借地権売却にかかる税金・費用
借地権売却にかかる税金・費用は、以下のとおりです。
- 印紙税
- 譲渡承諾料
- 登録免許税
- 司法書士への報酬
- 仲介手数料
- 解体費用
- 測量費
- 譲渡所得税
なお、印紙税と譲渡承諾料以外は、場合によっては費用が発生しないこともあります。
印紙税
印紙税とは、不動産取引において作成される契約書にかかる税金です。
収入印紙を契約書に貼り、消印することで納付が完了します。
借地権の売買にかかる印紙税の金額は、契約書に記載された金額に応じて以下のように変わります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
なお、建物付きの借地権を売却する際は軽減税率が適用可能です。
借地権のみの売却の場合は、軽減税率の適用外です。
たとえば、売買契約書に借地権1,500万円と記載されている場合は軽減税率が適用されず、2万円の印紙税がかかります。
一方、借地権1,000万円、建物500万円と記載があった場合は、軽減税率が適用され、印紙税は1万円となります。
譲渡承諾料
譲渡承諾料は、第三者に借地権を売却する際に地主へ支払う費用のことです。
第三者に借地権を売却する場合は、地主の承諾を得る必要があります。
なお、法律による決まりではありませんが、地主の承諾を得るうえで、譲渡承諾料として料金を支払うのが一般的です。
譲渡承諾料の相場は、借地権の売買価格の10%程度とされています。
たとえば、借地権を1,000万円で売却した場合、譲渡承諾料は100万円かかります。
登録免許税(抵当権抹消が必要な場合)
登録免許税は、不動産の登記にかかる税金のことです。
借地上に建っている建物に抵当権が設定されている場合、抵当権抹消の登記が必要となり、税金が発生します。
抵当権抹消の登記にかかる登録免許税は、「不動産の数×1,000円」です。
抵当権が設定されている借地上の建物1棟を借地権とともに売却するとき、かかる登録免許税は1,000円です。
司法書士への報酬(登記の代行を依頼した場合)
前述した登記は登記の知識がないと、書類集めや手続きに手間取ります。
そのため、スムーズに取引を終わらせたい人は、司法書士に依頼することが一般的です。
司法書士への依頼報酬は抵当権抹消の場合、建物1棟あたり1~3万円程度です。
仲介手数料(仲介業者に売却を依頼した場合)
仲介業者に借地権の売却を依頼した場合、仲介手数料が発生します。
宅地建物取引業法により、仲介業者が請求できる仲介手数料の上限は以下のように定められています。
売買価格 | 仲介手数料(税抜) |
---|---|
200万円以下 | 売買価格×5% |
200万円超400万円以下 | 売買価格×4%+2万円 |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円 |
借地権を1,000万円で売却した場合、仲介手数料は以下のとおりです。
なお、仲介手数料は売買が成立したときに発生します。
解体費用(建物解体が必要な場合)
借地上の建物を解体して売却する場合は、解体費用がかかります。
解体費用の相場は以下のとおりです。
建物構造 | 1坪あたりの解体費用 |
---|---|
木造 | 3~5万円程度 |
鉄骨 | 4~7万円程度 |
鉄筋コンクリート | 5~8万円程度 |
30坪の木造住宅を解体する場合、90~150万円程度の費用がかかります。
上記金額は目安なので、解体を依頼する場合は費用見積りをとりましょう。
測量費(土地の境界があいまいな場合)
借地の面積や隣地との境界が不明瞭な場合、測量するための費用が発生します。
土地売却において、測量は義務ではありません。
しかし、隣地の人たちとトラブルになったり、適正な査定につながらなかったりする可能性があります。
とくに、昔から契約してきた借地の場合、測量が正確にされておらず、境界が不明瞭な借地が多く存在します。
上記のケースにあたる場合、借地権を売却する前に測量を依頼しましょう。
なお、測量費は、土地の面積や形状、周辺環境によって変動しますが、30~60万円かかります。
譲渡所得税(売却時に利益が生じた場合)
借地権を売却した際に利益が生じた場合、譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得税は以下の計算式で算出します。
税額=譲渡所得×税率
取得費とは、借地権を取得するためにかかった費用です。
取得費には、主に以下の費用を含みます。
- 地主に支払った権利金・更新料
- 建物の購入・建築代金
- 借地権取得の際に支払った仲介手数料
譲渡費用とは、借地権を売却するためにかかった費用です。
譲渡費用には、主に以下の費用を含みます。
- 借地権売却の際に支払った仲介手数料
- 印紙税
- 測量費
- 解体費(更地売却した場合)
譲渡所得税の税率は、以下のとおりです。
所有期間 | 税率(復興特別所得税を含む) |
---|---|
5年以下 | 39.63% |
5年超 | 20.315% |
相続により借地権を引き継いだ場合、先代の借地権取得日をもとに所有期間を算定します。
譲渡所得税は、税金にくわしくない人が自力で計算するのは難しいので、税理士または税務署に相談しながら、手続きをしましょう。
参照元:土地や建物を売ったとき|国税庁
借地権売却時にかかる税負担を軽減する方法
借地権を売却する際、場合によっては100万円以上の費用がかかることもあります。
借地権売却にかかる負担を軽減する対策として、前述した譲渡所得税を減らせる特例があります。
なお、特例が適用できるケースは以下のとおりです。
- 譲渡利益が出た場合
- 譲渡損失が出た場合
譲渡利益が出た場合
借地上の建物を売却した際、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円差し引き、税額の軽減ができる特例があります。
この特例は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼ばれています。
特例を適用することで、借地権を売却した際の譲渡所得が3,000万円までなら、譲渡所得税が発生しません。
「3,000万円の特別控除の特例」を受けるには、以下の要件のいずれかを満たすことが必要です。
- 現在自分が住んでいる家の売却
- 以前住んでいた家の売却(住まなくなってから3年目の12月31日までに売却)
借地権付き建物を売る場合、特例の活用で税負担を軽減できます。
参照元:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁
譲渡損失が生じた場合
借地権を売却した際に損失が出た場合、一定の要件を満たせば特例により税金の負担を軽減できます。
特例の適用で税金の負担を軽減できるのは、以下のケースに当てはまるときです。
- マイホームの買い替え
- ローンが残っているマイホームを売却したとき
なお、特例を適用する場合は確定申告が必要です。
必要書類をはじめ詳しい手続きは、税理士または税務署に相談しましょう。
マイホームの買い替え
新たなマイホームに買い替えるため、借地上のマイホームを売却した際、マイホーム売却で生じた損失分を、給与所得をはじめ他の所得から差し引くことが可能です。
上記特例を受けるには、以下の要件のいずれかを満たすことが必要です。
- 現在自分が住んでいる家の売却
- 以前住んでいた家の売却(住まなくなってから3年目の12月31日までに売却)
なお、売却した年の他の所得から差し引ききれなかった損失は、翌年以後3年間は繰り越して所得から差し引けます。
参照元:No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき|国税庁
ローンが残っているマイホームを売却したとき
住宅ローンが残っているマイホームをローン残高を下回る金額で売却した場合、給与所得をはじめ他の所得から売却で生じた損失分を差し引けます。
損失分の対象は、ローン残債売却金額から差し引いた金額と売却損失額いずれか少ない金額です。
上記特例を受けるには、以下の要件のいずれかを満たすことが必要です。
- 現在自分が住んでいる家の売却
- 以前住んでいた家の売却(住まなくなってから3年目の12月31日までに売却)
なお、売却した年の他の所得から差し引ききれなかった損失は、翌年以後3年間は繰り越して所得から差し引けます。
参照元:No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき|国税庁
譲渡所得税(利益)が生じた時の確定申告のやり方
譲渡所得税の確定申告は以下の手順で進めます。
- 譲渡所得の内訳書作成
- 確定申告書の作成
- 必要書類の提出
まず、「譲渡所得の内訳書」に土地の所在地や売却代金などの必要事項を記入します。
譲渡所得の内訳書は1面から4面まであり、借地権売却の際に記入するのは主に1面と2面、3面です。
譲渡所得の内訳書の記入が終わったら、「譲渡所得の内訳書」の内容をもとに「確定申告書」に必要事項を記入します。
譲渡所得の内訳書と確定申告書の準備ができたら、必要書類をそろえて申告期限(翌年の2月16日から3月15日)までに税務署に提出します。
なお、国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に沿って入力するだけで、「確定申告書」や「譲渡所得の内訳書」を作成できるため、積極的に活用しましょう。
確定申告を終えたら、翌年の3月15日までに所得税を納めます。
納付方法には、主に以下の方法があります。
- 預金口座から支払う(振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング)
- クレジットカードで支払う
- 現金で支払う(銀行窓口、コンビニ)
参照元:国税の納付手続|国税庁
確定申告のやり方が分からない場合は、税理士または税務署に聞きながら、手続きをしましょう。
確定申告に必要な書類
借地権を売却したときの確定申告に必要な書類は以下のとおりです。
- 確定申告書(第一表、第二表、第三表)
- 譲渡所得の内訳
なお、譲渡所得の内訳書に必要事項を記入する際に、以下の書類も必要です。
- 借地権売却時の売買契約書
- 仲介手数料、測量費などの領収書
また、前述した譲渡損失が発生した際に適用できる特例を受けるためには、建物の登記事項証明書、売買契約書の写しも提出する必要があります。
くわしくは国税庁が公表している申告書添付書類チェックシートもご確認ください。
借地権売却にかかる費用・税金の相談はノウハウある不動産会社へ
ここまで、借地権売却にかかる費用・税金について、解説しました。
借地権を売却する際は、多くの種類の費用・税金が発生する可能性があります。
借地権売却した経験がない一般の方にとって、どの費用が生じるかすべて把握するのは難しいでしょう。
また、税負担軽減の特例についても、知識がなければ、特例を使うのに手間取るでしょう。
そのため、借地権売却にかかる費用・税金については、ノウハウある不動産会社に相談するのがおすすめです。
アルバリンクは借地権の取り扱い実績がある不動産会社です。
税理士や司法書士などの専門家と連携しているため、税金関係や手続きなどのサポートも可能です。
また、仲介業者に借地権売却を依頼する場合と違い、弊社と直接取引するため、仲介手数料は発生しません。
借地権売却にかかる費用の削減をしたい人、税金面や手続き面に不安がある人は、アルバリンクへ一度ご相談ください。
まとめ
この記事では、借地権売却にかかる費用・税金と税負担を軽減できる方法について解説しました。
借地権売却にかかる費用・税金は、以下のとおりです。
- 印紙税
- 譲渡承諾料
- 登録免許税
- 司法書士への報酬
- 仲介手数料
- 解体費用
- 測量費
- 譲渡所得税
なお、譲渡所得税については、特例を適用することで税負担を軽減できます。
ただし、特例を受けるには確定申告が必須です。
また、借地権の売却手続き自体も難しいため、自力で進めると手続きや書類に不備が生じる恐れがあります。
したがって、税金関係を含めて借地権の取引実績がある不動産会社と相談しながら売却手続きをすることがおすすめです。
アルバリンクは、借地権の取り扱い実績が豊富な不動産会社の1つです。
弁護士や税理士と提携しているため、法律が絡むトラブルや税金関係のお悩みにも対応いたします。
また、仲介業者を挟まず、弊社と直接取引するので、仲介手数料の削減も可能です。
借地権の売却をしたい人はもちろん、売却にかかる税金への不安がある人もアルバリンクへお問合せください。