共有名義とは複数人で1つの不動産を所有している状態
「共有名義」とは、複数人で1つの不動産を所有している状態を指します。
共有名義の不動産のことを、共有不動産と呼びます。
例えば、上記の画像のように、兄弟(長男、次男、三男)で不動産を相続した場合、「長男:3分の1」「次男:3分の1」」「三男:3分の1」という割合で所有しているケースが該当します。
このように、それぞれが持っている不動産の所有権のことを「共有持分」と呼び、共有持分の割合のことを「持分割合」と呼びます。
共有不動産では、共有者の単独行為が制限されています。
簡単に言うと、共有不動産を独断で好きなように扱うことができないということです。
具体的には、共有不動産に以下のような行動制限がかけられています。
行為の種類 | 具体例 | 行為に必要な要件 |
---|---|---|
変更行為 (民法第251条) |
|
共有者全員の合意 |
管理行為 (民法第252条) |
|
共有持分の過半数の合意 (人数ではなく持分割合で決する) |
保存行為 (民法第252条第5項) |
|
各共有者が単独で可能 |
このように、共有不動産は「共有者全員で所有している一つの財産」ということです。
共有不動産や共有名義については、以下の記事でも詳しく解説しています。
では、実際にはどのように共有不動産が生まれるのかについて、次の章で詳しく解説していきます。
相続で不動産が共有名義になってしまう2パターン
相続で不動産が共有名義になってしまうパターンは主に以下の2つありますので、それぞれ詳しく解説していきます。
- 被相続人(親など)の代から共有名義である
- 相続したことにより共有名義となった
被相続人(親など)の代から共有不動産である
共有不動産となる1つ目は、被相続人の代から共有名義で、そのまま法定相続分で相続したパターンです。
たとえば、親(A)が他人(B)と1つの不動産を共有しているケースを例に挙げます。
もし、親(A)が亡くなり、相続人(C)の一人だけが相続しても、他人(B)は名義に残ったままなので、BとCの「共有」の状態であることに変わりありません。
共有を解消するには持分を移転して1人に集めることが必要です。
そのためには、持分をBから買い取るか、逆に売却して「片方の持分をもう片方に移転する(持分移転)」登記をしなくてはなりません。(後ほど詳しく解説します)
自分の法定相続分の割合について確認したい方は、以下の記事をご参照ください。
相続したことにより共有となった
共有不動産となる2つ目は、相続が発生して初めて共有名義となったケースです。
もとは単独名義だった不動産でも、相続が発生し、相続人同士で遺産分割協議を行った結果、複数の相続人が引き継ぐことが決まった場合は共有不動産になります。
被相続人が残した財産について、どのように分割するかを相続人同士で話し合うこと。
たとえば、相続人(A)と相続人(B)が1つの不動産を相続するケースを例に挙げます。
この場合、Aが不動産の持分相当の現金をBに渡し、Aが不動産を丸ごと相続できれば、共有名義にはなりません。(この方法を代償分割と言い、詳細は後述します)
しかし、Bに持分相当の現金を渡せるほどの預貯金がAになければ、不動産を単独名義で所有することはできないので、やむを得ず共有名義にするしかありません。
上記の代償分割が難しければ、不動産はAとBの共有名義で相続するか、AB合意のもとで不動産を売却してお金を分ける換価分割を行うしかありません。(換価分割についても後述します)
共有名義で不動産を相続することについては以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
共有名義で片方が死亡したら誰が相続?
不動産を共有している方が亡くなったとき、その共有持分は相続財産となり、法定相続人が相続する形となります。
法定相続人とは、民法で定められた相続人になれる人物を指します。
亡くなった人の共有持分は、故人の法定相続人が継承します。
したがって、共有者の死亡によって、ほかの共有者の持分割合が自動的に増加することはありません。
共有名義の不動産で片方(共有者)が死亡したときの共有持分の行方については、以下の記事でも詳しく解説しています。
共有名義で不動産を相続した場合のトラブル7選
冒頭でもお伝えしましたが、共有名義で不動産を相続してしまうと、共有者間で様々なトラブルが発生するリスクがあります。
ゆえに不動産相続時は、できる限り共有名義を避けることをおすすめします。
また、後ほど「相続前(生前対策)」「相続発生時」「共有名義での相続完了後」に分けて、共有名義を回避する対処法をお伝えしますので、安心して読み進めてください。
さて、共有不動産の7つのトラブル事例を見ていきましょう。
- 不動産の売却や利用で揉める
- 他の共有者が持分を売却してしまう可能性がある
- 他の共有者が音信不通になる
- 1人の共有者が物件を占有する
- 占有者が賃料を支払わない
- 管理費や税金の負担割合で揉める
- 自分の子どもや孫の代ではさらに複雑な共有関係に
なお、すでに共有名義で他の名義人とトラブルになっている場合、目的に応じ、記事内の以下の内容をご確認ください。
不動産の売却や利用で揉める
不動産を共有名義で相続すると、いずれ共有者間で不動産の売却や利用を巡って揉め事が起こる可能性があります。
共有名義の不動産は、民法上、売るにしろ貸すにしろリフォームを施すにしろ、いちいち共有者の同意が必要になるからです。
実際に、弊社が独自に行った「相続に関する不安」に関するアンケート調査でも、「家族や親族と揉めないか?」と回答した人が最も多く、特に共有不動産においてはその不安が現実となるケースが多いようです。
相続に関する不安で1位になったのは「家族・親族と揉めないか(170人)」
引用元:相続に関する不安ランキング
他の共有者と意見が対立すれば、売却も活用もできないまま、気が付けば不動産の価値が低下してしまったなんてことにもなりかねません。
不動産の共有者が行える行為、制限される行為については以下の記事でまとめておりますので、参考にしてください。
他の共有者が持分を売却してしまう可能性がある
共有者が共有不動産全体に行える行為は制限されますが、各自の共有持分は各自の完全な所有物であるため、自由に売却することが可能です。
したがって、他の共有者があなたに一切連絡をせずに、共有持分を第三者に売却してしまう可能性があります。
もし、他の共有者の持分が悪質なブローカーなどに買い取られてしまえば、相当なリスクとなります。
実際に、弊社に相談に来たお客様で、「他の共有者が悪質なブローカーに共有持分を売っちゃったんです」という方がいらっしゃいました。
「持分を売り渡さないと、裁判沙汰にするぞ」と毎日電話で脅してきたり、夜仕事から帰ってくると自宅の前で待ち伏せされていたりと、かなり怖い思いをされていました。
しかし、弊社はそういった共有問題を持分を買い取ることで解消する会社ですので、そのお客様は共有持分を弊社に売却してトラブルを解決しました。
共有不動産にすると、他の共有者が持分を売却してトラブルに発展することもあるので、共有名義で不動産を相続することは避けておきたいです。
他の共有者に持分を売却されることに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
他の共有者が音信不通になる
他の共有者が、突然「音信不通」になる可能性も十分に考えられます。
たとえば、3兄弟(長男・次男・三男)で不動産を所有していて、三男が音信不通になった場合、長男と次男が不動産を売りたいと思っても売れません。
また、共有不動産において、毎年発生する固定資産税の支払いについては、共有者一人が代表として立て替えて支払い、残りの相続人が持分相当額を立て替えた相続人に支払うのが一般的です。
もし、長男が固定資産税を立て替えているにもかかわらず、三男に連絡が取れなければ、長男は払い損になってしまいます。
このように、共有者の一人が音信不通になると、他の共有者が被害を受けることになります。
以下の記事では、共有名義の不動産に課される固定資産税に関してよくあるトラブル事例と対処法を解説しています。
併せて参考にしてください。
1人の共有者が物件を占有する
共有者が1人で不動産を占拠している場合、他の共有者がその共有者を追い出すことは容易ではありません。
各共有者は共有不動産全体を使用する権利を持っているので、仮に裁判(明渡請求)を起こしたとしても「占拠は適法である」と判断される可能性が高いからです。
実際に、相続によって兄と弟の共有不動産となった物件に、兄が一人で住みつき始めて困っているというお客様が弊社に相談に来られました。
その共有者(兄)は、相談者様(弟)に家賃を支払わないだけでなく、毎年発生する固定資産税も支払ってくれないなど、金銭的に被害を受けている状態でした。
しびれを切らした弟様が弊社に相談に来られ、弟様の持分売却を弊社にすることで権利関係を解消して問題を解決しましたが、共有不動産にするとこのような金銭的なトラブルに発展することがあります。
普段は仲の良い兄弟でも、相続が絡むとトラブルに発展するケースは少なくありませんから、できる限り共有名義で不動産を相続するのは回避しましょう。
共有不動産を占拠する共有者に対する明渡請求については、以下の記事で詳しく解説しております。
占有者が賃料を支払わない
共有不動産で相続し、共有者の一人が物件に住み始めた場合、その共有者は他の共有者に対して賃料を支払う必要があります。
しかし、その賃料を一切支払ってくれないといったトラブルがあります。
この場合、前述したように他の共有者は占拠者に対して持分割合に応じた金額を賃料として請求できます。
ですが、占拠者が賃料の請求に応じるとは限りません。
特定の1人が物件を独占利用しているにもかかわらず、賃料も支払わなければ、他の共有者が不満を抱きトラブルにつながります。
共有不動産の独占者への対応は下記の記事で解説していますので参考にしてください。
管理費や税金の負担割合で揉める
共有名義にすると、管理費や税金をどのように負担するかで揉める可能性があります。
共有不動産にかかる固定資産税や管理・維持にかかる費用は、原則共有者全員が持分割合に応じて負担するのが基本です。
しかし、「費用を負担しない」「話し合いにすら応じない」という共有者が現れるケースが少なくありません。
その場合、管理費や税金を真面目に払っている他の共有者が損をすることになります。
共有名義の固定資産税の納税義務については、以下の記事で詳しく解説しています。
賃料収入がある場合はさらに揉めやすい
投資用不動産を相続して今後も賃料収入が見込まれる場合も、やはり共有名義で相続すると厄介な問題が起きやすいといえます。
たとえば、所有者(大家)が複数であれば「誰が実際の管理を行うのか?(あるいは管理会社との折衝などをするのか?)」「賃料や必要経費などの分配(分担)はどうするのか?」といった問題が発生します。
そして一番の問題は、「経営状態が悪化した時の責任は誰が負うのか?」という問題です。
不動産賃貸業をするというのは「物件を所有さえしていれば良いわけではなく、れっきとした事業である」ことを相続人が認識し、経営能力がある人を選んでその人の単独名義で相続することをおすすめします。
なお、他の共有者に賃料を請求できる「不当利得返還請求」については、以下の記事で詳しく解説しています。
自分の子どもや孫の代ではさらに複雑な共有関係に
共有名義で相続した不動産を放置していると、将来自分の子供や孫がトラブルに巻き込まれる可能性があります。
共有者のうちの誰かが死亡して複数の相続人に共有持分が受け継がれると、共有者が増え続けて合意形成が困難になるからです。
例えば、相続が何世代にもわたって繰り返され、不動産を顔も名前も知らない10人で共有しているとしましょう。この中には自分の子どもや孫もいます。
この場合、自分の子どもが不動産を売却して手放したいと考えても、まずは相続人探しをしなければならず、合意形成は困難を極めます。
つまり、不動産の共有名義をそのままにしておくことは、自分の子どもや孫に面倒事を押し付けることと同じなのです。
共有名義で相続するメリットは2つだけ
前述したように、共有名義にはトラブルのリスクが多く、メリットはほぼありません。
強いて言うなら、共有名義で不動産を相続するメリットは以下の2つです。
- 共有名義は平等なので協議がまとまりやすい
- 登記費用の負担が減る
共有名義の不動産のメリットとデメリットはこちらの記事でも解説していますので参考にしてください。
共有名義は平等なので協議がまとまりやすい
遺産分割協議が上手くまとまらない場合でも、法定相続分で登記して共有名義にすれば、相続人同士で納得しやすいというメリットがあります。
法定相続分は、民法上定められている遺産の取り分であり、一見して公平感があるからです。
ですが、いったんは納得が得られても、後々起こり得る大きなトラブルを考えると、共有名義での相続は得策ではないでしょう。
法定相続分で相続する方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
登記費用の負担が減る
不動産を共有名義で相続すると、相続登記の費用は共有者が持分割合に応じて負担するので、一人ひとりが支払う登記費用の金額は抑えられるでしょう。
相続登記とは、亡くなった人から相続人へ名義変更する所有権移転登記の一つです。
しかし登記費用はさほど高額ではありません。
具体的に、相続登記費用の相場は総額で6万円程度です。
少額の登記費用を節約しても、共有名義で相続すれば将来大きなトラブルを招いて、解決のためにその数十倍、数百倍の費用が発生することもあります。
一時の登記費用節約のために共有名義にするのは、本末転倒ともいえるでしょう。
共有持分の相続登記については、以下の記事で詳しく解説しています。
共有名義を回避する3つの生前対策
遺産相続時に不動産が共有名義になるのを避けるためには、被相続人が生きている間に対策するのがベストです。
これからお伝えする具体的な生前対策を行い、将来起こり得る様々なリスクを回避してください。
- 遺言書を作成
- 不動産を売却して現金化しておく
- 相続前に共有状態から抜け出しておく
遺言書を作成
遺産相続時に共有名義を避けて不動産を相続させるためには、生前に遺言書を作成しておきましょう。
【遺言書の見本】
あらかじめ遺言書で、誰に不動産を相続・遺贈させるか明記しておけば、基本的には遺言書の内容に従って単独名義で不動産を相続させられるからです。
遺言によって、遺言者の死後に特定の人へ遺産を無償で譲ること。
注意点としては、「特定の相続人へ遺産を全て相続させる」等、遺言書の内容があまりに不公平であった場合に、相続人同士で「遺留分」を巡る争いが起こりかねないことです。
民法上、法定相続人に最低限保証されている遺産の取り分。
したがって、遺言書作成時には「相続不動産の代替になる遺産を他の相続人へ受け継がせる」などの対応が必要です。
1円単位で帳尻合わせが利く預貯金などの遺産がない場合には、次項で解説する「不動産売却により現金化する」も視野に入れておくと良いでしょう。
遺産相続時の「遺留分」について以下の記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてください。
不動産を売却して現金化しておく
もしも、相続不動産を何にも活用していないのであれば、被相続人の生前に不動産を売却してしまうのも有効です。
生前に不動産を現金化しておくことで、相続人は現金を平等に分ければ良くなり、将来争いが起きる可能性が大幅に減るからです。
これを「換価分割」といいます。
もちろん、被相続人の余生を豊かにしたり、施設入所費用に充てたりと活用の幅も広がるでしょう。
なお、弊社アルバリンクは相続が絡む不動産を専門に扱う買取業者で、弁護士や司法書士などの専門家とも提携しております。
「相続のアドバイスをもらいながら不動産を現金化しておきたい」とお考えなら、気軽に弊社へお問い合わせください。
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相続前に共有状態から抜け出しておく
相続発生前からすでに、不動産が共有名義になっているのであれば、被相続人が生前に共有状態から抜け出しておくのが良いでしょう。
被相続人の持分が相続されて、新たな共有状態となったときに共有者同士で揉めるリスクを回避できるからです。
例えば、兄弟2人で不動産を共有しているとしましょう。
将来兄が亡くなり、兄の持分が兄の妻と子供へ引き継がれるとします。
その場合、弟、兄の妻、兄の子供で不動産が共有状態となります。
妻と子が揉めることはなくとも、弟とうまくやっていけるとは限りません。
万が一、共有者間で折が合わなければ、不動産の活用で意見が対立した際に、裁判沙汰になるなんてことも考えられます。
したがって、将来の家族の苦労を考えるなら、早めに共有状態から抜け出しておくのが賢明な判断です。
共有不動産の共有状態から抜け出す方法は「すでに複数の相続人で不動産を共有してしまっている場合の対策」を参考にしてください。
なお、共有名義不動産の共有状態の解消方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
相続前にできる共有名義を回避する5つの対策
被相続人(亡くなった方)が遺言書を作成していなかったとしても、相続人全員で遺産分割協議を行うことで、相続不動産が共有名義になることを防げます。
相続手続きを放置していても良いことはありませんので、なるべく早急に遺産分割協議に取り掛かり、共有名義を避けるようにしましょう。
具体的には、以下の5つの方法で共有名義を避けられるように、相続人全員で話し合います。
- 相続放棄を行う
- 現物分割を行う
- 代償分割を行う
- 換価分割を行う
- 法定相続分で相続してから売却する
相続放棄を行う
もし、あなたが「不動産を相続しなくても良い」と考えているなら、相続放棄をすれば、不動産を相続しなくても良くなるので共有関係から抜け出せます。
相続放棄とは、相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に申請することで、相続財産の所有権を放棄できる制度です。
しかし、相続放棄は以下の画像のように、相続財産すべてを放棄することを意味します。
受け取れる財産が不動産以外にもたくさんある場合、相続放棄をしてしまうと、共有不動産の権利関係から抜け出せても、資産的には損をしてしまうことになります。
相続放棄を行う前に、共有不動産のリスクと受け取れる財産を天秤にかけ、どちらがあなたにとって得なのかを検討する必要があるでしょう。
なお、相続放棄の概要と相談先については、以下の記事で詳しく解説しています。
現物分割を行う
特定の相続人が単独で不動産を相続し、価値が公平になるように他の相続人が預貯金や自動車などの他の遺産を相続する方法があります。
この相続方法を「現物分割」と言います。
具体例を用いて現物分割を解説します。
父親の遺産を相続する例
- 遺産は「3,000万円の不動産」「1,000万円の自動車」「4,000万円の預貯金」
- 兄弟2人で「2分の1ずつ」相続する
上記の例で、遺産を公平に分けるとこのようになります。
- 兄:「3,000万円の不動産」と「1,000万円の預貯金」=「合計の価値は4,000万円」
- 弟:「1,000万円の自動車」と「3,000万円の預貯金」=「合計の価値は4,000万円」
上記のように相続割合に応じて価値が公平になるように分けます。
特に預貯金など1円単位で分けられる遺産がある場合は、帳尻合わせがしやすく現物分割に適しています。
ただし、各相続人が分割方法に納得している場合は、必ずしも価値を均等にする必要はありません。
また、相続不動産が土地のみの場合、「分筆登記」で物理的に分けて現物分割することもできます。
1筆(1つ)の土地を、複数の土地に分ける登記手続きのこと。
分筆登記については以下の記事で詳しく解説しています。
代償分割を行う
現物分割のように、遺産の形をそのままにして価値を公平に分けられるとは限りません。
遺産の価値を公平に分けられない場合は、不公平な分を現金(代償金)で清算することで遺産分割が可能です。この方法を「代償分割」と言います。
簡単に言えば、特定の相続人が単独で不動産を受け継ぎ、不公平な分を他の相続人へ現金で支払うということです。
具体例を用いて代償分割を解説します。
父親の遺産を相続する例
- 遺産は「3,000万円の不動産」「1,000万円の自動車」
- 兄弟2人で「2分の1ずつ」相続する
上記の例では、遺産を均等に分配することはできません。兄が不動産を取得する場合、兄の手出し金で弟へ「代償金1,000万円」を支払うことで代償分割が成立します。
- 兄:「3,000万円の不動産」-「代償金1,000万円の支払い」=「合計の価値は2,000万円」
- 弟:「1,000万円の自動車」+「代償金1,000万円の受取り」=「合計の価値は2,000万円」
代償分割なら、代償金で清算することで兄弟2人とも「2,000万円の価値」を相続できます。
代償分割をはじめとする共有物分割請求については以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
換価分割を行う
前章の2つはいずれも、特定の相続人が単独で不動産を受け継ぐ相続方法でした。
一方で、「誰も不動産の相続を希望しない」「誰が相続するかで揉めたくない」の様な場合には、相続不動産を現金に換えて相続する「換価分割」という方法が有効です。
相続不動産を売却して、売却代金を各相続人の相続割合に応じて分配します。
具体例を用いて換価分割を解説します。
父親の遺産を相続する例
- 遺産は「3,000万円の不動産」のみ
- 兄弟2人で「2分の1ずつ」相続する
上記の例で換価分割する場合、実家の売却で得た3,000万円を兄弟2人で「1,500万円」ずつに分けます。
ただし、換価分割を行う際には、以下3つの注意点がありますので、詳しく解説していきます。
相続登記を終える前に売買契約書を交わすことは避ける
相続登記を終える前に不動産売買契約書を交わしてはいけません。
不動産売買契約書とは、対象の物件の詳細・価格・取引条件など、契約内容が詳細に記載された書面です。
相続登記前に売買契約書を交わしてはいけない理由は、相続登記を終えるまで、どのように相続するか確定しているわけではないからです。
よく、実務経験が少ない不動産業者がやってしまう失敗例に、「Aさんの親名義になっている物件(親はすでに死亡)を、Aさんから売りたいと頼まれ、不動産業者が、まだ相続登記を終えていないのに買受希望者Bさんとの間で売買契約書を交わす手続きをしてしまう。」というものがあります。
万が一、Aさんの他に相続人がいたことが発覚した場合、「他の相続人」が売却に賛成しない可能性もあります。
売買契約したにも関わらず売れないとなると、違約金トラブルに発展することがあります。
不動産業者としては買い手がついたら少しでも早く契約させたいので、Aさんから「他の相続人は賛成しているから大丈夫」と言われて鵜呑みにしてしまう傾向があります。
しかし、よくよく当事者全員から話を聞いてみると「売りたいのはAさんだけで、他の人は買い手を探す話が進んでいることを全く知らなかった」ということもあります。
相続登記を行い、相続人が確定するまでは、売買契約を結んではいけません。
名義を誰にするかで売却の手間が大きく異なる
換価分割を行う際は、「誰に相続させるか?」で売却の手間が大きく変わります。
たとえば、Aの相続人がBとCだったとします。
BとCが1/2ずつの共有で不動産を相続した場合、その不動産を売却する手続きをするにはBとCの両方が「売主」として関与しなくてはなりません。
不動産の売主と買主については不動産業者や司法書士などの手続き関係者が「本人確認」をします。
法的な確認義務が近年ではとても厳しくなっているため、特殊事情がないのに一度も本人に会わずに売買してしまうことは、まともな不動産業者や司法書士であればほぼありえないでしょう。
つまり、売主の人数が増えればそれだけ多くの人が「契約や代金決済に出向く手間、そして必要書類を揃える手間」を負わなくてはならないということです。
具体的には売主であれば免許証等の身分証明書提示、実印、印鑑証明書などの準備をしなくてはなりません。
【印鑑証明書の見本】
ですが、「代表となる一人の相続人の名義で相続登記してから不動産を売却する」という方法を取れば、売却手続きや必要書類の準備などはその一人だけが行えばいいので、手間を省くことができます。
ただ、これについてはくれぐれも気をつけておかなければ、思いがけずに「贈与税」が課税されることがあります。(次章で解説します)
1人の名義で相続して不動産を売却するなら贈与税に気をつける
前章のような方法で「換価分割」を行うのは、一見メリットがあるように思えます。
しかし、売却代金を他の相続人に分けた後に、「贈与税」の課税対象として申告するように税務署から指示されることがあります。
たとえば、下の画像のように、いったん相続人A(父)が「相続」で取得した不動産を、他の相続人B(息子)に相場より著しく安い金額で譲渡した場合、「AからBへの贈与」とみなされます。
これを「みなし贈与」と呼びます。
贈与税課税を回避するためには、遺産分割協議書において「今回、Aの単独名義にするのは換価分割(金銭に替えてから分割)をするためであり~」という趣旨を明記しておかなければなりません。
明記漏れがないように、遺産分割協議の際に弁護士や司法書士に依頼して確実に記載してもらいましょう。
共有不動産にまつわる贈与税の詳細については、以下の記事を参考にしてください。
法定相続分(共有持分)で相続してから売却する
前述した相続放棄では全遺産を受け継げなくなりますし、3つの分割方法では相続人全員で話し合って意見をまとめる必要があります。
よって、上記4つの方法でも話がまとまらない場合は、法定相続分で不動産を相続してから、共有持分を売却することを検討してください。
法定相続分で不動産を相続登記する場合、相続人の一人が代表して単独申請することが認められています。
相続人全員の同意がないと相続登記できない仕組みにしてしまうと、もし相続人の一人と連絡がつかない場合、いつまでたっても相続登記ができず所有者が決まらない状態になってしまうからです。
つまり、法定相続分なら相続人同士の話し合い無しで相続できるので、これまで紹介した相続方法よりも手続きが容易になります。
法定相続分で相続すれば、共有持分はあなたの独断で売却できるようになるので、権利関係から今すぐに抜け出せます。
この方法であれば、共有関係を解消するために相続人全員の同意を得て不動産全体を売却する必要がなくなるので、意見が対立して話し合いが進まなかったり、音信不通で話し合いができない場合に効果的です。
法定相続分で継承した共有持分は専門の不動産買取業者であれば、問題なく買い取ってもらえます。(詳しくは記事内の「自分の共有持分のみを売却」をご確認ください)
共有名義で相続してしまっている場合の6つの対策
すでに遺産分割協議を終え、不動産を共有名義にしてしまった方もいるかもしれません。
前述の通り、不動産の共有状態を放置すると共有者間でトラブルとなるリスクが高まります。
そのため、なるべく早期に共有状態の解消に向けて対応するべきでしょう。
ここからは不動産の共有状態を解消する方法を6つご紹介します。
- 共有者全員で協力して不動産全体を売却する
- 他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう
- 他の共有者から持分を買い取る
- 土地を分筆する
- 共有物分割請求訴訟を起こす
- 自分の共有持分のみを売却
共有者全員で協力して不動産全体を売却する
共有者全員の合意のもと不動産全体を売却し、売却代金を持分割合に応じて各共有者に分配することで共有状態を解消できます。
共有名義の不動産とはいえ、完全な100%の所有権として売却するのですから、一般の不動産売買と同じく、相場通りの価格で売りに出せます。
具体例をもとに説明します。
不動産全体売却による共有解消の具体例
- 市場相場5,000万円の共有不動産
- 兄弟で不動産を「2分の1」ずつ共有
- 共有不動産全体を市場相場通り「5,000万円」で売却
このとき、売却によって得た「5,000万円」を兄弟で「2,500万円」ずつ分配します。
ただし、共有不動産全体を売却するためには、共有者全員の合意が必要であるため、1人でも反対すれば、任意での売却はできません。
他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう
あなた自身の共有持分のみを他の共有者に買い取ってもらうことで、共有状態から抜け出すことが可能です。
例えば、相続した実家を兄弟2人で共有しているとしましょう。
この時、兄の持分を弟が買い取ることで、兄は共有関係から抜けられますし、弟は実家を単独所有して自由に活用できるため、双方にメリットとなります。
この方法は、不動産の活用には特段興味がなく、とにかく現金化したいという人におすすめです。
ただし、他の共有者が買取に応じるかは共有者同士での交渉次第です。
もし他の共有者に買い取ってもらえなかった場合は、専門の不動産買取業者への売却を検討しましょう。
専門の不動産買取業者なら、持分のみでも問題なく買い取ってくれます(詳しくは記事内の「自分の共有持分のみを売却」をご確認ください。)
他の共有者と交渉を上手に進めて共有関係から抜け出したい人は以下の記事を参考にしてください。
他の共有者から持分を買い取る
あなたが他の共有者全員の持分を買い取ってしまえば、不動産があなたの単独名義となり共有解消できます。
この方法は、他の共有者に買取代金を支払ってでも、不動産を単独名義にして自由に活用したい方におすすめです。
とはいっても、なるべく安く共有持分を買い取りたいと思うものです。以上の図のように、相手にメリットを伝えながら交渉すると納得してもらえることが多いです。
他の共有者と交渉をうまく進めるテクニックは以下の記事で詳しく解説しておりますので、参考にして下さい。
土地を分筆する
共有名義の土地を「分筆登記」によって物理的に切り分けて交換等することで、各共有者が単独で所有する複数の土地となり、共有状態を解消できます。
具体例をもとに解説します。
土地分筆による共有解消の具体例
- 合計面積100㎡の共有地A
- 兄弟2人で土地Aを「2分の1」ずつ共有
このとき、共有地Aを「50㎡の土地X」と「50㎡の土地Y」に切り分けて交換し、それぞれ兄と弟で単独所有します。
注意点としては、分筆登記を行ったことによって土地の価値が低下する可能性があることです。
分筆登記によって「狭くなりすぎる」「いびつな形状になる」ような場合、土地の使い勝手(利用価値)が悪くなるからです。
分筆後もある程度の面積を確保できて土地の価値が下がりにくいなら、検討の余地があります。
分筆登記に関しては以下の記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてください。
共有物分割請求訴訟を起こす
他の共有者と話し合っても、不動産全体の売却や共有持分の売買などによる共有状態の解消に応じてくれない場合は、裁判(共有物分割請求訴訟)を行うという手もあります。
裁判所を通して、他の共有者に共有状態の解消を求める裁判。
ただし、訴訟を起こすと共有状態の解消方法は裁判所が強制的に決定するため、あなたの希望通りの結果になるとは限りません。
したがって、共有者同士で話し合いの余地がなく、不動産の売却や利用に対して譲れない思いがある方でなければ、訴訟はおすすめできません。
共有物分割請求に関しては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてください。
自分の共有持分のみを売却
あなた自身の持分のみを他の第三者へ売却することで、共有状態から抜け出す方法もあります。
あなたの持分は、完全なあなたの所有物であるため、他の共有者から合意を得なくとも自由に売却可能です。
ただし、共有持分のみを持っていても、共有不動産を自由に活用できるわけではないので、一般の個人や一般の不動産屋はまず買い取りません。
現実的には、共有持分を専門に取り扱う買取業者に相談して持分を買い取ってもらうのが良いでしょう。
ただし、買取価格は市場相場より若干安価になってしまいます。
買取業者が数年単位で時間をかけて、権利関係を整理してから再販等の方法で活用するからです。
共有持分を買い取ってもらうのは、以下のような方におすすめです。
- 他の共有者と話し合いの余地がない。
- 他の共有者と一切かかわりたくない。
- 他の共有者と音信不通。
- 他の共有者が誰かわからない。
上記に当てはまる方は、共有持分を専門に扱う買取業者への売却を検討しましょう。
共有持分専門の買取業者であれば、直接業者が持分を買い取るので、金額感さえ合えば数日で現金化が可能です。
なお、弊社アルバリンクでも共有持分の買取を積極的に行っておりますので、共有状態でお困りの方はお気軽にご相談ください。
「とりあえず査定してみたい」というお問い合わせでも歓迎いたします。
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また、優良な共有持分買取業者の選び方については、以下の記事で詳しく解説しておりますので参考にしてください。
弊社Albalinkの共有持分の買取事例
ここまで共有名義で相続した場合の対処方法などについてお伝えしてきました。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の共有持分の買取事例を紹介します。
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような複雑に利権が絡まる共有持分を多数買い取ってきました。
実際、弊社は下記のように全国各地の共有持分を買い取っており、中には1000万円以上で買い取ったこともあります。
ただ、上記のような買取事例だけを見せられてもピンとこない方もいるでしょう。
そこで、弊社が共有持分を買い取ったお客様からいただいた、直筆のメッセージも紹介します。
引用元:お客様の声(Albalink)
このお客様は共有者である親族と折り合いが悪く、話し合いができる関係ではありませんでした。
そのため、弊社が共有持分を買い取ったことで「(共有者と)やり取りをしなくて済むようになり、気持ちが楽になった」というメッセージをお寄せくださいました。
上記のお客様以外にも、弊社に物件の買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「もっと早く依頼すれば良かった」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して共有持分を売却し、共有関係から解放されたい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(強引な勧誘等は一切ありません)
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共有名義の相続登記の7つの流れ
これまで共有名義で不動産を相続するトラブルや回避方法について解説してきましたが、具体的な相続の流れについても触れておきます。
不動産を相続する際は、主に以下7つのステップで手続きを行います。
- 被相続人が残した「遺言書」があるか確認する
- 相続対象となる「財産」を確定させる
- 「相続人」を確定させる
- 相続人全員で「遺産分割協議」を行う
- 不動産の「相続登記」を行う
- 相続した不動産の「相続税」の申告や納付を行う
- 確定申告を行って「譲渡所得税」を支払う(不動産を売却した場合)
上記のように、相続は必要な手続きがたくさんあり、専門知識のない一個人が行うには難易度が高いものばかりです。
ですから、相続の手続きを開始する際は、必ず弁護士や司法書士などの専門家へサポートの依頼を行ってください。
専門家がいれば、手続きが簡単になるだけでなく、遺産分割協議の仲介役も行ってくれるので、相続人同士で揉め事が起こった場合にスムーズに解決に導いてくれます。
共有不動産の相続の流れについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
【状況別】共有名義を解消する相談先
共有不動産のトラブルを解決するために権利関係を解消するなら、あなたの状況に応じて相談先を選ぶことが大事です。
具体的に、共有不動産の権利関係を解消する方法は以下の3つですので、詳しく解説していきます。
- 不動産全体を売却するなら仲介業者を選ぶ
- 共有持分を売却するなら専門の買取業者を選ぶ
- 共有名義のトラブルを解消するなら弁護士事務所を選ぶ
なお、仲介と買取の違いは、以下の記事でも詳しく解説しています。
共有不動産全体を売るなら仲介業者を選ぶ
共有者全員が売却で意思統一できている場合、「仲介業者」に共有不動産全体での売り出しを相談しましょう。
仲介業者とは、売主であるあなたから不動産の売却依頼を受け、チラシやネットを活用して買主を探し、契約・決済までを取りまとめてくれる業者です。
前述した「持分だけを売る」のとは違い、不動産全体(=すぐに住める家)を売るので、一般の買い手からの需要があり、相場通りもしくはそれ以上の価格で売れやすいです。
たとえば、あなたが共有している不動産が駅から徒歩で10分以内にあるなど立地がよければ、早く売却できる可能性が高まります。
実際、弊社がおこなったアンケート調査でも、マイホームの購入に際して「立地を優先する」と回答した方がもっとも多い結果となっています。
とはいえ、仲介業者ならどこでも良いわけではありません。
中には、共有不動産を安く買い叩こうとする悪徳業者もいるからです。
次の章より、優良な仲介業者の選び方について解説していきます。
複数の仲介業者へ査定を依頼する
不動産仲介会社を選ぶ際は、1社に絞らず複数業者へ査定依頼をしてより多くの情報を集めましょう。
担当者や査定金額などを比較したくても、比較対象が少なければ判断できないからです。
具体的には、以下3つの条件から仲介業者社をピックアップして、査定依頼を出してみましょう。
- 国内で有名な大手業者
- 抱えている買主の数が多く、高い営業力がある
- 地元で最大手の業者
- 土地勘や地元住民が魅力的に感じる広告手法に長けている
- 自宅から最寄りの業者
- アクセスがよく、進捗状況の確認や相談がしやすい
仲介業者によって得意分野や特色が異なり、上記3つの仲介業者を揃えられれば比較対象としてうってつけです。
実際に査定依頼を出した後は、これから紹介する基準をもとに比較検討してみてください。
査定額に対する根拠が明確か
担当者が査定額に対して、しっかりと根拠を持って説明してくれるかどうかに注目してみましょう。
誠実な営業マンであれば、過去の取引事例や直近の不動産市況など、複数のデータに基づいた明確な根拠を提示してくれるからです。
逆に、営業マンが「築古なので金額はこんなもんです。」と、他社と比べて安価な値付けに納得させようとしてくれば危険信号です。
相場よりも安価で物件を売出し、早急に成約させて複数案件をこなしたいという魂胆があるかもしれません。
仮に、本来であれば物件の市場相場が3,000万円のところ、500万円も安い2,500万円で売り出されるとします。
この場合、相場と比べて500万円も安いのですから、引く手あまたでラクに成約させられるでしょう。
ですが、仲介業者の利益となる仲介手数料の金額は、以下のように15万円しか変わりません。
「売却金額×3%+6万円」■売却価格が3000万円の場合(税抜)
3000万円×3%+6万円=96万円■売却価格が2500万円の場合(税抜)
2500万円×3%+6万円=81万円
その結果、売主にとって迷惑でしかない、薄利多売的な考えを持つ営業マンが生まれるのです。
このような営業マンに捕まってしまわないためにも、査定額の根拠をしっかりと確認してください。
効果的な広告手法を用いているか
依頼先の仲介業者が、インターネット広告などの効果的な広告手法を用いているかどうかチェックしましょう。
効果的な広告手法により、多くの人に物件情報をリーチできれば、あなたの希望する条件で購入したいという人に巡り合う確率が上がるからです。
簡単に言えば、仲介とは「売主と買主のマッチングサービス」のようなもので、あなたの物件を魅力的と思う人に情報が届かなければそもそも売れません。
具体的には、下記のような宣伝活動を十分に行ってくれるのか、事前にチェックしておきましょう。
物件情報が掲載されていなかったり、回答をはぐらかされたりした場合は、担当者や仲介業者を変えた方が良いかもしれません。
営業マンが聞き上手か
あなたの話をしっかりを聞き出してくれる、聞き上手な営業マンかどうかに注目してみてください。
仲介での不動産売却は、まさに営業マンと売主(あなた)の二人三脚であり、良好なコミュニケーションが取れなければ、希望条件通りでの成約はあり得ないからです。
仮に、あなたがスピード感より売却金額を重視しているとしましょう。
あなたの話を聞こうとしない営業マンに任せてしまえば、成約スピードを優先され、妥協した金額で売りに出されてしまうかもしれません。
つまり、「素人は意見せずプロである自分についてこいスタンス」の営業マンに任せれば、損をするのは売主であるあなたです。
以下に、弊社が行った「信頼できる不動産営業担当者の特徴」についてのアンケート調査結果を記載するので、選ぶべき担当者がどのような人物像なのか参考になさってください。
あなたの希望条件をしっかりと聞いてくれて、売却戦略を一緒に考えてくれるような営業マンを選ぶようにしてください。
共有持分を売却するなら専門の買取業者を選ぶ
前述したように、共有関係から抜け出すには、共有持分を売却する方法もあります。
「他の共有者に売却の同意が取れない」「すぐに共有名義から抜け出したい」といった場合には、共有持分を専門に扱う買取業者に相談しましょう。
仲介業者は、共有持分のみの売却をほぼ取り扱ってくれません。
前述したように、すぐに住める家を探している一般の個人を買い手として探してくるので、共有持分を扱っても売れないからです。
対して、専門の買取業者は、権利関係を整理してから再販等を行う目的で共有持分を買い取るので、仲介業者と違って問題なく相談に乗ってくれます。
ただし、専門の買取業者に関しても、どこでも良いという訳ではありません。
中には、共有持分を不当に安く買い取ったり、他の共有者の持分も強引に買い取ろうする悪徳業者もいるからです。
よって、次の章では共有持分専門の買取業者の選び方について解説していきます。
複数の買取業者へ査定依頼する
共有持分買取業者を選ぶ際は、必ず1社でなく複数社へ査定依頼をしましょう。
査定額にしろ、営業マンの質にしろ、1社だけでは良し悪しを判断できませんが、多くの情報があれば比較検討できるからです。
具体的には、各業者のHPなどから買取実績を確認し、実績の多い順番に出来れば3社へ査定依頼をしてみると良いでしょう。
買取実績の多い業者がなぜ良いのかについて、次項で詳しく解説します。
買取実績が豊富か
共有持分を買い取ってもらうなら、買取実績の豊富な共有持分買取業者を選びましょう。
実績豊富な買取業者であるほど、あなたの共有持分を高値で買い取ってもらえる可能性が高まるからです。
その理由を解説するためには、「共有持分買取業者がどのように利益を上げているか」から説明する必要があります。
まず、買取業者は共有持分を買い取った後、数年単位で時間をかけて不動産の権利関係を整理してから、再活用することで利益をあげています。
そのため、買取業者は利益確保のために、再活用にかかるコストを見越した金額でしか共有持分を買い取ることはできません。
よって、買取実績が豊富で共有不動産の取り扱いに慣れている買取業者なら、低コストで再活用できる分、より高値で買取できるというわけです。
なお、弊社アルバリンクは共有持分を専門に扱う買取業者で、年間600件以上の買取実績(※2023年1月~10月の実績)と「フジテレビ」を始めとする各メディアにも取り上げられた実績があります。
弊社は「全国対応」、査定や相談は「無料」ですので、「共有関係から今すぐ抜け出したい」とお考えなら、まずは弊社へ一度ご相談ください。
もちろん、査定のみ、ご相談のみのお問い合わせでも大歓迎です。
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営業マンは聞き上手か
あなたの話をしっかりと聞き出してくれる営業マンかどうかチェックしましょう。
営業マンがあなたの意図を汲み取ろうとしなければ、売主であるあなたが不利益を被ってしまうからです。
例えば、共有持分を売却して得た代金を手付金として、中古マンションを新居に購入したいと考えているとします。
あなたは、一週間後には手付金を売主に支払わなければならず、それまでには共有持分を買い取ってほしいと焦っています。
にもかかわらず、あなたの意図を汲み取らず呑気に段取りを進められてしまい、買い付けに間に合わなくなってしまうなんてことになれば最悪です。
希望条件通りの買い取りを実現させるために、あなたの話をしっかりと聞き出してくれる営業マンを選びましょう。
弁護士との連携があるか
共有持分を専門に扱う買取業者が、「弁護士」や「司法書士」と連携しているか確認しましょう。
上記の専門家と提携していれば、共有者間の紛争解決や他の共有者との間でトラブルが発生している場合でも、問題なく共有持分を買い取れるからです。
仮に、共有不動産の管理費を巡って、あなたと他の共有者との間にトラブルが起きており、裁判となる一歩手前であるとしましょう。
このような場合でも、弁護士と連携した買取業者であれば、争いを沈静化させつつ穏便に買取してくれます。
したがって、取引をより安全に進めたいなら、弁護士と連携している共有持分買取業者を選ぶようにしましょう。
なお、弊社は弁護士や司法書士と常に連絡をとり合えるよう密接に連携しているので、紛争問題を抱えた共有不動産であっても、スムーズで的確な対応が可能です。
ご相談のみでも構いませんので、専門家の意見をしっかりと聞きたいという方は、ぜひご連絡ください。
あなたの悩みを解決できるよう、全力で対応させていただきます。
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査定額に明確な根拠があるか
担当者が査定額に対して、明確な根拠を持って説明してくれるかどうかチェックしましょう。
自社で叩き出した金額に対して、明確に根拠を述べられないのであれば、なにか裏があるかもしれません。
不当に金額が低いのも危険ですが、根拠を伴わない高価な査定には気をつけたほうが良いでしょう。
仮に、他社の査定額が500万円前後であるのに対し、明確な根拠もなく1,000万円と飛び抜けた査定を出してきた業者がいるとします。
もしかすると、それは高価な査定額で売主を釣る罠かもしれません。
査定をもとに売買契約を取り付けたあなたは、契約当日に買取業者の応接間に通されてこう言われるのです。
「再度現地を確認したところ瑕疵が見つかりまして、300万円までしか出せません。」
「やられた!」 と思ったときにはときすでに遅しで、半ば強引に契約書に署名捺印させられてしまうなんてことになるかもしれません。
誠実な営業マンであれば、過去実際に取引された周辺事例や、再活用にかかるコストなど、複数のデータに基づいた根拠を説明してくれるはずです。
査定額の大小に気を取られて、悪質な業者についていってしまわないよう気をつけて頂きたいです。
信頼できる営業マンに価格交渉してみる
「営業マンは信頼できていい人なんだけど、査定額が他社より低いのが残念」
このような場合は、あなたが信頼している営業マンに、「他社では◯◯◯万円で提示されているんですが、御社では無理ですか?」と素直に聞いてみてください。
誠実に売主(あなた)に寄り添ってくれる営業マンなら、上司に査定額アップの交渉に取り合ってくれるはずです。
もちろん、買取業者は過去の成約事例などの根拠を持って査定をしているので、金額交渉に応じられないこともあります。
とはいえ、親身になってあなたの話を聞いてくれる営業マンであれば、買い取れなくても他社の査定金額や条件に不審な点がないかも教えてくれるはずです。
例えば、誠実な営業マンであれば、以下のようなアドバイスをくれるでしょう。
- 「弊社では、登記費用は当方が持ちますが、他社もそのような条件になっていますか?」
- 「弊社では、売主責任は免責として契約を結びますが、他社はどうですか?」
- 「もし、同条件でその査定額であれば、弊社より他社さんにお願いしたほうがいいかもしれません。」
査定額が高いだけでなく、誠実な営業マンであることも、共有持分をできる限り高く買い取ってもらうためには重要です。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、できる限りの高額買取に対応させていただいております。
無料相談・無料査定は随時受け付けておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
売主様とWin-Winの関係が築けるよう、担当スタッフが全力でご希望の売却プランに寄り添った対応をいたします。
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共有名義のトラブルを解消するなら弁護士事務所を選ぶ
共有名義をすぐに解消するのではなく、他の共有者とトラブルになっており、ひとまず解決を目指したい場合は、弁護士に相談しましょう。
不動産トラブルに強い弁護士事務所3選を紹介します。
弁護士事務所 |
黒川慶彦法律事務所 |
ダーウィン法律事務所 |
桐井法律事務所 |
---|---|---|---|
取り扱い分野 | 相続、立ち退き、家賃滞納、など | 相続、共有物分割請求、 立ち退きなど |
相続、不動産、離婚など |
所在地 | 神奈川県横浜市港北区新横浜3丁目 20-5 スリーワンビル601号室 |
福井県福井市春山1丁目1-36 | 愛知県名古屋市東区泉1-21-10 スタメン泉ビル2F |
問い合わせ | 詳細はこちら | 詳細はこちら | 詳細はこちら |
黒川慶彦法律事務所は、神奈川・東京周辺における不動産トラブルを解決する弁護士事務所です。
不動産ジャンルの中でも、共有名義・家賃滞納・立ち退きに対応しており、共有関係によって生じたトラブルの事案も相談可能です。
同社は、法的観点からの助言だけでなく依頼者一人ひとりに合った実用的な解決策を提案してもらえます。
個別具体的かつ柔軟なサポートをしてもらえるのは、クライアントの「安心」を重要視する黒川慶彦法律事務所だからこそ提供できるサービスといえるでしょう。
初回相談は30分無料・初回電話相談は10分無料で受け付けています。
共有・相続にお悩みの方は、一度、黒川慶彦法律事務所に相談してみてください。
ダーウィン法律事務所は、2019年7月設立の不動産業界に特化した法律事務所です。
相続・売買・賃貸・管理など、依頼者の立場によってあらゆるトラブルが生じやすい不動産の法律相談も、同社ではワンストップで解決できます。
また、専門性にくわえて弁護士費用の「見える化」を推進している点も同社の魅力です。
固定された費用水準ではなく、クライアントの立場に寄り添った費用体系を提供しているため、機械的に費用負担が重くなる心配がありません。
追加の費用が発生する場合も事前に伝達があり、予算オーバーの心配なく法律相談ができるのは同社の安心できるポイントです。
ダーウィン法律事務所は、東京都新宿区・東京都立川市・福井県福井市の3拠点にオフィスを構えており、来所相談は30分11,000円(税込)です。
安心感をもって実績豊富な専門家のサポートを受けたい方は、ダーウィン法律事務所の来所相談を検討しましょう。
桐井法律事務所は、名古屋市東区にオフィスを構える地域密着型の法律事務所です。
不動産トラブルに精通しており、相続・離婚・賃貸借など、共有関係で起こりやすい悩みにマルチに対応し、依頼者を解決へと導きます。
また、同社は土日祝が定休日でありながら、クライアントの要望があれば、土日祝日・夜間など、時間外も柔軟に対応してもらえます。
出張法律相談も実施しており、多忙でまとまった時間が確保しにくい依頼者も利用しやすいのは嬉しいポイントです。
名古屋市で起きた不動産トラブルは、柔軟性に優れた桐井法律事務所に相談してください。
共有名義不動産の相続税の計算方法をわかりやすく解説!
やむなく共有不動産で相続した場合、各相続人は不動産の「相続税」を支払う必要があります。
相続税とは、亡くなった親などから、お金や土地などの財産を受け継いだ(相続した)場合に、その受け取った財産にかかる税金のことです。
参照元:相続税について教えてください。
共有不動産の相続税の計算は、主に以下5つのステップで進めていきます。
- 相続税評価額の合計額の純額(債務及び葬式費用控除後)から基礎控除額を控除して課税対象額を算出する
- 課税対象額を法定相続分で分ける
- それぞれに相続税率を乗じた金額を合計して、全体の相続税額を算出する
- 実際の遺産相続割合に応じて、各相続人の税額控除適用前の相続税を算出する
- 各種税額控除を適用して、各相続人の相続税を算出する
具体的な計算方法は以下の記事でまとめていますので、参考にしてください。
とはいえ、共有不動産の相続税の計算は、専門知識のない一個人ではかなり困難です。
ですから、相続税の計算は遺産分割協議の仲介に入ってもらった税理士などの専門家に代行してもらった方が確実です。
まとめ
この記事では、共有名義で不動産を相続した際のトラブル発生リスクについて解説してきました。
記事内でお伝えした通り、共有名義で不動産を相続すると様々なリスクを抱えることになるため、可能な限り共有を避けて相続することをおすすめします。
また、すでに共有名義で不動産を相続してしまっている場合は、早急に共有状態を解消したほうがよいでしょう。
- 他の共有者と話し合いの余地がない
- 他の共有者と一切かかわりたくない
- 他の共有者の連絡先や住所もわからない
上記のような場合は、共有持分専門の買取業者へあなた自身の持分を買い取ってもらうことで、ストレスなく共有関係から抜け出すことが可能です。
なお、弊社アルバリンクは、共有持分のみの買取を積極的に行っております。
「共有不動産のトラブルで頭を悩ませている」「今すぐ権利関係から抜け出したい」とお考えなら、お気軽にご相談ください。
もちろん、査定のみ、相談のみのお問い合わせでも受け付けております。