空き家の固定資産税の基本
まず、空き家の固定資産税についての基本知識を押さえておきましょう。
空き家の固定資産税は「住宅用地の特例」で減免されている
前提として、空き家のある土地には「住宅用地の特例※」が適用されているため、もともと固定資産税と都市計画税が減免されています。
マイホーム、マンション、アパートなど居住用の建物の建つ土地に対する固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3まで減額される特例のこと。
たとえ空き家でも居住用の建物が建っていれば特例の適用を受け、固定資産税が安くなっているのです。
例えば、面積180㎡の土地で固定資産税評価額が土地1,300万円、建物300万円の場合、固定資産税と都市計画税は以下の金額です。
固定資産税額=1,600万円×1/6×1.4%=37,333円
都市計画税額=1,600万円×1/3×0.3%=15,999円
計=53,332円
もし建物を解体した場合は住宅用地の特例の適用を外れるので、以下の金額になります。
固定資産税額=土地の固定資産税評価額1,300万円×1.4%=182,000円
都市計画税額=土地の固定資産税評価額1,300万円×0.3%=39,000円
計=221,000円
このように特例の有無によって税負担が大きく異なるので、空き家の維持管理が負担だからといって、安易に解体することはおすすめできません。
「特定空き家」に指定されると固定資産税が高くなる
空き家は安易に解体すべきでないとお伝えしましたが、空き家を放置すると「特定空き家※」に指定され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる恐れがあります。
そのまま放置すると倒壊や衛生上の問題、景観の損害など、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす可能性が高いと判断された空き家のこと。
参照元:e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法第2条2項」
特定空き家に指定されると住宅用地特例から外れるため、固定資産税・都市計画税が増額されます。
その後も行政からの改善指導や勧告、命令に従わないと、最終的に行政代執行(解体など)とその費用請求を受けることになるので、空き家の放置も厳禁です。
空き家の固定資産税がいつから6倍になるのか、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

空き家の固定資産税を滞納すると差し押さえを受ける恐れがある
空き家の固定資産税が払えず滞納し続けると、財産の差し押さえを受ける恐れがあります。
まず、固定資産税の支払いが遅れると、納期限の翌日から以下の「延滞金」が発生します。
延滞金の割合は「納期限の翌日から1カ月」を過ぎると約2倍(年14.6%)になるため、遅れれば遅れるほど支払いが困難になる可能性が高いです。
再三の督促にもかかわらず滞納を続けると、給与や預貯金、不動産など、すべての財産を差し押さえられてしまうため、空き家の固定資産税の納付が難しい場合は、早い段階で自治体に分割や減免などを申請することをおすすめします。
参照元:e-Gov法令検索「地方税法第369条~373条」
空き家にかかる税金のすべては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

空き家の固定資産税減免申請5つの流れ
ここからは、空き家の固定資産税減免申請の具体的な手続きを解説します。
1.自治体に事前相談する
空き家の固定資産税の減免申請をする前に、減免を受けられるかどうか、自治体に事前相談しましょう。
国土交通省の調べによると、2023年12月の時点で全国66市町村が何らかの固定資産税減免措置を実施しており、以下はその一例です。
ただしすべての自治体で実施しているわけではないので、空き家を解体する前に確認することが大切です。
各自治体のホームページの検索窓で「空き家 固定資産税」と検索してみましょう。
2.自治体による調査を受ける
事前相談の後、申請者と物件が補助対象の要件を満たしているか、自治体による現地調査を受けます。
調査では空き家の状態(構造、劣化度合い、居住可能性など)がチェックされ、自治体が定める措置対象の空き家に該当するかどうかを判定します。
自治体によっても異なりますが、固定資産税が減免される要件はおおむね以下のとおりです。
【減免される人】※多くの自治体で共通
- 除去した空き家のある敷地の所有者
- 税の滞納がないこと
【減免の対象となる空き家】※自治体により様々
- 市が「老朽空き家」と認定したもの(自治体の基準による)
- 自治体により、空き家になってから90日~10年以上経過したもの
- 1981年5月31日以前に建築されたもの
- 特定空き家などに指定され、住宅用地の特例が解除されていないもの、など
調査の際には申請者が立ち会うようにしましょう。
3.空き家を解体する
減免の要件を満たし、減免申請が通ったら、空き家の解体に着手します。
100万円以上かかる解体費用は基本的に所有者負担ですが、一部の自治体では空き家の解体費用を補助・助成してくれるところもあるので、チェックしてみてください。
【空き家の解体費用を補助・助成している自治体の例】
なお、補助金の有無や補助対象は自治体によって異なるので、空き家のある自治体のホームページで確認しましょう。
一軒家の解体費用の相場は以下の記事で詳しく解説しているので、空き家の解体費用が気になる方は参考にしてください。

4.減免申請を行う
空き家の解体が済んだら、固定資産税の減免申請を行います。
申請書面の記載事項はおおむね以下のとおりです。
- 除却した空き家の所在地
- 登記上の敷地面積
- 空き家の構造
- 床面積
- 除却年月日
ただし申請に必要な書類は自治体ごとに異なり、例えば徳島県鳴門市のように解体の前後の状態がわかる現場写真が必要なケースもあります。
また、補助金は解体後の審査で初めて交付が確定するため、解体前に受け取れるわけではない点にも注意しましょう。
5.翌年度の税額から減免が適用される
空き家の固定資産税の減免申請が通ったら、解体翌年度の固定資産税額から減免が適用されます。
ただし空き家解体後の固定資産税が減免されても、100万~数百万円もの解体費用が実費負担になる点はデメリットと言わざるを得ません。
解体の実費負担をしたくない場合は、そのままの状態で空き家を手放せる方法がないかを模索してみましょう。
例えば空き家専門の買取業者なら、空き家を解体・リフォームせずにそのままの状態で買い取ってもらえます。
当サイトを運営する弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の空き家を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
自治体から老朽空き家に認定された空き家でも、問題なく買い取れる場合がありますので、お気軽にご相談ください。
空き家の固定資産税減免申請の2つの注意点
空き家の固定資産税減免申請が通れば固定資産税の負担が軽減されますが、以下の点に注意が必要です。
減免の要件は自治体によって異なる
固定資産税減免の要件は自治体ごとに異なります。
先述したように、空き家の要件は一定ではなく、補助対象期間についても解体翌年から2~10年と幅があります。
基本的に行政は「所有者によって税負担が異なることは適切でない」と、固定資産税に対し公平のスタンスを取っているため、減免措置を進んで実施しているわけではありません。
減免措置はあくまで特例と考え、他の節税方法も併せて検討しましょう。
減免措置が停止されることもある
一度減免を受けられても、途中で固定資産税の減免措置を受けられなくなることもあります。
例えば、以下のような場合には自治体の特例の要件から外れ、減免措置が停止される可能性が高いです。
- 相続以外の理由で空き家の所有者が変わる場合
- 空き家を営利目的で使用している場合
- 減免対象地が新たに住宅用地特例の適用を受けた場合
- 所有者が市税を滞納している場合
- 空き家が適正に管理されず、周辺住民の住環境に悪影響を与えた場合 など
2~10年の減免措置の期間内であっても、固定資産税が再び上がる可能性がある点に注意しましょう。
減免申請以外の空き家の固定資産税対策5選
空き家の固定資産税の減免申請をしても、要件を満たさなければ適用を受けられません。
そこで、減免申請以外で固定資産税を節税できる方法を紹介します。
結論から言うと、5番目の「買取業者」がもっとも簡単で、手間も費用もかからないのでおすすめです。
詳しくは後述します。
賃貸物件として活用する
空き家の家屋がそれほど老朽化していなければ、賃貸物件として貸し出すことも有効です。
空き家は傷みが早いだけでなく、湿気や害虫、害獣が住み着きやすくなります。
しかし空き家を賃貸すれば、人が住むことで建物の劣化が抑えられるだけでなく、家賃収入が入るメリットもあります。
昨今の資材高騰により新築を諦め、戸建ての賃貸住宅を探す人も増えているので、一定のニーズはあるでしょう。
ただし賃貸経営で収益化するには、物件の需要と経営ノウハウが不可欠です。
また、貸主は設備の修繕責任を負うため、もともと設備の老朽化が進んでいた場合は、修繕費用が家賃を上回る可能性がある点にも注意しましょう。
空き家を賃貸で活用する手順や注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。

更地にして土地活用する
空き家が老朽化して賃貸が難しい場合には、解体して更地にし、土地を活用することも1つの手です。
更地にして駐車場などで活用すれば、建物を維持管理する手間や費用がかからず、居住用物件ほどには立地も気にせずに済むでしょう。
ただし更地にすると住宅用地の特例から外れるので、固定資産税が高くなります。
なお、土地活用も賃貸経営と同様に綿密な収支計算が必要で、よほど収益を出さないと、解体費用やランニングコストで収支が赤字になりやすい点に注意が必要です。
空き家バンクに登録して活用者を探す
3つ目は空き家バンクに登録して空き家の活用者を探す方法です。
空き家バンクとは、空き家の売主・貸主と買主・借主をマッチングさせる自治体のサービスのことです。
空き家のある自治体の窓口で受け付けており、登録申請は無料で行えます。
ただし、運営する自治体は基本的にマッチングするだけで、仲介や売買契約のサポートはしてくれません。
買主との交渉やトラブル対応も自力で行わなければならないため、トラブル防止のためにも、契約時には専門家に立ち会ってもらう方が安心です。
以下の記事では、空き家バンクの実態・口コミを解説しています。

仲介業者に依頼して売却する
空き家の老朽化が進んでおらず立地も悪くなければ、仲介業者に依頼して売却することも考えましょう。
不動産仲介業者とは、物件を売りたい人と買いたい人を媒介し、契約手続きをサポートしてくれる業者のことです。
専門の媒体を通じて幅広く買主を探せるので、周辺の価格相場に近い高値で空き家を売却できる可能性があることがメリットです。
ただし、仲介業者が募集する一般の買主は「すぐに住める家」を探しているため、リフォーム前提の古い空き家を欲しがる人はなかなか見つからないでしょう。
実際、弊社が実施した「どのような中古住宅なら買いたいと思うか」のアンケートでも以下の結果が出ています。
アンケートからもわかるように、交通の便が良く築年数の浅い物件が好まれます。
上記に当てはまらない空き家は仲介での売却は困難なため、次項の方法がおすすめです。
買取業者に買い取ってもらう
空き家の老朽化が進んでいて立地も悪い場合は、専門の買取業者に買い取ってもらうことがベストです。
仲介業者では需要のない物件の売却は困難ですが、専門の買取業者なら築古や悪条件の物件でも買い取ってもらえます。
買取業者がどんな物件でも買い取れる理由は、豊富な物件再生ノウハウと広範な販路を持っていて、一般の買主に敬遠されるような物件でも確実に収益に変えられるからです。
さらに買取業者に空き家を直接売却するので、買主を探さない分スピーディーに現金化でき、仲介手数料もかかりません。
また、物件の買取後に業者が最適な方法で再生するので、売主が売却のために解体やリフォームをする必要もありません。
当サイトを運営する弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の築古空き家を積極的に買取・再販している専門の買取業者です。
弊社は訳あり物件専門の買取業者として、流動性の低い不動産を適正価格で買い取り、事業者や投資家などの優良な再販先に多数再販してきた実績があります。
例えば「特定空き家」に指定されてしまったような空き家でも、問題なく買い取れる場合があるので、空き家の固定資産税にお悩みの方は、ぜひ弊社へご相談ください。
>>【老朽化した空き家も高額売却!】無料で買取査定を依頼する
まとめ
空き家の固定資産税が減免されるには、自治体ごとに定められた要件を満たす必要があり、家屋の解体が求められることが一般的です。
その結果、固定資産税の減免は受けられても、100万円以上の解体費用は所有者が負担しなければなりません。
もし空き家の固定資産税を払い続けることが難しく、解体費用も捻出できない場合には、専門の買取業者に空き家を買い取ってもらうことが最善です。
専門の買取業者なら、立地や築年数などの条件が悪くても、問題なく空き家を買い取れます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の空き家を積極的に買い取ってきた実績豊富な買取業者です。
長年放置され老朽化が進んだ空き家や、立地の悪い物件でもご相談可能です。
空き家の固定資産税を負担に感じている方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。