土地と建物の名義が違うときに立ち退きトラブルが生じるケース
土地と建物の名義が違う場合には、さまざまな形で立ち退きトラブルが発生することがあります。
たとえば、以下のようなケースです。
- 親名義の土地に自分名義の建物を建てて住んでいたが、親が亡くなり土地を兄弟で相続した際、兄弟から立ち退きを求められる
- 親が地主から借りている土地に建てた家を相続したが、地主に立ち退きを求められる
- 親名義の土地上に自分名義の建物、親と兄弟名義の建物の2棟が建っているときに、親の介護目的でリフォームするために兄弟から立ち退きを要求される
一方で、亡くなった親から相続した土地上に第三者の家が建っているときには、土地をほかの目的で利用するために立ち退きを要求することも考えられます。
土地と建物の名義が違うときに生じる立ち退きトラブルは、「なぜ立ち退かなければいけないんだ」などと感情のままに行動してしまうと、大きな問題へと発展してしまいかねません。
立ち退きトラブルを穏便に解決するためには、法律に基づいて適切に対処することが大切です。
【ケース別】土地と建物の名義が違うときの立ち退き要件
土地と建物の名義が異なる場合には、「どのような条件で立ち退きが認められるのか」を理解しておく必要があります。
そこでここでは、土地と建物の名義が違うときの立ち退き要件について、以下2つのケース別に解説します。
賃貸借の場合
賃貸借は、土地の所有者が地代を受け取る代わりに借主に土地の使用を認める契約形態です。
この場合は借地借家法によって借主の権利が保護されているため、土地の所有者が一方的に立ち退きを要求することはできません。
土地の所有者が建物の所有者に立ち退きを求めるには、正当な事由が必要です。
土地の所有者にどのような事情があれば立ち退きが認められるのか、詳しく見ていきましょう。
貸主の立ち退き要求が認められる正当な事由
土地と建物の名義が違うときに、土地の所有者が建物の所有者に立ち退きを求めるには、以下4つの正当事由をすべて満たしている必要があります。
- 土地の所有者の土地を使用する必要性
- 借地に関する従前の経過
- 土地の利用状況
- 立ち退き料の支払いの申し出
なかでも重要なのは、土地の所有者側に土地を利用する必要性があるかどうかです。
たとえば「土地の所有者が現在賃貸物件に住んでいてマイホームを建てたいと思っているものの、貸している土地以外に不動産を持っていない」場合、立ち退き要求が認められやすい傾向です。
また「建物の所有者が地代の支払いを滞納している」など、賃貸借契約に対して借主側に違反行為があるときにも、立ち退き要求が認められることがあります。
そのほか、「周辺と比較して適切に土地が利用されているか」「土地の所有者が立ち退き料の支払いを申し出ているか」なども立ち退き要求に正当性があるかどうかを判断する要素です。
一方で、土地の貸し借りが「定期借地契約」のときには、当初設定された契約期間が満了すると、土地の所有者は建物の所有者に対して立ち退きを要求できます。
契約期間が定められた借地権。
当初設定された契約期間が過ぎると賃貸借契約は自動的に終了し、契約更新もできない点に特徴がある。
このケースでは、土地の所有者側に正当事由がなくても、建物の所有者は立ち退かなければなりません。
そのため、土地の所有者から立ち退きを要求されたときには、まず賃貸借契約書の内容をしっかりと確認することが大切です。
なお、土地の所有者が借地人に立ち退きを求められる正当事由については、以下の記事で詳しく解説しています。
使用貸借の場合
使用貸借とは、土地を無償で借りている契約形態のことです。
たとえば、親名義の土地に子どもが自分名義の家を建てるときには、使用貸借の契約形態を取っているケースが多い傾向にあります。
ただし使用貸借の場合、土地所有者が立ち退きを求めた際には、借主側に拒否権はありません。
もし借主が立ち退き要求に応じないときには、土地の所有者は法的措置によって強制的に借主を追い出すことが可能です。
親名義の土地にあなた名義の家を建てていたとしても、相続によって土地があなたを含めて複数の相続人の名義になったときには、別の相続人から立ち退きを要求される恐れがある点に注意が必要です。
地代や賃料の代わりに固定資産税を支払っていたケースは使用貸借に該当
使用貸借は、あくまでも「無償」で土地・建物の貸し借りをおこなう行為です。
毎月地代や賃料を支払う代わりに土地・建物の固定資産税を負担している場合には、賃貸借に該当するのではないかと思うこともあるでしょう。
しかし、土地の所有者が借主から固定資産税に相当する金額を受け取ったとしても、そのお金はすべて税金の納付に充てられるので利益にはなりません。
したがって、地代や賃料の代わりに固定資産税を負担している場合は「使用貸借」に該当するため、土地の所有者から立ち退きを要求されたときには、それに応じなければならないということです。
借主が亡くなったら使用貸借契約は終了
使用貸借の特徴として、契約が有効なのは借主1代限りという点が挙げられます。
つまり、土地の所有者から土地を借りて家を建てた人が亡くなったときに使用貸借契約は終了するということです。
そのため、親が土地の所有者から借りている土地に建てた家を相続したとしても、契約形態が使用貸借のときには速やかに土地を明け渡さなければなりません。
もしその後も借りている土地上の建物に住み続けたいのなら、土地の所有者と改めて使用貸借か、賃貸借契約を交わす必要があります。
使用貸借における相続トラブルについては以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
土地と建物の名義が違うときに起こり得る立ち退きトラブルへの対処法
ここまで解説してきたように、土地の契約形態が賃貸借のときには土地の所有者からの立ち退き要求に応じる必要はありませんが、使用貸借のときには立ち退かなければなりません。
土地と建物の名義が違うときに起こり得る立ち退きトラブルを回避したいのなら、以下2つの対処法のいずれかを選択するとよいでしょう。
それぞれの対処法について、詳しく解説します。
土地と建物の名義を統一する
ひとつ目の対処法は、土地と建物の名義を統一することです。
土地と建物の名義を一本化すれば、土地の所有者から立ち退きを要求されることはなくなります。
ただし、名義の統一は難しいことは押さえておく必要があります。
たとえば、親名義の土地に長男が家を建てているケースにおいて、ほかに相続人である弟がひとりいるとします。
この場合、長男が親名義の土地を相続して自分名義にするには、土地の評価額の半分に相当する現金を弟に渡さなければなりません。
これを「代償分割」といいます。
しかし土地の評価額は高額にのぼるケースが多く、数百万円~数千万円もの現金を用意するのは難しいといわざるを得ません。
また、親が地主から借りている土地に建てた家を相続したケースでも、土地と建物の名義を統一するには何千万円もの費用を投じて土地を購入する必要があります。
したがって土地と建物の名義の統一は、相当の資金力がないと難しいのが現実です。
住宅ローンが残っている場合は金融機関の許可が必須
土地と建物の名義を統一するときには、住宅ローンが残っているかどうかも重要なポイントとなってきます。
なぜなら、住宅ローンが残っている不動産の名義を変更するには金融機関の許可が必要となってくるからです。
住宅ローンを利用して家を建てるときには、土地と建物の双方に金融機関による抵当権が設定されるケースが一般的です。
抵当権とは、住宅ローンを貸し出す際に金融機関が借主の不動産に設定する担保権のことです。
もし住宅ローンを借りた方の返済が滞ったときに、金融機関は抵当権を設定している不動産を競売にかけて強制的に売却し、優先的に返済を受けられる仕組みとなっています。
金融機関は住宅ローンを貸し出すにあたり、申し込み者の返済能力や不動産の担保価値などを細かく審査します。
そのうえで、「この金額なら問題なく貸し出せるだろう」と判断して融資をおこなっているわけです。
しかし抵当権が設定された土地と建物の名義変更をする行為は、住宅ローンを借りる方が変わることを意味します。
名義変更を認めてしまうと、審査をおこなっていない人にお金を貸す形となります。
金融機関にとって貸したお金を回収できないリスクが高まることから、原則名義変更は認めていないのです。
もし金融機関の同意を得ず勝手に土地と建物の名義を変更すると、住宅ローン残債の一括返済を求められる恐れがあります。
なお、ローン中の家を売却する方法については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
売却する
もうひとつの解決方法として、土地と建物の名義が異なる状態で売却するという選択肢があります。
具体的な方法は、以下のとおりです。
- 土地、または建物をもう一方の所有者に売却する
- 名義を統一したうえで不動産全体を売却する
- 所有者同士で協力して土地と建物をセットで売却する
- 専門の買取業者を通じて、土地と建物を個別に売却する
もし土地の所有者が建物を、また建物の所有者が土地を購入したいと考えている場合は、その方向性で話を進めるのもひとつの手段です。
土地と建物の両方を自分名義にできるメリットがあるからです。
また、土地や建物を購入して名義を一本化し、通常の不動産売却と同じ手順で処分するという方法も選択できます。
さらには、所有者同士が協力して土地と建物を同時に売却する選択肢も検討可能です。
ただし、これらの売却方法には注意すべきポイントもあります。
たとえば、相手側に購入する資金や意欲がなければ提案が拒否される可能性が高い点です。
また、土地と建物の名義を統一するにしても、買い取り資金が不足している場合には売買が成立しません。
同時売却を計画しても、片方の所有者が売却に反対すると進められなくなるリスクもあります。
したがって、名義が異なる土地と建物を売却し、立ち退きトラブルを解消したい場合には、専門の買取業者に依頼することをおすすめします。
一般的に、土地のみまたは建物のみを市場に出しても買い手を見つけるのは困難です。
というのも、購入しても不動産全体を自由に活用できないからです。
しかし、専門の買取業者であれば、このようなケースでも問題なく対応できます。
専門の買取業者は、まず片方の不動産を買い取った後、もう片方の所有者からも購入し、名義を一本化してから活用するノウハウを持っているからです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)では、土地または建物の単独買取にも積極的に取り組んでいます。
査定は365日無料でおこなっておりますので、売却価格を知りたい方はお気軽にご相談ください。
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なお、名義が異なる土地と建物の売却方法についての詳しい情報は以下の記事をご覧ください。
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当サイトを運営している弊社AlbaLink(アルバリンク)は訳あり物件専門の買取業者として、これまでに名義が違う土地と建物を数多く買い取ってきました。
たとえば、弊社では以下のような借地を190万円で買い取った実績もあります。
築年数 | 54年 |
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物件の所在地 | 東京都荒川区 |
借地の状況 | ・10坪ほどの土地に木造2階建の戸建が建っている ・建築基準法を満たしておらず再建築できない土地 |
借地売却に関する地主様の要望 | ・売却を承諾するための費用(譲渡承諾料)を更地価格の10%とする ・借地の更新料を更地価格の8%~10%とする ・宅建業者が買い取った場合、転売時に承諾料を支払うこととする など |
買取価格 | 190万円 |
買取時期 | 2023年8月 |
上記の「借地売却に関する地主様の要望」を見て頂けばわかるように、この借地は売却に関する地主様の要望が厳しく、依頼主様(借地人)は他社では買取を断られてしまったようです。
このように、地主の要望が厳しく、再建築もできず、建物の築年数も古い借地であっても、弊社が190万円で買い取れる理由は以下の2つです。
- 土地の利権に強い弁護士と提携しており、利権問題を解決した上で運用・再販できるため
- 借地の再販先が豊富であり、買取に際して費用がかかっても(承諾料など)利益を生み出せるため
実際、弊社は底地・借地をはじめ、訳あり不動産の買取実績が600件以上(2023年1月〜10月時点)あり、これまで買取をおこなったお客様からも「買い取ってもらえてホッとした」「早く依頼すればよかった」といった好意的な評価を多数いただいております。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
名義が違う土地・建物を手間や費用をかけることなく、なるべく高値で売却したい方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたことが、土地の所有者・建物の所有者に知られることはありませんので、ご安心ください)。
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まとめ
「亡くなった親名義の土地に自分名義の建物を建てて暮らしていたが、ほかの相続人から立ち退きを要求される」
「親が地主から借りている土地に建てた家を相続したものの、地主から立ち退きを要求される」
など、土地と建物の名義が違う状況では立ち退きトラブルが発生することがあります。
このようなケースでは、まず土地の契約形態を確認することが重要です。
「賃貸借契約」であれば立ち退き要求に応じる必要はありませんが、「使用貸借契約」であれば拒否できない点に注意しましょう。
立ち退きトラブルを避けるには、土地または建物を専門の買取業者に売却するのが有効な方法です。
弊社AlbaLinkは訳あり物件の買取実績を多く持ち、専門知識を活用した迅速な対応が可能です。
一般の不動産業者が取り扱わない訳あり物件専門の買取業者として、フジテレビの「Newsイット!」に紹介された実績もあります。
土地の所有者から立ち退きを要求されて困っている、名義が違う土地・建物のみを売却して立ち退きトラブルから解放されたい方は、お気軽に弊社までご相談ください。