相続空き家の管理責任から解放されたいなら、相続放棄より売却

空き家

空き家の管理は大変だし、あまり価値がなさそうな空き家だし、相続放棄したい…

結論から言うと、空き家の管理責任から完全に解放されたいのであれば、相続放棄より売却がおすすめです。

なぜなら、相続放棄するだけでは空き家の管理責任から完全に解放されることはないからです。

空き家の管理責任から完全に解放されるには、相続放棄の手続きをした後、さらに相続財産管理人の選任の申立てを裁判所で行う必要があります。

しかし、相続財産管理人の選任の申立ては、予納金として~100万を裁判所に納めなければならず、気軽にできる手続きではありません。

要らない空き家を相続してしまいそうな場合は、一度相続したうえで売却し、現金化するのがベストです。

わざわざ高額な予納金を払うことなく、空き家の管理責任から完全に解放されるうえに、現金も手に入ります。

相続放棄の手続きをしてしまう前に、放棄しようとしている空き家を売却したらいくらになるか見積もりを取ってみるのがおすすめです。

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  1. 相続放棄とは
    1. 空き家だけを相続放棄することはできない
    2. 相続放棄の手続き
      1. ①相続放棄にかかる費用を確認する
      2. ②相続放棄にかかる書類を用意する
      3. ③家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
      4. ④照会書が送られてくるので、再送する
      5. ④相続放棄申述受理通知書が届く
  2. 相続放棄に関する相談先は弁護士がおすすめ
  3. 弁護士ができることと依頼費用
    1. 特に弁護士に依頼した方が良い3つのパターン
  4. 司法書士ができることと依頼費用
  5. 信頼できる弁護士の選び方
    1. 相続の専門弁護士
    2. 実務経験の長い弁護士
    3. 費用を明確に提示してくれる弁護士
    4. リスクについてわかりやすく説明してくれる弁護士
    5. 連絡が取りやすく、レスポンスの早い弁護士
  6. 相続放棄した空き家の所有権と管理責任の移行
    1. 相続放棄したら次の相続人に連絡する
    2. 相続放棄をしても管理責任から完全に逃れられるわけではない
  7. 相続財産清算人の選任の申立てとは
    1. 相続放棄した人も相続財産清算人の選任の申立てができる
    2. 相続財産清算人の選任の申立てにかかる費用
  8. 相続土地国庫帰属法は制定されたが空き家を国に引き取ってもらうのは困難
  9. 空き家を相続放棄する前に「売却」を検討
    1. 空き家売却の大きなメリット3つ
      1. 空き家の管理責任から完全に解放される
      2. 相続放棄や相続財産清算人の選任の申立ての負担から解放される
      3. 空き家を現金化できる
  10. まとめ

相続放棄とは

相続放棄とは、亡くなった親などが残した一切の資産や負債を引き継ぐことをせず、相続人の立場から離れることです。

空き家だけを相続放棄することはできない

相続放棄をする場合は、空き家だけでなく全ての相続財産を放棄する必要があります。預貯金や株、宝石や骨董品などをはじめ、故人との思い出の品も放棄しなければなりません。

財産調査の際には、相続財産の価値が総合的に見てプラスかマイナスかだけでなく、全ての財産を手放していいのか、手放したくない品はないか等も慎重に検討して相続放棄するかを決めましょう。

財産調査とは、被相続人が遺した遺産のすべてを把握するための調査です。財産調査をすると、プラスの財産とマイナスの財産がそれぞれどれくらいあるのかが明確になり、主に以下の3点がわかります。

  • 相続放棄した方がいいのか、相続した方がいいのか
  • 相続する場合、どれくらいの財産を分割することになるのか
  • 相続税がいくらかかるのか

 

相続人が1人で全ての相続財産を明らかにすることは困難なので、相続の専門知識がある弁護士に依頼する人がほとんどです。

相続放棄の手続き

相続放棄をするには、親が死亡した等の理由により自分が相続人になったと知った日から3カ月以内に、家庭裁判所にて「相続放棄の申述」という手続きを行わなければなりません。

自分が相続人になったと知った日は、主に以下の3パターンです。

被相続人と同居していた場合
被相続人が死亡した日
被相続人が疎遠になっている親族だった場合
被相続人が死亡したことを通知された日
優先される相続人が相続放棄し、相続権がまわってきた場合
優先される相続人が相続放棄したことを知った日

①相続放棄にかかる費用を確認する

相続放棄にかかる費用は以下の通りです。

内容 費用
収入印紙代 800円
郵便切手代 裁判所によって金額が異なる
住民票の発行費用 1通あたり300円程度
戸籍謄本の発行費用 1通あたり450円
除籍謄本の発行費用 1通あたり750円
弁護士費用or司法書士費用 弁護士であれば相場およそ5~12万、

司法書士であれば相場およそ3~4万

 

自分で相続放棄の手続きをすれば、弁護士費用や司法書士費用を節約することができますが、相続の専門知識がない一般の方が、全ての手続きを自力でやるのは困難です。

しかも、相続放棄の手続きのミスをして、一度でも裁判所に却下されてしまうと、二度と相続放棄はできなくなってしまいます。

少しでも手続きに不安がある方は、弁護士や司法書士などプロの手を借りましょう。

②相続放棄にかかる書類を用意する

相続放棄に必要な書類を用意しましょう。

相続放棄する人が相続人とどのような関係であるかによって必要書類は変わりますが、以下の3点は相続人とどのような関係性でも必要です。

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の住民票除票or戸籍附票
  • 申述人の戸籍謄本

 

必要書類/申述人 相続人の配偶者 被相続人の
孫or子ども
被相続人の
親or祖父母
被相続人の
兄弟姉妹or甥姪
Ⓐ相続放棄申述書
Ⓑ被相続人の住民票除票or戸籍附票
Ⓒ申述人の戸籍謄本
Ⓓ被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
Ⓔ本来の相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
Ⓕ被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本
Ⓖ配偶者or子の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本
Ⓗ被相続人の親の死亡記載のある戸籍謄本
Ⓘ兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍謄本

各書類の取得方法を説明します。

Ⓐ相続放棄申述書
相続放棄の意思表示を示した書類です。
裁判所で直接入手することもできますが、裁判所のHPからダウンロードすることもできます。
相続放棄申述書については、相続放棄する人が20歳以上か20歳未満かで記入の仕方が異なります。未成年の場合は、法定代理人等の記入が必要です。
以下のリンクから相続放棄申述書のダウンロード&それぞれの記入例を確認してください。

参照:相続放棄申述書のダウンロード

参照:申述人が成人の場合の記入例

参照:申述人が未成年の場合の記入例

Ⓑ被相続人の住民票除票or戸籍附票
転出や死亡の届出をしたことで、住民登録が除かれたことを証明する住民票です。

相続人が住んでいた最後の本籍地の役所で取得することができます。

このとき、「⑥被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本」も取得できればいいですが、遠方の役所までいかなければならないようであれば、郵送などで取得することも可能です。

相続人が住んでいた最後の本籍地の役所で、出生から死亡までの個人の戸籍謄本がほしいことを伝え、そこで一生分の戸籍謄本が取得できなかった場合は、どこで次の戸籍謄本を取得できるのか聞きましょう。

役所で直接取得する場合に必要なもの

  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • (第三者が請求する場合)資料契約書の写し等、申請理由を証明するもの
  • (代理人が請求する場合)委任状

郵送で取得する場合に必要なもの

  • 住民票請求書(郵送用)
  • 切手を貼った返信用封筒(請求者の住所(住民登録地)及び氏名を記載)
  • 手数料分の郵便定額小為替
  • 本人確認書類の写し
  • (代理人が請求する場合)委任状
Ⓒ申述人の戸籍謄本
戸籍謄本とは、その戸籍に入っている全員の事項を記載したものです。
申述人の本籍地の役所にて取得することができます。
役所で直接取得できますし、郵送、もしくはコンビニで取得することも可能です。
コンビニでの取得は、市町村によってできるところとできないところがあるので、下記のリンクから確認してください。

参照:コンビニ交付ができる市町村

役所で直接取得する場合に必要なもの
  • 印鑑
  • 本人確認書類

郵送で取得する場合に必要なもの

  • 請求書
  • 本人確認書類の写し
  • 手数料
  • 切手を貼った返信用封筒
  • (代理人が請求する場合)委任状
Ⓓ~Ⓘ死亡記載のある戸籍謄本
故人の生前の事項と、故人が死亡したことの証明になる書類です。
故人の最後の本籍地の役所で取得することができます。

役所で直接取得する場合に必要なもの

  • 印鑑
  • 本人確認書類
  • 市区町村所定の戸籍交付申請書
  • 故人の家族と分かる戸籍謄本
  • (代理人が請求する場合)委任状

郵送で取得する場合に必要なもの

  • 市区町村所定の戸籍交付申請書
  • 本人確認書類
  • 故人の家族と分かる戸籍謄本のコピー
  • 定額小為替
  • 切手を貼った返信用封筒
  • (代理人が請求する場合)委任状

③家庭裁判所に相続放棄を申し立てる

必要書類と費用が揃ったら、被相続人の最後の本籍地を管轄する家庭裁判所にて、申立ての手続き(必要書類の提出)を行います。

基本的には家庭裁判所に直接出向いて必要書類を提出しますが、遠方の方は郵送することも可能です。

ただ、郵送では受け付けておらず、直接の提出に限っている家庭裁判所もあるので事前に必ず確認しましょう。

裁判所の管轄区域は以下のリンクから確認してください。

参照:裁判所の管轄区域

④照会書が送られてくるので、再送する

管轄区域の家庭裁判所に必要書類を提出すると、およそ10日前後で家庭裁判所から「相続放棄に関する照会書」が送付されます。

「相続放棄に関する照会書」には回答を記入する欄があるので、必要事項を記入して家庭裁判所へ再送してください。

照会書の記入は、弁護士や司法書士など、専門家の力を借りた方が良いでしょう。

以前は「はい」「いいえ」の二択で記入できましたが、今は記述式の記入などもしなくてはならず、難易度が上がっているからです。

④相続放棄申述受理通知書が届く

「相続放棄に関する照会書」を再送してから、さらに10日ほどで、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。

「相続放棄申述受理通知書」が送付されて、初めて相続放棄が正式に認められたことになります。

相続放棄に関する相談先は弁護士がおすすめ

空き家をはじめとする遺産の相続放棄の申述の手続きは、もちろん自分で行うこともできます。

とはいえ、3カ月という期限内に多くの必要書類を集めたりしなければならず、普段働いている人たちにとっては負担がかかりすぎます。

必要に応じて、必ず専門家の力を借りましょう。

主な相談先は司法書士or弁護士ですが、弁護士であれば相続に関する問題全般の代理・サポートをしてくれます。

弁護士 司法書士
相続放棄手続きの代理ができる 相続放棄手続きのアドバイスのみできる(代理権はなし)
弁護士会照会を使った精度の高い財産調査ができる 財産調査はできるが弁護士会照会はできない
遺産分割協議の調整や遺産分割調停・審判の代理ができる 遺産分割協議の調整や遺産分割調停・審判の代理はできない

弁護士ができることと依頼費用

司法書士より弁護士に依頼した方が良い理由は主に3つあります。

  • 相続放棄手続きの代理ができる
  • 弁護士照会を使った精度の高い財産調査ができる
  • 遺産分割協議の調整や遺産分割調停・審判の代理ができる
相続放棄手続きの代理ができる
司法書士との大きな違いは、弁護士は相続放棄に関する手続きの代理権があることです。
弁護士は代理権があるため、押印や書類の作成、受け取りの作業などを申述人に代わって行うことができます。一方、司法書士はできません。弁護士に依頼すれば、自ら行う相続放棄の手続きが一切不要になり、手間をかけず確実に相続放棄を進められます。
特に昨今の照会書は、記述での解答欄があり、相続の知識がない一般の方が作成するのは困難です。
また、自分が相続したことを知った日から3カ月以上経過してしまった場合の事情説明書も、専門知識がない方が作成するのは困難です。
弁護士であれば、これらの書類を代理で作成することができます。
一方、司法書士は代理で作成することはできず、できるのはアドバイスのみです。
相続放棄の手続きは、一度ミスをして裁判所に却下されると、二度と相続放棄できなくなってしまいます。
手続きに不備がないよう、弁護士に書類の作成を依頼しましょう。
弁護士照会を使った精度の高い財産調査ができる
弁護士は、司法書士より精度の高い財産調査を行うことができます。
弁護士会照会という、弁護士特有の権限があるからです。
弁護士会照会
弁護士が職務を円滑に行うために設けられた法律上の制度。弁護士は、亡くなった人の財産について弁護士会を通じて金融機関や行政機関等に対して情報開示を求めることができる。

参照元:弁護士法第23条

財産調査は、そもそも相続財産を放棄するかどうかの重要な判断材料です。
損をしないためにも、弁護士に依頼する方がいいでしょう。
遺産分割協議の調整や遺産分割調停・審判の代理ができる
財産調査の結果、財産が見つかれば、相続人どうしで遺産分割の協議を行わなければなりません。

弁護士であれば、協議がうまくまとまらないときの調整役や遺産分割調停・審判の代理が可能です。遺産相続でこういった問題が起こった際のサポートは、司法書士はできません。

弁護士に依頼した場合の相場は、5~12万ほどです。

弁護士に代理を依頼した場合
相談料 ~1万円
書類作成代行費用 5,000円~1万円程度(書類取得費用含む)
代理手数料 2~10万円程度(成功報酬なし)

 

特に弁護士に依頼した方が良い3つのパターン

以下の3つにあてはまる方は司法書士ではなく弁護士に依頼しましょう。

  • 多忙で相続放棄の手続きをする時間が取りにくい人
  • 相続の不安が残っていたり、担当の弁護士がほしい人
  • 相続人になったと知った日から3カ月経過している人
多忙で相続放棄の手続きをする時間が取りにくい人
多忙で、相続放棄の手続きをする時間が取りにくい人は、弁護士に依頼しましょう。
なぜなら、代理権がある弁護士に依頼することで、手続きの手間を大幅に減らすことができるからです。弁護士に依頼してしまえば、あとは手続きの全てを代理人である弁護士に進めてもらえるのです。
例えば、担当の弁護士宛てに照会書を送ってもらうこともできますし、照会書の回答、再送も弁護士に任せることができます。
相続の不安が残っていたり、担当の弁護士がほしい人
そもそも相続放棄を選ぶべきか悩んでいる場合や、相続人の間でトラブルになるリスクがある場合には弁護士に依頼しましょう。
弁護士なら、弁護士照会を使った財産調査を行い、相続するとプラスかマイナスかを正確に把握できるからです。財産調査は、相続放棄するかどうかの重要な判断基準になります。
また、財産調査の結果、相続放棄を行わない場合は、財産分与の問題が発生します。弁護士であれば、遺産分割協議の調整や遺産分割調停・審判の代理が可能です。
相続放棄をするべきか否かや、遺産分割を含めた相続全般の相談に乗ってくれる担当の弁護士がほしい場合は、司法書士ではなく弁護士に依頼しましょう。
相続人になったと知った日から3カ月経過している人
相続人になったと知った日から3カ月の期限が経過してしまった人や期限が迫っている人は、司法書士ではなく弁護士に依頼しましょう。
原則、3カ月を過ぎると相続放棄はできません。
しかし、3カ月を過ぎてしまった正当な理由があれば、事情証明書という書類を通して相続放棄が認められる場合があります。
専門的な知識を持つ弁護士に、事情証明書の作成を依頼しましょう。
もちろん自分で作成することもできますが、プロの弁護士に依頼した方が相続放棄が認められる可能性が上がります。
相続放棄の手続きは、一度裁判所に却下されると二度と受け付けてもらえません。
司法書士に依頼した場合、事情説明書は自分で作成することになります。
なぜなら、司法書士は弁護士のような代理権は持っておらず、事情説明書の作成のアドバイスしかできないからです。
自分で作成した結果、ミスをして裁判所に却下されることがないよう、代理権を持っているプロの弁護士に事情説明書を作成してもらいましょう。

司法書士ができることと依頼費用

司法書士に依頼した場合、弁護士に依頼する場合より手間がかかります。

なぜなら、司法書士は相続放棄手続きの代理権がなく、弁護士より可能な業務範囲が限られているからです。

例えば、弁護士であれば照会書を依頼者の代理で書くことができますが、司法書士はできません。押印なども司法書士はできないので、当然依頼者は手間と時間がかかります。

また、司法書士は弁護士ほど正確な財産調査はできませんし、もし財産放棄をせずに承認することになった場合、遺産分割協議の調整や遺産分割調停・審判の代理もできません。

司法書士は、主に手続き書類の作成のアドバイス等のみができます。

弁護士と比べた際の唯一のメリットは、費用が少し抑えられることです。

司法書士に依頼した場合、費用は3万~4万ほどが相場です。

司法書士に代理を依頼した場合
相談料 ~5,000円(60分)
書類作成代行費用 3,000円~6,000円程度(書類取得費用含む)
代理手数料 約2~3万(相続期限の3カ月を過ぎている場合:約3~5万)

信頼できる弁護士の選び方

弁護士選びの際には、複数の弁護士を比べましょう。比べるポイントは主に以下の5つです。

相続の専門弁護士

相続の相談をしたいのであれば、相続の専門弁護士を選びましょう。

弁護士にはそれぞれ得意分野があるからです。

ポータルサイトなどを利用し、相続の専門弁護士を探しましょう。

例えば、弁護士ドットコムというポータルサイトを利用し、相続の専門弁護士を探しましょう。

実務経験の長い弁護士

実務経験が長い弁護士を選びましょう。

もちろん、経験が浅い弁護士が必ずしも悪いというわけではありません。とはいえ、多くの問題を解決する中で弁護士の腕を磨いていくというのも事実です。

弁護士ドットコムで相続の専門弁護士を見つけたら、複数の弁護士の経歴等を比較してみましょう。

費用を明確に提示してくれる弁護士

複数の弁護士に詳細な見積もりをもらって比較しましょう。

2004年4月1日以降、弁護士報酬は自由化されていて公の基準がありません。高額な弁護士費用を不当に支払うリスクを回避するために、依頼する前に詳細な見積もりを出してもらう必要があります。

ちなみに、弁護士費用の相場は以下の通りです。

弁護士に代理を依頼した場合
相談料 ~1万円
書類作成代行費用 5,000円~1万円程度(書類取得費用含む)
代理手数料 2~10万円程度(成功報酬なし)

リスクについてわかりやすく説明してくれる弁護士

相続放棄のメリットだけでなく、リスクについても丁寧に説明してくれる弁護士を選びましょう。

実際に弁護士と話をして相続放棄のリスクを聞いてみると良いですが、依頼者が聞かなくてもリスクを教えてくれる弁護士の方が信頼できると言えるでしょう。

相続放棄にはメリットだけでなくリスクもあります。

例えば、相続放棄をしたからといって、空き家の管理責任から完全に解放されることはありません。こういった重要なリスクを説明してくれない弁護士は信用できるとは言えないでしょう。

相続放棄は、一度承認されると原則取り消すことはできません。リスクをきちんと説明してくれる弁護士でないと、後から相続放棄したことを後悔してしまう可能性もあります。

連絡が取りやすく、レスポンスの早い弁護士

相続放棄を進める中で、疑問や不安は次々に湧いてくるでしょう。

メールや電話で問い合わせたときに、レスポンスが早い弁護士は依頼者と真摯に向き合っていて信頼できると言えるでしょう。

その度に返信が遅かったり、雑な対応を取られてしまうようでは信頼して任せることはできません。

実際に雑な弁護士に依頼してしまうと、無駄に期間が長くなったり、作業が二度手間になったりする可能性も大いにあります。レスポンスが早く、丁寧に対応してくれる弁護士を選びましょう。

基準としては、メールであれば、遅くても1営業日以内に返信がほしいところです。時間を要する場合でも「〇日以内にお答えします」という具体的な返答をくれたりする弁護士は、安心感があります。

また、平日の昼間に働いている方は、平日昼間以外の時間にも連絡を取ってくれる弁護士であるか確認しておきましょう。

相続放棄した空き家の所有権と管理責任の移行

民法では、相続財産の相続権が移る順番が以下の表のように定められています。

これを法定相続人といいます。

順位 相続人
必ず相続人 配偶者
第1順位 被相続人の子
第2順位 直系尊属(父母など)
第3順位 兄弟姉妹

相続放棄したら次の相続人に連絡する

相続放棄をしたら、必ず次の相続人に書面などで相続を放棄した旨を連絡をしましょう。

一時的であっても、空き家の管理者がいなくなってしまうと危険だからです。

連絡を受けた次の相続人が承認のうえ、空き家の管理を始められる状態になるまでは、空き家はあなたの所有物として管理しなければなりません。

民法第940条では以下のように定められています。

第940条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

引用元:民法第940条

例えば、次の相続人が管理を始める前に空き家が倒壊して通行人にケガをさせた場合は、次の相続人ではなくあなたの責任になります。

次の相続人が空き家の管理を始められる状態になって初めて、あなたの管理責任は消滅します。

相続放棄をしても管理責任から完全に逃れられるわけではない

相続放棄をして次の相続人に空き家の管理を引き継いでも、空き家の管理責任から完全に逃れられない可能性があります。

なぜなら、空き家特措法の「管理者」の見解に、各自治体によって相違があるからです。

空き家特措法では、以下のように定められています。

(空家等の所有者等の責務)
第三条 空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。

引用元:空き家特措法第3条

自治体によっては、空き家法で定められる「管理者」の概念に、相続放棄をした人も含むという見方をしている場合があります。

つまり、「管理者」に相続放棄した人も含まれた場合、当然、相続放棄した人にも、空き家の管理に関する行政からの指導などが入る可能性があるということです。

例えば、行政や自治体から「空き家の窓が割れて景観を乱すし、空き家が犯罪に使われる可能性があるから直してほしい」と指導されたら、直す必要があります。

ただし、相続放棄をした人は、空き家の売却など大掛かりな処分行為はできません。空き家の売却行為をしようとすることは、空き家の相続を承認したことになり得るからです。

民法921条に、以下のように定められています。

(法定単純承認)
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
①相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。

引用元:民法第921条

相続放棄をした人も「管理者」に含むとみなされた場合、相続放棄したにも関わらず行政からの指導が入り続けますが、相続放棄しているので売却することはできません。

このように、一生空き家の管理責任がつきまとう可能性も十分にあり得ます。

空き家の管理責任から完全に逃れるためには、裁判所にて、相続財産清算人の選任の申立てをしましょう。

相続財産清算人の選任の申立てとは

相続財産清算人の選任の申立てをすれば、空き家の管理責任から完全に逃れることができます。

以下のような場合、相続財産清算人の選任という手段がとられます。

  • 何らかの理由で、相続人そのものがいない場合
  • 全員が相続放棄した場合
相続財産清算人
相続人に代わって相続財産の管理をする人。主に、負債の返済をしたり受遺者への支払いをして、残った相続財産を国へ帰属させる役割がある。弁護士や司法書士など、専門職の方が裁判所から選任されることが多い。

もちろん、相続財産清算人が選任されるまでは、相続人は自分の所有物として空き家をきちんと管理しなければなりません。

管理責任から完全に解放されるのは、相続財産清算人が選任されて、空き家の管理を開始できる状態になってからです。

相続放棄した人も相続財産清算人の選任の申立てができる

相続財産清算人の選任の申立てができるのは、利害関係人と検察官です。

相続放棄をした人は、利害関係人として相続財産清算人の選任の申立てをすることができます。

なぜなら、相続人は空き家の管理責任を負わなければならず、利害が発生しているからです。

例えば、空き家が倒壊して通行人にケガをさせたり、犯罪に使われて近隣住民に迷惑をかけたら、管理者である相続人の責任になります。

空き家を放置して重大な管理責任を問われる前に、利害関係人として相続財産清算人の申立てを行いましょう。

相続財産清算人の選任の申立てにかかる費用

相続財産清算人の選任の申立てには、以下の費用がかかります。

内容 費用
収入印紙 800円
連絡用郵便切手 裁判所により異なる
官報公告料 4230円
予納金 ~100万

予納金は、相続財産清算人の報酬や相続財産の管理費用に充てられる費用です。

相続財産清算人の報酬は、原則的に相続財産から支払われます。

しかし、相続財産が少ない場合は、申立人が相続財産清算人の報酬に充てる費用を、あらかじめ裁判所に「予納金」として納めることになっています。

予納金の金額は、空き家以外の相続財産がどの程度あるのか、空き家にどれくらいの価値があるのかで変わりますが、100万円を超えることは滅多にありません。

相続財産清算人の業務が終了した際に、余った予納金は返還されます。

相続財産清算人の選任の申立てから予納金が返還されるまでは、早くてもおよそ1年以上かかると考えていいでしょう。

しかし、1円も返還されない可能性も十分にあります。予納金を納める際は、返ってこない覚悟を決めて納めましょう。

高額な予納金を納めて相続財産清算人の選任の申立てをするくらいなら、空き家は売却してしまった方が金銭的にプラスです。

相続土地国庫帰属法は制定されたが空き家を国に引き取ってもらうのは困難

令和3年4月、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第二十五号)」が国会にて成立しました。制度が始まるのは、令和5年4月27日からです。

簡単に言えば、ある一定の条件を満たすとき、相続した土地を国庫に引き取ってもらえるという法律です。

しかし、相続した空き家に相続土地国庫帰属法は適応されません。

なぜなら、相続土地国庫帰属法は、相続した土地に対する法律で、建物が立っている場合には適応されないからです。そのため、相続した空き家は相続土地国庫帰属法の対象にはなりません。

相続土地国庫帰属法を使って空き家を国に帰属させたい場合は、少なくとも空き家を解体し、更地にする必要がありますが、更地解体にかかる費用は、木造住宅で1坪4万円ほど、鉄筋コンクリート造で1坪6万円ほどが相場です。

高額な解体費用をかけて国に帰属させようとするくらいなら、空き家はそのまま売却してしまう方がお財布にも優しく、様々な手続きの手間も省けます。

空き家を相続放棄する前に「売却」を検討

空き家を処分するなら、相続放棄より売却を選択するべきです。

なぜなら、相続放棄はデメリットが多すぎるからです。

売却してしまえば、これらのリスクを回避できるうえに、売った空き家は現金になるので一石二鳥です。

空き家売却の大きなメリット3つ

空き家の管理責任から完全に解放される

空き家を一度相続したうえで売却すれば、空き家の管理責任から完全に逃れることができます。なぜなら、空き家の所有者そのものが変わるからです。

一方、空き家の相続放棄をしても管理責任から完全に逃れることはできません。

自治体によっては、相続放棄した人も「管理者」に含む考え方をしているからです。

管理責任から完全に逃れたいのであれば、売却がおすすめです。

相続放棄や相続財産清算人の選任の申立ての負担から解放される

空き家を相続して売却してしまえば、当然、相続放棄の手続きをする必要はなくなります。

また、売却した時点で空き家の管理責任から完全に解放されるので、相続財産清算人の選任の申立てもする必要はありません。

相続放棄の手続きには弁護士費用がかかりますし、相続財産清算人の選任の申立てには高額な予納金がかかります。空き家を売却してしまえば、これらの金銭的負担や作業の手間を負う必要はなくなります。

空き家を現金化できる

空き家を売却する最大のメリットは、まとまった現金が手に入ることです。相続放棄のリスクを逃れられるうえ、空き家を現金に換えられるので、金銭的負担どころかプラスになります。

空き家を多く扱う不動産買取業者であれば、すぐに空き家を現金化することも可能です。

弊社では、スピーディーな買取を行うことができるので、相続放棄をする前にぜひ一度お問い合わせください。お見積りだけのご依頼も、気兼ねなくご連絡ください。

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まとめ

相続放棄をしても、空き家の管理責任から完全に逃れることはできません。相続放棄をしても、空き家の管理について行政から指導が入り続ける可能性があります。

空き家の管理責任から完全に逃れるには、相続財産清算人の選任の申立てをする必要があります。しかし、相続財産清算人の選任の申立てには最大100万の予納金がかかります。

余った予納金は返還されますが、1円も返還されない可能性もあり、大きなリスクであると言えます。

高額な金銭的負担を抱え、手間と時間をかけて相続放棄や相続財産清算人の選任の申立てをするなら、相続放棄の前に空き家の売却を検討するべきです。

売却すれば、空き家を相続放棄した場合の管理責任のリスクや、管理責任から解放されるための複雑な手続きや高額な予納金の負担を負うことなく、むしろすぐに現金可できる可能性もあります。

相続放棄した場合と空き家を売却した場合、どちらが金銭的にプラスになるか、まずは一度見積もりを出して比較してみましょう。

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空き家の相続放棄に関するよくある質問

空き家だけを相続放棄することはできません。 相続放棄する場合は、預貯金や株、宝石や骨董品などをはじめ、故人との思い出の品も放棄する必要があります。財産調査で全ての相続財産を明らかにして、相続放棄したい品はないかを確認しましょう。
被相続人の最後の所在地が管轄されている家庭裁判所にて、相続放棄の手続きを行います。 相続放棄の手続きには、様々な書類が必要です。相続人と被相続人の関係によっても必要書類が異なり複雑なので、相続の知識がある弁護士に相談するべきでしょう。
相続放棄をしたら、次の法定相続人が空き家の管理を始められるまでは、管理責任はあなたに残ります。しかし、行政や自治体によっては、相続放棄した人も空家の「管理者」に含む見方をすることもあるため、相続放棄してからも空家の管理責任を問われる可能性は十分にあります。

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