不動産が共有名義になる2つのケース
不動産が共有名義になるのは、主に以下2つのケースが考えられます。
複数人で資金を出し合って不動産を購入する
夫婦、もしくは親子で資金を出し合って不動産を購入するときには、夫婦、親子での共有名義となります。
この場合は、それぞれの出資金額に応じて持分割合を設定します。
ひとつの不動産を複数人で所有している場合に、それぞれが持っている所有権の割合のこと。
たとえば6,000万円の不動産を購入するにあたり、夫が5,000万円、妻が1,000万円を負担するときには、夫が6分の5、妻が6分の1の割合で共有持分を取得します。
なお、以下の記事では不動産の購入にあたって、共有名義とローンは夫のみのどちらがお得なのかについて詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

複数人で不動産を相続する
相続の発生時に相続人が複数いると、公平な遺産分割をする目的で不動産を共有名義にすることがあります。
たとえば兄弟2人で実家を相続するときには、それぞれ2分の1の割合で共有持分を取得します。
【ケース別】不動産を共有名義にして後悔する8つの理由
不動産を共有名義にすることで後悔してしまう主な理由として、以下8つが挙げられます。
なお、共有名義不動産のメリット・デメリットは以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

【購入時】住宅ローン諸費用が共有者の人数分かかる
夫婦や親子共有名義で住宅ローンを組んで不動産を購入する際には、名義人の数だけ事務手数料や登記手数料がかかります。
共有名義で住宅ローンを組むと借入額を増やせて購入できる不動産の選択の幅が広がりますが、一方で金銭的な負担が増えてしまうことは覚悟しなければなりません。
【購入時】持分割合の設定を誤って贈与税が発生する
前述のように、共有名義にするときには各共有者の出資金額に応じて持分割合を設定する必要があります。
この持分割合の設定を誤ると、贈与税が課せられる可能性がある点に注意が必要です。
たとえば夫が2,000万円、妻が1,000万円を負担して3,000万円の不動産を購入し、それぞれの持分割合を2分の1ずつに設定したとします。
しかし上記のケースでは、本来夫が3分の2、妻が3分の1になるように持分割合を設定しなければなりません。
したがって妻が夫から「500万円」を贈与したと見なされるため、妻に対して贈与税が課されてしまうのです。
なお、不動産を共有名義にしたときに贈与税がかかるケースは以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご参照ください。

【所有時】自由に不動産を活用できない
不動産を共有名義にして後悔しがちなポイントとして、各共有者が自由に活用できない点が挙げられます。
共有名義の不動産に対して各共有者ができる行為は、民法によって以下のように定められています。
たとえば不動産をリフォームしたいと考えても、共有者の持分割合の過半数以上の同意がなければ実行できません。
また、共有名義不動産を売却するには、共有者全員の同意が必須です。
このように、不動産の活用方法が大きく制限されてしまうことから、共有名義にして後悔してしまう方は少なくありません。
なお、民法で規定されている不動産の共有に関する行為については、以下の記事で詳しく解説しています。

【所有時】固定資産税や維持管理費の支払いでもめる
固定資産税や維持管理費の負担を巡ってトラブルが起こりやすい点も、不動産を共有名義にして後悔する理由のひとつです。
共有名義不動産にかかる税金や維持管理費は、共有者の代表者がいったん全額を立て替えたのちに、ほかの共有者へ持分割合に応じた金額を請求する形が一般的です。
しかし、「自分は住んでいない」などの理由で税金や維持管理費の支払いを拒否する共有者がいると、トラブルに発展しかねない点に注意が必要です。
共有名義不動産にかかる固定資産税の納付義務が誰にあるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

【所有時】共有不動産を占有する共有者を追い出せない
共有者のひとりが共有不動産を独占して使っていても、追い出すことはできない点も後悔につながる理由として挙げられます。
各共有者には、持分割合にかかわらずに共有不動産を使用できる権利があります。
そのため、特定の共有者が共有不動産を占拠していたとしても、原則として退去を求めることはできないのです。
共有名義不動産を使用する対価として家賃を請求することは可能ですが、素直に支払いに応じてもらえないときには裁判で決着をつける必要があり、手間や費用がかかる点がデメリットです。
共有不動産を占有する共有者を追い出す方法について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

【所有時】共有者と連絡が取れない
前述のように、共有不動産に対して各共有者ができることは民法で定められています。
そのため、共有者が「海外にいる」「行方不明になっている」などの理由で連絡が取れないと、不動産の管理や活用で難しくなってしまう点も後悔につながる要素です。
民法の改正により、共有者が行方不明のときには裁判所に申し立てることで売却などの行為ができるようになりましたが、時間や費用がかかる点はデメリットといわざるを得ません。
【離婚時】財産分与でもめる恐れがある
夫婦共有名義で住宅ローンを組んで不動産を購入したときには、離婚時の財産分与でトラブルとなる恐れがあります。
たとえば、夫が売却を希望しても、妻が住み続けることを要求したら売却はできません。
また、離婚後に妻と子が家に住み続け、夫が出て行くケースにおいて、もし夫が住宅ローンの返済を滞納したら、不動産全体が競売にかけられて家を失ってしまう可能性もあります。
なお、離婚に伴う共有名義不動産の最適な対処法については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

【相続時】子どもや孫がトラブルに巻き込まれる可能性がある
ここまで解説してきたように、共有名義不動産にはさまざまなデメリットがあります。
もしあなたの代で解決せずに子どもや孫が共有名義不動産を相続すると、将来的にトラブルに巻き込まれる恐れがある点に注意が必要です。
子どもや孫に迷惑をかけたくないのなら、次の章で解説する対処法によってあなたの代のうちに不動産の共有状態を解消したほうがよいでしょう。
共有名義の後悔を未然に防ぐためにできる4つの対処法
共有名義不動産における後悔を未然に防ぎたいのなら、以下4つの対処法のうち、自分に適した方法で共有状態の解消に取り組むことをおすすめします。
単独名義で不動産を取得する
初めから単独名義で不動産を取得すれば、共有名義にまつわるトラブルに見舞われる心配はありません。
そのため、これからマイホームの取得を考えているのなら、夫あるいは妻単独の収入で購入可能な物件を探すようにしましょう。
また、実家を相続するときには、「実家の売却金額を公平に分ける」か「実家を特定の相続人の単独名義にする」かを相続人間でしっかりと話し合うことが大切です。
共有名義不動産の扱い方に関するルールを定める
もし共有名義で不動産を取得するのなら、共有不動産の管理方法や費用の負担などに関する細かいルールを作成し、共有者間で合意を交わしておくことが重要です。
たとえば、共有者のひとりが共有不動産に住むときには、他の共有者に対して毎月いくらの家賃を支払うかを決めておくと、のちにトラブルが起こることを防げます。
また共有不動産にかかる税金や維持管理費についても、誰がいくら払うのかをしっかりと決めておくことで、金銭面のトラブルも未然に回避できるでしょう。
共有名義不動産を分筆する
共有名義不動産におけるトラブルを防ぎたいのなら、分筆して各共有者の単独名義にする方法があります。
分筆とは、ひとつの土地を複数の区画に分ける行為です。
たとえば兄弟で共有している200㎡の土地を100㎡と100㎡の土地に分筆し、それぞれを兄と弟の単独名義にすると、共有状態を解消できます。
ただし、共有名義の土地に建物が建っているときにはどう分けるかを巡ってトラブルが起こる可能性があるため、注意が必要です。
共有名義不動産を売却する
他の共有者と協力して共有名義不動産を売却すれば共有状態を解消でき、さまざまなトラブルから解放されます。
ただし、共有者のうちひとりでも反対者がいれば、共有名義不動産を売却することはできません。
他の共有者が共有名義不動産の売却に反対しているのなら、「自分の共有持分を放棄する」「自分の共有持分のみを売却する」方法で共有状態を解消するとよいでしょう。
なお、以下の記事では共有名義の土地の売却方法について解説しています。
併せて参考にしてください。

共有名義で相続した後悔を解消する3つの対処法
もしすでに共有名義で不動産を相続した場合は、以下3つの対処法のいずれかを選択すると共有状態を解消できてトラブルによる後悔を防げます。
共有物分割請求をする
他の共有者に対して共有物の分割を請求して共有状態を解消する方法もあります。
共有物分割請求は、民法第256条で認められている各共有者の権利です。
共有者のひとりから共有物の分割を請求されたら、他の共有者は共有状態の解消へ向けて話し合いを行わなければなりません。
具体的には、「共有不動産を売却し、売却金額を共有者で分ける」「共有不動産をひとりの共有者の単独名義にし、その共有者が他の共有者に対して代償金を支払う」などです。
ただし、共有物分割請求が成立するまでに半年~1年以上の期間がかかってしまうデメリットがあります。
また、共有者間での協議がまとまらないときには裁判にまで発展してしまい、共有者間の関係が悪化したり、高額な弁護士費用がかかったりなどのリスクがある点にも注意が必要です。
共有物分割請求訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。

自分の共有持分を放棄する
共有名義不動産を所有する後悔から解放されたいなら、自分の共有持分を放棄するのはひとつの手です。
もしあなたが自身の共有持分を放棄すると、その権利は他の共有者が取得することになります。
共有持分の放棄は各共有者が単独でできる行為であり、他の共有者の同意も必要ありません。
ただし、放棄した共有持分の権利の移動に際して必要となる登記手続きは、他の共有者と協力して行う必要があります。
他の共有者が登記手続きに協力してくれないと、共有持分の放棄はできない点に注意が必要です。
なお、共有持分を放棄する手続きは以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

自分の共有持分のみを売却する
共有名義不動産に関するトラブルからできる限り早く解放されたいときには、自分の共有持分の売却を検討しましょう。
共有名義不動産は共有者全員の同意がなければ売却できませんが、自身の共有持分のみなら単独の意思で売却が可能です。
そのため、他の共有者との関係性が悪化しているときでも、速やかに共有状態を解消できます。
ただし、購入しても不動産全体を自由に活用できない共有持分は個人の買い手からの需要がないため、一般的な不動産業者に売却を依頼しても取り扱ってはもらえません。
そのため、自分の共有持分を売却して共有状態から抜け出したいのなら、共有持分を専門に取り扱っている買取業者に相談することをおすすめします。
共有持分専門の買取業者には共有不動産の権利関係を整理してから活用する独自のノウハウがあるため、売却の難しい共有持分でも問題なく買い取ってもらうことが可能です。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の共有持分を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
以下のように、実際に弊社をご利用いただいたお客様からも高評価をいただいております。
信頼できる買取業者に安心して共有持分を売却し、共有関係から解放されたい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(売却前提の問い合わせでなくても構いません)。
なお、共有持分の売却方法は以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

【ケース別】不動産を共有名義にする5つのメリット
不動産を共有名義にすることには以下のようなメリットがあるため、共有名義での不動産の取得を検討している方もいるでしょう。
ただしここまで解説してきたように、不動産を共有名義にすると後悔してしまう恐れがあります。
そのため、不動産を共有名義にするかどうかは、慎重に検討することをおすすめします。
【相続時】公平に遺産分割できる
公平に遺産分割できる点は、相続する不動産を共有名義にするメリットです。
各相続人には、民法で遺産の取り分が定められています(法定相続分)。
この法定相続分に基づいて不動産を共有名義にして相続すれば、各相続人も納得しやすく相続時のトラブルを防げます。
【相続時】相続税の節税効果が期待できる
共有名義の不動産を相続するときには、単独名義よりも相続税を抑えられる可能性があります。
たとえば不動産が親の単独名義の場合、親が亡くなると遺産である不動産の評価額がそのまま相続税の課税対象となります。
しかし、親子共有名義で不動産を取得して親が亡くなった場合は親の共有持分のみが課税対象となるため、結果的に相続税の軽減につながる点がメリットです。
【購入時】高額な住宅ローンを組みやすい
共有名義にすると、単独名義のときよりも住宅ローンの借入額を増やせるメリットもあります。
単独名義では希望するマイホームの取得が難しいときには、夫婦や親子共有名義での購入を検討するのは選択肢のひとつです。
【購入時】共有者ごとに住宅ローン控除を受けられる
共有名義で住宅ローンを組むと、各共有者が住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けられる点もメリットです。
住宅ローン控除とは、年末時点における残債の0.7%を最大で13年間、所得税から控除できる制度です。
そのため、共有名義の住宅ローンを組んでマイホームを購入すると、より大きな節税効果が期待できます。
【売却時】共有者ごとに「マイホームを売ったときの特例」を受けられる
共有名義不動産を売却するときには、各共有者が「マイホームを売ったときの特例」を受けられる点もメリットです。
マイホームを売ったときの特例とは、マイホーム売却時に発生した利益(譲渡所得)から3,000万円を控除できる制度です。
マイホームを売却して利益が発生したときには譲渡所得税を納める必要がありますが、マイホームを売ったときの特例を活用すると、税金を支払わずに済む可能性が高まります。
まとめ
不動産を共有名義にして後悔する理由には「自由に不動産を活用できない」「税金や維持管理費の支払いでもめる」「共有不動産を占有する共有者を追い出せない」などがあります。
「高額な住宅ローンを組める」「公平に遺産分割できる」など不動産を共有名義にするメリットはたしかにありますが、それ以上にデメリットのほうが大きいのが事実です。
そのため、共有名義で不動産を取得するか迷ったときには、メリットだけでなくデメリットも踏まえたうえで慎重に検討することが大切です。
すでに不動産が共有名義であり、共有者とのトラブルを未然に回避したいのなら、自分の共有持分のみを売却することをおすすめします。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、共有持分の買取実績が豊富な専門の買取業者です。
過去には、一般の買い手が見つかりにくい訳あり物件専門の買取業者として、フジテレビの「newsイット!」に紹介された実績もあります。
一般の不動産業者では取り扱わない共有持分でも、弊社にご依頼いただければスピーディーに、かつできる限り高い価格で買取が可能です。
共有持分を売却して共有者とのトラブルから解放されたい方は、お気軽にご相談ください。