地震で倒壊する家の5つの特徴
地震で倒壊する家には以下の5つの特徴があります。
旧耐震基準で建築された家
1981年6月よりも前に建築確認された家は、「旧耐震基準」で建てられており、ほかの家より倒壊しやすいといえます。
旧耐震基準と新耐震基準の違い
耐震基準には、現行の基準の「新耐震基準」と1981年5月31日まで適用されていた「旧耐震基準」の2つあります。
新耐震基準で建てられた家は、震度5強程度の地震ではほぼ損傷しないうえ、震度6強~7の地震がきても倒壊をしない構造になっています。
一方、旧耐震基準の家は、震度6強~7の地震を想定して、構造を設計していません。
阪神淡路大震災における木造住宅の被害状況をみると、旧耐震基準で建てられた木造住宅の39%が倒壊や大破の被害を受けています。
一方、新耐震基準で建てられた住宅の倒壊・大破の割合は、わずか8%でした。
1981年以前建てられた建物は、倒壊のリスクが高いといえるため、建て替えもしくは耐震工事をする必要があります。
旧耐震基準の家についてくわしく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
地盤が弱い場所に建築された家
地盤が弱い場所に建てられた家は、地盤の強い場所に建てられた家より倒壊するリスクが高くなります。
地震のゆれを決める主な要因は、地震の規模(マグニチュード)と震源からの距離、地盤の強さです。
地震の規模と震源からの距離が同じ場合、地盤の弱いほどゆれは大きくなるので、同じ地域、同じ耐震性でも倒壊リスクが高まります。
地盤が弱い地域は、おもに以下のとおりです。
- 海や川などに近い土地
- 埋め立て地
- 盛り土された土地
内閣府が作成したマップ(東京都)では、埋め立て地や海辺がゆれやすくなっているのが分かります。
海や川に近い場所や、埋め立て地に建っている家は、ゆれが大きい分、倒壊リスクが高くなるので、地盤補強工事や住み替えを検討したほうがいいでしょう。
屋根が重い家
屋根の重い家は耐震性に欠け、倒壊しやすい特徴があります。
同じ構造の家の場合、屋根が重い家は、重心が高くなることで、建物のゆれが大きくなることが分かっています。
また、地震のとき、建物にかかる力の大きさを決める要因は、地震のゆれの強さと建物の重さです。
同じゆれでも建物が重い家のほうが大きな力が加わるので、倒壊のリスクは高まります。
ただし、屋根が重くても、耐力壁(垂直・水平方向からの力に抵抗して建物を支える壁)を増やすことにより、耐震性を確保できれば、倒壊のリスクは減らせます。
瓦をはじめ重い屋根を使っている場合は、軽い屋根に交換、または、耐力壁を増やすことによる耐震性の向上を検討してみましょう。
壁の配置バランスがとれていない家
壁の配置のバランスがとれていない場合、倒壊する可能性が高くなります。
家を建てる際、垂直の力に強い柱と横からの力に強い耐力壁を使っています。
しかし、耐力壁の配置のバランスが悪い家は、耐力壁の少ない箇所が大きな力に耐えきれず、倒壊につながります。
阪神淡路大震災で被害を受けた木造住宅に多く見られたのが、耐力壁の配置バランスが悪い住宅でした。
そのため、2000年の耐震基準の改正にて木造住宅の耐力壁のバランスをチェックする内容が含まれました。
耐力壁の配置バランスが悪い例は以下のとおりです。
- 家の南側に窓や玄関など大きく開口部をとり、北側に耐力壁を多くした家
- 大きな部屋や吹き抜けなどがある家
上記の特徴を持ち、2000年より前に建てた木造住宅は、倒壊する確率が高いといえます。
玉石基礎の家
玉石基礎の家は、地震の被害を受けやすい傾向にあります。
玉石基礎とは、地面に埋め込まれた石の上に柱を乗せている構造の基礎です。
古民家・寺・神社など、築年数が古い建物は玉石基礎が採用されている可能性があります。
経年によって、石が地面に沈む・柱の位置がズレる・基礎付近が腐食するなどあった場合に、地震の揺れに耐えられず倒壊する恐れがあります。
シロアリ被害のある家
木造住宅がシロアリ被害にあった場合、耐震性が低くなり、倒壊のリスクは高くなります。
シロアリ被害を受ける主な場所は、基礎の土台や柱部分の木材です。
土台や柱は家を支える重要な箇所であり、被害を受けることで耐震性の低下につながります。
阪神淡路大震災で被災した住宅では、シロアリ被害がある住宅は、被害を受けていない住宅と比べ、全壊の割合が多くなっています。
参照元:阪神・淡路大震災と蟻害・腐朽による建物被害|ミサワホーム総合研究所
木造住宅に住んでいる人は、住宅そのものの耐震性を高めるだけでは、地震対策として不十分といえます。
住宅の維持管理としてシロアリ対策もするようにしましょう。
シロアリ被害にあった家についてくわしく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
地震で家が倒壊する確率
これまで地震で倒壊する家の特徴を紹介しましたが、大地震が起きた場合、家が倒壊する確率はどのくらいなのでしょうか。
上記で述べたとおり、阪神淡路大震災における木造住宅の被害状況をみると、倒壊や大破の被害を受けた木造住宅は、旧耐震基準の場合は39%に対して、新耐震基準の場合はわずか8%でした。
また、熊本地震の被害状況の調査によると、旧耐震基準で建てられた木造住宅の倒壊率は28.2%、新耐震基準で建てられた住宅は8.7%でした。
なお、2000年の基準で建てられた木造住宅はわずか2.2%でした。
引用元:「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」
報告書のポイント|国土交通省
以上の調査結果から、旧耐震基準で建てられた住宅は、新耐震基準で建てられた住宅より倒壊する確率が高いことが分かります。
旧耐震基準で建てた住宅を持っている人は、早急に耐震対策をしたほうがいいでしょう。
南海トラフ地震が起こる確率
国土交通省の「国土交通白書2020」によると、今後30年以内に南海トラフ(駿河湾~日向灘沖)を中心にマグニチュード8~9クラスの地震が70~80%の高確率で起こるとされています。
2024年9月16日にも日向灘を震源とするマグニチュード5.3の地震が発生しました。
不安定な状況が続く中、南海トラフ地震発生の切迫性が高まっているのが現状です。
内閣府の試算によると、南海トラフ地震によって建物全壊および焼失棟数は約61万棟にのぼると見られています。
いつ起こるか分からない大地震に備えて、家の耐震性を高めることは非常に重要であるといえるでしょう。
地震で家が倒壊する確率は構造によって変わらない
木造よりも鉄筋コンクリート造の建物のほうが地震に強いのではないかと思っている人もいるかもしれません。
しかし実際には、地震で家が倒壊する確率は建物の構造で変わることはありません。
木造であれ鉄骨造であれ鉄筋コンクリート造であれ、現行の新耐震基準に基づいて建築されていたら、耐震性はみな同じです。
なぜなら新耐震基準は「震度6強~7程度の大地震が起きても、人の命に関わるような倒壊はしないこと」と定められているからです。
木造住宅に関しても、2000年6月に建築基準法が改正されたことを受け、新耐震基準をさらに強化するバランスのよい家づくりが義務化されています。
実際、2016年4月に発生した熊本地震でも、2000年意向に建築された木造建築物の倒壊率は低くなっていたということです。
参照元:林野庁|木造住宅の耐震性について
したがって木造住宅の場合は新耐震基準を満たしているだけでなく、2000年以降に建築されたものであれば、より安心できるといえます。
地震による家の倒壊に備えるための3つの対策
自分の家の耐震性に不安がある場合、以下の対策をとりましょう。
とくに、旧耐震基準で建てられた家は、地震により倒壊するリスクが高いため、すぐに対策をとるべきでしょう。
耐震診断を受ける
自分の家の耐震性を知るため、耐震診断を受けましょう。
地震対策をするうえで、自分の家の耐震性を把握は重要です。
とくに、旧耐震基準で建てられた家は、耐震性が不十分な可能性が高くなります。
そのため、1981年より前に建てられた家は、受けたほうがいいでしょう。
一般的な木造住宅で建物の図面がある場合、費用は約10~20万円です。
ただし、多くの自治体では、旧耐震基準で建てられた家をはじめ対象の住宅を無料で耐震診断してくれます。
たとえば、名古屋市では、以下の家を対象に無料で耐震診断を受けられます。
- 1981年5月31日以前に着工した木造住宅
- 2階建て以下の住宅
- 名古屋市内の住宅
築古の家を所有している人は、自治体の職員に自分の家が無料診断の対象か問い合わせてみましょう。
耐震補強工事をする
耐震診断の結果で倒壊の危険性が高いと診断された場合は、耐震補強工事をする必要があります。
現状のままだと、大地震がきたとき、倒壊により命を落とす可能性が高くなります。
また、命を落とさずとも、全壊による住宅という資産価値の減少・喪失のほかに、空き巣による財産の盗難被害にあってしまうかもしれません。
耐震補強工事費の目安は、木造住宅(2階建て)の場合、100~150万円で行われることがほとんどです。
なお、自治体によっては、耐震補強工事の費用に対する補助金もあります。
石川県では、耐震補強工事費を180万円まで全額補助する補助金制度を立ち上げています。
参照元:石川県住宅耐震化促進事業|石川県
自分の命はもちろん、財産を守るためにも耐震補強工事をしましょう。
耐震性のある家に住み替える
築古で近々引っ越しを検討しているという理由で耐震診断を受けない、または、耐震補強工事をしない場合、家を住み替えるという選択肢もあります。
住み替えは、手っ取り早く確実に地震対策ができると同時に、地盤の弱さをはじめ地域による地震のリスク軽減もできます。
住み替えの場合、売却代金を新居の購入資金にあてることが可能です。
耐震性に不安のある築古の家を持っている場合、耐震性の高い物件への住み替えを検討してみてはいかがでしょうか。
住み替えで売却を考えている人は、以下の記事も参考にしてください。
弊社アルバリンクでは、旧耐震基準で建てられている家をはじめ耐震性に不安のある家の買い取りを積極的にしております。住み替えで家を手放す予定の人は、弊社にお気軽にご相談ください。
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地震で家が倒壊したときの4つの対処法
耐震性を高めることをはじめ地震対策をしても、家が倒壊してしまうリスクをゼロにはできません。
万が一、地震で家が倒壊した時の対処法を4つ紹介します。
公的支援制度を利用する
地震の被害を受けたときは、公的支援制度を利用して、生活再建をしましょう。
公的支援制度には、以下の3つがあります。
被災者生活再建支援金
被災者生活再建支援金は、地震をはじめとした災害により、住宅が被害を受けた世帯に対して支給する補助金です。
参照元:公的支援制度について|内閣府
住宅の被害程度に応じて支給される「基礎支援金」、住宅の再建方法に応じて支給される「加算支援金」があります。
基礎支援金、加算支援金の支給額は以下のとおりです。
基礎支援金
全壊 | 大規模半壊 | |
支給額 | 100万円 | 50万円 |
加算支援金
建築・購入 | 補修 | 賃借(公営住宅除く) | |
支給額 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
ただし、単体世帯の場合は、上記の金額がそれぞれ3/4になります。
被災した家財を買い直しや家の再建や補修など、生活の再建に必要な資金をまかなえる補助金制度です。
住宅の応急修理
「住宅の応急修理」は、災害により住宅が被害を受けた際、自分で修繕する資金力がない世帯に対して、日常生活で必要な最小限度の部分を応急的に修理してくれる制度です。
参照元:公的支援制度について|内閣府
市町村が業者に委託して修理をしてくれます。
修理の限度額は、1世帯あたり57.4万円(2017年度基準)で、次の要件を満たす人が対象です。
- 災害により住宅が半壊した人
- 仮設住宅に住んでいない人
- 自分で修繕する資金がない人
ただし、大規模半壊の場合、資金力は問われません。
また、一部損壊でも1世帯あたり30万円を限度に支援を受けられます。
自分の家を修理して住み続けたい人にとっては、利用をおすすめできる制度です。
災害復興住宅融資
災害復興住宅融資は、災害により滅失、損傷した家の復旧を支援するための融資制度です。
参照元:公的支援制度について|内閣府
地震で家が被災した際、家の建設、購入、補修費用を低金利で貸し付けてくれます。
ただし、り災証明書(災害で住宅に被害を受けたことを証明する書類)が交付されている人のみ利用可能です。
り災証明書の交付を受けるには、各消防署・出張所で申請、もしくは、オンラインで申請する必要があります。
申し込み受付期間は原則として、り災日から2年間です。
家の再建や補修をしたいが、資金が足りない場合は融資を検討してはいかがでしょうか。
地震保険に加入しているか確認する
家が地震の被害を受けた場合、地震保険に加入しているか確認してみましょう。
地震保険は、火災保険の加入者のみが加入できます。
ただし、火災保険と同じ保険会社の地震保険にしか加入できません。
地震保険の加入を確認する際は、加入している火災保険の保険会社に問い合わせをしましょう。
地震保険は、火災保険の満期まで自動継続されるが、火災保険の満期時は代理店や営業店で更新手続きが必要です。
火災保険の更新時に地震保険を更新していない可能性もあるので注意しましょう。
なお、地震保険の保険金は、火災保険の保険金の3~5割で、保険金の上限は、建物は5,000万円、家財は1,000万円です。
地震保険のみでは、建物の再建や補修の費用をまかなうのは難しいので、生活を立て直すための保険と考えておきましょう。
住宅ローンが残っている場合は金融機関に相談する
住宅ローンが残っている場合、地震により財産を失ったり、収入が途絶えたりすることで、返済が困難になる可能性があります。
住宅ローンが残っている被災者のうち一定の要件を満たす人は、「自然災害債務整理ガイドライン」を利用しましょう。
参照元:大規模な自然災害でローンの返済が困難になったかたへ。「自然災害債務整理ガイドライン」をご利用ください。|政府広報オンライン
銀行をはじめとした金融機関との話し合いによりローンの減額や免除を受けられます。
要件は以下のとおりです。
- 「災害救助法」が適用された自然災害により被災した
- 期限の利益喪失事由(破産、担保の滅失、担保を提供しない)に該当しない
- 破産や民事再生手続きと同等以上の債権回収が見込める
この制度を利用することで、破産手続きや再生手続きを利用した場合と違い、新たな借り入れに影響が及びません。
財産の一部をローンの支払いに充てなくて済むので、生活に困窮する心配をしなくてすみます。
現実的には地震で倒壊した家の再建は難しい
地震で倒壊した家を再建したいと考えても、現実的には難しいのが実情です。
家が地震で倒壊してしまったら、まずは仮設住宅や親戚の家などに避難することになります。
そのうえで家の再建に取り掛かっていくわけですが、家を建て替えるにあたっては平均して2,500万円ほどの費用が必要です。
しかし、それに対して受け取れる補助金や義援金は約400万円ほどにすぎません。
生活を立て直すのにも費用がかかるのに、それに加えて家の建て替え費用を捻出するのは困難でしょう。
火災保険や地震保険に加入していても、契約内容によっては家を元通りにするための費用が全額支給されないこともある点に注意が必要です。
地震で倒壊した家は買取業者に売却するのが最善
地震で家が倒壊した際は、買取業者への売却による処分を検討してみましょう。
買取業者は改修前提で家を買い取ることが多いので、地震で家に損傷があっても問題ありません。
売却価格に納得いただければ、どんな物件でも1週間〜1ヶ月で売却の手続きが完了します。
仲介で売却した場合、建物の損傷をはじめとした不具合があった際、損傷個所の修繕費や代金減額を請求されるおそれがあります。
また、建物が倒壊したままでは売却ができないので、解体工事業者に依頼してがれきを片付けたうえで一度更地にする必要があります。
前述のように被災した場合には修繕のための補助金を受けられるとはいえ、それでも数十万円以上の費用を自分で負担しなければなりません。
たとえ更地にしても、地震で家が倒壊した跡地は売却しにくい点にも注意が必要です。
実際、弊社がおこなったアンケート調査では、土地を購入する際に「災害に強い」ことを優先すると回答した方の割合がもっとも多い結果となりました。
したがって、被災した土地を売却するのは現実的には難しいでしょう。
一方、買取業者へ売却した場合、改修前提で買い取るので、修繕費や代金減額を売主に請求することはありません。
被災した家であっても活用できるノウハウがあるため、問題なく買い取ってもらえます。
地震で被害をうけた家を持っている人は、買取業者に査定を依頼してはいかがでしょうか。
弊社アルバリンクは、地震の被害を受けた物件を積極的に買い取る不動産買取業者です。
実際に、地震の被害を受けた家を買い取らせて頂いたお客様のお声もいただいております。
引用元:Googleマップレビュー
万が一、地震の被害を受けた場合でも、買い取りできる可能性があるので、ぜひ弊社にご相談ください。
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まとめ
この記事では、地震で倒壊する家の特徴と対策、倒壊後の対処法を解説しました。
旧耐震基準で家が建てられている場合、倒壊する確率は高くなります。
阪神淡路大震災や熊本地震の被害状況によると、旧耐震基準で建てられた家の倒壊率は、新耐震基準で建てられた家より数倍高くなっています。
旧耐震基準で建てた家をはじめ倒壊リスクの高い家は、耐震補強工事や住み替えの検討が必要です。
住み替えによる家の売却を検討している場合、買取業者に買い取りを依頼がおすすめです。
買取業者は、改修前提で買い取りを想定しているうえ、収益化するノウハウがあります。
耐震性に不安のある家でも買い取れるうえ、高額な査定額を提示することも可能です。
旧耐震基準などの古屋を買い取る業者の選び方やおすすめ業者は以下にもまとめています。
弊社アルバリンクは、耐震性に欠ける家をはじめ買い手が見つかりにくい家の買い取りをしている不動産買取業者です。
倒壊リスクの高い家はもちろん、倒壊をはじめ被災された家の買い取りも積極的にしております。
地震による倒壊リスクが高い家、被災された家の処分にお困りの人は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。