「土地は借地、家は持ち家」とは「借地権付き建物」のこと
そもそも「土地は借地、家は持ち家」の状態とは、地主の土地に建物を建てる権利を持っていることを意味します。
この権利を「借地権」と呼びます。
借地上に建つ実家をスムーズに相続したいのなら、借地権に関する知識を押さえておくことが欠かせません。
そこでまずは、借地権に関する以下の内容を詳しく解説していきます。
借地権の種類
一口に借地権といっても、その種類は以下の3つに大別されます。
- 普通借地権
- 定期借地権
- 旧法借地権
普通借地権は1992年8月1日に施行された借地借家法に基づくもので、契約期間は30年以上です。
また、契約期間の満了時に借主が引き続き借りることを主張すれば自動的に契約が更新されます。
更新期間は初回が20年、2回目以降は10年です。
定期借地権は借地借家法の制定時に新たに設けられた枠組みであり、契約期間は50年以上と普通借地権よりも20年以上長い点が特徴です。
ただし、普通借地権とは異なり契約の更新はできません。
そのため契約期間が満了したら、借主は土地上に建っている建物を解体し、更地にして返還する必要があります。
一方、現在の借地借家法が制定される前に借地を借りる契約を交わしていたときには「旧法借地権」が適用されます。
契約最低期間は木造住宅で20年、鉄骨造・鉄筋コンクリート造住宅で30年ですが、基本的に借地人が望む限り契約を更新できる点が特徴です。
各借地権の違いや注意点については以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
借地権の3つのメリット
土地を自分の名義で所有する「所有権」と比較したときに、土地を地主から借りる「借地権」には以下3つのメリットがあります。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
土地の固定資産税が不要
借地権のメリットのひとつは、土地に課される固定資産税を負担しなくてもよい点です。
自分名義で土地を所有して建物を建てると、毎年土地と建物を合わせて10~15万円ほどの固定資産税を納めなければなりません。
しかし、地主から借りた土地に建物を建てるケースでは建物にかかる固定資産税だけを負担すればよいので、ランニングコストを抑えられるメリットがあります。
なお、借地にかかる固定資産税の計算方法や地代に与える影響については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
通常の一戸建てよりも安価
通常の一戸建てより安い価格で購入できる点も、借地権付き建物のメリットです。
借地権付き建物を購入しても、土地は自分のものにはなりません。
そのため、借地権付き建物は通常の一戸建てよりも6~8割ほど安い価格で取引されるケースが一般的です。
借地権付き建物は、地価の高いエリアで一戸建てを購入するコストを抑えたいと考えている方にとっては魅了的な選択肢となり得ます。
したがって、相続した借地上の実家を売却したいのなら、物件価格の安さをアピールする対策が有効です。
売却や相続が可能
地主から借りた土地に建物を建てられる権利である「借地権」は、売却や相続が可能です。
そのため、相続した借地上の実家を自分で使う予定がないのなら売却するのも選択肢のひとつです。
ただし、借地権付き建物を売却するには地主の承諾が不可欠です。
地主に断りなく勝手に売却することはできない点に注意しましょう。
一方で、借地権付き建物を相続するにあたって地主の承諾を得る必要はありません。
しかし、相続後に地主との間にさまざまなトラブルが起こる可能性がある点には注意する必要があります。
具体的なトラブル事例については、「借地上に建つ実家の相続時によくある6つのトラブル」の章で解説します。
借地権の3つのデメリット
借地権には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットも潜んでいます。
借地上に建つ実家を相続するか悩んだときには、デメリット面も踏まえたうえで慎重に検討することをおすすめします。
ここでは、借地権に潜む3つのデメリットについて見ていきましょう。
地代・更新料がかかる
借地上に建つ実家を相続すると、地主へ地代を支払わなければなりません。
地代は、土地にかかる固定資産税や都市計画税の3~5倍程度に設定されるケースが一般的です。
たとえば地主が所有している土地の固定資産税・都市計画税の納税額の合計が20万円なら、年に60~100万円ほどの地代を支払う必要があるということです。
また、借地契約を更新する際には「更新料」もかかります。
更新料の相場は、借地権価格の5%ほどといわれています。
つまり借地権価格が3,000万円だったら、契約更新時に150万円ほどの費用を支払わなければなりません。
なお、更新料はあくまでも「慣習」として設定されている費用に過ぎず、契約書にその旨が記載されていなかったら支払う必要はありません。
したがって借地に建つ実家を相続したときには、契約書の内容をしっかりと確認することが大切です。
借地にかかる地代の計算方法については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
建て替え・売却時に地主の承諾がいる
借地上に建つ家を建て替えたい、売却したいと考えたときに、いちいち地主の承諾を取らなければならない点も借地権のデメリットです。
つまり、地主の許可がなければ建て替えも売却もできないということです。
したがって、相続した借地上の実家に住みたいと考えているのなら、地主との関係性を良好に保つことが大切だといえます。
前述のように、借地上の実家を相続するときに地主から承諾をもらう必要はありませんが、今後のやりとりをスムーズにおこなうためにも、実際に顔を合わせてあいさつをしたほうがよいでしょう。
売却しにくい
借地権のデメリットとして、売却しにくい点も挙げられます。
なぜなら、借地権付き建物を購入するときに買い手が住宅ローンを組みにくいからです。
多くの住宅ローンでは、借主が購入する土地と建物に抵当権を設定します。
抵当権とは、いわば「担保」のことです。
借主が万が一返済不能の状態に陥ったとき、金融機関は抵当権を設定している土地と建物を強制的に売却して返済金額に充てる仕組みとなっています。
しかし借地権付き建物の場合、土地を所有しているのは地主なので建物にしか抵当権を設定できません。
そのため、土地と建物に抵当権を設定できる通常の一戸建てよりも担保評価が低くなり、買い手が希望の金額のローンを組めなくなってしまうのです。
借地権付き建物を購入できるのは現金一括で支払える経済力を持っている方、十分な頭金を用意できて借入金額が低い方などに限られます。
したがって、売却したくても買い手が見つかりにくい点は覚悟しなければなりません。
借地上に建つ実家を相続する流れ
親が亡くなって借地上に建つ実家を相続することになったときには、以下の流れで進めていきます。
とくに2024年4月1日からは相続登記が義務化され、速やかに手続きをおこなわないと罰則が科される恐れがある点に注意しましょう。
ここでは、相続の流れ別にやるべきことを詳しく解説していきます。
借地権の内容を確認する
まずは、亡くなった親がどのような内容で地主から土地を借りていたのかを契約書で確認します。
とくに確認しておきたいのは、以下のポイントです。
- 普通借地権か定期借地権か
- 地代はいくらか
- 契約期間は何年か
- 契約更新のタイミングはいつか
- 更新料の支払いが取り決められているか
たとえば親がもし定期借地権で土地を借りていた場合には、契約期間が満了したら更地にして返還しなければなりません。
また契約更新まであとどのくらいの期間があるのか、更新料の支払い義務はあるのかの確認も大切です。
ただし、1992年8月1日以前に旧法借地権で契約を交わしていたときには、契約書が存在しないケースがあります。
旧借地法では契約書が必要ないとされていたからです。
したがってもし契約書が見つからなかった場合には、地主に連絡を入れて契約内容を確認しましょう。
遺産分割協議をおこなう
もし相続人が複数いるときには、遺産分割協議をおこなって誰が実家を相続するのかを決める必要があります。
相続人全員で集まり、誰がどの財産をどの割合で相続するのかを決める手続き。
このとき注意したいのは、不動産を複数の相続人の共有名義で相続しないことです。
不動産を共有名義で相続すると、売却や活用方法、管理費・税金の負担割合でもめたり、共有者のひとりが物件を占有したりといったトラブルへと発展しやすいからです。
そのため、借地上の実家を売却するときには相続人ひとりの単独名義にするか、もしくは売却した金額を相続人間で分け合う方法を選択することをおすすめします。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)では、弁護士などの専門家と連携したうえで借地権付き建物を買い取っております。
借地上の実家をどうすべきかがわからない、遺産分割協議で話し合うためにいくらで売却できるのかが知りたいといった方は、お気軽にご相談ください。
不動産を複数の相続人の共有名義で相続すると起こり得るトラブル事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
地主に相続したことを連絡する
遺産分割協議を経て誰が借地上の実家を相続するかを決めたら、地主へ相続したことを連絡します。
前述のように、借地権付き建物は地主の承諾不要で相続できます。
しかし地主側からすると、誰が相続したのかがわからないと安心できません。
そのため、地主との良好な関係性を構築するためにも、「生前に親がお世話になった」こと、そして「親が亡くなったので自分が借地上の実家を相続することになった」ことは伝えておいたほうがよいでしょう。
借地権を遺贈したときは地主の承諾が必要
亡くなった親が遺言書によって借地上の実家を法定相続人以外の個人や団体に譲ると指定(遺贈)していた場合は、地主の承諾が必要です。
遺言書によって特定の個人や団体に財産を無償で譲ること。
借地上の建物を遺贈された相手は、地主に対して借地権価格の10%に相当する承諾料も支払わなければなりません。
なお、たとえ法定相続人であっても、遺贈によって借地上の実家を相続するときには地主の承諾と承諾料の支払いが必要になる点に注意しましょう。
相続登記をおこなう
最後に、借地上の建物の名義を亡くなった親から相続人へと変更する「相続登記」をおこないます。
相続登記は、不動産の相続を知った日から3年以内に申請しなければなりません。
もし期限内に申請しないと10万円以下の科料に処される恐れがある点に注意が必要です。
相続登記の手順や必要書類については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
借地権が登記されていたら借地権の名義変更が必要
ケースによっては、借地権付き建物だけでなく、借地権そのものが登記されていることがあります。
この場合は、借地権の名義も変更しなければならない点に注意しましょう。
借地権が登記されているかどうかは、法務局で不動産の全部事項証明書を取得すると確認できます。
なお、相続登記については登記手続きの専門家である司法書士に依頼すると、必要書類の準備から借地権の登記の有無の確認、申請まで一任できます。
相続登記をおこなう時間がない、自分で確実にやれる自信がない方は、司法書士に依頼するとよいでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも全国の司法書士と提携しているため、相続登記に関するサポートをすることが可能です。
どの司法書士に依頼したよいのかでお悩みの方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。
相続税を納める
借地上の実家は当然相続税の課税対象となるので、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に納めなければなりません。
もし期限内に税金を納めなかった場合、加算税や延滞税などのペナルティーが課されるため、注意が必要です。
借地権の相続税評価額の調べ方
借地権の相続税評価額は、以下の計算式で求めます。
借地権割合は土地に対して借地権の割合がどのくらいあるのかを示したもので、国税庁がエリアごとに30~90%の間で定めています。
国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認可能です。
たとえば借りている土地の評価額が3,000万円、借地権割合が60%のときの相続税評価額は以下のとおりです。
借地権の相続税評価額=3,000万円×60%=2,400万円
ほかの相続財産と合わせると意外と高額な相続税を納めなければならなくなるケースは少なくないため、事前に自分がどのくらいの税金を納める必要があるのかを確認しておくことが大切です。
借地上に建つ実家の相続時によくある6つのトラブル
借地上に建つ実家を相続するときには、地主との間に以下6つのトラブルが起こり得る恐れがある点に注意が必要です。
それぞれのトラブル事例について、詳しく解説していきます。
なお、以下の記事でも借地権に多いトラブル事例について解説しているので、併せて参考にしてください。
地代の値上げを求められる
相続して代が替わったことを契機として、地主から地代の値上げを要求されるケースがあります。
じつは借地借家法では、第11条において以下の要件を見たすとき、地主は地代の値上げを請求できると定められています。
- 土地に課される税金が上がった
- 土地の価格が上昇した
- 近隣の同じ条件の土地と比べて地代が安い
ただし、地代の値上げには借地人の同様が不可欠です。
したがってあなたが同意しない限り、地主は勝手に地代を値上げできない点を押さえておきましょう。
なお、賃貸借契約書に地代の増額に関する特約が記載されているときには、それに従って地主を話し合う必要があります。
そのため、借地上に建つ実家を相続した際には、契約書の内容をしっかりと確認することが大切です。
地主から地代の値上げを請求されたときの対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。
名義変更料を請求される
借地上の実家の相続登記をおこなう際に、地主から名義変更料を請求されるトラブルも起こり得ます。
前述のように、借地権の相続に際して地主の承諾は不要なものの、相続した旨を地主に報告する形が一般的です。
しかし地主のなかには、そのときに名義変更料を払うように要求してくるケースがあるのです。
法的には、借地権を相続しても名義変更料を地主へ支払う必要はありません。
ただし少額であれば、支払ったほうが地主との関係性が悪化するのを防げるだけでなく、立ち退きトラブルなどを回避できる可能性があります。
したがって地主から名義変更料を請求されたときには、弁護士などの専門家に相談したうえで慎重に判断することをおすすめします。
立ち退きを求められる
借地上の実家を相続した際に、地主から立ち退きを要求されることも比較的よくあるトラブルのひとつです。
ただし、これも前述の「地代の要求」と同様に、地主側に立ち退きを求める以下のような正当事由がないときには認められません。
- 借地上に地主が住む建物を建てる必要性がある
- 建物が老朽化していて倒壊する恐れがある
- 土地を有効活用できていない
- 立ち退きを求める代わりに立ち退き料の支払いを申し出ている
したがって地主から借地からの立ち退きを求められたときには、まず正当事由があるかどうかを確認しましょう。
また、もしあなたが相続した借地権上の実家に住む予定がないのなら、地主から立ち退きを要求された段階で地主に借地権を買い取るよう申し出るのも選択肢のひとつです。
地主に借地権を購入してもらう方法は、後述の「地主に買い取ってもらう」の見出しで解説します。
なお、以下の記事では地主が借地人に立ち退きを迫れる正当事由や立ち退き料の相場について詳しく解説しています。
併せて参考にしてください。
建物の建て替えを認めてくれない
相続した実家の建て替えを検討しても、地主が承諾してくれないトラブルもあります。
原則として、借地上の建物を建て替えるには地主に承諾をもらうとともに、一定の承諾料を支払わなければなりません。
無断で家を建て替える行為は契約違反に該当し、地主の立ち退き要求に対する正当事由を与えてしまう恐れがある点に注意が必要です。
そのため、地主から建て替えを断られた際には、まずその理由を確認することが大切です。
自分ではうまく聞き出せないときには、弁護士などの専門家の力を借りることも検討しましょう。
建物の売却を認めてくれない
建て替えと同様、借地上の建物を売却するときにも地主の承諾が必要です。
そのため、建物の売却を認めてくれないトラブルが起こる可能性もあります。
地主側が建物の売却を拒む理由としては、見ず知らずの第三者に自分の土地を使われたくないという思いが潜んでいます。
したがって相続した借地上の実家を売却したいのなら、いきなり話を持ちかけるのではなく、時間をかけて地主と交渉することが大切です。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)にはこれまでに多くの借地権付き建物を買い取ってきた実績があり、地主とスムーズに交渉するノウハウにも長けています。
相続した借地上の実家を売却したいと考えているものの、自分では交渉ができずにお悩みの方はぜひ弊社へお任せください。
地主との間にトラブルを起こすことなく、スピーディーな買取を実現いたします。
借地権を返還するときに解体費用がかかる
借地上にある実家を相続したものの、自分では使い道がないために借地権を地主へ返還したいと考えるケースは少なくありません。
しかしその際、借地上の建物は解体して更地にしなければならない点に注意が必要です。
借地人には、借地契約を交わす前の状態に戻す「原状回復義務」があるからです。
建物の解体にかかる費用は構造によって異なりますが、100万円以上にのぼるケースが多い傾向にあります。
そのため地主へ借地権を返還する場合には、解体費用をどのように調達するかを考えることが大切となってきます。
もし解体費用を支払えないときには、専門の買取業者に売却することをおすすめします。
専門の買取業者なら、借地上に建った建物ごと借地権を買い取ってくれるからです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、現状のまま借地権を買い取っております。
借地権付き建物の売却に際して費用をかけたくないとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
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なお、借地上の建物を更地にしないで返還する方法は以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
「土地は借地、家は持ち家」だったときにできる6つの対処法
相続した借地上の実家を相続しても、地代や建物の固定資産税、維持費などはかかり続ける一方です。
地主との間にトラブルが起こる可能性も否めないため、今後も自分で利用する予定がない場合には以下いずれかの対処法を講じることをおすすめします。
それぞれの対処法について、詳しく解説していきます。
相続放棄する
まだ相続前であり、借地上の実家を利用する予定がないのなら「相続放棄」を選択できます。
相続放棄とは、被相続人の財産を受け継ぐ権利をいっさい放棄することです。
相続放棄が認められると最初から相続人ではなかったと見なされるため、借地上の実家を相続せずに済みます。
ただし、相続放棄を選択すると預貯金などのプラスの財産も受け継げません。
そのため、相続放棄をするかどうかは、すべての相続財産を踏まえたうえで慎重に判断することをおすすめします。
また相続放棄をしても、ほかに相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄をしたケースでは、「現に占有していた者」、つまり借地上の実家で親と同居していた方が引き続き管理をしなければなりません。
もし相続放棄した家の管理義務から解放されたいのなら、家庭裁判所に申し立てて相続財産清算人を選出してもらう必要があります。
相続人に代わって被相続人の借金などの清算をおこない、残った相続財産を国に納める人。
弁護士などの専門家が選任されるケースが一般的。
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オンラインでの開催も行なっていますので、実家や土地など、相続した不動産のことでお困りの場合は、以下のバナーからお気軽にご相談ください。
なお、相続放棄については、以下の記事で詳しく解説しています。
地主に買い取ってもらう
借地上の実家を売却したいときには、地主へ買取を申し出るのも選択肢のひとつです。
前述のように、借地権付き建物の購入時には住宅ローンを組みにくいため、一般の買い手からは敬遠されがちです。
しかし地主であれば借地権を購入することで土地を自由に使えるようになるので、「自分の家を建てたい」などの活用を考えているときには前向きに話を聞いてくれる可能性があります。
地主に借地権を買い取ってもらうときの相場は、更地価格の約5割です。
また地主からさらに値下げを要求されることも考えられます。
もし地主から提案された買取価格があまりにも安い場合には、専門の買取業者への売却を検討することをおすすめします。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の借地権付き建物を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
査定は24時間365日無料でおこなっておりますので、地主との交渉材料として買取価格の目安を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
なお、借地権を地主に買い取ってもらうときの流れや注意点については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
等価交換する
「地主に地代や承諾料を支払いたくない」という理由で借地上の実家の売却を検討しているのなら、地主に底地との「等価交換」を申し出るのはひとつの方法です。
等価交換とは、借地権の一部と底地の一部を交換し、地主と借地人が互いに完全所有権の土地を取得する行為です。
借地権と底地を等価交換すれば、地主に地代を支払う必要がなくなります。
また、地主の顔色をうかがわずに家の建て替えがおこなえるようになる点もメリットです。
ただし等価交換をすると、土地の固定資産税を納める必要性が生じます。
ひとつの土地を借地人と地主とで分ける形となるため、所有できる土地の面積が小さくなる点もデメリットです。
そもそも地主に完全所有権の土地を取得したいという意思がなければ成立しない点も押さえておく必要があります。
なお、借地権と底地の等価交換は以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
底地と借地を同時に売却する
もし地主側にも底地を売却したい気持ちがあるのなら、借地権と合わせて同時に売却する方法があります。
底地と借地権を同時売却するメリットは、単独で売り出すよりも買い手が見つかりやすい点です。
借地権を単独で売り出しても、地主とのしがらみが敬遠されてなかなか買い手は見つかりません。
しかし底地と借地権をセットにすれば、通常の土地同様に地代の支払いや建て替えなどの制限がなくなります。
買主にとっても購入した土地を自由に活用できるようになるメリットがあるので、早期売却が期待できるというわけです。
ただし「等価交換する」ケースと同様に、地主側に売却の意思がなければ成立しません。
話を持ちかける際には、底地と借地権を同時売却するメリットを地主へ丁寧に説明すrことが大切です。
なお、底地と着地券の同時売却については、以下の記事でも詳しく解説しています。
賃貸物件として活用する
相続した借地上の実家を自分で使う予定がないのなら、賃貸物件として第三者に貸して家賃収入を得る方法があります。
賃貸物件として活用するにあたり、地主の承諾を得る必要はありません。
地代と建物にかかる固定資産税の合計額以上になるように家賃を設定すれば、収益を上げることが可能です。
ただし、相続した借地上の実家が駅から遠いなど立地条件が悪い場合には、借り手がなかなか見つからずに賃貸経営に失敗してしまいかねません。
実際、弊社がおこなったアンケート調査によると、一人暮らしを始める物件を選ぶ際に「交通アクセスの良さ」にこだわったと回答した方の割合は全体の3割を超えました。
引用元:訳あり物件買取ナビ|【一人暮らし物件でこだわった条件とこだわらなくてもよかった条件ランキング】男女500人アンケート調査
したがって相続した借地上の実家で賃貸経営を始めたいと考えた際には、まず立地条件や借り手からの需要があるかどうかを確認することが大切です。
また、そもそも借地契約において「第三者への賃貸が禁止」されているケースも少なくありません。
禁止されているにもかかわらずに賃貸経営を始めると契約違反に問われ、立ち退きを余儀なくされかねない点に注意が必要です。
借地上の実家で賃貸経営を始める場合には、契約書の内容もしっかりと確認しておきましょう。
なお、不動産の素人に賃貸経営が向かない理由は以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
専門の買取業者に買い取ってもらう
ここまで5つの対処法を解説してきましたが、地主の同意がないと成立しないなどいずれも現実的な選択肢とはいえません。
そこでおすすめなのが、借地上の実家を専門の買取業者に買い取ってもらうことです。
専門の買取業者には、借地権付き建物を買い取ったあとで賃貸物件として活用するなど、収益を上げるためのノウハウが豊富にあります。
そのため、一般の買い手が見つかりにくい借地権でも問題なく買い取ってくれるのです。
また専門の買取業者は弁護士や司法書士などとの専門家と連携しており、売却に際して必要な地主との交渉を一任できる点もメリットです。
相続した借地上の実家を売却するにあたり、手間や費用をかけたくないとお考えの方に向いている売却方法です。
アルバリンクなら借地権付き建物でも問題なく買取可能!
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、地主と借地人がトラブルになっているなど、他社では断られるような底地・借地を多数買い取ってきました。
たとえば、弊社では以下のような借地を190万円で買い取った実績もあります。
築年数 | 54年 |
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物件の所在地 | 東京都荒川区 |
借地の状況 | ・10坪ほどの土地に木造2階建の戸建が建っている ・建築基準法を満たしておらず再建築できない土地 |
借地売却に関する地主様の要望 | ・売却を承諾するための費用(譲渡承諾料)を更地価格の10%とする ・借地の更新料を更地価格の8%~10%とする ・宅建業者が買い取った場合、転売時に承諾料を支払うこととする など |
買取価格 | 190万円 |
買取時期 | 2023年8月 |
上記の「借地売却に関する地主様の要望」を見て頂けばわかるように、この借地は売却に関する地主様の要望が厳しく、依頼主様(借地人)は他社では買取を断られてしまったようです。
とくに転売時に承諾料がかかることは買取業者にとって直接的な負担となるため、買取を敬遠する業者が多いのも当然といえます。
このように、地主の要望が厳しく、再建築もできず、建物の築年数も古い借地であっても、弊社が190万円で買い取れる理由は以下の2つです。
- 土地の利権に強い弁護士と提携しており、利権問題を解決した上で運用・再販できるため
- 借地の再販先が豊富であり、買取に際して費用がかかっても(承諾料など)利益を生み出せるため
実際、弊社は底地・借地をはじめ、訳あり不動産の買取実績が600件以上(2023年1月〜10月時点)あり、これまで買取をおこなったお客様からも「買い取ってもらえてホッとした」「早く依頼すればよかった」といった好意的な評価を多数いただいております。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
底地・借地を手間や費用をかけることなく、なるべく高値で売却したい方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたことが、地主に知られることはありませんので、ご安心ください)。
なお、以下の記事では借地権付き建物を売却する方法や買取相場、より高く買い取ってもらうコツについて詳しく解説しています。
併せて参考にしてください。
まとめ
借地権付き建物には「土地の固定資産税がかからない」などのメリットがありますが、一方で「地代がかかる」「建て替えや売却時に地主の承諾がいる」点はデメリットといわざるを得ません。
また借地上に建つ実家を相続すると、地主から地代の値上げや立ち退きを要求されたり、建て替えを承諾してくれなかったりするトラブルにあう恐れもあります。
借地上に建つ実家を相続しても、メリットよりデメリット面のほうが大きいのが実情です。
そのため、相続した借地上の実家を自分で使う予定がないのなら、専門の買取業者に売却して手放すことをおすすめします。
当サイトを運営している弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の借地権付き建物を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
過去には「訳あり物件専門の買取業者」として、フジテレビの「newsイット!」に紹介された実績もあります。
弊社は全国の弁護士などの専門家と提携しているため、売却に際して必要な地主との交渉もお任せいただけます。
また弊社は借地権を建物ごと買取いたしますので、あなたが建物の解体費用を負担する必要はありません。
相続した借地上の実家をできる限り早く売りたい、解体費用を負担したくない、地主と交渉したくないとお考えの方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。