空き家と別荘の違い
空き家特措法によると、空き家とは、住居や物置として長期間使用されていない状態のことをいいます。
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。第十四条第二項において同じ。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
長期間使用されていない状態とは、1年以上使用していない状態を指します。たとえば、保養目的で年に1、2回、3泊4日使用している別荘をはじめとした住居は、空き家には該当しません。
ただし、以下のケースは空き家とみなされます。
- 年一度部屋の換気のために訪れる
- 状況を確認したときに1泊している
別荘の掃除や換気などの管理行為のみでは、使用しているとみなされず、空き家扱いされる可能性が高いでしょう。
別荘を空き家にするデメリット
別荘を空き家にした場合、以下のデメリットが生じます。
- 税金・管理費を払う必要がある
- 劣化が進みやすい
- 相続時に負の遺産になる
税金・管理費を払う必要がある
別荘を持っていると、以下の税金・管理費の支払いが必須です。
- 固定資産税
- 住民税
- 電気代・水道代
別荘がある場所が市街化区域(すでに街になっている、または、優先して街にしていく区域)の場合、固定資産税、住民税に加えて、都市計画税も課されます。
また、別荘管理を自分で行う場合は交通費、管理を業者に委託した場合は委託費が発生します。
不動産流通経営協会の調査によると、別荘のようなサブ拠点の平均維持費(管理費、固定資産税など含む)は、月額で約54,000円でした。
使わない別荘の所有は、家計を圧迫し続けることにつながります。
空き家の管理費についてくわしく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
自治体が「空き家税」を課す可能性もある
京都市では、空き家、別荘、セカンドハウス所有者に対して課税する独自の税制を定めました。税額は建物と土地の価値に応じて算出されます。
京都市の試算によると、築50年、300平方メートルの別荘を所有している場合、約23万の税金を負担しなければなりません。税制の創設の背景には、子育て世代の市外への多数流出があります。
ほかの別荘地でも、同様の理由で税金が課される可能性があります。
劣化が進みやすい
別荘を空き家にしてしまうと劣化の進行が早くなります。
空き家は、人が居住していないため、こまめな掃除や換気などの管理行為ができません。そのため、水道管のサビが出たり、室内にカビが発生したりするなど、劣化の進行は人が住んでいる家より早く進みます。
そのままの状態で長期間放置すると、特定空き家に指定されるおそれがあります。特定空き家に指定される場合は、次の状態に当てはまるときです。
- そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
指定を受けた後、改善が見られない場合、50万円以下の罰金が科されます。最終的には強制的に解体され、費用は所有者に全額請求されます。解体費用は少なくとも100万円かかるので、大きな負担となるでしょう。
空き家の管理を疎かにすると、最悪の場合、特定空き家に指定され、思わぬ出費が生じてしまいます。
空き家を放置した場合のトラブルについてくわしく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
相続時に負の遺産になる
子どもをはじめとした財産を相続する人がいる場合、別荘が負の遺産になる可能性があります。
相続財産が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。相続税の基礎控除額は以下の計算式で計算します。
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人のケースでは、基礎控除額は4,800万円です。
相続財産には、現金や預金だけでなく、不動産や貴金属なども含まれます。別荘をはじめとした不動産があると、相続財産が基礎控除額を超えて、相続税の負担が増える可能性があります。
また、別荘の管理義務も相続人が引き継ぐため、維持費をはじめ相続人に負担をかけてしまうでしょう。
別荘を空き家のまま放置すると、残された遺族にとっても処分に困る迷惑な遺産になります。
別荘に買い手はつきにくい
別荘を空き家にしてしまうと、管理費がかさむことをはじめさまざまなデメリットがあるため、できる限り早めに処分することをおすすめします。しかし、普通の家と比べ、別荘の買い手を見つけるのは難しいかもしれません。
弊社が独自に行った「都会・郊外・田舎のどこに住みたいか」のアンケート調査では、約8割が郊外・都会に住みたいと回答しました。
また、「郊外に住みたい理由ランキング」「都会に住みたい理由ランキング」では、都会と郊外いずれも「交通の便がいい」「買い物に困らない」など利便性を理由に挙げていました。
別荘の中には、自然環境が豊かな反面、利便性に欠ける別荘もあります。この場合、買い手がなかなか見つからないかもしれません。
空き家になった別荘の処分方法5選
別荘を使う機会がなくなった場合、以下の処分方法を検討するといいでしょう。
- 不動産会社に売却の仲介を依頼する
- 空き家バンクに登録する
- 別荘を貸し出す
- 相続放棄する
- 買取業者に売却する
不動産会社に売却の仲介を依頼する
別荘の処分方法として、不動産会社への仲介の依頼が挙げられます。仲介を依頼する際は、別荘の売却実績が豊富な不動産会社をあたってみましょう。
別荘の売却実績がある不動産会社なら、適正な査定価格を提示してくれる可能性があります。別荘売却に関する豊富なノウハウや別荘の購入希望者の顧客を抱えていることもメリットとして挙げられます。
なお、仲介を依頼する不動産会社を探す際は、インターネットによる集客力があるかどうかを判断基準にしましょう。ネットによる集客力が高いほど、周辺地域だけでなく全国から買い手を募集できるためです。
ただし、必ずしも買い手が見つかるわけではありません。買い手がみつかるまでは別荘の管理費がかかり、金銭面、身体面で負担がかかってしまうでしょう。
時間がかかってもいいので、相場以上の価格で取引したい方におすすめの処分方法です。
空き家バンクに登録する
空き家バンクに登録して、自分で購入希望者を探すことも可能です。
空き家バンクは、各自治体が運営している空き家のマッチングサイトで、無料で利用できます。売り手側は、物件情報を登録することで自治体のサイトに掲載してもらいます。そして、買い手側が掲載されている物件情報から、条件に合う空き家を見つける仕組みです。
各自治体に登録されている物件情報を横断して検索できる仕組みもあり、全国から買い手を探すこともできます。また、仲介を依頼せず、個人間で取引ができるため、仲介手数料がかかりません。
ただし、個人間で取引する場合、契約に関する手続きやトラブルなどすべて自分で対応する必要があります。
不動産取引に詳しく、仲介手数料を抑えたいと考えている方は、検討してもいいでしょう。
空き家バンクについてくわしく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
別荘を貸し出す
今後、別荘を使わない場合、賃貸の別荘としてほかの人に貸し出すのもおすすめです。
別荘の借り手が見つかれば、日常的に換気や清掃がされるので建物の劣化を防げます。借主が入居することで、自分で管理する手間をかけなくても、良好な状態での建物の維持が可能です。
賃貸経営することで安定した副収入を得ることもできます。税金や管理費を賃貸収入からまかなえるうえに、本業の収入の足しにもなります。
しかし、上記アンケート結果からわかるように、別荘地をはじめとした立地が悪い地域への移住者は少ないため、借り手を見つけるのが難しいでしょう。また、借り手を探している間、収益は発生せず、維持管理費のみかかってしまいます。
別荘地として人気のある場所に別荘を持っている方は、活用方法として検討する余地があるでしょう。
相続放棄する
相続財産の中に別荘がある場合、相続放棄することで管理責任から免れることができます。
相続開始日(親をはじめ被相続人が亡くなったことを知った日)から3か月以内なら、相続放棄が可能です。相続放棄をした場合、別荘をはじめとした空き家を管理する必要はありません。
ただし、空き家だけでなく、現金や貴金属をはじめとした財産すべてを放棄しなければなりません。親が多額の借金を抱えている場合を除き、相続放棄するメリットはないでしょう。
なお、相続放棄は相続開始日から3か月以内に家庭裁判所で申述しなければ、すべての財産を引き継ぐことを承認したとみなされるので注意しましょう。
相続放棄についてくわしく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
買取業者に売却する
買取業者への売却も別荘の処分方法としておすすめです。
買取業者に売却する最大のメリットは、築古や立地条件が悪いなどの物件でも1週間〜1ヶ月で売却の手続きが完了することです。
仲介で売却する場合、首都圏をはじめとした立地がいい場合でも、登録から成約まで平均3ヶ月かかります。立地が悪い場合は、この期間より長くかかるかもしれません。
一方、買取業者に売却する場合、買い手がみつからないような物件でもスピーディーな売却が可能です。
ただし、買取業者は再販して利益を得ているため、取引価格は相場より低くなります。リフォーム等が必要な場合、さらに低い価格になるおそれがあります。
なるべく早く、確実に別荘を手放したい方には、おすすめできる処分方法です。なお、買取と仲介の違いについてくわしく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
弊社Albalinkの別荘の買取事例
弊社Albalinkでも、使われなくなった別荘の買取実績があります。
場所 | 物件種別 | 金額 |
千葉県旭市 | 戸建て | 35万円 |
上記物件は、3年前から空き家で、こたつや布団など不用品が片付けられていない状態でしたが、買い取らせていただきました。
また、弊社は不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用を得ている買取業者です。信頼できる買取業者に買取を依頼したい方は、ぜひ弊社の無料買取査定をご利用ください。
まとめ
この記事では、別荘を空き家にするデメリットと空き家になった別荘の処分方法を解説しました。
別荘を空き家にすると、維持費にお金がかかるうえ、遺族にも迷惑な遺産になる可能性があるので、早めの処分がおすすめです。しかし、別荘がある場所の利便性が悪い場合、買い手が見つかるまで、時間がかかるおそれがあります。
所有している別荘が築古かつ立地が悪い場合は、買取業者に買取を依頼するのがおすすめです。買い手がいない物件でも、1週間〜1ヶ月という早さで買取を行っています。
弊社Albalinkは、別荘をはじめとした空き家の買取をしている不動産買取業者です。売れない別荘の処分にお困りの方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。