違法建築とは法令に違反した7種の建築物のこと
「違法建築」とは建築基準法や都市計画法に違反した建築物のことで、具体的には以下の建築物を指します。
無申請・無許可で建てられた建築物
建築基準法に定められた申請を行い、許可を受けることなく建てられた建築物は違法です。
家屋などの建物を建てる際には以下の検査が義務付けられています。
検査 | 概要 | 受検の証明 |
---|---|---|
建築確認 | 工事の着工前に、建築物の計画が法や条例に適合しているかチェック | 確認済証 |
※中間検査 | 建築途中(定められた工程完了後)に建物の構造上の安全性をチェック ※要否は自治体へ要確認 |
ー |
完了検査 | 工事完了時、建築物が法令の基準に適合しているかチェック | 検査済証 |
建物の建築や大規模修繕・模様替をする際、工事に着手する前に計画が建築基準関係規定に適合しているか、確認を受けることが必要です。
工事計画の適合性が確認されると、以下の「確認済証」が交付されます。
なお工事中に行う「中間検査」はすべての建築工事で必須ではなく、要否が自治体により異なるので問い合わせが必要です。
工事完了後に行う「完了検査」はすべての工事に義務付けられ、検査で適合性が認められると、以下の「検査済証」が交付されます。
原則、完了検査を受検し検査済証を取得しないと、建物を使用することはできないので、検査済証のない建物は無許可の違法建築となるのです。
なお、検査済証は一度紛失すると再発行できないので注意しましょう(紛失時の代替方法「台帳記載事項証明書」「ガイドライン調査」については後述します)。
建ぺい率・容積率オーバーの建築物
「建ぺい率」「容積率」が建築・増改築時にオーバーした建物も違法建築です。
- 建ぺい率:建物が占める面積(建築面積※)の敷地面積に対する割合を示す、平面的な規制の数値
※建築面積とは、建物を上から見た場合の面積のこと。 - 容積率:建物の延べ面積の敷地面積に対する割合を示す、立体的な規制の数値
たとえ新築時は建ぺい率・容積率共に規定の範囲内であっても、無許可、または許可内容と異なる増改築を繰り返した結果、規定をオーバーした場合も違法建築です。
逆に、建築後に敷地の一部を売却してしまった結果、建ぺい率が上がった場合も違法となる場合があります。
建ぺい率と容積率は用途地域によっても異なります。
また、家屋以外にカーポートや物置などを含めて計算される場合もあるので、リフォーム・リノベーションする際に、もっとも注意が必要な規制の1つです。
斜線規制に違反している建築物
「斜線規制」を遵守していない建築物も違法建築です。
「斜線規制」とは、隣地の採光や通風を確保する目的で、建築物の高さを制限する規制のことです。
道路境界線や隣地境界線からの距離に応じて建築物の高さの制限が決まるというもので、図のように規制線が斜線になることから名づけられました。
よくビルの上層部が斜めにカットされた形状が見られるのは、斜線規制を満たしながら容積率を最大限活かすための設計なのです。
良好な住環境の保護が目的のため、用途地域によって規制が異なり、第1種・第2種低層住宅専用地域、第1種・第2種中高層住宅専用地域に適用されます。
斜線規制の種類は以下のとおりです。
斜線規制 | 目的 | 概要等 |
---|---|---|
隣地斜線制限 | 隣地の建物の採光や通風を確保する | 隣地境界線から20mまたは30mを超える建物が対象 |
道路斜線制限 | 道路の採光や通風を確保する
|
|
北側斜線制限 | 北側敷地の南からの日照を確保する | 北側隣地境界線上の一定の高さを起点とした斜線に収まるよう建築 |
無申請・無許可で増改築している建築物
新築時に建築確認・完了検査を受けたとしても、リフォーム・増築時に申請・許可を得ていない場合には違法建築です。
適法と認められる改修の範囲は、都市計画上のエリアなどによって異なります。
なお、ここでいう「増築」とは「敷地内の既存建築物の延面積を増加させること」、「建築物」は「屋根と柱もしくは壁があるもの」と定義されています。
つまり、エリアにもよりますが、自宅敷地内のカーポートや駐輪場などの設置も「建築物の延面積を増やすこと」に該当するケースがあるので注意が必要です。
無許可で用途変更している建築物
既存の建物の用途を変更する場合にも許可が必要で、許可を受けずに建物の用途を変更した場合も違法建築となります。
例えば確認申請時に居住用として申請していたのに、後で店舗にした場合や、その逆などです。
なお2019年6月からは、200㎡未満の用途変更については確認申請の手続きが不要になりました。
規制緩和によって一般住宅から店舗や飲食店、シェアハウスや保育・介護施設などに用途変更しやすくなりましたが、建築基準法や消防法などの規定に従って建築する必要がある点は変わりないため、注意しましょう。
参照元:国土交通省「建築基 準法改正により 小規模な建築物の 用途変更の手続きが 不要となりました!」
確認申請の内容と異なる建築物
確認申請時に提出した図面と、実際に建築した建物の構造や仕様が異なる場合は違法建築となります。
例えば以下のようなケースです。
- 確認申請時に避難通路として設計されていた箇所が、完成時は駐輪場に変更されていた
- 設計時より窓の数や広さを増やした
なお工事を進めるうちに、確認申請時の計画を変更する必要が生じた場合は、別途「計画変更確認申請」が必要となります。
2018年、ある単身者向けアパートで「建築確認通知書に記載しているはずの界壁がない」「天井部施工不備」「界壁の耐火構造仕様の不適合」などが判明した事件も、申請時の仕様と異なった違法建築事例です。
なおアパートの事例は次項の安全基準も満たしていなかったため、さらに大きな問題となりました。
建築基準法・条例の安全基準を満たしていない建築物
建築基準法には建物の構造、耐震性、安全基準などが定められており、これらの基準を満たさない建築が行われた場合も違法建築です。
- 市街地の安全を確保するための基準(集団規定)
- 木造建築物などの壁を燃えにくい素材にしなければならない区域(法23条区域)
- 建物の屋根を延焼しにくい素材とするよう求める規制(法22条区域)
例えば、「都市計画区域」や「準都市計画区域内」においては、建物単体でなく周囲の建物と関連して安全性を定める「集団規定」が適用されています。
また「防火地域」「準防火地域」に定められている地区では、屋根や外壁に延焼を防ぐ素材の使用が定められています。
具体的には以下のようなケースが違法建築です。
- 安全上必要と定められている柱がない
- 耐火・耐震構造基準を満たしていない
- 定められた建材が使用されていない
安全基準は新築時だけでなくリフォーム時にも適用され、間取りを変えるような大規模な変更時には、耐震性なども計算し直す必要があるので注意が必要です。
違法建築が存在する理由
前項で解説した違法建築がなぜ存在するのか、実際の建築時に国の規制が働かなかった主な理由は以下のとおりです。
完了検査を受けていないケースが多かった
2003年以前は、そもそも完了検査を受ける割合が低かったことが挙げられます。
実際に検査を受けた割合が全体の1/2程度と低く、そのため建築確認の申請時に提出した図面と異なる施工をしても、発覚しなかったケースが多いのです。
また、完了検査を受けなくても建築会社に罰則がなかったため、「工期を短縮したい」などの理由から、中間検査や完了検査を受けない業者も多かったといわれます。
2003年以降の完了検査受検率が上がった理由は以下の2つです。
- 2002年~2004年に受検率アップの3カ年計画が実施され取り締まりが強化された
- 2003年に国土交通省が金融機関に対し、検査済証がない建築物への融資を控えるよう要請した
2003年以降は検査済証のある建築物が増えましたが、2003年以前の建築物では、所有者も知らずに違法建築となっているケースも多いのです。
こうした法令変更はたびたび行われ、2025年からはこれまで検査確認が省略できた小規模リフォームでも、申請が必要になるケースがあるためさらに注意が必要となります。
参照元:国土交通省「2025年4月から4号特例が変わります」
検査後の増改築で違法になった
もう1つは、法に適合した建築物が増改築された結果違法になったパターンです。
例えば、もともと建ぺい率ぎりぎりで建築されていた建物が、増築の結果違法建築となるケースなどです。
検査後の増改築で違法となりやすい主なパターンには、都市計画区域内での以下の増設があります。
- カーポート
- 物置
- 小屋
- トレーラーハウスの固定 など
こうした小規模な増設では、増改築と認識していなかったり「確認申請が不要」と誤認するケースも多く、違反になりやすいのです。
建築確認の要否は都市計画区域や防火地域によっても異なるため、増築したい場合は行政や設計事務所などに確認が必要です。
違法建築と既存不適格建築物の違い
違法建築と似た言葉に「既存不適格」がありますが、両者の違いは「建築した時点で適法だったかどうか」という点です。
「既存不適格物件」とは、建物の完成当時の建築基準法等では適法だった物件が、法律の改正によって適法ではなくなった以下のような物件のことです。
- 用途地域が変更になり、新しい用途地域で規定に適合しなくなった
- 建ぺい率の改正により、現行基準を満たさなくなった
- 建築基準法改正により、接道義務を満たさなくなった
- 耐震基準の改正により、現行基準を満たさなくなった
既存不適格自体は違法ではないため、現状のまま住み続けることは問題ありません。
しかし増改築の際には現行法規に適合させる義務が生じます。
建て替えやリフォーム時に、「建て替え不可(再建築不可)」「床面積を小さくする建て替えしか認められない」などの制限がかかるのです。
なお、既存不適格に当たるかどうかは、自治体ごとに作成された「既存不適格調査チェックリスト」で確認できます。
違法建築と既存不適格の違いは、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
違法建築で通報された3つの事例
違法建築で通報された人には「違法と知らずに工事をした」「違法と分かっていたが皆やっているから大丈夫と思った」などさまざまなケースがあります。
違法建築で通報されるのはどんな時なのか、実際の違法建築通報事例を見てみましょう。
施工業者から確認申請後の車庫建築を提言される
新築で建ぺい率いっぱいの家を建てたAさんは、完了検査後に改めて屋根・壁付ガレージを作りました。
ガレージを後から作った理由は、業者に「最初から作ると建ぺい率で引っかかるから、審査後にガレージを作ればいい」と言われたためです。
「業者が言うのだから」と、あまり疑問を感じず工事を進めたAさんでしたが、後日近隣の人に違法建築で通報され、役所の指導を受けてしまいました。
もともと近隣の人間関係が良くなかったため、嫌がらせで通報されたと感情的になったAさんは、一時は工事の中止判断より通報者の割り出ししか考えられなかったとのことです。
結局役所の出方を待つことにしたAさんですが、建築判断を業者任せにしたことを深く反省したそうです。
違法を承知で近隣同様のカーポートを設置
自宅に屋根付きカーポートを設置することにしたBさんは、建築申請をしても通らないと分かっていたため申請せずに工事に着手しました。
業者の職人と設置作業をしている途中で、役所の職員の来訪を受け「通報を受けてきた。工事中のカーポートに屋根を付けたら違法になる」と指摘されたそうです。
その後も役所の職員から同様の忠告を受けましたが、Bさんとしては「近隣の家もカーポートを建てているのになぜ家だけ?」と、不服でした。
そして「周りの家も皆違法だから役所に言いつける」か「完成させてしまって他の家のように既成事実化する」のどちらがよいか迷ったそうです。
しかし、あくまで「近隣のカーポートも皆違法」はBさんの思い込みに過ぎず、役所に違法と指摘されてしまえば工事済みでも解体しなくてはなりません。
YouTube配信したDIYリフォームで視聴者から通報される
作業用に廃工場を購入したCさんは、DIYで工場内に居住スペースを作ることを思いつきます。
DIYでリフォームを進める過程をYouTubeで配信していたCさんでしたが、ある日仲間と居住スペースを制作している途中で役所の来訪を受けました。
そして役所の職員から「動画の視聴者から違法建築の通報を受けた。今すぐ工事を中止するように」と言い渡されてしまったのです。
なおCさんは事前に「200㎡未満の用途変更は違法にならない」と勉強していたものの、居室の床面積が増えると違法になることには気づかなかったようです。
そこで用途変更の新たな確認申請をすべく、工場の元の所有者に検査済証を要求したところ、そもそも完成検査を受けていなかったことが判明。
確認申請もできなくなったCさんは、結局工場内への居住スペース設置を諦めるしかありませんでした。
違法建築で通報された後のペナルティの流れ
通報されて違法建築が発覚した場合に、どんなペナルティを受けるのか心配な方も多いでしょう。
なお違法建築で通報されたからといって、最初から重い罰則を受けるわけではなく、役所の指導や指示に従わなかった場合、以下のように罪が重くなっていきます。
役所の呼び出し(口頭指導)を受ける
違法建築の疑いで通報されると、施工業者に役所からの呼び出し文書が届きます。
役所からの「行政指導」の最初の段階は重いものではなく、下記の方法で工事現場の大工や施工会社、施主に対し「是正(工事の中止)」を求められます。
- 指示書・勧告書
- 口頭による指示・勧告
この段階で直ちに行政指導に従い工事を中止すれば、それ以上のペナルティを受けることはありません。
呼び出しに応じなければ工事停止命令を受ける
役所の呼び出しや行政指導に応じず工事を続行すると、役所からより強制力のある工事中止命令などの「行政処分」が下されます。
- 工事現場にも工事中止の張り紙がされる
- 道路から目立つ位置に工事中止の看板が設置される
- 違反が「是正」されるまでの間、電気・ガス・水道の各事業者に供給停止が要請される
水や電気などのライフラインが使えないので、事実上の建物の使用制限・使用禁止命令というやや厳しいペナルティとなります。
工事停止命令を無視すると是正命令(取り壊し命令)を受ける
行政処分を受けても工事を止めなかった場合には、刑事罰を受けたり建物の除去・移転などの是正命令(取り壊し命令)を言い渡されます。
行政処分に従わない場合のペナルティは以下のとおりです。
- 3年以下の懲役または300万円以下の過料を受ける
- 公示で氏名が公表される
- 施工業者は免許取り消しや業務停止などの処分を受ける
なお、県庁側はこのまま工事が完成し、建物に入居されると行政代執行が事実上できなくなるため「何月何日までに是正(解体)しないと強制解体をします」と最後通告を出してきます。
ここでいう是正(解体)とは違反部分の撤去だけにとどまりません。
建物全体を違法建築物とみなす考え方に基づき、是正=基礎までの撤去(解体)を指す場合がほとんどです。
自分で取り壊さななければ行政代執行を受ける
最後通告を受けてもなお施主が自ら是正(解体)しない場合、行政代執行※で強制的に建物が解体されます。
※行政代執行とは
建物の所有者の代わりに行政が強制的に解体などの措置を行うこと。
行政代執行された場合の建物解体以外のペナルティは以下のとおりです。
- 家の詳細情報や行政代執行の経緯が全国に報じられる
- 建物所有者の事情によらず、解体費用が建物所有者に請求される
最後通告後に建物所有者と施工会社の双方が、レッカーなどの工機を使って解体に着手した場合には、行政代執行は保留されます。
しかし所有者のみで解体しているような場合は「解体の意思なし」とみなされるため、結局行政代執行を受けてしまいます。
以下は行政代執行(老朽化による)の一例です。
引用元:北海道石狩市「行政代執行 事例1」
このケースでは自ら屋根を撤去したとあることから、所有者が何とか行政代執行を逃れようとした可能性があります。
しかし住民に通報されてしまえば行政が動かざるを得ません。
「解体費用が払えない」と言ったところで、強制解体が執行されれば費用は全額請求され、それでも支払えなければ、最終的に預貯金などの資産差し押さえを受けるのです。
なお行政代執行を受けると所有者の身に何が起こるのか、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
違法建築で通報されないための3つの対策
違法建築とならないために、新規建築時や増改築時には以下の点に留意しましょう。
「確認済証」「検査済証」の交付を受ける
違法建築で通報されないためには、新築や増改築時には確認申請を行い、完成後には工事完了検査を受け「確認済証」「検査済証」の交付を受けましょう。
- 建物の建築計画が建築基準法へ適合⇒「確認済証」が交付される
- 建築物の建築工事が完了した時点で、建築物が法に適合⇒「検査済証」が交付される
「確認済証」と「検査済証」の交付を受けた時点で建物が適法と証明されるので、通報される心配はなくなります。
信頼できる施工業者を選ぶ
公示の施工業者を選ぶ際には、法令を遵守する信頼性の高い業者を選定しましょう。
施工業者の中には、建築基準法に詳しくない業者や、違法と知りながら工事を勧める業者もいるからです。
例えば建築士の資格を持たない業者に工事を丸投げした場合、法令を知らずに違法工事を行ってしまう、といったことが考えられます。
「なじみの大工にまるっと任せた」「相手はプロだから大丈夫」と業者を過信せず、事前に法令順守について打ち合わせておくことも大切です。
工事時に建築確認済であることを表示する
工事現場には建築確認があった旨を表示することが義務付けられています。
公示を行う際には建築基準法に従い、建築確認済証の交付を受けた後は工事の着手までの間に、工事現場の見やすい場所に表示しましょう。
実際、現場に建築確認済みの表示がなかったために、違法建築として通報された事例も少なくありません。
最近は少なくなりましたが、表示1つで防げるトラブルなら未然に防ぎましょう。
違法建築で通報された場合の4つの対処法
違法建築で通報されたとき「他もやっているのに」「通報者を探して訴える」「法律が間違ってる」などと言ったところで何の解決にもなりません。
違法建築で通報された場合の正しい対処法は以下のとおりです。
違法かどうかを建築士に確認してもらう
行政指導や行政処分を受け、異論があるときや役所と交渉したいときの相談先は、弁護士ではなく一級建築士が正解です。
行政指導の相談を弁護士にする人が大半ですが、建築物の違法性・適法性を説明し、行政と交渉できるのは建築士のみであり、弁護士ではありません。
以下の業務が建築士の占業とされているためです。
「建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続きの代理その他の業務」
弁護士に相談しても、本当に建築基準法に違反しているのか、技術的な交渉はできないため注意しましょう。
なお役所の指導に異論がなく解体に同意できるなら、相談先は二級建築士でも問題ありません。
また違法物件かどうかの確認方法については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
検査済証がない場合は「台帳記載事項証明書」を取得する
完了検査を受けていない場合や検査済証を紛失した場合は、自治体の役所で「台帳記載事項証明書※」を発行してもらいましょう。
※台帳記載事項証明書とは
確認済証と検査済証交付の記録が記載されている証明書。紛失した確認済証や検査済証の代わりに発行してもらえる。
検査済証は再発行できませんが、台帳記載事項証明書を取得すれば代替できるので、新たな工事や用途変更のための確認申請が可能になります。
ただし台帳記載事項証明書の様式は役所によって異なり、建築確認年月日・番号で1通の自治体と、検査済証年月日・番号が別々の証明書になる自治体があるので注意が必要です。
また、証明書を発行してもらえない自治体もあり、その場合は「建築確認台帳」を閲覧し、記載事項を手書きでメモしなければなりません。
台帳記載事項証明書の発行手数料は200円~300円程度が相場です。
検査済証がない場合は「ガイドライン調査」で再調査も可能
検査済証がない場合でも「ガイドライン調査」を受ければ、新規増改築などの工事が可能になります。
「ガイドライン調査」とは国の定めたガイドラインに則り、国土交通省へ届出を行った指定確認検査機関等が実施する法適合状況調査のことです。
2014年(平成26年)より、この制度を使って指定検査機関による再調査を受ければ、検査済証と同等と証明されるようになりました。
参照元:国土交通省「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」
ガイドライン調査の流れは以下のとおりです。
- 施工業者による所有者へのヒアリングと簡易調査
- 指定検査機関による意匠調査
- 専門の調査会社による躯体調査
- ガイドライン調査にもとづく報告書作成
元の設計図面もない場合には、現場を測量して建築士が一から作成します。
ガイドライン調査にかかる費用は10数万円~30万円程度です。
違法建築に強い設計事務所に改築を依頼する
違法建築物を改築する場合は、違法建築に強い設計事務所に依頼することをおすすめします。
工務店でも法令を理解していれば問題ありませんが、法令にもとづいた設計ができ、工事も一貫して行える設計事務所に依頼するほうがよりスムーズです。
把握した建築物の現状をもとに適法化の方法を探り、工事の着手・完了にいたるまで、一貫して面倒を見てもらえれば、設計と建築がズレることもありません。
通報された物件を手放すことも検討する
一度違法建築で通報されてしまったら、近所に対して疑心暗鬼になってしまい、その場所で暮らしていくのが辛くなることもあるでしょう。
もし近隣とわだかまりができてしまったら、家を手放して環境を変えるのも1つの手です。
実際以下のアンケートでは、隣人との「人間関係」が引っ越し理由の約3割を占め、第2位にランクインしています。
「引越しの原因になったのは、どのような近隣トラブルでしたか?(複数回答可)」
- 騒音(テレビや話し声、赤ん坊の泣き声、換気扇の音など)(59.4%)
- 人間関係(無視される、嫌がらせ、のぞき見、怒鳴られるなど)(34.2%)
- 臭い(タバコやペットの糞尿、バーベキューなど)(17.7%)
参照元:PR TIMES「隣人トラブルによる引越し経験者に調査!隣人トラブル予防には「厄介な隣人を避ける」「隣人との人間関係構築」の2つが重要」
アンケート結果からも、隣人関係の悪化がかなり強いストレスとなっていることが分かります。
おそらく違法建築で通報された家に住み続けたら、ストレスが溜まり日常生活に支障が出る可能性が高いです。
ですのでストレスフルなご近所関係から解放されるためにも、違法建築の家をさっさと手放してしまうことをおすすめします。
例えば専門の買取業者なら、違法建築物件でもそのままの状態で買い取ってくれます。
「専門の買取業者」とは、違法建築や再建築不可物件など、通常は売れない不動産を専門に買取・再販する買取業者のことです。
違法建築専門の買取業者は、専門家と連携して物件を適法化してから再販できるので、違法建築物件でも問題なく買い取れます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)も、違法建築や再建築不可物件に強い不動産買取業者です。
違法建築で通報され改築を悩んでいる方は、査定のみでもOKですのでぜひ以下へご相談ください。
>>【違法建築物件でも高額売却!】無料で買取査定を依頼をする
通報された違法建築を所有し続ける6つのリスク
違法建築で通報された家をそのまま所有し続けた場合、以下のリスクが生じるため注意が必要です。
今は何事もなくても、将来的にさまざまな不具合が起こる可能性が高いので、少しでも違法建築に不安を感じるなら、手放すのが賢明です。
住人へ安全性の保障がない
住人の安全が保障されない点が違法建築の最大のリスクです。
違反している項目によっても建築物の安全性は異なりますが、もし耐震構造などに問題があれば、今後の地震や自然災害で損傷・倒壊しないとも限りません。
特に完了検査後にDIYリフォームで間取り変更などを行っている場合は、強度の問題が疑われます。
適切な検査を受け、解体か適法化リフォームか、いずれかの対策が必要です。
行政指導や法的措置を受ける可能性がある
先述したとおり、違法建築物の所有者(施主)と施工業者は、行政指導や行政処分を受ける可能性があります。
建築基準法などの法令違反が発覚した場合は、行政の指導・指示に従って建物を法に適合する形で改築・移転・解体しなければなりません。
是正工事には多額の費用がかかり、基礎から改築すれば新築と変わらない費用がかかってしまうでしょう。
事故・災害で周囲に被害を及ぼす恐れがある
もし建物の構造上の問題が原因で地震などの災害時に損傷・倒壊すれば、周囲へ損害を与える恐れがあります。
違法建築が原因で周辺住人に被害が及んだ場合には、所有者責任を問われる可能性が高いです。
周辺の家屋に損害を与えたり誰かにけがをさせたりすれば、損害賠償を請求される可能性もあります。
なお建築基準法や消防法などに違反している建築物に対しては、保険金が支払われない可能性もあり、その場合は自費で損害賠償責任を負わなければなりません。
新たな増改築や用途変更が許可されない
違法建築物件はそのままでは新たな確認申請が通らないため、以下の変更がほぼ不可能になります。
- 増築
- 大規模な模様替え
- 大規模な修繕
- 用途変更 など
新たな申請をするためには、先に違反の是正が必要ですが、その場合は元の検査済証(なければ「台帳記載事項証明書」か「ガイドライン調査」のいずれか)が必要です。
なお是正で適合させるべき法律には以下のものがあります。
- 建築基準法
- 集団規定
- 単体規定
- 消防法
すべてを満たすためには多角的な調査が必要なうえ、元の建築から年月が経つほど、調査と適法化は困難になります。
融資を受けにくい
違法建築物件を売りに出した際に、買主が融資を受けるのはほぼ不可能です。
先述した2003年の国の方針もあり、金融機関では違法建築を担保価値0とみなし融資をしてくれません。
特に近年のコンプライアンス強化などにより、ノンバンクや一部の信金などを除いては、違法建築物件への融資がいっそう避けられるようになりました。
したがって違法建築物件を購入できるのは、ローンを組まず現金で購入できる人に限られるということです。
一般の人は、そんなにまとまった現金など普通は持っていません。
逆に、資金のある人はわざわざ条件の悪い違法建築物件など購入しないでしょう。
そもそも違法建築物件には需要がほとんどないということです。
売却が困難になり売れても買い叩かれる
買い手が違法建築物件を購入したがらない理由は、ローンが組めないことだけではありません。
違法建築の是正義務は新たな所有者にも及ぶため、解っていたらほとんどの人が購入しないでしょう。
辛うじて違法建築の不動産を購入する可能性があるのは以下の人ぐらいです。
- 建物を建てるために土地だけを探している人
- 高利回り狙いの不動産投資家
土地だけを買いたい人の場合は建物部分の評価は0となり、土地価格のみで取引されるのが一般的です。
また不動産投資家なら現金で購入できる可能性もありますが、利回りを上げるためにかなり安く買い叩かれてしまうでしょう。
いずれにせよ、周辺相場よりもかなり安くなってしまうことは明らかです。
なお、違法建築物件を売却する方法とポイントは以下の記事で詳しく解説しているので、参考にして下さい。
アルバリンクなら違法建築で通報された物件でも売却できる
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、違法建築などの訳あり物件を専門に買い取る不動産買取業者です。
弊社が通常は売れない違法建築物件でも買い取れる理由は、提携しているリフォーム業者によりスムーズに物件を適法化できるためです。
違法建築物件をそのまま買い取れるため、あなた自身が売却のためにリフォームや解体をする必要はなく、検査や測量なども必要ありません。
弊社はさらに全国に数千人の不動産投資家を抱えており、違法建築でも確実に再販・収益化できるため、高値での買取が可能です。
弊社は訳あり物件専門の買取業者として、他社では断られるような違法建築物件・再建築不可物件を多数買い取ってきました。
たとえば下記は弊社が買い取った千葉県富津市の再建築不可物件です。
この物件は前面道路の幅員が2m未満で接道義務を果たしていませんでした。 また、下の写真の「BEFORE」を見てもらえばわかる通り、室内も老朽化が進んでいましたが、弊社はこの物件を600万円で買取り、リフォームを施したのち、提携している不動産投資家へ再販致しました。 このように弊社は再販先や運用方法を豊富に持っているため、老朽化が進んだ家や違法建築物件であっても買い取ることができます。
実際、弊社に物件の買取依頼をしていただいたお客様からは「売れずに困っていたが買い取ってもらえてホッとした」「もっと早く依頼すれば良かった」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
ですから、「違法物件の売却など初めてで不安なことばかり」という方こそ、弊社にご依頼いただければと思っております。
これまで培ったノウハウをフル活用し、あなたの違法建築物件をできる限りスピーディーかつ高値で買い取らせていただきます(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
>>【違法建築物件でも高額売却!】無料で買取査定を依頼をする
まとめ
違法建築で通報されたら、直ちに行政の指示に従わないと厳重なペナルティを受ける可能性があります。
違法建築には施工業者だけでなく所有者にも是正責任があり、知らずに違法建築になっていた場合でも同様です。
役所から指導や勧告を受けた段階で違法状態を是正しなければ、家屋の使用停止や強制解体(行政代執行)を受けることになってしまいます。
また、幸いにしてペナルティを受けずに済んだとしても、将来改築や用途変更もできず、売却もできなくなるため、違法建築物は早期に手放すほうが賢明です。
違法建築物は購入時に融資を受けられず売却が困難ですが、専門の買取業者なら問題なく買い取ってくれるので、相談してみましょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は違法建築などの訳あり物件を専門とする不動産買取業者です。
弊社の幅広い買取・再販実績は数々のメディアでも紹介されています。
これまでも多数の違法建築物件や築古空き家などを買い取り、再販してきた豊富なノウハウがあるので、あなたの違法建築の家も高額で買取が可能です。
違法建築で通報されペナルティが心配な方は、ぜひ下記のバナーから弊社へご相談ください。