隣の部屋が事故物件でも自分の部屋は事故物件にならない
前提として、事故物件の対象となるのは殺人事件や自殺などで人が亡くなった現場となっている家です。
そのため、隣の部屋が事故物件となってしまっても、あなたの家は事故物件にはなりません。
実際、事故物件の取引に対して不動産業者が取るべき対応を取りまとめた国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、以下のように規定されています。
賃貸借取引及び売買取引において、その取引対象ではないものの、その隣接住戸又は借主もしくは買主が日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分において「自然死又は日常生活の中での不慮の死」以外の死が発生した場合又は特殊清掃等が行われた場合は、裁判例等も踏まえ、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、原則として、これを告げなくてもよい
引用元:国土交通省|宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
上記の根拠となっているのが、令和2年3月13日に東京地方裁判所で下された判決です。
事案の概要は、マンションの一室で所有者が自殺したことを受け、適応障害を発症した隣の部屋の住民が「住宅価値の下落分と治療費、医者のすすめを受けて利用していたホテル代」を請求したというものです。
しかし裁判所は、治療費とホテル代の請求については認めたものの、住宅価値の下落分の請求については否定しました。
つまり、隣の部屋で自殺などが起こっても、ほかの住戸の価値には影響しないと判断されたわけです。
なお、以下の記事ではマンションの共有部で飛び降り自殺があったら事故物件になるのかについて解説しています。
併せて参考にしてください。
事件性が高い場合は事故物件に該当する可能性がある
ただし、隣の部屋の方が殺人など社会的な影響力の大きい事件で亡くなった場合は、あなたの家も事故物件として扱われてしまう可能性があります。
国土交通省のガイドラインでも、事故物件の隣接住戸には原則として告知義務がない、つまり事故物件ではないとしながらも「ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案はこの限りではない」と規定しています。
マンションにおける事例ではありませんが、殺人事件が起こった土地の隣接地にも心理的瑕疵が発生するとした判例もあります。
物件の品質や設備などには何ら問題はないものの、買い手・買い手の心理面に抵抗感や嫌悪感を抱かせる欠陥
そのため、隣の部屋で人が亡くなったときには、まずは死因をしっかりと確認することが重要だといえるでしょう。
事故物件になると告知義務が発生する
もし隣の部屋の影響であなたの家も事故物件として扱われてしまったら、売買や賃貸をする際には告知義務が発生します。
事故物件における告知義務とは、「いつ、どこで、どのような理由で亡くなったのか」を取引相手に伝える義務のことです。
これから購入したり借りたりする不動産が事故物件であるか否かは、買主・借主の決断に大きく影響します。
そのため、買主・借主が不当な不利益を受けることを避けるためにも、売主・貸主には告知義務が課されているというわけです。
参照元:e-Gov法令検索|宅地建物取引業法第35条・第47条
告知義務の期間は賃貸では3年とされていますが、売買では事件の経過から何年経っても告知し続けなければなりません。
また賃貸でも、入居希望者から問い合わせがあったり、死因が社会的な影響力の強い事件だったりした場合には、事件の発生から3年が経っていても告知する必要があります。
参照元:国土交通省|宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
なお、事故物件の告知義務については以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
隣の部屋が事故物件になった場合の対処方法3つ
隣の部屋が事故物件となってしまった場合に、あなたができる対処法は以下の3つです。
- 住み続ける
- 引っ越して元の家は賃貸経営する
- 売却する
それぞれの対処法と注意点について、詳しく解説していきます。
住み続ける
隣の部屋で人が亡くなっていることがそこまで気にならないなら、そのまま住み続けるのは選択肢のひとつです。
実際に事件現場に住むわけではないので、心理的な負担も少ないでしょう。
ただし、亡くなった方の腐敗臭は生ゴミや排水口などの臭いよりも強烈であり、ベランダや廊下などを通じて室内へ流れ込んでくる可能性は否めません。
また、遺体から発生したウジ虫などがベランダ伝いに侵入してくることもあります。
もし隣室で消臭作業を行っていても腐敗臭が気になる、害虫被害に遭っている場合は体調面や精神面に悪影響を及ぼす恐れがあるため、後述するように売却して住み替えを検討したほうがよいでしょう。
お祓いする
隣の部屋が事故物件となってしまったあとも住み続ける場合には、お祓いをしておくと安心感につながります。
お祓いをしたからといって隣の部屋が事故物件である事実に変わりはありませんが、神社の神主やお寺のお坊さんに死者を弔ってもらうと、心理的な嫌悪感や抵抗感が和らぐでしょう。
お祓い料金の相場は死因によって異なりますが、3~10万円が相場です。
管理会社に相談すると対応してもらえることがあるため、隣の部屋が事故物件となってしまった場合には一度連絡を入れてみることをおすすめします。
なお、事故物件のお祓いの流れは費用相場、注意点については以下の記事に詳しくまとめているので、併せてご参照ください。
引っ越して元の家は賃貸経営する
事故物件の隣の部屋には住みたくないのなら、新居へ引っ越したのちにあなたの家を他の方へ貸し出す方法があります。
前述のように、事故や事故などで人が亡くなった部屋の隣接住居は事故物件とは扱われません。
そのため、通常の賃貸物件と同様に貸し出すことが可能です。
入居者に対して、隣の部屋が事故物件である旨を伝える必要も原則としてありません。
賃貸経営を行うメリットは、安定した家賃収入を得られる点にあります。
家賃収入で新居の購入時に組んだローンの月々の返済額や毎月の家賃をまかなうことも不可能ではありません。
ただし、賃貸経営を成功させるのは簡単ではない点には注意が必要です。
たとえば入居者が決まらなければ、当然家賃収入は得られません。
あなたの家が駅から遠いなど立地条件が悪い場合には、長期間借り手が見つからない可能性も十分考えられるところです。
そのため、隣の部屋が事故物件となったときに自分の家を賃貸として活用するかどうかは、慎重に検討するとよいでしょう。
気味が悪いなどの理由でもう二度と住みたくない、手放したいと考えているなら、賃貸よりも売却のほうがおすすめです。
売却のメリットは、次の見出しで詳しく解説します。
なお、以下の記事では賃貸経営が一般の方にはおすすめできる活用方法ではない理由を解説しています。
併せて参考にしてください。
原則は自分の部屋は事故物件に該当せず相場より家賃は下げなくていい
前述のように、隣の部屋で人が亡くなってもあなたの家は事故物件とは原則扱われないため、相場どおりの家賃で貸し出すことが可能です。
たとえ部屋を貸し出したあとで、入居者が「隣室が事故物件であること」を理由に家賃の値下げを請求してきても、それに応じる必要はありません。
告知義務がある場合は借りる人が避けるため家賃を下げる必要がある
一方で、告知義務がある場合には相場よりも家賃を下げなければ借り手を見つけるのは困難です。
隣室で凄惨な殺人事件が起きたなど、連日テレビで報道されるような事態となった場合にはあなたの家も事故物件として扱われ、告知義務が発生する可能性があります。
あなたの家には何の問題もないとはいえ、殺人事件の現場となった部屋の隣に住みたいと考える方はほぼいないのが実情です。
実際弊社が行ったアンケート調査では、事故物件に対して抵抗を感じると回答した方の割合はじつに85%を超えました。
参照元:訳あり物件買取プロ|【500人にアンケート調査!許容できる心理的瑕疵物件のレベルランキング】みんなが選ぶダントツの第1位は?
したがって、隣の部屋が事故物件となってしまった家を貸したいと考えても、相場よりも相当安い金額の家賃設定にしなければならないため、収益化を図るのは難しいといわざるを得ません。
告知義務はなくても伝えたほうが良い場合がある
ここまで「隣の部屋が事故物件になってもあなたの家は事故物件とは扱われない」と解説してきました。
ただし告知義務がないとはいえ、不要なトラブルを未然に防ぎたいのなら、隣室で人が亡くなっている事実を事前に借り手に伝えておくことが重要です。
とくにマンションの場合は、事件があったことを他の住民から知らされて発覚するケースが少なくありません。
その際、「事実を知らなければ借りなかった」と入居者から訴訟を起こされる可能性もなくはないので注意しましょう。
売却する
隣の部屋が事故物件となってしまった場合の対処法として、もっとも手間がかからず、トラブルに巻き込まれずに済むのが「売却」です。
売却方法は、仲介と買取の2種類です。
仲介は不動産仲介業者を通じて見つけた買主に売却する方法、買取は専門の買取業者が直接物件を購入する方法です。
告知義務の有無によって適した売却方法は異なります。
あなたの家の状況と照らし合わせながら読み進めていってください。
なお、仲介と買取の違いは以下の記事でも解説しているので、併せて参考にしてください。
告知義務がない場合は仲介業者に依頼する
隣の部屋が事故物件になっても、あなたの家には告知義務が発生しないのなら仲介業者に売却を依頼しましょう。
この場合、あなたの家は事故物件ではないため、通常の不動産と同様の方法で、かつ相場で売却が可能です。
ただし、多くの仲介業者は買主とのトラブルを避けるべく、告知義務がなくても「隣の部屋が事故物件」であることを伝える傾向にあります。
そのため、事故物件には該当しない場合でも相場より売り出し価格を下げないと売却できない恐れがある点に注意が必要です。
告知義務がある場合は買取業者に依頼する
「隣の部屋の影響で自分の家も事故物件に該当する」「仲介で売りに出しても買い手がまったく見つからない」場合には、専門の買取業者に相談しましょう。
専門の買取業者は、買い取った物件にリフォームなどを施してから再販することを目的としている不動産業者です。
専門の買取業者には事故物件であっても再生して活用できるノウハウがあるので、告知義務のある物件でも問題なく買い取ってもらえるのです。
また、売却に際してあなたの契約不適合責任を免責にしてくれる点も、専門の買取業者に依頼するメリットです。
引き渡した目的物に対して、契約書には記載のない不具合や欠陥が見つかった場合に売主が買主に負うべき責任。
売主は買主から「追完(修繕や代替物の引き渡しなど)」「代金減額」「損害賠償」「契約解除」を請求される恐れがある
仲介で不動産を売却する場合、売主であるあなたは買主に対して契約不適合責任を負わなければなりません。
そのため、隣室が事故物件である事実や、物件引き渡し後に契約書には記載されていない不具合が発覚した場合には、買主から損害賠償や契約の解除などを請求される恐れがある点に注意が必要です。
それに対して、専門の買取業者は物件に潜んでいる不具合を見抜いたうえでリフォームなどを行って再生するので、目には見えない箇所に欠陥が生じていたり、隣室が事故物件だったりしても問題にはなりません。
買主との間に契約不適合責任を巡るトラブルが起きるのを避けたい方は、専門の買取業者に依頼することをおすすめします。
なお、契約不適合責任については以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
アルバリンクに売却する場合は契約不適合責任を負う必要がない
当サイトを運営している弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の事故物件を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
年間相談実績は5,000件を超え、実際に買い取らせていただいた物件数は600件を超えます(2023年1月~10月実績)。
弊社には、買い取った事故物件を再生して活用できるようにする独自のノウハウが豊富にあります。
そのため、事故物件であってもあなたの契約不適合責任を免責にしたうえで適正価格、かつスピーディーに買い取ることが可能です。
家を売却したのちに買主との間で契約不適合責任を巡るトラブルが起きるのを避けたい方は、ぜひ弊社にご相談ください。
実際、弊社は下記のように「孤独死」「自殺」「溺死」などさまざまな事故物件を全国から買い取っています。
上記の買取金額を見ていただけばわかる通り、弊社は事故物件であっても物件全体の価値を適切に評価し、適正価格で買い取っています。
買取業者の中にはホームページなどで「事故物件を買い取ります」とアピールしておきながら、実際はタダ同然の買取価格しかつけない業者も存在します。
弊社がそうした業者とは違うことが、この買取価格を見て頂けばわかっていただけると思います。
実際、事故物件をはじめ、弊社に物件の買取依頼をしていただいたお客様からは「思った以上の高値で買い取ってもらえた」「もっと早く依頼すれば良かった」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
そのため、事故物件というデリケートな対応が求められる物件も、売主様のプライバシーを守りながら、速やかに高値で買い取らせていただきます。
信頼できる買取業者に安心して事故物件を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
なお、事故物件専門の買取業者を見極めるポイントやおすすめの買取業者は以下の記事でご紹介しています。
併せて参考にしてください。
まとめ
国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」にも定められているように、事故物件の隣接住居には告知義務が発生しないため、通常の不動産同様の売却が可能です。
ただし、隣の部屋が事故物件となった内容が社会的な影響力の大きい事件によるものであった場合、あなたの家も事故物件として扱われてしまう可能性がある点に注意が必要です。
また、隣の部屋が事故物件となった家を売却する際に売主との間でトラブルになることを防ぎたいなら、告知義務が不要とはいえ事実をあらかじめ伝えておいたほうが安心です。
隣の部屋が事故物件となってしまい、これ以上住み続けることが難しいと感じたら、専門の買取業者に相談することをおすすめします。
専門の買取業者なら、隣の部屋が事故物件でもあなたの契約不適合責任を免責にしたうえで速やかに買い取ってくれるためです。
当サイトを運営している弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の事故物件を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
弊社には買い取った事故物件を再生する独自のノウハウがあるため、あなたの家を適正価格で、かつスピーディーに買い取ることができます。
フジテレビの「newsイット!」をはじめ、数々のメディアにも訳あり物件専門の買取業者として紹介されました。
あなたの契約不適合責任を免責にしたうえで買い取らせていただきますので、売却後にトラブルに巻き込まれるのを避けたい方も安心してご利用いただけます。
「事故物件となった部屋の隣には住みたくない」「隣の部屋が事故物件になってしまった家をすぐに手放したい」方は、ぜひ一度弊社へご相談ください。