共有私道の種類は2つ
一口に共有私道といっても以下の2種類があり、それぞれのケースで起こり得るトラブル事例は異なります。
そのため、まずは自分の家の前面道路がどちらに該当しているのかを確認することがポイントです。
2種類の共有私道について、それぞれ詳しく解説します。
共同所有型(持分共有型)
共同所有型(持分共有型)は、ひとつの私道を複数人で所有している状態です。
たとえば、以下画像のように、私道に面する6つの家の所有者が私道を共有しているときには、それぞれ6分の1ずつの割合で持分を所有します。
共同所有型の私道を利用するときの民法上の制限
共同所有型では民法249条に基づき、各共有者はそれぞれの持分に応じて私道を使用できます。
そのため、ほかの共有者の同意がなくても、私道を自由に通行可能です。
ただし、私道の管理などを行うには、ほかの共有者の同意がなければなりません。
私道に関して各共有者ができる行為は、民法で以下のように定められています。
行為の種類 | 行為に必要な同意要件 |
---|---|
保存行為 | 共有者が単独で可能 |
管理行為 | 共有者の持分の過半数の同意が必要 |
変更(処分)行為 | 共有者全員の同意が必要 |
保存行為・管理行為・変更(処分)行為の具体例は、以下画像の通りです。
なお、以下の記事でも共有者が共有物に対してできる行為を詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
持分に応じて費用を負担する必要がある
共同所有型の私道では、固定資産税や補修などにかかる維持管理費といった費用を、私道の共有者がそれぞれの持分の割合に応じて負担する必要があります。
この費用の負担を巡ってトラブルが起こることがあるため、注意が必要です。
詳しくは、後述の「共有者が管理費などの負担を拒否する」の項目で解説します。
相互持合型(分筆型)
相互持合型はひとつの私道を分割し、私道に面する家の所有者が割り振られた区画を単独名義で所有するタイプです。
共同所有型とは違って私道を共有する形態ではないため、自分が所有している私道の区画の管理に関してほかの共有者の同意は必要ありません。
しかし、公道から自分の敷地にガス管や水道管を設置する工事を行うなど、ほかの所有者の区画に影響を与えるような行為をするときには、事前に許可を得る必要があります。
この許可を巡り、トラブルが起こるケースは少なくありません。
詳しくは、「相互持合型で起こりがちな2つのトラブル」の項目で解説します。
なお、共有私道にまつわる権利については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
【ケース別】共有私道で起こり得るトラブル事例
ここからは、共有私道で起こり得るトラブル事例について、共同所有型、相互持合型の2つのケース別に解説します。
共同所有型で起こりがちな3つのトラブル
共同所有型の私道でよく起こるトラブルは、主に以下の3つです。
それぞれのトラブル事例について、詳しく見ていきましょう。
共有者の意見がそろわずに管理できない
共同所有型の私道では、道路の補修などに関して共有者間の意見が対立し、管理が不十分になるトラブル事例が起こり得ます。
たとえば、砂利道にアスファルト舗装を施す工事は「管理行為」に該当するため、共有者の持分の過半数の同意がなければ実施できません。
そのため、管理が行き届かずに私道が荒れっぱなしとなり、土地の資産価値が下がってしまう恐れがあります。
共有者が管理費などの負担を拒否する
私道にかかる維持管理費用や固定資産税は、各共有者がそれぞれの持分割合に応じて負担します。
しかし、共有者の一部が費用の支払いを拒否するトラブルが起こるケースは少なくありません。
もし私道の共有者のひとりが固定資産税の納付を拒否して滞納したら、ほかの共有者に請求がいくこともあり得ます。
立て替えた費用をその共有者に請求することは可能ですが、支払いを拒否したら裁判を起こして取り立てなければならず、費用や手間がかかる点がデメリットです。
共有者が行方不明で管理できない
共有者の一部の行方がわからず、私道の管理をしたくても同意を取れないケースもあります。
この場合は、裁判所に認められたら、行方不明者を除いた共有者全員の同意で変更(処分)行為、行方不明者を除いた共有者の持分の過半数の同意で管理行為を実施可能です。
参照元:法務省民事局|民法改正と「共有私道ガイドライン」の改訂について
ただしそれには裁判所に申し立てを行わなければならず、やはり費用も手間もかかる点がリスクといえます。
なお、以下の記事では、共有私道の管理行為などについてのルールを取りまとめたガイドラインの改正点を詳しく解説しています。
共有私道に関するトラブルを避けたい方は、併せて参考にしてください。
相互持合型で起こりがちな2つのトラブル
一方で、相互持合型の私道で起こりやすいトラブルは、以下の2つです。
それぞれのトラブル事例について、詳しく解説していきます。
ほかの所有者に通行を妨害される
相互持合型の私道では、各所有者が分筆されたそれぞれの区画を単独名義で所有しています。
そのため、自分が所有している区画に自動車を停めるなどして、ほかの方の通行を妨害するトラブルに見舞われる恐れがあります。
ただし相互持合型の私道では、道路に面した家の所有者が自由に通行できるよう通行地役権を設定したり、通行に関する承諾書を互いに交わしたりするケースが一般的です。
民法第280条で定められた、他人の土地を通行できる権利のこと。
通行地役権や承諾書の内容を主張したら通行妨害トラブルを解消できる可能性はありますが、ほかの所有者が話し合いに応じてくれないときには、弁護士などの専門家に相談して解決の道を探るしかありません。
ライフラインを引き込めない
水道やガスなどの敷地への引き込みに際して、ほかの私道所有者の許可を得られないトラブルも起こり得ます。
また同意にあたり、法外な承諾料を請求されるトラブルも少なくありません。
道路の掘削に関する承諾料の相場は、3~10万円ほどです。
もし法外な金額の承諾料を請求されたときには、弁護士に依頼して対応してもらうことをおすすめします。
なお、以下の記事でも共有私道に関するトラブル事例について解説しているので、併せて参考にしてください。
共有私道でのトラブルを未然に防ぐ3つの方法
ここまで解説してきたような共有私道に関するトラブルを未然に防ぎたいのなら、以下の対策を講じるとよいでしょう。
それぞれの方法について、詳しく解説していきます。
購入前に道路の権利関係を確認する
これから私道に接している土地の購入を検討しているのなら、事前に道路の権利関係を細かく確認しておくことをおすすめします。
たとえば相互持合型の私道だったら、通行地役権は設定されているか、もしくは通行やライフラインの掘削工事に関する承諾書があるかを確認しておくと、のちのトラブルを防げます。
私道が共同所有型か相互持合型のどちらなのかは、法務局で公図を取得すると確認可能です。
また公図で地番を確認し、その地番に該当する登記事項証明書(登記簿謄本)を取得すると、所有者や共有持分の割合などの権利関係がわかります。
【登記事項証明書の見本】
また、私道に関してトラブルが起こったことはないか、近隣の方に聞き込みをするのもひとつの手です。
近隣の方と良好な関係を構築する
私道に関するトラブルを未然に防ぎたいのなら、近隣の方と良好な関係を保つことが大切です。
日頃から積極的にコミュニケーションを図っておけば、私道の通行を妨害されるなどの嫌がらせを受けずに済むでしょう。
また、トラブルへと発展する前に、話し合いによって問題を解決できる可能性も高まります。
共有私道に関するルールを書面化しておく
共有私道の管理や費用などに関するルールを書面化し、私道の所有者間で共有する方法もトラブルを未然に防ぐうえで有効です。
たとえば相互持合型の私道の場合、「各所有者が自由に私道を通行できる」といったルールを設定して所有者間の同意を取りつけておけば、通行に関するトラブルが起こる心配がなくなります。
ただし私道の状況によって定めるべきルールは異なるため、弁護士などの専門家に相談しながら対応することをおすすめします。
共有私道で起こったトラブルへの対処法3つ
すでに共有私道でトラブルが起こっているときの主な対処法は、以下の3つです。
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
当事者同士で話し合う
共有私道でトラブルが起こったときには、まず当事者間で誠実に話し合うことが大切です。
ささいなことからトラブルへと発展するケースも少なくないため、話し合いから原因を探り、解決する方法はないかを考えましょう。
弁護士に相談する
話し合いではトラブルを解決できないレベルになってしまっているときには、弁護士に相談しましょう。
また、自分と相手の主張のどちらが正しいのかがわからない、何を話せばよいのかがわからないといったケースでも、弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士に相談すると、法的な視点からトラブルの解決策を提示してくれます。
またトラブル相手との話し合いも弁護士が代わりにおこなってくれるので、精神面における負担を軽減できる点もメリットです。
ただし、弁護士にトラブルの解決を依頼するときには数十万円ほどの費用がかかります。
仮にトラブルを解決できたとしても、その後もトラブルの当事者と顔を合わせる機会が多いことも覚悟しなければなりません。
売却する
「共有私道に関するトラブルが起きていて自分では解決できない」
「弁護士へ依頼する手間や費用をかけずにトラブルから解放されたい」
といった方は、共有私道に接する家の売却を検討するとよいでしょう。
共有私道に接する家を売却すれば、トラブルから完全に解放されます。
また、まとまった現金を手に入れられるため、それを元手に新たな家へと住み替えられる点もメリットです。
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まとめ
共有私道には「共同所有型」「相互持合型」の2種類があり、それぞれ起こり得るトラブル事例が異なります。
共有私道におけるトラブルを未然に防ぎたいのなら、日頃から近隣の方と良好な関係性を保つとともに、費用や管理方法、使用方法などの関するルールを定めておくことが大切です。
すでに共有私道のトラブルが発生していて自分では解決できそうにない、トラブルに見舞われたくないといった場合には、共有私道に接する家を売却するのは選択肢のひとつです。
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