離婚後に共有名義の家に妻が住むことは可能!
離婚後も、妻が共有名義の家に住むことは可能です。
夫婦で話し合った結果、夫が家を出て行って、妻がそのまま住み続ける形にしても法的に問題ありません。
また、民法第256条により、共有者全員の合意があれば共有物の分割を5年間禁じることが可能です。
共有物の分割とは、複数人で共有している不動産などの共有状態の解消を求める手続きのことです。
具体的には、共有名義の家を売却し、その売却金額を公平に分け合うなどの行為を指します。
つまり、夫婦間で共有名義の家に妻が住むことを互いに合意していれば、離婚後も最低5年間は妻の居住権が保護されるということです。
離婚後も共有名義の家に妻が住むためにしておきたい手続き
民法で一定期間妻の居住権が保護されているとはいえ、離婚後も妻が共有名義の家に住むにあたってトラブルが起きないとは限りません。
そのため、離婚後も共有名義の家に妻が住み続けるのなら、以下の手続きを行っておきましょう。
元配偶者から共有名義の家の使用について合意を得る
ひとつ目の対策は、元夫から共有名義の家に妻が住むことへの合意を得ることです。
家が夫婦の共有名義である以上、元夫にもその家を使用する権利があります。
そのため、離婚後も妻が住み続けることに対する家賃や維持費の負担などについてしっかりと話し合い、互いに同意しておくことが大切です。
このときは口約束だけではなく、公正証書を作成しておくことをおすすめします。
公正証書とは、公務員である公証人が当事者の意思を確認したうえで作成し、その内容を証明する公文書です。
公正証書には、民事訴訟法第228条第2項に基づく「強い証拠力」と、民事執行法第22条第5号に基づく「執行力」があります。
そのため離婚時に、妻が共有名義の家に住み続けることに関する取り決めを公正証書という形で残しておけば、未然にトラブルを回避することが可能です。
共有名義を解消する
2つ目の対策は、共有名義を解消することです。
離婚前にしっかりと話し合っていたとしても、将来どうなるのかは誰にも予測ができません。
家を共有名義のままにしておくとさまざまなトラブルに見舞われる恐れがあるため、離婚後も妻が共有名義の家に住み続けることを希望するのなら、単独名義に変更しておくことをおすすめします。
離婚後も共有名義の家に妻が住むことで起こり得るリスクについては、次の章で詳しく解説していきます。
また、共有名義の家を単独名義に変更する方法は、「離婚後も妻が共有名義の家に住むなら単独名義への変更がおすすめ」の章で解説します。
なお、離婚における共有名義の家の最適な処理の仕方については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

離婚後も共有名義の家に妻が住む6つのデメリット
離婚後も共有名義の家に妻が住むデメリットは、以下の6つです。
なお、以下の記事でも、離婚後も共有名義の家の名義変更をしないリスクと対処法について解説しているので、併せて参考にしてください。

元夫の同意がないと活用できない
離婚後も共有名義の家に妻が住むにあたり、生活を送りやすくするためにリフォームを検討することがあるかもしれません。
しかし、共有名義の家のリフォームは、ほとんどの場合共有者の単独ではできず、元夫の同意が必要になることに注意が必要です。
また、以下の行為を実施する際にも元夫の同意が必要になることを押さえておきましょう。
- 家を第三者に貸し出す
- 家を建て替える
- 家を売却する
離婚後も元夫との関係性が良好なら、同意を得るのはそこまで難しくないでしょう。
しかし離婚後も元夫と連絡を取り続けることを避けたいのなら、共有名義から妻の単独名義に変更することをおすすめします。
元夫が住宅ローンを滞納する
共有名義の家に住宅ローンが残っている場合は、元夫が滞納するリスクが考えられます。
たとえ離婚したとしても、共有名義の家の住宅ローンに対する返済義務は共有者それぞれが負うことになります。
もし元夫が住宅ローンを滞納して共有持分を差し押さえられる事態になったら、競売にかけられて第三者との共有状態になる恐れがあります。
複数の人で不動産を共有しているときに、各所有者が持っている所有権の割合。
住宅ローンなどの返済が滞ったときに、担保となっている不動産を強制的に売却する手続き。
見知らぬ第三者と不動産を共有することになってしまったら、相手から家賃や共有物の分割を請求される可能性があります。
最悪の場合、家を失ってしまう恐れがあるため、住宅ローンが残っている状態の共有名義の家に離婚後も妻が住み続けることはおすすめできません。
元夫が税金を支払わない
元夫が税金の支払いを拒否する可能性も否定できません。
共有名義の家にかかる固定資産税や都市計画税は、共有者全員に連帯納付義務があります。
ただしそれぞれが別々に納めるのではなく、まず共有名義の家の代表者が税金を一括で納め、その後、共有者にそれぞれの負担割合に応じた金額を請求する形が一般的です。
しかし、元夫から「実際に住んでいるほうが払うべき」と税金の支払いを拒否される恐れがある点に注意が必要です。
元夫に相続が発生したら権利関係が複雑になる
万が一元夫が亡くなって相続が発生したら、共有名義の家の権利関係が複雑になる恐れがある点にも注意しましょう。
元夫が亡くなったときに、その共有持分を相続できるのは元妻ではなく、元夫の両親や兄弟・姉妹などです。
そうなると、離婚した元夫の親族と家を共有する事態になりかねません。
また、元夫から共有持分を相続した方が亡くなったら、さらに共有者が増えていきます。
共有名義の家の取り扱いについては共有者の同意が必要ですが、共有者の数が増えるほど話し合いがまとまらないトラブルに発展する可能性があります。
元夫から共有物分割請求される
前述のように、離婚時に取り決めをしていたら、少なくとも5年間は元夫から共有物の分割を請求される心配はありません。
しかしその後、元夫が「お金が必要となった」などの理由により、共有物の分割を請求してくる恐れがあります。
共有物分割請求は民法第256条で認められている共有者の権利であり、元夫から請求されたときには共有状態の解消へ向けて話し合いを行わなければなりません。
もし合意に至らなかったら裁判で決着をつける形になりますが、裁判所から「換価分割」、つまり家の売却金額を互いに分けるように命じられるケースがある点には注意が必要です。
なお、共有物分割請求については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

元夫が自分の共有持分を第三者に売却する
元夫が、自分の共有持分を第三者に売却してしまうリスクもあります。
共有持分は各共有者が単独で所有している財産であり、売却するにあたって他の共有者の同意は必要ありません。
そのため、いつの間にか見ず知らずの第三者と家を共有する事態になっている恐れがある点に注意が必要です。
元夫から共有持分を購入したのが悪質な業者だったら、妻に対して共有持分の買取や共有物分割を請求してくる可能性があります。
裁判にまで発展すると精神的にも経済的にも苦しくなることが予想されるため、離婚時には共有名義から妻の単独名義に変更しておくと安心です。
なお、共有名義や共有持分についてよくわからないという方は、以下の記事をご参照ください。

離婚後も妻が共有名義の家に住むなら単独名義への変更がおすすめ
ここまで解説してきたように、離婚後も共有名義の家に妻が住み続けると、さまざまなトラブルに見舞われる恐れがあります。
そのため、離婚後も安心して生活を送りたいのなら、以下の方法で単独名義に切り替えることをおすすめします。
なお、以下の記事でも共有名義の家を単独名義に変更する方法を解説しているので、併せて参考にしてください。

住宅ローンが残っていない場合は元夫の持分を買い取る
住宅ローンが残っていない場合は、妻が元夫の持分を買い取る形で単独名義に変更しましょう。
離婚時の財産分与において、妻が元夫の持分を取得する代わりに、その評価額に相当する金額の財産を元夫に譲る方法でも問題ありません。
元夫が自分の持分を妻へ売却、もしくは分与することに納得したら、財産分与契約書や離婚協議書を作成し、その後、法務局で妻の単独名義に変更する登記手続きを行って終了です。
無償で持分を譲られる場合は贈与税がかかる
妻が元夫から無償で共有持分を譲り受けるときには、その持分の評価額に対して贈与税が課される点に注意が必要です。
原則として、離婚時の財産分与で妻が夫から持分を譲渡されたとしても贈与税は課されません。
しかし「共有持分の評価額が高く、財産分与の金額として多すぎる」などのケースでは、贈与税が課される可能性があります。
不動産の評価方法によって財産分与の金額は大きく変わるため、無駄な税金を納めたくないのなら不動産会社などのプロに相談し、適切な評価額を把握することが大切です。
住宅ローンが残っている場合は妻名義のローンを組んで借り換える
住宅ローンが残っている場合は、妻が新たに自分名義のローンを組んで借り換えることで単独名義に変更できます。
ただし、それには金融機関の審査を通過しなければならないため、妻に相応の収入がなければ実現できません。
そのため、まずは住宅ローンを借りている金融機関に相談し、借り換えが可能かどうかを探ることが大切です。
ローンの借り換えが難しいときには共有名義の家の売却も選択肢のひとつ
妻が自分名義のローンを組むのが難しいときには、共有名義の家を売却して共有状態を解消するのはひとつの手です。
家の売却金額で無事ローンを完済できれば、共有名義ならではのトラブルに見舞われる不安から解放されます。
また、まとまった現金を手にできることで、夫婦それぞれが互いに新しい生活を送りやすくなる点もメリットです。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は専門の買取業者であり、全国の不動産を積極的に買い取っております。
共有名義の家でもスピーディーに、かつできる限り高く買い取ることが可能なので、いくらで売却できるのかが知りたい方は、無料査定をお気軽にご活用ください。
まとめ
離婚後に妻が共有名義の家に住むことは可能ですが、「不動産の活用に元夫の同意が必要」「元夫が住宅ローンや税金を滞納する」などのリスクがあります。
そのため、離婚後も妻が共有名義の家に住み続けることを希望するのなら、妻の単独名義に切り替えることをおすすめします。
また、住宅ローンが残っており、妻名義のローンを組んで借り換えができないときには、売却して共有状態を解消するのも選択肢のひとつです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の不動産を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
過去には、フジテレビの「newsイット!」にも、訳あり物件を買い取る専門の買取業者として紹介されました。
共有名義の家を売却して共有状態を解消したいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。