誤った共有持分は更正登記ですぐ訂正!余計な税金を回避する手順を解説

共有名義不動産

共有名義として不動産を購入、相続する際に、
夫婦であまり深く考えずに共有持分の割合を登記してしまった…
このままでは贈与税がかかると耳にしたがどうにか回避できないだろうか…
このように誤った持分割合で登記してしまい、後から間違いに気づくケースが少なくありません。

本来は、購入時の出資割合や相続時の法定相続分によって持分割合を決めます。

にもかかわらず、上記と異なる持分割合で登記すると、余分な税金がかかったり、受けられるはずの税金控除が受けられなかったりと税金面で不利益が生じます。

登記内容の誤りに気づいたら、すぐに「持分更正登記」で誤りを修正して、上記のような不利益を回避しましょう。

また、さらなる間違いを繰り返さないためにも、個人ではなく専門家である司法書士に依頼して正確に登記するのがベストです。

この記事では、持分更正登記の概要から、誤って登記された共有持分を放置するリスク、持分更正登記の手順について解説します。

知らずのうちに多額の税金を徴収されたり、本来受けられるはずの税金控除を逃さないために、この記事を読んで対処してください。

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更正登記とは何か

更正登記とは「所有権」「抵当権」などさまざまな種類の登記に関して「最初から間違いだった」ということを申請し、登記事項証明書(登記簿)を正しい内容に直す手続きです。

更正登記の中で所有権に対して行われるのが「所有権更正」です。

この記事では、所有権更正の中でも特に多い「持分更正登記」を取りあげます。

更正登記の種類について

持分更正登記とは「登記簿に記載されている持分割合のみを変更する手続き」です。そのため、あくまで更正の前後で共有者は変わりません。

例えば、夫婦で誤って出資割合と異なる持分割合で登記してしまった等で、共有者は夫婦のまま持分割合だけ訂正したい場合に持分更正登記が用いられます。

共有持分割合が誤っていたらすぐに持分更正登記が必要

すでに登記されている持分の誤りに気付いた共有者は、すみやかに持分更正登記を行う必要があります。

正しい共有持分を登記簿に反映させなければ、各共有者が税金面で不利益を受ける恐れがあるからです。持分割合の誤りによって生じる税金面のリスクについては、後ほど詳しく解説します。

ここからは、どのような場合に誤って登記されてしまうのか、典型的な事例を確認します。

持分割合が誤って登記される典型的なケース

持分割合が誤って登記される典型的なケースは「夫婦共同で不動産を購入するとき」です。あまり深く考えずに「夫婦二人で共有名義にするなら半々で構わないだろう」と、夫婦2分の1ずつで登記してしまう人がいます。

本来であれば、資金を出し合って共有名義で不動産を購入したときは「出資割合」に応じて持分割合を登記しなければなりません。詳しくは後述しますが、出資割合に合わせて持分割合を登記しないと、本来払う必要のない「贈与税」が発生してしまうからです。

もちろん、誤ったからといって取り返しが付かない訳ではありません。誤った持分割合で登記してしまった場合は、共有者を変えずに持分だけ正す「持分更正登記」で早めに訂正することで贈与税を免れることが可能です。

また、すでに贈与税を支払っている場合でも、持分移転登記を行ってから税務署で修正申告をすることで、贈与税が還ってくる可能性があります。

具体的には、贈与税の申告期限である、「不動産を取得した翌年の3月15日」から数えて5年以内であれば修正申告が可能です。

共有持分割合の正しい決め方

共有持分割合を正しく決める方法を「新規購入時」と「遺産相続時」に分けて解説します。

新規購入時

不動産を購入する場合は、基本的に「費用を負担した割合に応じて共有持分を決める」のが正しい方法です。住宅ローンを組んでいる場合は頭金、そしてローンの負担額をすべて考慮して負担割合を算出します。

具体例をもとに見ていきましょう。

夫婦共同で「6,000万円の不動産」を購入する例
  • 夫 5,000万円の住宅ローン
  • 妻 1,000万円の頭金

この場合、夫の持分割合は「6分の5」、妻の持分割合は「6分の1」となります。

不動産を購入する場合、「資金の出どころが誰か」という点が非常に大切で、出資割合と持分割合がアンバランスだと税金的に共有者の不利益となることがあります。
共有者にどのような不利益が生じるのかについては「共有持分を訂正しないと起こるリスク」で解説します。

遺産相続時

一方で、不動産を相続する際の持分割合は「遺産分割協議」で相続人全員が合意すれば自由に決定できます。協議によって持分割合を決めない場合や、そもそも協議を行わない場合は、「法定相続分」がそのまま持分割合になります。

遺産分割協議
相続人(遺産を受け継ぐ人)全員で遺産の分け方を話し合うこと
法定相続分
民法上の基準として定められている、各相続人が遺産を受け継ぐ取り分のこと

共有持分を訂正しないと起こるリスク

誤った共有持分を放置することによって起こり得るリスクを解説します。

贈与税が発生する

出資割合が少ないのに登記上の持分割合が多い人は、他の共有者から「共有持分の贈与を受けた」とみなされて贈与税の課税対象になることがあります(いわゆる「みなし贈与」)。
持分割合と負担割合は揃える
例えば、5,000万円の不動産を購入するために、「夫3,000万円」「妻2,000万円」を出資したとしましょう。このとき、本来持分割合は「夫5分の3」「妻5分の2」でなければなりません。

しかし「夫2分の1」「妻2分の1」で登記していると、「10分の1」については夫から妻に贈与したとみなされます。

不動産の場合は登記簿に持分が記載されることから、他の財産より贈与が発覚しやすいといえます。

不動産を取得した人全員に対してではありませんが、税務署から不動産所有者に対して「資金の出どころについてのお尋ね」がされる場合があります。

税務署からのお尋ねに対し、出資の割合に従って登記されていることを客観的に証明できなければ贈与税を課せられてしまうかもしれません。

例えば、妻が結婚後ずっと専業主婦だったのに2分の1の共有持分を持っている場合は「妻の結婚前の預貯金から出資したこと」を示すため、税務署に通帳を提示するなどの対応が必要です。

住宅ローン控除金額が減る

連帯債務を利用して共有不動産を購入した人は、実際の債務負担割合より低い持分割合で登記していると、「住宅ローン控除」で受けられる控除額が減少します。

住宅ローン控除
年末時点のローン残高に応じて、毎年の所得税や住民税が控除される制度。

本来なら、控除額を算出する基準となるのは「年末の住宅ローン残高」です。

しかし、
「夫婦の債務負担割合で算出したローンの金額」
「登記している持分を取得するために本来負担するべきローンの金額」
この2点が食い違う場合は、「どちらか低い金額」を基準に住宅ローン控除の基準額が決まってしまいます。

例えば、夫婦が連帯債務で6,000万円の住宅ローンを組み、夫婦のローン負担割合を「夫6:妻4」に定めたとします。共有持分も「夫10分の6」「妻10分の4」で登記していたら、夫は3,600万円を基準に住宅ローン控除を受けられるはずです。

しかし、夫婦の共有持分を2分の1ずつにした場合、夫が2分の1の持分を取得するために本来負担すべきローンの金額は3,000万円であったのに、600万円分多く負担していると考えられます。

そこで控除の上限額としては共有持分を取得するために必要である「3,000万円」の基準までしか認められないのです。

持分更正登記の手順

持分更正登記の手順を解説します。持分更正登記については、最初の段階から専門的な判断が必要になる点が多いため、司法書士に相談、依頼することが一番確実な方法です。

司法書士に依頼した場合の流れはこのようになります。

  1. 依頼者は現在の登記の間違いと、訂正したい内容を確認して司法書士に伝えます。
  2. 依頼者は司法書士から準備する書類の指示を受けます。
  3. 依頼者が書類を準備したら司法書士は登記申請書を作成し、法務局に登記を申請します。
  4. 10日~1カ月くらい(各法務局による)の期間を経て登記が完了したら、司法書士は法務局から全部事項証明書(登記簿)や登記識別情報通知などの書類を受領し、依頼者に返却します。

持分更正登記の必要書類

持分更正登記の必要書類は「持分が減る人」「持分が増える人」のどちらかによって異なります。

ここからは、持分更正登記の必要書類を解説していきます。

必須の書類

持分が減る人、持分が増える人のどちらにも必要となる必須の書類は以下の通りです。

登記原因証明情報
持分更正の原因となる事実を詳細に記載します。
申請人全員の委任状
持分更正登記を司法書士に依頼する場合には、登記義務者(持分が減る人)と登記権利者(持分が増える人)の両者が委任状に記名押印しなくてはなりません。
登記原因証明情報、委任状は通常司法書士が作成するため、依頼者は記名押印するだけで差し支えありません。

持分が減る人(登記義務者)の必要書類

持分が減る人は登記申請をする上で「登記義務者」とよばれます。持分更正登記で登記義務者に必要な書類は以下の通り。

登記識別情報(法務局がオンライン化される前に所有権を取得した人は登記済証)
持分が減少するという不利益を受けるため、登記識別情報を提供することにより今回の登記を承諾している意思を法務局に示します。
印鑑証明書(発行から3カ月以内)
登記義務者は委任状に実印を押印する必要があるので、印鑑証明書が必要になります。

持分が増える人(登記権利者)の必要書類

持分が増える人は登記申請をする上で「登記権利者」とよばれます。

「持分更正登記」では、従来からの共有者の持分が増減するだけで新たな人が加わるわけではないので、住民票等も不要です。

そのため登記権利者の必要書類は、必須書類である登記原因証明情報と委任状のみとなります。

持分更正登記の費用

持分更正登記の費用は総額で最低4万円くらいからになると考えられますが、登記内容や依頼先の司法書士により大きく異なります。

登記費用は大きく分けて「登録免許税、司法書士報酬、登記簿謄本代等の実費」となります

  • 登録免許税は更正する不動産一つにつき1,000円
  • 司法書士報酬は各事務所により異なり、不動産一つにつき「3万円~8万円」程度
  • 実費部分も不動産の個数により異なるが、数千円くらい

司法書士報酬がどのくらいになるかで費用全体が大きく変わるため、あらかじめ依頼先候補にしている司法書士事務所に見積もりを依頼することをおすすめします。

登記申請書の雛形

ABが「各2分の1ずつ」の持分で共有していた不動産を「A:持分3分の2」「B:持分3分の1」とする更正登記の登記申請書は次のようになります。

登記申請書
「登記の目的」  何番所有権更正 ※「何番」とは登記簿の順位番号を示しています。
「原因」     錯誤
「更正後の事項」 A持分3分の2 B持分3分の1
「権利者」    〇市〇町〇丁目〇番〇号
「義務者」    〇市〇町〇丁目〇番〇号
「添付書類」   登記原因証明情報、登記識別情報、印鑑証明書、代理権限証書

更正登記は司法書士に

更正登記は、最初の段階から司法書士に相談し、登記申請も含めて依頼しましょう。

更正登記は他の登記と比べてもかなり難しく、登記の方法、登記申請人、承諾書が必要な利害関係人など様々な点で専門的判断が必要となるからです。

法律上の話だけでいえば所有者自らが登記申請をすることも可能ですが、登記申請書、添付書類すべてにおいて問題なく登記を完了させるのは困難です。

特に税務上の不利益を回避したい人はすみやかな手続きが要求されるため、報酬を支払ってでも司法書士に間違いのない手続きをしてもらうことが大切です。

まとめ

「持分更正登記」の概要や、誤った持分割合で登記された状態を放置するリスク、持分更正登記の方法について解説してきました。

誤った持分割合で登記された状態を放置してしまうと、本来払う必要のない贈与税がかかったり、住宅ローン控除の金額が減少したりと税金面で不利益が生じます。

ですが、「持分更正登記」を申請すれば、これらのリスクを回避することが可能です。

注意点としては、持分更正登記を個人で行うと手続きに不備が生じて、訂正が認められなかったり、さらに贈与税がかかる可能性があること。

そのため、持分更正登記を正確に申請するために、個人ではなく専門家である司法書士に依頼しましょう。

 

持分更正登記に関するよくある質問

不動産購入時には、本来「出資割合」に応じて持分割合を設定する必要があります。 出資割合と大幅に異なる持分割合を設定してしまうと、「みなし贈与」となり余計な贈与税がかかるリスクがあります。 誤った持分割合は放置せず、早めに「更正登記」で訂正することをおすすめします。
持分更正登記に必要な書類は以下の通り。
  • 登記原因証明情報
  • 登記識別情報・登記済証(更正登記によって持分が減る人が用意)
  • 印鑑登録証明書(更正登記によって持分が減る人が用意)
更正登記は、最初の段階から司法書士に相談し、登記申請も含めて依頼しましょう。 更正登記は他の登記と比べてもかなり難しく、登記の方法、登記申請人、承諾書が必要な利害関係人など様々な点で専門的判断が必要になるからです。
監修者
西岡容子司法書士

西岡容子司法書士

プロフィールページへ
熊本にて夫婦で司法書士西岡合同事務所(平成18年4月開設)を営む。
10年以上の実務経験で、不動産関連登記の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。

日本司法書士会連合会

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