底地価格と更地価格の違い
底地価格を計算するうえで押さえておきたい基礎知識として、底地価格と更地価格の定義と違いを押さえておきましょう。
まず底地とは、借地権が設定された宅地の所有権を指し、借地権とは建物を建てる目的で土地を借りて使用する権利のことです。底地価格とは、土地の上に他人の借地権が設定された状態での土地価値を指します。
一方、更地価格は借地権の制約がない自由に利活用できる土地の価格のことです。
底地価格を算出する際には、地主が自由に使えない土地であることを勘案し、通常の更地価格から借地権価格を差し引いて計算します。
※1 自用地の評価額:更地価格とほぼ同義で、所有者が制限なく自由に使える土地の評価額のこと。
※2 借地権割合:借地権割合とは、土地全体の評価額のうち借地権が占める割合のこと。
例えば、更地価格が1億円で借地権割合が60%の場合、底地価格は4000万円(1億円×40%)となります。
厳密にいうと、実際の底地価格算出には地代の金額や借地契約の内容なども加味されるため、より複雑な計算が必要です。
さらに、実際の底地の売却価格は売却先によっても異なるため、上記で導き出した金額はあくまで目安と捉えましょう。
底地価格の目安金額を計算する手順は次章で解説します。
底地価格の算出に必要な借地権価格の調べ方については、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。

底地価格(評価額)を計算する3つの手順
底地の価格(評価額)を計算する際には、路線価と借地権割合をもとに以下の手順を踏んで算出します。
このあと順を追って解説します。
更地価格を求める
はじめに、借地権の設定されていない更地の価格を求めます。
宅地の価格(評価額)は、国税庁が毎年発表している路線価に基づいて算出します。
「路線価」とは道路に面した土地の価格のことで、主に相続税や贈与税の計算に使用される指標です。
路線価を調べるには「路線価図」を参照する必要があるので、次項で検索手順と見方を詳しく解説します。
路線価図の見方と借地権割合の確認方法
路線価と借地権割合は、国税庁HPにある路線価図から確認できます。
路線価図は以下の手順で閲覧が可能です。
Step1.国税庁ホームページ「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」にアクセスし、あなたが所有する土地の所在都道府県をクリックします。
Step2.遷移した画面内「路線価図」をクリックします。
Step3.あなたが所有する土地の所在市区町村をクリックします。
Step4.「この市区町村の索引図ページヘ」をクリックします。
Step5.詳細な地図が表示されたら、所有する土地の所在地を探しましょう。
上記の路線価図を見ていくと、300Cや285Gといった数字とアルファベットが記載されているのがわかります。
数値は土地1㎡あたりの価格(千円単位)を意味し、この数値が「路線価」です。
上の図でいうと、「390C」に当たる部分の1㎡当たりの価格は39万円です。
アルファベットは「借地権割合」を表しており、A~Gまで以下の数値が割り振られています(一般に繁華街や商業地域ほど高く、地方の土地では低くなる)。
路線価図のアルファベットの見方(%=借地権割合)
- A…90%
- B…80%
- C…70%
- D…60%
- E…50%
- F…40%
- G…30%
Step6.路線価図の数字とアルファベットから、以下のように底地価格の算出に必要な更地評価額と借地権割合を読み取ります。
- 300A = 更地の評価額は30万円・借地権割合は90%
- 500G = 更地の評価額は50万円・借地権割合は30%
- 1000C = 更地の評価額は100万円・借地権割合70%
1~6で求めた数値を踏まえ、次項では実際の借地権価格(評価額)を計算してみましょう。
更地価格から借地権価格を差し引いて底地価格を求める
底地価格は更地価格から借地権価格を差し引くことで求められます。
計算手順は以下の通りです。
- 借地権価格の算出 更地価格 × 借地権割合 = 借地権価格
- 底地価格の算出 更地価格 – 借地権価格 = 底地価格
具体的な計算例を見てみましょう。
- 更地価格:25,000,000円
- 借地権割合:80%(路線価図のアルファベット「A」の場合)
借地権価格 = 25,000,000円 × 80% = 20,000,000円
底地価格① = 25,000,000円 – 20,000,000円 = 5,000,000円
上記の例では、計算上の底地価格①は5,000,000円となります。
ただ、より正確な底地価格を算出するためには、①の数値に対し次項で解説する「調整」が必要です。
底地価格を「0.8」で割り戻し「1.1倍」して実勢価格を求める
路線価ベースの底地価格から実勢価格を求めるには、0.8で割り戻して1.1倍する計算を行います。
路線価は公示価格の約8割に設定されているため、0.8で割り戻すことで公示価格相当額の算出が可能です。
実勢価格は一般的に公示価格の1.1〜1.2倍が目安とされますが、土地の需要によっても異なり、人気の土地の実勢価格は公示価格の1.5倍以上になることも少なくありません。
先ほどの計算例で算出した底地価格①から実勢価格を計算してみましょう。
よって、底地の実勢価格②は6,875,000円となります。
算出した数値に土地の面積をかけることで、所有する底地の大まかな売却価格がわかります。
カンタン1分査定
底地の取引価格は売却先によって変動する
前の章では、底地の評価額を計算する方法をお伝えしました。
しかし、底地を売却する際、評価額と売却価格が一致することはほとんどありません。
その理由には、底地には借地人(土地を借りている人)がおり、購入しても自由に利用できない底地の特性が挙げられます。
そのため、底地の取引価格は、売却する相手によって大きく変動します。
誰が購入するのかによって、底地の利活用ノウハウに大きな違いがあるからです。
底地の売却先として代表的なのは、以下の3者です。
では、それぞれの売却先ごとに、底地の取引価格相場を見ていきましょう。
底地の売却先別の買取相場については、以下の記事でも詳しく解説しています。

借地人に売却|更地価格×50%前後
結論から言って、借地人に底地を売却してしまうのが、最も取引価格の高くなる方法です。
借地人が買主の場合、底地の取引価格の相場は、概ね「更地価格の50%前後」になります。
というのも、借地人には土地を使用するための「借地権」はありますが、建物に工事を加えたり、第三者に貸し出したりするためにはその都度地主(あなた)の許可が必要です。
そこで、あなたから底地を買い取れば、借地人は、上記の制限なしに土地を利用できますので、底地を購入するメリットが大きいといえます。
このことから、底地を売却するのであれば、まずは借地人に売却交渉を持ちかけてみるのがベストな選択となります。
ただし、借地人との仲が険悪であるなどの事情がある場合は、ムリに売却交渉すべきではありません。
次の項をご覧ください。
仲介で第三者に売却|更地価格×10~15%
第三者が底地を購入するのであれば、借地人と比べて、取引価格は安価になってしまいます。
具体的に言うと、第三者に底地を売り出すのであれば、取引価格の相場は、更地価格の10%~15%まで低下してしまうのが一般的です。
前述の通り、底地を購入したからと言って、買主はその土地を自由に利用できないことが主な要因です。
その上、不動産仲介業者を介して、個人の買主へ底地を売り出すのであれば、以下の点に注意しなければなりません。
- 底地を購入してくれる買主が見つかるまでに概ね半年以上はかかる
- 底地の売却額相当分の仲介手数料が発生する(売却額の3%が一般的)
- 地代(土地の利用料)が低く、収益性に乏しければ永遠に売れないこともある
仲介業者に売却を依頼する場合、売却額に応じた仲介手数料が発生するため、収益性に欠けるなど需要が低い底地は、仲介業者に取り扱ってもらえない可能性が高いです。
その場合は次項の「専門の買取業者への売却」がもっとも確実です。
不動産買取業者に売却|更地価格×10~15%
結論、借地人に底地の購入を断られてしまったのであれば、専門の不動産買取業者に直接底地を売却してしまうのが賢い選択です。
前の項で述べたのと同様に、底地を専門の買取業者に直接売却する際も、取引価格の相場は「更地価格の10~15%程度」です。
買取業者は底地を買い取った後に、借地人との権利調整を済ませ、物件に付加価値を付与して収益を上げています。
そのため、再活用までにかかるコストを勘案した金額での査定となり、上記の価格相場となるわけです。
しかし、専門の買取業者に底地を直接売却するのであれば、以下のメリットがあります。
- 業者が直接買い取るので、最短数日で底地を現金化できる
- 取引の仲介は不要なので、当然、仲介手数料がかからない
- 面倒な借地人との交渉が不要で、揉め事から確実かつ安全に開放される
仲介手数料や各種手続き費用がかからず、借地人との交渉も依頼できるため、「借地人と取引するのは無理そう…」という方は、専門の買取業者へ相談し、直接底地を買い取ってもらうようおすすめします。
当サイトを運営する「株式会社Albalink」は、一般の不動産屋では、購入すら難しい「底地」に強い専門の買取業者です。
費用等、ご希望の売却条件にできる限り寄り添った売却プランを提案いたします。
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なお、以下の記事でも売却しにくい底地を確実に手放せる方法を解説しているので、併せて参考にしてください。

不動産鑑定によって底地の取引価格を算出する3つの方法
不動産鑑定士が用いる不動産鑑定評価基準を使うことで、底地の取引価格を専門的に算出できます。
不動産鑑定評価基準には以下の3種類があります。
実際の鑑定ではいずれか1つを使うのではなく、土地の実態に合わせて3種類を組み合わせ、できる限り客観的な数字を導き出すことが原則です。
ただし、現実には不動産鑑定の知識を持たない一般の個人が、実際の取引価格を正確に判断するのは困難でしょう。
正確な金額を知りたい方は、専門の不動産買取業者へ査定依頼をするほうがスピーディーかつ確実です。
原価法
原価法とは、「今の価格時点で同じ土地の造成や新築をすると仮定した場合の費用」から底地の価値を計算する方法です。
この手法では、対象不動産の「再調達原価」を基に評価を行い、建築後の経過年数による価値の低下を減価修正して現在の価値を推定します。
底地の評価において原価法を適用する際の基本的な流れは以下のとおりです。
【原価法の計算手順】
- 土地の再調達原価を算出
- 造成費用や付帯費用を加算
- 経年による減価修正を実施
- 最終的な積算価格を決定
原価法による価格は「積算価格」と呼ばれ、主に建物の鑑定に使われますが、対象不動産が土地のみの場合でも、再調達原価を求められる場合に使用されることがあります。
具体的には、土地改良が行われた土地や、市場にあまり流通しておらず相場が存在しない土地に適した鑑定法です。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、過去に周辺で行われた不動産取引を参考にして、金額を算出する査定方法です。
具体的には、売出し物件と立地状況や属性が近い売買成約事例を元に、坪単価での平均価格を算出します。
この平均価格に、底地の敷地面積を掛けることで取引価格を求めます。
取引事例比較法は、一般的な宅地など、市場に多く流通し類似事例が見つかりやすい不動産に適した鑑定法です。
収益還元法
収益還元法とは、その物件が将来的に生み出すであろう利益をベースに、価格を求める不動産鑑定方法です。
計算式は下記のとおりです。
物件が生み出す1年間の純利益÷(1年間の純利益/不動産価格×100)
厳密には一定期間の純利益から算出する「直接還元法」と、将来得られる利益から算出する「DCF法」の2種類がありますが、一般の個人が計算することは困難でしょう。
収益還元法は、賃貸住宅やテナントなど、収益物件に使用される鑑定法のため、一般的な居住目的の宅地の鑑定にはほとんど使用されません。
カンタン1分査定
専門の買取業者に査定を依頼すると正確な底地価格がわかる
前の項では、底地の取引価格を算出する不動産鑑定方法をお伝えしました。
ただし、いずれの方法も、計算方法が複雑であり、不動産に関する専門知識のない個人が正確な金額を把握するのは非常に困難です。
もし、底地の売却を検討しているのであれば、底地に特化した専門の買取業者に査定依頼を出しましょう。
利活用が難しいために安価になりがちな底地も、適正な価格を提示してもらえるからです。
底地専門の買取業者であれば、借地人との権利調整や、地代交渉などのノウハウに長けており、あなたの底地を最も資産価値の高い方法で活用できます。
逆に、底地の取り扱い実績がない一般の不動産屋に、底地の売却を依頼しても、適正な金額を提示してもらえないどころか、そもそも取り扱いを断られるケースもあるため、底地の取り扱い実績が豊富な業者を選びましょう。
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以下の記事では、底地専門の買取業者の選び方と、おすすめ業者をピックアップしているので、参考にしてください。

まとめ
この記事では、底地の評価額や取引価格を計算する方法をご紹介してきました。
結論、底地の価格を算出する計算式はあるものの、専門知識のない一般の個人が正確な金額まで把握するのは非常に困難です。
もし、底地の売却を考えており、正確な金額を知りたいのであれば、底地に精通している不動産業者に査定を依頼しましょう。
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なお、無料査定を依頼しても無理な営業をかけることは一切ありませんので、ご安心していただければ幸いです。
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