実家が「負の遺産」となる2つのケース
総務省が行った「住宅・土地統計調査」によると、2023年現在の国内の空き家総数は約900万戸(空き家率13.8%)と前回調査の2018年(849万戸)より、約51万戸の増加となり過去最高の数値となっています。
参照元:【令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計(速報集計)結果】総務省
地方都市では空き家率が20%を超える自治体もあるなど、空き家に関する社会問題はより深刻さを増しています。
また、人口が多い東京や大阪などの都市圏でも空き家率は10%を超えており、空き家の総数という観点から言えば都市部の空き家数が多く、今後の都市計画や不動産価格に徐々に影響が出てくるものと思われます。
このように、空き家の総数は年を追うごとに右肩上がりの状態が続いており、今後空き家を所有しても簡単に売却できそうにありません。
特に空き家が「負の遺産」に該当するようであれば、早急に対処をしたほうがよいでしょう。
本章では、実家が「負の遺産」となる典型的な要因を改めて二つご紹介します。
なお、空き家対策についてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
駅から遠い
駅から遠い立地の不動産は、市場で人気がなく売りづらいからになります。
不動産市場で最も人気があるのは、最寄り駅から徒歩圏内(10分~15分程度以内)です。
例えば、最寄り駅から20分~30分以上になると、駅まで通うのが大変なので物件として敬遠される傾向があります。
実際、弊社が行った「【土地選び・土地探しで優先することランキング】男女500人アンケート調査 」によると、全体の約66%は立地を優先して家の購入をしています。
参照元:【家を購入する際に優先したことと妥協したこと】経験者493人アンケート調査【アルバリンク】
以上のアンケート結果などから、駅から遠く立地が悪い実家は、負の遺産となる可能性が高くなります。
築年数が古い
なぜなら、一般的に築年数が古い家ほど中古市場で人気がなく、売りづらい不動産であるからです。
中古市場では、築年数が浅い物件ほど人気があり、高値取引されているケースあります。
例えば、「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」の、中古マンション成約状況及び中古戸建住宅成約状況によると、築年数が古いほど成約の平均価格が下がっています。
参照元:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)【レインズトピック】
さらに、弊社が実施した「【不動産を購入するなら築年数は何年までがベストか】男女100人アンケート調査」 によると、全体の63%が築10年以内の物件を希望しています。
参照元:【不動産を購入するなら築年数は何年までがベストか】男女100人アンケート調査「アルバリンク」
以上の理由から、国内の不動産市場では築浅を好む傾向が未だに強く、築年数が古く老朽化が進んだ不動産は需要が低いため、売却がしにくい不動産となっています。
よって、築年数が古い実家は、負の遺産になりやすい状態です。
空き家の問題点についてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
「負の遺産」となった実家を相続する5つのリスク
「負の遺産」となった実家を相続するリスクとは、どのようなことになるのでしょうか?
以下に、代表的な5つのリスクをご紹介します。
維持管理に手間や費用がかかる
実家が空き家になった場合の維持管理には、以下のような作業が必要です。
・郵便ポスト内の配達物の整理や室内等の清掃
・敷地内の雑草やゴミ等の除去作業
・建物や敷地内に異常がないかなどの定期的な見回り
実家を維持管理するには、内装等の経年劣化などを防ぐ目的に通風作業を行い、室内に溜まった湿気や澱んだ空気を外部に出すことが必要です。
さらに、配達物が溜まった状態のポスト内の整理や敷地内の雑草などを除去する作業も必要となります。
なお、これらを定期的に行うには、実家までの往来が物理的に可能なところに居住していることが自らで行える条件です。
また、維持管理に行う作業に都度時間を割かれることは、物理的な負担と精神的な負担が重なり、加えて雑草などの除去作業は重労働となるでしょう。
よって、これら維持管理について物理的もしくは年齢的な部分で体力的に難しいときには、空き家管理代行会社に委託する方法もありますが、当然に委託費用の負担が生じてしまいます。
また、他にも空き家になった実家を所有することで、以下のような維持費がかかります。
・火災保険料
・水道光熱費の基本料金
このなかで特に負担額が大きいのは、一般的に固定資産税等の税金です。
不動産を所有する限り、恒久的にかかる費用となるので金銭的な負担のなかでも最も大きなリスクと言えるでしょう。
他にも、光熱費は使用がなくても基本料金の負担があったり、放火などのリスク回避で火災保険の加入もしておいたほうが良いでしょう。
よって、実家を所有することの維持管理でさまざまな負担が生じ、家計にも影響がでるリスクがあります。
空き家の維持管理についてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
隣人から損害賠償を請求される恐れがある
実家を相続して所有すると、隣人から損害賠償請求されるおそれがあります。なぜなら、仮に実家の維持管理を怠り放置することで、建物の倒壊や剥がれた外壁にて隣人の建物に損傷を与える可能性があるからです。
例えば、長年の放置等が原因で老朽化により倒壊すると、建物の補修費用以外に下記のような項目の損害賠償を請求される可能性があります。
・通院交通費
・休業損害(仕事をしている場合)
・通院慰謝料
・弁護士費用
建物補修費用などの他に、治療費や慰謝料などが全て損害賠償として請求されると、総額は数千万円単位に上るケースもあります。
負の遺産となることで実家の維持管理を怠ると、その代償は大きなものであると認識しておくと良いでしょう。
なお、空き家倒壊時の損害賠償や倒壊以外のリスクについてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
固定資産税がかかり続ける
不動産を所有する全ての人が負担する税金。
毎年1月1日時点の所有者に、自治体から4月頃を目途に税額が通知され納付する義務がある。
固定資産税は、不動産を所有している限り家屋と土地に対して毎年かかり続け、実家が都市計画区域内にあれば都市計画税も負担しなければなりません。
固定資産税等は土地や建物の評価額により高額となるケースが多く、家計に多大な影響を与えるおそれがあります。
特定空き家に指定されたら固定資産税が大幅増!
管理不十分で特定空き家に指定されると、実家の不動産にかかる固定資産税が大幅増となるリスクがあります。
今後も放置すれば倒壊や衛生上有害であるなど、適切な維持管理が行われていない空き家を自治体が指定できる制度。
特定空き家に指定され、自治体からの空き家改善に関する助言や指導に従わず、「勧告」となった場合に住宅用地の特例から除外されます。
これにより、固定資産税の軽減措置(土地の固定資産税評価額を1/6で計算すること)がなくなり税額が大幅増となってしまいます。
以下は、軽減措置の有無による固定資産税の違いについてご紹介しています。
【住宅用地の特例が適用されない場合】
「土地」3,000万円×1.4%(税率)=42万円
「建物」1,000万円×1.4%(税率)=14万円
「土地と建物の合計」42万円+14万円=56万円
【住宅用地の特例が適用される場合】
「土地」3,000万円×1/6×1.4%(税率)=7万円
「建物」1,000万円×1.4%(税率)=14万円
「土地と建物の合計」7万円+14万円=21万円
上記例の場合、住宅用地の特例が適用されるか否かで35万円の差が出てきます。
特定空き家に指定され勧告を受けると、固定資産税の負担額が大幅に増えてしまい家計への影響も大きくなるので避けたいところです。
なお、空き家対策特別措置法などについてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
資産価値がなく売るにも売れない
負の遺産となった実家は、資産価値がなく売るに売れない状態になります。
なぜなら、築年数が経過して老朽化した家は、住宅市場においては需要が低い不動産であるからです。
国内の不動産市場では、新築もしくは築浅物件に人気があり、築古の老朽化した建物を安く購入しリフォームして居住するという考えの人は少ない、という現状があります。
よって、負の遺産となった実家を売却しようにも、売るに売れないという事態に陥ってしまう可能性が高いでしょう。
自分が亡くなったら子どもたちに受け継がれる
実家を相続後に自分が亡くなると、子どもたちに負の遺産を受け継がれます。
これまで自らが行ってきた維持管理の手間や費用負担を子世代に負わせることになり、同じような苦労を恒久的に続けていくことになってしまいます。
【相続前】負の遺産である実家の相続を回避する3つの方法
実家が負の遺産と化し相続を躊躇うような状況であれば、相続前に対策を行うことがおすすめです。
本章では、負の遺産である実家の相続を回避する3つの方法についてご紹介します。
親に実家を売却してもらう
相続を回避する最も良い方法は、親に実家を売却してもらうことです。
親に実家を売却してもらえれば、負の遺産として相続することがなくなり、現金化できることで相続時に分けやすいというメリットがあります。
さらに、築年数がなるべく新しく建物の老朽化が進まないうちであれば、売却がしやすくなるでしょう。
なお、現実的に親が実家を存命中に売却することについては、躊躇する人が多いでしょう。
なぜなら、多くの人が実家を終の住処と考えており、売却により手放し移住することに抵抗感を示すケースが多いからです。
よって、親に実家を売却してもらうことは最も良い方法ですが、親の考え方次第では進みづらい方法と言えます。
ほかの相続人に実家を相続してもらう
自らが実家を相続することがなければ、維持管理の手間や費用の負担をかけることがなくなるからです。
しかし、兄弟で親の遺産を相続する場合、一人だけ実家を相続せずに維持管理の負担等を行わないことは現実的ではなく、親族間に亀裂が入るおそれがあります。
よって、自らが相続しないことを相続人全員の同意のもと話し合いで決まれば問題ないのですが、道義的に考えると実現は難しいとするのが一般的です。
なお、実家の相続の流れや費用などについてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
相続放棄をする
相続人が被相続人の資産や負債、権利などを一切引き継がないこと。
相続放棄を行う場合には、相続が発生してから3か月以内に裁判所にて手続きを行う。
参照元:相続の放棄の申述【裁判所】
相続放棄は「不要な不動産のみを相続しない」ということはできないので、他の遺産等を含めて慎重に判断する必要があります。
また、相続放棄をしても実家の管理責任を自治体から問われることや、倒壊等で近隣住民に損害を与えた場合には管理責任を問われることもあります。
さらに、相続放棄をすると所有権は他の相続人となるため、自らの意向で売却等の処分行為が一切できなくなることも注意点です。
よって、相続放棄は一見実家の管理責任がなくなったように見えるのですが、将来的に管理責任を問われるケースや所有者ではなくなるので処分等について一切意見ができなくなるリスクがあります。
相続放棄についてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
相続放棄をしても実家の管理義務がなくなるわけではない
前述でも紹介しているとおりに、相続放棄をしても実家の管理義務がなくなるわけではありません。
特に、他に相続人等がいない場合には、相続放棄をしても空き家になった実家の管理義務が残るとされており、管理義務を回避するには相続財産清算人の選定が必要でした。
亡くなった人の相続財産の調査や管理を行う人。
相続財産清算人は、利害関係者からの申し立てにより家庭裁判所が選任する。
参照元:相続財産清算人の選任【裁判所】
しかし、2023年4月の法改正では、「現に占有しているもの」に該当する場合とされています。
(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
つまり、相続放棄した実家を占有していなければ、管理義務は回避できるように法改正がされています。
よって、遠方住まいで実家を占有していない状態で相続放棄を行えば、実家が空き家になった場合の管理義務をまぬがれる可能性があります。
【相続後】負の遺産となった実家を処分する3つの方法
前章では実家の相続を回避する方法を紹介してきましたが、止む無く相続せざる得ない状況になることもあります。
本章では、相続した実家を処分する方法についてご紹介します。
自治体に寄付をする
自治体に寄付すれば、実家の所有権を手放すことができ、維持管理を行う必要が一切なくなります。
寄付したい場合には、実家が所在する自治体の窓口に寄付する意向を伝えると担当者が調査を始め、寄付を受けるかを判断します。
しかし、自治体が寄付を受けることは滅多にありません。
その理由は、市民等から不動産の寄付を受けると、自治体の大事な税収である固定資産税として徴収できる金額が減ってしまい、自治体の管理運営に大きな影響があるからです。
そのため、基本的に公共性が高い土地以外は、自治体が寄付を受けることはなく処分方法として現実的ではありません。
なお、自治体への寄付や買取は基本難しいことについてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
相続土地国庫帰属制度を利用する
相続した土地を国が引き取る制度で、令和5年4月27日から開始した。
相続した土地について、「遠方住まいで利用予定がない」「土地の維持管理が事情により難しい」場合などに、国庫に帰属できる制度です。
国庫に帰属すれば、実家の所有権を手放すことができるので、維持管理に手間や費用をかけることがなくなるメリットがあります。
一方で、相続土地国庫帰属制度は、土地に建物や工作物があった時点で引き取り不可となるなど、利用条件のハードルが高いことが事実です。
【引き取ることができない土地の要件の概要】
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
相続土地国庫制度は、将来的に所有者不明の土地が発生することを回避するために創設された制度なので、一定の要件を満たし実家の処分方法として利用することは、現実的ではないケースが多いでしょう。
なお、相続土地国庫帰属制度についてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
専門の買取業者へ売却する
負の遺産と化した実家を専門の買取業者へ売却する方法があります。
専門の買取業者であれば、立地や建物の状態に関わらず売却できるからです。
専門の買取業者が買主となり、売買を進めていく方法。
現金決済で進めていくので、買取業者さえ決まれば迅速な売却が可能となる。
さらに、買取業者は契約不適合責任を免責にするので、引き渡し後も安心して過ごせるメリットがあります。
負の遺産となった実家を仲介で売却することは難しいのですが、専門の買取業者であればノウハウを活かして問題なく買取りするので、処分したい不動産を確実に売却できます。
なお、専門の買取業者としては、他社よりも高値売却を追及できる株式会社アルバリンクがおすすめです。
なぜなら、弊社アルバリンクでは買取した不動産を各専門家との連携で迅速に商品化できるスキームと、投資家等への独自販路を確立しているので、積極的な買取ができるからです。
実際、弊社の買取サービスをご利用いただいた多くのお客様より、お喜びの声を多数いただいています。
参照元:お客様の声【アルバリンク】
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アルバリンクの買取事例
本章では、弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
たとえば、下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」を買い取った実績があります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】
【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された空き家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっている空き家の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
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なお、特徴別・地域別の空き家買取業者についてくわしく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
本記事では、負の遺産と化した実家を相続するリスクと相続前後での対処法について解説してきました。
負の遺産となった実家の所有は一般的にリスクが高く、相続後に維持管理の手間や費用負担で苦労することが大半です。
また、相続前に親自らで売却もしくは自治体への寄付、相続後に相続放棄等の対処法はあるものの、各々問題点や利用条件のハードルが高く現実的ではありません。
よって、負の遺産となった実家は、専門の買取業者への売却が迅速且つ確実に処分できる方法として得策です。
買取業者への売却であれば、実家の所有権を第三者に譲渡できるので維持管理に手間などがかかることはありません。
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実際、高く買い取りできる不動産業者として、フジテレビ「イット」など多くのメディアで紹介されています。
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