ゴミ屋敷を相続放棄すべきか判断する3つの基準
相続放棄とは、故人のプラス・マイナスの財産(借金・負動産など)を受け継ぐ権利をすべて放棄することを指します。
プラスの財産も放棄することになるので、相続放棄すべきか迷う方も多いかもしれません。
迷ったら以下の基準で判断しましょう。
プラスの遺産とマイナスの遺産のバランス
1つ目の判断基準は、プラス・マイナスの遺産のバランスです。
相続放棄をすると資産価値のある遺産の権利も放棄することになるため、相続放棄は負の遺産が多い場合に選択されることが一般的です。
最初に故人にどのような遺産あるのか、そして個々の価値を調査してマイナスの遺産がプラスの遺産を上回るなら、相続放棄を検討しても良いでしょう。
ただし、相続放棄は一度行うと撤回できないため、慎重に判断すべきです。
以下の記事では、負の遺産を相続すべきでない理由を詳しく解説しているので、参考にしてください。

ゴミ屋敷の片付け・処分費用と資産価値のバランス
2つ目は、ゴミ屋敷そのものの片付け・処分費用と資産価値とのバランスを見て判断する方法です。
ゴミ屋敷の片付け・処分にかかる費用の相場は、1部屋あたり約3万〜6万円、3LDKで作業員4人・5~8時間の作業で18万円以上が目安です。
ただしゴミが大量の場合は、家1軒分の撤去作業に50万円以上かかるケースもあります。
さらに解体が必要となった場合は、木造家屋で3.1~4.4万円/坪(30坪93~132万円)の解体費用もかかります。
上記に対してゴミ屋敷自体の資産価値を算出し、片付け・処分費用を下回るようなら相続放棄することも手です。
なお、ゴミ屋敷の資産価値を算出するには以下の方法があります。
- 固定資産税評価額などから自力で計算
- 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で近隣物件の売買価格を参照する
- 不動産会社の査定を受ける
上記のうち、もっとも手軽で正確なのは不動産会社の査定です。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、ゴミ屋敷の無料査定を実施していますので、ゴミ屋敷の資産価値を確かめたい方はお気軽にご相談ください。
家の売却時の残置物の分別や処分については、以下の記事で詳しく解説しています。

相続トラブルの可能性
相続トラブルが起こりそうな場合には、相続放棄してトラブルを回避することも1つの方法です。
遺産のほとんどを不動産が占める場合など、遺産の内容によっては遺産分割協議が難航し、相続争いに発展することも少なくありません。
しかし相続放棄すれば、最初から協議に加わらないので、トラブルに巻き込まれずに済みます。
ただし誰も継ぎたがらない遺産がある場合、1人が相続放棄すると次の順位の相続人に受け継がれることになるため、別のトラブルになる可能性があります。
特に遺産のほとんどをゴミ屋敷が占める場合には、相続人間で押し付け合いになる可能性が高いため、注意が必要です。
ゴミ屋敷を相続放棄する流れ
ここからは、ゴミ屋敷を相続放棄する流れを見ていきましょう。
以下の記事では、相続や相続放棄をする際の手続きを解説しているので参考にしてください。

1.必要書類の準備
はじめに、相続放棄に必要な以下の書類を収集し、整備します。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 代襲相続人や故人の親、兄弟姉妹、甥・姪の場合は、つながりのわかる戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
参照元:裁判所「相続の放棄の申述」
もし戸籍の収集や財産調査が難しい場合には、司法書士に依頼するのも手です(費用相場は5万円)。
2.家庭裁判所への申述
必要書類が整ったら、故人の住所地を管轄する家庭裁判所へ書類を提出し、申述を行います。
なお、相続放棄は複数の相続人が同時に行うことはできず、相続順位に従って1位の人から1人ずつ行う必要があるので注意しましょう。
ただし、相続放棄は「相続開始を知った日から3ヵ月以内」が期限です。
相続人全員が相続放棄したい場合には、全員が3カ月以内に申述を終える必要があります。
参照元:裁判所「相続の放棄の申述」
期限内に必要書類が揃わない場合などは「熟慮期間伸長」を申し出ることも可能ですが、確実に期限を延ばしてもらえるわけではないので注意しましょう。
3.家庭裁判所からの照会書への回答・返送
申述書類を提出すると、1~2週間後に家庭裁判所から「照会書」が送られてきます。
照会書とは申述人の意思確認と、「法定単純承認※(詳しくは後述)」の事由に当たらないかを確認するための書類のことです。
※法定単純承認とは
「単純承認」とは、相続人が故人のすべての財産を制限なく受け継ぐことを指し、「法定単純承認」とは、相続人が一定の行為を行ったことで法律上単純承認したとみなされること。
法定単純承認に該当した場合、相続放棄が認められなくなる。
必要事項を記入したら家庭裁判所へ返送しましょう。
4.相続放棄受理通知書の受領
照会書を返送し、10日ほどで「相続放棄申述受理通知書」が届くと、相続放棄が認められたことになり、手続きが完了します。
「相続放棄申述受理通知書」は、次の順位の相続人が手続きするときのために、複数枚取っておくと安心です。
ゴミ屋敷を相続放棄しても管理責任から解放されるとは限らない
ここまで相続放棄の流れを見てきましたが、相続放棄が認められたとしても、ゴミ屋敷の管理責任からすぐに解放されるとは限りません。
この章で理由を解説します。
もしゴミ屋敷の管理責任から完全に解放されたいなら、ゴミ屋敷を相続放棄するのでなく、いったん相続してから売却することをおすすめします。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国のゴミ屋敷を積極的に買い取っている実績豊富な不動産買取業者です。
ゴミ屋敷の無料相談・無料査定も実施しておりますので、ゴミ屋敷にお悩みの方は一度弊社へご相談ください。
相続放棄しても次の相続人が決まるまで管理責任が課される
次の相続人や後述する「相続財産清算人」に引き渡すまで、ゴミ屋敷を自身の財産と同じように管理する責任と義務(保存義務)が残る場合があります。
管理義務・保存義務とは、ゴミ屋敷や空き家の現状を保つ義務のことです。
ゴミ屋敷の放置が原因で損害が生じたら責任を負うため、例えば悪臭を放ったり、火災が発生したりするなど周囲に悪影響を与えた場合に、クレームや損害賠償請求を受けることもあります。
特に、故人の家に住んでいたり、鍵を持っていたりするなど、ゴミ屋敷の管理に関係していた相続人は相続放棄後も管理責任を負うことと定められているため、要注意です。
参照元:法務省|財産管理制度の見直し(相続の放棄をした者の義務)
相続放棄後の管理義務については、以下の記事で詳しく解説しています。

相続放棄したゴミ屋敷の解体費用を請求される可能性がある
相続放棄したゴミ屋敷の管理が行き届かなかった場合、自治体から解体費用を請求される可能性がある点にも注意しましょう。
ゴミ屋敷を放置すると自治体から「特定空き家※」に指定される可能性があります。
そのまま放置すると周辺の生活環境に安全面、衛生面、景観面で著しく悪影響を及ぼす状態にあるある空き家のこと。
参照元:e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法第2条2項」
特定空き家に指定されると、ゴミ屋敷の状態改善・是正の指導・勧告を受け、従わない場合は行政代執行によって強制的に解体されてしまいます。
さらに100万~数百万円ほどの解体費用は、ゴミ屋敷の所有者に請求されますが、相続放棄していても請求される場合があるため注意が必要です。
賃貸物件の連帯保証人は相続放棄しても債務が残る
相続人が故人の連帯保証人※の場合は、相続放棄しても故人の債務を受け継ぐ必要があります。
債務者が債務を履行できなかった場合に、債務者と同様に債務を履行する責任を負う人のこと。
連帯保証人でない相続人の場合は、相続放棄すれば賃借していた部屋の片付けや清掃、滞納家賃の支払い、退去を大家から求められても応じる必要がありません。
しかし故人と同等の責務を負う連帯保証人は、故人の支払えなかった賃貸住宅の滞納家賃の支払いや、原状回復の責務を果たさなければならないので要注意です。
連帯保証人の義務の詳細は、以下の記事でわかりやすく解説しています。

ゴミ屋敷を相続放棄する際のNG行為
相続放棄する前に以下の行為があった場合は「単純相続」したとみなされ、相続放棄が認められなくなってしまいます。
- 不動産や動産の売却、解体、価値ある遺品の持ち出し(遺産の処分)
- 財産を隠す行為(遺産の隠匿)
- 預貯金の引き出し・使用(遺産の消費)
- 相続財産からの借金返済や公共料金の支払い
- 携帯電話の解約
- 賃貸契約の解約
- 入院費の支払い
例えば、形見分けで価値のある遺品を持ち出すと相続放棄できなくなるので注意しましょう。
家の解体も遺産の処分とみなされるのでNGです。
ゴミ屋敷の管理責任から解放される2つの根本対策
ここまで解説してきたように、ゴミ屋敷の相続放棄で管理責任から解放されることは簡単ではありません。
しかし、ご安心ください。
根本対策があるので紹介します。
ちなみに、もっとも手間と費用負担がかからない方法は「買取業者に売却」することです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)には、全国のゴミ屋敷を買い取ってきた豊富な実績があります。
相続手続きのアドバイスも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。
相続財産清算人(旧:相続財産管理人)の選任を申し立てる
1つ目の対策は、相続財産清算人※(旧:相続財産管理人)の選任を申し立てることです。
※相続財産清算人とは
相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄した場合に、相続財産の管理・清算のために家庭裁判所によって選任される者のこと。
故人の債権者や特別縁故者などに債務を弁済し、残った財産を国庫に帰属させる。
参照元:裁判所「相続財産清算人の選任」
申立ては相続放棄をした人が、故人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
相続財産清算人の選任申立てが通れば、ゴミ屋敷の管理責任を清算人に完全に移管でき、相続人はゴミ屋敷の管理責任から解放されます。
ただし、申立て時には多量の書類を提出しなければならず、さらに、相続財産清算人の選任後は6カ月の公告期間を設けるため、手続きに時間がかかることも覚悟しなければなりません。
さらに、申立て時には以下の費用も必要です。
- 収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手
- 官報公告料5075円
- 相続財産清算人の事務費用として数十万~百万円(予納金)
参照元:裁判所「相続財産清算人の選任」
ゴミ屋敷の管理に数十万~百万円かかるのは、あまり現実的ではないでしょう。
ゴミ屋敷を「相続」してから売却する
もう1つの対策は、ゴミ屋敷を売却することです。
物件を売却すれば、管理責任問題の根本的解決につながります。
方法は以下の2種類です。
ゴミ屋敷を高く売却する方法は、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。

立地や建物の状態が良ければ仲介業者に売却を依頼する
ゴミ屋敷の立地や建物の状態が良い場合は、仲介業者に売却を依頼するとよいでしょう。
不動産仲介業者とは、売りたい人と買いたい人を仲介し、売買契約手続きをサポートしてくれる業者です。
専用の物件情報交換システムを通じて幅広く買主を探し、広告などの販売活動もしてくれるため、以下のような好条件の物件であれば、相場に近い高値で売却できる可能性があります。
- 交通の利便性が良い
- 駅から徒歩5分以内
- 商店や学校、病院が近い
- 築年数10年以内
ただし、仲介業者はマイホームを探す一般の買主を対象としているため、買主に敬遠されるような立地や建物の状態の悪い物件は、取り扱いを断られる可能性が高いでしょう。
さらにゴミ屋敷を売り出す場合には事前にゴミの撤去や老朽化箇所の修繕が必要となるため、数十万~数百万円の費用を負担しなければならないでしょう。
立地や建物の条件が悪いゴミ屋敷は、後述するように買取業者に売却するほうが確実です。
立地や建物の状態が悪ければ買取業者に売却する
立地や建物の状態が悪いゴミ屋敷は、専門の買取業者に売却することがおすすめです。
買取業者とは、不動産を売主から直接買い取り、最適なリフォームを施して多様な目的で再販する業者のことです。
仲介業者とは異なり、買取業者は買い取った物件を事業用や投資用など、幅広い目的で再販するので、一般の買主が敬遠するようなゴミ屋敷でも問題なく買い取れることが一般的です。
また、買取ならゴミが残っていてもそのまま買い取ってもらえるだけでなく、物件の不具合も把握して買い取るため、後にトラブルになる心配もありません。
実績豊富な買取業者であれば、豊富な物件再生ノウハウと販路を持っているので、仲介業者に断られるようなゴミ屋敷でも適正価格で買い取れる可能性が高いです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、ゴミ屋敷をはじめとする訳あり物件専門の買取業者として、他社では断られるようなゴミ屋敷も多数買い取ってきました。
弊社はお客様からの評価が高く、さらに以下の理由で高い社会的信用も得ています。
信頼できる不動産買取業者にゴミ屋敷を売却したい方は、ぜひ弊社の無料査定からご相談ください。
まとめ
ゴミ屋敷を相続放棄するかどうかは、プラス・マイナス両方の遺産総額と、ゴミ屋敷自体の資産価値、維持管理費用をトータルで見て検討する必要があります。
ただしゴミ屋敷を相続放棄しても、すぐに管理責任を逃れられるわけではありません。
相続財産清算人に管理を引き継ぐまでは自身で管理しなければならず、さらに手続きには高額な費用もかかります。
そのため、遺産にゴミ屋敷がある場合は、いったん相続してから専門の買取業者に売却することが最適です。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国規模でゴミ屋敷などの訳あり物件を積極的に買い取っています。
他社で断られたゴミ屋敷でも適正価格で買い取れる場合がありますので、ゴミ屋敷の管理責任にお悩みの方は、ぜひ弊社へご相談ください。