相続放棄した家の解体費用は誰が負担するのか?
相続放棄をした家を解体することになったとき、費用を誰が負担しなければならないのかは状況によって異なります。
ここでは以下3つのケースにおいて、相続放棄をした人が家の解体費用を負担する必要があるのかどうかについて見ていきましょう。
なお、相続放棄についての基本的な概念については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
ケース①ほかに相続人がいる
あなたが相続放棄を選択したときに兄弟など別の相続人がいる場合は、家を相続した人が解体費用を負担します。
相続人になれる人の優先順位は、民法によって以下のように定められています。
常に相続人 | 被相続人の配偶者 |
---|---|
第1順位 | 被相続人の子 |
第2順位 | 被相続人の両親・祖父母 |
第3順位 | 被相続人の兄弟姉妹 |
たとえば、被相続人にすでに配偶者がおらず子どもが2人いる場合は、2人の子どもが相続権を取得します。
そのうち、ひとりの子どもが相続放棄を選択すると「初めから相続人ではなかった」と見なされるので、もうひとりの子どもがすべての遺産を受け継ぐ形です。
親の財産を受け継ぎたくないなどの理由で相続放棄を選択するときは、あなたの代わりに誰が遺産を相続することになるのかを確認しておくとよいでしょう。
ケース②相続人全員が相続放棄を選択した
相続人全員が相続放棄を選択したときは、家庭裁判所が選任した「相続財産精算人」が解体費用を負担します。
相続人全員が相続放棄を選択すると、相続の対象となる家は最終的に国のものとなります。
しかし国が勝手に手続きを進めてくれるわけではないので、まずは家庭裁判所に相続財産精算人を選んでもらわなければなりません。
相続財産精算人とは、亡くなった方の財産を管理・清算し、最終的に国に納める役割を担う人物です。
相続財産精算人が選任されたあとで家を解体することになったら、原則として相続財産から解体費用が支払われる形になります。
そのため、相続放棄をしたあなたが解体費用を負担する必要はありません。
相続財産精算人を選任するまでの流れ
相続財産精算人を選任するには、まず家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
相続財産精算人選任の申し立てができるのは、被相続人の債権者や内縁の妻をはじめとする特別縁故者などの利害関係者です。
もちろん、相続放棄をした人も相続財産精算人選任の申し立てが可能です。
申し立てをしたら、家庭裁判所によって審理がおこなわれます。
相続財産を管理するのにふさわしい人物は誰か、被相続人との関係性や相続財産の内容などを考慮したうえで相続財産精算人が選任される流れです。
一般的には、相続財産を国に納める手続きに慣れた弁護士などの専門家が選ばれるケースが多い傾向にあります。
実際に相続財産精算人が決まるまでには1~2か月ほどの期間がかかります。
したがって相続放棄をしたもののほかに相続人がいない、相続人全員が相続放棄を選択した場合には、速やかに家庭裁判所へ相続財産精算人選任を申し立てることをおすすめします。
ケース③相続人全員が相続放棄を選択し、相続財産精算人も選任されていないケース
相続放棄をしても、相続放棄時に亡くなった親の家に住んでいた場合にはほかの相続人や相続財産精算人に財産を引き渡すまで家の管理義務が発生します。
つまり、相続放棄をしたあなたが引き続き家を適切に管理しなければならないのです。
しかしこの期間に家を解体することになっても、相続放棄をした人が解体費用を負担する必要があるのかに関する明確なルールは存在しないのが実情です。
たとえば、神戸市が須磨区妙法寺にある空き家を行政代執行によって強制的に解体した際、所有者がわからなかったことから解体費用は税金から支払われました。
参照元:サンテレビNEWS|神戸市須磨区妙法寺 危険な空き家2軒を行政代執行で取り壊し
空き家の所有者に代わって自治体が強制的に建物を解体すること。
解体にかかった費用は原則として空き家の所有者に請求される。
ただし相続放棄をしても家の管理責任を負っている場合には、相続放棄をした人が解体費用を負担しなければならないと法的に判断される可能性もあるので注意が必要です。
したがって相続する予定の家の管理責任から完全に解放されたいのなら相続放棄ではなく、相続したあとに売却して手放すことをおすすめします。
具体的な方法は、後述の「相続放棄した家の解体費用を支払わずに済む2つの対処法」の章で解説します。
なお、相続放棄をしたあとに残る家の管理責任については、以下の記事で詳しく解説しています。
相続放棄した家の解体費用相場
家の解体費用の相場は、以下の表の通り構造によって異なります。
構造 | 坪単価 |
---|---|
木造 | 3~4万円 |
鉄骨造 | 5~7万円 |
鉄筋コンクリート造 | 6~8万円 |
家の坪数別解体費用の目安は以下の通りです。
構造 | 30坪 | 40坪 | 50坪 |
---|---|---|---|
木造 | 90~120万円 | 120~160万円 | 150~200万円 |
鉄骨造 | 150~210万円 | 200~280万円 | 250~350万円 |
鉄筋コンクリート造 | 180~240万円 | 240~320万円 | 300~400万円 |
もしあなたが相続放棄をした家が木造で40坪あったら、120~160万円ほどの解体費用を負担しなければならなくなる恐れがある点に注意が必要です。
相続放棄をした家の解体費用を支払う余力がない場合には、相続放棄はせずにいったん家を相続し、専門の買取業者などに売却することも選択肢のひとつです。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の空き家を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
無料査定は24時間365日おこなっておりますので、相続することになる家をいくらで買い取ってもらえるのかが知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
相続放棄した家を放置する2つのリスク
前述のように、相続放棄をしても家を適切に管理する義務が発生します。
管理責任があるにもかかわらずに家を放置すると、以下のリスクに見舞われる恐れがあるため、注意が必要です。
ここでは、相続放棄をした家を放置する2つのリスクについて解説します。
近隣住民から損害賠償を請求される
相続放棄をした家を放置するひとつ目のリスクは、近隣住民から損害賠償を請求される恐れがあることです。
相続放棄を選択しても、次の相続人や相続財産精算人が管理を始めるまでは、あなたが責任を持って管理し続けなければなりません。
もし適切な管理を怠った結果、自然災害などで建物が倒壊して他人に被害を与えた場合は被害者に対して損害を賠償しなければならない点に注意が必要です。
管理責任のある空き家が倒壊して隣家が全壊し、かつ隣人を死亡させた場合の損害賠償額は2億円以上にのぼると試算されています。
近隣住民から高額にのぼる損害賠償を請求されることを防ぎたいのなら、相続放棄を選択したあとも家を適切に管理し続けることが欠かせません。
なお、以下の記事では相続放棄をした建物の管理責任から逃れる方法を解説しているので、併せて参考にしてください。
特定空き家に指定されて強制的に解体される
相続放棄をした家を放置するひとつ目のリスクは、自治体から特定空き家に指定されて強制的に解体される恐れがあることです。
特定空き家とは、そのまま放置することで安全上、衛生上などの観点からさまざまな問題を引き起こす恐れがある空き家を指します。
自治体による調査の結果、相続放棄をした家が特定空き家に認定されると、不適切な状態を改善するように助言・指導がおこなわれます。
助言・指導を無視すると今度はより強い措置である勧告・命令がおこなわれ、それでも従わない場合には行政代執行によって強制的に解体される流れです。
行政代執行によって空き家が解体されると、その家の所有者や管理責任を負っている人は解体費用を負担しなければなりません。
前述のように空き家の解体費用は100万円以上にのぼるケースが多いため、余計な費用を負担したくないのなら、特定空き家に指定されないように適切に管理をし続けることが大切です。
行政代執行の事例
実際に自治体が行政代執行によって空き家を解体した以下2つの事例をご紹介します。
北海道旭川市の事例
行政代執行の対象となったのは、1979年に建築された木造2階建ての空き家です。
近隣住民から「外壁が剥がれ落ちている」との通報を受けた市は、所有者に現状を改善するよう指導をおこないましたが、空き家の所有者はお金がないという理由でこれを無視します。
やがて積雪によって屋根の一部が崩落する事態となったため、市はこれ以上の放置は危険と判断し、行政代執行によって空き家の解体を実行。
空き家の解体にかかった費用約410万円は、所有者の財産を差し押さえるとともに、土地を公売することによって回収されました。
新潟県十日町市の事例
新潟県外居住者が所有していた築56年の空き家が強制的に解体された事例です。
雪国である新潟県十日町市において、該当の空き家は積雪による倒壊の危険にさらされていました。
近隣住民からの通報もあり、市は県外に居住している空き家の所有者に雪下ろしをするように注意を呼びかけます。
しかしその後も適切な管理はなされず、やがて屋根の一部が崩落する事態となりました。
その後空き家の所有者が亡くなってしまったため、抵当権者が相続財産精算人の選任を申し立てます。
そしてこのまま放置すると建物の倒壊は避けられないという理由により、市は相続財産精算人を管理義務者とする行政代執行を実施し、建物を強制的に解体しました。
解体費用にかかった約270万円の費用は、空き家の所有者が生前に保有していたほかの土地を差し押さえ、公売にかけることで回収しています。
なお、空き家の行政代執行については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
相続放棄した家の解体費用を支払わずに済む2つの対処法
相続放棄した家の解体にかかる100万円以上の費用を支払えない、もしくは支払いたくないときには、以下の方法を検討するとよいでしょう。
相続した家を活用、あるいは売却するとまとまった現金を得られるので、経済的負担を大きく軽減することが可能です。
それぞれの活用方法について、詳しく解説していきます。
家を相続してから第三者に貸して活用する
家を相続してから賃貸物件として活用すれば、毎月安定した家賃収入を得ることが可能です。
家の清掃や換気なども入居者があなたに代わっておこなってくれるので、管理をするためにわざわざ足を運ぶ必要はありません。
ただし相続する家は築年数が古いケースが多く、状態によっては数百万円以上の費用をかけてリフォームをしなければ借り手が見つからないことがあります。
また、税金や維持費がかかる点もデメリットです。
そもそも、相続した家を活用したいと考えても、借り手が見つからなければ家賃収入は得られません。
ランニングコストばかりがかかり続け、赤字経営に陥る可能性がある点には注意する必要があるでしょう。
賃貸経営を成功させたいのなら、まずは賃貸物件としての需要があるエリアかどうかを見極めることが欠かせません。
もしあなたが相続する予定の家が駅から近い、周辺に大学などの教育施設があるなどの場合は賃貸需要が見込めるので、賃貸経営を成功させられる可能性はあります。
実際、弊社がおこなったアンケート調査によると、一人暮らしをする賃貸物件を探すときに「交通アクセスの良さにこだわった」と回答した方の割合は全体の35.8%にのぼりました。
引用元:訳あり物件買取ナビ|【一人暮らし物件でこだわった条件とこだわらなくてもよかった条件ランキング】男女500人アンケート調査
しかし立地が悪く賃貸需要が見込めそうにないのなら、リフォームで多額の費用をかける前に、次でご紹介する「売却」を検討したほうが無難です。
なお、以下の記事では初心者が空き家の賃貸経営に向いていない理由について解説しています。
併せて参考にしてください。
家を相続してから売却する
もしあなたが相続する空き家の管理責任から完全に解放されたいのなら、家を相続してから売却することをおすすめします。
売却してしまえば、もうあなたが家の管理責任を負うことはありません。
それだけでなく、まとまった現金を得られるメリットもあります。
家の売却方法は、「仲介」と「買取」の2種類です。
仲介は不動産仲介業者を通じてマイホームの購入を検討している方に売却する方法、買取は専門の不動産買取業者に直接買い取ってもらう方法です。
あなたが相続する家の状態や立地条件によって、以下のように適している売却方法は異なります。
あなたが相続する家の状態や立地条件を思い浮かべながら、該当するほうを読み進めていってください。
なお、仲介と買取の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
築浅で立地が良ければ仲介業者に相談する
あなたが相続する家の築年数が比較的浅く、駅から徒歩10分以内など立地条件も良い場合は、仲介業者に相談しましょう。
弊社がおこなったアンケート調査によると、マイホームの購入に際して「立地を優先する」と回答した方がもっとも多い結果となっています。
また「不動産を購入するなら築何年までがベストか」というアンケート調査では、全体の80%以上の方が「築20年以内」と回答しています。
したがって、相続する家が築20年以内であり、かつ立地条件が良いときには、仲介業者を通じて相場に近い価格で売却できる可能性があります。
ただし、仲介で家を売却するには3~6か月ほどの期間がかかるといわれています。
家の築年数が古かったり、立地が悪かったりするときには、売却までに1年以上の期間がかかってしまうことも珍しくありません。
そもそも仲介では、買い手が現れない限り家を売却できない点も押さえておく必要があります。
そのため、相続する家をできる限り早く売却して管理責任から解放されたいと考えている方には、あまり向いていない売却方法です。
築古で立地が悪ければ専門の買取業者に依頼する
あなたが相続する家の築年数が古く、立地条件も悪い場合には専門の買取業者に直接売却することをおすすめします。
前述のように、マイホームの購入を検討している方の多くは築年数が比較的新しく、かつ立地条件も良い物件を求めています。
したがって、仲介では築古で立地も悪い家の買い手を見つけるのは困難です。
それに対して、専門の買取業者は買い取った物件にリフォームを施して付加価値を上げてから再販する事業を展開しています。
築古で立地の悪い家でも収益化できる独自のノウハウを持っているため、スピーディーに買い取ってくれるというわけです。
また、買取では専門の買取業者に直接売却する仕組みとなっているため、仲介とは違って買い手を探す必要はありません。
仲介より売却期間を大幅に短縮できる点も、買取を利用するメリットのひとつです。
相続する家をできる限り早く売却して管理責任から解放されたい方は、専門の買取業者に直接売却するとよいでしょう。
なお、以下の記事では空き家の買取に特化している専門の買取業者を30社ご紹介しています。
相続した家を売却したいものの、どの買取業者に依頼したらよいのかが分からない方は、ぜひ参考にしてください。
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たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】 【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された空き家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっている空き家の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
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まとめ
相続放棄をした家の解体費用を負担するのは、あなたに代わって家を受け継いだ相続人です。
また相続人全員が相続放棄を選択したときは、相続財産精算人が解体費用を負担します。
ただし相続放棄をするときまで亡くなった親と同居していた家に関しては、ほかの相続人や相続財産精算人に引き渡すまで、あなたが引き続き管理をし続けなければなりません。
行政代執行によって強制的に解体されたときには、あなたに解体費用の請求がいく恐れがある点に注意が必要です。
相続放棄した家の管理責任から解放されたいのなら、相続してから売却することをおすすめします。
相続した家を売却したら、あなたが家を管理したり、解体費用を負担したりする必要は完全になくなるからです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の空き家を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
過去には、一般の不動産業者が取り扱わない訳あり物件専門の買取業者としてフジテレビの「newsイット!」にも紹介されました。
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