので、ご確認ください。
【デメリット3】再建築不可なら建物を建てられない
無償譲渡される土地には、再建築不可の物件も多く存在するため、いらない土地をもらう場合のデメリットとなります。
建築基準法における接道義務を満たしておらず、建物の建て替えができない土地のこと
原則として幅員4mの建築基準法上の道路に、2m以上接していなければいけない義務のこと
たとえば、建物を建てるために、土地の無償譲渡を受けた場合に、後から再建築不可物件だと判明したときは無駄な土地を取得することになるため注意が必要です。
土地の無償譲渡では不動産会社が仲介に入らないため、自分でしっかり確認しましょう。
また、再建築不可物件については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
いらない土地を譲渡する際の3つの注意点
いらない土地を無償譲渡する場合には、以下の3点に注意しましょう。
- 契約書を作成する
- 重要事項説明書を作成する
- 活用方法を事前に検討しておく
どれも重要なことなので、それぞれ詳しく解説します。
契約書を作成する
土地の無償譲渡をする場合は、契約書を作成することが重要です。
金銭が発生しない取引となり、不動産会社が仲介に入らないため、細かい合意内容をきちんと書面にして契約を締結することをおすすめします。
【契約書見本】
土地の無償譲渡は、口約束のみで行われることも多く、いざ所有権移転する際に揉めることも少なくありません。
また、契約書を作成しておけば、贈与税の対象になる土地を明確にできます。
先述のとおり、土地の無償譲渡でも贈与税が発生するケースがあるため、契約書に取引した日と評価額を記載しておくことが重要といえるでしょう。
重要事項説明書を作成する
土地の無償譲渡においては、重要事項説明書を作成することも大切なポイントといえます。
物件の物理的状態や権利の状況、取引条件などの重要なことが記載された書面
【重要事項説明書見本】
不動産会社が仲介する通常の不動産取引では、重要事項説明書の交付が義務付けられていますが、一般的に仲介が入らない土地の無償譲渡においては、必ずしも重要事項説明書を作成する必要はありません。
しかし、先述のとおり、土地の無償譲渡は、あとからトラブルに発展するケースが多いため、重要事項説明書を作成しておくことをおすすめします。
重要事項説明書を作成すれば、改めて、もらう土地の詳細がわかるため、最終確認にもなります。
また、重要事項説明書は不動産に関する専門的な知識が必要となるため、宅地建物取引士の資格をもった専門家に依頼しましょう。
ただし、依頼する専門家によっても異なりますが、5〜10万円ほどの費用がかかります。
活用方法を事前に検討しておく
土地の無償譲渡を受ける場合は、事前に活用方法を検討しておくことも重要といえます。
最近では、都会から田舎に移住する人も増えていますが、住まいとは別に土地をもらう場合には注意が必要です。
無償だからと、とりあえずもらっておこうと軽い気持ちで譲渡に応じるとあとから後悔する可能性があります。
たとえば、先述したように、建物を建てて活用しようと思っても再建築不可の物件の可能性も考えられます。
あらかじめ、土地の無償譲渡を受ける前に、活用方法を慎重に検討したうえで応じることをおすすめします。
いらない土地を譲渡する7つの方法
いらない土地を譲渡する方法として、以下の7つの方法があります。
- 無償譲渡する
- 相続放棄する
- 相続土地国庫帰属法を活用する
- 自治体に寄付する
- 空き家バンクに登録する
- 不動産売買のマッチングサイトを利用する
- 売却する
それぞれ詳しく解説します。
無償譲渡する
土地を無償譲渡する場合は、以下の2通りの可能性が高いでしょう。
- 知人や友人に譲渡する
- 隣人に譲渡する
知人や友人に譲渡する
知人や友人であれば、土地の無償譲渡に応じてくれる可能性があります。
たとえば、田舎暮らしを考えている知人や友人がいる場合で、相続で田舎のいらない土地を取得した際は、一番の交渉相手となるでしょう。
ただし、知人や友人だからといって、契約書も交わさず、土地の無償譲渡を行うことはおすすめできません。
あとから問題が発覚した場合には、これまでの関係性が崩れてしまう恐れがあるため注意が必要です。
隣人に譲渡する
隣地の所有者は、土地の無償譲渡に応じてくれる可能性が一番高い候補者といえます。
たとえば、隣地の所有者であれば敷地が広くなるため、駐車場や家庭菜園として使用したり、子ども家族のために別棟で新しく家を建てることも可能になります。
近所付き合いがあったのならば、そもそも以前からの知り合いのため、取引自体も安心して行えるでしょう。
ただし、知人や友人と同様に、契約書は作成して、あとから問題にならないように対策することは必要です。
相続放棄する
いらない土地を相続する前であれば、相続放棄を選択することも可能です。
相続放棄とは、預金や不動産などの財産も借金などの負債も一切引き継がないことです。
相続放棄するためには、自分が相続人となったことを知ってから3ヶ月以内に裁判所で手続きする必要があります。
参照元:裁判所|相続の放棄の申述
弊社が行った相続に対するアンケート(下図参照)では、遺産相続をめぐって親族と揉めることに不安を感じている方が多い結果となっていますが、相続放棄すれば親族と揉めることもないため安心できます。
相続放棄すれば、いらない土地を所有しなくて済みますが、プラスの財産もすべて放棄することになるため、慎重に相続財産を調べることをおすすめします。
また、相続放棄しても次の相続順位の相続人が管理を始めるまでは土地の管理義務が残るため、注意が必要です。
参照元:e-Gov法令検索|民法第940条(相続の放棄をした者による管理)
相続放棄をした後でも、次の相続順位の相続人が決まっていない場合は、問題があれば、責任を負うことになります。
たとえば、田舎の空き家を相続放棄しても管理義務が続いている場合は、倒壊して通行人や隣家に損害を与えた時は損害賠償される可能性があるのです。
相続放棄する場合でも、しばらくは管理する必要があるため、相続財産を慎重に調べて、検討することをおすすめします。
なお、相続放棄については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
相続土地国庫帰属法を活用する
相続土地国庫帰属法を活用して国返すこともいらない土地の譲渡方法です。
2023年から相続土地国庫帰属制度がスタートし、相続したいらない土地を国に返還することが可能になりました。
しかし、相続土地国庫帰属制度を利用するためには、厳しい適用要件をクリアする必要があります。
まず、以下の条件に該当する土地は申請の段階で却下されてしまいます。
- 建物が建っている土地
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 墓地内の土地やため池として利用されている土地
- 土壌汚染されている土地
- 境界が明らかになっていない土地、所有権の範囲について揉めている土地
参照元:法務省|相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件
参照元:法務省|相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件
また、以下の条件の土地は申請しても審査の段階で該当すると判断された場合は承認されません。
- 一定の勾配・高さの崖があり、管理に過分な費用・労力がかかる土地
- 土地の管理・処分を阻害する有体物(車両や樹木など)が地上にある土地
- 管理・処分のために、除去しなければいけないもの(浄化槽や井戸など)が地下にある土地
- 隣接する土地の所有者と争訟しなければ、管理・処分ができない土地
- その他、通常の管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地
参照元:法務省|相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件
上記の厳しい要件をみると、現実的に相続土地国庫帰属制度を活用して国に返せる土地は少ないといえるでしょう。
なお、相続土地国庫帰属法については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
自治体に寄付する
いらない土地は、自治体が受け入れてくれる場合は、寄付することも可能です。
しかし、いくら寄附でもすべての土地を自治体が受け入れてくれるわけではありません。
たとえば、新潟市では寄附を受け付ける要件として以下のように定めています。
- 行政の中立性、公平性等が確保できるもの
- 将来に紛争や苦情が発生する恐れがないもの
- 将来に多額の維持管理費を要す恐れがないもの
- 行政活用価値又は換価価値が見込まれるもの
参照元:新潟市|土地の寄附について
さらに、自治体にいらない土地を寄付することが難しい要因として、税収が減ることが挙げられます。
土地の固定資産税は、自治体にとって貴重な財源のひとつとなっており、自治体の運営には欠かせないものです。
たとえば、毎日使う道路や学校、公園など、日々の生活で利用する公共施設の整備や介護・福祉などの行政サービスにも使われています。
参照元:総務省|固定資産税
土地の寄付を受け付けるということは、貴重な財源が減ることになるため、寄付を受け付ける土地の要件が厳しくなっているのです。
なお、空き家の自治体への寄付については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
空き家バンクに登録する
いらない土地を譲渡する方法として、空き家バンクに登録することも1つの方法です。
空き家の情報を自治体が運営するWebページなどで発信する仕組みのこと
空き家バンクは、通常の不動産サイトと違い、空き家を探している人が利用するため、買い手が見つかる可能性があります。
空き家の増加は大きな社会問題となっているため、国も空き家バンク制度には力を入れており、参加している自治体は、2024年2月現在では1,000件を超えています。
参照元:国土交通省|全国版空き家・空き地バンク参加自治体数・物件掲載件数推移
ただし、空き家バンク制度は、あくまで所有者と購入者をマッチングさせるサービスのため、運営している自治体は、交渉や契約手続きに関与しません。
交渉や契約手続きなどは、すべて自分たちで行う必要があり、万が一トラブルになった場合でも自分で解決する必要があるのです。
空き家バンクは無料で登録できますが、不動産のことに詳しくなく交渉にも慣れていない人は注意が必要でしょう。
なお、空き家バンクについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
不動産売買のマッチングサイトを利用する
いらない土地の譲渡方法として、空き家バンクだけでなく、インターネット上にある土地や空き家の売買ができるサイトも利用できます。
主な不動産売買のマッチングサイトは以下の3つです。
- 家いちば
- みんなの0円物件
- ジモティー
それぞれ詳しく解説します。
家いちば
「家いちば」は、2015年からスタートした土地売買のマッチングサイトの中では老舗的なサイトです。
家いちばは、家を売る人と買う人が直接やりとりできるサイトです。思い出のつまった大切な実家などで「この人なら」という相手を自分で選び、その気持ちを託すことができます。
引用元:家いちば公式ホームページ
成約件数は全国800件を超えており、実績を重視している人には向いているサイトといえます。
交渉する際に不動産会社が間に入らないため、売主は自分の言葉で物件の特徴を伝えられると好評です。
また、2024年1月には、空き家マッチングサイトで国内初となる公開Q&A投稿サービスなどを導入しています。
参照元:家いちば株式会社のプレスリリース|空き家問題のさらなる解消に向けて「家いちば」が新サービスをリリース
公開Q&Aサービスは、「家いちば保健室」として、まるで学校の保健室のように気軽に悩みなどの相談ができるような場所をイメージしています。
相談できるのは、不動産、建築の分野で売買・賃貸や工事、活用方法、あるいは法律、資金面などの幅広い内容になります。
気軽に相談できるため、興味がある方は一度利用されてみてはいかがでしょうか。
みんなの0円物件
「みんなの0円物件」は、その名のとおり、土地や建物を無償で取引するサイトです。
実際にホームページを検索すると、以下のような0円物件が掲載されています。
引用元:みんなの0円物件公式ホームページ
土地でも建物でも0円での取引が可能ですが、空き家バンクと同様に、基本的に交渉から引渡しまでは自分たちで行う必要があります。
あとからトラブルになる可能性もあるため、契約書を交わすなどの対策が必要でしょう。
たとえば、物件引渡し後に不具合などが発覚しても、基本的に責任を追及される義務はありませんが、トラブルに巻き込まれる恐れがあり、最悪のケースでは裁判にまで発展する可能性があります。
また、貰い手が見つからない可能性も十分に考えられるため、リスクも理解したうえで、利用しましょう。
ジモティー
「ジモティ―」は、地元の情報に特化したインターネット上の掲示板ですが、土地の売買も行っています。
ホームページを見ると以下のような土地情報が掲載されています。
引用元:ジモティー |土地 あげます
無償のものもあれば、10年住んだら土地建物プレゼントのような条件が付いているものもあります。
空き家バンクやほかの不動産売買のマッチングサイトと仕組みは変わらないため、自分たちで交渉や手続きをする必要があるでしょう。
基本的には、どのサイトも掲載は無料のため、他の譲渡方法と並行して行うことも検討しても良いでしょう。
売却する
いらない土地の譲渡方法として、売却することも選択肢の1つです。
いらない土地でも所有している限りは、固定資産税などの費用がかかり、管理する必要があります。
また、建物が建っているケースで、空き家を放置してしまった場合は、先述した特定空き家に指定されるなどさまざまなリスクを抱えることになります。
行政から、特定空き家に指定され、勧告を受けた場合は、住宅用地の特例が適用されなくなるため、固定資産税が最大6倍になります。
住宅などの敷地における固定資産税の軽減措置のこと
参照元:国土交通省|土地の保有に係る税制
いらない土地の譲渡先が見つからない場合は、上記のようなリスクを抱える前に売却することをおすすめします。
ただし、土地の条件によって、以下のように適した売却方法が異なります。
- 立地が良いなら仲介業者に売却を依頼する
- 立地が悪いなら専門の買取業者に売却する
なお、仲介と買取の違いについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
立地が良いなら仲介業者に売却を依頼する
立地が良ければ、仲介業者に売却を依頼しましょう。
たとえば、最寄りの駅まで徒歩10分以内の土地や市街中心地までアクセスがいい土地であれば、売却相場に近い価格で売れる可能性があります。
実際に2023年に弊社が行った「家を購入する際に立地条件を重視したか」についてのアンケート(下図参照)によると、85%以上の人が立地条件を重視したと回答しています。
上記のような立地であれば、不動産会社に売却を依頼することをおすすめします。
立地が悪いなら専門の買取業者に売却する
立地が悪く、土地の譲渡先が見つからない場合は、専門の買取業者に売却しましょう。
専門の買取業者に売却すれば、労力をかけずに、売却金まで得ることが可能です。
空き家バンクや不動産売買のマッチングサイトは掲載自体は無料でも、譲渡相手が見つかるとは限りません。
専門の買取業者であれば、直接買い取ってくれるため、確実にスピーディーに対応してくれます。
また、専門の買取業者は、不動産のプロであり、契約書も作成するため、安心して取引できます。
さらに、専門の買取業者は、契約不適合責任を免責して、買い取ることが可能です。
不動産会社に売却を依頼して、一般の買い手に売却した場合は、契約不適合責任を負う必要がありますが、専門の買取業者であれば、契約不適合責任を免責して契約できるため、引渡し後も安心できるでしょう。
そもそも契約不適合責任は一般消費者をトラブルから守るためにつくられたものなので、不動産のプロである専門の買取業者は契約不適合責任を免責して契約することが可能なのです。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、譲渡先が見つからない土地であっても契約不適合責任を免責して積極的に買い取っている買取業者です。
売れにくい不動産を専門に取り扱う弊社であれば、いらない土地でもスピーディーに、高額で買い取っています。
その結果、多くのお客様から感謝のお言葉をいただいております(下記Googleの口コミ参照)。
弊社はお客様から高い評価をいただいているだけでなく、「上場している不動産買取業者」でもあるため、社会的信用も得られていると自負しています。
査定依頼をいただいても、無理な営業は行いませんので、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください。
なお、契約不適合責任についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
今回は、いらない土地の譲渡方法について詳しく解説しました。
いらない土地は無償で譲渡することも可能ですが、譲渡先が見つからなかったり、トラブルになったりとリスクがあります。
また、いらない土地は所有しているだけで固定資産税などの費用がかかり、管理する必要があります。
譲渡先が見つからない場合は、売却することをおすすめします。
ただし、無償譲渡を検討している土地は、一般の買い手が購入する可能性が低いため、専門の買取業者に売却しましょう。
専門の買取業者であれば、譲渡先が見つからない土地でも、スピーディーに買い取ってくれます。
さらに専門の買取業者は、契約不適合責任を免責して契約できるため安心です。
弊社Albalinkも訳あり物件専門の買取業者のため、いらない土地でも契約不適合責任を免責したうえで、できる限り高値で買い取れます。
実際に空き家などの訳アリ物件を専門に買い取る業者として、「フジテレビ」をはじめとする各メディアにも取り上げられています。
いらない土地を手間や時間をかけずに手放したいという方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください。
査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください。