借地権の契約更新時に更新料を支払う義務はない
借地権更新料とは、借地権の契約更新時に地主へ支払う費用を指します。
法律で義務づけられたものではないため、両者の合意がない限り支払う必要はありません。
最高裁判所も、更新料を支払う慣習を否定しています(最高裁昭和51年10月1日判決)。
ただし、契約更新に際して借地権更新料の支払いが必要なケースもあるため、注意が必要です。
ここでは、借地権更新料に関する以下のポイントを解説します。
借地権更新料の支払いが必要な2つのケース
前述のように借地権更新料は支払わなくてもよい費用ですが、以下のケースに該当する場合は支払う必要性が出てきます。
更新料の支払いについて合意している
地主から土地を借りる際に更新料の支払いについて合意している場合は、契約更新時に更新料を支払わなければなりません。
原則として、更新料の合意については書面ではなく口頭でも一定の法的拘束力を持ちます。
そのため、このケースでは「言った」「言わない」のトラブルへと発展しかねないため、注意が必要です。
もし口約束で更新料の支払いを合意した事実があるのなら、改めて公正証書などで取り決めを明確にしておくことをおすすめします。
契約書に更新料の支払いが明記されている
地主と借地契約を交わしたときの契約書に更新料の支払いに関する事項が記載されている場合も、やはり更新料の支払いが発生します。
このケースでは、更新料の支払いに関して「合意している」と見なされるからです。
ただし、契約書に次回の更新料に関する記載があっても、具体的な金額が書かれていない場合には無効となります(東京高裁令和2年7月20日判決)。
たとえば契約書に「相応の更新料」と書かれているケースでは、抽象的であるために更新料を支払う必要はありません。
一方で、「契約更新日における路線価に借地面積を乗じた金額の5%を更新料とする」と明確に設定されているケースでは、契約更新に伴って更新料を支払う必要が出てきます。
そのため、借地契約の更新時期が近づいており、更新料を支払いたくないと考えているのなら、まずは賃貸借契約書の内容をよく確認するようにしましょう。
なお、過去の契約更新時に更新料を支払った事実があるだけでは、更新料の支払いに合意したとは見なされません。
あくまでも、契約更新時の契約書に更新料の支払いと具体的な金額が記載されている場合のみ、更新料を支払う必要性が生じるということです。
借地権更新料を支払ったほうがよいケース
地主との関係性を良好に維持したいのなら、借地権更新料を支払ったほうがよいでしょう。
借地上の建物を建て替えたり、リフォームしたりするには地主の承諾が必須です。
地主からの承諾をスムーズに取りつけるには、日頃から良好な関係を構築する心がけが欠かせません。
更新料の支払いは、借地上の建物を活用しやすくするために役立つ手段といえるでしょう。
借地権更新料を支払う方法
借地契約の更新時に更新料を支払う方法も、地主と借地人との合意によって決定されます。
たとえば、更新料が高額にのぼる場合は分割払いにして支払う、翌月の地代に上乗せするなどといった形です。
こちらも賃貸借契約書に明記されているため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
借地権更新料の支払い期限
借地権更新料を支払う期限は、契約期間が終了する前です。
賃貸借契約書に時期が明記されていたら、それに従います。
更新料の支払いが契約で規定されている場合、費用を地主へ支払うことで契約更新がなされます。
更新料の支払いと金額が契約書で明記されているにもかかわらずに支払わないと、借地契約を解除される恐れがあるため、注意が必要です。
そのため、借地契約を更新したいなら、契約期間が終わるまでに忘れずに更新料を支払うようにしましょう。
もし借地権の契約更新料を負担したくないのなら、借地権付き建物を専門の買取業者に売却する選択肢もあります。
借地権付き建物を売却したお金で新たな家を購入すれば、地主へ地代や更新料を支払う必要がなくなります。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、借地権に精通した専門の買取業者です。
一般的な不動産業者では扱いを断られがちな借地権付き建物でも、弊社ならスピーディーに買い取ることが可能なので、更新料の負担から解放されたい方は、一度お気軽にご相談ください。
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なお、借地権の概要について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

借地権更新料の相場は借地権価格の約5%
借地権更新料の相場は、借地権価格(借地権の評価額)の約5%といわれています。
ただし法的な規定はないため、借地権価格の3%、あるいは10%など、個別の事情によって異なるのが実情です。
原則として、不動産需要の高い都心部ほど更新料は高くなる傾向にあります。
以下の記事では借地権価格の相場について解説しているので、更新料の相場を知りたい方はぜひ参考にしてください。

借地権更新料の計算方法
借地権更新料は、一般的に以下の計算式で算出します。
路線価とは道路に面する土地1㎡あたりの価格、借地権割合とは土地のうち借地人が持つ権利の割合のことであり、国税庁のサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。
たとえば、路線価が1㎡20万円、土地の面積が100㎡、借地権割合が70%の場合における借地権更新料の相場は、以下のとおりです。
借地権更新料=20万円×100㎡×70%×5%前後=70万円
路線価や土地の面積によっては借地権更新料が100万円を超えるケースは珍しくなく、決して安い金額ではないことがわかるでしょう。
なお、借地権更新料の相場については以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

借地権更新料に関するよくあるトラブル事例と対処法
ここからは、借地権更新料に関するよくあるトラブル事例3つと対処法について解説します。
地主から法外な借地権更新料を請求される
借地権の契約更新にあたり、地主から高額な更新料を請求されるトラブルが起こることがあります。
前述のように、更新料の支払いは法律で義務づけられているものではありません。
そのため、地主から高額な更新料を請求されたとしても、合意をしていない限りは支払う必要はないので、ご安心ください。
ただし、借地契約は何十年もの長きにわたって続くものであり、でき得るなら地主との間でもめごとは起こしたくないところでしょう。
したがって地主から高額な更新料を請求されたときは、相場を基準として真摯に話し合うことが大切です。
もし自分では解決が難しい場合は、弁護士や不動産会社などの専門家に間に入ってもらうことをおすすめします。
地主が契約更新に応じず更新料の受け取りを拒否する
地主側が契約更新を望んでおらず、更新料の受け取りを拒否するトラブルも起こり得ます。
しかし更新料を受け取ってくれなかったからといって、そのまま支払わないのはNGです。
なぜなら、更新料の支払いがないという理由で契約解除を請求される可能性があるからです。
そのため、上記のケースでは「供託」という手段を取ることをおすすめします。
供託とは、国の機関である供託所にお金を預けることで更新料などを支払ったと見なす制度です。
※新規画像入る(供託とは)
これにより、地主が更新料の受け取りを拒否するケースでも借地契約を解除されずに済みます。
ただし、供託を活用しても問題の根本的な解決にはいたりません。
トラブルを解決したいのなら、更新料の供託を行ったうえで地主と根気強く話し合うことが求められます。
更新料を支払えない
借地契約の更新料が高額すぎて支払えないトラブルも考えられます。
更新料の支払い方法については地主と借地人両者の合意があれば自由に設定できるため、一括払いが厳しいときには分割払いなどにしてもらえないか頼んでみるとよいでしょう。
更新料トラブルから解放されたいなら専門の買取業者に売却するのも手
借地権更新料に関するトラブルは、地主から土地を借り続ける限り避けては通れないものです。
将来的に、借地上の家を相続した子どもが地主との更新料トラブルに巻き込まれる恐れもあります。
そのため、更新料に関するトラブルから解放されたい場合は、借地上の家の売却を検討することをおすすめします。
借地上の家を売却すれば地主とのさまざまなトラブルに見舞われるリスクを回避できるだけでなく、まとまった現金も手に入れられます。
その売却金額を元手に地主とのしがらみがない通常の不動産を購入すれば、借地権更新料に関してもう思い悩む心配はありません。
家を相続することになる子どもに迷惑をかけることがなくなる点も、大きなメリットです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、借地上の家をはじめとする訳あり物件を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
一般の買い手が見つかりにくい借地上の家でもスピーディーに買い取ることが可能なので、借地権更新料に関するトラブルから解放されたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。
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なお、借地権に多いトラブル事例と対処法については以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

更新料を支払って借地権を更新する方法
今後も借地上の家に住み続けるなら、地主へ更新料を支払って借地契約を更新します。
借地権を更新する方法は、以下の3つです。
- 更新請求
- 合意更新
- 法定更新
更新請求とは、借地人から地主へ契約更新を請求する行為です。
基本的に借地上に家があり、地主に土地を使う必要性があるなどの正当事由がない限り、地主は契約更新を拒否できません。
更新請求の場合は、従来と同じ条件で契約を更新します。
合意更新は、借地人と地主との話し合いで諸条件を決めたうえで契約を更新する方法です。
更新料や地代など新たに条件を設定直したうえで契約を更新する際には、合意更新を選択します。
法定更新とは、借地借家法の規定により、借地人が借地上の建物に住み続ける限り自動的に契約が更新されることを指します。
ただし、契約形態が「定期借地権」の場合は契約期間の満了をもって土地を明け渡す必要があるため、法定更新は適用されません。
また地主側に正当事由があり、契約更新に関して異議を申し立てているときにも法定更新は認められない点に注意が必要です。
地主側が契約更新を拒否できる正当事由については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

まとめ
借地権更新料の相場は、借地権価格の約5%です。
しかし法律で規定されているものではないため、借地人と地主の両者の合意がなければ支払う義務はありません。
ただし、地主との関係を良好に保ちたいのなら、借地契約の更新時に更新料を支払ったほうがよいでしょう。
また、借地契約を更新する際には地主から高額な更新料を請求されたり、更新料の受け取りと契約更新を拒否されたりといったトラブルが起こりかねません。
こうした新料に関する地主とのトラブルに見舞われたくないなら、借地契約を更新せずに、借地上の家の売却を検討することをおすすめします。
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