原野商法とは
原野商法とは、値上がりの見込みのない原野や山林といった土地を売りつける商法のことです。
1970年代から1980年代にかけて被害が多発しました。
「開発計画がある」「道路ができる予定」など虚偽の説明をしたうえで、「値上がりする」と勧誘を行い、販売するのが特徴です。
原野商法の二次被害に注意
原野商法の被害者が、近年になってさらに被害にあう「二次被害」が生じています。
原野商法の二次被害は、原野の所有者に「土地を買い取りたい」といった話をエサにして、巧妙な手口で新たな原野を売りつけるのが特徴です。
二次被害にあった人の中には、かつて原野商法の被害にあった人のほかに、親から相続した原野を所有している子ども世代もいます。
原野商法の二次被害として、以下の事例が実際に起きています。
- 雑木林を買い取ると勧誘され、節税対策といわれお金を払ったが、実際は原野の購入と売却の契約だった
- 原野を売却したが、新たな土地の売買契約をさせられていた
- 山林を購入したい人がいると説明され、調査と整地費用を払った
参照元:国民生活センター
「土地を買い取る」といった勧誘は、きっぱりと断りましょう。
もし、話を聞いてしまったとしても、その場で判断せずに、家族をはじめ周囲の人に相談することも大事です。
原野商法で取得した土地は相続放棄できる?
親から原野をこれから相続する段階なら、相続放棄により土地を手放すことが可能です。
故人の遺産相続を拒否すること
相続放棄することで、故人の財産を「現に占有している」場合を除いて、管理義務を負わずに済みます。
たとえば、故人が所有していた土地の管理に携わっていないのであれば、「現に占有している」に該当しないため、管理義務は生じません。
相続人は、相続が発生してから3か月以内に家庭裁判所に申述することで相続放棄できます。
ただし、相続放棄をした場合、いらない土地の放棄だけでなく、現金や預貯金などすべての財産を放棄しなければなりません。
親が多額の借金を抱えている場合を除いて、相続放棄による土地の処分はおすすめしません。
なお、相続人全員が相続放棄をし、「現に占有している」相続人がいない場合、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申し立てをします。
相続財産清算人は、一般的に地域の弁護士や司法書士が選任されます。
原野商法で取得した土地の4つの処分方法
原野商法で取得した土地は、価値が低く、活用が難しいため、簡単に処分はできません。
ここでは、需要がない土地の処分方法を4つ紹介します。
- 相続土地国庫帰属制度を利用する
- 自治体に寄付する
- マッチングサイトに登録する
- 不動産会社に相談する
相続土地国庫帰属制度を利用する
相続により土地を取得した人なら、「相続土地国庫帰属制度」が利用できます。
「相続土地国庫帰属制度」とは、土地を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、国に引き渡せる制度のことです。
相続した土地を国に引き渡すための手続きは以下のとおりです。
- 法務局へ相談
- 申請書類の作成・提出
- 土地の引き渡し承認後の負担金納付
参照元:相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」|政府広報オンライン
土地を引き渡す際、20万円の負担金の納付が基本となります。
ただし、管理・処分に多くの費用や労力がかかる土地と判断された場合、引き取ってくれません。
引き渡せる土地の要件を満たせば、確実に土地を手放せる方法です。
「相続土地国庫帰属制度」で引き渡せる土地の要件と詳しい手続きの方法は、以下の記事を参考にしてください。
自治体に寄付する
いらない土地の処分方法の1つとして、自治体への寄付があります。
寄付の申し出をした土地が、有効活用できると判断された場合に自治体が寄付を受け入れます。
一方、自治体として利用予定のない土地の場合、維持管理のコスト(市民負担)が増えるため、拒否されることがほとんどです。
自治体への寄付の申し込みの手順は以下のとおりです。
- 対象の土地の聴き取り
- 照会(自治体として使用見込みがあるかの確認)
- 寄付の受付可否の回答
自治体によっては、寄付を受け付けていないこともあるため、まずは役所に確認してみましょう。
マッチングサイトに登録する
土地取引ができるマッチングサイトに無料で登録して、土地を引き取ってくれる人を探す手段もあります。
使い道のない原野でも特定の人から見たら、太陽光パネルの設置場所やレジャー施設として魅力的な可能性があります。
マッチングサイトに登録することで、上記の人達とつながることができるため、土地を手放せる可能性が高まります。
注意点として、個人間での取引が基本で、仲介業者のサポートはありません。
取引時にトラブルが生じた際は、自分自身で解決する必要があります。
費用をかけずに土地を手放したい人は、「土地 マッチングサイト」と検索し、複数のサイトを比較してみましょう。
具体的には、以下のサイトがあります。
なお、マッチングサイトによっては、追加料金の支払いで、交渉や契約手続きなど取引に関するサポートを受けられるものもあります。
不動産会社に相談する
土地の売却に関して、不動産会社に相談するのも1つの手段です。
なお、不動産会社には、仲介と買取の2種類による売却方法があります。
仲介と買取の違いを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
仲介
不動産会社に相談する際、まずは仲介での売却を検討してみましょう。
仲介での売却とは、不動産会社が間に入って、買い手と売り手をつなげ、売買取引させることです。
利用価値の高い土地なら、買い手が見つかりやすいうえ、相場以上の価格で売却できる可能性があります。
ただし、原野は使い勝手が悪く、価値が低いことが多いため、買い手は見つかりにくいでしょう。
売却できる可能性は低いかもしれませんが、まずは近くの不動産仲介業者に相談してみるのも手段の1つです。
買取
不動産会社に直接買い取ってもらう買取も処分方法の1つです。
買取の場合、一般の買い手からは敬遠されがちな土地でも買い取ってくれる可能性があります。
また、不動産会社からの査定金額に納得すれば、すぐに契約手続きに進め、問い合わせから1週間~1か月程度で契約が成立することもあります。
仲介での売却が難しい場合に買取による土地処分を検討しましょう。
なお、アルバリンクは需要がない土地・建物を積極的に買い取ってきた不動産買取業者です。
他社から断られた土地・建物でも収益化できるノウハウがあるため、原野のような需要が少ない土地でも買い取れる可能性があります。
原野商法で購入してしまった使い道のない土地を手放したい方は、一度アルバリンクへご相談ください。
原野商法で取得した土地を相続した際の3つの注意点
親から原野商法で取得した土地を相続する場合は、以下の3点に注意が必要です。
- 相続登記する
- 山林の相続は届け出が必要
- 相続税の納付をする
ペナルティーを科されることもあるため、忘れずに手続きをしましょう。
相続登記する
親から原野を相続した場合、忘れずに相続登記をしましょう。
相続登記とは、親から不動産を相続した際に土地・建物の所有名義人を書き換えることです。
原野をはじめ土地を売却したい場合、相続登記を済ませていないと、売却できません。
また、相続が発生してから3年以内に相続登記しないと、10万円以下の過料(行政上のペナルティー)を課されます。
参照元:東京法務局
原野を相続した際は、早めに相続登記をしましょう。
相続登記をはじめ土地の名義変更の手続きの流れ、必要書類について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
森林の相続は届け出が必要
親から相続した土地が森林に該当する場合は、前述した相続登記の手続き以外に市町村に届出が必要です。
ここでいう「森林」とは、樹木や竹が集団的に生育している土地のことを指します。
2012年以降、森林の新たな土地所有者となった場合、90日以内に市町村に届出が必要な制度が開始されました。
届出をしなかった場合、10万円以下の過料を課されます。
なお、届出の対象となる土地は、都道府県が定めた「地域森林計画」の対象となる森林です。
相続した土地が森林だった場合、または、届け出が必要な森林かどうかわからない場合は、各市町村の林務担当部局に問い合わせしましょう。
相続税の納付をする
原野商法で取得した土地を相続する場合は、忘れずに相続税の納付をしましょう。
固定資産税がかからない価値が低い土地だとしても、相続税の納付が必要になる場合があります。
土地の評価額(固定資産税評価額)が30万円の場合、固定資産税がかかりません。
上記の場合、固定資産税の納税通知書が相続人のもとに届きません。
なお、相続税は故人の全財産が対象なので、固定資産税がかからないケースでも納税が必要です。
土地の存在に気付かなかった場合、正しい相続税の申告ができず、税務調査で申告漏れを指摘される可能性があります。
相続が発生する前に、親が所有している土地の確認は必須です。
また、相続税に関する悩みは税務関係の専門家である税理士に相談することをおすすめします。
固定資産税がかからない土地の相続手続きについて、詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
この記事では、原野商法で取得した土地の処分方法を紹介しました。
原野商法で購入させられた土地の多くは、利便性が低く、値上がりの見込みが薄いものが多く、売却は難しいといえます。
また、「原野を手放したい」という所有者の気持ちに付け込んだ詐欺もあります。
上記の詐欺は、不動産業者を名乗り、「土地を買い取りたい」と連絡してくるため、話を聞かずにきっぱりと断りましょう。
なお、土地の処分を検討する際におすすめの方法は以下の4つです。
- 相続土地国庫帰属制度を利用する
- 自治体に寄付する
- マッチングサイトに登録する
- 不動産会社に相談する
上記の中から処分方法を選ぶのに迷った際は、不動産会社へ相談しましょう。
とくに、需要がない不動産に特化した不動産買取業者は、需要が少ない土地でも売却できる可能性があるので、おすすめです。
アルバリンクは需要がない土地・建物の買取に特化している不動産買取業者です。
他社が取り扱わないような土地でも、査定・買取をしております。
原野のような需要がなさそうな土地でも、まずはアルバリンクに相談・査定依頼してみてください