共有持分とは?概要や計算方法をわかりやすく解説
共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有している時に、それぞれが不動産に対して持っている所有権の割合です。
共有持分の割合は均等なケースと、不均等なケースがあります。共有持分が発生する経緯は、主に以下の2つです。
- マイホーム購入時に夫婦でペアローンを組んだ
- 相続時に兄弟姉妹で実家を共有名義にした
共有持分は不動産購入時の出資額と同じ割合を持つのが一般的です。
たとえば、3,000万円の戸建て住宅を購入する際に、夫が2,000万円・妻が1,000万円を支払ったのであれば、持分割合は夫が2/3・妻が1/3となります。
一方で、相続をきっかけに共有持分を取得した場合は、法定相続分に持分割合になるのが一般的です。
法定相続分とは、民法で定められた相続財産を分ける割合のことです。
被相続人との関係性によって、相続人になれる人の範囲とその順位が決まっており、持分割合は「配偶者が1/2」「子どもが1/2 を人数で分ける」といった具合に定められています。
なお、共有持分とは「持分割合が1/2だから、土地の半分が共有持分」といった物理的なものではなく、あくまで権利上の概念です。
そのため、共有不動産は持分割合が1/2でも1/8でも同じように、1つの不動産のすべてを利用できます。
共有持分なら単独で売却できる
共有名義の不動産を売却する際は共有者全員の同意を得る必要がありますが、共有持分であれば単独で売却可能です。
なぜなら、共有持分は共有不動産に対する権利であり、使用も処分も自由に行えると民法第206条によって定められているからです。
そのため、共有持分の売却活動を始める際に、共有者に対して許可をもらったり通知をしたりする必要はありません。
ただし、共有持分を個人売買する場合、通常の不動産売却とは異なる点が多く、売却活動の進め方を誤ると、共有者とのトラブルに発展するので注意が必要です。
共有名義についてさらに理解を深めたい方は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひお読みください。
まずは、次章で共有持分を個人売買するメリットから見ていきましょう。
共有持分を個人売買するとどうなる?2つのメリットを解説
共有持分を個人売買するメリットは以下の2つです。
- 共有関係から解放される
- 維持費の支払いから解放される
共有持分を個人売買して共有関係が解消されることで、どのようなメリットが得られるのか順番に見ていきましょう。
共有関係から解放される
共有持分を個人売買する最大のメリットは、共有関係から解放されることです。
共有不動産の場合、「どのように手を加えるか」によって、独断で行えない行為があります。
共有者が共有物に行える行為には、以下の3つがあります。
共有物に対する行為の種類 | 概要 | 条件 |
---|---|---|
保存行為 | 共有物の現状を維持する行為。修繕や日常的なメンテナンスなど | 共有者それぞれが単独で実行できる |
管理行為 | 共有物を利用・改良する行為。貸借や改装など | 共有者の過半数の同意があれば実行できる |
変更行為 | 共有物の形・性質に変更を加える行為。増築や改築、売却など | 共有者全員の同意があれば実行できる |
ここでいう共有者とは人数ではなく、持分割合の多さです。たとえば、共有者が1人であっても、持分割合を2/3所有していれば管理行為は実行できます。
ただし、どれだけ多くの持分割合を持っていたとしても、変更行為は共有者全員の同意がなければ実行できません。
つまり、「使わないから売りたい」と思っても売却できず、「使い勝手がよいように増改築したい」と思っても自由に行えません。
このように、共有関係にあるばかりに、自由に使えない共有不動産に対して共有者は維持・管理費は支払い続けなければならないのです。
しかし、共有持分を個人売買すれば、共有不動産を抱える理不尽なストレスから解放されます。
維持費の支払いから解放される
共有持分を個人売買すると、共有不動産の維持費の支払いから解放されます。
不動産を所有していると、持分割合に応じた固定資産税や修繕などの維持費用の支払いが必要です。
たとえば、固定資産税の場合、費用相場は戸建て住宅で年間約10万〜15万円なので、持分割合1/3だとすると、約3万〜5万円を毎年支払わなければなりません。
さらに、戸建て住宅であれば、10年〜15年周期で大規模修繕が必要です。
戸建て住宅で優先的に修繕が必要になるのは、外壁と屋根です。この両方の塗替えだけでも約100万円〜200万円ほどかかり、持分割合1/3で割ったとしても、年間30万円〜70万円程度かかります。
これら維持費の支払いから解放されれば、家計を圧迫している要因を取り除けるでしょう。
共有持分を個人売買する6つの手順
前述したように、共有不動産を円満に維持していくためには、共有者との良好な関係と、計画的な活用が欠かせません。
反対に、共有者との関係が良好で、なおかつ将来的に明確な活用予定がない限り、共有持分を所有し続けるメリットはないと言えます。
上記に該当しない方は、共有持分を個人売買して共有関係を解消したほうがよいでしょう。
この章では、共有持分を個人売買する以下6つの手順について解説します。
- 売買したい相手に共有持分売買を打診する
- 売買相手と交渉する
- 共有持分の買取価格を決定する
- 売買代金の支払い方法を決定する
- 共有持分の売買契約書を作成する
- 代金を支払って共有持分の移転登記を行う
売買したい相手に共有持分売買を打診する
まずは、共有持分の個人売買を進めるために、共有持分売買を提案しましょう。
売買したい相手が共有持分の買取、もしくは売却に合意しなければ、個人売買は成立しないからです。
たとえば、兄弟が共有者なのであれば、まずは兄弟に連絡を入れて共有持分売買を進めたい意向を伝えましょう。
ただし、「同じことを考えていた」といったケースでない限り、突然共有持分の売買を打診すると反感を買ってしまう恐れがあります。
次に解説する交渉を、売買したい相手に丁寧に行う必要があります。
売買相手と交渉する
共有持分売買を提案したら、売買相手に丁寧に交渉しましょう。
共有者から突然、共有持分の買取・売却の話を持ちかけられると、相手が戸惑ったり拒絶したりするケースがあるからです。
具体的には、共有持分売買を行うことで売買相手が得られるメリットを伝えて説得するのが効果的です。
たとえば、売買相手が売却する側であれば「維持費がかからなくなるので、貯蓄に回せる」などです。買取する側であれば「好きなタイミングで増改築もできるし、現金化もできる」といったメリットがあるでしょう。
売買相手が納得したら、共有持分売買の買取価格など具体的な内容に進めていきます。
共有持分の買取価格を決定する
売買相手と話し合い、共有持分の買取価格を決定させましょう。
一般的に共有持分を親族間売買するときは「不動産の時価 × 共有持分割合」を参考にして買取価格を算定します。
たとえば、時価3,000万円の不動産を2人で共有しており、売買相手が5/3・自身が5/2の持分割合であれば、自身の共有持分の価格の目安は1,200万円です。
ただし、親族間で共有持分を売買する際は、あくまで上記の価格を参考にして状況に合わせた微調整を加えたほうが、交渉の成功率は高まるでしょう。
自身が買い取りたい場合は、相場価格に上乗せしたり、売買相手に買い取ってもらいたい場合は相場価格より減額したりするといった具合です。
お互いに納得感を抱ける金額を、話し合いで詰めていきましょう。
売買代金の支払い方法を決定する
お互いに納得ができる買取価格が決まったら、支払い方法を決定させましょう。
詳しくは後述しますが、不動産の親族間売買は住宅ローンが利用できないケースがほとんどであるため、現金一括払い・分割払いの2択となります。
共有持分を買取する側が 一括払いをする資金がない場合は分割払いになります。
分割払いをする場合は、途中で支払いが停滞したときに備えて公正証書を作成しておきましょう。公正証書とは、公務員である公証人が作成する法的効力を持つ公文書のことです。
公正証書を作成しておくと、万が一支払いが滞った際に差し押さえなどの手段が行えます。
持分買取の分割払いは長期になりやすいため、売却額の未回収によって泣き寝入りにならないよう、万が一に備えて準備しておきましょう。
共有持分の売買契約書を作成する
共有持分の買取価格・支払い方法が決まったら、共有持分の売買契約書を作成しましょう。
親族間売買の場合、口約束で売買契約を進めるケースも多いですが、非常に危険です。
不動産の売買契約書は売買代金や支払い期日などの基本情報以外にも、「1年の途中で売買が成立した場合、翌年はどちらが固定資産税を支払うか?」など、細かい取り決めができるからです。
売買契約書のない共有持分売買は、価値観の相違によってトラブルが起こりやすいため、親族間であっても作成するのがベターです。
売買契約書のテンプレートは多くありますが、よく不動産会社で用いられるのは不動産適正取引推進機構のひな形です。
持分割合を売却する場合は、上記の売買契約書に「持分割合」を追記して持分のみの売買であると明記します。
後々トラブルが発生しないように、親族間売買でも売買契約書は作成しておきましょう。
共有持分の個人間売買を仲介業者に仲介してもらう方法もある
共有持分の個人間売買もできますが、仲介業者に仲介してもらう方法もあります。
親族間売買では親族と意見が合致すれば、スムーズに話し合いを進められるため、個人間で売買契約を締結するケースはよくあります。
ただし 仲介業者を介して売買契約を締結すると得られるメリットもあるので、必要に応じて依頼を検討するとよいでしょう。
具体的なメリットとしては、売買契約書締結を仲介してもらえるため、不要なトラブルを回避できる点が挙げられます。
仲介業者が間に入れば、後々トラブルになりそうな点については売買契約書に特約を設けるなどのサポートをしてもらえるため、売却後に価値観の相違などで揉める心配がありません。
一方で、デメリットは仲介手数料が発生することです。
仲介手数料とは、買主との不動産売買を仲介してもらう業者に対して支払う手数料です。
手数料はかかりますが、手元に共有持分を買取するまとまった資金がなく、トラブルを避けたい方には、おすすめの手法と言えます。
代金を支払って共有持分の移転登記を行う
共有持分の売買契約書の作成が完了したら、共有不動産の住所地を管轄する法務局へ向かい、持分移転登記を行います。
持分移転登記とは、共有持分の名義変更する際に登記する手続きです。
所有する持分割合を他の共有者に売却すると、持分の所有権が購入した共有者へ移転するため手続きをする必要があります。
持分移転登記が終われば、共有持分の個人売買の手順は完了します。
なお、持分移転登記をしなくても特別な罰則はありませんが、持分を売却した後も固定資産税の納税通知書が前の所有者に届く可能性が高いです。
後々トラブルを起こさないためにも、個人売買が成立したら早期に持分移転登記を済ませておきましょう。
持分移転登記は自分でも申請できますが、手続きが煩雑であるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
共有持分移転登記の費用に関してはこちらの記事で説明しています。参考にしてください。
共有持分の個人売買にありがちな7つのトラブル
前述のように、共有者である親族に持分売買を打診して、契約内容に合意が得られれば、持分移転登記をもって個人売買が完結します。
しかし、上述の共有持分を個人売買する6つの手順は、あくまで「スムーズに話し合いや手続きが進めば」の話です。
共有持分の個人売買は親族間だからこそトラブルが起こりやすいので要注意です。
この章では、共有持分の個人売買にありがちな、以下7つのトラブルについて解説します。
- 共有持分の売買に応じてくれない
- 親族との関係が悪化する
- 売買金額の設定で揉める
- 売買契約書に不備が発生する
- 資金調達できない
- 売買代金が支払われない
- 持分移転登記されずに放置される
共有持分の売買に応じてくれない
共有持分の個人売買にありがちなトラブルの1つ目は「共有持分の売買に応じない」です。
当然ですが、共有持分の個人売買においては、お互いが持分の売買に合意していなければ成立しません。
購入者が自由に活用できない共有持分は不動産市場では需要が低く、「売れない」もしくは「売れても安価になる」のどちらかで取引される傾向にあるため、共有者が合意しないのは絶望的な展開です。
共有持分の親族間売買はそもそも、共有者の合意がなければ実現できない点は留意しましょう。
親族との関係が悪化する
共有持分の個人売買にありがちなトラブルの2つ目は「親族との関係が悪化する」です。
親族間で共有持分の売買をしようとするとお互いの希望が合わずに険悪となり、今後の親族関係が悪化してしまう恐れがあります。
また、不動産の時価の算出方法はさまざまな方法があり、お互いに共有持分の買取価格に納得しないまま売却が先送りになるケースもあります。
親族との今後の付き合いに支障が出る可能性がある点は、留意しましょう。
売買金額の設定で揉める
共有持分の個人売買にありがちなトラブルの3つ目は「売買金額の設定で揉める」です。
親族間売買では共有持分の売買を進めるときに「価格をいくらにするのか」がネックになりやすいからです。親族だからといって価格設定が安すぎたり、高すぎたりするとトラブルが生じやすくなります。
売買金額の設定は揉めやすい代表格であり、その価格にした理由を丁寧に伝えなければトラブルを招くので注意が必要です。
売買契約書に不備が発生する
共有持分の個人売買にありがちなトラブルの4つ目は「売買契約書に不備が発生する」です。
売買契約書はテンプレートを元に、ケースに応じた内容を反映する必要があります。
共有持分の場合、今まで持分割合に応じて維持・管理費を負担し合っていたので、「1年の途中で売買したら支払いはどうなるか」などの記載が欠かせません。
個人売買で売買契約書を作成すると、記載する内容が不十分になりやすく、「言った・言わない」や「価値観の相違」によるトラブルが起こりやすい傾向にあります。
資金調達できない
共有持分の個人売買にありがちなトラブルの5つ目は「資金調達できない」です。
前述したように、不動産会社を介さない個人間売買は金融機関がローン審査に通してくれません。親族で結託してお金を引き出し、別の目的に使われる危険性が高いからです。
仲介業者を介さずに、当事者間のみで売買取引をするのであれば「ローンは利用できない」と考えたほうがよいでしょう。
売買代金が支払われない
共有持分の個人売買にありがちなトラブルの6つ目は「売買代金が支払われない」です。
個人間で共有持分を売却した場合、相手が約束通りお金を支払わない可能性があります。とくに、ローンを利用せず分割払いにした場合、途中で支払いが滞るリスクは高いでしょう。
公正証書化しておくと、支払いの滞納があった際に相手の預貯金などを差し押さえて残金を回収できます。
ただし、差し押さえられる財産がまったくなければ、公正証書を作成しても回収できない点は留意しましょう。
持分移転登記されずに放置される
共有持分の個人売買にありがちなトラブルの7つ目は「持分移転登記されずに放置される」です。
一般的に、持分移転登記をするタイミングは売買契約を締結してから1ヶ月以内ですが、期限を過ぎても罰則はありません。そのため、売買相手である共有者がいつまでも登記されず放置される可能性があります。
しかし、不動産の所有権は登記をしなければ第三者に権利を主張できないので、共有持分の買主は以下のようなリスクを抱えることになります。
- 第三者へ二重譲渡される
- 共有持分を売却できない
- 共有持分を担保にした融資が受けられない
不動産会社を介した取引であれば、当たり前に持分移転登記まで行われますが、親族間売買だと何年も登記されず放置されるケースがあるので注意が必要です。
共有持分の売却時にかかる4つの費用
ここまで、共有持分を個人売買する手順と、起こり得るトラブルについて解説しました。
不動産を売却する際には税金などの諸経費がかかりますが、共有持分も同様に必要です。
共有持分の売却時にかかる費用は、以下の4つです。
- 登記費用
- 印紙税
- 仲介手数料
- 譲渡所得税
どのような費用なのか詳しく見ていきましょう。
なお、共有持分を所有・取得・譲渡した場合の税金については、以下の記事でも詳しく解説しています。
登記費用
共有持分を親族間売買すると持分移転登記を行うため、登記費用(登録免許税)が必要です。
持分移転登記は「固定資産税評価額 × 税率」で計算し、乗じる税率は以下のように定められています。
持分移転の内容 | 税率 |
---|---|
売買の売買 | 1,000分の15(令和8年3月31日までの登記) |
建物の売買 | 1000分の20 |
たとえば、持分割合が1/2・固定資産税評価額が土地1,000万円・建物500万円だった場合、以下の計算式になります。
固定資産税評価額 × 税率より、
土地の登記費用 = 1,000万円 × 1/2 × 0.015=7万5,000円
建物の登記費用 = 500万円 × 1/2 × 0.020 = 5万円
合計で、持分移転登記にかかる登録免許税は13万5,000円となりました。
くわえて、持分移転登記は手続きが煩雑であるため、多くは司法書士に依頼します。司法書士報酬は1件あたり3万〜5万円程度かかります。
持分移転登記の費用は、一般的には買主負担であることが多いです。
印紙税
印紙税とは、契約などの取引に伴って文書を作成した場合にかかる税金です。
国が発行する証票である「収入印紙」を印紙税が課せられる書類に貼って納税します。
不動産売買における売買契約書も印紙税が課せられる文書に含まれており、以下の印紙税がかかります。
引用元:国税庁「印紙税額」
たとえば、持分の売却額が1,000万円であれば、印紙税は1万円です。印紙税法第3条では印紙税の納税義務者は、課税文書の作成者と定められています。
したがって、共有持分の売買契約書を売主が作成したのであれば売主負担、共同での作成であれば、売主・買主の両方が支払います。
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産の売買が成立した際に仲介業者に支払う手数料です。
仲介業者によって仲介手数料の金額は多少異なりますが、多くは宅建業法第46条で定められている、以下の上限額を採用します。
売買代金 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下の金額 | 5% + 消費税 |
200万円以上400万円以下の金額 | 4% + 2万円 + 消費税 |
400万円以上の金額 | 3% + 6万円 + 消費税 |
参照元:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
たとえば、共有持分の売却額が1,000万円であれば、39万6,000円が仲介手数料となります。
仲介手数料は、売買契約が成立したタイミングで売主・買主の両方が仲介業者へ現金払いをするので、お互いにキャッシュの用意が必要です。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、持分を売ったときの売却益に対して支払う税金で、計算式は以下のとおりです。
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
譲渡所得税の税率に含まれる税金は、所得税・住民税・復興特別所得税の3つがあり、それぞれ持分の所有期間に応じた税額が課せられます。
譲渡所得税の税率は以下のとおりです。
譲渡所得の区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得( 5年以内) | 30.63% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得( 5年以上) | 15.315% | 5% | 0.315% | 20.315% |
上記のように、持分の所有期間が5年を超えたかどうかで税率は倍近く変わります。
所有期間の起算日は、相続であれば「被相続人が取得した日」となるので、相続物件の多くは長期譲渡所得に該当するでしょう。
たとえば、長期譲渡所得で持分を売却した際の利益が1,000万円であれば、「1,000万円 × 20.315%」なので、203万1,500万円が譲渡所得税となります。
譲渡所得は、持分を売却した翌年の確定申告後に納付します。
共有名義の不動産を売却した際の確定申告の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
共有持分の個人売買以外で共有関係を解消する3つの方法
これまで挙げてきたように、共有不動産の個人売買はトラブルに発展しやすく、多額の費用もかかります。
しかし、共有状態を解消する方法は、親族間売買でなくても可能です。
ここでは、個人売買以外で共有関係を解消する以下3つの方法についてお伝えします。
- 共有不動産を売却する
- 共有で所有している土地を分筆する
- 共有持分を買取業者に買い取ってもらう
先に結論をお伝えすると、共有持分を専門の買取業者に買い取ってもらう方法が一番手っ取り早いです。
専門の買取業者への売却がおすすめな理由を、それぞれの方法を解説しながらお伝えします。
共有名義の解消については以下の記事でも説明しています。ぜひ参考にしてください。
共有不動産を売却する
共有者全員の合意を得て、共有不動産全体を売却する方法です。
共有持分だけでは市場で売れませんが、共有不動産全体であれば、通常の不動産と同様に相場価格で売り出せます。
また、個人売買のように、持分買取に伴った経済的な負担も発生しないため、比較的いつのタイミングでも実行しやすいでしょう。
ただし、共有不動産全体の売却は、共有者全員の同意が必要です。
たとえば、共有者が10人いたとして、たった1人でも反対する人がいると売却できないので留意しましょう。
また、売却額はもちろんのこと、前述した仲介手数料などの諸経費も持分に応じて全員で負担するため、トラブルは余計に発生しやすくなります。
共有不動産全体を売却する方法は、共有者も売却を検討していて、なおかつ関係性が良好である場合におすすめの方法です。
共有で所有している土地を分筆する
共有で所有している不動産が土地であれば、分筆する手段もあります。
分筆とは、1つの土地を複数に分けて登記することです。
分筆して土地が単独名義になれば、共有状態を解消できるだけできる上に、売却以外にも活用のバリエーションが生まれます。
ただし、共有している土地を分筆するのも、共有者全員の同意が必要です。
また、分筆によって資産価値が落ちる可能性も生じます。土地の価値を決める要素はさまざまであり、中でも代表的なのは「土地の形状」です。
分筆によって土地の形状が整った形でなくなったり、道路と接道しなくなったりすると、土地の資産価値が下落するので、将来的な売却額に大きく影響します。
同じ持分割合の共有者であっても「分筆したどちら側の土地を所有するか」で、片方が損をする形になりやすいので、トラブルが生じる可能性は非常に高いです。
共有者との関係が良好でなかったり、売却額にこだわりがあったりする場合には避けたほうがよい方法と言えます。
共有名義の土地を分筆するメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
土地の形状によっては分筆は適さない方法であるため、トラブルを避けたい方は、次に解説する専門の買取業者への売却を検討しましょう。
共有持分を買取業者に買い取ってもらう
共有状態を解消する方法として、もっとも有効策なのは専門の買取業者に直接売却することです。
持分の取り扱いがある専門の買取業者に依頼すれば、共有者と顔を合わせて話し合いをする必要もなく、そのままの状態で共有持分を売却できます。
専門の買取業者は持分の活用ノウハウを豊富に持っているため、土地の形状や権利関係など、持分の個性に合わせた再生を施せるからです。
そのため、一般の市場で需要がないとされる共有持分も問題なく買い取り、必要に応じて業者側が共有者にとのやり取りを行うので、売主がトラブルに巻き込まれる心配がありません。
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まとめ
本記事では、共有持分を個人売買する手順や、今後起こり得るリスクについて解説しました。
共有持分の個人売買は不動産会社を介さなくてもできますが、売主・買主の関係が親族間だからこそトラブルに発展しやすい傾向にあります。
親族間売買をきっかけに、関係が悪化したり、売買代金が未払いになったりするリスクがあるため、共有持分の個人売買は慎重に話を進める必要があります。
もし、「親族間でトラブルを起こしたくない」という場合は、専門の買取業者への売却を検討してください。専門の買取業者であれば、市場で売れにくい共有持分も、そのままの状態で問題なく買い取れます。
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