事故物件とは「物件内で人が亡くなった物件」
事故物件に関する明確な定義は存在しませんが、一般的には建物内で発生した事件や事故などによって人が亡くなった物件を指します。事故物件の購入や入居にあたって心理的に嫌悪感を抱く方が多いことから、「心理的瑕疵物件」とも呼ばれます。
ただし、人が亡くなった物件のすべてが事故物件に該当するわけではありません。
では、事故物件とは一体どのように判断されているのでしょうか?
国土交通省が2021年10月に公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、事故物件に該当する死因と該当しない死因は以下のとおりです。
事故物件に該当する死因 | 事故物件に該当しない死因 |
---|---|
・殺人(他殺)
・自殺 ・火事などによる事故死 ・遺体が長期間放置されて特殊清掃が実施された自然死(病死・老衰)・孤独死 |
・自然死(病死・老衰)
・階段からの転落や浴室内での転倒などによる不慮の事故死 |
人が亡くなるのは自然なことであるため、病気や老衰によって亡くなったとしても事故物件とは扱われません。また、日常生活を営む中で起こり得る事故死についても同様です。
ただし自然死や事故死であっても遺体の発見が遅れてしまい、部屋中に染みついた血液や体液、腐敗臭などを取りのぞくために特殊清掃をおこなう必要が生じた物件には買い手や入居者の心理面に多大な影響を与えると判断されるため、事故物件として扱われます。
専用の器具・洗剤を使って遺体の血液や体液などで汚損された部屋を清掃・除菌・消臭すること
近年増え続けている孤独死では、発見が遅れ腐敗臭が発生し、大規模なリフォームが必要になることが多いです。夏場には死後1週間で腐敗し、害虫も発生します。また、体液は下に染み込んでしまい、階下の天井まで染み込むこともあります。
あまり知識の無い遺品整理業者が作業を請け負うケースも増えています。
ただし一般の清掃では腐敗臭は取り除けませんので、専門的な知識と洗剤、脱臭機、消臭剤をもっている特殊清掃の業者に頼むことをお勧めします。
【監修者】トータルクリーンアップ
事故物件だと知らずに買ってしまう人は意外と多い
じつは2021年10月に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表するまで、建物内で人が亡くなった事実の告知に関する明確な基準は存在していませんでした。
そのため、事故物件の売却に際して買い手にどこまで告知すべきなのかは不動産業者によって判断が分かれており、事故物件である事実を知らずに買ってしまった方は意外と多く存在するのが現実です。
ここでは、実際に事故物件を買ってしまった方が弊社AlbaLink(アルバリンク)に売却のご相談をされてきたときの事例をご紹介します。
弊社への相談内容
14年前に千葉県で中古の戸建てを購入したOさんの事例です。
14年前に千葉県○市で中古の戸建てを購入しました。当時はいい物件を安く購入できて、家族全員喜んだものです。しかしその後住み続ける中で、近所の方が我が家のうわさをしているのを耳にしました。直接尋ねたところ、昔親子で一家心中をしたことが判明しました。その後、親がその家を相続し、私はそれを知らされずに買ってしまったというわけです。
こんな家には住めないと思い、早く手放したい一心だったのですが、なかなか売却できずに困っていました。そのような際にテレビでアルバリンクさんのことを拝見し、駄目元で相談しようと考えた次第です。
次に、21年前に東京都で分譲マンションを購入したMさんの事例をご紹介します。
21年前に東京都○○区にある分譲マンションを購入しました。しばらくは特に問題なく暮らしていたのですが、ある日、ふとインターネットで自分のマンションを調べたところ、屋上からの飛び降り自殺をした物件として掲載されていることを知りました。それほど近所付き合いが活発な地域ではありませんでしたが、どことなく近隣の方がよそよそしいのが気になっていたんです。その理由がようやく分かりました。自分の部屋で起こった事件ではないとはいえ、気味が悪くて仕方ありません。
とにかく早く売却したかったので、御社に問い合わせさせていただきました。査定をお願いいたします。
本来売主には告知する義務がある
事故物件を売却する際、売主は買主に人が亡くなった事実を告げる義務があります。しかし、心理的瑕疵に関する感じ方は買い手によって異なるため、前述のようにあくまでも不動産業者の尺度次第でした。
その基準が明確化されたのが、2021年10月のことです。国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定したことにより、トラブルを未然に防げるようになりました。
もし売却時に事故物件である事実を故意に告げなかった場合、売主は契約不適合責任を問われます。
契約不適合責任とは、売買契約書に記載されていなかった不具合や欠陥が発覚した際に売主が買主に対して負うべき責任のことです。もし購入後に事故物件である事実が判明した場合、買主は売主に契約の解除や損害賠償などを請求できます。
なお、不動産売却時における心理的瑕疵の告知義務期間は永遠です。たとえ事件や事故の起こった建物を取り壊して更地にしても、告知義務はなくなりません。
事故物件に抵抗を感じる人は8割以上
参照元:AlbaLink「500人にアンケート調査!許容できる心理的瑕疵物件のレベルランキング」
2022年10月、弊社AlbaLink(アルバリンク)では事故物件に関するアンケート調査をおこないました。それによると、事故物件に住むことに抵抗を感じる方の割合は85.8%にのぼっています。大多数の方が事故物件には住みたくないと考えていることが分かるでしょう。
また男性と女性別に比較したところ、抵抗を感じると回答した方の割合が男性では74.2%だったのに対し、女性では91.4%にのぼりました。女性のほうが、男性よりも事故物件に対する抵抗感が強い様子が見て取れます。
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事故物件を購入するメリット・デメリット
事故物件を買ってしまった場合、できる限り早く手放したいと考える方は少なくありません。事故物件には「買い手に心理的嫌悪感を与える」デメリットはありますが、一定のメリットも存在します。事故物件を売却する際には、メリットを買い手にうまくアピールするとよいでしょう。
ここでは、売却時に押さえておきたい事故物件のメリット・デメリットについて解説します。
メリット 通常の不動産より安価で購入できる
事故物件であったとしても、売却時に必ずしも値引きをしなければならないわけではありません。しかし購入に際して心理的嫌悪感を抱く方が多いことから、相場よりも価格を安く設定しないと売却できないケースがほとんどです。
事故物件の売却価格の相場は、以下のように死因によって異なります。
死因 | 相場からの値引き幅 |
---|---|
自殺・殺人 | 3~4割減 |
孤独死 | 1~2割減 |
ただし立地が良く、人気の高いエリアにある場合には事故物件であっても相場に近い価格で売れることもあります。
デメリット1 実際に住むと精神的ストレスを感じる
事故物件に住むと、精神的なストレスを抱えやすい点はデメリットといえます。たとえ事故現場がきれいにリフォームされていたとしても、建物内で人が亡くなっていることには変わりありません。室内で何かしらの物音がするたびに、怪奇現象ではないかと不安になってしまうこともあるでしょう。
また、事故物件である事実は近隣の方にもうわさとして広まっているものです。近隣の方と親しく付き合いたいと考えたとしても、よそよそしい態度を取られることがあります。事故物件検索サイトなどを通じて知った第三者が写真を撮りに来たり、いたずらしたりする可能性も考えられます。
こうした人間関係に悩まされ、心身ともに疲弊してしまう方も少なくありません。
デメリット2 一般の買い手に対しての売却が困難
事故物件を売りに出したとしても、一般の買い手はなかなか見つかりません。相場よりも安いとはいえ、やはり人が亡くなっている事実に嫌悪感を抱く方は多いためです。
不動産業者から何も知らされずに事故物件を買ってしまった方も、仮にその事実を事前に知っていれば購入は控えたのではないでしょうか。
通常の不動産業者に事故物件の売却を依頼した場合は、何年も売れ残る可能性も十分にあり得ます。
その為、1番良いと言えるのは通常の不動産業者や仲介よりも、事故物件専門の業者に売却を依頼することでしょう。
事故物件を買ってしまった場合の対処法3選
ここまで解説してきたように、事故物件を手放したくても一般の方に売却するのは困難といわざるを得ません。そのため、事故物件を買ってしまった場合には以下3つの対処法のいずれかを選択する形となります。
- そのまま住み続ける
- 売主の契約不適合責任を追及する
- 専門の不動産買取業者に売却する
ここでは、それぞれの対処法について詳しく解説します。
そのまま住み続ける
亡くなった親の不動産を相続して住む、賃貸として貸し出していた部屋で入居者が亡くなったのちに自分が住むなど、事故物件にそのまま住み続けるのは選択肢のひとつです。
事故物件で問題となるのは「人が亡くなっている事実」のみであり、物件自体に欠陥が生じているわけではありません。基本的には事件や事故の痕跡をリフォームなどで一新してから売りに出すので、心臓が強い、人が亡くなっていることが気にならない、霊感がない方などであれば、以前と変わらずに快適な暮らしを送れるのではないでしょうか。
売主の契約不適合責任を追及する
購入時に事故物件である事実を不動産業者、および売主側から告げられなかった場合は、売主に対して契約不適合責任を追及できます。
契約不適合責任は売買契約を締結して引き渡された目的物が契約内容と適合しない場合に売主が負うべき責任のことで、買主は以下の権利を売主に対して行使できます。
権利の名称 | 内容 |
---|---|
追完請求権 | 売主に対して修繕や代替物・不足分の引き渡しを請求できる |
代金減額請求権 | 売主が追完請求に応じなかった場合、代金の減額を請求できる |
損害賠償請求権 | 引き渡された不動産によって買主が損害を被った場合、売主に損害賠償を請求できる |
契約解除権 | 売主が相当の期間追完請求に応じなかった場合、契約を解除できる |
事故物件に関して売主側の契約不適合責任を認める判例はそう多くはないものの、物件の購入後に自殺事故があったことを知った買主が売主に損賠賠償を求めた事例において、裁判所は売主に対して約893万円の損害賠償を支払うよう認めています(浦和地裁平成9年8月19日判決)。
ただし、売主の契約不適合責任を追及するには弁護士を立てたうえで裁判を起こさなければなりません。弁護士を立てるには、相談費用として1時間約5,000円~1万円、着手金として10~30万円、裁判に勝った際に発生する報酬金として訴訟の結果得られた利益の2~16%の費用を支払う必要があります。
怒りに身を任せて売主を訴えたとしても、結局は損をすることも多いのが現状です。また、裁判の判決が下るまでに半年以上の期間がかかるケースも少なくありません。
専門の不動産買取業者に売却する
事故物件にそのまま住み続けたくない場合には、売却がおすすめです。ただし前述のように、事故物件への居住に抵抗感を抱く方は多く、一般の買い手に売却するのは難しいといわざるを得ません。
売主は事故物件の売却時に告知義務を負うので隠して売ることはできず、また、故意に事実を隠して売却した場合には買い手から契約不適合責任を問われる恐れがある点に注意が必要です。
そのため、事故物件は事故物件に強い不動産買取業者に売却するとよいでしょう。専門の不動産買取業者は、買い取った物件にリフォームなどを施してから賃貸物件として運用したり、再販したりして収益を上げる不動産会社です。
特に事故物件を専門に取り扱っている不動産買取業者には事故物件の再活用ノウハウが豊富にあるため、問題なく買い取ってもらえます。買取期間は業者によって異なりますが、3日~1週間ほどで現金化できる点は何よりものメリットといえるでしょう。事故物件をとにかくすぐに手放したい方に最適な売却方法です。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、全国の事故物件を積極的に買い取っております。事故物件をいち早く売却したい方は、ぜひ弊社にお任せください。
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信頼できる事故物件買取業者の選び方
不動産買取業者の中には、残念ながら悪質なところも存在しています。たとえば、他社よりもあえて高額な査定価格を提示しておきながら、契約直前の断られない段階になって値下げを強要するなどです。
そのため、事故物件を不動産買取業者に売却する際には、「本当に信頼できるか」を確かめましょう。
信頼できる不動産買取業者の特徴は、以下のとおりです。
- 査定価格の根拠が明確
- 強引に営業してこない
- 営業担当者のビジネスマナーがしっかりとしている
- 営業担当者の説明が分かりやすい
- 顧客からの口コミが良い
事故物件を不動産買取業者に売却する際は、まず複数の業者に査定を依頼して査定価格を比較する形が一般的です。
不動産買取業者から査定価格を提示されたら、その根拠を問いただしてみてください。信頼できる不動産買取業者であれば、周辺の売買事例や公示価格、再活用に必要なリフォーム代などの支出といった査定価格を提示するにいたった根拠を丁寧に説明してくれます。
しかし、高額の査定価格を提示してくれる悪質な買取業者には明確な根拠はありません。根拠を質問してもはっきりとは答えてくれない業者には、売却を依頼しないほうがよいでしょう。
また、担当の営業担当者の質を比較することも大切です。ビジネスマナーはしっかりとしているか、礼節をわきまえているか、専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれるかなどを確認し、「この人であれば安心して任せられる」と感じる営業担当者に依頼しましょう。
そのほか、インターネットで不動産買取業者の名前を検索し、実際に利用した顧客の口コミを確認する方法も有効です。
信頼できる不動産買取業者に事故物件の売却を依頼し、新たな人生をスタートさせましょう。
まとめ
事故物件を売却する際、売主には告知義務が課されます。しかし、不動産業者の中にはあえてその事実を隠して売却するところもあるので注意が必要です。
事故物件だと知らずに買ってしまったときに取れる対処法は、以下3つです。
- そのまま住み続ける
- 裁判を起こして売主の契約不適合責任を追及する
- 売却する
ただし、事故物件であることを知ってしまった以上、そのまま住み続けたくはないと考える方がほとんどでしょう。また、裁判を起こすには相応の費用と期間がかかるデメリットがあります。
そのため、買ってしまった事故物件をできる限り早く手放したい場合には売却をおすすめします。事故物件を一般の方に売却するのは困難ですが、専門の不動産買取業者に依頼すれば問題なく買い取ってもらえます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、事故物件を専門としている不動産買取業者です。買い取った事故物件を再生して活用する豊富なノウハウを有しているため、できる限り高値で買い取ることも可能です。査定は無料ですので、ぜひ他社の査定価格と比較してみてください。
また、相談のみの利用も大歓迎です。購入した不動産が事故物件であることが発覚してお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。事故物件に精通した営業担当者が、お客様にとって最適な対処法をご提案します。