別居中に住んでいる家を勝手に売られる可能性はある
別居中でまだ家に妻子が住んでいても、夫に家を勝手に売却される可能性があるかどうかは、「家の名義が誰にあるか」によって変わってきます。
それぞれ解説します。
旦那の単独名義で登記している場合は勝手に売却が可能
家の名義(登記)が夫の単独名義の場合は、妻に断りなく勝手に売却が可能です。
単独名義の不動産の売却は、契約から決済まですべての行為を名義人1人の意思で実行でき、配偶者に同意を求める義務もありません。
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
民法上は、夫が不動産の持分をすべて持っている場合、持分のない妻の同意や署名・押印を得なくても、不動産を自由に活用できるのです。
社会通念的には不条理かもしれませんが、配偶者による単独売却は合法行為で、夫は売却を予告する必要もありません。
つまり後述する予防策や対応策で、住んでいる側が自衛するしかないのです。
夫名義の家を売却されるケースについては、以下の記事も参考にしてください。
共有名義で登記していたら勝手に売却はできない
一方、家が共有名義で妻にも持分がある場合は、夫が家を勝手に売却はできません。
共有名義の不動産全体を売却する場合は、持分割合にかかわらず、名義人全員の同意が必要なためです。
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。中略)を加えることができない。
したがって、夫は妻の断りなく単独で不動産全体の売却はできません。
家が共有名義になるパターンとして一般的なのは、家の購入時に以下の方法で費用を分担した場合です。
- 夫が住宅ローン、妻が頭金を支払う
- 夫婦でペアローンなど共有名義の住宅ローンを組む
不動産を共同で購入する場合は、夫婦それぞれの負担割合に応じた不動産登記が必要であるため、共有名義にするのが一般的です。
例えば夫がローンの2,000万円、妻が頭金の500万円だとすると、「夫が所有権の4分の3、妻が4分の1」と登記しなければなりません。
登記した時点でその不動産は共有状態となっており、登記上の共有不動産の所有権を「共有持分」、割合を「持分割合」と呼びます。
もし家の登記簿に「持分〇分の1 氏名」とそれぞれの持分が記載されていたら、たとえ妻の持分割合が少なくても、妻の同意なく夫は家を売却できないのです。
不動産の共有名義については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
不正に共有名義の不動産全体を勝手に売却されることもある
まれに、共有名義の不動産全体を夫が勝手に売却してしまうケースもあります。
他の共有者の同意を得ずに、共有不動産の全体が売却されたということは、売却手続きに不正があった可能性が高いです。
というのも、不動産の売却時には新しい所有者への「所有者移転登記」が行われ、この際に共有者全員の印鑑と印鑑証明書が必要なためです。
仮に夫が妻へ断りなしに家を売却しようとしても、妻の印鑑証明がなければ売買を仲介する不動産業者や司法書士、法務局の担当官が気づくため、そもそも売買契約が行えません。
契約書類が法律の専門家をスルーしたとすれば、委任状などが偽造された可能性が高いでしょう。
偽造などの不正が疑われる場合は、以下のいずれかの法的手段で対抗が可能です。
- 法務局にある登記添付書類を証拠に民事訴訟を起こす
- 警察署で「有印私文書偽造罪※」として告訴する
※有印私文書偽造罪とは
他人の印章や署名を使用、もしくは偽造した他人の印章・署名を使用して私文書を偽造すること。3ヵ月以上5年以下の懲役に課せられる。
ただし2023年4月から、登記申請した本人以外が登記添付書類を閲覧する際には「正当な理由」が必要となっているため、弁護士に相談してから訴訟を起こすようおすすめします。
参照元:法務局「令和5年4月1日から登記簿の附属書類(登記申請書及び添付書面)の閲覧請求の手続が変わります。」
「共有持分」のみなら勝手に売却が可能
夫婦の共有不動産であっても、夫の共有持分のみなら夫が単独で売却が可能です。
共有不動産の全体を売却しようとすると、すべての共有者の同意が必要ですが、自分の共有持分だけならば、他の共有者の同意がなくても自由に処分できます。
つまり夫婦の共有不動産であっても、夫が持分を自由に売却できるということです。
なお、後ほど詳しく解説しますが、夫が共有持分を売却すると、家に住む妻は新しい共有者から賃料を請求される恐れがあります。
配偶者の持分が売却された家に住み続けると、見ず知らずの他人から生活を脅かされることになるかもしれません。
住んでる家を勝手に売られる3つのリスク
別居中に妻が住んでいる家を、夫が勝手に売却する可能性があることが分かりました。
家を勝手に売却されると、家に住む妻に以下のリスクが生じるため注意が必要です。
ケース別に解説しますが、夫に家を売却されると妻が家に住み続けることは極めて困難になるでしょう。
勝手に売られた家を取り返すのはほとんど不可能
別居中に妻に何の相談もなく、夫が家を勝手に売ってしまった場合、妻が家を取り返すことはほぼ不可能です。
先にお伝えしたとおり、家が夫の単独名義ならば夫が自由に売却でき、共有名義でも夫の共有持分だけなら合法的に売却が可能です。
たとえ売却の前であっても、妻に相談する必要すらありません。
家の売買契約が成立し、家の登記が第三者へと移ってしまったら、妻が家や夫の持分の返還、居住権を主張しても認められる法的根拠はないのです。
家の権利は登記で決められているため、今までどおり家に住み続けたいなら、新しい所有者へ直接交渉するしかないでしょう。
不動産全体を売却されると立ち退きを迫られる恐れがある
夫の単独名義の家を勝手に売却されると、妻は立ち退きを迫られる恐れがあります。
民法上は原則、離婚前提の別居状態であっても「婚姻中」として扱われ、妻が家に居住する権利があることになっています。
ただし家が第三者へ売却されたとなると話は別です。
家の名義が夫から第三者へ移ると同時に、居住する妻は家に対する権利を失い「不法侵入者」として扱われます。
この時点で妻はもともとの居住権にかかわらず、立ち退きを迫られても対抗できなくなるのです。
共有持分のみを売却されると賃料を請求される恐れがある
住んでいる家の共有持分を夫が売却した場合、持分の購入者から賃料を請求される恐れがあります。
夫の共有持分を購入した第三者は、持分に応じた家の権利を取得しますが、実際には売主の妻に家を占有され、持分に応じた使用権を制限された状態となってしまいます。
共有者間の不公平に対し民法では、共有者のいずれかが持分を超えて共有不動産を使用している場合、他の共有者にその対価を支払う義務があると定めています。
共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
夫が持分を売却したケースでは、買主が持分相応の権利を行使できない代わりに、家を占有する妻に賃料を請求する権利が生じます。
仮に妻と買主の持分割合が1:2で近隣の賃料相場が月9万円の場合、妻は買主に対し月3万円の賃料を支払わなければならず、支払いに応じなければ裁判を起こされる恐れもあるので、注意が必要です。
他の共有者に持ち分を売却された場合のトラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。
住んでいる家を勝手に売られないための4つの対策
前項では、別居中に妻が住んでいる家を夫に勝手に売却され、妻が退去を求められる恐れがあることが分かりました。
ある日突然「家を売るから出ていけ」と言い渡されてあわてないよう、妻は以下の対策を講じておくことが大切です。
「離婚調停で不利になる可能性がある」と伝える
離婚調停で争っている場合は、「家の勝手な売却が離婚調停で不利になる」と伝えることも有効です。
夫が妻の住む家を勝手に売却すると、以下の理由で離婚調停に不利になるといわれます。
- 同居義務違反にあたる可能性がある
- 別居中に家を強引に売れば心象が悪くなる
同居義務違反とは、民法に定める以下に違反していることを指します。
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない
夫婦の関係が破綻している場合、別居の事実だけでは同居義務違反に当たりませんが、以下のケースは同居義務違反の可能性があるとしてチェックされます。
- 無断で家を出た場合
- 別居先で不倫している場合
別居中の夫が家を売らなければならない事情としては「借金があって家の売却金で返済したい」「新しいパートナーがいる」など、夫に非がある理由が多いといわれます。
こうした背景から、離婚調停では夫が別居している時点で同居義務違反を疑われることが多いです。
さらに妻が住んでいるにもかかわらず夫が強引に家を売却しようとすれば、それだけで離婚調停での心象が悪くなります。
そもそも家を売却したところで、妻の財産分与の権利は消えないため「売却金を独り占めしようとしても無駄」と付け加えるとさらに効果的です。
登記識別情報を預かる
夫に家を勝手に売却されない2つ目の対策は、家の「登記識別情報」の通知書を預かることです。
登記識別情報とは、登記手続きに必要な12桁の符号のことで、銀行口座でいうパスワードのような本人識別情報です。
2004年の不動産登記法の改正により、登記のオンライン申請ができるようになり、従来の登記済権利証(登記済証)に代わって採用されています。
登記識別情報には登記名義人本人を確認する役割があるため、通知書を預かることで夫による売却手続きをある程度阻止できるのです。
ただし登記識別情報の通知を預かったところで、もし夫に12桁の符号を控えられていた場合には売却を阻止できません。
登記識別情報の通知書は写真のように符号部分が目隠しされて届くため、売却の直前まで夫も符号を見ない可能性はありますが、油断は禁物です。
また、司法書士に依頼すれば、登記識別情報に代わる「本人確認情報」を作成できるため、通知書がなくても家の売却自体はできてしまいます。
不動産登記法改正以前は、登記済証さえ預かってしまえば100%相手の売却を阻止できました。
しかし現在は、これだけで完全な売却予防方法とはいえないので注意しましょう。
勝手に売却しないと公正証書に明記させる
夫による売却を防ぐ3つ目の方法は、別居する際に家を勝手に売却しないよう「公正証書」に明記させることです。
※公正証書とは
法務局の公証人が当事者から聞き取った内容に基づき、公証役場で作成する公文書のこと。公証人が作成した文書には公正の効力が生じ、原則的に完全な証拠力を持つとされる。
参照元:日本公証人連合会「公正証書」
公正証書は契約を公的な証拠力を持つ契約の証書として残すもので、口約束では後から「言った」「言わない」とトラブルになりやすい金銭のやり取りなどで作成します。
作成した公正証書の原本は公証役場で保管されるため、第三者によって改ざんされる恐れのない法的な証拠として債権回収などに活用が可能です。
公正証書は以下の流れで作成します。
- 事前に夫婦で別居・離婚に関する条件などを話し合う
- 夫婦で公証役場へ出向き、内容を確認してもらい証書の作成を申し込む
- 予約日に夫婦で公証役場に出向き、作成された公正証書に署名、公証人が認証する
- 手数料の支払いを行い、公正証書の謄本を受け取る
上記の手続きを経て作成された公正証書は法的な効力を持つため、妻より経済力を持つことが多い夫に大きなプレッシャーを与えるといわれます。
ただし、いくら公正証書に法的効力があるといっても、記載事項すべての実行が保証されるわけではありません。
公正証書では基本的に、金銭の支払いに関する取り決め以外の条項は強制執行を行えないとされ、例えば離婚に関する条項だと、以下については強制執行の対象ではありません。
- 子どもと月1回の面会交流を行う⇒金銭の支払いではない
- 学費の支払いは別途協議する⇒支払い時期や金額が明確でない
- 不動産の名義を変更する⇒金銭の支払いではない
不動産の名義に関する条項は、金銭のやり取りではないため強制執行には当たらず、履行させたければ裁判所の「履行勧告」などの手段に出るしかないでしょう。
また、当然のことながら相手の協力と同意がなければ作成できないことや、公証人手数料が必要になる点にも注意が必要です。
仮差押登記をする
家を夫に勝手に売却されない4つ目の対策は、夫名義の家を「仮差押登記」することです。
仮差押えの手続きを行うと、裁判所が夫に一時的な財産処分の禁止を命じ、家に「仮差押え」の登記が行われるため、家の処分行為が一時的に行えなくなります。
不動産に「仮差押え」の登記がされていれば、将来的に競売に移行する可能性があるため物件が売れず、不動産業者としても売却活動ができません。
したがって夫による家の勝手な売却行為は事実上阻止できます。
仮差押えの手続きをするには、管轄の裁判所へ申し立てを行いますが、その際に申立人は担保を立てなければならない点に注意が必要です。
担保金は個別的な事情により変動しますが、差し押さえる不動産価格の10%~20%程度が相場です。
申立てが認められず敗訴した場合には、相手の不当な損害に対し損害賠償請求訴訟を起こされる可能性がある点にも注意しましょう。
仮差押えには専門的な知識が必要とされるため、事前に弁護士に相談してから行うのが望ましいです。
住んでいる家を勝手に売られたときの3つの対処法
ここまで、妻が住んでいる家を夫が勝手に売却しないよう対策を紹介してきましたが、中にはすでに家を売却されてしまった方もいるかもしれません。
ここからは、住んでいる家を実際に売却されてしまったときの対処法を紹介します。
売却代金の財産分与を請求する
家を勝手に売却されてしまったときの対処法の1つ目は、売却代金の財産分与を請求することです。
婚姻期間中に「夫婦の協力によって形成された」財産は、名義や持分割合、お互いの収入の多少にかかわらず公平な財産分与の対象となります。
したがって家を売却されても、妻には売却代金の分与を受ける権利があるのです。
実際の財産分与では、不動産だけでなく夫婦のすべての財産をリストアップしてから、トータルの価額を分割します。
財産分与の方法や金額は、基本的に当事者間の話し合いによって決めますが、協議がまとまらない場合には家庭裁判所に調停や審判を申し立てます。
家庭裁判所の審判では、収入や財産の名義にかかわらず夫婦の財産を2分の1ずつに分けるよう命じられるのが一般的です。
参照元:法務省「財産分与」
離婚時の財産分与の手順や方法については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
自分が家を買い取る
家を勝手に売却されてしまったときの対処法の2つ目は、勝手に売られた家を自分が買い取り単独所有にする方法です。
単独名義にせよ共有名義にせよ、家を第三者に売られてしまったら、家の購入者から退去を求められたり、賃料を請求されたりするでしょう。
しかし家を自分の所有にしてしまえば、離婚後も安心して住み続けることが可能です。
ただし、当然ですが家を買い取るためには多額の資金が必要で、住宅ローンを組む場合は審査に通るだけの信用力も必要です。
おそらく家の購入者は、購入時の価格よりも高値で売却しようとすると考えられるため、その分購入のハードルが上がることも覚悟しなければなりません。
自分の共有持分を売却する
共有名義の家の持分を夫に売却された場合は、自分の共有持分を売却してしまうことも1つの方法です。
知らない第三者と家を共有していると、家を自由に活用できないだけでなくトラブルにもつながります。
しかし自分の共有持分を売却すれば、トラブルの心配から解放されると同時に、まとまった現金の入手も可能です。
いつまでも古い家にこだわるより、共有持分を売った現金をもとに新しいスタートを切るほうが賢明かもしれません。
ただし、共有持分のみの売却価格は安価となり、周辺の相場の半額程度になる点には注意が必要です。
また、自分にとって活用しづらい共有持分は、一般の買主にとっても活用しづらいため、購入してくれる人が見つかりにくいでしょう。
それでも見知らぬ第三者との共有関係を断ち切りたいと考えるなら、共有持分専門の買取業者に買取りを依頼することをおすすめします。
共有持分を専門に買い取る買取業者なら、仕入れた物件を収益化する方法を知っているので、第三者に売却するよりもはるかに高値で買い取ってくれます。
夫や他の共有者との交渉も一切なく自分の持分を手放せることもメリットです。
離婚時にトラブルにならない3つの不動産分割方法
お伝えしたように、婚姻中に夫婦で築いた財産は離婚時に公平に分割する必要があります。
しかし家などの不動産は、現金や預貯金のように容易に分割ができません。
また、離婚後に夫婦のいずれかが住み続けるのか、どちらも済むつもりがないのかによっても、家の分割方法は変わってきます。
ここでは離婚後に家に住むのか住まないのか、ケース別に家の分割方法を解説します。
夫婦の共有財産で不動産が大きな割合を占めている場合は、分割協議が決裂しやすく、実際には3番目の方法を選択するケースが多いようです。
【自分が住む場合】相手に財産分与額の差額を支払う
離婚後も夫婦のどちらかが家に住み続ける場合は、家に住む側が家を取得し、もう片方の配偶者に対して残りの財産で差額を相殺することが必要です。
これを「代償分割」といいます。
たとえば、1,500万円の家と1,500万円の預貯金がある場合には、妻が家を取得し、夫が預貯金を取得すれば公平な財産分与が可能です。
しかし、仮に共有財産が1,500万円の家と500万円の預貯金だった場合、妻が1,500万円の家を取得すると夫は預貯金500万円のみとなり、均等に分配できません。
この場合は妻が夫へ500万円の現金を手渡し、どちらも1,000万円ずつ均等に取得できるよう調節することが必要です。
もっとも上記は原則で、夫婦双方が合意できれば「夫3:妻2」など、財産の分配割合を自由に決めてよいとされますが、実際には不動産の評価額などをめぐってトラブルになるケースも少なくありません。
双方が納得できるよう不動産を公平に分割するには、不動産鑑定士などに依頼して正確な評価額を算出してもらうことが重要です。
また所有する不動産が、婚姻期間中に取得されたものではない以下の場合は、分割の対象とならない点にご注意ください。
- どちらかが独身時代から所有していた不動産
- 婚姻後の相続によって取得した不動産
財産分与できるかどうか不明な場合は、登記された年月と名義で確認しましょう。
もし妻が家に住み続け、夫に相当額の代償金を支払う場合、妻にそれなりの経済力が必要な点に注意が必要です。
以下の記事では、離婚後も夫名義の家に妻が住む場合に注意すべき点を解説しているので、参考にしてください。
【どちらも住まない場合】売却して現金を分割する
離婚後家に夫婦のどちらも住む予定がない場合には、物件を売却した売却益を現金で分割でき、これを「換価分割」といいます。
代償分割とは異なり、換価分割は不動産を一度現金化するため、1円単位で公平に分けられるメリットがあります。
家をどちらかに残す必要がない場合には、もっとも合理的な不動産分割方法です。
ただし住宅ローンの残債がある場合は、家に設定されている「抵当権」を抹消してからでないと、そもそも売却ができない点に注意しましょう。
住宅ローン残債が売却金額を上回っていると売却自体が難しい
住宅ローンが残っている家を売却して夫婦で分配したい場合は、ローンを完済し抵当権を外すことが前提となります。
家の売却金額でローンを完済できれば問題ありません。
しかし離婚にともない家を売却するケースでは、一般に返済期間がまだ短く、ローンの残債が家の評価額(売却金額)を上回る「オーバーローン」も考えられます。
オーバーローンの状態では、売却益でローンを完済できないため、抵当権を外せず売却は困難です。
オーバーローンの不動産は売却しても利益が発生しない、つまり「不動産を財産として築けなかった」ことになるので、そもそも財産分与の対象となりません。
もしオーバーローンの家を売却するとすれば、取れる手段は「自己資金でローンを一括返済して売却」か「任意売却※」のどちらかです。
金融機関に任意売却を申請し、承諾を受けられれば、抵当権を一時的に外してもらったうえで、通常と同様の不動産売却が可能です。
ただし金融機関に任意売却が認められる条件は厳しく、申請には専門的な知識が必要なため、任意売却を扱える不動産会社は限られています。
もしオーバーローンの家の任意売却を検討しているなら、任意売却物件の取り扱いを得意とする専門の買取業者に買取を依頼するのがおすすめです。
任意売却で家を高く買い取ってもらえれば、ローンを完済しやすくなり、新生活をスムーズに踏み出す足がかりになるでしょう。
任意売却の詳細については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
【協議がまとまらない場合】自分の共有持分を売却する
家を夫婦で共有している場合、夫婦で合意できなければ家の売却ができません。
この場合には、自分の共有持分のみを売却するのも1つの方法です。
このまま元の共有の家に住み続けたところで、共有者である元夫の同意を得ない限り、家を改築したり賃貸に出したりすることもできません。
それならいっそのこと、自分の共有持分を売却し、共有関係を解消してしまうのも一案です。
とはいえお伝えしてきたように、一般の買主は権利の制限された共有持分のみを購入したいとは思いません。
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まとめ
家が夫の単独名義なら、別居中に妻が住む家を、夫が勝手に売却する可能性はあります。
また家が共有名義の場合でも安心ではなく、夫が持分を売却してしまうと、妻は見知らぬ共有者から賃料を請求される恐れがあります。
夫婦で話し合いができる状況であれば、不動産の分割方法を協議もできますが、夫婦の話し合いが成立しない場合は、共有関係の解除を検討するほうが賢明といえます。
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