空き家は個人でも貸すことが可能!副業と事業の線引きはどこ?
冒頭でも触れたように、個人として空き家を貸すことは可能です。
ただし、ケースによっては「副業」や「事業」として扱われることもあるので注意が必要です。
まずは、賃貸経営を行うにあたって知っておきたい副業と事業の線引きについて見ていきましょう。
空き家を貸すと副業になるのか?
空き家を貸して家賃収入を得る行為は、副業とは見なされないケースがほとんどです。
賃貸経営は資産運用の一環であり、二重就労には該当しないためです。
社員に副業を禁じている民間企業が比較的多い理由として、本業に支障をきたす恐れがあることが挙げられます。
また、公務員は国家公務員法第101条、地方公務員法第38条第1項で副業が禁止されています。
しかし賃貸経営は一般的な時間労働とは異なり、多くの時間や労力をかけて行うものではありません。
本業における機密事項が外部に漏れるリスクもほぼないといえます。
そのため、副業を禁止している民間企業でも賃貸経営は容認しているところが多い傾向にあるのです。
公務員でも、次の見出しでご紹介する事業的規模に該当しなければ、賃貸経営を行っても問題はありません。
個人事業主扱いとなる2つの条件
一方で、賃貸経営の規模が大きくなると「事業」と見なされ、個人事業主と扱われる可能性が高くなります。
具体的な要件は以下の通りです。
- 5棟以上の戸建てを貸している
- 10室以上の区分マンション・アパートを貸している
賃貸経営の規模が5棟10室を超えると、事業として行われているものとして判断されます。
また、賃貸経営で得る家賃収入が500万円を超える場合も事業扱いです。
参照元:人事院|人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
そのほか、賃貸物件の管理や入居者対応などの日常業務を自身で行う場合も「本業に支障にきたす恐れがある」ことから「副業扱い」となる可能性があります。
副業が禁止されている会社員や公務員が賃貸経営を始めたいなら、事業的規模を超えない範囲で行うとともに、管理を管理会社に任せるとよいでしょう。
また公務員の場合は、家賃収入が500万円未満でも人事院規則14-8に基づき自営兼業承認申請書を毎年1月に提出して承認をもらわないといけない点に注意が必要です。
【自営兼業承認申請書の見本】
引用元:人事院|自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)
空き家を個人で貸す4つのメリット
個人で空き家を貸すメリットとして、主に以下の4つが挙げられます。
- 家賃収入を得られる
- 空き家を所有し続けられる
- 老朽化の進行を遅くできる
- 相続税対策につながる
空き家を貸す最大のメリットは、毎月家賃収入を得られることです。
空き家を所有する限り固定資産税などの税金や維持・管理費は支払い続けなければなりませんが、家賃収入から捻出できれば経済的負担が大きく軽減されます。
親などとの思い出がたくさん詰まった家を手放さずに活用できる点も賃貸経営を行うメリットです。
また、空き家を借りた方があなたに代わって換気や清掃などの管理を行ってくれるため、空き家の状態のときよりも老朽化の進行を軽減できるメリットもあります。
誰かに住んでもらうことで、ゴミを不法投棄されたり、放火などの犯罪に巻き込まれたりといったリスクも回避できます。
相続税対策につながる点も、空き家で賃貸経営を行うメリットのひとつです。
空き家を第三者に貸すと、所有者が自由に使えなくなります。
そのため、自分で使用している不動産よりも他人に貸している不動産のほうが相続税評価額が低くなり、結果的に相続人が納める相続税を安く抑えられるようになるのです。
賃貸経営は、被相続人が生前からできる相続税対策ともいえます。
なお、以下の記事では空き家を貸す以外の活用方法をご紹介しています。
空き家を何らかの方法で活用したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
空き家を個人で貸す4つのデメリット
個人で空き家を貸すことにはさまざまなメリットがある一方で、以下のリスクが生じる恐れがある点は押さえておかなければなりません。
- リフォーム費用やハウスクリーニング費用がかかる
- ランニングコストがかかる
- 空室リスクがある
- 入居者トラブルが起こる可能性がある
築年数が古いなど空き家の状態によっては、賃貸経営を始める際にリフォームやハウスクリーニングが必要となることがあります。
設備が故障した場合の交換・修繕費用も所有者であるあなたが負担しなければならず、ランニングコストがかかる点もデメリットです(具体的な費用相場については次の章で解説します)。
また、入居者が見つからなければ家賃収入は得られません。
加えて築年数が経過して建物が古くなると、家賃を周辺相場よりも減額しないと入居者を見つけにくく、思っていたよりも家賃収入を得られない事態に陥るリスクもあります。
入居者が家賃を滞納したり、騒音などで近隣の方に被害を与えたりなどのトラブルが起こることも十分考えられます。
賃貸経営は個人で行うことも可能ですが、入居者の募集や対応などを自分で行うのが難しい場合には管理会社に管理を委託したほうが安心です。
なお、以下の記事では素人に空き家の賃貸経営が向いていない理由を解説しています。
これから空き家を活用して賃貸経営を始めたいと考えている方は、まずご一読ください。
空き家を個人で貸す際にかかる費用
個人で空き家を貸すときには、主に以下の費用がかかります。
費用名 | 費用相場 |
---|---|
リフォーム費用 | 5~1,000万円以上 |
ハウスクリーニング費用 | 2~10万円 |
固定資産税 | 10~15万円 |
都市計画税 | 3~5万円 |
修繕費用 | 約500万円 |
管理費・修繕積立金(マンションの場合) | 月2~3万円 |
火災保険料 | 10~40万円(5年) |
管理委託費用(管理業者に管理を委託する場合) | 家賃の約5% |
空き家の状態が悪い場合には、リフォーム費用として1,000万円以上かかるケースは少なくありません。
また税金や修繕費などのランニングコストとして、家賃収入の20~30%ほどの費用が必要です。
賃貸経営を成功させるには、どのくらいの家賃収入を得られるか、初期費用・ランニングコストでいくら必要なのかを正確に把握することが重要です。
空き家で賃貸経営を始める前に、まずはしっかりとした収支計画を立てることをおすすめします。
空き家を個人で貸す具体的な方法と手順
個人で空き家を貸し出す際の手順は以下の通りです。
- ハウスクリーニングを行う
- 契約方法を決める
- 空き家の賃料を決定する
- 入居者募集を行う
- 賃貸借契約を結ぶ
- 火災保険に加入する
それぞれの手順で具体的に何を行うのか、詳しく見ていきましょう。
ハウスクリーニングを行う
空き家を貸し出す際には、ハウスクリーニングが欠かせません。
室内が汚れていたり、水回りにカビが生えていたりする物件を借りたいと考える方はまずいないためです。
ハウスクリーニングの間取り別費用相場は以下の通りです。
間取り | 費用相場 |
---|---|
1R・1K | 1万5,000円~2万5,000円 |
1DK・2K | 2~3万5,000円 |
1LDK・2DK | 2~4万円 |
2LDL・3DK | 3~5万5,000円 |
3LDK・4DK | 3万5,000円~7万円 |
4LDK~ | 5万円~ |
自分で清掃を行えば掃除道具や洗剤などの購入費用のみで抑えられますが、エアコン内部の汚れや浴室に発生した水カビなどは素人ではきれいにしきれません。
入居者を集めて安定した家賃収入を得たいなら、はじめにプロの清掃業者に依頼して家全体をきれいにしてもらうとよいでしょう。
老朽化が激しいとリフォームも必要
空き家の築年数が古く、建物や設備の老朽化が著しい場合はリフォームが必要です。
リフォームにかかる費用は、以下のように「何をどこまで行うか」によって大きく異なります。
リフォーム箇所 | 費用相場 |
---|---|
家全体 | 1,000~1,500万円 |
浴室 | 50~150万円 |
トイレ | 10~50万円 |
洗面所 | 10~80万円 |
壁紙の張り替え | 800~1,000円/㎡ |
床の張り替え(6畳) | 10~50万円 |
外壁 | 50~400万円 |
屋根 | 50~400万円 |
耐震補強工事 | 30~200万円 |
たとえば現行の耐震基準を満たしていない場合には、耐震補強工事が必要です。
地震大国である日本では耐震性を備えている家かどうかも入居を決めるひとつの要素となるためです。
また、トイレやキッチンなどの設備が壊れているケースでは新しいものに取り替えなければなりません。
一方、大規模なリフォームを行って見た目を良くすると、相場よりも多少家賃が高くても入居者が決まる可能性があります。
しかし、そもそも賃貸需要が期待できない地域に空き家が建っている場合には、多額の費用をかけてリフォームを行っても入居者が見つからない恐れがある点に注意が必要です。
空室のままでは家賃収入は得られず、リフォーム費用がそのまま赤字としてのしかかってしまいかねません。
そのため空き家のリフォームを行う場合は、水回りなど必要最低限の修繕にとどめておいたほうが無難です。
空き家をリフォームするメリット・デメリットは、以下の記事で詳しく解説しています。
契約方法を決める
ハウスクリーニングやリフォームなどを行って空き家を貸し出す準備が整ったら、空き家を貸すときの契約形態を決めます。
空き家の契約形態には、以下の3つがあります。
- 普通借家契約
- 定期借家契約
- 一時使用賃貸借契約
「空き家を長期的に貸したい」のか、それとも「短期間だけ貸したい」のかで向いている契約形態は異なります。
自身の状況に合った方法を選択するためにも、それぞれの契約形態の特徴を押さえておきましょう。
普通借家契約
普通借家契約は契約期間が1年以上に設定された契約のことで、賃貸物件を貸し出すときの最も一般的な契約形態です。
普通借家契約の特徴を以下の表にまとめました。
事項 | 概要 |
---|---|
契約期間 | 1年以上(1年未満の場合は期間の定めのない契約とされる) |
契約更新 | 原則として入居者から解約の申し入れがない限り更新される |
契約締結方法 | 口頭での契約締結も有効 |
中途解約 | 契約書に中途解約に関する規定があれば可能 |
一般的に、普通借家契約の賃貸物件は2年契約とされるケースが多い傾向にあります
契約期間が満了しても、入居者が希望すると契約更新がなされる点が特徴です。
貸主側に入居者を退去させるような正当事由がない限り契約が更新される仕組みのため、長期的に空き家を貸して収益を上げたい方におすすめの契約形態といえます。
一方、空き家を普通借家契約で貸している限り貸主都合で入居者に退去してもらうのは難しいので、売却など賃貸以外で空き家を活用したいと考えている方には向いていません。
定期借家契約
定期借家契約は、普通借家契約とは違って契約期間があらかじめ設定されている契約形態です。
定期借家契約の特徴は以下の表の通りです。
事項 | 概要 |
---|---|
契約期間 | 制限なし(1年未満の契約も可能) |
契約更新 | なし |
契約締結方法 | 公正証書などの書面によって契約する必要あり |
中途解約 | 賃貸人からの一方的な中途解約はできない |
定期借家契約は空き家を貸す期間があらかじめ定められている契約形態のため、契約期間が満了したら確実に自分で利用できる点がメリットです。
そのため、「一定期間だけ空き家を貸して収益を上げたい」と考えている方に向いている契約形態といえます。
契約期間の満了後に空き家を売却したり、自分で住んだりといったことも可能です。
ただし、借主にとって「契約期間の満了後に部屋を出て行かなければならない」点は大きなデメリットです。
したがって普通借家契約の賃貸物件よりも家賃を低く設定しないと、入居者が見つかりにくい恐れがあります。
一時使用賃貸借契約
一時使用賃貸借契約とは、その名の通り借主の「一時的な使用」を前提とした契約形態です。
たとえば、家の所有者が転勤などの理由で短期不在の間だけ第三者に貸す際に用いられることがあります。
あらかじめ契約期間が設定されている定期借家契約と似ていますが、一時使用賃貸借契約には借地借家法ではなく民法の規定が適用される点が大きな違いです。
参照元:e-Gov法令検索|借地借家法第40条
一時使用賃貸借契約の特徴は以下の表の通りです。
事項 | 概要 |
---|---|
契約期間 | 具体的な期間は定めない |
契約更新 | なし |
契約締結方法 | 口頭でも有効 |
中途解約 | 貸主・借主ともにいつでも解約の申し入れが可能 |
一時使用賃貸借契約では、契約期間を定めずに貸すケースが一般的です。
そのため、貸主が「返してほしい」と要望すると借主に出ていってもらうことができます。
「具体的にどのくらいの期間空き家を使わないかは分からないものの、自分が利用するまでの間は貸したい」と考えている方に向いている契約形態です。
しかし、一時使用賃貸借契約で空き家を借りる方にとって貸主の都合で退去しなければならない点は大きなマイナスポイントです。
そこで一時使用賃貸借契約で空き家を貸す場合、普通借家契約の賃貸物件の相場よりも安く設定しないとほぼ借主は見つけられない点に注意が必要です。
空き家の賃料を決定する
空き家の契約形態を決めたあとには、いくらで貸すのか賃料を設定します。
賃料を決める際の参考となるのが、近隣にある条件が近い賃貸物件の相場です。
不動産ポータルサイトで検索すると、あなたが所有している空き家の周辺で入居者を募集している賃貸物件を確認することができます。
その中から、築年数や物件の広さ、最寄り駅からの距離などあなたの空き家に近い条件の賃貸物件を5つほどピックアップして比較すると、適正な賃料を設定できるでしょう。
なお、空き家の家賃は所有者であるあなたが自由に決めることができますが、より多くの収益を得たいからといって相場よりも高い賃料を設定するのはおすすめできません。
入居者の心理からすると、同じ条件の賃貸物件があれば少しでも賃料が安いところに住みたいと考えるためです。
賃料を相場よりも高く設定して空室が発生するリスクを回避したいなら、管理会社に賃料査定を依頼して目安となる家賃を教えてもらうことをおすすめします。
入居者募集を行う
空き家を月々いくらで、どの契約形態で貸すのかが決まったら、いよいよ入居者を募集する段階へと進みます。
ただし、入居者が知り合いか第三者かで注意すべきポイントは異なります。
のちのトラブルを防ぐためにも、事前に注意点を押さえて対策を講じておきましょう。
知り合いに貸す場合
親戚や知人などの知り合いに空き家を貸す場合でも、以下事項を記載した賃貸借契約書をしっかりと交わすことをおすすめします。
- 契約期間
- 月々の賃料
- 賃料の納付方法・納付期限
- 敷金の有無
- 禁止事項
- 契約解除の要件
- 賃借人が退去する際の原状回復義務の範囲
- 連帯保証人の有無
気心が知れた知り合いに貸す場合は口頭でのやりとりになりがちですが、家賃や設備故障時の費用負担者、退去時の原状回復費などお金のことで揉めるケースは少なくありません。
今後も末永く良好な関係を続けていくためにも、知り合いに空き家を貸す際には基本的なルールについて合意しておくことが重要です。
なお、どのようにして賃貸借契約書を作成したらよいのかが分からない方は、国土交通省が提供している「賃貸住宅標準契約書」を用いるとよいでしょう。
第三者に貸す場合
空き家を第三者に貸す場合は、管理会社に依頼して入居者を探してもらうケースが一般的です。
賃貸経営を成功させるには、管理会社選びにかかっているといっても過言ではありません。
管理会社を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 管理物件の入居率が95%を超えているか
- 空室を埋めるための的確なアドバイスをしてくれるか
- あなたの空き家の条件に似ている賃貸物件を管理した実績があるか
- トラブル発生時に早期対応してくれるか
- 担当者の担当はよいか
- 顧客からの評判はよいか
- 管理手数料は適正か
この中でも、特に重要なのは管理物件の入居率の高さです。
管理物件の入居率が高い管理会社ほど空室対策のノウハウを豊富に有していると判断できるため、安心して入居者集めを任せられます。
また、賃貸経営には家賃の滞納などの入居者トラブルがつきものです。
万が一トラブルが発生した場合でも、迅速に対応してもらえる体制が整っていると安心です。
それに加えて、管理手数料が適正かどうかも必ず確認するようにしましょう。
管理手数料が安くても、入居者対応などサービスの質が悪かったら入居者の解約につながりかねません。
また、管理手数料が安い管理会社の中には、入居者の退去時に行う原状回復費を高く設定しているところがあります。
初期費用を安く抑えられたとしても、結局トータルで見るとコストが割高だったというケースは少なくないのです。
そのため、空き家の管理を管理会社に依頼するにあたり、管理手数料の安さで決めるのはおすすめできません。
管理会社に提供してもらえるサービスの内容と価格とを踏まえたうえで検討することが重要です。
賃貸借契約を結ぶ
空き家を貸す相手が見つかったら、まずは入居審査を行います。
入居を希望している方の職業や年収、年齢などから、家賃滞納や近隣トラブルを起こさない人物かをチェックします。
「この人なら安心して貸せそう」と判断できたら、賃貸借契約を交わす流れです。
火災保険に加入する
空き家を貸す際には、万が一のときに備えて建物に火災保険を掛けておきましょう。
基本的に空き家の賃貸借契約を締結するときには、入居者に借家人賠償責任保険担保特約付きの家財保険に加入してもらうケースが一般的です。
しかしこの保険では、入居者の過失による火災や水漏れなどのときの修繕費用しかまかなえません。
万が一隣家の火災によって空き家が燃えてしまった場合には、所有者であるあなたが修繕費用を負担しなければならない点に注意が必要です。
失火責任法により、重大な過失がない限り出火元である隣人には損害賠償を請求できないと定められているためです。
いつ火災が起きるのかは誰にも予測がつきません。
いざというときに備えるためにも、火災保険への加入は必須といえます。
なお、空き家でも加入できる火災保険選びのポイントは以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
個人で空き家を貸す際にかかる税金
個人で空き家を第三者に貸すと、家賃収入を手に入れることができます。
賃貸経営の場合は、家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得に対して「所得税」が課される点を押さえておきましょう。
なお、会社員などとして働いていて副業として賃貸経営を行っている方は、給与所得など他の所得と不動産所得とを合算して計算します。
計算式に表すと、次の通りです。
税率と控除額は、以下の表のように課税される所得金額に応じて定められています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万円~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
※令和19年(2037)まで所得税額の2.1%を復興特別所得税として納付
参照元:国税庁|No.2260 所得税の税率
賃貸経営で認められている必要経費には、主に以下のものがあります。
経費の名称 | 概要 |
---|---|
固定資産税 | 毎年1月1日時点における不動産所有者に課される税金 |
火災保険料 | 賃貸物件で加入している保険料 |
減価償却費 | 建物や設備の経年による資産価値の減少分に相当する金額を経費として計上できる |
修繕費 | 賃貸物件の修繕にかかった費用 |
管理費 | 管理会社に支払う費用 |
交通費 | 賃貸物件の管理をするためにかかる電車代やガソリン代、駐車場代など |
新聞図書費 | 賃貸経営に必要な情報を集めるために購入した書籍や新聞、雑誌代 |
税理士への報酬 | 確定申告の手続きなどを税理士へ依頼したときにかかる費用 |
たとえば、年間の家賃収入が300万円、必要経費が100万円、他の所得が400万円だったときに発生する所得税は以下の通りです。
「所得税={(家賃収入-必要経費)+他の所得(給与所得など)}×税率-控除額」の計算式より、
所得税={(300万円-100万円)+400万円}×20%-42万7,500円
=77万2,500円
復興特別所得税額=77万2,500円×2.1%
=1万6,222円
合計=77万2,500円+1万6,222円
=78万8,722円
賃貸経営によって所得が発生した場合は、翌年2月16日~3月15日までの間に確定申告をして所得税を納めなければならない点に注意しましょう。
空き家を無償で貸すと税金はどうなる?
子どもや親戚などに対して空き家を無償で貸すケースがあります。
しかしその場合は「無償で利益を与えた」と見なされ、空き家をただで借りている方に対して贈与税が課される恐れがある点に注意が必要です。
参照元:e-Gov法令検索|相続税法第9条
ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除があります。
そのため、空き家を借りている方が本来支払うべき年間賃料が110万円に満たない場合には贈与税は課されません。
したがって空き家を無償で貸したとしても、実際には贈与税の課税対象とはなっていないケースが比較的多い傾向にあります。
参照元:国税庁|相続税法基本通達|第9条《その他の利益の享受》関係(無利子の金銭貸与等)
空き家を貸している際にやるべき3つのこと
ここからは、個人で空き家を貸すときにやるべき以下3つの作業を解説します。
- 家賃の管理
- クレーム対応
- 設備のメンテナンス
いずれも管理会社に依頼すると代行してもらうことが可能です。
3つの作業内容を把握したうえで、自身で行うのが難しいと感じたら管理会社に委託することをおすすめします。
賃貸物件の自主管理で行う3つの作業について、詳しく見ていきましょう。
家賃の管理
賃貸物件の管理の中で、家賃の回収は最も重要といっても過言ではありません。
家賃の回収方法として一般的なのは、銀行口座からの振替です。
毎月指定された日付になると入居者の口座から自動的に家賃が引き落とされるため、いちいち訪問などをして家賃を回収する手間が省けます。
ただし、入居者の口座にお金がなかったら当然引き落としはされません。
その場合は、入居者に電話などで連絡を入れて支払いを促す必要があります。
しかし、中には経済的な理由によって家賃を支払えずに滞納する入居者もいます。
家賃の督促を何度もしても支払いがない場合は、法的措置を検討しなくてはならなくなることもあるでしょう。
入居者が滞納した家賃を回収するには、大変な手間と時間がかかります。
入居者による家賃の滞納を防ぎたいなら、入居審査で属性をしっかりと見極め、毎月家賃を支払える経済力があるかどうかを確認することが重要といえます。
なお、管理会社に依頼すると「入居者が毎月家賃を支払っているかどうか」を管理してくれますが、滞納された家賃は回収してくれません。
管理会社は法律上家賃の取り立てができないことになっているためです。
入居者に家賃を滞納された場合は自身で対応するか、弁護士に依頼して取り立ててもらうかしかありません。
弁護士に家賃の回収を依頼すると、10~40万円ほどの費用に加え、成功報酬として回収した家賃の10~20%を支払わなければならない点に注意が必要です。
滞納された家賃の取り立て方法と注意点については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
クレーム対応
個人で空き家を貸す場合は、入居者からのクレームも自分で対応する必要があります。
たとえば築年数が古い空き家だと、屋根裏など目には見えない箇所に不具合が生じているケースが少なくありません。
台風などのときに天井から雨漏りをして初めて気がつくケースも少なくないのです。
入居者から「雨漏りがしている」とクレームが入ったら、すぐに業者に修繕の手配をして対応しなければなりません。
初期対応が遅れるほど入居者の不満が募り、退去される事態に陥る恐れもあります。
入居者が快適な生活を送れるようにするのは、所有者としての重要な役割です。
本業が忙しくて自分では対応するのが難しい場合には、管理会社に委託したほうがよいでしょう。
設備のメンテナンス
キッチンや浴室、トイレ、洗面所、給湯器など住宅設備のメンテナンスを行うのもオーナーとしての義務です。
設備が故障したら、迅速に業者を手配して修理を依頼しなければなりません。
故障内容によっては、設備ごと交換する必要も出てくるでしょう。
主な住宅設備の交換が必要となる期間と費用相場は以下の通りです。
設備名 | 交換の目安 | 交換費用の相場 |
---|---|---|
エアコン | 10~12年 | 10~15万円 |
給湯器 | 10~15年 | 15~20万円 |
トイレ | 8~10年 | 5~15万円 |
キッチン | 15~25年 | 20~50万円 |
浴槽 | 15年 | 50~80万円 |
複数の住宅設備が一度に故障すると、修繕・交換費用が高額にのぼりかねません。
設備のメンテナンスは入居者の満足度につながる大切な要素のため、修繕・交換に備えて日々修繕費用を積み立てておくことをおすすめします。
個人が空き家を貸す際の4つの注意点
個人で空き家を貸すときには、以下4つの注意点を押さえておくことが大切です。
- 住宅ローンが残っている
- 空き家を貸す前の状態を記録しておく
- マンションの空き家を貸すなら規約を確認しておく
- 一戸建ての空き家を貸すならリスクを把握しておく
それぞれの注意点について、詳しく見ていきましょう。
下記も参
住宅ローンが残っている
もし空き家を購入したときの住宅ローンを完済していなかったら、賃貸物件として運用することはできません。
住宅ローンはあくまでも「マイホームを購入するため」の融資だからです。
住宅ローンが残っている空き家を金融機関に無断で貸し出して発覚すると、契約違反を問われて残債の一括返済を求められる恐れがある点に注意が必要です。
住宅ローンが残っている空き家を賃貸物件として活用したいなら、まずは金融機関に相談することがポイントです。
転勤などやむを得ない事情があると金融機関に判断してもらえたら、賃貸物件として貸し出せる可能性があります。
また、住宅ローンを不動産投資ローンに借り換えるのも選択肢のひとつです。
ただし、不動産投資ローンは住宅ローンよりも金利が高いため、総返済額が増えてしまいかねません。
想定される家賃収入よりも毎月の返済額が高くなるようなら賃貸経営は行わず、空き家を売却して住宅ローンを完済する方策を検討したほうがよいでしょう。
全国の空き家を積極的に買い取っている弊社AlbaLink(アルバリンク)では、無料査定を行っております。
空き家の売却金額で住宅ローンを完済できるかを知りたいという方は、お気軽にご活用ください。
なお、査定を依頼しても無理な営業をかけることはいっさいありませんので、安心して利用していただければ幸いです。
なお、住宅ローン返済中の家を売却する方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
また、不動産投資サポートについて詳しく知りたい方は、下記も参考にしてください。
「不動産投資サポート」おすすめランキング10選。「
空き家を貸す前の状態を記録しておく
空き家を貸す前には、部屋についている傷や設備の損耗具合などの現状を記録しておくことも重要です。
もし貸し出す前の部屋や設備などの状態を記録していなければ、入居者が退去する際に「もともとあった傷や汚れなのか」の判断ができずにトラブルにつながる恐れがあります。
原状回復を巡るトラブルを未然に防ぐためにも事前に建物の状態についての詳細を記した以下のようなチェックリストを作成し、入居者と共有しておきましょう。
引用元:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
マンションの空き家を貸すなら規約を確認しておく
貸したい空き家がマンションの場合、まずはマンション内のルールを定めた管理規約を確認することが重要です。
建物の区分所有等に関する法律第46条により、あなたからマンションの一室を借りた入居者は建物や附属施設などの使用方法について区分所有者と同じ義務を負います。
たとえばマンション内でペットの飼育が禁止されていたら、あなたからマンションを借りた方もそれを守らなければならないのです。
したがって、マンションを貸す相手に管理規約に定められた事項を共有してルールを守ってもらうことはトラブルを未然に防ぐためにも重要な行為だといえます。
また、マンションを貸すにあたっては第三者使用に関する届け出を管理組合へ提出して入居者がいつ引っ越してくるのかを知らせる必要があります。
もし届け出を怠った場合、入居者がマンションのエレベーターを使えずに引っ越しができない事態に陥りかねないため、注意が必要です。
マンションをスムーズに貸すためにも、いま一度管理規約を確認しておきましょう。
一戸建ての空き家を貸すならリスクを把握しておく
一戸建ての空き家を貸す場合は、一戸建て特有のリスクを把握して適切な対策を講じておくことが重要です。
たとえば、一般的な一戸建ては台風などの自然災害で河川が氾濫した際に水害にあいやすいリスクがあります。
水害によって被害総額が1,000万円以上にのぼるケースも珍しくありません。
水害で建物が被害を受けた場合、修繕費用は所有者であるあなたが負担する必要があります。
高額な修繕費用をまかなうためにも、空き家を貸す際には事前に火災保険に加入しておくと安心です。
また、一戸建てを貸す際には定期的に外壁や屋根などのメンテナンスも行わなければなりません。
外壁や屋根などの劣化が進むと、雨が建物内に侵入して構造材の腐食を招き、自然災害発生時に倒壊してしまう恐れがあるためです。
一戸建て外装部の修繕時期と修繕費用の目安は以下の通りです。
部位 | 修繕時期 | 修繕費の目安 |
---|---|---|
外壁 | 10~15年 | 100~200万円 |
屋根 | 7~30年 | 15~150万円 |
バルコニー | 10~20年 | 30~70万円 |
入居者に快適な生活を提供するためには定期的なメンテナンスが欠かせませんが、外装部の修繕費用は高額にのぼりがちです。
費用を支払えずに修繕できない事態となることを防ぐためにも、日頃から修繕費用を積み立てておきましょう。
空き家を貸すのが難しいなら「売却」の検討を!
ここまで、個人で空き家を貸す際に押さえておきたいポイントを解説してきました。
しかし、賃貸経営を成功させるのは簡単ではありません。
本業との兼ね合いや経済的な側面から「自分には空き家の賃貸経営を行うのは難しい」と感じたら、売却を視野に入れることをおすすめします。
空き家を売却すると、まとまった現金を手に入れることができます。
そればかりか、空き家の管理から解放されるのは何よりものメリットといえるでしょう。
なお、空き家の条件に応じて適している売却方法は以下のように異なります。
- 築浅で立地がいいなら仲介業者に依頼する
- 築古で立地が悪いなら専門の買取業者に売却する
それぞれの売却方法について詳しく解説します。
あなたの空き家の状況に合った売却方法をご選択ください。
仲介と買取の違いは以下の記事で詳しく解説しています。
築浅で立地がいいなら仲介業者に依頼する
あなたが所有している空き家の築年数が比較的浅く、駅から徒歩10分以内など立地がいい場合には、仲介業者に相談するとよいでしょう。
仲介業者は、不動産の売主と買主とを結びつけて売買契約の締結をサポートする不動産会社です。
仲介業者が見つけてくれる買主は、基本的にマイホームの購入を検討している方になります。
そのため、築浅で立地もいい空き家なら相場に近い価格で売却することも不可能ではありません。
実際、弊社が行ったアンケート調査でも、マイホームを購入するにあたり「立地」を優先すると回答した方の割合が最も多い結果となっています。
参照元:訳あり物件買取プロ|【家を購入する際に優先したことと妥協したこと】経験者493人アンケート調査
また「【不動産を購入するなら築年数は何年までがベストか】男女100人アンケート調査」では、築20年以内の不動産を購入したいと回答した方の割合が全体の80%を超えました。
ただし、仲介で空き家を売却するには少なくても3~6か月ほどの期間がかかるといわれています。
そもそも買主が見つからなかったら売却できないため、できる限り早く手放したいと考えている方にはあまり向いていません。
加えて仲介で空き家を売却すると、あなたが契約不適合責任を負わなければならないデメリットもあります。
売主が買主に負うべき責任。売買契約書に記載のない欠陥や不具合などが物件の引き渡し後に見つかった場合、売主は買主から「修繕」「代金の減額」「契約解除」「損害賠償」などを請求される恐れがある
誰も住んでいない空き家の場合、構造など目には見えない箇所に不具合が生じているケースが少なくありません。
仲介での売却時に買主から契約不適合責任に問われるのを防ぎたいなら、あらかじめ専門業者に物件を徹底的に調査してもらうことをおすすめします。
築古で立地が悪いなら専門の買取業者に売却する
一方で、あなたが所有している空き家の築年数が古く、駅から徒歩15分以上かかるなど立地も悪い場合は専門の買取業者に直接売却しましょう。
前述のようにマイホームの購入を考えている方は築浅で立地のよい物件を求めているので、築古で立地が悪い空き家を仲介で売却しようとしても買主はまず見つかりません。
それに対して、専門の買取業者は買い取った空き家にリフォームなどを施してから再販することを事業として行っています。
築古で立地も悪い空き家でも収益化につなげることができるため、問題なく買い取ってくれるというわけです。
また、買取では専門の買取業者に直接売却する仕組みのため、仲介とは違って買主を探す必要がありません。
その分、売却期間を大幅に短縮できる点は売主であるあなたにとって大きなメリットです。
加えてあなたの契約不適合責任を免責にした状態で買い取ってくれる点も、築古の空き家を専門の買取業者に売却するメリットのひとつです。
専門の買取業者はリフォームを前提として空き家を買い取るので、不具合や欠陥があっても問題にはなりません。
売却後に買主から契約不適合責任を問われるリスクを回避したいなら、専門の買取業者に相談するとよいでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は全国の空き家を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】 【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された空き家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっている空き家の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して空き家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
なお、以下の記事では空き家の買取に特化している専門の買取業者を計30社ご紹介しています。
空き家を売却したいものの、どの専門業者に相談したらよいのかが分からない方はぜひ参考にしてください。
まとめ
個人で空き家を貸すと「家賃収入を得られる」「思い入れのある空き家を所有し続けられる」といったメリットがあります。
一方で、「賃貸経営を始める際にリフォーム代やハウスクリーニング費用などがかかる」「入居者が見つからなかったら家賃収入を得られない」などのリスクがある点は押さえておきましょう。
また、個人で空き家を貸す場合には自分で適切な家賃を設定して入居者を募集する必要があります。
「家賃の管理」や「クレーム対応」「建物・設備のメンテナンス」などもすべて自分で行わなければなりません。
入居者が見つからない、空き家の管理を自分で行うのが難しい場合には、賃貸経営ではなく売却も選択肢のひとつとして検討することをおすすめします。
弊社AlbaLink(アルバリンク)では、全国の空き家を積極的に買い取っております。
過去には、フジテレビの「newsイット!」にも訳アリ物件専門の買取業者として紹介されました。
弊社には空き家を活用して収益を上げる豊富なノウハウがあるので、あなたの空き家をスピーディーに、かつ適正価格で買い取ることが可能です。
所有している空き家をいくらで売却できるのかが知りたい、空き家をできる限り短期間で手放したいとお考えの方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。