増え続ける日本の空き家
総務省統計局による「平成30年住宅・土地統計調査」を見ると、日本の空き家と空き家率は増え続けていることがわかります。
参照元:平成30年住宅・土地統計調査
平成30年(2018年)の時点で、空き家率は13.6%ですが、2018年以降も空き家の増加は続いています。
野村総合研究所の試算(2016年)では、2033年の空き家数は2167万戸弱、空き家率は30.4%まで推移すると予想されています。
つまり、約3戸に1戸が空き家になってしまうということです。
なぜ日本の空き家は増え続けているのでしょうか。
主な原因は社会の高齢化と核家族化だと考えられています。
空き家増加の原因①高齢化社会
高齢化社会の進行に伴って、空き家が増加しています。
日本は、1994年に高齢社会へ、2007年に超高齢社会へ突入しました。
~2000年 | 2018年 | |
---|---|---|
85歳以上 | 1,000人以下 | 約218万2,000人 |
30~49歳 | 約3,367万 | 約3,334万4,000人 |
参照元:総務省統計局「人口推計」
85歳以上の超高齢者の人口は、2000年までは1,000人以下でした。
しかし、2018年には218万2,000人以上も確認されています。
高齢の方が亡くなったり老人ホームに入ったりすれば、住んでいた戸建は当然空き家になります。
高齢者の方は、未来の空き家供給者といえるわけです。
一方、残された戸建を購入するボリュームゾーンである30~40代の人口の合計は、2000年で3,367万人ですが、2018年には3,334万4,000人となり、30万人以上減少しています。
購入者が減り、供給者が増えれて両者の差が開けば、必然的に空き家が増えるのが現状です。
空き家増加の原因②核家族化
結婚を機に実家を出て、新たな家を購入、または賃貸して世帯を持つ人が増えました。(核家族化)
そのため、実家に残された両親が老人ホームに入ったり亡くなったりした場合、実家に住む人がいません。
結果的に実家は空き家になってしまいます。
空き家の増加による社会的デメリット
空き家の増加は社会的に大きな問題になっています。
空き家は主に下記のようなリスクを孕んでいるからです。
- 劣化、老朽化した空き家が景観を乱す
- 空き家が犯罪に使われる
- 空き家の倒壊や破損によるトラブルに巻き込まれる
そのため、空き家が増えている地域に住みたがる人は少なく、住む人がいなければ街の活気は必然的になくなってしまいます。
また、住む人がいなければ当然市区町村の税収は滞り、税収が見込めなければ公共事業の計画も立てられません。
次第に学校や病院などのインフラの維持も難しくなります。
こうして、さらに街の過疎化に拍車をかける悪循環に陥ってしまうことが、空き家が増加する最大の社会的デメリットです。
景観を乱す
人が住んでいる家屋より著しく老朽化した空き家は、地域の景観を乱し、自然と人の足を遠ざけてしまいます。
空き家は、住居であれば当たり前に行われる清掃や換気が行われないため、人が住んでいる家屋より老朽化が早い傾向があるからです。
そのため、ボロボロになった空き家が地域の景観を悪化させてしまうことが多くあります。
他にも、空き家が地域の景観を悪化させる主な原因は、以下の2つが挙げられます。
生い茂った草木が放置される
空き家を覆うように伸びたり敷地を飛び出すほど伸びきった草木は、周辺地域を鬱蒼とした雰囲気にしてしまい、景観上よくありません。
また、生い茂った草木や老朽化した空き家の木材には害獣や害虫が住み着きやすく、衛生的な問題も発生します。
破損、汚損が放置される
台風や地震による窓や外壁の破損、汚損の放置も、人に物騒な印象を与え、景観を悪化させます。
また、破損や汚損が放置されている空き家や空き家の周辺は、ゴミの不法放棄等もされやすく、治安悪化にも繋がりかねません。
犯罪に使われる
人の出入りが少なく、異変に気付かれにくい空き家は、以下のような犯罪と用途で使われるケースが多くあります。
- 暴行や殺人の犯行現場
- 特殊詐欺グループの拠点
- 違法薬物の栽培/取引の拠点
- 放火による火災
そのため、防犯の観点から、空き家が多い地域は住居エリアとして避けられてしまいます。
空き家の倒壊や破損によるトラブルに巻き込まれる
老朽化した空き家は、常に倒壊や破損などの危険を孕んでいます。
大人であれば倒壊の危険がありそうな空き家を避けて歩くこともできますが、子どもであれば話は別です。
誰でも出入りできてしまう空き家は、むしろ子どもたちの格好の遊び場になってしまい、以下のようなリスクがあります。
- 老朽化した空き家が倒壊、破損して遊んでいた子供がケガをする
- 子どもと不審者が鉢合わせる
子どもたちがトラブルに巻き込まれるきっかけをなくすためにも、空き家は減らしていかなければなりません。
空き家を放置する所有者のデメリット
空き家は、社会的にだけでなく、所有者にも大きなデメリットがあります。
後述しますが、空き家を売却してしまえば、所有者が抱える以下7つのデメリットをすべて解決できます。
税金の負担が大きい
空き家を所有し続ける一番大きなデメリットは、税金や罰則など国からの金銭的負担が大きいことです。
空き家を活用せず放置していても、所有しているだけで毎年固定資産税、地域によっては都市計画税が課税され続けます。
- 固定資産税
- 固定資産とされる土地や建物すべてに課税される税金。空き家にも課税される
- 都市計画税
- 市街化区域内の土地と建物にのみかかる税金
戸建てにかかる固定資産税は年間平均10~12万、都市計画税は年間平均平均3~5万です。
放置するのが危険と判断された空き家は税金が最大6倍になる
前述したように、空き家が増えることは社会的にも大きなデメリットがあります。
そこで行政は、空き家の増加を食い止めるべく、「空き家対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家等対策特別措置法)を定めました。
空き家等対策特別措置法の中で定められている、「特定空き家」に指定されると、所有者に課せられる固定資産税が最大6倍に、都市計画税は最大3倍になります。
特定空き家とは、国土交通省が提示した以下の4項目いづれかに当てはまり、今後も放置するのは危険だと考えられている空き家です。
・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空家等
なぜ「特定空き家」に指定されると、所有者に課せられる固定資産税が最大6倍に、都市計画税は最大3倍になるのでしょうか。
理由は、特定空き家は「住宅用地の特例」の対象ではなくなるからです。
「住宅用地の特例」とは、住宅やアパートなど、住居用として使われている土地にかかる税金が減額される特例です。
通常は住宅用地の特例によって、固定資産税は×1/6、都市計画税は×1/3されています。
しかし、特定空き家に指定されると、住宅用地としては認められず、更地と同じ扱いになってしまいます。
その結果、住宅用地の特例が外れ、税金が高くなってしまうのです。
通常 | 特定空き家 | |
---|---|---|
固定資産税(平均) | 10~12万 | 60~84万 |
都市計画税(平均) | 3~5万 | 9~15万 |
特定空き家に指定されると罰則がある
特定空き家に指定されて最初に行われるのが、行政からの空き家管理についての指導です。
行政指導は、助言→指導→勧告→命令の順に重くなり、最終的に命令に従わなかった場合は、50万以下の罰金が課せられます。
強制的な空き家の取り壊しが行われれば高額な解体費用が請求される
空き家の所有者が命令に従わない場合、行政は行政代執行(強制的な空き家の取り壊し)を行うことができます。
行政代執行にかかった高額な解体費用は、全額空き家の所有者に請求されます。
行政代執行にかかる解体費用は、数十万~1,000万近くなる場合もあり、決して気軽に払える金額ではありません。
もし払えなかった場合は、所有者の不動産や車などの所有財産や給与の差押えが行われ、強制徴収されます。
実際に行政代執行が行われた事例も多くあるので、空き家に関する行政指導には早急に応じ、行政代執行に至らないようにしなければなりません。
行政代執行に至った事例は、国土交通省のHPにて複数公開されています。
参照元:国土交通省HP
空き家の維持管理に手間や費用がかかる
将来的に空き家を活用する予定があるのであれば、適切に管理しなければなりません。
空き家の管理は自分でする方法と、空き家の管理サービスを利用する方法があります。
自分で空き家を管理する場合
月1~2回、空き家に出向くことが物理的に可能であれば、自分で以下のような管理を行いましょう。
管理の手間
- 換気
- 通水
- 雨漏り、外壁の点検
- 室内外の清掃
空き家は、人が住んでいる家屋より老朽化が早い傾向があるので、いつのまにか破損・汚損していることも少なくありません。
室内外の点検まで行い、特定空き家に指定されないようにしましょう。
ただ、普段の仕事や家事、生活がある中で、月1~2回空き家に出向き、上記の管理を行うのは簡単なことではありません。
時間的にも体力的にも、所有者さんの大きな負担になってしまうのでおすすめはできません。
管理費用
自分で空き家を管理する場合、空き家に出向くたびに交通費がかかります。
例えば、東京から神奈川へ空き家の管理をしにいく場合、物理的な距離はそう遠くないように思えます。
しかし、東京~藤沢の電車賃は往復1980円です。
月2回の空き家管理を1年間行うと仮定すると、1980円×2回×12カ月=4万7520円。
交通費だけで年間5万近くかかってしまい、大きなデメリットになることがわかります。
空き家の管理サービスを利用する場合
空き家が遠方にある等の理由で、月1~2回空き家に出向くのが難しい場合は、管理サービスを利用すれば自ら空き家を管理する手間はなくなります。
ただし、当然サービス利用費がかかります。
空き家の管理サービスを利用する場合
費用空き家管理サービスの費用は、毎月5,000円~1万円ほどかかります。
管理の内容や頻度によって金額は前後しますが、仮に1万円の管理サービスを1年間利用した場合、年間12万かかることになります。
住んでいない家を年間12万もかけて管理するのは、金銭的に大きなデメリットです。
空き家の維持にかかる費用
誰も住んでいない空き家でも、以下のインフラを完全に止めてはいけません。
どれも空き家を管理の際に使用するからです。
- 電気
- ガス
- 水道
また、水道は定期的に通水しないと水道管の錆に繋がり、悪臭の原因になります。
空き家であっても、光熱費と水道代の基本料金は払い続けなければならないということです。
仮に、光熱費の基本料金が月1,000円、水道代の基本料金が月1,600円の場合、年間3万1200円の負担になってしまいます。
空き家の資産価値が下がり売れにくくなる
空き家は、人の出入りが頻繁にされる建物より換気や清掃の頻度が低く、老朽化がはやいため、時間の経過とともにどんどん資産価値が低下します。
そのため、空き家はいつでも「今」が1番高く売れるときと言えます。
極端に資産価値が下がる原因①犯罪
夜間にも電気がつかず、人の出入りが明らかに少ない空き家は、格好の犯行現場になります。
空き家が犯罪に使われると、売却の際には心理的瑕疵(買主に心理的な不安や抵抗を感じさせる欠陥)として、告知事項に当てはまる可能性があります。
当然、相場通りの価格では売れにくくなってしまいます。
売主や不動産屋側から、買主に必ず伝えなければならないとされている事柄。
主に買主の購入の意思決定に影響するような、物件の欠陥や周辺地域の悪影響、物件の過去の情報など。
危険薬物や詐欺の取引場所にされる
過去には、危険薬物や詐欺の取引場所に空き家が利用されていた事件があります。
また、危険薬物の取引だけでなく、大麻を栽培する場所として空き家が狙われたケースもあり、平成26年には、外国人と日本人の4人グループが空き家で大量の大麻を栽培していました。
放火される
空き家は人の出入りがなく、出火していても発見が遅れてしまうので、放火犯に狙われる可能性も高くなります。
放火されてしまったら、資産価値が下がるどころか、以下の大きなデメリットがあります。
- 火災の後始末に手間とお金がかかる
- 第三者に被害が及んだ場合、損害賠償請求される
何より恐いのが、空き家の放火により第三者にケガや死亡をさせてしまうことです。
空き家の所有者も、空き家の管理責任を問われ、損害賠償請求される可能性があります。
特に古くなった空き家の木材はとても燃えやすいので、火はすぐに燃え広がってしまいます。
さらに、出火の発見と消火活動が遅れればなおさら被害は拡大しやすいでしょう。
火災保険に入るという手段もありますが、空き家は火災保険に入れないことがほとんどです。
暴行や殺人の犯行現場に使われる
空き家は不審者の出入りや大きな物音がしても人に気づかれにくいので、暴行や殺人の犯行現場として使われてしまうことがあります。
暴行や犯罪に使われたとの告知事項がある空き家は、資産価値がさがるどころか一般の方の住居としてはもう売れないかもしれません。
極端に資産価値が下がる原因②自然災害
日本は自然災害が多い地域なので、自然災害による損傷を受ければ空き家の資産価値が一気に落ちてしまう可能性は十分にあります。
老朽化した空き家に地震や台風が直撃すれば、空き家自体の倒壊や外壁の破損、雨漏りなどに繋がります。
また、空き家を売却する際には、大規模な修繕が必要になり費用がかさみます。
老朽化した空き家が近隣トラブルを招く
老朽化した空き家は近隣トラブルのもとになります。
空き家が倒壊して近隣や通行人にケガをさせる
老朽化した空き家が倒壊や破損をして近隣や通行人にケガや死亡させたら、空き家の所有者に管理責任が問われ、損害賠償金を請求されます。
倒壊なんてそうそうないと思うかもしれませんが、震災や台風などの自然災害に遭えば空き家が倒壊や破損する可能性は十分にあります。
具体的には、被害者の治療費や入院費、被害者が仕事を休まなければならない場合は休業損害等の賠償金、死亡させた場合は、慰謝料なども含まれます。
公益財団法人日本住宅総合センターは、空き家が火災や倒壊で第三者を死亡させた場合の損害賠償金の試算結果を出しています。
参照元:公益財団法人日本住宅総合センター「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」
空き家に害虫や害獣が住み着き衛生的な被害を及ぼす
以下のような害虫や害獣が空き家に住み着き、近隣住民や近隣家屋に被害を及ぼす可能性があります。
- ハエ
- ゴキブリ
- 蜂
- シロアリ
- ネズミ
- 猫
例えば、ゴキブリやハエが空き家に巣を作ったり卵を植え付けたりして繁殖し、餌を探して近隣家屋に浸入すれば、近隣に大きな精神的、衛生的被害をもたらします。
その結果、近隣住民が行政にクレームを言えば、行政はいづれあなたの空き家に特定空き家に指定するでしょう。
特定空き家に指定されると、課せられる税金が増額したり、罰金、高額な取り壊し費用の請求をされたり、なに1つ良いことがありません。
空き家が近隣の土地や家屋の資産価値を下げる
地域の景観を悪化させる空き家が近くに建っていることで、近隣の土地や家屋の価値まで下げて売れにくくしてしまう可能性があります。
例えば、倒壊の危険がある空き家が隣に建っていると、いくら価格を下げても売れない場合があります。
空き家のデメリットを次の世代に引き継ぐことになる
前述したデメリットをあなたが解決しなければ、そのまま次の相続人に引き継ぐことになります。
例えば、子どもに相続する頃には、空き家はさらに劣化して資産価値が下がっているため、空き家の問題はさらに深刻化しているでしょう。
空き家を所有するデメリットの解決策
空き家のデメリットの解決策は、主に以下の4つです。
- 住居として使う
- 管理をする
- 活用する
- 売却する
4つの中でも、ここまで説明した多くのデメリットを一発ですべて解決できるのは、「売却する」です。
1つずつ解説していきます。
住居として使う
空き家を住居として使う方法もありますが、以下2つの条件がそろわない限り、現実的ではありません。
- ①空き家が現在住んでいる場所の近くにある
- ②空き家以外に持ち家がない
上記のような場合は、空き家に移り住むことで現在の賃料が浮くというメリットがあります。
反対に、2つの条件に当てはまらない場合は、以下のようなデメリットが生じてしまうので、空き家に移り住むのは難しいでしょう。
- 転勤や転校をしなくてはならない
- 通勤時間、通学時間が大幅に長くなる
- 今の持ち家と二重で税金を納めることになる
3つのデメリットを抱えながら無理をして空き家に住むくらいなら、空き家は売却して現金化した方がお財布にも優しく、生活のストレスも少ないでしょう。
管理をする
適切な管理をして空き家を所有し続けるという方法もありますが、近い将来確実に住む予定がない限りは、所有はやめた方が良いでしょう。
前述したように、空き家の管理にはお金がかかりますし、どんなに適切に管理しても空き家の老朽化は想像以上の早さで進みます。
何のプランもなく空き家を所有し続けることは、以下のリスクやデメリットを抱えながら、空き家の資産価値が下がるのを黙って見守るようなものです。
- 無駄な固定資産税と都市計画税を納める
- 維持、管理の手間と費用がかかる
- 老朽化した空き家が第三者に被害を及ぼし、損害賠償請求される
- 特定空き家に指定され、行政から罰則や解体費用を請求される
活用する
空き家の活用には以下のような方法がありますが、不動産活用の経験や知識がない人が突然空き家活用を始めるのは、どれも現実的ではありません。
- 戸建て賃貸として貸し出す
- 更地解体して駐車場として貸し出す
- 更地解体して駐車場として貸し出す
空き家の活用がおすすめできない理由は、解体費用やリフォーム費用など、高額な初期費用がかかるからです。
- 解体費用の相場
- 木造で1坪およそ4万円、鉄筋コンクリート造で1坪およそ6万円
- リフォーム費用の相場
- 1㎡でおよそ10万円
さらに、高額な初期費用をかけても、順調に利益を上げられるとは限りません。
例えば、戸建て賃貸として活用する場合、人が住めるくらいまできちんとリフォームすれば、どんな立地でも最低月5万程度の賃料で貸し出すことができます。
ただ、毎月5万の賃貸収入で、以下の出費を黒字にするのはそう簡単ではありません。
- 初期のリフォーム費用
- 固定資産税、都市計画税
- 定期的な修繕費用
空室期間が長ければ、黒字になるまで10年以上かかるなんてことも十分にあり得ます。
売却する
前述してきた空き家のデメリットの解決策として、最も適切なのは売却でしょう。
デメリットを全て一発で解決できるうえに、まとまった現金が手に入ります。
空き家を所有し続けるデメリットは金銭的なものが多くありますが、売却すれば金銭的にマイナスどころかプラスです。
空き家の売却には「仲介」と「買取」の2つの方法があります。
仲介
仲介業者は、空き家の売却の依頼を受けたら、買い手を一般に広く募集します。
買主が現れたら、売買契約成立に向けて売主との間を取り持ちます。
仲介業者に依頼した場合の特徴
仲介業者に依頼した場合の特徴は、買い手は一般の方で、購入目的は住居用であることです。
仲介業者は、買手と売手の間を取り持ち、仲介手数料をもらうことで利益を出しています。
仲介業者が向いている空き家
仲介業者に依頼した場合、買い手は一般の方です。
そのため、以下のような条件を満たしている空き家は、住居用として需要が高いため、仲介業者に依頼しても売却できる可能性が高いです。
- 築20年以内
- 人気エリア
築年数20年以内であれば、購入後も大規模な修繕なく住めるので、住居として需要があります。
実際に、弊社が独自に行った「不動産を購入する際、築年数は何年までがベストか?」のアンケート調査でも、81%の人が「築20年以内」と答えています。
また、人気が高いエリアであれば、中古戸建てに住みたい人も十分にいるでしょう。
売却価格
広く買い手を募集するので、買手がつけば相場前後で売れる可能性が高くなります。
買取
買取業者は、空き家の売却の依頼を受けたら売り主から直接買い取ります。
買取業者に依頼した場合の特徴
買取業者に依頼した場合の特徴は、買い手は一般のお客様ではなく、あくまで不動産のプロであるということです。
買取目的は、もちろん住居用ではなく事業用で、買い取った空き家をリフォーム等して再販することで利益を出しています。
買取業者が向いている空き家
買取業者は住居用ではなく事業用として空き家を買い取ります。
そのため、リフォーム等して利益が見込めるのであれば、どんなに古い空き家でも、問題を抱える空き家でも買い取ってくれます。
以下のような仲介では買い手がつかない空き家も、買取業者であれば買取可能です。
- 築20年以上
- 郊外やアクセスが悪いエリア、不人気エリア
築20年以上で老朽化していてアクセスも悪いとなると、一般の住居としての需要は低いので買取業者に依頼した方がいいでしょう。
また、築20年以上が経過している空き家は、シロアリや雨漏りなど思わぬ問題を抱えていることが多くあります。
下記で詳しく説明しますが、仲介業者を通して売却した場合、売却後に空き家に不具合が見つかったら、売主は契約不適合責任を問われ、損害賠償を請求されかねません。
買取業者であれば、買い取るのは不動産のプロなので、売却する時点で契約不適合責任を免除してもらうことができます。
売却後に不適合責任を問われないためにも、築20年以上の空き家は買取業者に依頼しましょう。
売却価格
買取業者は、買い取った空き家をリフォーム等してから再販して利益を出すため、買取価格からリフォーム代などが引かれます。
そのため、相場より安い価格での売却になります。
空き家の売却は仲介業者より買取業者がおすすめ
空き家を売るなら仲介業者より買取業者に依頼するのがおすすめです。
築20年未満で人気エリアに建っている空き家なら仲介業者に依頼してもよいでしょう。
しかし、空き家になってしまっている時点で、あまり条件が良い建物ではないのかもしれません。
買取業者に依頼して空き家を売却するメリットは、主に以下の3点です。
- 早急に売却&現金化できる
- 費用をかけずに売却できる
- 契約不適合責任の免責特約がついている
早急に売却&現金化できる
買取業者に依頼すれば1週間~1か月で空き家を売却&現金化することができます。
空き家は早急に売却してしまうことが重要です。
空き家の資産価値は時間経過とともにどんどん落ちていくからです。
空き家はいつでも「今」が1番高く売れるときだと意識しましょう。
仲介業者に依頼すれば、条件が良い家屋でも売却に3~6か月かかります。
老朽化した空き家であれば、数年、もしくは永遠に買い手がつかないかもしれません。
売却期間中にも、空き家の老朽化は進み、資産価値は下がっていきます。
また、売却している間も税金や管理費がかかりますし、特定空き家に指定されれば固定資産税は6倍に膨れ上がります。
一方、買取業者であれば、どんなに条件が悪い空き家でも最短1週間~1か月で買取&現金化することが可能です。
上記したような仲介のデメリットはないですし、早急にまとまった現金が手に入ります。
弊社も空き家の買取に特化した不動産買取業者です。
最短1日で査定&最短1週間で買取することができます。
費用をかけずに売却できる
買取であれば、不動産のプロが直接買い取ってくれるので、売主は売却の際の費用を最小限に抑えることができます。
具体的に説明していきます。
解体費用
- 空き家の解体費用
- 木造で1坪およそ4万円、鉄筋コンクリート造で1坪およそ6万円
仲介業者
老朽化した空き家が建っていて、更地にした方が売れやすい場合は、仲介業者が解体を強く勧めてくる場合があります。
ただし、解体しても必ず買い手がつくとは限らないので、解体費用がまるまる赤字になるかもしれません。
買取業者
買取業者に依頼すれば、売主が解体費用を負担する必要はありません。
もし解体が必要な場合は、買取業者が買い取ったあとに負担します。
リフォーム費用
- 空き家のリフォーム費用
- 1㎡でおよそ10万円
仲介業者
空き家の老朽化が進んでいるから、リフォームした方が売れやすいと、仲介業者に強く勧められる場合があります。
しかし、リフォームしても必ず買い手がつくとは限らないので、リフォーム費用がまるまる赤字になるかもしれません。
買取業者
買取業者に依頼すれば、売主がリフォーム費用を負担する必要はなく、買取業者が買い取ったあとに負担してくれます。
- 残置物処理費用
- 1立方メートル(=1㎡×1㎡×1㎡)あたりおよそ5,000円~1万5,000円
残置物撤去の範囲 | 残置物撤去の相場 |
---|---|
1R・1K(3㎥~10㎥) | 3~10万円 |
1LDK・2DK(5㎥~20㎥) | 5~20万円 |
2LDK・3DK(10㎥~30㎥) | 10~30万円 |
3LDK・4DK(15㎥~40㎥) | 15~40万円 |
4LDK・5DK(20㎥~50㎥) | 20~50万円 |
仲介業者
買手の内覧のために自費で残置物を処理しなくてはなりません。
前の住人の家具が残っていると、買手が新しい暮らしをイメージしにくく、売れにくくなってしまうからです。
買取業者
残置物の処置は、買取業者が負担してくれることが多くあります。
ただ、仏壇など仏教上、逝去した方の魂が入っているとされるものは、魂抜きが必要なので業者の方で処分を行っていないところが多いでしょう。
念のため、問い合わせの際に直接確認してください。
契約不適合責任免責の特約がついている
買取業者の多くが、仲介業者にはない、契約不適合責任免責の特約をつけています。
売却した空き家に想定外の欠陥や不具合があった場合、売主が買主に負わなければならない責任
仲介業者を通して売却した場合、売却後にシロアリや雨漏りなどの欠陥が見つかったら、売主は買主に契約不適合責任を負う必要があります。
しかし、契約不適合責任免責の特約がついていれば、契約不適合責任を負う必要はありません。
あとから損害賠償請求される心配を払拭するためにも、空き家の売却は仲介業者より買取業者に依頼しましょう。
信頼できる買取業者の選び方
信頼できる買取業者の選び方を説明します。
結論から言うと、買取業者選びは、買取価格ばかりでなく営業担当者がどれだけ信頼できるかもよく見極めて決めるべきです。
空き家の専門業者を複数ピックアップ
まず、空き家専門の買取業者を複数ピックアップします。
空き家は想像以上に老朽化が早く、思いがけない問題を抱えていたりするので、空き家専門知識や売買のノウハウを持つ買取業者に依頼するのが望ましいでしょう。
弊社は、空き家専門の買取業者です。
選択肢の一つとして、ぜひ他の買取業者とも比較してみてください。
複数の買取業者に見積もりを依頼する
ピックアップした複数の買取業者に買取価格の見積もりを依頼しましょう。
複数の業者に依頼するのは、買取価格の比較対象をもつのはもちろん、営業担当者の信頼度の比較対象を持つためでもあります。
直前で買取価格を下げてくる悪徳な業者もいますし、銀行からの融資をアテにして、実は手元に資金がなかったりする貧乏な業者もいるので、しっかりと営業担当者の態度を比較してください。
実際に電話などで営業マンと会話をして、売却の心配事などを相談し、以下の点に注目してみましょう。
- 根拠を持って質問に答えてくれるか
- 「絶対」など過剰な表現を多用しないか
- 売却を執拗に急かしたりしないか
- 売却のリスクやデメリットもきちんと説明してくれるか
- 折り返しの電話やメールの返信が遅すぎないか
買取業者を1社に絞る
1番信頼できると感じた買取業者が1番高い買取見積額を提示してくれた場合は、そこの買取業者に依頼しましょう。
1番信頼できる業者と1番高い見積額を出してくれた業者が異なるのであれば、前者に1番高い見積額を提示して買取価格を交渉してみましょう。
もちろん、交渉通りの金額で買い取ってもらえるとは限りませんが、誠実な買取業者であれば、できるかぎりの対応をしてくれはずです。
数万円の誤差であれば、1番買取見積が高い買取業者より、1番信頼できそうな買取業者に頼んだ方が安心です。
理由は前述した通り、売却直前になって買取価格を下げてきたり、売却後に契約不適合責任がついていなかった等のトラブルを回避するためです。
まとめ
空き家のデメリットと解決策について解説しました。
何の計画もなく空き家を所有し続けていれば、いずれは特定空き家に指定され、所有者さんに大きな金銭的負担がのしかかるのは間違いありません。
また、第三者にケガをさせ、損害賠償請求される可能性もあります。
空き家のデメリットを全て解決するために、将来的に使う予定がない空き家は空き家の買取専門業者に買い取ってもらいましょう。
うちの空き家は老朽化が進んでいるから売れないのでは…と不安を抱えている方も、ご安心ください。
空き家の買取専門業者なら、リフォームして再販できる見込みがあれば、どんな空き家でも買い取ってくれます。
空き家でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。