再建築不可物件のアパートで賃貸経営を行う3つのメリット
再建築不可物件とは、現在建っている建物が壊れても建て替えができない不動産を指します。
建物を建てる際には、建築基準法第42条・第43条で定められた「接道義務」を守らなければなりません。
参照元:e-Gov法令検索「建築基準法第42条」「建築基準法第43条」
よって、この接道義務を満たしていない土地は「再建築不可物件」として扱われることになります。具体的には、以下の土地が該当します。
- 敷地が建築基準法上の道路に接していない
- 敷地が建築基準法上の道路に接している間口が2mに満たない
- 敷地が接している建築基準法上の道路の幅が4mに満たない
なぜこのような再建築不可物件が存在するかというと、建築当時には現在のような法規制がなかったためです。
建築時に守るべき建築基準法が制定されたのは1950年、都市計画法が制定されたのは1968年のことです。つまり、それ以前に建築された家は接道義務を満たしていなくても何ら問題はありませんでした。
現在建っている建物が再建築不可物件でも、取り壊す必要はありません。
しかし建て替えなどの活用に際しては、現行の法律を守らなければならないのです。
そんな再建築不可のアパートで行う賃貸経営には、以下3つのメリットがあります。
- 物件価格が安い
- 固定資産税が安い
- 相続税対策としても効果がある
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
物件価格が安い
再建築不可のアパートで賃貸経営を行うメリットとして、物件価格が安い点が挙げられます。
前述のように再建築不可物件の多くは建築基準法制定以前に建てられており、築50年以上経過しているものも珍しくありません。
国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、木造の戸建て住宅は築20年を超えると建物の資産価値がほぼゼロとなります。
引用元:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
それに加え、建物を解体すると再建築ができなくなるため、土地そのものの利用価値も低く、通常の土地よりも3~7割ほど価格が安くなる傾向にあります。
そのため、再建築不可のアパートを安価で購入し、リフォームを施したうえでうまく運用できれば高い収益を得ることも不可能ではありません。
固定資産税が安い
固定資産税が安い点も、再建築不可のアパートを所有するメリットのひとつです。
固定資産税は毎年1月1日時点における土地と建物の所有者に課される税金で、土地・建物ともに以下の計算式で算出します。
固定資産税=固定資産税評価額×1.4%(標準税率)
参照元:総務省「固定資産税」
また、居住用の住宅やアパートなどが建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税評価額が最大で6分の1に軽減されます。
住宅用地の特例
居住用家屋やアパートなどの敷地として利用されている土地にかかる固定資産税評価額が、200㎡までの部分で6分の1、200㎡を超える部分で3分の1に軽減される制度。アパートの場合には「戸数×200㎡」以下の部分にかかる固定資産税評価額が6分の1に減額される
参照元:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
たとえば再建築不可アパートの敷地面積が200㎡、建物の固定資産税評価額が1,000万円、土地の固定資産税評価額が2,400万円のケースにおける固定資産税は以下の通りです。
「固定資産税評価額×1.4%」の計算式より、
建物の固定資産税=1,000万円×1.4%=14万円
「固定資産税評価額×1/6×1.4%」の計算式より、
土地の固定資産税=2,400万円×1/6×1.4%=5万6,000円
14万円+5万6,000円=19万6,000円
固定資産税評価額は市区町村が3年に一度ごとに評価する資産価格であり、自治体から送られてくる固定資産税納税通知書や、自治体に備えつけられている固定資産課税台帳で確認可能です。
【固定資産税納税通知書の見本】
固定資産税評価額の特徴は、物件の築年数が経過するごとに下がる仕組みとなっている点です。これを「経年減価補正率」といいます。
木造の建物は築27年、非木造の建物は築45年を超えると、評価額が新築時の2割にまで下がります。
参照元:法務局「経年減価補正率表」
つまり、築年数の古い再建築不可のアパートの固定資産税評価額は新築時の2割で算出されるケースが珍しくありません。
また、道路に面していない「無道路地」、土地の形状が三角形などの「不整形地」、間口が狭い土地の場合にはさらに減額補正が行われるので、結果的に固定資産税が安くなります。
再建築不可物件にかかる固定資産税を調べる方法については以下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご参照ください。
相続税対策としても効果がある
再建築不可アパートの経営は、相続税対策としても有効です。
前述のように、再建築不可物件の資産価値は通常の物件と比較するとはるかに低くなる傾向にあります。そのため、相続税を算出する際に用いられる相続税評価額も安くなり、相続税が低額となります。
アパートの相続税評価額は、以下の計算式で求めます。
アパートの入居者が建物を借りる権利。全国一律で30%と定められている。国税庁のサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認可能。
アパートの部屋のうち実際に貸し出されている部屋の割合
たとえばアパートの固定資産税評価額が2,000万円、借家権割合が30%、賃貸割合が80%のアパートにおける相続税評価額は以下のとおりです。
アパートの相続税評価額=2,000万円×(1-0.3×0.8)=1,520万円
通常の建物の相続税評価額よりも、アパートを建てているほうが480万円安いことが分かります。
また、アパートが建っている土地(これを「貸家建付地」と呼びます)は自己利用ができないことから土地の評価額も安くなる点が特徴です。具体的には以下の計算式で算出します。
土地を借りている人が所有する権利の割合のことで、地域ごとに30~90%の間で定められている。国税庁のサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認可能。
たとえば、土地の相続税評価額が3,000万円、借地権割合が60%、借家権割合が30%、賃貸割合が80%のケースにおける貸家建付地の相続税評価額は以下のとおりです。
貸家建付地の評価額=3,000万円×(1-0.6×0.3×0.8)=2,568万円
アパートが建っている土地に関しても、通常の建物が建っているときと比べると相続税評価額が約430万円下がっています。
上記のケースでは、土地上にアパートが建っていることにより約900万円も相続税評価額が下がりました。つまり、アパート経営を行ったほうが相続税の負担を大きく軽減することが可能なのです。
相続税の納付方法や相続税を具体的に計算するための税率などについては、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご参照ください。
再建築不可物件のアパートで賃貸経営を行う5つのリスク
ここまで再建築不可のアパート経営を行うメリットを解説してきました。
一方で、再建築不可のアパートで賃貸経営を行う際には以下5つのリスクがある点は押さえておく必要があります。
- 倒壊しても建て替えできない
- リフォーム費用が高くなる
- 近隣住民から損害賠償を請求される恐れがある
- アパートローンを組みにくいので売れない
- 売却できても利益になりにくい
ここからは、再建築不可のアパートで賃貸経営を行う5つのリスクを見ていきましょう。
倒壊しても建て替えできない
再建築不可のアパートにおけるもっとも大きなリスクは、地震や台風といった自然災害に見舞われて倒壊しても建て替えができない点です。
再建築不可物件の多くは、建築基準法の制定以前に建てられた築古物件です。そのため現行の耐震基準を満たしていない可能性が高く、地震などが発生した際に倒壊するリスクが高いといわざるを得ません。
また、万が一倒壊してしまった場合には瓦礫などを片づけたうえで更地として所有することになりますが、残存物の片づけに100万円以上の費用がかかるだけでなく、前述の住宅用地の特例が適用されなくなって固定資産税が最大で6倍にまで増えかねない点にも注意が必要です。
参照元:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
再建築不可アパートには、倒壊しても建て替えできないばかりか、固定資産税まで増額しかねないリスクがあるのです。
再建築不可物件が万が一倒壊してしまった場合の対策は、以下の記事で詳しく解説しています。
リフォーム費用が高くなる
再建築不可のアパートでも、建築確認申請が不要な範囲内ならリフォームが可能です。
計画している建築やリフォームが建築基準法に合致しているかどうかを自治体に審査してもらう行為
具体的なリフォーム可能範囲は、以下の通りです。
- 建物の主要構造部(壁・柱・床・梁・階段)の2分の1以下の修繕
- 10㎡以下の増改築(防火・準防火地域をのぞく)
また、以下の条件に合致する木造のアパートは「4号建築物」に該当するため、建築確認申請を受けなくても大規模なリフォームを行えます。
- 2階建て以下
- 延床面積500㎡以下
- 高さ13m以下
- 軒高9m以下
参照元:e-Gov法令検索「建築基準法第6条」
ただし、リフォーム費用が高くなる点は再建築不可のアパートを運用するリスクのひとつです。
再建築不可物件の多くは道路幅が狭い場所に立地しており、大量の資材を運べる大型車両や建築に必要な重機を搬入できません。
そのため、再建築不可のアパート近くに資材置き場を確保したうえで、そこから人力で資材を運んだり、小型の機材を導入したりする必要があります。
ケースによっては、本来は工場で組み上げた状態で納入する資材をばらばらの状態で現地へ運び、作業員が組み立てることも少なくありません。
当然、大型車両や重機の使用時と比べると作業が非効率であり、工事日数は一般的な建築工事よりも長くなります。
このように工期の長期化や運搬費用・人件費の増加などが原因で、通常の住宅よりもリフォーム費用が倍以上高くなってしまうのです。
再建築不可物件で可能なリフォームの範囲や費用、注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
2025年の法改正で再建築不可物件のリフォーム可能範囲が変わる
4号建築物に該当する再建築不可のアパートであれば大規模なリフォームが可能と前述しました。しかし2025年4月の建築基準法改正により、リフォームができなくなる可能性がある点に注意が必要です。
参照元:国土交通省「2025年4月(予定)から4号特例が変わります」
2025年の法改正により、これまでリフォームに際して建築確認申請が不要であった4号建築物は2号建築物に分類されることになり、以下の大規模なリフォームを行う際には建築確認申請が必要となります。
- 建物の主要構造部の2分の1以上の修繕
- 屋根の葺き替え
- 外壁の張り替え
- 階段の位置変更
- 間取り変更
しかし、接道義務を満たしていない再建築不可物件は建築確認申請を通過できません。そのため、2025年4月以降は再建築不可物件の大規模なリフォームはできないということです。
一方、畳からフローリングへの変更、壁紙の張り替えなどの小規模な工事であれば従来通り建築確認申請が不要なので、再建築不可のアパートでもリフォームできます。
前述のように築古の再建築不可物件には倒壊の恐れがあり、リスクを防ぐには耐震補強工事が必須です。ですが法改正により、再建築不可のアパートには事実上耐震補強工事を施せないようになります。申請しても建築確認が下りないためです。
再建築不可のアパートに耐震補強工事を施せなければ、次の見出しで解説するように倒壊した建物によって入居者や近隣住民に被害を与えてしまい、損害賠償請求されることも考えられます。
再建築不可のアパートを所有し続けることは、リスクが大きいといわざるを得ません。
そのため、再建築不可のアパートで賃貸経営を行うつもりがないなら、できる限り早く売却することをおすすめします。
具体的な売却方法については、後述の「再建築不可のアパートは売却して手放すのが最適!」の見出しで詳しく解説します。
近隣住民から損害賠償を請求される恐れがある
再建築不可のアパートが地震や台風などで倒壊したり、火事で焼失したりして入居者や近隣住民、通行人に被害を与えた場合、損害賠償を請求される恐れがあります。
実際、1995年に発生した阪神・淡路大震災でアパートの入居者が亡くなった事例において、裁判所は「物件の構造に欠陥があった」としてオーナーの過失を認め、計1億2,900万円の損害賠償金額を支払うように命じています(神戸地裁平成11年9月20日判決)。
上記事例のアパートは1964年に建築されたもので、地震当時の耐震基準を満たしていませんでした。
このように、現行の耐震基準を満たしていないアパートにおいて、オーナー側で適切な耐震補強工事を行わずに地震で倒壊した場合、所有者の損害賠償責任は免れないのです。
ただし前述のように、再建築不可のアパートの耐震補強工事はそのうち法改正により実施できなくなります。
そのため今後も再建築不可のアパートで賃貸経営を行うなら、なるべく早めに耐震補強工事をしたほうがよいでしょう。
一方で、損害賠償責任を負うリスクを避けたい場合には、やはりできるだけ早く売却して手放すことが最善の選択肢といえます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)では、再建築不可のアパートを積極的に買い取っております。再建築不可のアパートを手放してあらゆるリスクから解放されたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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アパートローンを組みにくいので売れない
再建築不可のアパートを手放したいと考えても、買手がアパートローンを利用できない可能性が高く、売却しにくいリスクがあります。
アパートローンとは、賃貸物件の購入時・建築時に借りられるローンのことです。
アパートローンを利用する際は、購入あるいは建築するアパートに担保としての抵当権が設定されます。
抵当権は、金融機関が貸し倒れリスクを回避するために設定するものです。
万が一アパートローンを借りた方が返済不能な状況に陥った際、金融機関は担保としているアパートを競売にかけ、その売却金額でローンを回収します。
そのため、金融機関はアパートローンを貸し出すにあたり、収入や勤務先などの個人の属性以外にアパートそのものの担保評価を厳しくチェックします。
しかし前述のように、再建築不可のアパートの資産価値は低く、担保評価は高くありません。
再建築不可のアパート購入時にアパートローンを利用したいと考えても、希望の金額を借りられないか、あるいは融資を受けられないケースがほとんどです。
再建築不可のアパートを購入できるのは多額の現金を持っている方にほぼ限られるため、売りに出してもなかなか買手が見つからず、売却のハードルは高いのが実情です。
売却できても利益になりにくい
ここまで解説してきたように再建築不可のアパートは評価額が低く、たとえ売却できたとしても多くの利益を得ることは困難です。
アパートの売却ターゲットは、賃貸経営で家賃収入を得たい不動産投資家がメインです。
しかし再建築不可のアパートは建て替えができないので、どれだけ築年数が古くてもそのままの状態で運用するしかありません。また、外観や内装、間取りが時代のニーズに合っておらず、新たに入居者を見つけることが難しいデメリットもあります。
そのため、相場よりも価格を相当下げなければ、需要の少ない再建築不可のアパートを売却するのは難しいでしょう。
ここで一番有力なのは、再建築不可物件専門の不動産会社に売却することです。売却について詳しく知りたい方は再建築不可物件の売却をご覧下さい。
再建築不可のアパートを建築可能にする6つの裏ワザ
ここまで解説してきたように、再建築不可のアパートの最大のデメリットは建て替えができないことです。
自然災害などに見舞われて倒壊しても再建築ができないことが懸念され、一般の買手も見つかりにくい傾向にあります。
しかし、以下6つの裏ワザのいずれかを駆使して再建築不可のアパートを建築可能にすると、通常のアパート同様に売却できる確率が高まります。
- 隣地の一部を買い取る
- 隣地と等価交換する(旗竿地の場合)
- 隣地を建築確認時のみ借りる
- 敷地の接道部分を後退させる(セットバック)
- 但し書き申請を出す
- 位置指定道路の申請を出す
たとえば、前面道路に接している敷地の間口が2mに満たない場合は、「隣地の一部を買い取る」「自分の敷地と隣地の一部を等価交換する」「建築確認申請を受ける際に隣地の一部を借りる」対策を講じると接道義務を満たすことができ、建て替えできるようになります。
また、前面道路の幅が4mに満たない場合は、道路の中心線から2mの位置にまで自分の敷地を後退させると、接道義務を満たせて建築が可能です。
これを「セットバック」といいます。
セットバックについては、以下の記事で詳しく解説しています。
そのほか、道路にまったく面しておらず周辺に広い空地があるケースでは、自治体に申請すると空き地の一部を道路として利用できることがあります。
これを「43条但し書き道路」と呼びます。
43条但し書き道路について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
敷地が接しているのが公道ではなく私道でも、自治体から「位置指定道路」として認められれば建築基準法上の道路として扱われ、建築が可能です。
位置指定道路については、以下の記事で詳しく解説しています。
ただし、これらの裏ワザを利用して再建築不可のアパートを建て替え可能にするには、費用や時間がかかるだけでなく、手続きも非常に複雑です。申請したとしても、認められるとも限りません。
そのため、実際のところ実現は難しく、ハードルは高いといえるでしょう。
なお、再建築不可物件を建築可能にする6つの裏ワザの詳細は、以下の記事にまとめてあります。
併せてご参照ください。
再建築不可のアパートを解体して活用する7つの方法
再建築不可のアパートを所有していても入居者が埋まらずに思うような収益が上がっていない場合には、更地にしたうえで以下の活用方法を検討するのも選択肢のひとつです。
- トランクルームとして活用する
- 太陽光発電用地として活用する
- ドッグランとして活用する
- 貸し用地としてそのまま貸す
- 自動販売機などを設置する
- トレーラーハウスを設置する
- 駐車場や駐輪場として活用する
ただし、アパートを解体する際には数百万円ほどの解体費用がかかります。
また、立地が悪いことで入居者が思うように集まらず、アパート経営がうまくいっていないのなら、他の活用方法でも成功できない可能性は高いでしょう。
もしこれらの活用方法のいずれかを実行に移す場合は、事前に土地の運用に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
それでは、再建築不可のアパートの賃貸経営以外の活用方法について、詳しく見ていきましょう。
なお、再建築不可物件の活用方法については以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
トランクルームとして活用する
トランクルーム経営とは、土地上にコンテナを設置して収納スペースとして貸し出す方法です。
コンテナを設置するだけなので、他の土地活用方法と比較すると比較的初期費用を抑えられる点が特徴です。
また経営にあたって電気や水道、ガス代などの光熱費もかかりません。
近年はトランクルームの需要が拡大しているといわれており、「近隣にマンションやオフィスビルがある」「車での出入りがしやすい」土地を所有している方なら需要が見込めて収益を上げやすいでしょう。
ただしトランクルームは居住用の家屋ではないため、前述の住宅用地の特例が適用されなくなって固定資産税が最大で6倍になる恐れがあります。
また、土地の用途地域が第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域に該当する場合には建築できない点に注意が必要です。
計画的な市街地を作るため、エリアごとに建てられる建物を定めた制度。計13種類あり、大きく住居系・商業系・工業系に分類される
再建築不可の土地をトランクルームとして活用するなら、近隣に荷物を預けてくれそうな会社や人はいるか、そもそも設置可能なエリアなのかを確認しましょう。
太陽光発電用地として活用する
土地の敷地面積が広く、日当たりがよい場合には太陽光発電経営を行うのも選択肢のひとつです。
太陽光発電経営とは、土地に設置した太陽光パネルから生み出される電力を電力会社に売却して収益を得る方法です。
10年、あるいは20年にわたって一定の価格で電力を買い取ってもらえる固定価格買取制度があるので、安定した収益を上げやすい点がメリットです。
また、土地を太陽光発電事業者に貸して地代を得る方法もあります。
賃貸経営などとは違って人を集める必要がないため、「人通りが多くない」「人口が少ない」エリアに土地を所有している方は検討の余地があるでしょう。
しかし、太陽光発電経営を始める際に1,000万円以上の初期費用がかかり、回収するのに10年以上もかかるケースは珍しくありません。
曇りや雨の日だと発電力が少なくなるなど、収益が天候に左右される点もデメリットといえます。
それに加えて、1kWhあたりの電力の買取価格が年々減少しているデメリットもあり、2009年度には48円だったのに対し、2024年度には16円になると試算されています。
参照元:経済産業省調達価格等算定委員会「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」
太陽光発電経営を成功させるのは難しいため、もし始めるなら専門家のアドバイスを受けることおすすめします。
ドッグランとして活用する
ドッグランとは、フェンスなどで囲った敷地内で自由に犬を遊ばせられる施設のことです。
中には、犬用の飲食メニューを提供するドッグカフェを併設しているところもあります。
利用料金は施設によって異なりますが、1頭あたり500~1,500円ほどが相場です。
犬が好きであり、「近くに犬が走り回れる場所がない」エリアに土地を所有している方にとっては、趣味と実益を兼ねた運用方法といえます。
ただし、ドッグランを経営するにはフェンスや人工芝の設置代などで数百万円ほどの費用が必要です。
またそれほど収益性は高くないため、ドッグラン経営を成功させるにはカフェや売店を併設するなどの工夫が欠かせません。
貸し用地としてそのまま貸す
再建築不可アパート解体後の土地活用としてもっとも手軽に始められるのが、土地をそのまま第三者へ貸す方法です。
たとえば、資材置き場やフリーマーケット広場として貸し出すなどの方法が挙げられます。
貸し用地経営では1日単位でレンタルできるので、短期的に土地を貸して収益を上げ、のちに自分が何らかの方法で活用するといったことも可能です。
初期投資もほぼかからないため、手軽に始められるメリットもあります。
土地の近くに工場や建築会社などがある、将来的に別の目的での土地活用を考えている方に向いている土地活用方法です。
しかし、借りる人がいなければ当然収益は得られません。
また賃料も1坪数百円程度が相場なので、そこまで収益性が高くない点もデメリットです。
自動販売機などを設置する
土地上に自動販売機を設置し、収益を上げる方法があります。
管理業務を業者へ委託するタイプの自動販売機経営なら、管理の手間はいっさいかかりません。
自動販売機の設置にかかる初期費用も不要のため、気軽に始められます。
人通りが多い場所にある土地を所有しており、かつ土地経営を始めるにあたって費用や手間をかけたくない方におすすめです。
しかし、自動販売機にかかる電気代は負担しなければなりません。
また、管理業務を業者へ委託する場合は売上の20%ほどを手数料として支払う必要もあります。
近くにスーパーマーケットやコンビニエンスストアがあるなど、周辺環境によっては利益がまったく出ない可能性も否めません。
自動販売機経営を行う際には、設置場所を慎重に検討することが重要です。
トレーラーハウスを設置する
土地上にトレーラーハウスを設置し、単身者やファミリー層などに貸し出して収益を上げる方法も選択可能です。
トレーラーハウスとは、自動車でひいて移動させられる家を指します。
トレーラーハウスの大きさはさまざまですが、中には30畳ほどの広さを備えたものもあります。
トレーラーハウス内では電気やガス、水道が使え、トイレや浴室なども設置できる点が特徴です。
再建築不可の土地でも設置可能で、安いものであれば200万円ほどで購入できます。初期費用を抑えながら賃貸経営を行いたい方に向いているといえるでしょう。
また、トレーラーハウスは家ではなく「車両」として扱われるため、固定資産税がかからないメリットもあります。
しかしトレーラーハウスは比較的大型であり、現地までの道が狭くて通行できない場合には搬入できません。
なお、自治体によってはトレーラーハウスを設置できないこともあるので、事前確認が必須です。
再建築不可物件をトレーラーハウスとして活用するメリットとデメリットは、以下の記事に詳しくまとめています。
再建築不可物件のトレーラーハウスとしての活用を検討する前に、ぜひご一読ください。
駐車場や駐輪場として活用する
再建築不可の土地を駐輪場やバイク用の駐車場として活用するのも選択肢のひとつです。
「道路にまったく面していない」「前面道路の幅が4mに満たない」「道路に接している間口が2m未満」の再建築不可物件には自動車がスムーズに入れないため、駐車場経営は難しいといわざるを得ません。
しかし駐輪場やバイク用の駐車場なら道路の幅や間口が狭い場合でも無理なく走行できるので、運用が可能です。
土地の近くに駐輪場が完備されていないマンションやアパートがある、駅に近い場合には、比較的需要が期待できるので安定した収益を上げやすいでしょう。
ただし他の土地活用方法同様、借り手がいなければ収益は上げられません。
また収益性は高くないにもかかわらず、前述の住宅用地の特例が適用されなくなって固定資産税が上がるので、赤字経営になりかねない点にも注意が必要です。
再建築不可のアパートは売却して手放すのが最適!
ここまで、再建築不可のアパートで賃貸経営を行うリスク、アパートを解体して活用する方法を解説してきました。
しかし、賃貸経営・土地活用のいずれの方法もリスクが大きいといわざるを得ません。
そのため、再建築不可のアパートを費用や手間をかけることなく手放したいなら、売却して現金化することをおすすめします。
再建築不可アパートの売却方法は、以下の2種類です。
- 立地が良い築浅アパートなら仲介業者に売却してもらう
- 立地が悪い築古アパートなら専門の買取業者に買い取ってもらう
所有しているアパートの条件によって適切な売却方法は異なるので、あなたの状況と照らし合わせながら読み進めていってください。
2種類の売却方法の特徴について、詳しい解説します。
なお、以下の記事では仲介と買取の違いについて詳しくまとめています。
併せて参考にしてください。
立地が良い築浅アパートなら仲介業者に売却してもらう
アパートが再建築不可でも築年数が浅く、駅から近い、近隣に商業施設があるなど立地条件が良い場合には、不動産仲介業者の仲介で一般の不動産投資家に売却できる可能性があります。
物件の状態や立地が良ければ入居者を集めやすく、安定した収益を期待できるためです。
とくに現在満室の状態なら購入者が入居者を集める必要はないので、より買手を見つけやすいでしょう。
市場相場で売却できる可能性がある点も、仲介のメリットです。
ただし、アパートの売却に際して建物や設備の状態はしっかりと確認しておく必要があります。
仲介でアパートを売却する場合、売主は買手に対して契約不適合責任を負う必要があります。
契約不適合責任とは売主が買手に負うべき責任のことで、契約書に記載されていなかった不具合や欠陥が物件引き渡し後に見つかったら、買手から修繕や損害賠償を請求されかねません。
そのため売却前には故障箇所をしっかりとチェックするとともに、事前に修繕するか、売買契約締結前に買手に伝えることが重要です。
物件の状態によっては、売却前に数十万円~数百万円ほどの費用を投じてリフォームしなければ買手が見つからないこともあり得ます。
仲介は再建築不可アパートを少しでも高く売りたい方におすすめの売却方法ですが、上記注意点があることも押さえておくとよいでしょう。
なお、契約不適合責任については以下の記事に詳しくまとめてあります。
仲介で売却する際に契約不適合責任に関するトラブルを避けたいなら、ぜひご一読ください。
立地が悪い築古アパートなら専門の買取業者に買い取ってもらう
再建築不可アパートの築年数が古く、かつ立地も悪くて賃貸需要が期待できないときは、再建築不可物件専門の買取業者に買い取ってもらいましょう。
専門の不動産買取業者は、買い取った物件にリフォームなどを施してから再販、または賃貸として活用する不動産会社のことです。
専門の不動産買取業者には再建築不可のアパートを建築可能にしたり、リフォームをして再生したりする豊富なノウハウがあります。
そのため、再建築不可のアパートでもスピーディーに買い取ってもらえる点がメリットです。
買取価格は仲介で売却するよりも3割ほど安くなりますが、あなたが事前にリフォームや修繕を行う必要はありません。
そのままの状態で買い取ってもらえるので、手間や費用をかけずに売却できます。
また、専門の不動産買取業者は再建築不可アパートに潜む不具合や欠陥を見極めたうえで買い取るので、売主の契約不適合責任をなしにすることも可能です。
再建築不可アパートの売却後にトラブルに巻き込まれる不安を抱えずに済むのは大きなメリットといえるでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、全国にある再建築不可のアパートを積極的に買い取っております。
フジテレビの報道番組「news イット!」にも訳あり物件専門の買取業者として取り上げられました。
また、おかげさまでGoogleマップ上の口コミでも平均4.6(67件中)という高評価もいただいております。
弊社にお任せいただければ、再建築不可のアパートのスピーディーな現金化が可能です。再建築不可のアパートを売却したいと考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
>>【再建築不可のアパートを高額売却!】無料の買取査定を依頼
まとめ
再建築不可のアパートで賃貸経営を行うと、万が一倒壊して入居者や近隣住民に被害を与えたときに損害賠償を請求される恐れがあります。そればかりか、倒壊しても建て直しができません。
アパートを解体して土地活用を行うと倒壊リスクからは解放されますが、必ずしも収益を上げられるわけではない点に注意が必要です。
解体費用や土地活用を始める際にかかる初期費用、住宅用地の特例が適用されなくなって増額する固定資産税の負担が積み重なり、結局は赤字経営に陥る可能性も否めません。
そのため、再建築不可のアパートはできる限り早く売却することをおすすめします。売却するとまとまった現金が手に入るだけでなく、さまざまなリスクからも解放されるためです。
ただし、さまざまなリスクを抱える再建築不可のアパートは仲介業者が取り扱ってくれず、売却することは困難です。
再建築不可のアパートをできる限り早く売却したいなら、専門の不動産買取業者に相談することをおすすめします。
弊社AlbaLink(アルバリンク)では2011年の創業以来、多くの再建築不可物件を買い取ってまいりました。
弊社には買い取った再建築不可物件を再生して活用する豊富なノウハウがあるので、アパートの状態がどれほどひどい場合でも問題なく買い取ることができます。
査定は無料です。
査定を依頼したからといって、無理な営業をかけることはありません。
あくまでもお客様ファーストで買取を進めてまいりますので、安心してご活用ください。