分譲マンションの空き家問題について
空き家になっている分譲マンションは、日本の社会問題の1つです。
もちろん空き家になってしまうこと自体も問題ですが、それ以上に、空き家マンションの所有者が不明であることが、問題を深刻化させています。
この章では、空き家マンションの所有者不明問題の現状や原因、社会的な問題点を解説します。
なお、空き家マンションの活用方法が知りたい方は、この章は読み飛ばし、空き家の条件によっては「空き家になっているマンションは放置せずに活用」からお読みください。
マンションの空き家問題の現状
「空き家」と言えば、古い木造一戸建てを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、分譲マンションなど集合住宅の空き家も増え続けているのが現状です。
以下のデータをご覧ください。
現状の共同住宅等の空き家数は、1998年から2018年までの20年間でおよそ30%増加していて、空き家率は、18%前後で推移していることが読み取れます。
空き家率18%とは、およそ5部屋に1部屋が空き家であるということです。
このような問題をより深刻にしているのが、空き家マンションの所有者不明問題です。
マンションの所有者がわからなければ、管理会社は月々の管理委託費と修繕積立金を請求することができません。
請求できなければ、建物の維持管理に必要な費用が不足するため、適切なタイミングで修繕工事が行えなくなり、当然マンションの劣化は進み続けてしまいます。
実際に、国土交通省が639組のマンション管理組合に調査した結果、対象の管理組合の14%が「連絡が取れない所有者がいる」と答えました。
マンションにおける所有者不明の空き家が増加する原因
分譲マンションにおける所有者不明の空き家は、なぜ増加してしまうのでしょうか。
増加の大きな原因は、相続問題です。
もともとの所有者である親が亡くなったにも関わらず、相続人である子が、相続放棄をしたり、きちんと相続登記をしないことで、管理組合は所有者を把握できなくなってしまいます。
では、なぜ親から引き継いだマンションを相続放棄、もしくは、相続しても未登記のまま放置してしまうのでしょうか。
理由は、核家族化の進行により、実家のマンションに興味を示さない子(相続人)が増えているからです。
夫婦2人、もしくは親+子で形成される家族形態。
多くの子が、結婚を機に実家を出て新たな住まいを購入、または賃貸して、実家とは別で世帯を持つようになったことで増加した。
所有者の親が亡くなっても、子が実家とは別で世帯を持っていたら、実家のマンションに必要性を感じず、興味を示しません。
そのため、相続放棄してしまったり、きちんと相続登記を済ませないまま放置されて、結果的に、所有者不明となってしまいます。
マンションにおける所有者不明の空き家が増加する問題点
分譲マンションの所有者不明の空き家が増える最大の問題点は、管理委託費や修繕積立金が十分に徴収できないことです。
たとえ空き家になっていても、所有者さえわかれば、管理組合は所有者に管理委託費や修繕積立金を請求することもできますが、所有者がわからなければ、当然請求も徴収もできません。
所有者不明の空き家となっている部屋が増えてくれば、建物の維持管理に必要な管理費委託や修繕積立金が不足し、修繕できなくなるため、当然マンションの劣化は進む一方です。
劣化したマンションは地域全体の景観を悪化させることに繋がります。
【景観を悪化させるマンションの例】
- 外壁が剥離・汚損、もしくはひび割れている
- 階段や廊下など共有部分の蛍光灯が暗い
- エレベーターが古くて動きが悪い
- 周辺の草木が管理されておらず生い茂っている
当然、上記のようなマンションに住みたいと思う人はいませんし、他の住人が売却を検討した際にも売れにくくなってしまうので、他の住人の迷惑になってしまいます。
空き家になっているマンションの所有者が抱えるデメリット
空き家になっている分譲マンションの増加が、社会に及ぼすデメリットを理解していただけたと思います。
ただ、空き家マンションは、社会的な問題だけでなく、所有者自身も複数の問題を抱えることになるので注意してください。
相続登記した所有者が抱えるデメリットと、相続登記していない相続人が抱えるデメリットに分けて解説していきます。
相続登記を行っていない相続人が抱えるデメリットはこちら
デメリット①税金の負担がかかる
空き家になっている分譲マンションは、戸建て空き家と同様、所有しているだけで「土地」と「建物」それぞれに固定資産税がかかります。
土地の固定資産税=土地の課税標準額×1.4%
マンションの固定資産税は、課税標準額によりますが、年間平均8~10万ほどです。
専有面積によってはさらに高額になります。
使っていない空き家マンションに、年間10万円以上課税するのは、家計にとって、非常に無駄な出費であると言えます。
デメリット②維持費と修繕積立金の負担がかかる
分譲マンションを所有している場合は、マンションに誰も住んでいなくても、管理委託費と修繕積立金を、管理会社に毎月支払わなければなりません。
管理委託費と修繕積立金は、それぞれ合わせて毎月約2~3万円で、年間にするとおよそ24~36万円です。
専有面積によってはさらに高額になるので、家計を圧迫する要因になってしまいます。
デメリット③価値の下落により売れにくくなる
どんな不動産も、時間が経つにつれて劣化していきますが、特に使われていない住居は、使われている住居に比べて劣化が早く、その分資産価値も早く下落していきます。
例えば、住人がいれば当たり前に行われる換気や通水がされないことで、室内のカビや給排水管の錆に繋がります。
そのため、使われている住居より早く価値が下落し、売りにくくなることはもちろん、売る前には、カビの除去や給排水管の修繕費など、余計な売却経費がかかってしまう可能性もあります。
デメリット④将来子どもに空き家の負担を引き継ぐ
今後も空き家を所有し続けて、あなた(所有者)が亡くなった場合、上記したすべてのデメリットが、子(次の相続人)に引き継がれます。
税金や管理委託費、修繕積立金の負担を抱えながら空き家マンションを所有し続けたのち、最終的に、今よりさらに資産価値が下がった空き家を、子どもに引き継ぎたいと思う人はいないでしょう。
相続登記を行っていない相続人が抱えるデメリット
空き家の分譲マンションを相続した場合、相続登記を行っていない、いわゆる未登記の状態であっても相続人には複数のデメリットがあります。
デメリット①税金の負担がかかる
前述したように、空き家の分譲マンションの所有者は年間8~10万、専有面積によっては10万以上の固定資産税を納めなければなりませんが、これは相続未登記の場合でも同じです。
たとえ未登記でも、税務署は役所と連帯し、亡くなった所有者から相続人を明らかにして、固定資産税を徴収するので、税金の負担からは逃れられません。
デメリット②2024年から相続未登記は罰金対象になる
2024年から、相続や、住所、氏名を変更した際の土地の登記を義務付ける法律が施行されます(2022年8月現在)
法律により、相続財産の中に不動産があると知った日から3年以内に登記登録をしなければ、所有者には10万円以下の罰金が科されます。
ちなみに、施行されるのは2024年4月1日からですが、2024年4月1日以前の相続未登記も、施行から3年後の2027年4月2日までに相続登記しなければ、罰則対象になります。
デメリット③本人名義でなければ売却できない
未登記の不動産は、相続登記を行い、相続人に名義変更を行ってからでなければ、売却することはできません。
既に亡くなっている親(被相続人)から、相続人を飛び越して、買手に名義変更することはできないからです。
相続登記を行わないまま空き家の分譲マンションを所有し続ければ、永遠に税金の負担を背負ったまま、売却することもできないため、金銭的にマイナスしかありません。
デメリット④相続登記しないまま亡くなれば子に迷惑がかかる
相続人が相続登記しないまま亡くなった場合、子(次の相続人)の相続登記の負担が大きくなってしまいます。
未登記不動産の相続人は1カ月以内に登記登録しなければならない
未登記不動産の相続人は、不動産登記法第47条により、1ヶ月以内に法務局へ登記登録しなければならないという義務があります。
第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
引用元:不動産登記法第47条
相続登記には、不動産の固定資産評価証明書や被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等、多くの書類が必要ですが、1カ月以内に必要書類をすべて準備して登記登録を行うのは非常に困難です。
にもかかわらず、1カ月以内に登記登録しなかった場合は、不動産登記法第164条により、相続人に10万円以下の過料が発生するので、相続人にとっては非常に厄介な負担になります。
第四十七条による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
引用元:不動産登記法第164条
司法書士の依頼費用がかさむ
相続登記は、司法書士に依頼することがほとんどです。
未登記の不動産を相続した場合は、きちんと登記されている不動産を相続した場合に比べて、登記に必要な書類が大幅に増えます。
必要書類の増加に伴い、相続登記の手間も増えるため、司法書士に依頼した場合の費用もかさみます。
通常は5~10万の依頼費用がさらに高額になり、次の相続人の大きな負担になりかねません。
空き家になっているマンションは放置せずに活用
空き家の分譲マンションを所有し続けることは、社会的にも所有者自身にもリスクしかないことがわかっていただけたでしょうか。
ここからは、空き家マンションを放置せず、活用する方法をご紹介します。
【空き家マンションの活用方法】
- 賃貸経営
- 売却
結論から言うと、例外を除き、空き家マンションは賃貸経営より売却の方が適しています。
以下を読めば、売却の方が適している理由を理解していただけます。
活用方法①賃貸経営
賃貸経営は、家賃収入により簡単に不労所得を得られると考えられがちですが、実際は、空室リスクなど様々なリスクを背負わなければなりません。
多くのリスクを背負ってまで、最終的に黒字になる見込みが薄い賃貸経営をしたいか、もう一度よく検討しましょう。
賃貸経営の仕組み
賃貸経営をする場合、空き家になっている分譲マンションのオーナーは、不動産仲介業者にマンションの入居者募集を依頼します。
依頼を受けた仲介業者は、インターネット等を使ってマンションの入居者を一般に広く募集し、問い合わせがあれば内見や賃貸契約の手続きを行います。
借手は、不動産知識がない一般の方で、借りる目的は住居用です。
無事賃貸契約が成立したら、多くの場合、借手とオーナーの間に管理会社が媒介します。
オーナーは毎月家賃の約5%を管理会社に手数料として支払いながら、家賃収入を得ます。
賃貸経営の唯一のメリットは家賃収入
賃貸経営の唯一のメリットは、家賃収入が得られることです。
ただ、家賃収入で利益を出すには、当然ながら継続的に入居者を確保し続ける必要があります。
入居者が退去して、空室になってしまうリスクは十分にあるため、唯一のメリットである家賃収入は、確実に享受できるものではありません。
賃貸経営のデメリット
賃貸経営には、空室リスクをはじめとする、メリット以上のデメリットが多く存在するため、家賃収入で利益を出すのは決して簡単ではありません。
初期費用がかかる
分譲マンションの賃貸経営には、入所者を募集する前に以下の初期費用がかかります。
いづれも、借手が「借りたい」「住みたい」と思える状態にするために必要な費用です。
【賃貸経営の必要経費】
- 荷物や家具の処理費用
- 室内のクリーニング費用
- 修繕費用(必要に応じて)
- リフォーム費用(必要に応じて)
空き家マンションに残っている、所有者や被相続人の荷物や家具の処理を、専門業者に依頼した場合、費用は1立方メートルあたりおよそ1万円です。一般の借手は、マンションを借りる前に必ず内見を希望します。所有者や被相続人の家具や荷物が放置されていれば、借手は汚い印象を受けるだけなので、荷物や家具は必ず処理し、まっさらな状態で内見できるようにしましょう。
空き家マンションのクリーニングを専門業者に依頼した場合の費用は、およそ2万~10万円で、広さや汚れ具合によって異なります。主に、壁や床のシミ、水回りの汚損の除去、トイレの消毒等を行うための費用です。
直前にリフォーム等を行っていて、そこまで著しく劣化していないのであれば、専有部の故障箇所など、最低限の修繕(数十万程度)だけで問題ない場合もあります。
一方、上記とは反対に、リフォーム等を行っておらず、マンション専有部の劣化が著しい場合は、数百万かけてリフォームしなければ借手が決まらないこともあります。
ランニングコストがかかる
賃貸経営を続けるには、以下のようなランニングコストがかかります。
【賃貸経営にかかるランニングコスト】
- 維持管理費、修繕費
- 固定資産税
- 管理委託費
維持管理費、修繕費は、設備等が故障するたびに、賃貸経営を続ける限り永遠に負担することになります。例えば寿命10~15年と言われている給湯器が壊れた場合、修理費用10万~60万ほどを負担しなくてはなりません。修理費用の負担が10~60万もあれば、一気に数か月分の家賃がゼロ、もしくはマイナスになってしまいます。
固定資産税は、前述したように年間およそ8~10万、専有面積によってはさらに高額な金額を納めなければなりません。
管理会社への管理委託費は、家賃収入のおよそ5%が一般的です。
空室リスクと家賃滞納リスクからは逃れられない
初期費用とランニングコストをかけて賃貸経営をしても、常に空室リスクからは逃れられません。
空室リスク
継続的に入居者を確保することができず、空室期間が続けば、家賃収入はあっという間に赤字になってしまいます。
どんなに立地などの条件が良いマンションでも、空室期間はあると覚悟しておきましょう。
家賃滞納リスク
無事に入居者が決まっても、家賃を滞納されるリスクもあります。
管理会社が家賃を請求しても支払わない入居者には、空き家所有者自ら請求したり、最悪の場合、裁判を起こさなければいけない可能性もあるため、所有者の大きなストレスになりかねません。
活用方法②売却
賃貸経営で収益を出すことの難しさを理解していただけたでしょうか。
空き家になっている分譲マンションの活用なら、大抵の場合、賃貸経営より売却が適しています。
賃貸経営は、様々なリスクや労力を背負っても結果的に赤字で終わってしまう可能性が十分にありますが、売却はノーリスクで確実にリターン(売却益)が得られるからです。
以降は、売却について解説していきます。
具体的に、売却方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。
空き家になっているマンションはニーズに合わせて仲介or買取を選択
「仲介」と「買取」どちらの売却方法を選ぶかは、空き家のニーズによって異なります。
あなたの空き家の分譲マンションに適した売却方法を知る前に、まずは2つの仕組みと違いを簡単に理解してください。
「仲介」と「買取」の仕組み
空き家を売りたい所有者から売却依頼を受けた仲介業者が、所有者と一般の買手をマッチングさせ、両者をサポートしながら売買契約を目指す方法です。仲介業者は、SUUMOやアットホームなどのポータルサイト等を使い、一般に広く買手を募集します。仲介の特徴は、買手は、不動産知識を持たない一般の個人で、購入目的は住居用である点です。
空き家を売りたい所有者から、不動産買取業者が直接空き家を買い取る方法です。買取の特徴は、買手は言葉の通り買取業者、つまり不動産のプロであり、購入目的は事業用である点です。
「買取」と「仲介」の違い
「買取」と「仲介」の重要な違いを、簡単に解説します。
価格の違い
仲介の場合は、市場価格通りに売却できます。
市場価格とは、多くの一般の個人が購入を検討する中で、最終的に売主と買主の間で契約成立した価格です。
前述したように、仲介は、一般に広く買手を募るので、ほぼ市場価格通りに売却することができます。
一方、買取業者は、再販のためのリフォーム費用や必要経費(人件費等)、会社の利益を市場価格から差し引いた金額で買い取らなければなりません。
前述したように、買取業者は買い取った空き家を再販して利益を出しています。
再販に必要な経費を捻出したうえで、会社の利益も出さなければならないため、市場価格通りで買い取れば、利益どころか赤字になってしまいます。
そのため、仲介に依頼した場合より、買取に依頼した場合の方が、買取価格は低くなります。
売却経費の違い
仲介の場合、以下のような売却経費の負担があります。
【仲介でかかる売却経費】
- 仲介手数料
- 所有者自身の家具や荷物の処理費用
- 修繕費用やリフォーム費用
仲介手数料
仲介 | 仲介業者は、買手や売手から仲介手数料を受けとり、利益を出しています。
仲介手数料は、取引金額に応じて上限が定められています。 例えば、空き家の取引価格が500万だった場合、手数料は21万(=500万×3%+6万)です。 |
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買取 | 買取業者は、直接買取であり仲介業務ではないので、当然に仲介手数料はかかりません。 |
所有者自身の家具や荷物の処理費用
仲介 | 一般の個人は、売買契約前に内見を希望します。内見の際に所有者の家具や荷物が残っていると、汚い印象を与え、売買契約に至りにくくなってしまいます。 |
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買取 | 前述しているように、プロが事業用として買い取るので、まっさらな状態での内見は不要です。そのため、所有者の家具や荷物が残っていても問題ありません。家具や荷物の処理も引き受けてくれる買取業者がほとんどです。 |
補修費用
仲介 | 一般の個人が「住みたい」「購入したい」と思えるよう、専有部で故障や破損している箇所は修繕(数十万円~)をする必要があります。また、マンション専有部の劣化が著しい場合は、数百万かけてリフォームしなければいけません。 |
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買取 | 前述しているように、買取業者は事業用として空き家を買い取ります。リフォームして再販する前提なので、所有者が修繕等する必要はありません。 |
売却スピードの違い
仲介は、不動産の情報を一般に広く拡散し、購入希望者が現れるのを待つ必要があります。
一般の住居として需要が高い空き家マンションでも、売却に3~6カ月、需要が低い空き家であれば、永遠に売却できないこともあります。
一方、買取は、一般の個人が購入したいと思えないような空き家でも、再販後の利益が見込めて金額感さえ合えば、ほとんどの条件の空き家を最短1週間程度で買い取ることができます。
契約不適合責任の有無の違い
買手が安心して購入できるよう、不動産の売主には、基本的に契約不適合責任が課せられています。
売買契約成立後、契約書に記載が無い欠陥や不具合(設備の故障や給排水管の詰まり)があった場合に、売主が負わなければならない責任。売主は、不適合箇所の修繕費用の負担や、最悪の場合、売買契約の取り消しに応じなければならない。
仲介では、不適合責任を免責すると、不動産知識を持ち合わせない買主にとっては購入後のリスクが大きくなりすぎてしまうため免責されません。
普通なら負うべき責任を問わずに許すこと
買取であれば、特約によって契約不適合責任が免責されるのが一般的です。
なぜなら、買取業者はリフォーム等を行う前提で買い取るため、買取後に不具合や欠陥があっても影響はないからです。
ニーズが高い空き家は仲介業者へ売却依頼
一般の方が「住みたい」と思えるような、ニーズが高い空き家は、仲介に依頼しても十分に売却できる可能性があります。
ニーズが高い空き家の一例として、以下のような条件が挙げられます。
立地
- 車文化の地方であれば市街地まで車で15分以内
- 電車文化の都心であれば電車の最寄り駅まで徒歩10分以内
築年数
- 築20年以内
築20年は、あくまで建物の老朽化の基準の1つです。
一般的に、築20年以内であれば、大幅に老朽化していないことが多く、買い手からも需要があります。
実際に、弊社が独自に行った「不動産を購入する際、築年数は何年までがベストか?」のアンケート調査でも、81%の人が「築20年以内」と答えています。
反対に、築20年以上であっても、修繕等により綺麗な状態を保てている空き家マンションであれば、仲介でも売却できる可能性は十分にあります。
ニーズが低い空き家は買取業者に直接売却
一般の方が「住みたい」と思えないような、ニーズが低い空き家は、仲介に依頼しても売却できません。買取業者に直接売却してください。
ニーズが高い空き家の一例として、以下のような条件が挙げられます。
立地
- 車文化の地方であれば市街地まで車で30分以上
- 電車文化の都心であれば電車の最寄り駅まで徒歩15分以上
築年数
- 築20年以上
前述したように、築20年は、あくまで建物の老朽化の基準の1つです。
築20年以内であっても、見るからに室内が劣化している空き家マンションは、一般のニーズがないので買取業者に直接売却する方が適しているでしょう。
買取であれば、一般の購入希望者が現れるのを待つ必要がないため、最短1週間程度で、ほとんどの条件の空き家を売却できます。
弊社も空き家の買取に特化した買取業者です。所有している不動産のニーズに自信がない方は、お気軽にお問い合わせください。
>>【倒壊寸前の空き家でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
空き家のマンションのローンが残っている場合のみ賃貸経営
基本的に空き家になっている分譲マンションは売却するべきと説明しました。
空き家のローンが残っている場合も、売却して、売却利益でローンを完済しようと考えるかもしれません。
しかし、マンションのローンが残っている場合は、基本的に売却することができないため、賃貸経営するしかありません。
売却できない大きな理由は、抵当権が外せないからです。
住宅取得などの目的で借り入れたローンを、債務者が返済できなくなったときのために、債権者(金融機関)が担保として、該当の不動産に設定する権利
抵当権がついている空き家は、債務者(空き家マンションの所有者)がローンを返済できなくなれば、競売にかけられてしまいます。
購入後に競売にかけられてしまう可能性がある空き家なんて、当然誰も購入しませんし、仲介業者が売却依頼を受けてくれないことがほとんどです。
そのため、ローンが残っている空き家マンションを手放す手段は以下の2つです。
- まずは自己資金でローンを完済して抵当権を外してから売却する
- マンションの賃貸経営をして、家賃収入を得ながらローン完済を目指す
自己資金のローン完済は金銭的負担が大きいので、まずは仲介業者に問い合わせ、賃貸マンションとして貸し出したい旨を相談しましょう。
信頼できるマンション買取業者の選び方
所有しているマンションのニーズが低く、買取業者に直接売却するしか方法がない人も、できるだけ高く売却したいはずです。
ここからは、信頼できる買取業者の選び方を解説します。
正しい買取業者選びで、少しでも高い売却を目指しましょう。
複数の空き家専門の買取業者をピックアップ
まず、空き家専門の買取業者を複数ピックアップしましょう。
放置されている空き家マンションは、思いがけない欠点(設備の故障や給排水管の詰まり等)を抱えていることも多いので、契約不適合責任免責の特約や、空き家専門のノウハウがある買取業者を選ぶべきです。
ピックアップした複数の買取業者に査定依頼する
ピックアップした複数の買取業者に、空き家の査定を依頼しましょう。
複数の買取業者に依頼するのは、査定価格の比較対象を持つのはもちろん、担当者の態度から業者の信頼度を測り、比較するためでもあります。
1つの買取業者に絞る
複数の買取業者に査定依頼した結果、1番信頼できると感じた買取業者が、1番高い査定価格を提示した場合は、迷わずその買取業者に依頼しましょう。
1番信頼できると感じた買取業者と、1番高い査定価格を提示した買取業者が異なる場合は、前者に1番高い査定価格を提示して交渉してみてください。
誠実な担当者であれば、売主が希望する価格に近づけるよう、できる限りのことをしてくれるはずですし、もしできないのであれば、その理由を教えてくれるはずです。
査定価格だけに惑わされず、担当者の態度などもしっかりと比較し、最終的に最も信頼できると感じた買取業者に買取を依頼しましょう。
空き家になっているマンションを売却したときの譲渡所得税
分譲マンションのローンが残っている等、例外的な場合を除き、空き家マンションは賃貸経営ではなく売却するべきと説明しました。
最後に、売却後の注意点として、譲渡所得税について簡単に説明します。
譲渡所得税とは、マンションに限らず、不動産を売却して利益が出たら納めなければならない税金です。
譲渡所得=売却額ー取得費ー譲渡費ー減価償却費
譲渡所得×税率(約40%)=譲渡所得税
売却した翌年の2月16日~3月15日に、売主は税務署で確定申告を行い、その際に譲渡所得税も支払います。
売却利益を譲渡所得税の支払いに充てることもできるので、資金計画の参考にしてください。
譲渡所得税の節税対策
節税対策をきちんと行うことで、譲渡所得税が少なくなる、もしくはゼロになることがあります。
空き家になっている分譲マンションを売却した場合は、以下の控除の対象になる可能性があるのでチェックしてください。
【相続税対策の特例と各特例の国税庁ページ】
相続財産を売却した場合、譲渡所得が最大3,000万控除されることで、譲渡所得税が大幅に安くなる、もしくはゼロになる非常に大きな特例です。
適用するには、相続のあった日から、3年経過する日の属する12月31日までに売却する必要があります。
所有者が住んでいる、もしくは住んでいた居住用の財産を売却した場合、譲渡所得が最大3,000万控除されることで、譲渡所得税が大幅に安くなる、もしくはゼロになる非常に大きな特例です。
現在住んでいない住居用マンションを売却するのであれば、居住しなくなった日から、3年経過する日の属する12月31日までに売却する必要があります。
所有者が住んでいる、もしくは住んでいた居住用の財産を売却した場合、長期譲渡所得の税額を、通常よりも低い税率で計算できる特例です。
マイホームの3,000万控除と同様に、現在住んでいない住居用マンションを売却するのであれば、居住しなくなった日から、3年経過する日の属する12月31日までに売却する必要があります。
マンションの相続税や詳しい控除についてはこちらも参考にしてく
参考:マンションの相続税はいくら必要?
まとめ
空き家マンションが抱える問題点や活用方法について解説しました。
空き家マンションは社会的な問題だけでなく、所有者や相続人にも複数のデメリットがあるため、早急に活用を検討しましょう。
結論から言うと、賃貸経営で黒字を出すのは、不動産の知識や経験がない方にはかなり困難なので、空き家マンションの活用方法は、ほとんどの場合、売却一択です。
具体的に、売却方法は「仲介」と「買取」の2種類があり、マンションのニーズによってどちらを選ぶべきかが異なります。
最寄り駅や市街地まで遠い等、立地が悪かったり、老朽化が進んでいる空き家マンションは、一般の個人にはニーズがないため、不動産のプロである買取業者に直接売却してしまいましょう。
買取業者であれば、一般にニーズがない空き家も最短1週間ほどで買取&現金化が可能です。
弊社は空き家の買取を得意とする、専門業者です。
空き家マンションの活用でお困りでしたら、ぜひご連絡ください。
>>【倒壊寸前の空き家でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
賃貸マンションの空室率推移と効果的な空室対策については、
参考:空室率とは?