空き家を無計画に相続してはいけない理由
空き家は無計画に相続してはいけません。
空き家は所有しているだけで複数のリスクがあるからです。
そのため、どのように活用するか目処を立てたうえで相続することを強くおすすめします。
この章では、空き家を所有するリスクをご説明します。
空き家を所有し続ける限り永遠に固定資産税がかかり続ける
使われていない空き家であっても、土地と建物の固定資産税は毎年課税されます。
土地の固定資産税=土地の固定資産税評価額×1/6×1.4%
建物の固定資産税=建物の固定資産税評価額×1.4%
空き家の固定資産税は、当然評価額によって異なりますが、平均はおよそ10万~12万です。
用途がない空き家に毎年10万円以上の固定資産税を納め続けるのは、非常に無駄な出費であると言えます。
「特定空き家に指定」or「空き家を解体」で固定資産税が最大6倍になる
特定空き家に指定される、もしくは空き家を解体すると土地の固定資産税が最大6倍になります。
保安、衛生、景観、その他周辺地域の環境等の観点から、今後も放置するのは危険であると行政に判断された空き家
居住用の家屋が建っている土地の固定資産税には「住宅用地の特例」が適用されており、固定資産税は1/6になっています。
土地の固定資産税=土地の固定資産税評価額×1/6×1.4%「一般住宅用地の特例」200㎡超
土地の固定資産税=土地の固定資産税評価額×1/3×1.4%
しかし、特定空き家に指定される、もしくは、土地に建っている建物を解体して更地にすれば、当然、住宅用の土地としては認められないため「住宅用地の特例」の適用外になります。
住宅用地の特例が適用外になれば、土地の固定資産税は最大6倍になり、家計を圧迫してしまいます。

行政代執行による高額な解体費用が請求される
特定空き家に指定されているにも関わらず、所有者が管理の義務をまっとうせず、空き家の劣化や老朽化が改善されない場合は、行政による空き家の強制解体(行政代執行)が行われます。
行政代執行によって生じた解体費用は、全額空き家所有者に請求されます。
行政代執行の解体費用は、空き家の規模や条件によりますが、高ければ1,000万近いこともあり、所有者の非常に大きな負担になります。
なお、行政代執行に要した費用は、税金を滞納したときと同様に「強制徴収」が認められているため、自己破産等をしても、決して逃れることはできません。
空き家の管理に経済的な負担&労力がかかる
特定空き家に指定されるのは、空き家の劣化や老朽化が著しく破損や倒壊の危険があったり、害獣や害虫が住み着いて衛生上の問題があったりする場合です。
特定空き家に指定されて、固定資産税が最大6倍になったり、行政代執行が行われたりする事態を防ぐためにも、空き家の所有者は、空き家を所有し続ける限り永遠に空き家の管理をしなければなりません。
具体的に、空き家の管理は月1~2回、以下のような内容を行う必要があります。
- 室内の換気をする(ホコリや湿気によるカビ増殖の防止のため)
- 水道に水を通す(水道管の破損や悪臭防止のため)
- 室内と敷地内の清掃をする
- 破損箇所の確認と修繕をする
空き家が遠方にある等の理由で月1回以上出向くことが難しい場合は、専門業者に空き家の管理を依頼する方法もありますが、月5,000円~1万の依頼費用がかかります。

相続した空き家の活用方法を決めよう
無計画に空き家を相続すると様々なリスクを抱えることになるので、相続した空き家の活用方法を決めましょう。
空き家の活用方法には、主に以下のようなものがあります。
- 相続人が住む
- 収益目的で貸し出す
- 売却する
結論から言うと、相続した空き家の活用には売却が1番適しています。
その理由を解説していきます。
相続人が住む
相続人が空き家に住むつもりなのであれば、空き家を相続してもいいでしょう。
ただ、以下のような場合は、金銭的な負担が生じるため、空き家に住むための相続は推奨できません。
- 既に持ち家があり固定資産税を二重で納めることになる
- 空き家の老朽化が著しく、修繕やリフォームをしないと住むことができない
空き家の修繕費用は、部分的な修繕でも数十万、フルリフォームであれば1,000万かかり、所有者の大きな負担になってしまいます。
ただ、空き家は、シロアリが住み着いていたり木材が腐っていたり、建物の基礎部分に目に見えない問題がある可能性が高いため、修繕やリフォームではどうにもならない場合も多くあります。
相続した空き家に住むのであれば、ある程度の問題があることは覚悟のうえで住まなければなりませんし、そうでないなら専門家に住宅診断を依頼する等、手間と費用を要します。

収益目的で貸し出す
せっかく空き家を相続したのだから、収益目的で貸し出したい(賃貸経営したい)と考えるかもしれません。
たしかに、賃貸経営には、家賃収入が見込める、思い出深い空き家を手放さずに済む等のメリットがあります。
しかし、賃貸経営を目的として空き家を相続するのは、一度考え直すべきです。
なぜなら、空き家の賃貸経営には多くのリスクが伴い、不動産の知識や経験がない方が家賃収入を得るのは、実際のところ非常に難しいからです。
どのように難しいかというと、そもそも、空き家を賃貸経営するためには、初期費用として、数十万~数百万の高額なリフォーム費用がかかります。
当然、リフォーム費用を賃貸収入で黒字にしなければなりませんが、そう簡単ではありません。
継続的に入居者を確保できず、思うように家賃収入を得られない可能性や、入居者が確保できても家賃を滞納されてしまうこともあります。
また、空き家の設備を維持するためのランニングコストも忘れてはいけません。
例えば、寿命10年~15年の給湯器が故障した場合、修理費用の負担はおよそ10~60万で大変高額になるため、それだけで数か月分の家賃がマイナスになってしまいます。
このように、賃貸経営で収益を上げるのは非常に難しいため、不動産の知識や経験が豊富で賃貸経営に自信がある方以外は、賃貸経営のために空き家を相続するのは一度踏みとどまってください。

売却する
上記のように、相続した空き家の活用は簡単ではないことを理解していただけたでしょうか。
相続した空き家は、無理に活用しようとせず売却してまえば、リスクもないうえに売却益という大きなリターンを得ることもできます。
【相続した空き家は売却するべき理由】
- 固定資産税の負担から完全に解放される
- 管理の負担から完全に解放される
- 売却代金がまとまった現金で手に入る
売却すれば、所有権を完全に手放せるので、固定資産税の負担や管理義務からも完全に解放されます。
そのうえ、売却代金がまとまった現金で手に入るので、一石二鳥です。
相続した空き家の売却方法は「買取」が最適
相続した空き家の活用方法は、売却が最適である旨を説明しました。
具体的に、売却方法には「仲介」と「買取」がありますが、空き家の売却には「買取」が適しています。
「買取」が適している理由をご説明する前に、2つの違いを簡単に説明します。
不動産を売りたい所有者から売却依頼を受けた仲介業者が、一般の買手を広く募集し、売手と買手の間を取り持つことで、売買契約成立を目指す方法。
一般の買主は、居住目的で空き家を購入する。
不動産を売りたい所有者から、不動産買取業者が直接買い取る方法。
買取業者は、買い取った空き家を独自のノウハウでリフォームし、再販して利益を上げるために空き家を買い取る。
仲介は、一般の買手を募る方法であるため、一般の買手にニーズがない空き家は売却することができません。
一般の買手にニーズがあるか否かを決めるのは、主に「空き家の状態」と「空き家の立地」です。
例えば、空き家の状態が、修繕やリフォームをしなければ入居できないくらい老朽化している場合等は、一般の買手にニーズがあるとは言えません。
また、立地は、周辺に学校や病院等の施設が充実していなかったり、電車文化の都心であれば最寄り駅まで徒歩15分以上、車文化の地方であれば、市街地まで車で10分以上かかったりする場合は、一般の買手にはほぼニーズがありません。
買取は、このような一般の買手にニーズがない空き家であっても、再販して利益が見込めれば買取可能です。
このような違いから、買取で相続した空き家を処分するのには、複数のメリットがあります。
理由① 売却&現金化がスピーディー
買取であれば、一般の住居として需要がない空き家も、最短数日で売却することができます。
買取業者は、売主から直接買い取るので、売主側が金額感に納得できれば、即買い取ることが可能だからです。
一方、仲介は、一般の買手が現れるのを待たなければならないため、一般の住居としてニーズがある空き家でも、およそ3~6カ月の売却期間がかかり、ニーズが低い空き家なら年単位で売れ残ったり、永遠に売却できなかったり等のリスクがあります。
空き家の管理や固定資産税の負担、固定資産税が最大6倍になるリスクから早急に解放されるためにも、相続した空き家は買取業者に直接売却するのが適しています。
理由② 契約不適合責任免責の特約がついている
買取であれば、大抵の場合、特約によって契約不適合責任が免責(責任の免除)されます。
売買契約成立後、契約書に記載が無い欠陥や不具合(シロアリや雨漏り、建物の傾き等)が売却した不動産に見つかった場合、売主が負わなければならない責任。
なぜなら、買取業者は事業(リフォームして再販する)目的で買い取るため、空き家の欠陥や不具合も承知の上で買い取るからです。
一方、仲介では、基本的に契約不適合責任が免責されることはありません。
そのため、仲介の売主は、契約不適合責任を問われたら、損害賠償請求や売買契約の取り消しに応じる必要があります。
相続した空き家は、経年劣化等により、売主も把握しきれない欠陥や問題が隠れているため、売却するなら買取の方が断然安心です。
理由③ 売却経費がかからない
仲介では以下のような費用負担がありますが、買取であれば負担はありません。
- 仲介手数料
- 被相続人の家具や荷物の処理費用
- 修繕費用やリフォーム費用
仲介手数料
仲介は売手や買手から仲介手数料を受け取ることで利益を出していますが、買取は仲介業務ではないため、当然仲介手数料はかかりません。
仲介手数料は36万(=1,000×3%+6万)+消費税
被相続人の家具や荷物の処理費用
仲介は、一般の買手の内見に備えて、買主自ら費用をかけて、空き家に残された被相続人の家具や荷物を片づけなくてはなりません。
1立方メートルあたりおよそ1万円
一方、買取業者は売主や被相続人の家具や荷物処理も行う前提で買い取るので、買主自身が家具や荷物を処理する必要はありません。
修繕費用やリフォーム費用
仲介の場合、売却前に修繕やリフォームをして、一般の個人が「住みたい」「買いたい」と思える状態にする必要があります。
水回りなど部分的な修繕であれば数十万、空き家全体の劣化が著しい場合は1,000万近くかけてリフォームしなければならないため、買主は金銭的に大きな負担になります。
一方、買取業者はリフォームして再販する前提で買い取るため、買主が高額な修繕費用やリフォーム費用を負担することなく、空き家を売却することが可能です。
相続した空き家を売却する時は「3,000万特別控除」が適用可能
相続した空き家を売却した場合、一定の要件に当てはまるときには、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができます。
相続した空き家を売却した際の譲渡所得が最大3,000万控除されることで、譲渡所得税の負担が大幅に軽減する、もしくはゼロになる特例
3,000万控除が適用されると、どれくらい税負担が軽くなるのか、実際の計算例を見てみましょう。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税=譲渡所得×約20%
売却価格:2,000万
取得費+譲渡費用:1,400万
【3,000万控除が適用されていない場合の譲渡所得税】
2,000万ー1,400万=600万
600万×20%=120万
【3,000万控除が適用された場合の譲渡所得税】
2,000万ー1,400万ー3,000万=0
0×20%=0
譲渡所得が0になることで、当然譲渡所得税もゼロになります。
ただ、3,000万特別控除を適用させるためには、相続の開始があった日から3年経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどの要件があります。
そのほかの詳しい適用条件は国税庁HPをご覧ください。
参照元:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

空き家相続の流れ
実際の相続の流れを簡単に説明します。
相続に関する手続きの中には、重要な期限が設けられていたり複雑な手続きもあるため、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。
【弁護士と司法書士の対応可能な業務範囲】
弁護士 | 司法書士 | |
---|---|---|
遺言書の確認と検認手続き | ○ | △(代理人として検認手続に同席することは不可) |
相続人調査 | ○ | ○ |
財産調査 | ○ | ○ |
遺産分割協議書の作成 | ○ | △(登記に関するもののみ可) |
遺産分割協議の調整 | ○ | × |
遺産分割調停・審判の代理 | ○ | × |
相続登記 | △(法的には可能) | ○ |
相続税申告 | △(国税局長に通知すれば可能) | × |
表でもわかるように、弁護士は、法律事務を制限なく取り扱うことができます。
当然、司法書士より弁護士の方が依頼費用は高額です。
目安として、相続に関する手続きを弁護士に一任した場合は50~100万かかるのに対し、司法書士に部分的な手続きを依頼した場合は10万円以内で収まるのが一般的です。
そのため、相続人が多い等の理由で、遺産分割協議にて問題が起こる可能性が高いのであれば弁護士に依頼し、そうでないのであれば司法書士に依頼するべきです。
遺言書の確認と遺言書の種類に応じた手続き
相続は基本的に遺言書の内容に沿って行われるため、相続人が亡くなったらなるべく早く遺言書の有無を確認してください。
相続人同士で遺産分割の話し合い(遺産分割協議)を行った後に遺言書が発見された場合、せっかく行った遺産分割協議がやり直しになってしまいます。
遺言書は、種類によって保存場所や必要な手続きが異なります。
まずは被相続人の自宅に遺言書が保管されていないか、配偶者等の相続人が遺言書を預かっていないかを確認しましょう。
遺言書が見つからないときには、公証役場や法務局に遺言書が保管されている可能性があります。
公正証書による遺言書作成の場合は、公証役場で原本が保管されています。
「自筆証書遺言書保管制度」を利用されている場合には、法務局で保管されています。
他にも、金融機関の貸金庫等で保管されていることもあるため、弁護士や司法書士等の専門家に依頼して、遺言書の有無を明らかにする必要があります。
相続人の確定と相続財産調査
法定相続人全員の確定と、相続財産調査を行いましょう。
- 法定相続人
- 民法で定められた被相続人の財産を相続できる配偶者・血縁関係にある人
- 相続財産調査
- 被相続人の全ての財産を明らかにし、必要に応じて評価・査定すること
これから、故人の財産を法定相続人全員でどのように分割するか話し合う(遺産分割協議)にあたって、後から新たな法定相続人が現れたり、新たに重大な財産が見つかったりすれば、せっかく行った遺産分割協議がやり直しになってしまいます。
確実に協議を行うためにも、司法書士や弁護士などの専門家に依頼しましょう。
遺産分割協議
遺言書で空き家の相続先が明確に決められていない場合は、遺産分割協議にて空き家の相続人を確定します。
協議による話し合いが面倒だからと言って、法定相続分通りに空き家の登記を行うケースもありますが、共有名義で空き家を相続するのは非常に危険です。
被相続人の財産を相続するにあたり、各相続人の取り分として法律上定められた割合。
例えば、相続人が配偶者1人+子ども2人の場合は、配偶者2分の1、子ども2人に4分の1ずつ等
共有名義で空き家を相続すると、売却も貸し出し(賃貸経営)も、居住さえも、名義人1人の判断で自由に行えなくなり、名義人の間でトラブルに発展する可能性があり、危険だからです。
さらに、仮に共有名義人の1人が亡くなれば、亡くなった共有者の持ち分がその相続人に引き継がれるため、名義人はどんどん増えていきます。
遠い親戚が空き家の共有名義人に加われば、管理の仕方や売却の意思決定等、何かと意見が食い違い、トラブルに発展する可能性も高くなります。
そのため、空き家は共有名義で相続するのではなく、話し合いによって空き家を相続する1人を確認してから登記しましょう。
相続登記
協議によって空き家の相続人を決定したら、速やかに相続登記を行います。
相続登記の申請は、基本的に担当の司法書士や弁護士に一任できますので、必要書類の取得等、指示を仰ぎましょう。
なお、2024年から、相続や、住所・氏名を変更した際の土地の登記を義務付ける法律が施行されます。
法律により、相続の開始および所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければ、所有者には10万円以下の罰金が科されるので注意してください。
ちなみに、施行されるのは2024年4月1日からですが、2024年4月1日以前の相続未登記も罰則対象になります。
相続税の申告
課税対象となる相続財産の総額が、「遺産にかかる基礎控除額」を超える場合、相続人は相続税の申告をする必要があります。
3,000万+(600万円×法定相続人の数)
相続税の申告が必要な場合は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月の日までに相続税の申告をしなければなりません。
ただ、日本の相続財産の平均額は3,273万円、中央値は1,600万円で、1人の故人が3,600万以上の相続財産を残していることは稀であるため、相続税の申告が必要になることは滅多にないでしょう。
空き家の相続税対策
万が一、相続税が発生してしまった場合の相続税対策をご紹介します。
財産評価額の見直し
日本の税制下においては、相続財産の評価額が高ければ、それだけ相続税も高額になります。
そのため、相続税の申告を行う前に相続財産評価額をもう一度見直し、減額できないか確認してください。
相続財産の中でも、不動産は高額な財産ですが、評価額を下げられる可能性があります。
例えば、接道条件や土地の形状、騒音・振動や日照阻害などの利用価値の低下、火葬場・墓地など嫌悪施設が近くにある、高圧線の下・トンネルの上など、評価を下げられる可能性があるので、税理士などの専門家に評価してもらいましょう。
配偶者の税額軽減
被相続人の配偶者は1億6,000万円、または法定相続分のどちらか多い金額まで、相続税が課税されません。
つまり、配偶者の相続分が数億円あるとしても、法定相続分の範囲内であれば相続税は発生しないということです。
参照元:国税庁「配偶者の税額の軽減」
空き家を安易に相続放棄してはいけない理由
記事の冒頭で説明したように、空き家の所有には多くの負担が伴うため、相続放棄を検討する方もいるのではないでしょうか。
ただ、相続放棄とは、被相続人の財産について一切の相続の権利を放棄することであるため、空き家のみを相続放棄することはできないと覚えておいてください。
しかも、空き家を所有するリスクから逃れるために相続放棄をしても、簡単に空き家所有のリスクから逃れられるわけではありません。
その理由を説明します。
次の相続人が相続を承認するまでは管理義務はから解放されない
たとえ相続放棄をしても、次の相続人が相続を承認するまでは、空き家の管理義務から解放されません。
前提として、民法上、相続財産の相続権が移行する順番は以下のように定められています。
相続放棄をしたら、次の相続人に書面等で相続放棄した旨を伝える必要があります。
伝えたのち、次の相続人が相続を承認するまで、空き家はあなたの所有物として管理しなければなりません。
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
引用元:民法940条
たとえば、次の相続人が相続を承認する前に空き家が倒壊して近隣住民にケガをさせた場合は、次の相続人ではなくあなたの責任になってしまうため、相続放棄をしていても損害賠償請求等に応じる必要があります。
次の相続人が相続を承認しても管理義務から解放されるとは限らない
矛盾していると感じるかもしれませんが、次の相続人が空き家の相続を承認しても、管理責任から完全に逃れられない可能性があります。
理由としては、空き家特措法の「管理者」の見解が各自治体によって異なるからです。
空き家特措法では、以下のように定められています。
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。
自治体によっては、空き家特措法で定められる「管理者」の概念に、相続放棄をした人も含むという見方をしています。
そのような自治体から「空き家の窓が割れて景観を乱すから直してほしい」と指導された場合、相続放棄をした人も修繕しなければなりません。
管理義務から完全に解放されるには相続財産管理人の選任の申立てが必要
管理義務から完全に解放されるためには、裁判所にて、相続財産管理人の選任の申立てをしなければなりません。
相続人に代わって相続財産の管理をする人。弁護士や司法書士など、専門職の方が裁判所から選任されることが多い。
相続財産管理人の選任の申立ては、相続放棄をした人も行うことができます。
ただ、申し立てを行う場合、あらかじめ裁判所に「予納金」を納めなくてはならず、予納金は最大100万円にも及ぶため、申立人にとって大きな金銭的負担になってしまいます。
空き家になる可能性がある不動産は生前に売却しておこう
自身の死後、自宅が空き家になる可能性が高いのであれば、所有者は生前に空き家を売却しておきましょう。
前述したように、空き家の相続は、空き家の管理費用や固定資産税、特定空き家に指定されるリスクなど、相続人に多くの負担を引き継ぐことになってしまうからです。
生前に売却して現金化しておけば、相続人たちは1円単位で遺産を分割できるため、トラブルに発展するリスクが軽減されます。
もちろん、売却益を所有者の老後の資金に充てて、より豊かな老後を過ごすことも夢ではありません。
弊社は買取に特化した専門業者です。
すぐに売却しない場合でも、様々な買取の現場に立ち会ってきた弊社ならではの視点で、お客様の不動産売却に親身にアドバイスさせていただきます。
まとめ
相続財産の中に空き家が見つかった場合の対処法や、空き家相続の流れ、相続放棄するべきでない理由などを解説しました。
結論から言うと、空き家の所有には数々のリスクがあるため、空き家は無計画に相続するべきではありません。
そのため、空き家の活用方法を決定してから相続するようにしましょう。
具体的な活用方法には、相続人が住居として利用したり賃貸経営したりなどの方法もありますが、どちらもリスクがあり、懸念点が残ります。
一方、売却は、ノーリスクで、結果的に大きなリターン(売却益)も得ることができます。
弊社は空き家の解体に特化した不動産買取業者です。
相続した空き家の活用や処分にお困りでしたら、ぜひ弊社にご連絡ください。
もちろん、すぐに売却する前提でなくても、お客様の空き家に合ったアドバイスをさせていただきます。
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