「空き家の買取相場は市場価格の70%」はあくまで目安
所有する空き家の買取相場を調べようとすると、「空き家の買取相場は市場価格の70%」と書かれたサイトをよく目にするかと思います。
しかし、この70%という数字は必ずしも正しくはありません。
なぜこのような説が広まっているのかをご説明します。
不動産の売却方法には「仲介」と「買取」がある
買取相場や市場価格について説明する前に、不動産の「仲介」「買取」2種類の売却方法について説明します。
仲介は、売主から不動産の売却を依頼された仲介業者が、SUUMOやアットホームなどのポータルサイトや様々な広告媒体を通して市場に広く物件情報を拡散させます。
そして主に居住目的である個人の買い手を探し、内覧や交渉を行って最終的に売買契約まで持っていく売却方法です。
対して買取は、売主から連絡を受けた買取業者が直接買主となって不動産を買い取ります。
買取業者は購入した不動産をリフォーム等して付加価値を付けて、再度販売する事業目的で不動産を購入します。
そのため買取業者なら、たとえばボロボロで売れにくい空き家などでも、リフォームが前提であるため買取りやすいのです。
不動産売買の市場価格とは仲介で成約した住宅の売買金額のこと
市場価格を辞書で調べると、以下の通りです。
市場において、需要と供給との関係によって現実に成立する価格
引用元:デジタル大辞泉 小学館
これを不動産売買に置き換えて考えると、売主から不動産の売却依頼を受けた仲介業者が、様々な広告媒体を通して市場に広く物件情報を拡散させ、最終的に買主との間で成立した売買代金=市場価格と言えるでしょう。
つまり、仲介業者を通して売買が成立した価格を市場価格と考えて間違いありません。
「空き家の買取相場は市場価格の70%」と言われる理由
前述したとおり、市場価格=仲介で成約した売買価格ですが、これに対して買取では、物件の市場価格から30%程度差し引いて買い取らなければ商売が成り立たないと言われています。
買取業者は物件を買い取った後に再販しますが、商品化するまでに「リフォーム費」「人件費」「登記や測量などの費用」を捻出したうえで、利益も残さなければ倒産してしまうからです。
この差し引かれる30%という数字が、買取相場が市場が市場価格の70%と言われる元凶だと考えられます。
中古住宅を買取業者に売却する場合に買い取ってもらえる平均的な価格のこと。
もちろん、この考え方自体は間違いではありません。
買取相場を表す計算式を敢えて提示するなら以下のようになります。
ただし、需要のあるエリアに所在し、問題なく売却できる中古物件であれば30%ほどの諸経費で売却できるかもしれませんが、40%や50%差し引かないと買い取れないケースもあります。
人気のないエリアであれば売れ残るリスクも価格に反映しなければなりませんし、状態の悪い空き家であれば、再販のために業者が負担しなければならない必要経費等が増えてしまうからです。
このように、空き家の買取相場が市場価格の7割と言われていることに具体的な根拠はなく、実際に買い取る空き家の所在や状態を調査し、再販のために必要となる費用を根拠として買取価格は決まります。
ここで、わかりにくくなりがちな「市場価格」「買取相場」「買取価格」それぞれの言葉の不動産売買における意味をおさらいしておきます。
- 市場価格
- 仲介業者を通して住宅の売買が成立した価格
- 買取相場
- 買取業者が住宅を買い取る平均的な価格
- 買取価格
- 実際に買取業者が住宅を買い取った価格
空き家の買取相場(概算)を自分で調べても買取価格とは大きく異なる
買取相場を自身で調べる方法はありますが、空き家の具体的な状況を反映させた価格を算出することはできません。
空き家が所在するエリアによっては再販しても売れ残ってしまうリスクがありますし、物件の状態によっては再販までに必要となるリフォーム費用や経費等に大きく差が出るからです。
例えば、「市区町村」「間取り(広さ)」「築年数」程度の分かりやすい条件から相場を予想したとしても、市街地へのアクセスのしやすさや、周辺にある施設、地域環境によってはニーズが大きく異なるため、物件ごとに買取価格に大きな差が出ます。
また不動産知識が無い個人が、空き家にどれぐらいのリフォームが必要かなどを正確に想像することは困難です。
そのため、いくらリフォーム費用等を想定してみても、実際の買取価格とは大きく離れてしまうことは十分あり得ます。
所有する空き家がいくらで売却できるのか、正確に知りたい場合には、空き家の買取を得意とする買取業者に査定してもらいましょう。
弊社の空き家を専門とした買取業者ですので、空き家の買取価格を知りたいという方はお気軽にご連絡ください。
>>空き家の買取査定はこちら
とはいっても、買取相場をまずは自分で調査してみたいという方は少なからずいるかと思います。
その場合には下記方法で計算してみてください。繰り返しになりますが、あくまで概算です。
市場価格と想定されるリフォーム費用等から算出する
所有する空き家の市場価格と、その空き家を利用する際に必要となるリフォーム費用から、下記の計算式で買取相場を算出できます。
ここからは算出に用いる各項目の調べ方を紹介します。
- 市場価格
- リフォーム費用(概算)
- 買取業者の利益と諸経費(概算)
市場価格を調べる
はじめに、所有する空き家の市場価格を調べます。
基本的にはまず「一般のポータルサイト」でいくらで売り出されているかを把握できます。
所有する空き家に近い物件が一般のポータルサイトで見つからなかった場合は、「REINS Market Information(不動産流通機構)」「土地総合情報システム(国土交通省)」を使って実際の成約事例を確認できます。
基本的にはポータルサイトを使って調査する
所有する空き家と条件が近い物件の売り出し価格を調査しましょう。
SUUMO、at home、HOME’S等で調べれば間違いありません。
具体的には以下のような項目を絞り込めば類似した物件が表示されるはずです。
- 物件種別(中古一戸建て)
- 詳細エリア
- 土地面積
- 建物面積
- 間取り
- 駅徒歩分数(都市部であれば)
- 築年数
ただし、ポータルサイトの掲載金額はあくまで売り出し価格であり、最終的な売買価格ではありません。
不動産の売買では、「値下げ」や「金額交渉」されることが一般的なので、掲載金額と異なる金額で成約しているケースも多いからです。
土地総合情報システムを使った調査方法
土地総合情報システムは国土交通上の運営サイトです。
不動産の売買が行われた際の所有権移転登記の情報から買主を把握してアンケートを送付し、返送されたアンケート結果から成り立っています。
ポータルサイトとは違い、最終的に成立した売買価格を確認できますが、返送されたアンケート結果分しか物件が掲載されないため、情報量はかなり少なめです。
また、絞り込めるのは下記項目のみです。
絞り込み項目
- 取引時期
- 種類(宅地、中古マンション、農地、林地)
- 地域を選ぶ住所から探す(都道府県・市区町村・地区)
- 路線や駅から探す(地方・路線・駅)
なお、検索結果に表示されるのは以下の内容です。
- おおまかな所在地
- 最寄り駅と距離
- 取引総額(土地と建物の合計)
- 土地の面積・形状
- 建物の延床面積・建築年・構造・用途
- 前面道路の幅員・種類・方位
- 取引時期
その他
REINS Market Informationを使った調査方法
REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)とは、全国の不動産業者のみが閲覧できるサイトを、個人でも見れるよう新しく作られたサイトです。
比較的多くの物件が掲載されていますが、物件情報が登録されていない県や、検索結果が100件に満たない県については物件情報を確認できません。
【登録されていない又は100件に満たず物件情報が表示されない県(戸建ての場合)】
青森 | 福井 | 宮崎 | 沖縄 |
秋田 | 鳥取 | 香川 | 岩手(100件未満) |
山形 | 島根 | 愛媛 | |
長野 | 山口 | 徳島 | |
山梨 | 高知 | 佐賀 |
検索結果が表示される地域であれば、下記追加検索条件を加えて再検索が可能です。
追加検索条件
- 地域詳細
- 土地面積
- 建物面積
- 間取り
- 築年数
- 成約時期
ただし、下記項目については情報が掲載されていないため、所有する空き家の実際の買取価格とは大きく異なる可能性が十分あります。
- 直近で大規模なリフォームをしているのか?
- 周辺環境は問題ないか?
- 再建築不可物件ではないか?
ちなみに再建築不可物件とは、所有する土地が接している道路の種類と接している長さによって、家屋を解体した後新しく家屋を立てられない物件のことです。
現在建てられている建物を解体したあと、新たに建物を建てられない土地。都市計画区域と準都市計画区域にあり、建築基準法で定められた『接道義務』(緊急車両の経路確保のため、幅員4m以上である建築基準方上の道路に、建物の敷地が2m以上接していなければならないこと。)を満たさない敷地を指す。
以上のサイトから、所有する空き家と類似した物件を見つけられたかと思います。
以降で、リフォーム費用と買取業者の諸経費を算出し、合わせて市場価格から差し引いて買取相場(概算)を計算していきます。
リフォーム費用を算出する
次に、リフォーム費用(概算)を算出します。
リフォーム費用(概算)は一般的に5万(円/㎡)とされているため、下記計算式で算出できます。
ただし、老朽化が激しい空き家や、雨漏り箇所やシロアリ被害がある空き家、アスベストが使用されている空き家であれば、10万(円/㎡)程度を見積もる必要があります。
【修繕費用目安(参考)】
雨漏り補修 (屋根の張替え工事は含まない) |
5万円~20万円 ※外壁からの重度の雨漏りの場合は数百万円単位の費用が必要になることもある |
---|---|
シロアリ被害 | (部分的な被害の場合)シロアリ駆除含め50万円前後 |
(床下全面被害の場合)300万円前後 |
参照元:ホームプロ
参照元:ファインドプロ
仮に雨漏り箇所やシロアリ被害等が無かったとすると、前述した例から延床面積は120㎡なので、
諸経費を算出する
最後に、市場価値から買取業者が再販までに必要とする諸経費(概算)を算出します。
一般的に会社を運営していくためには、20%~30%の諸経費を見込む必要があります。これは不動産の買取業者においても同様です。
買取業者が空き家を購入してから再販するまでには、空き家売却にかかる人件費や、営業を支える事務員にかかる人件費、登記や測量の費用、その他会社を運営していくために必要な費用等がかかり、さらに利益を生み出すためには、およそ市場価格のうち20%~30%は諸経費として必要であると考えられるからです。
空き家は築年数が経過していたり、老朽化が進行しているなど、一般的な中古住宅よりも再販にかかる費用が高くなるため、市場価格のうちの40%や30%、あるいはそれ以下の買取価格になってしまうことも十分あり得ます。
仮に諸経費(概算)が市場価格の30%とすると、前述した例より市場価格は2000万円なので、この場合の諸経費(概算)は
このように算出されます。
買取相場(概算)の計算例
以上より、
- 市場価格 :3000万円
- リフォーム費用:600万円
- 諸経費(概算):900万円
よって、この場合の買取相場(概算)は
繰り返しになりますが、この計算式は、あくまで簡易的な買取価格の想定であって、全く違った金額になる可能性も十分あります。
詳しくは空き家専門の買取業者に査定して貰うことをオススメします。
弊社も、空き家の無料査定を行っております。無理な営業などは一切ありませんので、安心してお問い合わせください。
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以降では、実際に買取業者が買取価格を決定する際にはどのような要素から判断しているのか、説明していきます。
買取業者はココを見てる!買取価格を左右する空き家の要素
ここまで買取相場(概算)の算出方法を紹介しましたが、実際の買取価格は所有する空き家のさまざまな要素を見て買取業者が査定します。
そのため、正確な買取価格は実際に買取業者に依頼しなければわかりません。
買取業者が空き家を査定する際には、主に以下の項目をチェックして買取価格を決定します。
- 空き家の管理状態
- 主要な駅や市街地までのアクセス
- 学校や生活に必要な施設へのアクセス
これらの要素によっては、買取相場からかけ離れた買取価格になる可能性も十分にあります。
たとえば、前述した計算式に従って買取相場を算出した結果、数百万円の買取相場になったとしても、極端な話、山奥などの僻地にある空き家の場合にはいくら買取業者でも購入後に利益を生み出せません。
つまり、どんなに安くても買えない場合もあるのです。
このようなケースもあるため、正確な空き家の買取価格を知りたい方は買取業者に連絡して査定を受けてください。
それではここからは、どのような要素がなぜ買取価格に影響するのか、それぞれの項目について説明していきます。
弊社でも空き家を専門とした買取を行っております。まずは一度ご連絡ください。
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空き家の管理状態
空き家の管理状態が悪いと、買取相場より買取価格が低くなってしまいます。
前述したとおり、買取業者は空き家購入後にリフォーム等を行って再度販売することを目的としているため、空き家の管理状態が悪ければ再販にかかるリフォーム費用等が増額してしまうからです。
管理状態が悪い例
- シロアリ被害にあっている
- 何か所も雨漏りしている
- 電気配線が切れてしまっている
- キッチンや風呂場などの交換が必要
たとえば、同じ築20年であっても、管理状態が良く壁紙や床材の張替え等だけで再販が可能な空き家と、管理状態が悪くキッチンやバストイレ、その他設備や配管、配線等も取り替えなければならない空き家とでは、再販に必要となるリフォーム費用等は大きく異なります。
このように、管理状態によって再販に必要なリフォーム費用は変化するため、買取相場と比較して買取価格は変化します。
逆に言えば、築年数が経過しているわりに管理状態がよく、目立った設備不良等が少なければ、買取相場より高く買い取ってもらえる可能性もあります。
主要な駅や市街地までのアクセス
駅やバス停までの距離、市街地までの距離が遠いなど利便性が低いエリアだと、買取相場よりも買取価格が低くなる可能性があります。
当然、居住するなら交通の便が良いエリアのほうがニーズが高く、利便性が悪いエリアはニーズが低いからです。
たとえば都心の場合は最寄りの駅やバス停まで、地方の場合は市街地までの距離が遠いほど買取価格は低くなります。
反対に、ボロボロな空き家でも主要な駅から徒歩数分である場合等には、買取相場よりも高値で買い取ってもらえることもあります。
学校や生活に必要な施設までのアクセス
学校や生活に必要な施設が近くにない場合、買取相場よりも買取価格が低くなる可能性があります。
子育て世帯や新婚世帯にとっては、今後の通学や通勤等が不便になるような場所をあえて選ぶことは少なく、ニーズも低いからです。
生活に必要な施設の一例
- スーパー
- コンビニ
- 商店街
- 郵便局
- 役所
- 病院
ただし、今現在は市街地が周辺になくても、開発中であるエリア等であれば今後利便性の向上が見込まれることから、買取相場は高くなる傾向があります。
買取ならほぼ確実に空き家を売却できる
前述したように、不動産の売却方法には仲介と買取の2種類がありますが、空き家を売却するなら買取一択です。
不動産の売却方法である仲介と買取のそれぞれの売却方法をおさらいすると、両者の売却方法の異なる点は以下の通りです。
【仲介と買取の主な違い】
売却方法 | 買主 | 買主の 購入目的 |
概要 |
---|---|---|---|
仲介 | 個人 | 主に居住目的 | 売主から依頼された仲介業者が、3か月から半年以上かけ、SUUMOやアットホームなどのポータルサイト等に空き家の情報を掲載する等の販売活動を行い、 購入希望者を探す。 |
買取 | 買取業者 | 事業目的 | 空き家をリフォームや改装して付加価値を付けることで利益が見込めると判断すれば、査定価格を提示し、売主との金銭的な合意が得られれば即売買が成立する。 |
このように買取は、リフォーム等を行って再度販売することが目的です。
そのため購入後にリフォーム費用等がかかり、市場価格よりも買取価格が低くはなりますが、どんなにボロボロな空き家であっても、買い取ることが可能になります。
空き家は買取で売却すべき理由
このような仕組みの違いから、空き家が買取での売却が勧められる理由がいくつかあります。
なぜ空き家の売却には買取がお勧めされるのか、その理由について解説していきます。
売却にかかる期間が短いから
仲介の売却では、買主希望者が現れるまで3か月から半年以上をかけて広告宣伝等を行います。買主希望者が現れると内覧や交渉を行い、最終的に双方が合意すれば売買契約を締結します。
ただしこれは一般的な中古住宅を売却する際の期間であり、空き家の状態や所在するエリアによっては数年単位で売れ残ってしまうこともあります。
空き家になってしまう場合の多くは、管理状態が粗悪だったり、老朽化が進行していたり、購入したところで利便性が悪く住みづらいエリアに所在しているからです。
そのため、居住目的である個人を買主とする仲介での売却では、空き家の買い手がなかなか見つからないことが多くあるのです。
たとえば築年数が10年程度など比較的新しくすぐに居住できる空き家だったり、駅から徒歩数分など利便性が高い空き家なら、仲介であっても3か月や半年程度の期間で売却が望めます。
対して買取での売却は、売主である空き家所有者から連絡を受けた買取業者が物件の査定を行い、再販して利益が見込めると判断すれば査定価格を提示します。
そのため、売主である空き家所有者と買主である買取業者の間で買取価格に合意があれば、最短7日ほどで売買契約が成立し、空き家を現金化できます。
このようなメリットから、すこしでも早く空き家を現金化したいという人は特に買取一択と言えます。
空き家所有者が解体やリフォームをする必要がないから
仲介で売却する場合、少しでも買主を見つけやすくするため、リフォームや解体を行ってから売却するよう仲介業者から勧められることがあります。
空き家は20~50年など築年数が経過していたり、長らく人が居住していなかったことから老朽化が進行してしまい、居住目的で住宅の購入を検討している個人にとっては対象外になってしまうことがほとんどだからです。
しかし、高額な費用をかけてリフォームを行っても、結局住宅としての需要がないようなエリアに所在している場合や、個人の趣味に合わないリフォームをしてしまった場合等には結局売れ残り、リフォーム費用分が赤字になってしまうこともあります。
仲介で売却するとしたら、駅から徒歩5分未満など利便性が高い空き家などは居住用のニーズが見込めるので、リフォーム等の費用をペイできるくらいの金額で売却できる可能性はあります。
一方買取での売却であれば、空き家所有者が事前に費用をかけてリフォーム等を行う必要はありません。
なぜなら、買取業者はリフォームや解体等を行って再度販売することを前提として物件を購入するため、空き家がどんなにボロボロな状態でも、再販による利益が見込めれば買い取れるからです。
ただし、もちろん空き家の状態が良くリフォーム等を行うべき範囲が少ない方が買取価格は高くなりますし、ボロボロであるほど買取価格は低くなります。
ですが、少なくとも赤字になることはありません。確実に利益を得ることができるのですから、空き家を処分したい人にとってはかなり大きなメリットと言えます。
契約不適合責任の一切が免責されるから
仲介で空き家を売却する場合は、契約不適合責任は免責されません。
なぜなら、免責事項が多いほど購入後の保証が無くなり、買主にとってのリスクが過大になってしまうからです。
そのため、仲介で売却後に不適合箇所が見つかった場合、売主である空き家所有者が修繕費用等を負担しなくてはいけません。
物件の売買が完了したのち、契約書に記載が無い欠陥や不具合(雨漏りやシロアリ被害、家の傾き等)を買主が発見したとき、売主が負う責任。この責任を問われると、欠陥や不具合があった箇所を売主が費用を負担して修繕したり、最悪の場合売買契約自体を取り消されてしまうこともある。
一方、買取業者に空き家を売却すれば、売買契約時の特約によって契約不適合責任の一切が免責(責任が問われないこと)されます。
なぜなら、前述のとおり買取業者はリフォーム等を行うことが前提で物件を購入するため、不具合や欠陥の有無は関係ないからです。
ただし、契約不適合責任を免責としない買取業者も稀にいますので、契約不適合責任の全部免責とする特約をつけるのかを見積りをもらった時点で必ず確認しましょう。
空き家を買取相場よりも高く売却する方法
せっかく空き家を売却するなら、できるだけ買取相場よりも高く売却したいですよね。
そんなときに重要なポイントとなるのは、主に下記の3点です。
- 空き家の取り扱いが得意な買取業者に頼む
- 複数の買取業者に依頼する/li>
- 金額の交渉をしてみる
それぞれ紹介していきます。
空き家の取り扱いが得意な買取業者に頼む
まず、空き家専門の買取業者を複数社選びます。
空き家は想像以上に老朽化が早く、簡単には見つけられないような欠陥を持っていることもあるため、空き家の専門知識や売買のノウハウを持つ買取業者を選びましょう。
弊社は、空き家専門の買取業者ですので、他の買取業者と合わせてぜひご検討ください。
>>空き家の買取はこちら
複数の買取業者に依頼する
次に、選んだ複数の買取業者に空き家の買取価格の見積りを依頼しましょう。
買取価格を比較するだけでなく、営業担当者の信頼度を比較するためにも複数社の買取業者に見積りを依頼する必要があります。
できるだけ高く売却することも重要ですが、他の買取業者と比較して高すぎる場合にも注意が必要です。
なぜなら、はじめに高い査定価格を提示しても、売買契約を締結する直前になって金額を下げてくるなどの業者がいるからです。
査定価格にどのような根拠があるのか等も重要ですので、複数の買取業者に見積を依頼し、下記の点にも注意して実際に電話や連絡をして、信頼できて尚且つ高く買い取ってくれる買取業者を選びましょう。
- 査定価格や質問の応答に根拠があるか
- 売主にとってのメリットだけでなく、デメリットやリスク等も説明してくれるか
- 折り返しの電話やメールの返信は遅くないか
- むやみに売却を急かしてこないか
必要に応じて買取価格を交渉して一つの買取業者に絞る
やりとりを通して1番信頼できると感じた買取業者が、最も高い見積金額を提示した場合は、その買取業者に依頼しましょう。
1番信頼できる業者と1番高い見積金額を出してくれた業者が異なる場合は、信頼できると感じた買取業者に1番高い見積金額を提示して買取価格を交渉してみましょう。
必ずしも提示した高い金額で買い取ってもらえるとは限りませんが、できるかぎりの対応をしてくれる可能性はあります。
数万円程度の誤差であれば、1番見積金額が高い買取業者より、1番信頼できそうな買取業者に頼んだ方が安心です。
売買契約締結の直前になって買取価格を下げてきたり、売却後に契約不適合責任がついていなかった等のトラブルを回避するためです。
空き家の売却後に使えるおトクな特例
不動産を売却したあとには税金の支払いが発生します。
しかし特例を活用すれば、支払わなければならない税金の金額を抑えることが可能です。
売却した空き家が特例の条件を満たし、適切に手続きすれば、税金を抑えて手元に多く現金を残すことができます。
ぜひチェックしてみてください。
相続した空き家の3000万円特別控除
通常、不動産を売却した場合には売却額に応じて譲渡所得税を支払わなければなりません。
譲渡所得税は、空き家を取得するのにかかった費用やその他諸経費を売却額から差し引いた額(譲渡所得)に対して、所有期間に応じた税率をかけて算出されます。
しかし相続によって得た空き家の売却であれば、譲渡所得から3000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」通称「空き家特例」が適用されるかもしれません。
ただし、控除を受けるための条件はかなり厳しく、適用される期間は令和5年(2023年)12月31日までの売却に限ります。
条件の一部は下記の通りです。そのほかの適用条件や手続き方法等については相続空き家の売却額から3000万円控除|条件と申請方法をご覧ください。
適用される空き家の条件(一部)
- 昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた
- 被相続人が1人で住んでいた
- 相続から売却までずっと空き家
- 新耐震基準を満たしている、または耐震リフォーム済み
- 売主と買主が、親族など特別な関係でない
- 相続開始日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却
10年超所有軽減税率の特例
10年以上所有した空き家、又は家屋解体後の更地を売却した場合、譲渡所得税の税率が軽減される特例です。
ただし、売却した年の1月1日時点で空き家の所有期間が10年を超える必要があります。
また、更地にした土地にこの特例を適用するためには、家屋を解体した日から1年以内に売買契約が締結され、尚且つ住まなくなった日から3年が経つ年の12月31日までに売却していなければなりません。
この特例の特筆すべき点は、前述した3000万円控除の特例と併用が可能な点です。
下記のように、譲渡所得が6000万円未満であれば税率が下がるので、3000万円控除を併用してさらに手元に残る金額を大きくしましょう。
譲渡所得額 | 6,000万円以下の部分 | 6,000万円超の部分 |
---|---|---|
譲渡所得税率 | 14.21% | 20.315% |
相続した空き家の取得費加算の特例
相続や遺贈によって取得した空き家を売却した場合、譲渡所得の計算に用いる取得費に、相続時に支払った相続税の一部を加算できる特例です。
相続税の一部を取得費に加算できることで、その分譲渡所得にかかる所得税を抑えられます。
この特例を利用するには、相続税の申告期限の翌日から3年が経つまでに譲渡している必要があります。
またこの取得費の特例を申請できるのは、下記要件を全て満たした人です。
- 相続、遺贈等によって空き家を取得した人
- 空き家を取得した人が相続税を納めた人
- 相続した空き家を相続開始日から3年10ヶ月以内に売却していること
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、空き家の買取相場の調べ方や、買取相場よりも高く空き家を売却する方法等について紹介しました。
空き家の買取相場は、あくまで類似した物件がいくらで売れたのか等の情報からおおよその金額を推測することしかできません。
なぜなら空き家の買取価格は、築年数や構造だけでなく、実際の空き家の状態や駅・市街地等へのアクセスの良さなどによっても大きく異なるからです。
そのため、所有する空き家をいくらで買取ってもらえるのかを調べるなら、直接買取業者に見積もりを依頼しましょう。
また、空き家売却後には譲渡所得税の支払いが発生しますので、所有する空き家に適用できる特例があれば積極的に活用し、税金を安く抑えることで手元に残る金額を多くできます。
弊社でも空き家の買取を積極的に行っています。全国どこでもお見積りできますので、ぜひご連絡ください。
>>空き家の買取相場を調べるよりもまずは査定!