隣人に「越境した木を切ってほしい」と手紙で伝えるべき理由
越境してきた木の枝を隣人に切ってもらいたい場合に、手紙で伝えるべき理由は以下のとおりです。
それぞれ解説します。
越境した枝は隣人に切ってもらう必要があるから
隣から越境してきた木の枝は、基本的に所有者である隣人に切ってもらう必要があります。
隣の木が越境しているからといって、勝手に切ってしまうと違法となり(刑法上の器物損壊罪)、損害賠償責任を負う恐れがあるため注意が必要です。
(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第二百三十三条 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
なぜなら民法は、上記のように「所有者に切除させることができる」と規定しているだけで、「越境されたら勝手に切ってよい」とは言っておらず、あくまで相手に切ってもらうことが前提だからです。
そのため、越境した木の所有者である隣人に「切ってほしい」と、口頭もしくは手紙で伝える必要があります。
ただ、口頭で枝を切ってもらう約束をしても、軽く流されやすく期限を切ることも難しいので、後述する形式で枝を切ってほしいことを確実に伝え、枝を切る約束を取り付けることが重要になります。
特に、一度口頭でお願いしても木を切ってもらえなかった場合は、切除を依頼したことが証拠として残る手紙で依頼するのが効果的です。
ちなみに、民法上は越境した隣の「枝」を勝手に切るのはNGですが、「根」はOKとなっています。
民法が改正されても勝手に切るのはNGだから
2023年4月1日の民法改正により、以下の条件付きで越境してきた木の枝を越境された側が切除して良いことになりました。
3 第一項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
三 急迫の事情があるとき。
なお今回の改正は「例外規定」の追加であり、原則は所有者に切らせることに変わりはありません。
1項は、一度枝を切るよう期限を切って頼んだのに、隣人が期限までに切らなかった場合に限定されます。
「相当の期間内」とはおおむね2週間が目安です。
2項は、隣人が行方不明の場合、一度所在を調査し、それでも見つからない場合に限って、自分で切っても良いという意味です。
3項は、台風が接近しているなど、早急に枝を切らないと自分の家屋が損害を被ることが明らかな場合に限り、自分で切除できるとしています。
いずれにせよ、自分で枝を切除する前に、隣人に切ってもらうよう手紙等で交渉に努めなければなりません。
上記に当てはまらず勝手に枝を切れば、改正前と同様違法となる恐れがあるのです。
隣人に木を切ってほしい場合の手紙の例文
隣人に越境した木を切ってほしいと伝える手紙は、状況により書くべきパターンが若干異なります。
ここでは隣人への手紙の基本的な書き方と、パターン別の文例を紹介します。
手紙の形式と書くべき事項
相手に苦情を伝える手紙の基本は、伝えるべき要素を簡潔に書くことです。
以下に手紙に記載すべき基本的な要素をまとめました。
【記載すべき要素】
- 作成日時(発送日)
- 宛名(枝の所有者)
- 差出人(越境された土地の所有者)
- タイトル
- 具体的な越境状況
- 越境による悪影響と実害
- 枝の切除にかかる時間を考慮した猶予期間
※隣の敷地へ入って枝を切除する場合は予定日時の設定も記載
上記の項目は後に「言った・言わない」とならないよう、法的な証拠にできます。
「差出人」=「越境された土地の所有者」を記載することがポイントです。
所有者の親族が代筆している場合であっても、土地の所有者の名前を書きましょう。
「タイトル」=「通知書」や、たびたび依頼しても応じてもらえない場合に「催告書※」を使うケースもあります。
※催告書とは
債権者が債務者に対し、法律上の義務(債務の履行)を果たすよう通告する文書のこと。
なお、枝の越境状況については「越境している土地・されている土地」「越境部分」を具体的に特定できるよう、写真や図面、地図などを添付するのがおすすめです。
加えて、枝の越境により受けている悪影響や実害を、具体的に記載しましょう。
実害を示さず枝の切除を求めると違法になるおそれがあるためです。
また、「猶予期間」は隣人の都合も考慮し、長めに設定するのが適切です。
なお、自分が隣地へ入って枝を切除する場合は、実行予定日時も記載する必要があります。
手紙で苦情を伝えるコツ
手紙で苦情を伝える際は、感情を入れず事実関係のみを伝えることが大切です。
感情的・攻撃的な文章では、相手の神経を逆なでしてトラブルにつながる恐れがあるため、たとえ相手に非があったにせよ、誹謗中傷になるような文章を書くのはNGです。
丁寧かつ具体的な文章を心がけましょう。
苦情の手紙を書くコツは以下のとおりです。
- 感情は排除する
- 文章は簡潔に・事実のみを書く
- 読む側の気持ちに寄り添う
- してほしいことの要望は明確に
「相手にどうしてほしいか」の要望は明確にしつつ、相手の立場に立ち、文章の書き方・表現には細心の注意を払いましょう。
また、事前に写真など、手紙の主張の根拠となる証拠を集めることも重要です。
なお、以下の記事では隣人トラブルの対処法について解説しているので、参考にしてください。
手紙の例文一覧
ここで手紙の具体的な例文をパターン別に紹介します。
角を立てない手紙の例文
隣人と特に確執はなく、単に相手が夜勤や留守がちで会えない、付き合いが薄いだけといったケースもあるでしょう。
そのような隣人と波風を立てたくない場合に使える、依頼文や要望書の書き方を紹介します。
以下は行政書士による例文です。
お願い
拝啓
時下ますますご清栄のことと存じます。
突然のお願いにて恐縮ですが、下のような事情ですのでご配慮ください。
私の土地との境界線近くにある〇〇様土地内の〇〇の樹木が成長し、一部が境界を越えて私の土地を覆うようになりました。庭の日当たりに影響があり、落ち葉の時期には枯葉の処理にも悩まされております。
つきましては、私の土地に越境している枝を切除していただけないでしょうか。もし私のほうで切除しても差し支えないということでしたら、職人を手配するなどして対応しようと思うのですが、費用の点もありますので、この件に関してご回答をいただきたいです。
ご連絡をお待ちしております。
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇〇〇2丁目3番4号
〇〇 〇〇 ㊞
(木の所有者の住所)
(木の所有者の氏名)様
越境している枝の箇所と自分が被っている実害を明確に記載しています。
ややかしこまった表現ですが、親しくもなく角を立てたくない場合は、このぐらい丁寧なほうが適切です。
なお、双方の年代が若いなど、時候の挨拶に違和感がある場合は省略し、末尾を「不一」などとしても問題ありません。
続いて、以下の例文も角が立たないようやんわりと要件を伝えています。
(木の所有者の氏名)様
前略、失礼いたします。
まずは直接お会いして、お話しさせていただくのが順序とは思いますが、生来の口下手で、お伝えしたいことが正しく伝わらないかもしれないと思い、お手紙とさせていただく失礼お許しください。
さて、お宅さまのお庭には、(木の名前)が育っています。木が成長して、伸びていくことは理解しております。
しかし、東方の家の敷地まで伸びてきており、車を傷つける恐れも出てきています。
また、落ち葉により、排水溝につまりも出てきております。東方の希望としては、木を〇センチほど切除していただき、当方の敷地内に入らないようにしていただければ幸いに思います。
お忙しいところ恐縮ですが、ご検討よろしくお願いいたします。
令和〇〇年〇〇月〇〇日 (差出人氏名)
引用元:よくわかる日常問題!法律情報局
上記の例文も自分が受けている実害と、後のトラブル回避のために切除する長さも明確にしています。
また、自分が隣地へ立ち入って枝を切除したい場合は、文章を以下のように変更するとよいでしょう。
取り急ぎ申し上げます。
お気づきのように、両家の境界にある植栽が、うっそうとしてきましたので、少々手入れをさせていただきたくお願いできませんでしょうか。
その際、やむを得ずお庭に立ち入る失礼をお許しください。
何卒、初版の事情をご賢察くださいますと幸いです。
隣人との関係性などを考慮し、もっとも適切な文章を選んでください。
民法を明示するやや強い例文
続いて、先述の民法を根拠に隣人に枝の切除を依頼する手紙の例文を紹介します。
以下は弁護士が作成した手紙のテンプレートです。
令和●年●月●日
●●県●●市●●●丁目●番●号
お隣 太郎 殿●●県●●市●●●丁目●番●号
越境 次郎 印通 知 書
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
貴殿が所有する土地(●●県●●市●●●丁目●番●。以下「本件土地」といいます。)の【東西南北】部分にある木の枝(以下「本件枝」といいます。)が、当方の土地(●●県●●市●●●丁目●番●。以下同じ)の【東西南北】部分に越境している状態です。
本件枝の越境により、当方の土地への日照が妨げられており、景観も悪化しています。他にも●という被害が生じています。このままですと、枝は伸びるばかりで、被害が悪化する一途です。
つきましては、民法 233 条 3 項 1 号に基づき、当方は、貴殿に対し、本書をもって本件枝の当方の土地への越境部分を切除するよう求めます。期限は、本書の発送日(頭書記載の日付)から1か月以内(以下「本件期限」といいます。)でお願いいたします。貴殿にて本件枝の切除が終わりましたら、当方まで速やかにご連絡いただけますと幸いです。他方で、貴殿にて切除を行う意向があるものの、本件期限内に対応が難しい場合は、その旨及び本件期限までに対応が難しい理由をご連絡ください。
なお、本件期限までにご対応をいただけない場合、誠に不本意ながら、本件枝の当方の土地
への越境部分を切除するために、本件土地の【立入り部分が必要な部分】に、【●年●月●日●時頃】に【私/剪定業者】が立入り、当該越境部分を切除させていただきたく存じます。当該切除に係る費用の一切は貴殿に請求させていただきますのでご承知おきください。敬具
引用元:負動産の窓口「通知書サンプル(隣人に木を切ってほしい場合の手紙の例文)」
万が一トラブルになった場合に証拠化できるよう、枝の場所や具体的な実害を明記しています。
また相手の都合も考慮して、切除の期限を1カ月設けつつ、対応が難しい場合は連絡をすること、切除費用は請求することなどを伝えている点もポイントです。
法律な言い回しを使用しているので、相手に緊張感を与えられるでしょう。
相手にプレッシャーを与える手紙の例文
隣人との関係性によっては、契約書と同等の法的効力を持つ「覚書」を交わしてプレッシャーを与えることも有効です。
覚書とは、当事者間で約束や合意をした内容を失念しないようまとめた書面のことです。
契約書などの内容を補完するために用いられることの多い文書で、この場合は1通目の手紙を補完する意味合いがあります。
以下は行政書士による手紙の例文です。
覚書
〇〇〇〇(以下「甲」という。)と〇〇〇〇(以下「乙」という。)とは、令和〇年〇月〇日、行が所有する土地の樹木の枝が、乙が所有する土地に越境していること(以下、「越境物」という。)について、下記のとおり合意し、覚書を締結する。
第1条 甲乙は、越境物の越境部分が別紙記載のとおりであることを互いに確認した。
第2条 甲は、越境物については、事故の責任と負担において除去するものとする。
第3条 乙は、越境物の除去のために必要な範囲内で、甲が乙地に立ち入ることを承諾する。
第4条 乙は、生来において本件越境物が、再度越境した場合、甲に通知したうえで、乙が越境物の除去を行うことができる。その場合、かかった費用は甲の負担とする。
以上、この合意成立の証として本書2通を作成し、甲乙は署名捺印の上1通を保有する。
(甲)
住所
氏名㊞
(乙)
住所
氏名㊞
覚書は契約書より簡易的であるものの、お互いの合意内容を証明する文書となり、法的拘束力は通常の契約書と変わらない点に注意が必要です。
そのほか、1通目の手紙を出したにもかかわらず、対応が見られなかった場合に、以下のような追伸を書くのも1つの方法です。
(2通目)
先日お手紙させていただきましたが、その後改善が見られません。
民法大233条「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」に従い、正式に枝の切除を依頼いたします。
早急な善処をよろしくお願いいたします。
(2通目でなお対応が得られなかった場合の3通目)
先日の正式な依頼にもかかわらず、善処が見られません。
○月○日に至っても当方の希望する処置が見られない場合、貴殿の不法行為による損害賠償請求をさせていただきます。
重ねて、早急な善処を強く希望します。
隣人との関係性や緊急度合いに応じて使い分けましょう。
手紙を証拠化したいときの「内容証明」の例文
手紙をなかったことにされたり、うやむやにされたくない場合は「内容証明郵便」として手紙を送る方法もあります。
「内容証明」とは、郵便事業者が文書の内容と差出人、宛先、差出日付を証明してくれる郵便物のことで、通知や抗議、撤回、請求、要求、催促の文書として使われます。
内容証明郵便の目的は以下のとおりです。
- 相手に差出人の強い意志を伝える
- 相手に心理的プレッシャーを与える
- 相手の反応を確認する
なお、内容証明は形式が以下のいずれかに決められている点に注意しましょう。
縦書きの場合:1行20文字以内・1枚26行以内
横書きの場合:以下のいずれか
- 1行20文字以内・1枚26行以内
- 1行13文字以内・1枚40行以内
- 1行26文字以内・1枚20行以内
具体的な例文を以下に挙げます。
私は、貴殿が所有する土地(隣家の住所を記載する)に隣接する土地(自分の住所を記載する)の所有者です。さて、貴殿の所有地に生育している○○(木の名前)の木が、私どもの所有する土地に、〇センチほど伸びてきています。これにより、私どもの車に傷をつけてしまうおそれが生じています。そのため、伸びている木を切りたいのですが、私どもの所有物ではないため、切ることができず困っています。
つきましては、この木の越境部分を民法第233条第1項の規定に基づき、切断して頂きますよう請求致します。
令和〇年〇〇月〇〇日 住所○○(名前) ㊞
住所
○○○○ 殿引用元:よくわかる日常問題!法律情報局
内容証明の注意点は、書面にした時点で証拠として残っているので、一度出すと訂正や取り消しはできないことです。
また、今後の人間関係に影響が残る可能性もあるため、内容証明を使うかどうかは慎重に判断すべきです。
なお、内容証明に証拠としての効力はあるものの、強制的に従わせる法的効力はないため注意しましょう。
隣人が所在不明の場合に木を切ってほしいと手紙を出す手順
隣人に木を切ってほしいと伝えたくても、隣地が空き家で所有者が不明の場合もあるでしょう。
ここからは越境した木の所有者が不明の場合に、当人を探し出して手紙を出す手順を解説します。
なお、所有者不明土地の所有者を調べる方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
所有者を調べる
隣が空き家の場合に所有者を探すには、隣地の「登記簿」を取得し、記載されている名義人をチェックすることで調べられます。
登記名義人を調べる方法は以下の2つです。
- 法務局で登記簿を調べる
- インターネットの登記情報提供サービスで調べる
法務局で登記簿を調べる
1つ目は管轄の法務局へ出向き、土地や建物の登記情報を取得して調べる方法です。
隣地の登記情報は、法務局にて「登記事項証明書」を発行してもらえればわかります。
登記事項証明書には、不動産の名義人と面積や地番、抵当権などの登記情報が記載されているので、登記情報を取得すれば、隣の空き家の所有者を確認することが可能です。
管轄の法務局で、以下の「登記事項証明書交付請求書」を記載し提出しましょう。
なお、「登記事項証明書」や「登記事項要約書」は、空き家の所有者でなくても取得することは可能です。
申請時は、交付手数料として収入印紙600円が必要ですが、印鑑など他の持ち物は必要ありません。
登記事項証明書の交付手数料は以下のとおりです。
- 指定した登記所の窓口で受け取る場合:1通480円
- 郵送で受け取る場合:1通 500 円
※いずれも1通の枚数が50枚を超える場合には、以降 50 枚ごとに100円加算
参照元:法務省「登録手数料について」
可能であれば、申請時に土地の地番、家屋番号などもわかっているとスムーズです。
なお、登記事項証明書の見方は以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
インターネットの「登記情報提供サービス」で調べる
隣地の登記情報はインターネットの「登記情報提供サービス」で調べることも可能です。
「登記情報提供サービス」は登記所にある登記情報を、インターネットで確認できる有料サービスです。
登記事項証明書のような法的証明力はないものの、照会時点の登記情報を閲覧・保存できるので、空き家の所有者を調べるだけなら十分使えます。
登記情報提供サービスを利用するには以下の流れで登録が必要です。
- 「申込手続」で利用登録を行う
- 「利用者ID」を取得する
- 約1週間で「登録完了通知書(利用者ID)」が送られてくる
登録手続きの際に設定したパスワードはログイン時に必要となるので、忘れないよう注意しましょう。
なお、画面入力時に空き家の「地番」と「家屋番号」が必要となりますが、入力画面右下の「地番検索サービス」から調べられます。
利用料金は、登記情報の請求時にクレジットカードから決裁されます。
- 初期登録費用(個人):300 円
- 不動産登記情報の全部事項1件:334円
登記情報提供サービスの利用時間は以下のとおりです。
- 平日:8:30~23:00
- 土日祝日:8:30~18:00
この方法なら法務局よりも手軽で安価に情報収集できるでしょう。
ただし、登記情報を取得できたとしても、登記名義人が現在の所有者とは限らない点に注意が必要です。
例えば隣人がすでに他界していた場合、相続登記されていなければ、登記名義人が故人のままである可能性もあります。
もし相続登記されていなかった場合、隣の越境した木を切ってもらうには、相続人の中から空き家の所有者を探さなければならないでしょう。
所有者がわかったらNTT番号案内で電話番号を確認する
登記情報から隣家の所有者がわかった場合は、NTT番号案内で電話番号を聞きましょう。
NTT番号案内(104番)では、住所を伝えると、電話帳登録のある電話番号を教えてくれます。
利用時間と料金は以下のとおりです。
区分 | 料金 (1案内) |
||
---|---|---|---|
昼間・夜間 (8:00~23:00) |
月に1案内の場合 | 66円 | |
月に2案内 以上の場合 |
1案内分 | 66円 | |
1案内を超える部分 | 99円 | ||
深夜・早朝(23:00~8:00) | 165円 |
参照元:NTT東日本「番号案内サービス」
隣地所有者の電話番号がわかったら、連絡を取ってみましょう。
なお、NTT番号案内で連絡先がわかるのは、相手がNTTに電話帳登録している場合に限ります。
固定電話の登録がない場合は、次項の方法で探すしかありません。
※番号案内(104番)は2026年3月31日をもってサービスを終了する予定です。
参照元:NTT東日本「番号案内サービス」
電話が通じなかったら手紙を出す
NTT番号案内で調べた電話番号で連絡が取れなかった場合は、登記情報で調べた住所へ手紙を出してみましょう。
手紙に返信があり連絡が取れた場合は、先方に事情を伝えて枝の切除を交渉します。
登記情報が現状と異なる場合は弁護士・司法書士へ依頼する
もし電話も通じず、手紙も戻ってきてしまった場合は、登記事項証明書に書かれた住所に、隣地の真の所有者はいないことになります。
この場合、「名義人不明」の土地として捜索方法を切り替えなければなりません。
例えば隣人が他界していて相続人が不明の場合、登記情報をもとに故人の出生から死亡までの戸籍謄本すべてを取得することで、所有者を特定できます。
ちなみに、自治体が所有者不明空き家の所有者を探索する際には、
- 固定資産税情報を参照
- 戸籍謄本や住民票情報と照合
- 水道局や電気会社へ照合
- 病院へ照合
- 近隣住人への聞き込み
といった手順を踏みます。
しかし個人が捜索する場合、個人情報保護の観点から戸籍情報の取得に制限があるため注意が必要です。
実際には「自分の権利を行使したり、自分の義務を履行したりするために戸籍の記載事項を確認する必要があるような場合や、国等に提出する必要があるような場合等」の例外を除いて、第三者の個人が住民票や戸籍謄本を取得することは不可能です。
参照元:法務省「戸籍の窓口での「本人確認」が法律上のルールになりました」
したがって、弁護士や司法書士、行政書士に依頼して住所の移転先を調べてもらうしかありません。
なお以下の記事では、未登記建物の所有者の調べ方について詳しく解説しているので参考にしてください。
隣人に木を切ってほしいと手紙を出す際の3つの注意点
隣人に木を切ってほしいと依頼する場合や、民法の例外規定で自分が切る場合には、以下の点に注意が必要です。
越境問題の解決には法律が絡むため、解釈が曖昧なまま木を切除してしまうとトラブルや、最悪訴訟を起こされる恐れもあるので、しっかり押さえておきましょう。
境界が確定しているか確認する
隣人に「越境した木を切ってほしい」と交渉する前に、念のため境界が確定しているかどうかを確認しておきましょう。
境界が確定していなければ、そもそも越境しているという主張自体が成立しません。
境界について隣人との認識が食い違っていた場合、手紙を出したことでトラブルになる可能性があるため、自分の認識が正しいかどうか確認が必要です。
なお、越境を判断するうえでの境界とは「隣地境界線」のことを指し、必ずしも塀や垣根ではない点に注意しましょう。
もし「境界標」がなく境界を証明する「地積測量図」も見当たらない場合は、境界が確定されていない可能性があります。
その場合はトラブル回避のために、土地家屋調査士に測量を依頼するほうが安心です(測量費用35万円〜80万円)。
なお、以下の記事では境界を明確にする方法について詳しく解説しているので、参考にしてください。
自分で切除する場合は同意書が必要
越境した木の枝を自分が切除することに決まった場合は、書面で同意書を交わしておくことも大切です。
口約束だけで枝切除の同意を得ても、後日以下のようなトラブルになるケースが少なくありません。
- 思ったより長く(多くの枝を)切られた
- 合意でなく強要されただけ
- 家の敷地に入って切るとは聞いていない
- 剪定業者の費用を支払うなんて聞いていない
- その他「言った・言わない」の水掛け論
実際の剪定の場面では、業者が隣地の敷地に入ったり、剪定費用が想定外だったりすることで、隣人にネガティブな感情を抱かせやすいです。
後々トラブルにつながらないためにも、こうした相手の心情や立場も考慮し、自分が切除する際は手紙に加え、正式な同意書を交わしておきましょう。
せっかく民法で自分から枝を切れるようになっても、実際に切除した場合にトラブルになる可能性は高いといえます。
実害がないのに木を切ると違法になる場合がある
隣地の越境した木を自分で切ってよいのは、越境されて実害がある場合のみである点に注意が必要です。
越境による実害がないのに、勝手に枝を切ると「権利の濫用」にあたり、違法で逆に訴えられる可能性があります。
越境部分の収去は無制限に認められるものではなく、越境による被害など諸事情を考慮のうえ、正当性を判断されます。
もし木の越境にどうしても耐えられず、なおかつ実害に当たるかどうか判断に迷う場合は、弁護士に相談するほうが良いでしょう。
切除費用負担で揉める可能性がある
隣人が木を切ってくれず自分で切除した場合、どちらが費用を支払うかで揉める可能性があります。
法的には、切除費用の支払い義務は木の所有者である隣人にあるとされています。
ただし隣人に支払いを拒否、あるいは無視された場合に費用を請求する方法は裁判しかありません。
ちなみに裁判を起こすと以下の費用がかかります。
- 裁判所手数料:10万円ごとに1,000円(訴訟の目的価額100万円まで)
- 弁護士費用:
- 着手金30万円~、報酬金(成功時のみ)30万円~、法律相談料、調停・裁判の日当数万円、タイムチャージなど
もし「鑑定測量」を行う場合はさらに40万円~80万円がかかります。
実際のところ、そこまで争ってもお金を回収するのに約1年かかるうえに、隣人との関係は修復不可能となってしまうので、できれば避けたいところです。
手紙を出しても隣人が木を切ってくれないときの6つの対処法
越境した木を自分で切るとトラブルになりやすいので、隣人が切ってくれない場合の対処法を考えておく必要があります。
とはいえ、市役所、警察、弁護士など、どこへ相談先してよいかわからず戸惑っているのではないでしょうか。
そこで、手紙を出しても隣人が木を切ってくれない場合にどこへ相談すべきか、対処法を解説します。
もし隣人に見切りをつけて引っ越す場合のために、最後に家をスムーズに手放す方法も紹介します。
自治会・町内会へ相談する
木を切ってくれるよう頼んでも、手紙を出しても、隣人が聞く耳を持たない場合は、自治会や町内会に相談しましょう。
当人同士だと感情的になって問題がエスカレートしやすいので、トラブル相手とはなるべく直接話さないことが肝心です。
できるだけ地域の代表者などに間に入ってもらい、トラブル解決のサポートを受けましょう。
基本的に、自治会・町内会は個人間のトラブルでも相談に乗ってもらえて、話し合いを取り持ってもらえる可能性があります。
ただし、騒音や悪臭、ゴミ出しルール違反などは近隣住人が共同で対策することが一般的ですが、木の越境問題は被害者が自分だけのため、共同で張り紙をするような対策は取りにくいかもしれません。
弁護士へ相談する
「手紙で頼んでも隣人が木を切ってくれない」「落ち葉の清掃費用や伐採費用を請求したい」といった個人間のトラブルを相談するには、弁護士が最適です。
弁護士というと、裁判や富裕層の遺産分割などのイメージがありますが、近隣トラブルで法的な判断が必要な場合も頼りになる存在です。
- 他人の土地に囲まれている土地の通行
- 私道の通行
- 境界標・塀の設置
- 境界を越える樹木
- 騒音
- ゴミ屋敷 など
弁護士なら証拠の収集や法的な手続きを、一貫して任せることが可能です。
ただし弁護士にも得意分野があるので、近隣トラブルが不得意な弁護士に問い合わせても断られてしまう可能性もあります。
そのため、弁護士を探す際には検索エンジンで「近隣トラブル 弁護士 〇〇(エリア)」と、ジャンルを入れて検索することをおすすめします。
なお、弁護士に相談することに抵抗がある場合や、費用が心配な場合は「法テラス※」に相談するのも1つの方法です。
法テラス(日本司法支援センター)とは、国の運営する法的トラブル解決サポートの総合窓口です。
問題が法的トラブルに該当するか、誰に相談すべきかを3回まで無料で教えてくれます。
ただし相談時間は1回30分程度のため、相談内容は事前にまとめておきましょう。
警察相談専用電話ダイヤル「#9110」へ相談する
近隣トラブルは「警察相談専用ダイヤル#9110」へ相談することも可能です。
警察というと、事件性がないと対応してくれない印象がありますが、「#9110」なら近隣トラブルの相談にも乗ってくれます。
電話番号は全国共通で、相談内容に応じて関連する部署が連携して指導や助言、相手方への警告、検挙などの対応をしてくれます。
また、必要に応じて、法テラスや消費生活センターなどの専門の機関への引継ぎや紹介もしてくれるので安心です。
直接法律相談はできませんが、どこへ相談してよいかわからないときは、最初に#9110へ一報しても良いでしょう。
通話できる時間帯は以下のとおりです。
参照元:政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ」
国民生活センターの裁判外紛争解決手続(ADR)を利用する
隣人とのトラブルは国民生活センターの「裁判外紛争解決手続(ADR)」で相談することも可能です。
ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判によることもなく、公正中立な第三者が当事者間に入り、話し合いでトラブルの解決を図る手続きのことです。
民事上のトラブルに対し、公正中立な第三者である各分野の専門家が、当事者両方の言い分をよく聴き、専門知見を活かして当事者同士の話し合いを合意に導きます。
ADRは「できれば裁判でなく当事者同士の話し合いで解決したい」「トラブルを解決したいが、内密にしたい情報まで法廷で公開されたくない」といったケースで相談が可能です。
ADRに登録されている第三者機関は以下のように多岐にわたります。
【登録している第三者機関の例】
- 弁護士会・司法書士会
- 土地家屋調査士会
- 社会保険労務士会
- 業界団体や消費者団体
- NPO法人 など
ADRの公式ページ上「認証事業者 | かいけつサポート」に政府が認定した機関が掲載されているので、相談内容に合わせてチェックしてみましょう。
ADRを依頼する流れは以下のとおりです。
- ADRを利用したい人(申立者)がADR事業者に申し立てを行う
- 申立を受理したADR事業者は、ADR手続の開始を相手方に連絡する
- 相手方がADR手続の開始に合意すると、ADR事業者により選任された手続実施者(調停人・あっせん人など)が間に入って、申立者と相手方が話し合う
- 申立者と相手方双方が合意すれば、ADR手続は終了
ただし、相手方がADR手続の開始に応じないと、ADR手続は行われず、双方合意ができなければADRは不成立となります。
なおADRに裁判のような法的強制力はないため、100%要求を通せるとは限りません。
基本的にADRの対象は、話し合いで解決できる民事の法的トラブルであり、他のトラブルは解決できないので注意しましょう。
参照元:政府広報オンライン「法的トラブル解決には、『ADR(裁判外紛争解決手続)』」
木が道路の通行の妨げになる場合は市役所へ相談する
隣地の木が道路に張り出し通行の妨げになっている場合は、市役所に相談しましょう。
多くの自治体では、道路管理課などの部署へ相談すると、木の張り出した現地を確認し、所有者へ木の伐採・剪定を依頼してくれます。
参照元:綾瀬市「民家から道路上にはみ出し、通行に支障のある樹木については、どこに連絡したらいいですか。」
ちなみに民法第233条は行政にも適用されるため、張り出した木の所有者が期限までに選定しなかった場合は、自治体が強制的に剪定・伐採(強制執行)が可能です。
実際に、大阪府交野市で法改正後初となる強制代執行が行われています。
参照元:山本敬オフィシャルブログ「全国初 市道への越境木を強制剪定 | 取り戻そう、私たちの交野。」
なお、市役所は基本的に個人間のトラブルについては一切関知しません。
「当事者間で話し合ってください」と言われて終わりですが、無料法律相談くらいは教えてくれるでしょう。
隣人と関係修復できない場合は引っ越すことも検討する
弁護士や行政機関に相談して枝の越境問題は解決できても、その後の隣人との関係は悪化する可能性が高いです。
ひとたび隣人と争うと、ちょっとしたことで新たなトラブルが勃発しやすくなるので、そこに暮らす限り、未来永劫ストレスを抱え続けることになるかもしれません。
ちなみに、弊社が実施した「ご近所トラブルの対処法」アンケートでは、以下の回答が得られました。
アンケートの結果から、以下の理由で「何もせず我慢」する人が約16%ほどいることがわかります。
- さらなるトラブルに巻き込まれたくない
- 感覚が違いすぎる相手のようで何も言えない
一方で「引っ越す」と回答した人も4%近くいました。
「隣人に直接伝えたり、他に相談しても改善されなかったため、らちが明かず持家を売って引っ越した」との回答もあることから、隣人トラブルが生活に耐えられないほど大きなストレスになっていることがわかります。
そのため、隣人との関係改善が難しいと判断したら、ストレスフルな今の家を売却し、新しい環境へ引っ越すことも視野に入れましょう。
とはいえ、「ご近所トラブルのある家は一般的に売れにくい」ことも事実です。
通常、越境のある物件を売却する場合は、越境物の撤去が前提となります。
越境物件は将来トラブルになる可能性があることから、不動産売却をする際には、売買契約書に「隣地〇〇宅の木が一部越境している」と記載し、トラブルがあることを買主に告げなければなりません。
越境物件は買主に敬遠され、物件価値が大きく下がるうえ、不動産業者によっては「越境状態を解消しないと、買い取れない」と言われてしまうことも多いので注意が必要です。
そのため家の売却相談先は、越境物件を専門に扱う買取業者を選ぶことが大切です。
なお、以下の記事では隣人トラブルのある家の上手な手放し方・高く売却する方法を解説しているので、参考にしてください。
アルバリンクなら木が越境した家でも売却できる!
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、越境物件を専門に買い取っている不動産買取業者です。
弊社は弁護士や司法書士などの専門家と連携しているため、家を買い取った後に円満な話し合いのもと、越境状態を解消できます。
そのため、隣の木に越境された物件でも、そのままの状態で問題なく買取が可能です。
さらに弊社は豊富な買取・再販ノウハウを持っているので、隣の木に越境された家でも、高値で買い取ることができます。
また、仮に隣家が空き家であっても、士業の協力を得て持ち主を探し出し、越境部分に適切な対処をした後に売却できるので、木に越境された家でも確実に収益化でき、高値で買取が可能です。
ここで、弊社Albalink(アルバリンク)の実際の買取事例を紹介しましょう。
弊社は訳あり物件専門の買取業者として、他社では断られるような越境物件や隣人トラブルのある家なども多数買い取ってきました。
実際、不動産の相続が発生し、弊社で隣人トラブルのある不動産を買い取らせていただいたお客様からは、以下のような感謝のお言葉もいただいております。
引用元:株式会社AlbaLink
上記は弊社が古い空き家を買い取った事例ですが、このように隣家とトラブルになった家でも、スムーズに買い取ることが可能です。
その他にも弊社はGoogleの口コミで多数の好意的な評価を頂いております。
さらに弊社はお客様からの評判だけでなく、以下の理由で高い社会的信用も得ています。
隣の木に越境されて手紙を出しても切ってもらえなかったり、越境している家が空き家でお困りの方は、ぜひ弊社にご相談ください。
トラブル対処も引き受けたうえで、越境された家を高く買い取ります。
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まとめ
民法が改正されたことで、条件次第では隣の越境した木を自分で切ってもOKになりました。
しかし本当に切るなら慎重に行わないと、トラブルになりかねません。
また、もし越境した隣家が空き家だった場合、登記情報から現所有者を探し出す手間がかかります。
さらに所有者が正しく登記されていなかった場合は、隣家所有者の戸籍情報を取らねばならず、士業以外の第三者が取得することは不可能です。
越境した木を切るためだけに士業の先生に頼んだり、裁判を起こしたりするのは、明らかに割に合いません。
そうかといって、越境してきた木は今後も成長を続けるため、被害は年々拡大する一方です。
そのように不毛な越境トラブルは家ごと手放し、生活環境を一新しましょう。
専門の買取業者なら、越境された家でもスムーズに買い取ってくれます。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は越境物件を専門に買い取る不動産買取業者です。
弊社はこれまでも、多数の売れない訳あり物件を買取・再販してきた豊富な実績があり、メディアにもたびたび紹介されてきました。
豊富な買取・再販実績をもとに、越境トラブルや隣人トラブルを抱えた家でも、高額・スピーディーに買取が可能です。
隣人に越境した木を切ってほしいと手紙を出しても解決できず、家を手放すことを検討されている方は、ぜひ以下の無料査定から弊社へご相談ください。
誠心誠意解決のお手伝いをさせていただきます。