土地の共有持分とは
1つの土地でも複数の人が共有できます。
その場合、それぞれの共有者には「共有持分(権)」という割合的な権利が認められます。
共有者の権利を全部合計すると「1(100%)」となります。
共有持分は完全な権利ではなく、詳しくは後述しますが、共有者1人でできることには限界があります。
持分割合の決まり方
共有持分割合の決まり方は、土地を入手する方法によって変わります。
複数の人が資金を出し合って土地を「購入」する場合、支出した資金の割合に応じて共有持分を設定します。
一方「遺産相続」で複数の相続人が共同相続する場合には、基本的に「法定相続分」に応じた持分割合とします。
ただし遺産分割をすれば、法定相続分以外の割合を定めてもかまいません。
法定相続分については、以下の記事で詳しく解説しています。
持分割合に応じて権利は制限される
持分割合により、各共有持分権者の権利内容やできることが変わります。
- 保存行為
土地の共有持分権者が単独でできるのは、土地の保存行為です。
たとえば不法占拠者の妨害排除は1人でもできます。 - 管理行為
土地の価値を高めるような管理行為や賃貸借などの活用は「持分割合の過半数」の合意がないとできません。
持分割合が過半数を超えていれば管理行為ができますが、半数以下であれば保存行為しかできません。 - 処分行為
また土地全体の売却や抵当権設定などの「処分行為」には「共有持分権者全員」の合意が必要です。
共有名義不動産において共有者ができることについては、以下の記事で詳しく解説しています。
土地の共有持分価格とは?値段を調べる方法
自分の土地の共有持分の値段は、以下の方法で調べられます。
手順1.不動産全体の価格相場を調べる
まずは「土地全体」の評価額を調べましょう。
共有持分の価額は不動産全体の価額のうち共有持分割合に応じた金額となるからです。
土地価額には以下の4種類があります。
市場価格(実勢価格)
実勢価格は土地を市場で売買するときの価額相場です。
共有持分を売却する際には市場で売却するので、実勢価格は土地の4つの値段の中でもっとも重要といえます。
近隣の取引事例を調べたり、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で取引事例やアンケートを見たりすると実勢価格を確認できます。
公示地価
公示地価は、国の調査結果によって明らかにされる土地の基準となる価額です。
建前上は実勢価格と同じになるはずですが、現実には異なります。
郊外や地方の場合、実勢価額が公示地価の90%~110%程度となるケースも多いのですが、都市部では実勢価額の変動が激しいため、実勢価額が公示地価の150%となるケースもあります。
また公示地価はすべての地点において設定されるわけではありません。
あくまで「参考値」ととらえましょう。
相続税路線価
相続税路線価は、相続税や贈与税などの国税を計算する際に適用する土地の評価基準額です。
実際に取引される実勢価額とは大きく異なるケースも多いので、共有持分の売却を検討する場合には適しません。
相続税路線価は、土地の実勢価格の8割程度となるケースが多数となっています。
こちらについては国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認できます。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、土地にかかる固定資産税を算定するための価額です。
各自治体が定めていて、やはり実勢価額とは大きく異なります。
実勢価額の70%程度となるケースが多いので、売却の際に固定資産税評価額を基準に共有持分の値段を計算すると損をしてしまう可能性が高まります。
固定資産税評価額を知りたい場合には、自治体へ固定資産評価証明書の申請をしましょう。
手順2.共有持分割合の1/2を掛け算する
土地の価額を調べられたら、次に「共有持分割合」を掛け算しましょう。
ただし共有持分の場合、単純に「土地価額×共有持分割合」で売れるわけではありません。
競売を前提とした「補正」をかける必要があります。
一般市場では、土地全体を買いたい人はいても土地の共有持分のみをほしがる人はごく少数です。
実際、共有持分を買い取るのは「共有持分買取業者」という専門の不動産会社がほとんどであり、最終的に活用できず競売になるケースも多々あります。
競売になれば市場価額では売れず価額が下がるケースが多いので、金額を減額調整しなければなりません。
競売手続きでは、土地共有持分の最低入札価額は「0.7(競売市場補正)×0.8(買受可能価額)=0.56」を掛け算した金額となります。
つまり市場価額の56%程度でしか売れないケースも多いのです。
さらにそこから競売にかかる手数料も引かれます。
そこで共有持分買取業者へ土地持分を売却する際の値段は以下のように計算されます。
土地価額×共有持分割合×0.5=買取業者に土地持分を売る際の値段
共有持分買い取り業者へ査定を出す
自分で土地の共有持分の価額を計算する方法と合わせて検討したいのが、共有持分買取業者へ査定依頼を出す方法です。
共有持分買取業者に土地の共有持分の値段査定を依頼すると、すぐに金額を提示してもらえます。
自分で事前に調べておいた相場と比べて齟齬がないか、どのくらいの違いがあるかチェックしましょう。
相場より高額で買い取ってくれる業者に売却すると得になる可能性があります。
ただし高ければ良い、というものでもありません。
査定金額が高くても、悪質な業者が存在するので注意が必要です。
弊社では、査定金額はもちろん「売主の方に迷惑がかからない慎重な活用」を心がけております。
オンライン上で無料査定を行っておりますので、土地持分の価格が知りたいという方は一度ご相談ください。
【売却方法別】土地の共有持分の値段相場
土地の共有持分の値段については、どのような方法で売却するかによっても異なります。
以下では「高くなりやすい順」に土地価額の相場を並べました。
土地全体を売る場合の値段
他の共有者と合意して土地全体を売るなら、もっとも高額で売れる可能性が高くなります。
相場の求め方は以下のとおりです。
市場価格×共有持分割合
他の共有者へ売却するときの値段
他の共有者と話し合い、土地を買い取ってもらう場合、相手と合意ができれば値段をいくらにしてもかまいません。
基本的には「市場価額×共有持分割合」が基準になりますが、相手が買い取りに乗り気でなければ価額が下がる可能性があります。
一方、相手が土地の購入を強く望んでいるなら高値で売却しやすいでしょう。
交渉次第で価額が決まると考えてください。
分筆して売る場合の値段
土地は「分筆」して売ることも可能です。
分筆とは、1つの土地を複数の部分に分けることです。
それぞれの土地に所有権が認められるので、共有地を分筆すると、各共有者が分筆後の土地について完全な所有権を得られます。
分筆することで、それぞれの土地は100%所有権の土地となるため、通常の不動産として市場で売却できますが、必ずしも土地の価値が以前と同様に維持されるとは限りません。
土地が狭くなったり形がいびつになって使いにくくなったりする可能性もあります。
そうなれば、従前の土地の値段より下がってしまうでしょう。
分筆前に土地家屋調査士や不動産会社に相談をして、「価値を維持できるのか」しっかり確認するようおすすめします。
土地が分筆できない場合の対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。
土地の共有持分のみ売る場合の値段
土地の共有持分のみを売却する場合、売り先はほとんど共有持分専門の買取業者となります。
この場合の価額相場は先程ご説明したとおりで、以下の値段です。
市場価額×共有持分割合×0.5
土地の共有持分の値段の計算例
たとえば4,000万円の価値のある土地があり、共有持分割合が5分の1としましょう。
その人が共有持分のみを売却する場合の値段は以下のとおりです。
4,000万円×5分の1×0.5=400万円
共有持分買取業者に共有持分を売却するならおよそ400万円で買い取ってもらえる見込みが高くなります。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は全国の共有持分の買取に対応している専門の買取業者です。
無料査定をおこなっておりますので、自分の共有持分がいくらくらいで売れるのかが知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
土地の共有持分が高額になるケース
共有持分を専門業者に買い取ってもらう場合に土地の共有持分の値段はどのような条件下で高額になりやすいのか、ご紹介します。
共有者の人数が少ないほど買取価格が高い
共有持分権者の人数が少なく権利関係が単純であれば、比較的高く売りやすくなります。
また、売却対象の共有持分割合は大きい方が高い値段がつきやすいものです。
土地と建物の共有持分が揃っていれば買取価格が高い
土地上に建物が建っている場合、土地のみの権利しかなければ借地権の価額が差し引かれるので値段が下がります。
土地と建物の両方の共有持分を持っている方が高く売れると考えましょう。
土地の立地や条件が良いほど買取価格が高い
土地の個別事情としては、立地が良い、人気エリア、再開発が予定されているなどの条件が良い場合に買取価額が高額になる傾向があります。
隣の土地と境界を確定させていれば買取価格が高い
土地売却の際には、隣地との境界線が確定されているかどうかも問題になります。
境界確定の手続きが完了していると、確定していないケースと比べて高く買い取ってもらえる可能性が高いでしょう。
土地の境界が確定していない場合の売却方法は以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
土地の共有持分をなるべく高く売却する方法
土地の共有持分を売却するなら、できるだけ高額で売るため以下の工夫をしてみてください。
他の共有持分を買い取る
共有持分の値段を上げるには、自分の共有持分割合を増やしておくと効果的です。
共有持分買取業者としても、大きな共有持分を得られればその後に他の共有者と交渉を進めやすくなるからです。
共有持分の値段査定を依頼する前に、自分で他の共有持分権者と交渉をして、可能な限り買い集めておくとよいでしょう。
ただし他の共有者が合意しなければ、その人の持分は買い取りはできません。
合意できたとしても相場と離れた高値で買い取ると、かえって損をしてしまう可能性もあります。
買い取り交渉は無理に進めるのではなく、「可能な範囲」で行うべきです。
境界を確定させておく
隣地との間に境界争いが発生する可能性があると、土地の値段が下がります。
業者が買い取ったあとで隣地トラブルが起こるリスクが高いためです。
共有持分の売却を開始する前に、土地境界は確定させておきましょう。
具体的には土地家屋調査士に依頼して「土地測量」を行い「境界確認書」を作成します。
境界確認書を共有持分買取業者に提示すれば、その土地では境界が確定しているとわかるので、高めの値段を出してもらえる可能性が高くなります。
いったん境界トラブルが発生すると裁判になって数年に及ぶ争いにつながるケースもあるので、隣地所有者と話し合う際にはくれぐれも慎重に対応しましょう。
他の共有者と協力して土地全体を売る
他の共有者と足並みをそろえて土地全体を売ると市場価額で売却できるので、高額な値段がつきます。
しかし現実的に、他の共有持分権者と足並みを揃えるのは簡単ではありません。
意見が合わずにトラブルになってしまうケースも多いですし、そもそも連絡をとりにくいケースもあるでしょう。
そういった場合、この方法は諦めざるを得ません。
分筆して単独名義にする
土地を分筆して単独名義にすれば、1人で売却できます。
ただ分筆によってかえって価値が下がってしまうケースもありますし、法令上分筆できない土地もあります。
土地を高い値段で売る手法としては確実ではありません。
複数の共有持分買取業者を比較する
土地を高く売るためにもっともおすすめするのは、複数の共有持分買取業者に査定を依頼して値段を比較する方法です。
結局、共有持分は専門業者に売るのがもっとも手早く確実で安心です。
確かに共有持分買取業者に売却すると補正によって50%程度になってしまう可能性がありますが、自分で共有物分割請求をしても結局は競売となって半額程度になってしまうケースが少なくありません。
確実に早く売れるメリットを考えると、共有持分買取業者への売却はコスト的に決して損にはならないのです。
また、複数業者を比較して優良な会社を選べば有利な値段で売りやすくなるので、まずは信頼できそうな共有持分買取業者へ土地価格の査定依頼を出してみましょう。
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような複雑に利権が絡まる共有持分を多数買い取ってきました。
実際、弊社は下記のように全国各地の共有持分を買い取っており、中には1000万円以上で買い取ったこともあります。
ただ、上記のような買取事例だけを見せられてもピンとこない方もいるでしょう。
そこで、弊社が共有持分を買い取ったお客様からいただいた、直筆のメッセージも紹介します。
引用元:お客様の声(Albalink)
このお客様は共有者である親族と折り合いが悪く、話し合いができる関係ではありませんでした。
そのため、弊社が共有持分を買い取ったことで「(共有者と)やり取りをしなくて済むようになり、気持ちが楽になった」というメッセージをお寄せくださいました。
上記のお客様以外にも、弊社に物件の買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「もっと早く依頼すれば良かった」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して共有持分を売却し、共有関係から解放されたい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(売却前提の問い合わせでなくても構いません)
なお、以下の記事では優良な共有持分買取業者を厳選して、選びやすいようにまとめてあります。
査定依頼を出す際はぜひ参考にして下さい。
まとめ
今回の記事を要約すると、以下の通りです。
- 売却方法によって、土地の共有持分の値段は変動する。
- 共有持分専門の買取業者に土地持分を売却する際の値段は「土地全体の実勢価格」に「持分割合の1/2」を掛け算することで求められる。
- 土地を高く売るためにもっともおすすめなのは、複数の共有持分買取業者に査定を依頼して値段を比較する方法。
「餅は餅屋」というように、共有持分を売却したいなら、共有持分を専門に扱っている買取業者に相談すべきです。
専門の買取業者には買い取った共有持分を活用して収益化できるようにするノウハウがあるからです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、全国の共有持分を積極的に買い取っております。
過去には、一般の不動産業者が取り扱わない訳あり物件専門の買取業者としてフジテレビの「newsイット!」にも紹介されました。
共有持分を売却して共有状態を解消したいとお悩みの方は、お気軽に弊社までお問い合わせください。