実家を誰も継がないときの4つのデメリット
実家を誰も継がない場合、親が亡くなった際、空き家になります。
空き家のまま、放置すると以下のデメリットがあります。
- 税金・維持管理費がかかる
- 自治体が「空き家税」を課す可能性もある
- 建物の劣化が進みやすくなる
- 損害賠償請求のおそれがある
税金・維持管理費がかかる
実家を誰も継がない場合でも、税金や維持管理費がかかります。
実家を所有している親が亡くなったとき、子どもをはじめとした相続人に所有権が移ります。
名義上、所有者である限り、実家を管理する義務があるうえ、税金も支払わなければなりません。
誰も継がない実家を処分しない場合にかかる税金・維持管理費は以下のとおりです。
- 固定資産税・都市計画税
- 水道光熱費
- 火災保険料
空き家の維持管理費について、くわしく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
固定資産税・都市計画税
誰も住んでいない場合でも、実家とその土地を処分しない限り固定資産税を払わなければなりません。
また、実家が市街化区域(すでに街になっている、または、優先して街にしていく区域)に所在しているときは、家と土地に対して都市計画税が課税されます。
東京都主税局の調査によると、東京・横浜・大阪3都市における高齢夫婦世帯(65歳以上)の固定資産税と都市計画税の合計は年間15~20万円でした。
固定資産税・都市計画税の合計額(万円) | |
---|---|
東京23区 | 22.0 |
横浜市 | 16.1 |
大阪市 | 17.6 |
参照元:東京都特別区と他都市との固定資産税負担等の実態比較調査|東京都主税局
実家を相続して所有し続けると、上記の金額を支払い続けることになります。
なお、固定資産税と都市計画税の税額は下記の「納税通知書」に記載されており、毎年家の所有者に届いています。
水道光熱費
実家を維持管理するには、定期的に換気や通水、掃除などをしなくてはなりません。
掃除機をはじめとした電化製品や水を使って掃除をする場合、水道や電気を使うため、水道光熱費がかかります。
また、水道や電気などのライフラインは、使っていなくても基本料金がかかります。基本料金の目安は、水道代は月1,000円程度、電気代は月1,000~1,500円程度です。
少なくとも、年間約2.5~3.0万円かかると考えたほうがいいでしょう。
火災保険料
空き家の場合でも、火災保険は加入するべきです。
所有している空き家には管理責任が生じるため、火災をはじめ災害が起きたとき修繕が必要です。
また、空き家は建物の老朽化による倒壊や外壁や屋根などの飛散が生じる可能性があります。
倒壊や飛散が原因で、隣家や通行人が被害を受けた場合、損害賠償責任を負ってしまうリスクがあります
上記のリスクに備えるために、火災保険の加入、賠償責任特約の付帯は必須です。
ただし、通常の住居にかけられる火災保険と違い、空き家にかけられる火災保険は保険料が割高です。
通常の住居で以下の条件で設定した場合、保険料は年間6,000~13,000円程度になります。
- 建物保険金額:2,000万円
- 補償内容:火災・落雷・破裂・爆発
- 所在地:東京都
- 築年数:35年
- 戸建て
- 木造
空き家でかつ賠償責任特約を付帯する場合、上記の金額以上になる可能性があります。
自治体が「空き家税」を課す可能性もある
上記で紹介した税金以外に、自治体から「空き家税」を課される可能性があります。
京都市では、空き家をはじめ普段使いしていない家の所有者に対して、税金を課す税制を定めました。
税金を課すことで、空き家の流通や活用を促進させることが目的です。
税額は、土地と家の固定資産税額の半額程度になります。
京都市の試算によると、築50年程度、床面積約50㎡、固定資産税額が約2万円の戸建て住宅の場合、約9,000円の税金が課されます。
参照元:事例ごとの税負担見込み額|京都市
今後、京都市と同様の税金を課す自治体が増えた場合、空き家所有による税負担が増えるおそれがあります。
建物の劣化が進みやすくなる
こまめに実家に行かず、建物の管理を怠ると、劣化が進みやすくなります。
人が住んでいるときと違い、空き家は毎日換気や掃除をしません。
換気・掃除をしないことにより、ホコリがたまるうえ、湿気によりカビの発生や木造部分の腐朽、シロアリ被害が起こる可能性が高まります。
水道も頻繁に使用しないため、水道管のサビ、破損のおそれもあります。
また、空き家の場合、雨漏りをはじめ家の損傷にすぐ気付くことができません。
修繕の対応が遅れることで、建物の劣化がさらに進む原因になります。
建物の劣化を放置すると、行政から「特定空き家」に指定され、罰則を科されてしまいます。
誰も継がない実家は、管理を徹底することが難しくなるため、劣化が進行する前に早めに処分したほうがいいでしょう。
特定空き家とは
特定空き家は、以下の状態に当てはまるとき、市町村から指定を受けます。
- 放置すれば倒壊など保安上危険となるおそれのある状態
- 放置すれば衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
参照元:空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!|政府広報オンライン
たとえば、外壁の破損や害虫の大量発生、不法侵入者の出入りなどが生じている空き家は上記に当てはまるといえます。
特定空き家に指定され、改善の「勧告」を受けた場合、住宅の敷地に適用される固定資産税の軽減特例が適用されなくなり、納税額が増えます。
「勧告」後、改善されなかった場合に出される「命令」に従わなかったときは、50万円以下の罰金を科されるほか、強制的に解体されることもあります。
強制的に解体される場合、解体費用を請求されるうえ、自分で業者を選定できません。そのため、請求される費用は、相場より高額になるおそれがあります。
特定空き家について、くわしく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
損害賠償請求のおそれがある
管理がままならない状態の実家を放置すると、損害賠償請求をされるおそれがあります。
民法717条では、建物の管理ができていなかった場合、建物の所有者が賠償する責任を負います。
第七百十七条
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。引用元:民法|e-Gov法令検索
たとえば、空き家が倒壊して隣の家に被害が生じたとき、被害に対する損害賠償責任は空き家の所有者が負います。
公益財団法人日本住宅総合センターの「空き家の倒壊による隣家の全壊・死亡事故」による損害額の試算結果によると、物件と人身の損害額は約2.1億円まで及びました。
参照元:空き家発生による外部不経済の損害額の試算結果(その2)|公益財団法人日本住宅総合センター
誰も継がない実家を管理せず、放置すると、多額の賠償金を請求されるおそれがあります。
誰も継がない実家の5つの処分方法
前述したとおり、誰も継がない実家を所有し続けると、維持管理に費用がかかります。
また、空き家になると、建物の劣化が進みやすくなり、放置すると、罰則を受けることになります。
今後、実家に住まない予定なら、以下の方法での処分を検討しましょう。
- 仲介で売却する
- 更地にして売却する
- 賃貸に出す
- 相続放棄する
- 買取業者に売却する
仲介で売却する
実家に誰も住まないなら、仲介で売却できないか不動産会社に相談しましょう。
仲介に売却を依頼する場合、webサイトをはじめさまざまな媒体を活用して、売却活動してくれます。
また、仲介なら、相場以上の価格で取引できる可能性もあります。
ただし、多くの人は築浅や立地の良い物件を好むため、実家の状態次第では、買主がまったく見つからないかもしれません。
弊社が実施したアンケートによると、回答数全体の63%が購入する物件の築年数は「10年以内」がベストと回答しました。
また、別のアンケートでは、回答数全体の約60%が「立地の良さ」を重視して、マイホームを購入したと回答しました。
実家の立地が良い、築浅の場合は、仲介で売却できる可能性が高いといえます。
空き家の仲介手数料が上がる
2024年7月から、空き家の売買取引にかかる仲介手数料の上限が引き上げられました。
売却価格が800万円以下の空き家の売買取引をした際、仲介手数料を30万円(税抜)まで請求できます。
たとえば、200万円で成約した空き家の売買取引の場合、原則の上限額は10万円(税抜)です。
一方、2024年7月からは30万円(税抜)まで請求できるようになります。
仲介手数料の引き上げにより、仲介業者が積極的に広告宣伝するようになり、売却できる可能性があがるかもしれません。
しかし、売主側は売買取引成立時に支払う手数料が増えるので、手元に残る売却代金が少なくなります。
更地にして売却する
すでに建物の劣化が激しいときは、更地にしてから売却するのもおすすめです。
更地にすることで、購入者が建物を解体する費用と手間をかけずにすみます。
また、買主が自由に土地を活用できるため、建物がある場合と比べて売却しやすくなるでしょう。
ただし、更地にしても、立地が悪い場合は需要がなく、売却できないかもしれません。
なお、更地にすると土地の固定資産税が6倍になるうえ、建物の解体費用に100万円以上かかります。
売却ができた場合でも、解体費用と税金の負担分を回収できないおそれがあります。
建物の老朽化が激しいが、土地の立地が良い場合は、検討してもいい処分方法です。
更地の売却について、くわしく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
賃貸に出す
売却による処分をせず、空き家を賃貸に出して、収益をあげるのも手段の1つです。
入居者が見つかった場合、日常的に換気や掃除などの管理行為をしてくれます。
自分で管理しなくても、良好な状態で建物の維持が可能です。
また、賃貸経営することで、安定した副収入を得られます。
家の維持管理費をまかなえるだけでなく、本業の収入の足しにもなるでしょう。
しかし、建物の劣化状態によっては、改修が必要になる場合があります。
また、入居者が見つからないときは、収益をあげられないうえ、維持管理費のみかかってしまいます。
築浅や駅近、別荘地として有名など需要のある物件であれば、賃貸での収益化を目指してもいいかもしれません。
相続放棄する
親の実家の処分で頭を悩ませたくない人は、相続放棄をして、管理義務から免れることもできます。
民法940条によると、相続放棄するとき、相続財産を実際に占有していた者は管理義務を負わなければなりません。
第九百四十条
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。引用元:民法|e-Gov法令検索
相続放棄をした場合、親が亡くなった時点で実家に住んでいなければ、実家の管理義務はありません。
ただし、実家だけでなく、親の預貯金や株式などの財産もすべて引き継げなくなります。
また、相続放棄は、親をはじめとした被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に申し出なければなりません。
親が多額の借金を抱えており、相続する資産と相殺できない場合に検討しましょう。
相続放棄について、くわしく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
買取業者に売却する
誰も継がない実家の処分方法として、買取業者への売却も挙げられます。
買取業者は、築古や田舎をはじめとした立地の悪い物件など需要がない場合でも、積極的に買取してくれます。
また、買取業者へ売却する場合、早ければ1週間で取引成立も可能です。
一方、仲介の場合、登録から成約までの期間は平均3か月かかるうえ、買主が見つからない可能性もあります。
参照元:首都圏不動産流通市場の動向|公益財団法人東日本不動産流通機構
買取業者は、買い取った物件をリフォームやリノベーションなどをしてから再販し、利益を上げています。
そのため、利益確保を考慮して、買取価格は仲介で売却したときと比べ、低くなります。
実家をすぐに手放したい人は、買取業者への売却を検討しましょう。
弊社アルバリンクは、買い手の見つからない物件を積極的に買い取る不動産買取業者です。
買取から再販までにかかるコストを必要最低限に抑えているので、高額買取も可能です。
需要がない実家の処分にお困りなら、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。
>>【他社が断る物件でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
誰も継がない実家は売却する人が多い
誰も継がない実家の所有者の多くは、売却しているようです。
弊社が実施したアンケートによると、5割近くの人が「売却する」と回答しています。
売却すると回答した理由の中では、「固定資産税を払うのが無駄」「現金化できるから」という声が多くありました。
誰も継がず、空き家になった実家は、売却する人が多い傾向にあることが分かります。
しかし、立地の悪さや築古など買い手が見つかりにくい家は、売れない可能性が高いでしょう。
弊社アルバリンクは、上記のような売れない家でも積極的に買取をしています。
以下で実際に買い取った物件の一部を紹介します。
アルバリンクの買取事例
アルバリンクでは、築古や立地の悪い物件、管理が行き届いていない空き家など買い手が見つからない物件を買い取ってきました。
この記事では、実際に買い取った物件を3つ紹介します。
そのほかにも、どんな物件を買い取ってきたのか気になる人は、こちらもご覧ください。
茨城県那珂郡
築45年の建物で、駅まで車で8分、小中学校まで徒歩30分かかる立地です。
約1年間空き家になっており、1年間販売活動をしても売れていない状況でした。
上記の物件は、100万円で買取いたしました。
参照元:【空き家の買取実績】茨城県那珂郡(2024/02/10)-株式会社AlbaLink
千葉県松戸市
築55年の建物で、10年間空き家、浸水したこともある物件です。
また、ベランダがはがれており、劣化が進んでいる状態でした。
上記の物件は、100万円で買取いたしました。
参照元:【空き家の買取実績】千葉県松戸市(2023/10/03)-株式会社AlbaLink
長野県上田市
5年以上空き家の状態だった築53年の建物です。
また、シロアリに一部柱を食べられている状況でもありました。
上記の物件は、330万円で買取いたしました。
参照元:【空き家の買取実績】長野県上田市(2023/10/19)-株式会社AlbaLink
まとめ
この記事では、誰も継がない実家を所有し続けるデメリットと処分方法を解説しました。
実家を誰も継がず、空き家にしてしまった場合、固定資産税や水道光熱費をはじめとした維持管理費を支払い続けなければなりません。
また、建物の劣化も進みやすく、定期的に換気・掃除などの管理をしないと、行政から罰則を受けてしまいます。
最悪の場合、建物の倒壊で物や人に損害を与え、多額の賠償金を請求されるおそれがあります。
上記の事態を防ぐためにも、実家を誰も継がない場合は早めの処分がおすすめです。
なお、半数近くの人は、実家を売却して処分することを検討しています。
売却による処分の場合は、需要がない物件も買い取れる不動産買取業者への売却依頼がおすすめです。
弊社アルバリンクは、築古や立地の悪い物件、管理ができていない空き家でも買い取る不動産買取業者です。
お客様からの評価も高く、Googleの口コミでは総合評価4.6と高評価をいただいております(2023年10月時点)。
誰も継がない実家をすぐに処分したい人は、ぜひ弊社の査定依頼をしてみてはいかがでしょうか。