不動産が差し押さえられると起きる3つのこと
不動産が差し押さえられると、具体的にどのようなことが起きるのか、まずは前提知識として理解しておきましょう。
なお、差し押さえられた不動産の売却方法が知りたい方は、差し押さえられた不動産を売却するベストな方法は「任意売却」からお読みください。
不動産の「差押登記」が行われる
不動産を差し押さえられると、登記簿上の「権利部 (甲区)」の箇所に「差押登記」と記載されます。
【差押登記の見本】
差押登記がつくと、物件の所有者であっても自由に売却できなくなります。
新たに抵当権を設定することもできません。
賃貸として貸し出すことも困難です。
ただし、差し押さえ前から賃貸として貸し出していたのであれば、現在の入居者を無理やり退去させる必要はありません。
また、居住している不動産を差し押さえられて売りに出された場合も、買主が決まるまでは住み続けることが可能です。
買主(次の所有者)が決まるまでの期間は、10カ月以上かかるケースも多いので、その間に退去すればトラブルにはなりません。
ちなみに、次の所有者が決まっても不動産に居住し続けた場合は、債権者から「強制執行」を申し立てられて強制的に退去させられます。
強制的に債務者から債権を取り立てる手続きのこと。
強制執行を行うには裁判所による確定判決などが必要。
不動産の差し押さえ登記に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。

差押えられた不動産は競売or公売にかけられる
先ほども少し触れましたが、差し押さえられた不動産が債権者によって売られることを「競売」又は「公売」と言います。
債権者は差し押さえた不動産を競売あるいは公売にかけて、滞納された分の債務を回収します。
ただし、詳細は債務を返済しきれないおそれがあるで後述しますが、競売や公売にかけても売却価格だけでは債務を回収しきれない場合もあります。
では、競売公売がどのように違うのか、以降で具体的に解説していきます。
競売と公売の違い
以下では、競売と公売の違いを簡単にご説明します。
知識として把握しておいてください。
債権者
競売と公売の大きな違いは、主催者が異なる点にあります。
競売は不動産に抵当権を設定している金融機関や、債務者に金銭を貸している企業や個人などが裁判所に申し立てて不動産を売却する方法です。
民間主導による債権回収方法であり、裁判所が主体となって手続きが進められます。
一方で、公売は税金を滞納した債務者に対して債権者である国税庁や自治体が国税徴収法にもとづいて不動産を売却する方法です。
公的機関が主体となって債権を回収する手続きを行います。
競売 | 公売 | |
---|---|---|
主催者 | 裁判所 | 行政機関 |
債権者 | 民間企業・個人 | 行政機関 |
売却価格 | 市場価格の7~8割 | 市場価格の7~8割 |
原因
競売の原因は、抵当権者による不動産競売申し立てや、一般債権者による強制競売の申し立てです。
つまり、一般の民間人(法人含む)が裁判所に申し立てをすることによって始まります。
一方で、公売の原因は、税務署や自治体による滞納処分です。
税金や保険料などを滞納していると、裁判なしでいきなり物件を差し押さえられる可能性があります。
売却方法
裁判所が主催する競売の場合、物件は「期間入札」という方法で売却されます。
期間入札とは、一定期間中に購入希望者による入札を募集し、もっとも高額な価格で入札した人に購入権を与える方法です。
一方で、公売の場合は、期間入札だけではなくインターネット上でも購入希望者を募集します。
また「広告随意契約」といって、国税庁や自治体自身が不動産を売り出し、先着順で申し込んだ人に売却する場合もあります。
売却金の支払先
競売によって得られた売却金は、抵当権者や債権者に支払われます。
ローン滞納によって差し押さえされた場合はローンの返済に充てられ、借金滞納で差し押さえられた場合は借金返済に充てられます。
一方で、公売によって得られた売却金は、滞納していた税金や保険料などに充てられます。
債務を返済しきれなくなるおそれがある
競売・公売に掛けられると、残りの債務を返済しきれなくなるおそれがあります。
競売や公売で強制的に売却されると、価格は市場価格の7~8割程度になるケースがほとんどです。
そこから競売・公売にかかった費用も引かれるので、実際に手元に入ってくる金額はさらに減ります。
このように、競売・公売されてしまえばわずかな金額しか返済に充てられなくなります。
売却額だけで完済できなければ、競売・公売後も残りの債務を返済し続けなければなりません。
不動産を失った後も債務の返済を続けるとなれば、債務者の生活は確実に困窮してしまうでしょう。
競売や公売にかけられるまで差し押さえられた不動産を放置してしまうよりも、自主的に不動産を売却したほうが高値で売れ、その分残債を効果的に減らせるのです。
その具体的な方法について、次の章で詳しく解説していきます。
差し押さえられた不動産を売却するベストな方法は「任意売却」
差し押さえられた不動産は、債務者が滞納している税金や住宅ローンの支払を完済し、債権者に差押え登記を解除してもらわない限り、基本的に売却できません。
しかし、税金や住宅ローンを返済するお金があったら最初から返済していますし、そもそも不動産を差し押さえられていませんよね。
そこで、債務を完済しないまま差し押さえられた不動産を売却できる唯一の方法が、「任意売却」です。
任意売却とは、債権者の同意を得て差押登記を外してもらったうえで、債務者が任意で不動産を売却することです。
ただし、債権者が誰であるかによって、任意売却のしやすさは異なります。
ここでは、以下債権者別に任意売却の難易度を解説します。
また、任意売却については以下の記事でも解説しています。こちらも併せてご覧ください。

債権者が金融機関であれば比較的容易
債権者が金融機関であれば、債務者は任意売却がしやすいと言えます。
金融機関に任意売却の話を持ちかけると、ほとんどのケースで了承してもらえます。
金融機関は任意売却についてよく理解しており、任意売却する方が競売よりも多くの債権を回収できるというメリットも把握しているからです。
債権者が個人なら交渉次第
債権者が一般の個人だと、債権者の考え方や債務者との関係性次第で任意売却の難易度は異なります。
債権者が任意売却に関する知識を持っていない、あるいは債務者を信用できないなどの理由で拒絶されるおそれもあります。
債権者が国や自治体だとほとんど不可能
税金滞納による差押え(債権者が国や自治体)だと、任意売却できないケースがほとんどです。
ただし、本人が滞納している税金を納める誠意をしっかりと見せれば、柔軟に対応し、任意売却に応じてもらえる可能性もあります。
差し押さえられた不動産を任意売却するメリット・デメリット
不動産を差し押さえられた場合は、競売・公売よりも任意売却するほうが良いことは先述した通りです。
ただし任意売却にはデメリットもあるため、メリットだけでなくデメリットを踏まえたうえで慎重に検討することが大切です。
任意売却のメリット
競売や公売を避けて任意売却すれば、債務者にとって以下のようなメリットがあります。
高額で売れて多くの残債を減らせる
お伝えした通り、一般的に、競売や公売で売却するより、債務者自ら実家を売却した方が売却金額は高額になります。
競売や公売時よりも多くの金額を債務の返済に充てられる点は大きなメリットでしょう。
残債を大きく減らせるので、その後の返済が楽になります。
引っ越し費用を出してもらえる
競売や公売の場合、物件を強制的に売却された後は家を出て行かなければなりませんが、その際の引っ越し費用は出してもらえません。
一方、任意売却であれば一般的に10万円から30万円程度の引っ越し費用を出してもらえます。
建物から退去しなければならないけど手持ちのお金がない方にとって、とても助かる仕組みと言えます。
プライバシーが守られやすい
競売や公売が行われると、その情報が全国に公表されます。
というのも、競売になると裁判所のHPや裁判所内で競売物件に関する詳細情報が載せられます。
公売であれば国税庁や自治体のHPなどに公売物件の詳細情報が掲示されます。
これは誰でも閲覧が可能です。
引用元:BIT|不動産競売物件情報サイト
すると競売・公売物件に関心を持つ不動産業者などが実際に現地を訪れ、物件の周囲が不穏な雰囲気になることも珍しくはありません。
そうなれば、自分の不動産が競売・公売にかけられていることをご近所の方にまで知られてしまいます。
それに対して、任意売却であれば、差し押さえられていることは公表されることはありません。
通常の不動産と同様に市場に売り出す売却方法ですから、ローンや税金滞納の事実を周囲に知られることはありません。
不動産を差し押さえられてすでに競売・公売が始まっていても、早期に任意売却を成功させれば物件情報の掲載期間も短くなり、よりプライバシーを守りやすくなります。
任意売却のデメリット
ここでは、任意売却のデメリットを解説します。
任意売却できるのは「競売開札日の前日」まで
不動産を差し押さえられて競売が始まっている場合、任意売却には期限があります。
競売の取り下げができるのは「開札日の前日まで」のため、どんなに遅くてもその日までには売却を終えなければなりません。
物件の買い手を探して売買契約を締結し、決済まで進めるには時間がかかるため、任意売却をするのであればなるべく早く専門の不動産買取業者に依頼しましょう。
任意売却するには差押登記の解除が必要
任意売却を進めるには、前提として不動産の差押登記を解除してもらう必要があります。
「不動産の「差押登記」が行われる」で解説したように、差押えられた不動産は、登記簿にその事実が記載されています。
この差押登記を解除してもらうには、差押えをしている債権者全員と交渉し、売却への合意を取り付けることが必要です。
ただし、交渉したからといって合意を得られる保証はなく、以下のようなケースでは交渉に応じてもらえない可能性があります。
- 滞納金額が高額なケース
- 滞納通知を無視するなど、対応が不誠実だったケース
たとえ交渉に応じてもらえても、 交渉には高度に専門的な知識を要するため、個人で対応することはほぼ不可能です。
しかし、任意売却に精通した専門の買取業者に相談すれば、債権者との複雑な交渉をすべて任せられます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は訳あり物件を専門に扱っており、任意売却に関する交渉ノウハウも豊富です。
弁護士と連携している弊社では、差押えの解除から売却完了までスムーズに進めることが可能ですので、競売を免れ任意売却を成立させたい方は、ぜひ弊社までご相談ください。
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共有者や連帯保証人の同意が必要
任意売却を行うには、不動産の共有者や住宅ローンの連帯保証人といった関係者全員の同意が不可欠です。
たとえば、夫婦や親子で不動産を共有名義にしている場合、一方の都合だけでは売却できません。
すべての共有者が売却に同意して、初めて手続きを進められます。
しかし、親しい家族間であればまだしも、元の配偶者など関係が複雑な場合は、交渉自体が困難になるでしょう。
また、住宅ローンに連帯保証人がいる場合も同様に、その人の同意が必要です。
任意売却をしてもローンが残る場合、連帯保証人には返済義務が残るため、売却後の返済計画などを誠実に説明し、納得してもらわなければなりません。
同意を得るためには、なぜ任意売却が必要なのか、売却後の残債務はどうなるのかを丁寧に説明し、経済的な負担をかけないような計画を示すことがポイントです。
関係者との話し合いが難航しそうな場合は、早めに専門家へ相談しましょう。
一般の仲介業者は任意売却を取り扱わない
不動産会社の1つである「仲介業者」は、任意売却を取り扱わないことがほとんどです。
売却方法の仕組み上、一般の仲介業者にとって任意売却を扱うのは高いリスクを伴うからです。
というのも、売主から不動産の売却依頼を受けると、不動産仲介業者は物件情報を公開して一般の買い手から買主を募り、内覧や交渉を経て売買契約を目指します。
重要なのは、一般の買い手が買主になることです。
たとえ購入希望者が現れたとしても、住宅ローンを組めなかったなどの理由で買主が不動産を購入できなくなれば、これまで売却活動に注いできた仲介業者の人件費等は全て、水の泡になってしまいます。
仲介業者は売買契約が成立して初めて、仲介手数料という形で報酬を得る「完全成功報酬型」のビジネスモデルだからです。
さらに、任意売却の期限も一般的な仲介業者にとってのネックとなります。
購入予定だった買手が購入できなくなれば、残された期限内にまた一から新たな買い手を見つけなければならず、期限切れとなって競売や公売へと移行してしまうおそれもあるからです。
以上のように、仲介業者が任意売却を扱ってくれることはほとんどありませんし、たとえ依頼できたとしても結局競売や公売となってしまいかねません。
よって、差し押さえられた不動産の任意売却は、後述する「専門の買取業者」に相談しましょう。
任意売却の相談は専門の買取業者にすべき2つの理由
お伝えしたとおり、差し押さえられた不動産を任意売却できれば、競売や公売よりも高く不動産を売れるので、あなたの残債をより多く減らせます。
ただし、任意売却をおこなえる不動産会社は限られます。
詳しくはこれから解説しますが、任意売却をおこなうには高い専門性が求められるからです。
以下では、その理由について解説していきます。
そもそも任意売却は高い専門性が求められる
「一般の仲介業者は任意売却を取り扱わない」でお伝えしたように、任意売却は全ての不動産会社が行えるわけではありません。
任意売却をおこなうためには、債権者との複雑な交渉によって許可を得なければならないからです。(差し押さえられた不動産を任意売却するための進め方もご参照ください)
そのため、普段から任意売却を積極的におこなっている、専門性の高い不動産会社に依頼する必要があります。
そして不動産会社の中でも、任意売却は「買取業者」に依頼すべき理由があるので、次の見出しで解説していきます。
専門の買取業者は任意売却に強い
お伝えした通り、不動産仲介業者は一般の買手の中から買主を探すため、任意売却を積極的におこなうことはほとんどありません。
それに対して、もう一つの不動産会社である「買取業者」は、高確率で任意売却を取り扱えます。
買取業者による売却方法は、一般の買い手から買主を探すのではなく、買取業者自身が買主となって不動産を買い取る、いわば「1対1」のビジネスモデルだからです。
なので、差し押さえられた不動産を査定して債権者と交渉し、任意売却の許可さえ得られれば、買取業者はすぐさま物件を買い取れます。
ただし、前述したとおり、任意売却をおこなうには高い専門性が求められるため、全ての買取業者が任意売却をおこなえるわけではありません。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は差し押さえられた不動産など、仲介業者や他の買取業者では売却が難しかった物件も積極的に買い取っております。
これまで蓄積してきた知識や、経験を通して得た債権者との交渉術を駆使し、全力であなたの不動産を買い取ります。
スピーディーに買い取り可能ですので、「仲介業者にお願いしていたけど、契約が白紙になった」「任意売却の期限まで時間がない」という方も、まずはご相談ください。
>>【差し押さえに遭った不動産も高額売却】無料で買取査定を依頼する
差し押さえられた不動産を任意売却するための進め方
ここでは、実際の任意売却の進め方を時系列順に説明します。
任意売却を得意とする不動産買取業者に査定を依頼する
任意売却にあたっては、差し押さえられた不動産がどのくらいの価格で売却可能かを金融機関などの債権者へ示す資料が必要です。
そのためまずは任意売却を得意とする不動産買取業者に査定を依頼し、査定書を出してもらいます。
金融機関と任意売却について話し合う際、不動産会社による査定価格を提示できれば、売却後の残債の具体的な返済計画を伝えられるので、任意売却を認めてもらえる可能性は高くなります。
査定金額は不動産買取業者によって異なります。差し押さえられた不動産などの訳あり不動産に強い専門の買取業者であれば、独自の買取ノウハウや再販ルートを持つので、より高額で買い取ってもらえる可能性が高まります。
弊社はこれまでに差し押さえられた不動産の任意売却を数多くお手伝いさせていただきました。
以下のように、Googleの口コミでも多数の感謝のお声を頂戴しております。
知識や経験を豊富に蓄えた弊社スタッフが全力で対応させていただきますので、任意売却をご検討の方はぜひご相談ください。
>>【差し押さえに遭った不動産も高額売却】無料で買取査定を依頼する
債権者の合意を得る
任意売却を行う際は、査定書を金融機関などの債権者に示して了承を得る必要があります。
債権者が国や自治体の場合は任意売却の同意を得るのに苦労するケースが多々あるので、任意売却を専門とする買取業者にお願いして交渉してもらうことをおすすめします。
買取業者と売買契約を結ぶ
任意売却についての合意を得られたら、買取業者と売買契約を結びましょう。
一般の仲介業者に依頼した場合、一般の買主に向けた売却活動を行う必要がありますが、買取業者に直接売却すれば、売却活動の手間はかかりません。
そのため、債権者の合意を得たら、すぐに不動産を売却することができます。
決済&債務の完済
売買契約締結後、決済を行い、支払われた代金によって滞納金や税金を払います。
このときまでには差押登記を解除してもらい、競売を取り下げてもらうことが可能です。
まとめ
住宅ローンの返済が滞ったり、税金を滞納したりして不動産が差し押さえられてしまっても、競売や公売前であれば任意売却が可能です。
任意売却を行えば競売や公売よりも高値で売却でき、その分、残債をより多く減らせます。
ただし、任意売却は債権者からの同意が必要であったり、売却期限があったりと、一般的な不動産売却とは全く異なります。
そのため、差し押さえられた不動産の売却は、専門の買取業者に直接相談するべきです。
専門の買取業者であれば、債権者との交渉力に富んでいるので、債権者との複雑な交渉を一任できますし、債務者の残債をできる限り減らせるようなるべく高い金額で買い取ってくれます。
弊社は、実際に差し押さえられた不動産を買い取った実績がございます。
過去には、一般の不動産業者が取り扱わない訳あり物件専門の買取業者としてフジテレビの「newsイット!」にも紹介されました。
「不動産が差し押さえられて途方に暮れている」「少しでも債務を減らしたい」とお悩みの方は、ぜひ一度弊社にご相談ください。
訳あり物件の豊富な買取実績を活かし、あなたのお悩みを解消するお手伝いができれば幸いです。