訳アリ物件の売却相談はこちらから

閉じる

共有名義の不動産を単独名義に変更する

共有名義の不動産を単独名義に変更する 共有持分

共有名義の不動産を持っているが、現在何らかの不便を感じていたり、将来的にはその不動産に関与したくないという人もいるのではないでしょうか。

そのような場合には共有関係を解消する具体的方法を考えていかなくてはなりませんが、やみくもに表面的な名義だけを変えるわけにはいきません。
そこには何らかの取引等の実態が必要なのです。

では、名義変更についての方法や注意点を確認してみましょう。

名義変更したいという単純な理由だけでは不可

名義変更手続きについての基本を解説します。

不動産についての名義変更は、不動産所在地別に管轄の法務局が決められており、その法務局に登記申請書と添付書類を提出して行います。
(役所等の嘱託登記や法務局の職権登記もありますがここでは割愛し、本人や代理人の申請によるもののみ解説します)。

法務省「管轄のご案内」

大まかな流れはこのような形になっています。

登記手続きの流れ

現在は書面申請及びオンライン申請がありますが、後者は電子署名等が必要になるため司法書士等の専門家が行うことがほとんどです。

オンライン申請

 

法務局に申請書が提出されるとまず受付年月日、受付番号が振られます。

申請書の内容について登記官(法務局の中で登記を担当する職員)が添付書類一式をもとに適正な申請かどうかを調査し、問題なければ登記の内容と最初につけた受付番号等を登記簿に記入します(下記参照)。

現在ではすべての法務局が「コンピュータ化」されており、下記のような横書きの登記簿になっています。

共有で入れた相続登記の登記簿

登記名義の変更については、平成17年以前の不動産登記法であれば「なんとなく名義を変えたい」などという比較的緩やかな理由でも行うことができていました。

登記の原因を売買などの明確な取引としなくても「真正な登記名義の回復」という原因を使って申請書を作成し、「申請書副本(申請書の写し)」を添付するだけで問題なく登記が通っていたからです。

しかし、平成17年の不動産登記法改正により、登記を申請する際に「登記原因証明情報」という書類を添付しなければならなくなりました。

この書類の中では「なぜ今回の名義変更をするに至ったかの原因」を詳細に記載する必要が出てきました。
真の取引等に基づく所有権の移転を忠実に登記簿に反映させるためという意図なので、曖昧な理由による名義変更はこの法改正により実質的にできなくなりました。

なお、登記原因証明情報の例を挙げると次のようなものになります。

登記原因証明情報の例

所有権が移転する具体例としては、

  • AがBに売却した
  • AがBに贈与した
  • Aが死亡して複数の相続人のうちBが相続することになった
  • AとBが離婚するので共有だった物件をAがBに財産分与した

などです。

登記原因証明情報

 

では、共有名義となっている不動産を単独名義にするためにはどのような原因になるのか考えてみましょう。

共有名義を単独名義に変更するためには

不動産の名義変更をする場合、一定の法律事実の発生が必要となりますが、大きく分類すると次の2つのカテゴリーに分かれます。

いずれの登記原因も共有名義を単独名義にするために使われることがあります。

  • 当事者が意図して行う「法律行為」
    これは取引等の当事者同士が契約によって行うものです。
    「贈与」「売買」「共有物分割」「持分放棄」「交換」「(離婚の場合の)財産分与」のような登記原因があります。
  • 意図せずに発生する「事件」
    ここで言う「事件」とは「殺人事件」のような一般的に使われる意味ではなく、契約等を伴わずに発生した法律事実という意味で使われます。
    「相続」や「時効取得」といったものです。

登記原因

 

この中でも最も頻繁に使われる「贈与」と「売買」について考えてみましょう。

贈与

贈与とは贈与者(あげる人)が受贈者(もらう人)に対し、「金銭等の対価を伴わずに財産を与える」ことです。

基本的に契約書等がなくても(口約束でも)贈与の法的効果は発生しますが、贈与を原因とする所有権(または持分移転)の登記手続きをしようとした場合は、上記の「登記原因証明情報」に贈与の事実を記載し、法務局に提供することが必要です。

売買

売買とは売主が買主に対し、「対価を受け取ることにより財産を譲渡する」ことです。
贈与と同様に契約書等はなくても口約束で成立します。

ただ、実務の世界では不動産という高価な財物の売買において、(特に他人間では)契約書を作らないことはほとんどないのが現実です。

売買においても登記手続きをする場合は「登記原因証明情報」に売買の経緯(売買することを約した、対価を授受したなど)を記載します。

贈与と売買

 

贈与も売買も税金には注意

贈与、売買ともに、名義を移そうと思えばそこにはさまざまな税金が発生します。

  • 一定金額を超える贈与をした場合に受贈者が支払う「贈与税」
  • 名義を変更する際に(主に受贈者や買主が)法務局に支払う「登録免許税」
  • 名義を変えた後で受贈者や買主が1回だけ支払う「不動産取得税」
  • 不動産を保有している間は毎年支払続ける「固定資産税」

税率が非常に高い「贈与税」については、節税も含めて知っておくべきですので簡単に解説します。

税金

贈与税を簡単に解説

贈与税は、基本的に「受贈者一人について年間110万円を超える贈与を受けた場合に支払うべき税金」です。

  • 一般贈与の税率
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円を超える 55% 400万円

 

  • 特例贈与の税率
    ※特例贈与とは、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者の子・孫などへの贈与をいいます。
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円を超える 55% 640万円

贈与税が具体的にどのくらいの金額になるかの例を挙げると、このようになります。

特例贈与にあてはまるケースで3,000万円の贈与を受けた場合は、 ・3,000万円-110万円×45%-265万円=10,355,000円 が贈与税額となります。 (年間でもらう人一人につき110万円までの贈与は非課税になるため、その分を差し引く計算になります。)

ただ、親子や祖父母、孫の間では「相続時精算課税」という制度を使うことにより上記より大幅に贈与税を抑えることができる場合があります(税務署に対し、相続時精算課税を選択した旨の届出と申告が必要になります)。

原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において使える制度ですが、相続時精算課税をいったん選択すると「年間110万円まで非課税(暦年課税)」の適用は受けられなくなることに注意が必要です。

こちらについては下記記事を参照してください。

※親子で共有名義になっている不動産に注意!認知症リスクと対策方法

売買でも贈与税が発生するケースも

極端に安い対価であっても登記原因さえ「売買」にしておけば贈与税は免れられるのではないか?と考える人もいますが、日本の税務署は「実質主義」をとっています。

つまり、書類上、形式上の問題ではなく、取引の実態が本当に売買なのか?に着目します。

たとえば、市場に出せば3000万円が相場である不動産を1000万円で売買したとすると、そこには大きな相場との隔たりが出てきます。

そこで、差額の2000万円について「実質的に贈与である」と判断されてしまうことがある(みなし贈与)という点に注意しなくてはなりません。

みなし贈与

不動産名義変更の手順

では、名義変更の具体的手続きについてもう少し詳しく見てみましょう。

ここでは「AとBが2分の1ずつの持分で保有していた共有名義の土地を売買によりBの単独名義にする」場合の手続きを説明します。

共有の土地を単独所有に変更

上記のように契約書がなくても契約自体は成立しますが、取引における一般的な流れでは契約書を作成しています。

代金の授受が行われたらすぐに「Aの持分をBに売却したことによるA持分全部移転」の登記を行いますが、申請書は次のようになります。

===========================================

登記申請書

===========================================

登記申請は主に司法書士を代理人として行いますが、法的には弁護士にも登記申請代理権がある他、名義人本人からの申請もできます。

ただし、所有権や共有持分の名義を変更する登記は手続きが一般の人には難しく、法務局に申請書や添付書類の細かい点の補正を命じられ、何度も出向かなければならなくなる例が多く見受けられます。

また、取得者が金融機関のローンを使って代金を捻出する場合には物件を担保に入れる(所有権を移した後ですぐさま抵当権を設定する必要がある)ため、金融機関がまず本人申請を認めないことから司法書士が代理するのが通常です。

登記が無事に完了すると、登記識別情報通知(旧法での権利証にあたるもの)、登記完了証(完了を確認する書類)、原本還付希望した書類などを受領することができます。

また、別途申請することにより名義が書き換えられた登記簿(現在では全部事項証明書などといいます)を取得できる状態になります。

不動産名義変更の費用目安

不動産の名義変更には費用がかかります。

上記の税金の中で、直接的に法務局に支払うのが「登録免許税」となります。

  • 土地の売買(2020年現在での軽減措置を用いた場合)→ 固定資産税評価額(課税価格)の15/1000
  • 建物の売買(住宅用家屋証明書を用いない場合) → 固定資産税評価額(課税価格)の20/1000
  • 土地や建物の贈与 → 固定資産税評価額(課税価格)の20/1000

ただし、持分のみを移転する場合はこれに持分を掛けた金額が課税価格となります。

計算例
固定資産税評価証明額3000万円の土地の持分2分の1を売買した場合 (3000万円÷1/2)÷1000×15=22万5千円

また、司法書士に依頼した場合は報酬がかかりますが、報酬は現在自由化されており事務所によっても異なりますので事前に見積もりを取るのがおすすめです。

5万円~10万円前後が相場です。

不動産名義変更の必要書類

不動産の名義を変更する際に必要となる書類ですが、売買や贈与の場合を例に取って説明します。
(Aの持分をBに移転、Aの住所がA自身が登記名義を取得した当時と変更ない場合)

  • 登記原因証明情報(売買や贈与の事実が時系列で記載されていること)
  • 名義(持分)を失う人(売主や贈与者)つまりAがもともと名義を取得した際の権利証(または登記識別情報通知)
  • Aの取得3カ月以内の印鑑証明書
  • Bの住民票
  • 代理人に依頼する場合はABからの委任状
  • 名義変更登記をする年度の固定資産税評価証明書

司法書士に依頼した場合、これらの書類で役所発行以外のものは司法書士側でフォーマットを準備してくれますので、依頼者はそれらの内容を確認し、署名押印するだけです。

必要書類

 

また、二者間での持分のやりとりは相手方の人の権利関係も絡むことからなるべく速やかに手続きを済ませるべきであるため、極力登記手続きは司法書士に依頼することをおすすめします。

まとめ

・共有名義の不動産を単独名義にする方法はいくつかあるが、現在では登記の際に「登記原因証明情報」を添付するため、「なんとなく名義を変えたい」といった明確な原因のない登記申請ができなくなっている。

・売買や贈与などが主な名義変更の原因となるが、贈与の場合は贈与税の課税に注意する必要があり、売買でも適正価格より大幅に安い対価を設定すると差額に「みなし贈与」として課税されることがある。

・所有権や共有持分の名義変更登記は法的には所有者本人でもできるが、自分で行うと細かい点で必ずといって良いほど「補正」を命じられるため、特に相手方がある場合は司法書士に依頼することが望ましい。

タイトルとURLをコピーしました