売却方法は空き家の状況に合わせて選ぶ
空き家の売却の流れを知る前に、空き家の売却方法を簡単に理解していただく必要があります。
空き家の売却方法には大きく分けて「仲介」と「買取」の2種類があり、方法によって流れが異なるからです。
まずはそれぞれの仕組みの違いから説明します。
なお、最適な売却方法が既にわかっている方は「空き家売却の流れ」を参考にしてください。
空き家の売却方法「仲介」と「買取」の違い
「仲介」と「買取」の仕組みの違いは以下の通りです。
- 仲介の仕組み
- 空き家の所有者から売却依頼を受けた不動産仲介業者が、一般に広く買手を募集し、売手と買手の間を取り持つ(仲介する)ことで、売買契約成立を目指す方法。
仲介の特徴として、一般の個人の購入目的は「住居用」であることが挙げられる。 - 買取の仕組み
- 空き家の所有者から売却依頼を受けた不動産買取業者が、所有者から直接空き家を買い取る方法。
買取の特徴として、買取業者の購入目的は住居用ではなく「事業用」であることが挙げられる。
「事業」とは、買い取った空き家をリフォーム等して再販し、利益をあげること。
仲介と買取の大きく異なる4つの特徴をご説明します。
買取価格の違い
仲介であれば、市場価格通りの金額で売却できますが、買取の場合はより安い金額での売却となります。
そもそも、「市場価格」を辞書で検索すると「市場において、需要と供給との関係によって現実に成立する価格」と出てきます。
つまり、不動産における市場価格とは「多くの一般の個人が物件情報を目にして購入を検討した結果、最終的に売主と買主の間で売買契約が成立した価格のこと」と考えて間違いありません。
前述の通り、仲介は一般の個人に広く買手を募る売却方法なので、仲介で売買契約が成立した価格が市場価格ということです。
一方、買取の場合は、市場価格より安い金額での売却となります。
前述の通り、買取業者は、買い取った空き家を再販してリフォームすることで利益を出しています。
そのため、市場価格から再販のためのリフォーム費用や、人件費などの必要経費、会社の利益を差し引いた金額で買い取る必要があり、結果として市場価格より安い金額で買い取ることになります。
契約スピードの違い
仲介は、一般の個人が「すぐに住みたい」と思えるような状態が良好な空き家でも、3~6カ月もの売却期間が必要です。
さらに、状態が良くない空き家であれば、年単位で売れ残ったり、永遠に売れない恐れもあります。
前述の通り、仲介は一般の個人を募る売却方法であるため、購入希望者が現れるのを待たなければならないからです。
一方、買取であれば、再販して利益が見込める空き家だと判断され、なおかつ売主が金額感に納得さえできれば、最短数日で売却&決済できます。
買取業者が直接空き家を買い取るため、購入希望者が現れるのを待つ必要はないからです。
契約不適合責任の免責の違い
一般的に、不動産の売主には契約不適合責任が課されますが、買取業者に直接売却すれば、大抵の場合は責任の一切が免責(責任の免除)されます。
売買契約成立後、契約書に記載がない無い欠陥や不具合(設備の故障や給排水管の詰まり)があった場合に、売主が負う責任。
買取業者は空き家をリフォームして再販する前提なので、空き家の不具合や欠陥も承知のうえで買い取るからです。
しかし、仲介の場合は、売主には契約不適合責任が課されます。
売却後の空き家に不具合や欠陥が見つかれば、仲介の売主は責任として修繕費用の負担や売買契約成立の取り消しに応じなくてはなりません。
売却経費がかからない
買取であれば不要な以下の売却経費も、仲介では売主自身が負担する必要があります。
- 仲介手数料
- 家具、荷物処理費用
- 修繕、リフォーム費用
仲介手数料
仲介業者は売手や買手から仲介手数料をもらって利益を出しています。
なお、仲介手数料は売却価格によって異なります。
1,000×3%+6万=36万
一方、買取は仲介業務ではないため、当然仲介手数料はかかりません。
空き家に残っている家具や荷物の処理費用
仲介は、一般の購入希望者が購入前に内見を希望するため、売主自ら空き家に残された家具や荷物を処理しなければなりません。
家具や荷物が残っていると売主が汚い印象を受け、契約に至りにくくなってしまうからです。
1立方メートルあたりおよそ1万円
一方、買取は、売主の家具や荷物の処理もする前提で買い取るので、所有者が費用や労力をかけて処理する必要はありません。
修繕費用やリフォーム費用
仲介の場合、売却前に修繕やリフォームをして、一般の買手が「住みたい」「買いたい」と思える状態にしなければなりません。
故障や破損している箇所は数十万で修繕、劣化が著しい場合は、数百万かけてフルリフォームしなければならないため、所有者は金銭的に大きな負担になります。
一方、買取であれば、買取業者がリフォームして再販する前提で買い取るため、売手には高額な修繕費用やリフォーム費用を負担することなく、そのままの状態で空き家を売却することができます。
空き家の状況別!最適な売却方法
「仲介」と「買取」の違いを理解していただいたところで、自身の空き家の状況に合った売却方法を見つけましょう。
具体的な空き家の売却方法は以下の3通りです。
【空き家の具体的な売却方法】
- 【仲介】古家付き土地として売却
- 【仲介】解体して土地として売却
- 【買取】買取業者に直接売却
3つの売却方法の判断基準は、一般の買手にニーズがあるか否かです。
そして、一般の買手にニーズがあるか否かを決めるポイントは「築年数」と「立地」にあります。
ここではわかりやすく、ニーズがない空き家の基準で解説します。
例えば、築年数であれば、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています。
対象資産を使用できる期間。不動産などの減価償却資産(使用すればするほど物理的に損耗し、価値が下がるもの)に定められている。
そのため、22年を基準とし、一般の買手へのニーズはゼロになると考えられています。
また、以下のような立地の空き家は、住居としての利便性が低いため、一般の買手にニーズがあるとは言えません。
【一般の買手にニーズがない立地】
- 電車文化の都心であるにもかかわらず、最寄り駅まで徒歩10分以上
- 車文化の地方であるにもかかわらず、市街地まで車で15分以上
このようなポイントを考慮すると、それぞれの空き家に最適な売却方法は以下の表のようになります。
立地条件の需要 | 築年数 | |
---|---|---|
【仲介】古家付き土地として売却 | あり | 22年以内 |
【仲介】解体して土地として売却 | あり | 22年以上 |
【買取】買取業者に直接売却 | なし | 22年以上 |
それぞれの売却方法について簡単に説明します。
【仲介】古家付き土地として売却
築年数20年以内で著しい劣化もなく、なおかつ立地の利便性も高い空き家であれば、一般の購入希望者が現れる可能性は十分にあります。
そのため、そのままの状態で仲介業者に売却を依頼し、市場価格通りの売却を目指すこともできるでしょう。
仲介での売却の流れは記事内の「仲介の流れ」を参考にしてください。
【仲介】解体して土地として売却
築年数20年以上であったり老朽化が著しいけれど、立地の利便性が高い空き家であれば、価値がない空き家(建物)は解体して、土地のみを売却する方法もあります。
ただし、売主の独断で解体するのは、大きなリスクが2点あるので絶対にやめてください。
空き家の解体については、信頼できる不動産のプロとよく話し合う必要があります。
【空き家解体の2つのリスク】
- 解体したのに売却できず高額な解体費用が丸々赤字になる
- 解体して更地にすることで固定資産税が増額する
ちなみに、土地として売却する場合に、売主が上記のようなリスクを負わないためには「空き家を解体せずに、解体費用を引いた金額で売却活動をする」という方法があります。
つまり、解体する前提で購入してくれる買主を探す(その代わり、解体費用は引いた金額で売却する)ということです。
詳しくは、記事内の「仲介の流れ」の中で解説しているので参考にしてください。
空き家を解体するリスク①高額な解体費用が赤字になる
平均的な空き家(30坪)の解体費用の相場は、木造であればおよそ120万、鉄筋コンクリートであればおよそ180万です。
売主の独断で空き家を解体しても、結果的に売却できなければ、高額な解体費用が丸々赤字になってしまいます。
空き家を解体するリスク①固定資産税が増額する
空き家を解体して更地にすると、空き家が建っていたときより固定資産税が大幅に増額します。
人が住むための土地には「住宅用地の特例」が適用され、土地の固定資産税がおよそ1/6に抑えられていますが、更地は人が住むための土地として認められず、特例の適用外になってしまうからです。
空き家を解体したにもかかわらず土地を売却できなければ、解体費用が赤字になるうえ、所有者には高額になった固定資産税の負担がのしかかります。
【買取】買取業者に直接売却
築年数20年以上であったり老朽化が著しかったりするうえに、立地の利便性も低い空き家は、一般の買手へのニーズはないため、仲介で売却することは難しいと言えます。
実際に、弊社が独自に行った「不動産を購入する際、築年数は何年までがベストか?」のアンケート調査で、81%の人が「築20年以内」と答え、「築30年以上」と答えた人は19%にとどまりました。
上記のような空き家は、買取業者に直接売却しましょう。
買取業者は住居用ではなく事業用として買い取るので、再販して利益が見込めれば、一般の買手にニーズがない空き家も最短数日で買取可能です。
弊社も最短3日で売却&決済することができるので、空き家の売却を検討中の所有者の方はお気軽にお問い合わせください。
買取の流れは、記事内の「買取の流れ」で解説しています。
空き家売却の流れ
自身に合った売却方法を知っていただけたところで、仲介と買取、それぞれの売却の流れを説明します。
仲介の流れ
「ステップ①仲介業者に査定依頼をする」に入る前に、まずは自身の空き家と似ている条件の不動産の売出価格を確認し、市場価格の目安を知りましょう。
市場価格の目安を知ることで、仲介業者に提示された査定価格が高すぎたり低すぎたりした際に、売主自ら異変に気づくことができ、信頼できる仲介業者を見極めやすくなるからです。
SUUMOやat home等のポータルサイトを活用し、似ている条件の不動産の売出価格を確認してください。
ステップ①査定依頼
不動産仲介業者に複数問い合わせて、空き家の査定を依頼しましょう。
複数に査定を依頼するのは、いくつかの査定価格を比較し、より市場価格に近い金額で売却するためです。
また、問い合わせるのは、空き家が建っている地域の仲介業者が良いでしょう。
地元の仲介業者なら、その地域の魅力をよくわかっているため、内見の際などに空き家を売り込むための話題が豊富で、売買契約に繋がる可能性が高まるからです。
なお、解体して土地として売却することを検討している場合は、査定の段階で担当者に伝えておきましょう。
ただ、空き家売買の知識が豊富な担当者であれば、老朽化が進んだ空き家を見た段階で、解体費用を差し引いた金額で売却することを自ら提案してくれるはずです。
机上査定と訪問査定
具体的な査定方法には、机上査定と訪問査定の2種類があります。
机上査定は、築年数や立地等の条件から、売却できるおおよその見込み価格を算出する査定方法です。
一方、訪問査定は、営業担当者が実際に物件を訪れ、設備や室内の傷み具合等を目で確認したうえで見込み価格を算出します。
見込み価格はあくまで目安であるため、担当者と訪問査定に同行し、より正確な査定価格を出してもらいましょう。
ステップ②媒介契約
複数の営業担当者に訪問査定をしてもらったのち、仲介業者と媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産を売却するための営業努力を委託する契約のことです。
査定価格だけでなく、担当者の態度も比較して、信頼できる仲介業者と媒介契約を結ぶようにしてください。
なぜなら、売出価格は売主側の判断である程度コントロールできますが、担当者の実力をコントロールすることは当然できないからです。
最終的に売買契約成立に至るか否かは、営業担当者にすべて委ねることになるため、服装や態度、レスポンスの速さなど、社会人として常識的かどうかにも注視しましょう。
3種類の媒介契約
具体的に、媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれの違いは以下の表の通りです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
自己発見取引 (売主が自分で買手を見つけること) |
できる | できる | できない |
依頼できる会社の数 | 複数の業者に依頼可能 | 1社のみ | 1社のみ |
依頼主への報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
自己発見取引とは、仲介業者を通さず、売主自ら知り合いなどに売却の話を持ち掛け、買手を見つけることです。
空き家の売却がはじめてで不慣れな場合は、専属専任媒介契約を推奨します。
表の通り、専属専任媒介契約は、売主が他の仲介業者と媒介契約を結べないという規則があります。
そのため、担当の仲介業者が積極的な売却活動を行ってくれる可能性が高く、より早急な売却が期待できるからです。
ステップ③売却活動
媒介契約を締結すると、仲介業者による売却活動(買手募集の広告掲載など)がスタートします。
一般の買手は購入前に内見を希望するため、空き家に家具や荷物が残っている場合は、売主自ら片づけて、買手に「買いたい」「住みたい」と思ってもらえる状態にしておかなければなりません。
内見当日は、室内の中でも特に汚れが目立ちやすい玄関回りや水回りを入念に清掃し、室内を明るくする等、少しでも印象を良くする努力をしましょう。
ステップ④売買契約
購入希望者が現れたら、希望売買価格や支払い条件などを話し合い、お互いに納得できたら売買契約を締結します。
売買契約では、売主と買主、それぞれの担当の仲介業者が集まって、売買契約書を取り交わします。
売買契約の締結時に行われる一般的な金銭のやりとりは以下の2点です。
- 買主から売主に支払われる手付金
- 売主から仲介業者に支払われる仲介手数料
買主から売主に支払われる手付金の金額は法的に定められてはいませんが、一般的に売買価格のおよそ10%です。
また、売主から仲介業者に支払う仲介手数料の支払い義務は、売買契約が成立した時点で発生し、一般的に売買契約締結時と決済時に半額ずつ支払います。
ステップ⑤決済&引き渡し
売買契約成立からおよそ1カ月以内を目安に、決済と空き家の引き渡しを行います。
売主は決済当日までに営業担当者の指示に沿って、必要な書類を揃えておきましょう。
決済当日は、売主と買主、それぞれの担当の仲介業者、そして司法書士が集まって、決済や登記簿の名義変更などを行います。
最後に、売却代金の振込を正式に確認し、空き家の鍵を買主に引き渡せば取引完了です。
取引が全て完了したら、売主は仲介業者に仲介手数料の残りの金額を支払います。
ステップ⑥確定申告
売却して利益が出たら、翌年の2月16日~3月15日の間に譲渡所得税の確定申告が必要です。
確定申告の方法は「譲渡所得が発生したら確定申告が必要」を参考にしてください。
譲渡所得税の控除制度と併せて詳しく解説しています。
買取の流れ
相場通りの金額で売却するために、売却前に買取相場をチェックしておきたい方も多いかと思います。
しかし、不動産知識がない一般の方が空き家の買取相場を調べるのは困難であると言えます。
そもそも、買取相場とは、市場価格から買取業者が再販するための費用(リフォーム代や人件費)や会社の利益を差し引いた金額です(記事内「買取価格の違い」を参考にしてください)。
実際に差し引かれる金額は、空き家の条件や状態によって大きく異なるため、一般の方が判断することは困難です。
空き家の売却を検討し始めたら、自身で買取相場を調べたりせず、まずは不動産のプロに査定を依頼し、即日で査定価格を算出してもらいましょう。
以下では、買取の流れを4つのステップで解説していきます。
ステップ①査定依頼
複数の空き家買取業者に問い合わせて、査定を依頼しましょう。
複数社の査定価格はもちろん、営業担当者の態度も比較して、より信頼できる買取業者を見極めるためです。
なお、信頼できる買取業者を選ぶポイントは、「空き家買取業者選びのポイント」で別途解説しているので参考にしてください。
ステップ②売買契約
買取業者を1社に絞り、売買契約を締結します。
1番信頼できると感じた営業担当者が1番高い査定価格を提示した場合は、迷わずその買取業者と売買契約を締結しましょう。
問題は、信頼できると感じた営業担当者と高い査定価格を提示した担当者が異なる場合です。
その場合は、信頼できる買取業者に1番高い査定価格を提示し、買取価格の相談&交渉をしましょう。
誠実な担当者であれば、売主が希望する買取価格に近づけるよう、できる限りのことをしてくれますし、もしできないのであれば、できない理由を教えてくれるはずです。
契約する買取業者が決まったら、契約書にサインする前に、契約不適合責任免責の特約がついているか等、契約内容についてよく確認し、わからないことは何でも質問しましょう。
売買契約締結の際に、買取業者から手付金(買取金額の5~10%)が売主に支払われるのが一般的です。
ステップ③決済&引き渡し
契約後、手付金を除いた買取代金が振り込まれているのを確認したら、買取業者に空き家の鍵を引き渡して、取引は完了です。
売主は決済当日までに買取業者の指示に沿って、必要な書類を揃えておきましょう。
所有権移転登記ための司法書士の手配など、細かい準備は買取業者に任せて問題ありません。
ステップ④確定申告
売却して利益が出たら、翌年の2月16日~3月15日の間に、自身の住所を管轄する税務署にて譲渡所得税の確定申告をする必要があります。
確定申告の方法は「譲渡所得が発生したら確定申告が必要」で別途詳しく解説しています。
譲渡所得税の控除制度と併せて参考にしてください。
空き家買取業者選びのポイント
信頼できる買取業者選びのポイントをつご紹介します。
売主であれば、1円でも高く買い取ってほしいと思うのは当然ですが、査定価格ばかりに気を取られて営業担当者の態度を見極めないと、後々以下のようなトラブルに発展するおそれがあります。
【起こりうるトラブルの例】
- 契約不適合責任免責の特約がついていない
- (悪質な買取業者であれば)契約直前に買取価格を下げられる
- (買取費用を銀行の融資に頼ろうとしている買取業者であれば)銀行の融資が受けられなかった場合、契約直前に売買契約自体を取り消される
では、買取業者選びで注視すべきポイントを見ていきましょう。
空き家買取の経験が豊富であるか
空き家の買取実績が豊富な専門業者であるかチェックしましょう。
空き家は一般的な中古住宅とは異なり、老朽化が著しく進行していたり、相続によって共有名義になっていたり、様々な事情を抱えているケースが多くあります。
空き家の買取実績が豊富な専門業者であれば、空き家特有のトラブルにも慣れているため、柔軟に対応し、適切な価格で買い取ってもらうことができます。
弊社も空き家の買取実績が豊富な専門業者です。
空き家の売却をご検討の際はぜひ一度お問い合わせください。
また、以下の記事には、空き家買取の専門業者を多数掲載しています。

社会人としての常識があるか
営業担当者が社会人として常識的であるかチェックしましょう。
【具体的なチェック項目】
- 電話やメールのレスポンスが遅くても24時間以内であるか
- 服装や髪型などの身だしなみが整っているか
- 社会人として適切な言葉遣いをしているか
残念ですが、買取業者の中には直前になって買取価格を下げる等、悪質な業者が存在するのも事実です。
営業担当者の態度も細かくチェックし、信頼できる買取業者を見極め、トラブルがない売却を目指しましょう。
質問の答えに根拠があるか
売手の質問に対する答えに、根拠を持って答えてくれるかチェックしましょう。
具体的には「なぜこの買取価格になるのか」を質問し、不動産のプロとして根拠を提示して答えてくれるか確かめてください。
納得できる明確な根拠が得られなかったり、質問をはぐらかすような買取業者は信頼できるとは言えません。
また、その場では答えられない質問には正直に「わからない」と答え、後日明確な根拠を提示してくれるかどうかも重要なチェックポイントです。
デメリットも正直に話してくれるか
買取のデメリットも正直に話してくれるかチェックしましょう。
前述したように、空き家の売却を買取業者に依頼する場合は、仲介業者に依頼する場合より売却できる金額が安くなります。
そのような買取のデメリットも隠すことなく話してくれる買取業者は信頼できると言えるでしょう。
空き家を売却したら確定申告が必要
空き家に限らず、売却して利益が出たら譲渡所得税が発生するため、確定申告が必要です。
譲渡所得税とは、売却利益(譲渡所得)に対して発生する税金で、厳密には「所得税」と「住民税」のことを指します。
譲渡所得税=譲渡所得×税率
譲渡所得=空き家を売却した金額ー空き家取得にかかった費用(購入時の価格や購入の際の仲介手数料など)
譲渡所得に乗じる税率は、空き家の所有期間によって異なります。
売却した年の1月1日時点で所有期間5年以下(短期譲渡所得) | 売却した年の1月1日時点で所有期間5年超(長期譲渡所得) | |
---|---|---|
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
ただ、譲渡所得税は、非常に大きな控除特例がいくつかあり、大幅に減税される、もしくはゼロになる場合も少なくありません。
以下では、譲渡所得税の控除特例をご紹介します。
相続空き家の3,000万控除の特例
相続した空き家を売却した場合、一定の条件を満たせば3,000万特別控除が適用になります。
特例が適用されれば、譲渡所得から3,000万が控除され、結果的に譲渡所得税が大幅に減税される、もしくはゼロになります。
ただし、適用条件の1つは、相続があった日から3年経過する日が属する12月31日までに売却することです。
その他にも条件があるため、詳しくは国税庁のHPやチェックシートをご確認ください。
参照元:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
参照元:国税庁「3,000万円特別控除の特例チェックシート」

マイホームの3,000万控除の特例
所有者が住んでいる、もしくは住んでいた居住用の財産を売却した場合、一定の条件を満たせば、3,000万控除が適用になります。
相続空き家の特例と同じく、適用されれば譲渡所得から3,000万が控除されるため、結果的に譲渡所得税が大幅に減税される、もしくはゼロになる、非常に大きな特例です。
ただ、相続空き家の3,000万控除の特例との併用はできないので注意してください。
また、現在は住んでいない空き家を売却する場合は、居住しなくなった日から3年経過する日の属する12月31日までに売却しなければなりません。
その他にも条件があるため、詳しくは国税庁のHPをご確認ください。
空き家の売却前に知っておくべき注意点
最後に、空き家売却前に知っておくべき注意点をご紹介します。
相続登記を行ってからでないと売却できない
相続した空き家を売却する場合は、相続登記による名義変更を完了させてからでないと売却することはできません。
売買契約は、原則として登記簿上の所有者本人が行うものだからです。
もし、所有者本人以外も勝手に売買契約が締結できてしまったら、所有者は不動産という大きな財産を不本意に失う事態が頻発してしまいます。
所有者が亡くなっている(被相続人である)場合も例外ではありません。
売主である相続人を飛び越して、買い手に直接名義変更することはできないため、相続空き家を売却する際は営業担当者に伝えておきましょう。
所得費が不明だと譲渡所得税が高くなる
空き家の取得費が不明だと、通常より譲渡所得税が高額になる可能性があります。
相続した不動産の取得費が不明の場合は「売った金額の5%を取得費として、譲渡所得および譲渡所得税を計算する」というルールがあるからです。
仮に、1,000万で売却した空き家の取得費が700万だとわかっていれば、譲渡所得税は以下のような計算になります。
空き家を売却した金額:1,000万
購入時の取得費:700万
〔1000万ー700万〕×20%=60万
しかし、譲渡所得税がわからなければ、以下のような計算になり、譲渡所得税が高額になります。
購入時の取得費:わからない→1000万×5%=50万
空き家を売却した金額:1,000万
〔1000万ー50万〕×20%=190万
譲渡所得税が60万から190万に増額し、3倍以上になっていることがわかります。
制度の詳しい内容は、国税庁のHPをご確認ください。
抵当権抹消登記をしないと売却できない
抵当権が設定されている空き家は、原則として、抵当権抹消登記を行ってからでないと売却できません。
抵当権とは、金融機関などの債権者が、住宅ローンの担保として空き家の土地と建物に設定している権利のことです。
債務者(ローンの返済義務がある人)がローンの返済を数か月滞った場合、債券者は抵当権が設定された建物や土地を競売にかけ、競売代金で残ローンを回収することができます。
債権回収のために、債権者が該当の不動産を売却すること。法律上認められている。
抵当権が設定されていれば「せっかく購入した空き家が競売にかけられてしまうかもしれない」と買手は不安に感じるため、基本的に売却することはできません。
問題なくローンを完済していても、抵当権の設定は放置されているケースが多くあるため、売却の際には、必ず抵当権抹消手続きを済ませましょう。
まとめ
買取と仲介、それぞれの空き家売却の流れを説明しました。
空き家の売却方法は、一般の買手に需要があるか否かで判断します。
立地や築年数を考慮して、一般の買手に需要があれば仲介、なければ買取の流れに沿って売却しましょう。
記事内では、一般の買手に需要がない空き家でも適切な価格で売却するための買取業者の選び方なども解説しました。
また、売却前に知っておかなければいけない注意点や、売却後の譲渡所得税対策なども紹介しているので、記事の内容を参考に、空き家所有者の方がより良い売却活動ができれば幸いです。
弊社は、空き家の買取実績が豊富な専門業者です。
空き家の売却を検討し始めた所有者の方はもちろん、まだ売却を決めきれていない方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。