旗竿地(はたざおち)とは?
旗竿地とは名前の通り、旗竿のような形状になっている土地を指し、別名、「敷地延長」や「敷延(しきえん)」「路地上状敷地」とも呼ばれています。(下図参照)
道路に接する出入口が細長い通路状になっていて、その奥に建物の敷地がある形状のため、建物の建築をする際や居住していく中では、注意すべき点やデメリットがある土地といえます。
土地は形状によって不動産価値が大きく左右されます。
整った正方形や長方形の土地は、一般的に資産価値が高いため、販売価格も高くなるのが一般的です。
一方、形状が特殊な旗竿地(はたざおち)などの変形した土地は、資産価値や土地価格が安いのです。
とはいっても、旗竿地は住宅が密集した都市部の住宅地にはよくある土地の形状で、一般的な不動産として普通に売買されているものです。
旗竿地の売却が難しい理由
家を建てるための土地を検討する場合、ほとんどの人は間口が広く日当りの良い整形地を求めるでしょう。
特殊な形状の旗竿地は一般ウケする物件ではないため、売却するのが難しい面もあります。
では、どのようなマイナス要素によって売却がしにくくなるのでしょうか?
具体的な例でご説明していきましょう。
駐車スペースが使いづらい
そもそも旗竿地は間口が狭く、車では道路から入りにくい形状です。
前面道路の交通量が多い場所なら、余計に車の出し入れには神経を使うことになります。
前面道路の幅員が狭い場合は切り返しも大変です。
しかし、分譲地などの旗竿地の場合は、路地部分を駐車スペースにすることを見こして区画割りをしているので、使い勝手良く駐車スペースを作っているケースが多いです。
旗竿地の路地部分を駐車スペースにするには、間口(路地部分の幅)は、軽自動車なら2.5m、普通車なら最低でも3m必要です。
自転車の出し入れがある場合は、車を傷つけないよう、ゆとりを持たせて3.3mの幅みておけば安心です。
また、路地部分の長さが10m以上ある旗竿地なら、普通車2台の縦列駐車も可能です。
ただ、通勤や通学などで頻繁に2台の車を利用する家庭では、忙しい出勤時や夜遅い帰宅時など、車の出し入れがストレスに感じることも。
車の使用状況を考慮して土地を選ぶことも大切です。
日当たりや風通しが悪い
旗竿地は形状の特性によって、建物が敷地内の一番奥まった位置にあり、敷地周辺がぐるりと隣家に囲まれた形になります。
よほど土地が広く敷地に余裕がない限り、旗竿地は日当たりや通風しは期待できず、売却しづらい傾向にあります。
実際に、弊社が独自に行った「家を購入する際に重視した立地条件」のアンケート調査では、455人中147人が「日当たりがいいこと」と答えています。
家を購入する際に重視した立地として「日当たりがいい」と答えた人が2位。
特に1階部分は採光をとるのも難しいため、家を建てる際には季節や時間による日照も考えながら、間取りを決める必要があります。
防犯面に注意が必要
旗竿地は、道路に面した路地部分を通り抜け、奥まった部分に家があるため、人目につきにくく死角になりやすい点から、空き巣などのターゲットにされる可能性があります。
玄関や1階の窓には防犯センサーを付ける、割られにくい防犯ガラスにするなどが効果的です。
また夜間の対策として建物の周囲に防犯砂利や人感ライトを設置しておくなど、防犯対策は厳重にしておきましょう。
建築コストがかかるケースもある
旗竿地の通路幅が狭い場合、建築の際に大きな重機が入れないケースがあります。
そうなると職人の手間や作業が増え、建築コストが通常より高くなる可能性があります。
建て替えができないケースがある
旗竿地の路地部分の間口が2m未満の場合、建て替えや大幅な増改築ができません。
建築基準法第43条では、「建物を建てる敷地は、幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という「接道義務」が定められています。
この接道義務をクリアしていない旗竿地は、「再建築不可物件」になり、建物をいったん解体してしまうと、敷地には二度と建物を建てることができなくなります。
建て替えだけではなく、建物の主要部分を半分以上改装する工事もできないため、土地としては将来的な自由度が低く、売却しづらいのです。
また、再建築不可物件は、建築基準法に則していない「違法建築物件」という扱いになります。
土地の購入者が住宅ローンを利用したくても、違法建築物件は金融機関の審査には通りません。
現金で購入が可能な、経済的余裕がある人にしか売却ができないということになります。
旗竿地ならではのトラブル
旗竿地に居住している中で、実際によくある生活上のトラブルについてもお伝えしておきましょう。
問題を把握して、トラブルにならない方法や知識を備えておくことは大切です。
旗竿地の問題点を払拭できれば、売却の際に買主にも安心感を与えることができるでしょう。
駐車問題
前述したように、旗竿地は車が入りにくい形状です。
路地部分に車を駐車するときに、隣家の壁やフェンスなどにぶつけて破損させてしまったり、自分の車を傷つけてしまうこともよくある事例です。
2mしかない路地幅ギリギリに普通車を駐車するなど、無理は禁物です。
先々、隣家とのいい関係を続けるためにも、注意すべき点です。
路地幅に見合った車種を選ぶようにしましょう。
生活音問題
旗竿地は家の周りが隣家に囲まれた形になり、家同士の距離も近いケースがほとんどです。
密接度が高い分、隣家とのトラブルが起こりやすい傾向にあります。
一番多いのが生活音のトラブルです。
音楽やTVの音、子供の泣き声、深夜に帰宅する足音など。
隣家と家族構成の年代が大きく違う場合、生活リズムは必然的に異なるため、苦情に発展することも。
可能であれば、家を建てる際には防音効果の高いサッシを設置しておきましょう。
日当たり問題
日当たりの問題で近隣とトラブルになることもあります。
旗竿地の路地部分に設置したカーポートやフェンスが隣家の日照を遮ってしまったケースなど。
旗竿地は周囲が密集・密接しているだけに、自由に暮らせないストレスを感じている例も少なくないのです。
旗竿地にもメリットはある!
旗竿地のデメリットばかりお伝えしてきましたが、旗竿地が悪い土地というわけではありません。
旗竿地ならではの多くの利点もあり、あえて旗竿地を選んで家を建てる人もいるくらいです。
旗竿地のメリットについてもみていきましょう。
土地価格が安い
同じエリア内で比較した場合、旗竿地は整形地よりも土地の評価額が低くなります。
そのため、旗竿地は土地価格が安くなることが大きなメリットといえます。
評価額が低いということは、固定資産税も安くなるということです。
旗竿地の評価額は、整形地よりも10%程度低くなるのが一般的です。
路地部分を有効活用できる
旗竿地の路地部分は、意外に便利に活用ができます。
ある程度の長さがあれば、縦列で車を2台駐車することも可能ですし、オートバイや自転車置き場として活用できます。
通路沿いに花壇を作りガーデニングスペースやペットのミニ・ドッグランに利用するなど、工夫次第でオリジナリティーのある空間を作ることができます。
また、玄関から車道までの距離の長さが、小さい子供の飛び出し防止に役立ちます。
道路から奥まっていて静か
旗竿地の場合、道路から奥まった位置に建物を建てるため、通行人の声や車の音が届きにくく、静かに生活ができます。
道路際の住宅のように、通行人の目線が気になることもありません。
静かでプライベート感のある環境を好む方には、旗竿地はお勧めできます。
旗竿地のメリット・デメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
旗竿地を売却するコツ
お伝えしてきたように、旗竿地は使いづらさやさまざまな問題点から売却は決して簡単ではありません。
そこで、少しでも高値でうまく売却ができる方法をご紹介します。
隣地を買い取り間口を広げる
間口が2m未満で再建築不可の旗竿地の場合、隣地を切り売りしてもらい2m以上の間口を確保して、再建築可能な物件にする方法があります。
同じ旗竿地でも、再建築不可物件と建築可能な物件では、資産価値も売却価格も大きく違ってきます。
しかし、土地の購入費用や測量・登記費用、すでに塀や外構が作られている場合は、壊して新しく設置する費用などもかかるため、売却額との費用対効果を検討することが重要です。
隣家に買い取りを打診
隣接した敷地の所有者に旗竿地を売却する方法も考えられます。
旗竿地を購入した隣家は、かなり大きな土地を得ることができます。
「息子夫婦と2世帯住宅を建てるから、敷地を広げたかった」「駐車場が狭いので広いカーポートを作りたかった」など、隣家の諸事情とタイミングが合えば、すんなり交渉がまとまる例もあります。
ただ、土地の売却となれば、法的な問題も絡む大きな金銭の取引になります。
トラブルを避けるためにも、最初から不動産会社に相談して仲介してもらうことをおすすめします。
専門業者の買取り
売却しにくい旗竿地の場合は、売却困難な物件を専門に扱う不動産業者に買取ってもらう方法があります。
こうした再建築不可の物件も扱う買取業者であれば、旗竿地であっても買い取り後に有効活用できるノウハウを持っているため、一般的な不動産会社で買取ってもらうよりも高値になる可能性があります。
買取実績
東京都練馬区のM様からのご相談。
「不動産を相続したものの、長らく空家の状態が続いており、建物の老朽化や残置物も残っている状況です。私は別で住居を所有しているので売却を考えているのですが、敷地の形状が旗竿地のため売却自体が難しく、処分に困っています…。」とのことでした。
今回の物件は好立地な場所ということもあり、リフォームをすれば購入するお客様が見込める可能性があったため、約350万円相当で買取金額を提示させていただきました。
M様には、「悩みの種だった維持管理の問題からも解放されて良かった」と喜んでいただくことができました。
まとめ
旗竿地は路地部分が狭く変形した敷地で、土地としての活用が難しい点があります。
また、近隣に囲まれた生活環境は、一般的な土地に比べて隣家トラブルが起こる要因が多いのも事実で、このようなデメリットから旗竿地は敬遠されがちな物件でもあります。
また、接道が2m未満の再建築不可物件に至っては、仲介での売買では高値売却は期待できません。
売却しやすくするための対策をおこなうには、手間や費用が必要で合理的な方法とはいえません。
旗竿地などをはじめ、特殊な物件を取り扱う専門の買取り業者を利用すれば、無駄な費用をかけることなく、スムーズに売却をすることが可能です。
まずは、お気軽にご相談ください。
弊社「訳あり物件買取プロ」では、法令制限に準じておらず建て替えの出来ない再建築不可物件でも積極的に買取を行っています。年間3,000件以上の相談実績から不動産の活用ノウハウを蓄積しているので「早く」「高く」売却することが可能です。以下のフォームから無料で買取査定を受けられるので、お気軽にご相談ください。