地代値上げ請求の条件
地主が借地人に対して地代の値上げを行うための要件は借地借家法で以下のように定められており、借地人の同意を得て行う必要があります。
土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき
条文の内容をまとめると、以下の3つに集約されます。
- 土地の租税・公課が増加した場合(主に固定資産税と都市計画税)
- 地価の上昇などの経済情勢の変動が起こった場合
- 近隣類似の土地の地代と比較して不相当な場合
基本的には不動産を取り巻く環境に依存する内容となっています。
国内でも都市部は地価が値上がりしていますので、場合によっては地代の値上げを迫られる可能性もあると言えるでしょう。
では、実際に地代の値上げ要求があった場合の具体的な方策について考えてみたいと思います。
なお、地主が地代を値上げするには正当事由も必要です。
以下の記事で正当事由について詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
地代の値上げを要求されたらまずすべきこと
地主から地代の値上げを要求されたら、借地人はまず下記2つを確実におこなってから、地主との交渉に臨みましょう。
詳細は後述しますが、契約書の内容によってはそもそも地主からの値上げに応じる必要がありませんし、不当に高い値上げを要求されている可能性もあります。
それでは、具体的に説明していきます。
賃貸借契約書の記載内容を確認する
地主から地代の値上げを要求されたら、まずは賃貸借契約書に地代の値上げについて記載されている箇所があるか、確認しましょう。
地代の値上げに関する記載があれば、その内容にしたがって地主との交渉・相談を行う必要があります。
記載内容によっては、そもそも借地人にとって交渉・相談の余地がなく、地主からの値上げ要求に応じなければなりません。
また、賃貸借契約書に記載が無くても、借地借家法では一定の条件の下、借地人の同意を得て値上げを行う権利が認められています。
なお、賃貸借契約の中で「一定の期間、地代等を増額しない特約」が定められているケースもありますが、定められた年数を超えれば地代の増額が可能になるため、注意が必要です。
土地の価格を把握しておく
地主と交渉する前に、土地の価格を確認しておきましょう。
地主から要求されている地代の値上げ額が、適正な価格かどうか判断できるからです。
また、借地人ご自身の経済状況から、値上げ後の地代が支払えない方は、自身の収入等を明記した資料を用意しておくことで、地主を説得しやすくなる可能性もあります。
そのほか、周辺の類似物件の賃料帯の推移や、土地に関する税制の変更内容の有無なども事前に把握しておくと、話し合いを円滑に進められます。
下記の記事で地代の計算方法をわかりやすく解説していますが、不動産会社に依頼して直接聞くのが最も確実で、すばやく確認できます。
弊社は物件の査定や地代の価格の調査を無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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地代の値上げを巡る地主との交渉テクニック
前述したとおり、賃貸契約書の記載内容や、地代の参考となる価格を把握したら、いよいよ地主との交渉がはじまります。
ここでは、地代の値上げを要求してきた地主と交渉する際の、下記3つのテクニックをご紹介します。
ひとつずつ、具体的に見ていきましょう。
値上げの根拠を地主に確認する
借地人としては、喜んで地代の値上げに応じるということは稀だと思いますので、値上げを踏みとどまってもらうための交渉・相談になることがほとんどでしょう。
交渉をおこなう際は、まず地主が値上げしたいと考える根拠・判断基準について提示してもらうようにしましょう。
可能であれば、その際に参考にしたデータや資料などを見せてもらうとなお良いです。
自身で調査してきた土地の価格や周辺の地価、賃料の推移等とも照らし合わせて、お互いが納得できる地代を決められるよう、交渉しましょう。
感情的にならず、落ち着いて話をする
値上げ幅によっては、値上げを拒否するか、もしくは転居・退居を選択するかの二択となってしまう場合もあるかと思います。
つい感情が高ぶることもあるかと思いますが、できる限り冷静に、柔らかい態度で望むことが重要です。
感情的になってしまえば、交渉がこじれる原因となります。
値上げの妥当性への反論、自身の経済状況の説明などはできるだけ客観的に、そして落ち着いて順序立てて説明してこそ相手に伝わるものです。
地主に対して新たな選択肢を提示する
値上げ拒否もしくは転居・退居だけではなく、お互いの妥協案を見つけられるよう、新たな選択肢を提示することも重要です。
例えば、下記のようにお互いに妥協して痛み分けするという形に持ち込むことも一つの考え方です。
- 値上げ幅を縮小してもらう
- 値上げ開始時期を後ろ倒ししてもらう
- 値上げと引き換えに更新料を免除してもらう
その際、アピールしたいのは未来志向です。
地主からすれば、長期的に安定して地代収入を得たいと考えているはずですが、地代の値上げ交渉によって結果的に退居・長期空き家というようなことになってしまえば、元も子もありません。
現住居が気に入っているのであれば「現住居に満足しているので地代の値上げがなければ長期居住したいと思っているのですが・・・」といった一言を添えるのも有効です。
交渉が不成立の場合の対応
残念ながら交渉が不成立となった場合でも、土地を借りている間は地代を支払い続けなければなりません。
地代の値上げ論争に決着をつけるには、民事調停や訴訟をおこす必要がありますが、それまでの間、支払う地代はどうなるのか、具体的に説明していきます。
もし、交渉が不成立となったことで転居・退居を検討している場合は、専門の買取業者に相談してみましょう。
詳細は時間や費用をかけずに解放されたいなら専門の不動産買取業者に相談で後述しますが、専門の買取業者であれば、地主との交渉がもつれてしまっている借地権付きの物件も、そのまま売却できます。
従来の地代額を支払い続ければ転居・退去に応じる必要は無い
交渉・相談で話がまとまらなかった場合、地主から転居・退居を要請されることがあるかもしれません。
また、地主との話し合いがまとまらないまま、値上げした地代の適用が開始してしまうこともあるでしょう。
しかしこのようなケースでも、値上がり前の家賃を払い続けていれば転居・退居をする必要はありません。
話し合いがこじれてしまってもその物件に住んでいる間は従来の家賃を支払いましょう。
交渉が妥結しなかったからと言って、家賃を支払わないと家賃滞納となってしまい、そのことを理由に賃貸借契約を解除されてしまう可能性があります。
地主に地代の受け取りを拒否された場合は「供託」を利用する
交渉がまとまらないまま、値上げした地代の適用が開始すれば、値上げ前の金額の地代の受け取りを地主から拒否されるケースも考えられます。
その場合は、法務局の「供託」という制度を利用して、地代を納めましょう。
供託とは、法務局(地方法務局やその支局など)などの法務大臣が指定する出張所である「供託所」に地代を預けることで、地代などを支払ったこととみなす制度のことを言います。
今回のような地代の受取拒否や、地主が行方不明で地代を支払えないケースなどは、そのままにしておくと地代の滞納とみなされ、借地権や賃貸契約が解除されることにもつながります。
そのようなことを防ぐために、一旦「供託所」に供託し、その後の適切な処理の完了を待つことができます。
なお、和解に至れば、この供託金の還付を受けとれます。
手続きには実印・印鑑証明・住民票などが必要となりますので、申請書類とともに供託所に提出し、還付を受けましょう。
参考:法務省:供託手続
地代の値上げを拒否して地主との交渉が決裂したら民事調停の申立を行う
先ほど少し触れましたが、地主との交渉が決裂した場合、まずは民事調停によって和解を目指すことになります。
民事調停は訴訟よりも手続きが容易で、所要期間が短いなどのメリットがありますので、できれば民事調停によって和解するのが望ましいと言えます。
とはいえ、弁護士への依頼費用として数十万円かかりますし、結局和解できないこともあります。
費用の支払いを地主と相談して折半するとしても、あなたにとって高額な負担であることに変わりはありません。
詳細は後述しますが、民事調停によっても地主、借地人の間で合意できなければ訴訟に発展してしまい、さらに費用がかさんでしまいます。
もし、「そこまでして住み続けたくない!」という方は、専門の不動産買取業者に直接売却することで、費用も時間もかけずに引っ越すことも可能です。
詳細は時間や費用をかけずに解放されたいなら専門の不動産買取業者に相談にて解説します。
弊社も、借地権がある物件の扱いに長けた買取業者ですので、地主とのトラブル等で転居を検討している方は、まずご相談ください。
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①民事調停の申立て
地代の増減額に関する請求を行うには、まず最初に調停の申立てを行う必要があります。
調停の申立をせずに訴訟を起こした場合は、裁判所が調停に変更して受理します。
②調停委員会の裁定
民事調停では、地主と借地人の間に裁判所が入り、裁判官1名と調停委員2名(主に弁護士や不動産鑑定士)から構成された調停委員会が、専門的見地から紛争の解決に当たります。
調停委員会は、地主と借地人双方の意見を聞き、提出された資料などを元に調停案を示します。
調停案には具体的な地代の金額が示されており、調停委員会は地主と借地人の双方にその金額で合意するかしないかの決断を求めます。
調停案の内容について、地主や借地人が委員会に対して交渉したり反論したりする余地は原則ありません。
案件にも寄りますが、申立てから調停案の受諾までは、1年程度かかります。
調停の過程では、1ヶ月〜2ヶ月ごとに話し合いの場を設け、地主と借地人の双方の意見や資料がすべて出揃うまでに話し合いを3〜4回行い、調停案に折り合いをつけるのに1〜2回かかりますので、概ね1年ぐらいかかることがほとんどです。
調停委員会の調停に成立の見込みが無ければ、裁判所は調停委員の意見を聞き、当事者双方の意見や事情を鑑みて、その職権で当事者双方の申立ての趣旨に反しない範囲で、裁定を下すことがあります。
この裁判所の告知に対しても、当事者は告知から2週間内に異議申し立てをすることができ、適法な異議申し立てであれば裁判所の決定は効力を失います。
異議申立てが適法でない場合、申立ては却下され、異議がない場合は、和解が成立したとみなされます。
調停は約1年ほどの時間はかかるものの、ここで合意が得られないと訴訟に発展しますので、早期解決を望むのであれば、裁定和解を受けることが望ましいと言えます。
調停でも解決しない場合は、訴訟によって裁判所の判断を仰ぐ
前述した調停においても、地主と借地人とで合意できなければ、訴訟を起こし、裁判所に地代等増減額請求の成否を判断してもらうことになります。
裁判所の判断によって、地主からの請求が認められた場合、地代の値上げ請求をした時点から当日までの増額が認められることとなり、借地人は未払い分の差額を支払わなければなりません。
地主の請求が却下された場合、地代は増額されません。
また、借地借家法では、地代の増額を正当とする裁判が確定するまでの間は、裁判所が相当と認める額の地代等を支払うこととなっています。
加えて、裁判が確定した場合において、すでに支払っている地代の額に不足がある場合、その不足額に年1割の利息を付加して支払うように規定されています。
ちなみに、借地人が起こした地代の減額訴訟においても、裁判が確定した段階で地主が支払いを受けた超過額に年1割の利息を付して返還することを規定しています。
時間や費用をかけずに解放されたいなら専門の不動産買取業者に相談
ここまで、地主から地代の値上げを要求された場合の交渉術や対応について、解説してきました。
地代の値上げを要求され、交渉がうまくいかず地主との関係が悪くなることや、調停や訴訟の結果実際に地代が実際に増額してしまえば、このまま住み続けたくないと感じる方もいるかと思います。
このように、借地権のある物件を売却したければ、専門の不動産買取業者に相談しましょう。
借地権のある物件の扱いを得意とする不動産買取業者であれば、地主との交渉を借地権者の代わりにおこなったうえで、1週間から1ヶ月程度で買い取ってくれます。
また、売却時に売主が負担する費用は一切ありませんので、民事調停や訴訟をおこなう費用を用意できない方にもおすすめです。
以上のように、地主との交渉が決裂している物件も、専門の買取業者に直接売却することで、借地人(売主)自身は一切の手間や費用をかけずに手放せます。
まとまった売却額を元手に、新しく新居へスムーズに引っ越し、地主とのトラブルから解放されましょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国にある借地を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
過去にはフジテレビの「newsイット!」にも、訳あり物件専門の買取業者として紹介された実績もあります。
弊社なら、あなたの借地権付き建物を適正価格で買い取ることができます。
弊社には、買い取った借地権建物を活用して収益化を図れる独自のノウハウがあるためです。
たとえば、弊社では以下のような借地を190万円で買い取った実績もあります。
築年数 | 54年 |
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物件の所在地 | 東京都荒川区 |
借地の状況 | ・10坪ほどの土地に木造2階建の戸建が建っている ・建築基準法を満たしておらず再建築できない土地 |
借地売却に関する地主様の要望 | ・売却を承諾するための費用(譲渡承諾料)を更地価格の10%とする ・借地の更新料を更地価格の8%~10%とする ・宅建業者が買い取った場合、転売時に承諾料を支払うこととする など |
買取価格 | 190万円 |
買取時期 | 2023年8月 |
上記の「借地売却に関する地主様の要望」を見て頂けばわかるように、この借地は売却に関する地主様の要望が厳しく、依頼主様(借地人)は他社では買取を断られてしまったようです。
とくに転売時に承諾料がかかることは買取業者にとって直接的な負担となるため、買取を敬遠する業者が多いのも当然といえます。
このように、地主の要望が厳しく、再建築もできず、建物の築年数も古い借地であっても、弊社が190万円で買い取れる理由は以下の2つです。
- 土地の利権に強い弁護士と提携しており、利権問題を解決した上で運用・再販できるため
- 借地の再販先が豊富であり、買取に際して費用がかかっても(承諾料など)利益を生み出せるため
実際、弊社は底地・借地をはじめ、訳あり不動産の買取実績が600件以上(2023年1月〜10月時点)あり、これまで買取をおこなったお客様からも「買い取ってもらえてホッとした」「早く依頼すればよかった」といった好意的な評価を多数いただいております。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
底地・借地を手間や費用をかけることなく、なるべく高値で売却したい方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたことが、借地人or地主 に知られることはありませんので、ご安心ください)。
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なお、以下の記事でも借地の売却方法について詳しく解説しています。
併せて参考にしてください。
まとめ
地主から地代の値上げを持ち掛けられた場合の交渉テクニックや、民事調停等の流れについて、解説してきました。
地主との話し合いをスムーズに進めるためには、借地人自身で土地の価格を把握しておくなど、説得できる情報を事前に集めておくことが重要です。
もし交渉で折り合いが付かなければ、民事調停や訴訟で解決させることになり、数十万円もの費用や、年単位の時間がかかります。
地主との関係が悪化し、住みづらくなってしまうこともあるでしょう。
「そんなことをするくらいなら売却したい」という方は、借地権のある土地の買取も得意とする不動産買取業者に相談してみてください。
地主との交渉を買取業者が代わりにおこなうので、あなたは手間も費用もかけることなく、1週間から1ヶ月程度でスムーズに手放し、売却額をゲットできます。
ここまでご案内してまいりました、弊社「株式会社Alba Link(アルバリンク)」は、借地権のある物件も、全国的に買い取っています。
「地代の値上げ交渉をされ、どうしようか途方に暮れている」という方も、ぜひご相談ください。
不動産に詳しい弁護士とも連携しているので、具体的なアドバイスを提示することも可能です。
もちろん、土地の価格の査定のみでも大歓迎です。
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