借地権の種類
借地権とは、自分名義の建物を建築する目的のため、他人が所有する土地を借りて、使用する権利のことです。
借地借家法によると、借地権は地上権と賃借権の2つの権利に分けられ、それぞれ権利の性質に違いがあります。
参照元:借地借家法|e-Gov法令検索
地上権
地上権は、土地の活用において地主の承諾が不要なのが大きな特徴です。
借地人は、以下の土地活用を自由にできます。
- 土地の売買・譲渡
- 建物の建て替え・増改築
- 土地への担保設定
また、地主への地代の支払いは契約内容次第では、支払い義務はありません。
地上権は、土地の所有者に近い形での土地の活用が認められています。
しかし、借地権の設定において、地上権を選択しているケースはまれです。
賃借権
賃借権は、土地の活用において地主の承諾が必要です。
地主から承諾が必要な行為は以下のとおりです。
- 土地の売買・譲渡
- 建物の建て替え・増改築
- 建物への担保設定
なお、賃借権は土地を担保として設定できません。
一般的に、借地権とは賃借権のことをいいます。
借地権の5つの売却方法
借地権の売却方法として、以下の5つが挙げられます。
- 地主に売却する
- 第三者に売却する
- 等価交換をした後に売却する
- 借地権と底地を同時に売却する
- 不動産買取業者に売却する
地主に売却する
1つ目は、地主へ借地権を売却する方法です。
地主に借地権を買い取ってもらえれば、借地権そのものが消滅します。
地主にとって、借地権の買取は土地の完全な所有権を得られるので、土地の売買や建物建築など活用の幅が広がります。
借地人も不要な借地を処分できるため、地主・借地人双方にメリットがある取引といえるでしょう。
ただし、借地権の売却価格に納得いかなければ、交渉がまとまらない可能性があります。
また、必ずしも地主が売却に応じてくれるとは限りません。
地主が借地権の売却に積極的にのってくれる場合に、検討すべき方法です。
地主に無償返還する
借地人は、地主に借地権を無償で返還することも可能です。
一般的に返還の条件は原状回復、つまり、建物解体が必要です。
また、建物の解体費用は借地人が負担しなければなりません。
借地権の無償返還は、売却代金が手に入らないうえ、解体費用の負担があるため、借地人にメリットはほとんどありません。
借地権の無償返還を検討する前に、他の売却方法を探すことをおすすめします。
第三者に売却する
借地権の処分方法として、第三者に売却する方法があります。
具体的には、仲介業者に依頼して、借地権の新たな買い手を見つけます。
借地権で土地を購入する場合、普通に土地を購入する場合と比べて安く土地を手に入れられるのが特徴です。
買主にとっては、マイホーム購入の資金が少なくできるメリットがあります。
また、固定資産税・都市計画税は地主が負担するので、税負担が軽くなるのもメリットの1つです。
上記特徴から、都市部をはじめ好立地の物件なら、需要が高く、借地権でも売却しやすい可能性があります。
ただし、売却や建物の建て替え、住宅ローンの契約などで地主の承諾が必要です。
また、完全所有権の土地と比べて、土地活用の自由度が小さいため、買主から敬遠されるかもしれません。
立地が良い場合なら、借地権の売却を仲介業者に依頼してもいいでしょう。
等価交換をした後に売却する
借地権と底地を等価交換した後に売却すると、土地の価値を高めて売却ができます。
以下のとおり、借地人の借地権の一部と地主の底地の一部を交換することで、両者は土地の完全所有権を手に入れることが可能です。
土地の完全所有権を手に入れられるので、売却や建て替え時に地主の承諾は不要です。
借地権と比べて土地活用しやすくなるので、買い手が見つかりやすくなります。
一方、測量や登記など売却の準備の手間が増える点がデメリットです。
また、地主側は所有する土地が狭くなるため、等価交換に応じてくれない可能性もあります。
借地権の売却活動をスムーズに進めたい場合に、おすすめの手段です。
借地権と底地を同時に売却する
借地権の売却方法として、地主が持つ底地と借地人が持つ借地権を同時に売る方法も挙げられます。
買主は、売却や建て替えが自由にできる完全所有権の土地を手に入れられます。
借地権の土地より需要が高くなるため、早期売却が可能となるでしょう。
ただし、地主との協力が不可欠な方法です。
地主にとっては、底地という財産を手放すため、売却に了承してくれない可能性があります。
地主が底地を売りたい意思を示しているなら、おすすめできる売却方法の1つです。
不動産買取業者に売却する
借地権の売却方法として、不動産買取業者に売却する方法があります。
不動産買取業者の中には、借地権をはじめ特殊な不動産の買取をしている業者があります。
借地権の買取を取り扱う不動産買取業者は、地主との交渉、売却時の手続きなど借地権の買取に関するノウハウが豊富です。
自分1人で手続きを進めるより、スムーズに売却ができる可能性が高くなります。
また、借地上の建物が以下のような状態でも現状のまま買取してくれます。
-
- 建物の劣化が激しい
- 建物内に家財道具が残っている
地主との交渉や売却時の複雑な手続きを面倒だと思う場合は、買取業者がおすすめです。
なお、アルバリンクも借地権を買い取っている不動産買取業者の1つです。
地主との交渉をはじめ借地権のスムーズな売却に向けてサポートをいたします。
また、弁護士や司法書士などの専門家と提携していますので、借地権に関する専門家への相談で余分な費用を削減できます。
そのため、自分で専門家に依頼する場合より、手元に残る買取価格が高くなります。
余分な費用をかけずに、スムーズに借地権を処分したいなら、アルバリンクへお問合せください。
借地権売却の流れ5ステップ
借地権の売却の流れは以下のとおりです。
- 不動産会社に査定依頼する
- 地主の承諾を得る
- 条件調整する
- 借地権譲渡承諾書を作成する
- 売買契約の締結・引き渡し
なお、借地権売却は仲介業者に依頼して売却手続きするのが一般的です。
ここでは、仲介業者に依頼した場合の売却の流れを紹介していきます。
不動産会社に査定依頼する
まず、借地権の査定を不動産会社に依頼します。
査定依頼する際は、複数社に依頼しましょう。
複数社の査定結果を比較することで、借地権の相場の把握が可能です。
なお、不動産会社に査定依頼する際、借地権の売買取引のノウハウが豊富な会社に依頼しましょう。
選定基準は以下のとおりです。
- 弁護士や司法書士などの専門家と提携しているか
- 借地権の取引実績があるか
上記の特徴がある不動産会社以外は、そのあとの売却手続きで手間取る可能性が高くなります。
スムーズな借地権売却へとつなげるためにも、依頼する不動産会社の選定には時間をかけましょう。
地主の承諾を得る
第三者への借地権の売却には、地主の承諾が必須です。
地主の承諾なしでの借地権の売却は、民法で禁じられています。
第六百十二条
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
なお、交渉は不動産会社を介して行うようにしましょう。
借地権の売却に関する条件を決めるには、借地権の取引の知識・経験が必要です。
借地権の売買の知識がない人が地主と直接交渉した場合、条件がまとまらない可能性が高くなります。
最悪の場合、交渉が決裂するかもしれません。
借地権の取引の経験がである人ではない限り、地主との交渉は不動産会社が介した状態で行いましょう。
条件調整する
借地権の売却をする際、地主との間で売却を認めてもらうための条件調整も必要です。
調整する条件は主に以下のとおりです。
- 譲渡承諾料
- 建て替え承諾
- 地代
- ローン承諾
とくに、新地代が相場と同程度かどうかの確認は必須です。
譲渡承諾する際、地主が相場を大幅に超える地代の値上げを要求するケースがあります。
もし、確認せずに条件を飲んでしまうと、借地権の売却が困難になってしまいます。
また、新借地人にローン承諾を出してくれるかも確認しましょう。
ほとんどの買主は住宅ローンを利用して購入するはずです。
地主からローン承諾を出さない場合も、買主は住宅ローンを組んでの借地権購入ができなくなるので、売却は難しくなるでしょう。
上記条件の交渉は、借地権の取引に関する知識と経験がないと対応が難しいため、不動産会社に交渉を任せましょう。
借地権譲渡承諾書を作成する
交渉がまとまったら、地主に借地権譲渡承諾書を作成してもらい、書類を受け取ります。
上記書類は、借地権の売却を地主が承諾する正式な合意書類です。
借地権譲渡承諾書がなければ、借地権の買主との売買契約が白紙になります。
地主からの借地権売却の承諾を得てから、売却活動するようにしましょう。
なお、借地権譲渡承諾書は書類の不備によるトラブル発展のリスクをなくすため、自力で作成せず、不動産会社に作成をお願いしましょう。
売買契約の締結・引き渡し
買主が見つかったら、不動産会社が作成した契約書をもとに借地権の売買契約の締結をします。
その後、買主が契約書の引き渡し日に代金決済を済ませたら、引き渡し完了です。
また、借地上に建物がある場合は、代金決済と同時に買主への所有権移転の手続きをします。
なお、決済当日は買主、売主、仲介業者、司法書士などの関係者が集まり、手続きを進めます。
借地権売却に必要な書類
借地権を売却する際は、以下の3つの書類が必要となります。
- 借地契約書(土地賃借契約書)
- 地代の支払いを証明できる書類(領収書、振込通知書)
- 借地上の建物の登記済証または登記識別情報通知書
なお、借地契約書を失くした場合でも、地代の領収書と建物の登記済証があれば、問題ありません。
領収書は地代の支払い時にもらえます。
一方、建物の登記済証は、登記をした際の一度しか発行されません。
登記済証を紛失した場合、司法書士や弁護士に「本人確認情報」という書類を発行してもらうことで、登記済証の代わりとなります。
借地権売却に関するよくある質問
借地権の売却を検討する際に出てくる疑問をまとめました。
- 借地上の建物の解体は必要?
- 借地権売却におけるトラブルはある?
- 借地権の売却相場は?
- 借地権売却にかかる費用・税金は?
借地上の建物の解体は必要?
借地権の契約期間が満了し、地主に土地を返す際、借地人は借地上の建物を解体しなければなりません。
第六百二十一条
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
なお、建物解体にかかった費用は借地人負担で、100万円以上かかるケースがほとんどです。
ただし、借地権を処分する方法によっては、建物の解体義務がないケースもあります。
借地上の建物の解体義務について、くわしく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
借地権売却におけるトラブルはある?
借地権の売却の際に起こりうるトラブルは、主に以下のとおりです。
- 地主が売却を承諾してくれない
- 共有名義の借地権の売却
- 借地上の建物が未登記
上記トラブルが原因で、スムーズな借地権売却ができなくなる可能性があります。
また、借地権を所有していると、上記以外にもさまざまなトラブルに見舞われるリスクがあります。
借地権に関するトラブルについて、くわしく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
借地権の売却相場は?
借地権の売却相場は、住宅地では更地価格の6~7割で取引されるケースが多いでしょう。
借地権の評価額は、更地価格に国税庁のサイトに記載されている借地権割合をかけて計算されます。
住宅地の場合、借地権割合は6~7割が一般的といわれています。
たとえば、借地の更地価格が1,000万円の場合、借地権は約600~700万円で取引されるでしょう。
ただし、上記の相場は借地権を第三者に売却する場合です。
地主に買取をお願いする際は、相場より低い価格での取引となる可能性があります。
借地権の売却相場や高値で売却する方法について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
借地権売却にかかる費用・税金は?
借地権の売却時にかかる主な費用・税金は以下のとおりです。
- 印紙税
- 譲渡承諾料
- 仲介手数料
- 登録免許税
- 譲渡所得税
たとえば、借地権を1,000万円で売却した場合、100万円以上の費用・税金がかかります。
なお、借地権売却時の状況次第では、上記で紹介した以外の費用が発生することもあります。
また、条件を満たせば、特例の適用による税負担の軽減も可能です。
借地権売却にかかる税金・費用や税負担の軽減方法、確定申告のやり方について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
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借地権の売却を成功させるうえで、地主からの承諾を得ることは必須です。
ただし、売却の承諾を得るために地主の要求をそのまま飲み込んでしまうと、売却活動に悪影響が生じる可能性があります。
また、自分の要求を押し通そうとすると、地主との関係性が悪化して、承諾を得られないおそれがあります。
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まとめ
この記事では、借地権の売却方法と売却の流れを紹介してきました。
借地権の売却方法は以下の5つが挙げられます。
- 地主に売却する
- 第三者に売却する
- 等価交換をした後に売却する
- 借地権と底地を同時に売却する
- 不動産買取業者に売却する
「地主に売却する」方法以外、借地権の売却には地主の承諾が必須です。
そのため、借地人は地主から売却の承諾を得るための交渉をしなければなりません。
なお、交渉する際は、借地権の取引に関する知識や経験が必要です。
不動産会社の関係者でない限り、借地人に有利な条件で売却の承諾を得るのは難しいでしょう。
地主との交渉に不安を感じている人は、借地権の取引のノウハウが豊富な不動産会社に依頼することがおすすめです。
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