「空き家差し上げます」を実現できるサイト4選
「空き家を無償譲渡したい」
「空き家をタダでもいいからもらってほしい」
このように、空き家を無料ででも譲りたい方は、まず空き家を欲しがっている個人に対し、ネットを使って物件情報を広く掲載してみましょう。
空き家の物件情報サイトに一度掲載するだけで、多くの人に見てもらうことができ、その分売却に繋がりやすくなります。
それでは、空き家の物件情報を掲載する4つのサイトをご紹介します。
上記のサイトは基本的にどれも無料で空き家情報の掲載が可能です。
ただし、仲介業務(契約時のサポート等)を行っているのは「家いちば」「空き家バンク」(一部)のみです。
「みんなの0円物件」「空き家ゲートウェイ」で実際に空き家を譲渡する際には、売主自身で司法書士や弁護士等に依頼しましょう。
そのほか、サイトによって特色が異なるので、自分の好みに合ったサイトを見つけ、掲載してみてください。
みんなの0円物件
みんなの0円物件は、0円の空き家又は土地のみを掲載しており、国土交通省による「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」にも採用されている不動産マッチングサイトです。
参照元:国土交通省
掲載料は完全無料ですが、プランによっては費用を支払うことでサポートを依頼できます。
掲載から数日で成約している物件もあるので、とにかく0円でいいから空き家を早く手放したい人におすすめのサイトです。
掲載されている物件の特色
みんなの0円物件に掲載されている物件は、前述した通り0円物件のみです。
逆に言えば、0円であること以外に条件は明記されておらず、実際に下記のような空き家等の物件情報も掲載されています。
- 遠方にある片づけ前の実家
- 管理していない土地
- 空き店舗
- 廃業予定の商店
- 再建築不可物件
- ビル
- 工場
- 倉庫
- 蔵
- 農地
掲載までの流れ
空き家情報を掲載する流れは下記の通りです。
それぞれ説明します。
掲載申し込み
まずは、「掲載申込フォーム」または「LINE公式アカウント」に、0円で譲渡したい空き家の物件情報を記載し申し込みます。
掲載申込フォームへの記入内容は下記の通りです。
- 名前
- 住所等の基本情報
- 利用プラン
- 物件種別
- 物件の所在地
- 名義人
- 今の空き家の利用状況
- 構造や面積
- 築年数
など
原稿確認及び物件情報公開
次に、掲載申し込みで提供した情報をもとに、同サイトのスタッフが掲載内容の原稿を作成し、空き家所有者に連絡が来ます。
送られてきた掲載内容の確認が出来次第、物件情報が公開され、募集を開始します。
なお、公開後も掲載内容の修正は無料で何度でも可能です。
掲載や売買にかかる必要経費
物件の掲載料は完全無料です。
「おまかせプラン」(16.5万円)を選択することで、問い合わせ対応や交渉、契約書の作成や所有移転登記の手続き等のサポートの依頼もできます。
ただし、仲介業務を行ってもらえるわけではないため、契約時には売主自身で司法書士や弁護士等に依頼する必要があります。
空き家ゲートウェイ
空き家ゲートウェイは、無償の空き家は扱っておらず、100円又は100万円での売却に限定した100均空き家流通サービスです。
同サイトでは、所有者から得た情報をもとに、物件一つ一つにライターが執筆した紹介記事を掲載しており、物件の内装や外装、地域の様子等を高い熱量の文章と写真で具体的に紹介するので、空き家の魅力をより引き立ててもらえます。
また、「この空き家ではこんなことができそう!」など、物件情報を見た人からのコメントも掲載されるので、所有者には想像できなかった活用目的で購入してもらえることもあります。
ただし、基本的に掲載されるのは地価が低い土地に所在する空き家等のみです。
そのため、活用方法が無かったり、利便性が低い等の理由で空き家が売れずに困っている所有者に特におすすめです。
掲載されている物件の特色
ボロボロだったり家屋に私物が残っているなど、リフォームや片付け等を必要とする空き家や、土地のみの物件も多く掲載されています。
ただし注意点をあげるとすれば、地価を査定基準にしているため、掲載できるのは「物件査定」で100均物件の可能性があると判断された物件のみであることです。
そのため、土地価格が高い、たとえば市街地や都会(特に東京23区内や大阪、神奈川など)に位置した物件等は掲載できない可能性があります。
掲載までの流れ
空き家情報を掲載する流れは下記の通りです。
それぞれ説明します。
物件査定依頼
まずは、ホームぺージの「物件査定」で、物件情報を掲載したい空き家の所在地の郵便番号又は地名までを入力し、簡易査定を受けます。
所在地の土地価格等をもとに、100均物件の可能性があると判断されれば、物件情報の掲載が可能です。
物件掲載依頼の問い合わせ
物件査定依頼で掲載が認められた場合、そのまま追加情報を送るフォームが表示されます。
記載する主な情報は下記の通りです。
- 空き家所有者の名前や連絡先
- 希望売却価格(100円or100万円)
- 物件の建物構造
- 築年数
- 建物面積
- 土地面積
- 間取り
- 交通アクセス
- 現在の改修状況
- 物件の写真
- その他物件への思いやエピソードなど
物件情報公開
入力し送信した情報をもとに、ライターがサイト掲載用の記事を作成し、物件情報が掲載されます。
掲載や売買にかかる必要経費
物件の掲載、成約時の手数料などは一切かかりません。
ただし、仲介業務を行ってもらえるわけではないため、契約時には売主自身で司法書士や弁護士等に依頼する必要があります。
家いちば
家いちばは、売主と買主が直接商談のやり取りをする「セルフセル方式」を採用した不動産売買の掲示板サイトです。
他の空き家マッチングサイトと異なる家いちばの大きな特徴は、売主自身がサイト上で空き家を売り込み交渉するため、売主と買主の双方が相手を選べる点にあります。
そのため、金額だけでなく、「思い入れのある資産を大切に使ってほしい」「信頼できそうな人から購入したい」など、人柄で買主を選びたい人におすすめです。
掲載されている物件の特色
空き家だけでなく、農地や山林のほか、一部海外の物件情報もごくわずかですが掲載されています。
掲載できる物件に条件はなく、売り出し価格が決まってなくても掲載が可能です。
掲載までの流れ
空き家情報を掲載する流れは下記の通りです。
それぞれ説明します。
物件掲載依頼
ホームページの「売ります」内の投稿フォームへ進み、必要な情報を入力します。
投稿フォームに入力する主な情報は下記の通りです。
- 物件の住所
- これまでの経緯と今の状況
- 買い手への希望・条件(価格や時期など)
- 物件のウリとイマイチなところ
- 土地面積
- 建物面積
- 構造
- 現況
- 希望価格
物件掲載内容の確認及び公開
掲載内容の確認メールが届くので、確認出来次第メールを返信すれば、掲示板に物件情報が表示されます。
掲載や売買にかかる必要経費
売買成約時に手数料を支払う必要がありますが、一般的な不動産仲介業者の半額程度に抑えられています。
同サイトでは、必要に応じて売主や買主自身が直接役所や法務局等を訪問して説明を聞いたり交渉したりするなど、売主と買主が主体となって売買を行うため、その分の費用が削減されているからです。
手数料には、売買契約時に必要な司法書士等の手配も含まれているので、自身で司法書士や弁護士等に依頼する必要はありません。
具体的な手数料の計算式は下記の通りです。
【媒介報酬分】
売却額 | 媒介報酬分 |
---|---|
売却額が200万円以下 | 売却額の2.5%+消費税 |
売却額が200万円以上400万円以下 | 売却額の2%+1万円+消費税 |
売却額が400万円超 | 売却額の1.5%以内+3万円+消費税 |
【基本料】
売主(システム登録料) | 8万円 |
---|---|
買主(成約基本料) | 6万円 |
空き家バンク
空き家バンクとは、空き家を売りたい・貸したい空き家所有者が、自治体が運営するHPに空き家情報を無料で掲載し、購入・賃貸希望者を募るシステムです。
なお、自治体によっては空き家バンクへの登録を条件に、リフォーム費用等を補助する制度が設けられています。
自治体による補助金の事例は下記の通りです。
【高知県香美市の補助金事例】
補助対象者 | 次のいずれかに該当する者 |
---|---|
・空き家の所有者 | |
・10年以上居住予定の者等 | |
補助金交付要件(一部) | 空き家バンクに登録していること。 |
市税等の滞納者や暴力団員で無いこと。 | |
年度末の3月15日までに工事が完了する改修工事であること。 | |
新耐震基準を満たさない空き家を改修する場合は、耐震工事を優先 すること。 |
|
施工業者は市内に事務所、事業所を有する法人または個人事業主を 優先すること。 |
|
補助対象工事内容 | 耐震基準を満たすための工事 |
屋根・外壁の改修 | |
台所・浴室・トイレの改修や設備改善 | |
床板・畳の取り替え等 | |
補助率 | 3分の2以内(千円未満切り捨て) |
補助限度額 | 121万6千円 |
参照元:高知県香美市空き家改修補助金
そのため空き家バンクは、補助金を使って安くリフォーム等をしてから売却を試みたい!という方におすすめです。
たとえば、不動産知識や建築関係の知識を持っている方であれば、補助金等を利用してリフォームしたうえで、掲載料をかけず、仲介手数料も節約して空き家を高く売却できる可能性があります。
掲載されている物件の特色
各自治体で定められた条件に適用している物件のみ、掲載が可能です。
多くの自治体で共通する空き家バンク登録の条件は以下のとおりです。
- 該当する各自治体に存在する空き家
- 不動産業者と売却の契約をしていない空き家
- 建築基準法を犯していない空き家
- 各自治体の最高責任者(市長など)が不適切と判断しない空き家
- 相続登記が正しく完了している
ただし、空き家が所在する地域の空き家バンクにしか登録できないので、あくまでその地域で空き家を探してる人にしか情報は伝わりません。
掲載までの流れ
空き家バンクに物件情報を掲載するには、まずは空き家バンクに登録する必要があります。
空き家バンクへの登録から物件掲載までの流れは、自治体によって異なりますが、多くの場合下記のような流れで行われます。
それぞれ説明します。
自治体の空き家バンク担当課に書類を提出する
空き家バンク登録のために必要な書類を用意し、空き家バンクの担当課に提出します。
用意する書類は、以下の6つです。
- 空き家バンク登録申込書
- 空き家バンク登録カード
- 土地及び建物の登記事項証明書
- 所有者の納税証明書
- 物件の図面
- 本人確認ができる書類(運転免許証など)
ただし、上記以外の書類が必要な自治体もあるので、事前に自治体窓口にて確認してください。
自治体職員が行う物件の現地調査に立ち会う
書類を提出し、空き家等の状態や使用状況、周辺環境を確認したのち、問題がなければ現地調査を行う日取りを決定します。
当日は空き家所有者も現地に行き、自治体の職員と共に空き家の調査に立ち合います。
空き家バンクに登録&物件情報公開
申請書類や物件の現地調査をもとに審査を受け、通過できれば空き家バンクに物件が登録され、物件情報が公開されます。
掲載や売買にかかる必要経費
空き家バンクへの物件掲載は無料です。
ただし、自治体は仲介業務を行わないため、仲介手数料を支払って自治体と業務提携している仲介業者に依頼するか、自身で司法書士等に依頼して個人間で契約を行うことになります。
自治体や法人への寄付はほとんど受け入れられない
前述したとおり、個人の買主を探す場合には、サイト等を使ってネット上で買主希望者を募ることができます。
一方、個人でなく、自治体や法人に対して無償譲渡する方法もあります。
ちなみに自治体や法人への無償譲渡は、公益的な利用のために受け取ってもらうものなので、厳密には寄付と表現されます。
しかし、自治体や法人への寄付は、どちらもほとんど受け入れられず、非現実的です。
理由について、それぞれ見ていきましょう。
自治体への寄付
不要な空き家を無料でもいいから手放したいとき、自治体に寄付を申し出ること自体は可能ですが、空き家や土地の処分方法としては現実的ではありません。
なぜなら、自治体への空き家等の寄付は、下記の理由からほとんどの場合断られてしまうからです。
【自治体が空き家の寄付を断る理由】
- 固定資産税による税収入が減るから
- 受け入れた場合、空き家等の管理費用を税金から支払うことになるから
このように、自治体の運営を支えているのは地域住民からの税金であるため、よほど公共の場としての大きな利用価値がない限り、寄付を受け入れてもらえません。
なお、空き家の寄付を受け入れてくれるかもしれない利用目的の一例は下記の通りです。
【自治体による空き家の利用目的一例】
- 防災倉庫の置場
- ポケットパーク(住宅街に位置する小さな公園)
- 住民の交流・集会場所
法人への寄付
自治体がダメなら法人に!という考えもあるかもしれませんが、法人への空き家の寄付は自治体以上に非現実的です。
なぜなら、空き家の寄付を受け入れた法人側に法人税の支払いが発生し、その後も管理費用を法人が負担し続けることになるからです。
このように、高額な管理費用をかけてまで、空き家を所有したいという法人は、ほぼいません。
また、売主に対してはみなし譲渡所得税が発生するため、空き家所有者にとっても利益は無く、むしろ損してしまう可能性もあります。
タダでも手放したい…空き家を所有し続けるリスク
ここまで、不要な空き家の貰い手を見つける方法についてご紹介してきました。
空き家をタダでもいいから手放したいと考えている方はすでにご存知かと思いますが、空き家は所有しているだけでも、以下のリスクを負ってしまいます。
そのため、いらない空き家を所有している場合はすぐにでも処分方法を検討しましょう。
弊社は空き家の買取に特化した買取業者です。
条件がそろえば最短3日で空き家の現金化も可能ですので、処分方法にお困りの方はまずご相談ください。
それでは、空き家を所有するリスクについて、それぞれ具体的に解説していきます。
年間で数十万円もの維持費用がかかる
空き家は使用せずただ持っているだけでも、固定資産税や管理費用等が年間数十万円かかります。
所有する空き家の所在地や、管理の方法等によっても大きく異なりますが、年間の維持費用の内訳は下記のとおりです。
【空き家の所有にかかる主な費用】
内容 | 目安金額 | 備考 |
---|---|---|
固定資産税 | 年間数万円~ | 空き家が受けた損害や、空き家が原因で起きた事故の損害賠償等を補償するため加入する必要がある。 |
火災保険料 | 年間数万円~ | 空き家を使っていなくても、毎年必ず支払わなければならない。 |
水道料金 電気料金 |
年間数万円~ | 解約しなければ、最低でも基本料金はかかる。 |
交通費 | 年間数千円~ | 自分で管理する場合には、毎月交通費が発生。
(例)東京~栃木の場合 |
委託費 | 年間数千円 ~10万円超え |
空き家管理代行サービスに委託する場合には、毎月委託費が発生。 |
このように、1年間で数十万円、数年放置しただけで100万円以上もの維持費用をかけてしまっている可能性があります。
空き家の火災保険についての詳細はこちら

空き家に必要な管理についてはこちら

急激に老朽化が進行し資産価値が下落する
人が住まなくなった空き家は、急激に老朽化してしまいます。
空き家は日常的に人の出入りが無く、溜まった湿気やカビ等をエサにシロアリなどが集まって柱や基礎等を腐食させてしまうからです。
このように、所有しているだけでも老朽化は進行してしまうので、資産価値は低下し続け、売却価格も下がっていく一方です。
逆に言えば、空き家をいずれ売却したいと考えているならば、今が最も価値が高いと言えます。
近隣に損害を与え賠償金を請求される
老朽化した空き家が倒壊したり、屋根や外壁が剥がれ落ちるなどして、隣接する家屋や通行人等に危害や損害を加えた場合、空き家所有者に対して損害賠償を請求されるおそれがあります。
所有物の管理を怠った結果事故を引き起こした場合、所有者に対して責任が問われるのは当然でしょう。
実際に家屋の倒壊によって隣接家屋の全壊・死亡事故が起きたケースを想定した損害賠償金額は、下記の通りです。
このように、空き家が原因で死亡事故が起きた場合、空き家所有者は2億円もの賠償金を請求されるおそれがあります。
危険な空き家は固定資産税6倍&罰金が科される
危険な状態であると判断された空き家は、自治体によって特定空き家に指定されます。
管理不足により著しく危険な状態であると認識された空き家
特定空き家に指定されると、自治体は空き家所有者に対して適切な管理にむけた「助言」「指導」を行います。
この時点で改善措置を行えばペナルティは科されませんが、無視して「勧告」されてしまうと、住宅用地特例の対象から除外され、以前の6倍もの固定資産税を毎年支払わなければなりません。
固定資産税の計算式は下記の通りです。
特例適用時 | 特例除外時 | |
---|---|---|
土地の固定資産税 | 評価額×1/6×1.4% | 評価額×1.4% |
建物の固定資産税 | 評価額×1.4% | 評価額×1.4% |
例えば、所有する空き家(150㎡)の土地の固定資産税評価額が1,500万円、建物の固定資産税評価額が500万円だった場合の土地および建物の固定資産税は下記のように算出されます。
土地の固定資産税=1,500万円×1/6×1.4%=3.5万円
建物の固定資産税=500万円×1.4%=7万円
計10.5万円
土地の固定資産税=1,500万円×1.4%=21万円
建物の固定資産税=500万円×1.4%=7万円
計28万円
このように、住宅用地特例が除外されると、1年間の固定資産税の負担がおよそ17万円も増加してしまいます。
さらに、「勧告」にも従わない所有者には「命令」が下され、違反した場合、50万円以下の過料(行政上の罰金)が課されます。
したがって、たとえ使わない空き家といえど、適切に管理しなければ、所有者は数万円から数十万円もの負担を負わなければなりません。
行政代執行により解体費用を強制徴収される
前述したように、特定空き家に指定されると、空き家所有者は適正管理に向けた「助言」「指導」「勧告」「命令」を受けることになります。
しかし、下記のような場合、自治体の行政代執行によって空き家が強制的に解体されます。
- 「命令」に違反した場合
- 指定された期間内での改善措置が明らかに不可能な場合
- 空き家の危険性の高さから対応が急務であると判断された場合
行政代執行とは、自治体が所有者に代わって空き家に必要な措置をとることで、執行費用は所有者が支払わなければなりません。
仮に空き家所有者が破産したとしても、自治体によって強制的に徴収されます。
行政代執行を受けた空き家の事例は下記の通りです。
和歌山県湯浅町で空き家の解体作業が開始。(令和4年(2022年)7月18日)
対象となった空き家は75歳女性が所有する木造2階建ての空き家3棟。瓦が落ちるなど老朽化が進行しており、倒壊の危険性から特定空き家へ指定。平成28年から指導や命令等を続けてきたが改善が見られず、行政代執行による解体が決定。
解体費用は約1,100万円で、空き家所有者に請求される。
このように、行政代執行により空き家が解体されれば、所有者は1件あたり数百万円もの費用を支払わなければなりません。
空き家を無償譲渡する際の注意点
前述したように、所有し続けても損しかない空き家は、タダでもいいから一刻も早く手放したいですよね。
ですが、空き家を無償で譲渡する場合でも、下記注意点があります。
【空き家を無償譲渡する際の注意点】
具体的にそれぞれ解説していきます。
無償譲渡契約書の作成が必須
たとえ個人間の譲渡であっても、所有権を移す登記手続きを行うために必要となる譲渡契約書の作成が必須です。
そのため、司法書士や弁護士等の専門家への依頼費用として、1件あたり1万円から5万円程かかります。
また、公的な書類である譲渡契約書を作成することによって、譲渡後に起こりうる下記のようなトラブルを避けるメリットもあります。
【不動産譲渡によるトラブルの一例】
- 無償で譲り受けた後、登録免許税や不動産取得税、贈与税などの出費がある事を知った
- 農地法の制限で所有権移転が出来ない事が譲渡後に発覚した
- 譲り受けた土地が、建築出来ない事を譲渡後に知った
- 譲り受けた土地の地中からコンクリート塊などのゴミが出てきた
- 当初聞いていた境界と隣地所有者が主張する境界が異なっていた
このように、契約時に「言った」「言ってない!」といういざこざを避け、気持ちよく空き家を手放すためにも、譲渡契約書の作成は非常に重要です。
不具合や欠陥があれば契約前に買主へ必ず全て伝える
たとえ空き家を無償で譲渡する場合でも、空き家に腐食箇所や雨漏り等の不具合があるなら、契約前に必ず譲渡する相手に伝えましょう。
いくらタダで譲るとはいっても、譲り主が把握していたにもかかわらず伝えなかった場合、譲渡相手からのクレームやトラブルに繋がりかねないからです。
最悪の場合、譲渡契約自体なかったことにされてしまうおそれもあります。
そのため、前述したとおり専門家のもと、把握している不具合等を明記した譲渡契約書を作成し、譲渡相手から了承を得たうえで、空き家を受け取ってもらいましょう。
みなし譲渡所得が発生する【個人から法人への無償譲渡限定】
個人から法人に無償譲渡(寄付)した場合、みなし譲渡所得が発生することがあります。
みなし譲渡所得とは、所有者が空き家を取得した時よりも、無償譲渡した時のほうが物件の時価が高い場合の差額分のことです。
この差額分が譲渡所得とみなされ、物件を譲渡した所有者側に譲渡所得税の支払いが発生してしまいます。
逆に、譲渡時の時価が取得費や譲渡費用を上回る場合、譲渡所得税はかかりません。
法人が寄付を受け入れることはほぼあり得ませんが、万が一寄付できたところで、利益がないどころか税金を支払うことになりかねません。
無償譲渡よりも空き家専門の買取業者で現金化しよう
なかなか売れず、もう無償でもいいからだれかに譲りたい!という空き家でも、空き家を専門とした買取業者なら、高確率&適正価格で買い取ってくれます。
買取とは、2つの不動産売却方法「仲介」「買取」のうちのひとつです。
仲介と買取では、主に買主と売却方法が異なり、この違いによって空き家を買取業者に依頼すべきメリットが生じています。
買取業者に空き家を買い取ってもらうメリットを解説する前に、まずは「仲介」「買取」それぞれの売却方法について簡単に説明します。
- 仲介
- 仲介業者が、居住目的で物件を探している個人消費者を買主として探す。仲介業者は3ヶ月から半年ほどかけ、SUUMOやアットホームなどのポータルサイト等に物件情報を掲載し販売活動を行う。募集を見て現れた購入希望者との内覧や交渉を経て、仲介業者を介して売主と売買契約を結ぶ。
- 買取
- 売主である物件の所有者から依頼を受けた買取業者が直接買主となる。買取業者は、買取後に適切なリフォーム等を行って再生し再販する、事業目的で物件を購入する。買取業者による査定ののち、買取価格等に合意すれば、売主と買取業者が直接売買契約を結ぶ。
以上のような売却方法によって、タダでも手放したい下記のような空き家であっても、買取業者なら買い取ることが可能になります。
買取が特におすすめな空き家の一例
- 早く売却したい空き家
- 駅や市街地から離れており居住ニーズが低い空き家
- 築年数が20年、30年を超える古い空き家
- リフォームが必要な空き家
- 長期間放置されている空き家
- 雨漏りやシロアリ被害などの心配がある空き家
空き家を買取業者に買い取ってもらうメリット
前述したように、空き家を買取業者に買い取ってもらうことで、空き家所有者にとって嬉しい下記のようなメリットがあります。
とにかく現金化がはやい!
買取では、買取業者が直接買主になるため、売主との間で金銭的に合意できれば、必要書類等が準備出来次第、1週間ほどで現金化が可能です。
一方、仲介で売却しようとすると、まずは3か月から半年以上かけて買主候補を探す必要があり、なかでも個人消費者からのニーズが低い空き家の場合、数年単位で売れ残ってしまったり、最悪の場合一生買い手が付かないことすらあり得ます。
個人消費者からのニーズが低い空き家の一例
- 老朽化しボロボロ
- 雨漏り等がありリフォームしないと住めない
- 駅や市街地から離れ交通の便が悪い
弊社は空き家や訳あり物件等を専門とした買取業者です。
いままで売却できなかった空き家でも、空き家買取のプロが責任を持って適正価格を提示いたします。
書類や条件等がそろえば最短3日で現金化できますので、まずは一度ご相談ください。
リフォーム費用や解体費用がかからない
買取業者は空き家買取後にリフォーム等を行うことを前提として買い取るため、リフォーム費用や解体費用の負担を空き家所有者が負うことは一切ありません。
また、空き家の取り扱いに特化した買取業者は、空き家に必要なリフォーム等を的確に把握し安価にリフォームしたうえで、高く売却するための知識や経験を豊富にもっているため、その分を上乗せして高く買い取ることが可能になっています。
一方仲介で空き家を売却する場合、個人消費者である買主からのニーズが少しでも高まるように、リフォーム等を行うよう仲介業者から勧められることがあります。
しかし、買い手にとって的外れなリフォームをしてしまったり、立地の悪さによるニーズの低さを補いきれず、結局売れ残ってしまうことがほとんどです。
もしリフォーム等を行ったのに売却できなければ、工事のための出費だけが残り、赤字になってしまいます。
契約不適合責任の一切が免責される
契約不適合責任とは、物件の売買完了後、契約書に記載が無い欠陥や不具合(雨漏りやシロアリ被害、家の傾き等)があった場合に売主が負う責任です。
つまり不動産売買においては、契約不適合責任によって仲介での売却の買主である個人消費者等を保護しています。
しかし、買取業者なら、前述のとおりリフォーム等を行うことを前提で空き家を購入するので、特約によって契約不適合責任の一切が免責されるのが一般的です。
そのため、どのような欠陥等があるかわからない空き家であっても、買取であれば売主は安心して手放すことができます。
空き家を買取業者に買い取ってもらう流れ
前項では、一見タダでなければ手放せなさそうな空き家であっても、買取業者でなら買い取ってもらえる理由とそのメリットをご紹介しました。
では実際、空き家はどのような流れで買い取ってもらえるのでしょうか。
一連の流れをあらかじめ確認し、必要になる書類を早めに取得して、よりスピーディーに買い取ってもらいましょう。
それぞれ説明します。
買取業者に査定を依頼する
まず、空き家を専門とした複数の買取業者をピックアップします。
空き家のおすすめ買取業者の詳細や選び方については下記記事をご覧ください。

査定金額を元に買取業者と打ち合わせて買取条件の詳細を決める
複数の買取業者を比較し買取業者を絞り込んだら、実際の買取価格等の条件をすり合わせていきます。
そのほかにも、空き家内に残された家財等がある場合にはあらかじめ撤去を行うのか、具体的な売買の日程調整、必要書類の説明なども行います。
必要書類を用意して売買契約を結ぶ
売主と買取業者の双方が売買条件に納得できたら、契約内容(条件)を契約書にまとめ、売買契約を行います。
下記書類が必要になりますので、あらかじめ手元に用意しておきましょう。
各種書類 | 取得方法 |
---|---|
登記済権利証(登記識別情報) | 不動産取得時に法務局より交付 |
土地測量図面、境界確認書 | 全国の法務局で取得可能 |
固定資産税納付通知書 | 毎年4~6月ごろに各市町村から送付 |
印鑑証明書 | 役所で取得可能 |
住民票 | 役所で取得可能 |
実印 | 各自で保管 |
身分証明書 | 各自で保管 |
収入印紙 | 郵便局やコンビニ等で購入可能 |
決済・引き渡しにより買取が完了
買取金額を受け取り、司法書士が所有権移転登記を行って、物件の名義を買取業者に変更することで、全ての売却手続きは完了です。
売主が支払う税金
空き家を売却したり、買取業者に買い取ってもらう場合、空き家所有者は下記の税金を支払うことになります。
印紙税は、契約時に収入印紙を貼ることですぐ納められますが、譲渡所得税は所有者自身が確定申告で納める必要があるので、忘れずに手続きしましょう。
それぞれ説明していきます。
印紙税の支払いが必須【契約書作成時】
不動産を売買した際、売主は売却価格に応じた印紙税を納めます。
平成26年4月1日から令和4年3月31日までに作成された不動産売買契約書では、軽減税率が適用され、売却価格ごとに下記のように印紙税率が定められています。
【不動産売買契約書の印紙税額】
売却価格 | 通常の税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円超~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 1千円 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 2千円 | 1千円 |
500万円超~1千万円以下 | 1万円 | 5千円 |
1千万円超~5千万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5千万円超~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
譲渡所得税【翌年の確定申告時】
空き家を買い取ってもらったことで売却益が出た場合、確定申告を行って、譲渡所得税を支払わなければなりません。
譲渡所得税とは、不動産等の資産を譲渡(売却)した際に生じた利益に対する「所得税」「住民税」「復興特別所得税」のことで、下記計算式に基づいて算出されます。
税率は空き家の所有期間が5年以下か5年を超えるかによって、以下の表のように異なります。
空き家の保有期間 | 所得税の税率 | 住民税の税率 | 復興特別所得税の税率 |
---|---|---|---|
5年以下 | 30% | 9% | 0.63% |
5年超え | 15% | 5% | 0.315% |
ちなみに相続した空き家の場合、所有期間は被相続人が所有していた年数を含みます。
そのため、相続した時点で被相続人の所有期間が5年を超えている場合には、相続した時点で長期譲渡所得税率が適用されます。
確定申告の詳細については国税庁HPをご覧ください。
ただし特例の利用によって、一定の条件を満たした空き家の売却であれば、譲渡所得税が0円になる可能性もありますので、次項で紹介します。
相続した空き家なら譲渡所得から3,000万円控除される特例がある
相続によって取得した空き家を売却した場合、条件を満たせば、空き家の売却額から3,000万円を控除できる制度があります。
この制度は、空き家売却後、期限内に手続きと確定申告を行うことで適用され、不動産売却時にかかる譲渡所得税が0円になることもあります。
相続した空き家を売却したい方にはとても魅力的な制度ですが、厳しい条件があり、適用されるのは令和5年(2023年)12月31日までの売却となっています。
相続した空き家の売却を検討していて、まだ相続してから3年経過していないという方は、知らないと損!空き家特例3,000万円控除|適用条件と申請手続きで詳細を確認してみてください。
まとめ
この記事では、「空き家を無料で譲渡したい」「タダでもいいから空き家を受け取ってほしい」という方に向けて、下記内容等についてご紹介しました。
たしかに、空き家は所有しているだけでも高額の維持費用と手間がかかるので、手放せるなら無料でもいいと考える方も多くいるかと思います。
しかし、たとえ個人には買ってもらえないような空き家であっても、空き家を専門とした買取業者であれば、高確率&適正価格で買い取ってくれます。
なぜなら、空き家の扱いに長けている専門買取業者なら、安くリフォームし、ニーズを高めて再度販売できるからです。
そのため、空き家を無償で手放そうとしている方も、まずは一度空き家専門の買取業者に連絡し、いくらで空き家を買い取ってもらえるのかを確認しましょう。
弊社は空き家や訳あり物件など、なかなか買い手が付かない物件の買取を専門とした買取業者です。
全国どこでも査定に伺いますので、いらない空き家を手放せずお困りの方はぜひご相談ください。