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自己破産すると共有名義の不動産はどうなる?わかりやすく解説

自己破産すると共有名義の不動産はどうなる?わかりやすく解説 共有持分
元弁護士福谷陽子
元弁護士福谷陽子
京都大学在学中に司法試験に合格し、不動産トラブル、多重債務、離婚問題や交通事故、相続などの案件を担当し、自身で弁護士事務所を運営。その後体調不良により弁護士事務所を一時閉鎖し、現在は10年間の弁護士経験を元に執筆に専念。

土地や建物、マンションなどの「家」が共同名義になっている状態で自己破産すると、家はどうなってしまうのでしょうか?

基本的には共有不動産も「換価」の対象になるので、家は失われてしまいます。
そうなると、共有者にも大きな迷惑をかけてしまうでしょう。

今回は共同名義の家がある場合に自己破産したらどうなるのか、適切な対処方法を合わせてお伝えいたします。

夫や妻と家が共同名義になっている方はぜひ、参考にしてみてください。

共有者の自己破産

自己破産とは

自己破産は、負債がかさんで自力返済が不可能となったときに裁判所に申し立てて財産を精算する手続きです。

破産手続きが済むと、裁判所で「免責」の判断がおこなわれ、「免責決定」がおりればほとんどすべての負債を免除してもらえます。

・消費者金融
・ クレジットカード
・銀行カードローン
・住宅ローン
・奨学金
・連帯保証債務
・携帯電話代
・未払い家賃

ただし破産者が所有している「一定以上の財産」は換価されて債権者へ配当されるため、失われます。

自己破産のメリット

自己破産をすると以下のようなメリットがあります。

借金がゼロの状態に

借金をはじめとしたほとんどの負債がなくなります。

自己破産には借金の限度額もありません。

免責さえ受けられれば一切の返済が不要となるので、借金のない生活を取り戻せます。

取り立てや強制執行を止められる

借金を滞納すると、給料などを差し押さえられてしまうケースが少なくありません。

そんなときでも自己破産の開始決定がおりれば、強制執行を止めたり失効させたりできます。

また自己破産を弁護士や司法書士に依頼すると、その時点で債権者からの取り立てが止まり、電話もかからなくなって督促の郵便も来なくなります。

借金に追われる生活から解放されると経済面だけではなく精神面でも大きなメリットとなるでしょう。

自己破産のメリット

自己破産のデメリット

一方自己破産には以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。

一定以上の資産が無くなる

自己破産をすると、借金を免除してもらえる代わりに一定以上の価値のある財産がすべて失われます。

預貯金であれば99万円を超える部分、預貯金や保険、車などの場合には20万円を超えると失われると考えましょう。

家などの不動産をもったまま破産することはほとんど不可能といえます。

自己破産のデメリット

ローンやクレジットカードを利用できない

自己破産をすると「個人信用情報」に事故情報が登録されるので、ローンやクレジットの審査に通らなくなります。

住宅ローンや車のローンなど利用できなくなりますし、クレジットカードの発行もできません。

自己破産後に事故情報が登録される期間はおよそ5~10年程度なので、その期間は多少不便な生活を我慢する必要があります。

職業の制限

自己破産の手続き中は、一定の職業や資格が制限されます。
対象になるのは、以下のような業種です。

・ 弁護士、司法書士、税理士などの士業
・警備員
・ 生命保険外交員
・調理師
・ 宅建業者
・貸金業
・旅行業者
・公証人
・成年後見人

こういった仕事をされている方は、一時的に仕事ができなくなる可能性があります。

制限される期間は「破産手続き開始決定後、免責決定が確定するまで」の間。

同時廃止なら2~3ヶ月間、管財事件なら半年程度と考えましょう。

自己破産後の制限

共有名義の自己破産

もしも家が夫や妻との共同名義になっているときに片方が自己破産すると、家はどうなってしまうのでしょうか?

他の共有者には影響しない

共同名義の家があるときに自己破産すると「共同名義人に迷惑をかけるのでは?」と心配になるかもしれません。

家などの不動産が共同名義になっている状態を「共有」といいます。

それぞれの共同名義人(共有持分権者)には、独自の「共有持分(不動産に対する割合的な権利)」が認められます。

そして共有持分は、それぞれの共有持分権者の個別の財産です。

家が共有状態のときに共有持分権者の1人が自己破産しても、他の共有持分権者には影響しません。

自分が自己破産したからといって夫や妻などの他の共有持分権者の持分まで没収されることはないので、この点については安心してください。

自己破産者の持分は失われる

ただし自己破産すると、破産者本人の共有持分は破産手続きによって失われます。

以下で具体的に何が起こるのか、みてみましょう。

破産管財人による任意売却

不動産を所有している人が自己破産を申し立てると「管財事件」となって「破産管財人」が選任されます。

破産管財人とは、破産者の財産を預かって現金化したり債権者へ配当したりする人です。

破産者が不動産を共有している場合、破産管財人はまず共有持分の任意売却を進めます。

金融機関などの許可をとり、共有持分を適正価格で買い取ってくれる人を探すのです。

他の共有持分権者へ買取を持ちかけたり、共同売却を進めようとしたりするケースもよくあります。

競売

共有不動産に「抵当権」が設定されている場合には、抵当権者である金融機関が競売を申し立てます。

ただ共有持分にしか抵当権が設定されていない場合、不動産全体を競売にかけることができません。

共有持分のみを得たい人は少ないので、競売にかけても共有持分が売れるとは限りません。

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共有物分割請求

共有持分の任意売却が困難な場合、破産管財人は「共有物分割請求」という手続きを行う可能性があります。

共有物分割請求とは、土地を分筆してそれぞれの共有者が一筆の土地を取得したり、不動産全体を売却して現金で分けたりするための手続きです。

他の共有持分権者が買取を希望するなら、適正価格を算定して共有持分を売却します。

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見ず知らずの人との共有状態

このように、共有持分権者が自己破産をすると、基本的には「破産者の共有持分のみ」の売却が進められます。

任意売却でも競売でも、買い受け人が見つかったら共有持分は買い受け人のものとなります。

その結果、他の共有持分権者は「見ず知らずの第三者と不動産を共有」する状態になってしまうので注意してください。

見ず知らずの人との共有状態

たとえば夫婦で家を共有しているときに夫が自己破産すると、夫名義の部分が知らない不動産会社の所有物となり、妻は知らない不動産会社と家を共有し続けなければなりません。

たとえ妻の名義が失われないとしても、大きな迷惑や不安を与えてしまうでしょう。

自由に管理処分できなくなる

破産者の共有持分のみが第三者のものになると、その後の共有物の管理方法が複雑になります。

共有者が夫婦であれば、2人で話し合って家の管理方法や処分方法などを決定できるでしょう。

しかし第三者が共有者になれば、その第三者と話し合って家の管理処分方法を決定しなければなりません。
家の修繕をしたり売却したりするときに、他の共有者の承諾が必要となるのです。

自分の家なのに、自分たちだけでは意思決定できないのは不便な状態となるでしょう。

具体例

Aさん(40歳男性)は妻と家を共同名義にしていました。

家は妻と共同名義になっています。
Aさんは借金をするときに債権者に求められ、自分の持分に抵当権を設定していました。

Aさんが借金に困って自己破産を申し立てると、債権者はAさんの共有持分を競売にかけてしまいました。

その結果、Aさんの共有持分はB不動産のものに。

B不動産はAさんの妻に対し、共有持分を高額で買い取るよう要求してきたので、妻は困っています。
断ると不動産会社は妻へ「持分買取」を求めてきました。

買取価格が高かったので夫婦で相談して断ったところ、不動産会社と妻の共有関係が継続することになりました。

その後Aさん夫婦は家を便利にリフォームしたいと考えたのですが、不動産会社が納得しないので実現できませんでした。

このように、家の共有名義人が自己破産すると自分たちの家であるにもかかわらず自由に使えない上、他の共有者にも多大な迷惑をかけてしまいます。

「事前の任意売却」が有効

家が共同名義になっているときに自己破産するなら、事前に家を「任意売却」するようお勧めします。

「事前の任意売却」が有効

任意売却とは

任意売却とは、債務者が金融機関と協議をして自主的に不動産を売却する方法です。

ローンが残っている場合、名義人であっても勝手に家を売却できません。

ただし金融機関から許可をとれば、自分で不動産会社に依頼して家の売却を進められます。

それが任意売却です。

任意売却によって得られた売却金は、残ローンの返済に充てられます。

それでも残ったローンは分割払いによって返済していけるケースが多数です。

任意売却のメリット

自己破産前に任意売却すると、以下のようなメリットがあります。

同時廃止にできる可能性が高い

自己破産には同時廃止と管財事件の2種類の手続きがあります。

一定以上の財産があると管財事件が選択され、高額な管財予納金を支払わねばなりません。

自己破産前に任意売却をすると、大きな財産としての「家」がなくなります。

その他に目立った財産がなければ簡単な同時廃止になるので、管財予納金は不要に。

同時廃止では破産管財人も選任されず、手続きがとても簡単です。

破産手続きが同時廃止になる可能性が高まることは、大きなメリットとなるでしょう。

同時廃止とは

他者への迷惑を最小限にできる

共有状態のまま自己破産すると共有持分権者は破産手続きに巻き込まれます。

破産管財人から買取要請を受けることもありますし、共有持分が第三者名義になったら知らない不動産会社と家を共有することになって大きなストレスを感じるでしょう。

事前に任意売却してスッキリしておけば、こういった問題は発生しません。

家が共有名義になって管理や処分が不便になる心配も不要です。

所有者の意向に沿った売却が可能

自分たちの家を手放さねばならないとしても「裁判所によって強制売却されるのは嫌だ」と感じる方が多いでしょう。

任意売却であれば、自分たちで不動産会社を選定して自分たちで売り出し、買い主と交渉して売却方法を決められます。

自主的に売却を進められることもメリットの1つといえるでしょう。

自己破産を避けられる可能性がある

破産手続きが開始すると、共有持分のみの売却が原則となります。

通常、共有持分のみの取得を希望する人は少なく、需要が小さいためどうしても売却価額が少額になるものです。

これに対し、共有名義人と協力して不動産全体を売却する場合には、通常の市場価格で売れるので破産手続き開始後よりも高額で売れるでしょう。

残ローンや他の借金を完済できたら自己破産を避けられる可能性もあります。

周囲に知られず売却できる

自己破産をして共有持分が競売にかかってしまったら、競売情報が全国に公開されてしまいます。

そうなったら、誰にみられるかわかりません。

不動産会社が様子を見に来たりして、近所の人に不審に思われる可能性もあります。

任意売却であれば通常とおりに不動産全体を売却するだけなので、不審に思われる可能性はありません。

任意売却のメリット

任意売却の注意点

自己破産前に不動産全体を任意売却するには、共有名義人全員の合意が必要です。
夫や妻などと共有している場合には、事情を話して売却に納得してもらわねばなりません。

借金を秘密にしている場合などには言い出しにくいこともあるでしょうし、相手が「家を売りたくない」と主張するかもしれません。

その場合、破産になったらどのようなリスクがあるのかを説明して、説得しましょう。

任意売却は専門の不動産会社を利用しよう

自己破産前に共同名義の家を売却するときには、任意売却に長けた不動産会社を剪定することが重要です。

すべての不動産会社が任意売却に対応しているわけではありません。

特に破産を考えている場合、その後の破産手続きとの関係にも配慮しながら売却手続きを進める必要もあるでしょう。

任意売却を得意とする不動産会社であれば、査定から買取までスムーズに進められるものです。

まずは任意売却や共有不動産などの特殊案件に詳しい不動産会社を探してみて下さい。

任意売却は専門不動産へ

まとめ

当社は共有不動産の扱いや処分に力を入れており、これまで多種多様な物件を取り扱って参りました。

共同名義の家の任意売却にも対応しております。

今後の破産を見据えたアドバイスとサポートをさせていただきますので、共有不動産の売却処分をお考えであれば、ぜひとも一度ご相談ください。

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